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2024年09月19日

ロシア海軍オケアン2024演習をどう見るか?

『ロシア海軍最期の残照となるか?もしくは有事か?』
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2024年9月10日からロシア海軍が、オケアン2024演習を開始しました。

海自の古い人間なら、オケアン演習と聞くといざ有事か?!と勘違いします。

図1 オケアン2024
図1 オケアン2024.jpg
引用URL:https://news.store.rambler.ru/img/635cdba37e1fc288f1e3bfbf20ace0b3?img-format=auto&img-1-resize=height:350,fit:max&img-2-filter=sharpen

この時期にソ連時代を超える、最大規模のオケアン海軍演習を行うのは何故か?

ロシア海軍最期の残照か?それとも有事への布石か?
(前回記事):『 令和7年度防衛費概算要求が出てきたよ!
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(1)オケアン(океан:海洋)とは何か?

海上自衛隊にいた人間ならば、耳にタコが出来るくらい聞かされた演習名です。

図2 オケアン70
図2 オケアン70.jpg
引用URL:https://proza.ru/pics/2023/08/11/289.jpg

特にオケアン70の結果は、海上自衛隊の方向性を決めた演習とも言えます。

1.1 オケアン演習は核攻撃演習を含む海軍演習

ソ連海軍のころから、たびたび海軍演習は行われてきました。

しかし「オケアン(океан)」の名前を付けた演習は、緊張感をもって語られます。

図3 核攻撃
図3 核攻撃.jpg
引用URL:https://kartinki.pibig.info/uploads/posts/2023-03/thumbs/1680233457_kartinki-pibig-info-p-severnii-flot-kartinki-prikolnie-arti-2.jpg

オケアン演習は、ソ連海軍/ロシア海軍において世界規模で核攻撃演習を含む総合演習だからです。

特に1970年の、オケアン70はソ連海軍が脅威であることを示しました。

1.2 日本近海で大演習したことも?!

中国海軍空母遼寧が、日本の接続水域を通過したと大騒ぎになっています。

図4 空母遼寧
図4 空母遼寧.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/js/pdf/2024/p20240918_01.pdf

しかし1970年代のソ連海軍は、日本近海で核攻撃演習を含む演習をしています。

図5 ソ連海軍の動き
図5 ソ連海軍の動き.png
引用URL:http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/1976/w1976_01005.html

沖ノ島沖や九州西方、北海道道東沖でやりたい放題にソ連海軍が演習していました。

海上自衛隊の8艦8機体制編成のきっかけは、オケアン演習のトラウマから誕生したと言っても過言ではありません。

1.3 いまだ沈まずや空母ミンスクは?

さらに海自を恐怖に陥れたのは、1979年に空母ミンスクが太平洋艦隊に配属されたことです。

図6 空母ミンスク
図6 空母ミンスク.jpg
引用wiki

1980年代の架空戦記では、いかに空母ミンスクを撃沈できるかが問題でした。

しかし2024年になって空母ミンスクが炎上するとは!

図7 ミンスク炎上す!
図7 ミンスク炎上す!.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/GVIeTOaWsAEATsN?format=jpg&name=large

空母ミンスクは、空自第3飛行隊の獲物だったのに〜!

敵砲火をかいくぐり、ASM-1をたたき込むF-1支援戦闘機が見たかった!

そんなロシア海軍ですが、この時期に史上最大規模のオケアン2024演習を開始しました。
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(2)威嚇か?最後の残照か?それとも?

