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2023年10月22日

拘束発射というミサイル屋さんが見たくない現象【軍事技術】

『拘束発射が起きました!アンギャ—ー!!!』
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陸海空自衛隊を問わず、ミサイルを扱う人にとって最も体験したくない現象があります。

そいつは、拘束発射(こうそくはっしゃ)と呼ばれる現象です。

図1 VLS
図1 VLS.jpg
引用wiki
ホットローンチをするVLSなどで、ブースターが点火してミサイルが飛び出していきます。

そのミサイルが飛び出さない現象があるんですよ。
(前回記事):『 F-2卿にF-2の珍しい写真を捧げましょう!【自衛隊】
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(1)イヤー!拘束発射発生!

ウクライナ戦争の中で、あるロケット発射失敗の映像が流れました。

図2 ロケット発射失敗
図2 ロケット発射失敗.png
引用URL:https://twitter.com/kamipapa2/status/1699616612834537604

この画像を、見た方も多いかと思います。

1.1 射撃関係者は恐怖モノだろうなあ

ロケット発射失敗により、ブースターが点火したまま発射車両が森に突っ込んでいく光景です。

普通の人なら、何だただのロケット発射失敗か!なんて思うかもしれません。

しかしミサイル関係者にしてみると、
『イヤー!拘束発射!見たくないい!!』
と恐怖の対象になるでしょう。

図3 11短SAM
図3 11短SAM.jpg
引用URL:https://www.flickr.com/photos/90465288@N07/39227773454/in/album-72157632230016328/

ミサイルやロケットが飛び出していかない恐怖は、想像を絶するものがあります。

1.2 拘束発射ってなんだ?

拘束発射という言葉は、一般的ではないので戸惑うかもしれません。

簡単に言うと、
『ミサイル発射時に、発射レールから外れず拘束されたままブースターが燃焼し続ける』
そんな現象です。

図4 シースパローランチャー
図4 シースパロー.jpg
引用wiki

一例として、シースパローランチャーを見てもらればわかります。

ミサイル本体は、レールガイドによって発射筒内に固定されています。

ブースターの点火と推進開始によって発射レールの固定が解けるのですが、たまに固定されたままになります。

VLSでも、本当に偶然発生することがあります。

1.3 拘束燃焼試験は安全性を確認するため!

時たま、誘導弾の試験に関する入札について「拘束燃焼試験」という文言があります。

これは、拘束発射が発生したときに爆発せずほかの誘導弾に延焼しないための確認です。

図5 拘束燃焼試験
図5 拘束燃焼試験.png
引用URL:https://media.defense.gov/2016/Oct/07/2001645552/1920/1080/0/160808-N-DM751-001.JPG

この画像は、米海軍LCS用の対艦ミサイルランチャーの拘束燃焼試験です。

このとおり、拘束発射でボウボウに燃焼しても安全になるように試験はされています。

しかしながら、拘束発射は本気でコワい代物です。
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(2)海自でもあった拘束発射!

海上自衛隊では、拘束発射があったのかという疑問があると思います。

図6 試験艦あすか
図6 試験艦あすか.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ase/asuka/#6102-2

実は、試験艦「あすか」にVLSを搭載したときに1度発生しています。

2.1 新アスロック技術試験にて拘束発射発生!

現在の07式垂直発射魚雷投射ロケット(07VLA)が、新アスロックと呼ばれていた時期に発生しました。

図7 新アスロック
図7 新アスロック.jpg

引用wiki

ちょうど技術研究本部(TRDI)で、技術試験を行っていた時に発生しています。

第二次発射試験の時に、Mk41VLSから弾が飛び出ず拘束発射で火の海になりました。
(関連記事):『 【自衛隊】装備品の配備には試験だらけでとても長い!
関連記事で書いた「大変なこと」は、この拘束発射の事象発生です。

2.2 火の壁が出現!

私ペンギンは、試験艦あすかには乗艦してはいませんでした。

しかしながら、実験部に持ち込まれた発射映像は地獄でした。

図8 SM-3
図8 SM-3.jpg
引用URL:https://www.navalnews.com/wp-content/uploads/2023/04/7277584-1024x578.jpg.webp

SM-3を発射したくらいの火炎が、数十秒間噴射している映像が艦橋から撮影されました。

2.3 VLSは陸揚げして大修理!

海上自衛隊のVLSで初めての拘束発射発生ということで、VLSを陸揚げしての大修理となりました。

試験艦「あすか」の上甲板などもペンキが焼けこげ、修理費1億円くらいがかかる結果となります。

拘束発射は、ホントにダメージが大きいですよ!
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(3)拘束発射はマジで怖い!

ミサイル屋さんが、拘束発射はマジで怖い!というのが実感できた体験でした。

拘束発射が起きると、ロケットランチャー搭載車両なんて簡単に動き出します。

あれは二度と経験したくない、恐怖の体験といえます。
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posted by sstd7628 at 17:03| Comment(6) | TrackBack(0) | 軍事技術
この記事へのコメント
ゆうゆうさま、コメントありがとうございます。

拘束発射はホントに珍しい現象ですが、研究開発ではVLSでの拘束燃焼試験を行います。

実際の場所で発生するのは、かなり珍しいといえます。
Posted by 管理人 at 2024年01月08日 12:25
久しぶりにコメントさせて頂きます。拘束発射なる概念を初めて知りました。装備の研究開発も試行錯誤を経て…と実感しました。
Posted by ゆうゆう at 2024年01月08日 11:45
hogehoheさま、コメントありがとうございます。

試験艦「あすか」の場合は炎の壁がザクセン級より派手に吹き上がっていました。

映像にあるよりかなり派手な状況になっていたと思っていただければ幸いです。

Posted by 管理人 at 2023年10月27日 09:34
ドイツのザクセン級フリゲートでもSM-2 MRが爆発してましたが、07VLAの方が大型ブースターの分盛大でしたか?
https://www.youtube.com/watch?v=RgL7kfTTDmU
Posted by hogehohe at 2023年10月26日 21:19
サイサリスさま、コメントありがとうございました。

射撃でホントに知られていないことがホントに多すぎますよね。
拘束発射は、ホントに怖いです。
Posted by 管理人 at 2023年10月24日 16:51
あぁ、書いちゃいましたね・・・
(映像見せてもらったことがあるので知ってました)
Posted by サイサリス at 2023年10月24日 08:16
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