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2024年09月26日

護衛艦さざなみ台湾海峡航行キター!

『だが!すずつきの凡ミスは許されない!』
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護衛艦さざなみが台湾海峡を航行する、チャンネルダッシュがついに行われました。

しかし2024年7月の護衛艦すずつき領海侵犯は、位置失念が原因となりました。

図1 護衛艦すずつき
図1 すずつき.jpg
引用wiki

精強な海自がそんなミスするはずが無い!と思うけど、結構根深い問題です。

やはりインド洋派遣以来練度が下がり続けているのか?
(前回記事):『 ロシア海軍オケアン2024演習をどう見るか?
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(1)位置確認は船乗りの基本!

船乗りは自分の位置を把握して航行するのが、基本中の基本レベルの話です。

図2 船舶航行
図2 航行.gif
引用URL:https://www.kaiho.mlit.go.jp/info/books/report2002/chapter2/images/02_01.gif

道路を渡るときは横断歩道を渡るくらい基本であり、韓国海軍を笑えない位にヤバい話です。
(関連記事):『 韓国レーダー照射を技術的視点から首謀者の推測へ!

1.1 頭より先に船を走らせるな!

船乗りならば徹底的に仕込まれる基本として、自分の位置を確認して航行するのが作法です。

図3 位置情報
図3 位置情報.jpg
引用URL:https://cf.kazi-online.com/public/4552a6f4-927c-49cb-a8fd-65cb6a5b188b.jpg

今回公表された内容は、自艦の位置情報を確認せずに航行してしまったとのことです。

問答無用で、船乗り失格と言えるレベルです。

1.2 司令部からの通信で初めて領海侵犯を知る!

さらに救いがたいのが、陸上基地からの通報で初めて艦長が領海侵犯を把握した事態です。

図4 CIC
図4 CIC.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/D8HT2U9UwAE0fTy?format=jpg&name=large

艦橋もCICも、一体何をやってたんじゃい!と怒りがこみ上げます。

ただいろいろ重なると、ろくでもないミスが平気で発生します。

1.3 思いあたる節が一杯だなあ!!

自分の現職時代を思い起こすと、結構いろんな複合要素が思い浮かびます。

指揮判断を下す艦長に、大事な情報が届かないことがCICには意外とあります。

さらにGPSの使い方や、通信設定などいろいろミスが重なった結果かな?

図5 警戒監視
図5 警戒監視.jpg
引用URL:http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2002/photo/frame/ap143024.htm

艦長交代2か月で、中国海軍監視に派出する運用の問題もあるでしょう。
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(2)艦長は適切な分散管理監督をできていたか?!

護衛艦勤務をして、CWCコンセプトが意外と民間分野に理解されていないことに気付くことがあります。

図6 艦長席
図6 艦長席.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/pco/gunma/pco_news/oota/images/o220416-6.jpg

今の時代は、艦長が全部命令指揮するというわけじゃないのが理解されていません。

2.1 権限委任と拒否権の複合戦(CWC)コンセプト

時たま話に出て来るCWCについてですが、簡単に言うと、

CWC=ドクトリン×指揮官の意図(考え)×権限委任×指揮官の拒否権

こんな感じです。

哨戒長など各種指揮官に、ある程度の権限委任をして艦全体の指揮を分散管理します。

攻撃・船務・機関・航空各指揮官は、指揮官の意図に合うように行動します。

図7 哨戒長
図7 哨戒長.jpg
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/9Wb03kMKE-8/hqdefault.jpg

(関連記事):『 海上自衛隊船務士だって仕事してるもん!なんにもせんむ士じゃない!

関連記事でも書きましたが、哨戒長が全般指揮を取り艦長が監督をします。

このCWCコンセプトを理解しないと、護衛艦すずつきの事件を見誤ります。

2.2 艦長の意図は徹底されたか?位置確認は報告されたか?