ウクライナへの侵攻が続く中で、オケアン70を超える400隻以上の艦船が参加した演習開始となりました。

図8 発射
図8 発射.jpeg
引用URL:https://www.newsinfo.ru/image/article/1/2/3/36123.jpeg

単なるロシア海軍の練度維持と見るには、オケアン演習の規模が大きすぎるんですよね。

2.1 ロシア海軍は今後弱体化する

オケアン2024演習は、ロシア太平洋艦隊を敵軍(青軍)として北方艦隊など自軍(赤軍)が迎撃するシナリオです。

図9 司令部
図9 司令部.jpg
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/1NkVIOlb1hg/hq720.jpg?sqp=-oaymwEhCK4FEIIDSFryq4qpAxMIARUAAAAAGAElAADIQj0AgKJD&rs=AOn4CLC1Esfy3s8MOmmpnjIOkEIXWJorcA

黒海艦隊やバルト海艦隊が、地理的封鎖状態の中で行われています。

さらに修理や大規模改修を行える、黒海基地が使用不能の状態でありロシア海軍は今後弱体化していきます。

そのため、ロシア海軍最後の大演習となるかもしれません。

2.2 ザーパド2021のような実例もある!

今回のオケアン2024を単なる演習と見るには、ザーパド2021のような先例があり安心できません。

図10 ザーパド2021
図10 ザーパド2021.jpg
引用URL:https://vesti.uz/wp-content/uploads/2021/08/uchenija-300x220.jpg

2021年には、ソ連軍最大規模演習のザーパド81を超える演習が行われました。

その兵力が転用されて、ロシアのウクライナ侵攻に使用されています。

単なる脅し・練度維持と見ることは、結構危険と見ています。

2.3 ロシアの対日侵攻はありうるか?

これもまた疑問符が付く話であり、ウクライナ戦争でさらに対日侵攻能力は減少したと言えます。

図11 揚陸艦
図11 揚陸艦.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/GTJwbvjaAAAhjeo?format=jpg&name=small

太平洋艦隊には揚陸艦が4隻しかなく、侵攻の尖兵となる2個海軍歩兵旅団もウクライナに投入され壊滅状態です。

図12 海軍歩兵
図12 海軍歩兵.jpg
引用wiki

さらに対日侵攻主力となる陸軍第68軍団も、大半がウクライナに投入されて壊滅しています。

そのため今すぐ対日侵攻する余力は、ほとんど無くなったと言えます。
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(3)原潜による核威嚇を考慮すべきか?

残されたのは、カムチャツカ半島の原潜部隊だけです。

図13 原潜部隊
図13 原潜部隊.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/surround/img/rus_d-act_202403/03.jpg

原潜による、日本への核恫喝を考慮すべきでしょう。

3.1 核恫喝に日本は耐えられるか?

2024年6月ごろから、ロシア派は戦術核兵器の演習を段階的に進めてきました。

図14 イスカンデル
図14 イスカンデル.jpg
引用URL:https://img.hani.co.kr/imgdb/japan/news/resize/2024/0523/171641236264_20240523.JPG

ただ日本側の反応は鈍いのが、平和を享受した日本の現状です。

ウクライナを支援する日本に、支援を止めるようロシアが核恫喝したとき日本は耐えられるか?
(無条件降伏・北海道を割譲します!と弱腰の首都圏の人間なら言い出しそう)
今後の情勢に注目です。
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posted by sstd7628 at 14:53| Comment(6) | TrackBack(0) | 世界情勢
この記事へのコメント
keenedge1999さま、コメントありがとうございます。

>恐らく、実戦に出たら相手に相当肉薄しないと目標を捉えられなかったんじゃないでしょうか。

最大40NM以下とは・・・やはり現実運用では、かなり厳しい事実があったのですね。
北海道道北日本海沖は、夏でも波が高いことが多かったのでF−1支援戦闘機の対艦攻撃は厳しかったと言えます。
(だからF−2戦闘機の運用要求が出てきたとも言えますね。)

F-4戦闘機の301・302飛行隊が、急遽ASM-1を搭載して対艦攻撃を実施するのがリアルな描写だったかな?
Posted by 管理人 at 2024年09月22日 16:58
>敵砲火をかいくぐり、ASM-1をたたき込むF-1支援戦闘機が見たかった!