各種報道を読むに、すずつき艦長は事件当時にCICにて指揮していたと思われます。

この時、艦橋の航行指揮官とCICとの間で指揮官の意図が周知されていたか?が問題です。

図8 艦橋
図8 艦橋.jpg
引用URL:https://lh5.googleusercontent.com/proxy/DZ4I1TA0pINEl4QS6Q5ZETuJtvITwWosVd2tI5u7fB8n_bAmTgZ_wUyGWX60Og85W5C261o74T3N2gaiTz2E7-7UDgTCEsRQaB0jHdf-TGJxIE8E

護衛艦「いなづま」座礁のように、艦橋とCICの意思疎通がうまくいかないことがあります。

艦長がちゃんと意図を徹底して、修正する必要があります。

さらに監視任務にあったということで、自艦位置情報を正確に把握できていたか?

艦橋の副直士官や、CICの態勢図でチェックして、位置把握が出来ていたか?

もしロストポジションしてたなら、指揮官に報告できる空気があったか?

意外と艦長に、重要情報が報告されていないことが結構あります。

『だれかが報告するだろう・データーで艦長も確認してるだろう』

完全な現場猫も真っ青な、事故要素満載です。

図9 艦長指揮
図9 艦長指揮.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/D8HTzQAU0AE15cK?format=jpg&name=large

意外とCICの艦長席って、必要な情報がすぐ手元に出るわけじゃないんですよね。

取得情報を整理統合して、見やすくしたものがLSDに表示されています。

艦橋又はCICが位置情報を取り間違えると、艦長が気付くのが遅れます。

2.3 艦長と士官・乗員の意思疎通が出来ていたか?

意外と見落としがちですが、艦長と乗員の意思疎通がうまくいっていたかも問題です。

艦長が交代してまだ2か月の時に、事件が発生しています。

図10 士官室
図10 士官室.png
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/Ea238IuUMAAR76b?format=png&name=240x240

艦長次第で、意外と士官室レベルで意思疎通が困難になる艦艇が存在します。

事件後すぐに艦長が更迭となったのも、意外と人間関係が原因かもしれませんね?
(衝突座礁事故の後でも、少しの間は艦長は現職に止め置かれる)
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(3)GPSの使い方も検証が必要だな!

留意が必要なのは、航法器材としてのGPSの使い方です。

図11 船舶GPS
図11 船舶GPS.png
引用URL:https://www.jha.or.jp/jp/shop/products/newpec/newpec_manual/manual/html/png/navi01_3.png

GPSに頼りすぎて、肝心な時に使えなくなったのかもしれません。

3.1 ロラン航法世代にはGPSを信用できない。

今の若い世代だと、GPSは当たり前で精度が高いモノと信じ切っているかもしれません。

ワイらのような ロラン・デッカ航法 で育った世代は、ど〜もGPSをいまいち信用できないんですよね。

図12 LORAN
図12 ロラン.jpg
引用URL:https://kotobank.jp/image/dictionary/nipponica/media/81306024012741.jpg

2000年まで、GPSはSA(選択的利用性)機能により精度がわざとずれていたんですから!
図13 SA解除
図13 .png
引用URL:https://www.enri.go.jp/jp/research/organization/nav/library/images/gps_sa/gps_sa_img01.png

米国は2007年以降SAによるGPS精度悪化を行わない、と宣言しましたがど〜だかね?

最近は中国沿岸部のGPS精度が、けっこう悪くなっているとの話を聞きます。

3.2 中国のGPS妨害も留意した方がいい

2022年以降、中国福建省(台湾の対岸)を中心にGPS妨害が激しくなっているという分析があります。

図14 GPS妨害
図14 GPS妨害.jpg
引用URL:https://www.gpsworld.com/wp-content/uploads/2024/05/Fig41080x525-1024x498.jpg

南沙諸島の人工島には、GPS妨害機器と思われるものが設置されています。

ロシアのクラスハ4に相当する電子戦装備を、中国を保有している可能性も十分あります。

図15 中国陸軍電子戦機器(南沙諸島配備器材?)
図15 中国電子戦機器.jpg
引用URL:https://www.armadainternational.com/wp-content/uploads/2022/03/Chinese-EW-Drill-Peoples-Daily-696x464.jpg

今後も電子戦には、留意が必要でしょう!
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この記事へのコメント
ゆうゆうさま、コメントありがとうござます。