随分前の話ですが、自分はとある開発品のお手伝いをさせて頂いており、その際にF-1やF-4EJ改のレーダーの対艦モードについて伺う機会がありました。両者とも既に退役済みですので、数字を含んだ話をしても良いでしょう。

F-1のJ/AWG-12には対艦用としてASMモードというものがあり、ペンシルビームによって海上移動・固定目標を探知します。最大レンジは40NM以下です。実際に海上で試験してみると、このレーダーはちょっと海が荒れるとすぐに目標を失探することが多かったです。恐らく、実戦に出たら相手に相当肉薄しないと目標を捉えられなかったんじゃないでしょうか。F-1は実戦に出なくて良かったと思います。

それに対して、F-4EJ改のAPG-66Jは優秀で対艦モードとしてSEA1とSEA2というモードを持っており、前者は周波数アジャリティによりクラッターの抑制処理を行い、シーステイト4以下の状況で海上移動・固定目標を探知します。後者はシーステイト4以上で8ノット以上の海上移動目標の探知をMTI処理によって行います。探知距離はSEA1の1/4になりますが、SEA2は荒天時はとても有効だったようです。

なお、F-2のJ/APG-1/2については知る立場にはありませんが、漏れ伝わるところによると性能はそれなりに期待出来そうですね。
Posted by keenedge1999 at 2024年09月21日 23:52
ROKETTOさま、コメントありがとうございます。

ロシアとしては、戦争にあまり関与してない海軍兵力を何としても転用したいのかもしれません。
修理の終わらない艦船空母を放棄して、乗員を海軍歩兵に転用する伝統的転用といえます。

しかしまあ、原潜乗員を歩兵に転用とは末期戦になってきたなあ・・・
Posted by 管理人 at 2024年09月21日 11:35
NS60さま、コメントありがとうございます。

今回の演習については、北極海航路をあきらめていないという意思表示もあるかと思います。

現状では、北極海航路をドル箱としたいロシアにとってぜひとも確保したいところです。
ただ、中国の利用が頼みなので判断が難しいとことです。
Posted by 管理人 at 2024年09月21日 11:31
更新お疲れ様です
モスクワ級から始まるソ連海軍の航空機運用艦全てに関わってきたムイコーラウの造船設備失ったのに始まり
セヴァストポリにカリーニングラードが実質機能停止と来ればそりゃ補修能力もヤバくもなる罠、という……
これらに加えてただしロシアの場合20年以上ほぼ放置されセヴェロドヴィンスクの大型ドッグを物理的に封鎖していた
アドミラル・ナヒーモフのような例も有るのでドックのやりくり問題は更に悪化してる可能性が高いのはなんというかかんというか


尚つい先日、ウクライナ側の発表なため真偽は何とも言えないのですが空母クズネツォフ関連でこんな発表がががががが
ttps://mil.in.ua/uk/news/rosiyany-sformuvaly-mehanizovanyj-bataljon-z-ekipazhu-avianosnogo-krejsera-admyral-kuznetsov/
>ロシア人は空母アドミラル・クズネツォフの乗組員から機械化大隊を編成した

更にx上では原潜乗員が陸戦で捕虜になったとの真偽不明な話まで出てきてもう訳が分かりませんわ……(頭痛ぇ
ttps://x.com/pstyle0ne1/status/1836521216934580308
Posted by ROKETTO at 2024年09月21日 01:46
管理人様お疲れさまです
最近のロシア中国の海軍演習については、威嚇恫喝の意味もあると思いますが、もう一つ北極海航路とそれに続く航路の日本海の制圧の意はないでしょうか?
北極海の氷が減少すれば上海〜ムルマンスク間の航路が開け海軍間の交流や海運輸送も最短になる?
オケアン70やミンスクショックは覚えています
仮想戦記もいろいろ、記憶にあるのは小松左京さんの「首都消失」でソ連海軍が根室沖に侵攻、の描写ありました

Posted by NS60 at 2024年09月20日 21:34
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