護衛艦すずつきの件は、あまりにもタイミングが悪すぎる時期に発生しています。
中国にフリーハンドの「外交カード」を与えてしまったと言えます。

空母遼寧接続水域通過や電子戦機Y-9領空侵犯も、意匠返しとして行われた可能性もあります。
エスカレーションラダーの、第一歩を日本が踏んでしまったとも言えます。

護衛艦さざなみの、台湾海峡通過で何とか踏みとどまって欲しいものです。

空母遼寧SAGと、中露連合洋上演習「北部連合」が小笠原沖などで対抗演習を行うかもしれません。
(第1・第2列島線の間)
もう一段階、何か状況が悪化すると思います。
Posted by 管理人 at 2024年09月27日 12:12
HMSさま、コメントありがとうございます。

船乗りとしての、初歩的な位置把握が出来ないレベルで航行していたのなら軍艦を運航する資格なしとして即時処断されても仕方ないと考えます。
同盟国相手にやらかしていたら、なおさら即時処断して国家の統制があることを示す必要があります。

今回の中国沿岸での行動は、無害通航権を主張するには厳しい部分があるのが事実です。
(沿岸国の安全を妨害しかねない行動は、無害通航権の対象外)

艦長・副長・各科長であれば、把握してい
なければならないはずの国際法の共通認識も怪しいかな?と思います。
(艦長が「中国領海内には入るな」と意図が提示されていたか?)

国際VHFで中国から警告が来たとき、「無害通航権!」と早とちりしてしまったのかも?
(幹部学校の国際法教育が周知されていないのかもしれません)
すずつきの件は、徹底的に解明して再教育を周知すべきですね。

すずつきも「騒がしい艦」として、全体的に練度不足になっていたのかもしれません。

ロラン航法で泣いて、掃海艇のデッカ航法のすごさに驚いた世代です!


Posted by 管理人 at 2024年09月27日 12:00
更新お疲れ様です。事故の件、どうして起きてしまったのか考えられる原因を知りたかったところでした。この事故を逆手に取られてますます挑発を受けたりしないのかなと感じました。過去には原潜の領海侵犯や護衛艦への火器管制レーダーの照射もありましたが、また再燃したりしないかなと思いました。
さざなみの航行は日本の意思を示しつつ大変緊張しただろうなと思います。
Posted by ゆうゆう at 2024年09月27日 06:19
管理人様、こんばんは。ちょっと問題提起の形になりますが・・・

事実上の三正面対応で許容量を超えた負荷がかかっていて、かつ実任務(警戒監視を含む)に追われて、純粋な意味での訓練(技能の習得・維持・向上)が十分かつ慢性的に出来ていないのが現状と理解しています。

だからと言って、自艦の位置をロストする、しかも哨戒長()
(CIC)や航海長(艦橋)を始めとする他の乗員が誰も気が付かなかった、というのは処分されても仕方ない様な初歩的かつ重大なミスで(=国家方針でないところで侵犯したのなら、それは不注意であれ故意であれ、「国家の軍事統制に従わない」という意味で処分の対象)、これは領海侵犯相手国がたとえ同盟国であったとしても(領海侵犯していなかったとしても)同じで良いでしょうか?

そうなると無害通航の問題は、当初報道が正しいとすれば主張できない可能性もあるので、今の時点では敢えて有耶無耶にしている可能性が考えられますが、その点はどうなのでしょうか(当初報道では、中国側海軍の演習の監視を行っていたとされていて、相手国から警告を受けた以上、これは純然たる無害通航なのか?という問題提起は一応可能ではあるため)?

@艦長の意図は徹底されたか?位置確認は報告されたか?

何度か乗艦(お仕事で)させていただきましたが、(CICはさすがに入ったことがないので)艦橋で見ているだけでも「騒がしい艦」だと上記がないんじゃないかしら?というのに遭遇したことがあります(頭数は揃っているのに意思疎通不足が操舵や機械の使い方、変針点などの指示で「言っているけど全く伝わっていない」状態)。


@ロラン・デッカ航法

 あらまぁ。自分と同世代で(苦笑)。
Posted by HMS at 2024年09月26日 22:09
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