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2020年02月19日

中国海軍052D型駆逐艦の厨房から見える技術思想!

『思わぬところから見える技術・建造思想!』
(2018年投稿記事です。)
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ひょんなことから、中国海軍052D型駆逐艦の厨房とする写真が出てきました。

調理用の厨房と聞くと、特に何も出てこなさそうな気がする方もいるかと思います。

しかしTECHINT(テキント)という、技術情報収集法には絶好の部分です。

今回公開された写真から見えてきた中国海軍の建造技術について研究!
(前回記事):『 海自艦艇装備幹部となるため横須賀の専門課程へ!
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(1)中国海軍052D型駆逐艦の厨房とされる写真が公開

中国のメディアに対して、中国海軍の新鋭052D型駆逐艦の厨房が公開されています。

図1 中国海軍052D型駆逐艦
052D.jpg
引用URL:http://japanese.china.org.cn/

その中で、3枚ほど厨房内とする写真が登場しています。
図2 厨房内で調理中
6a11841c.jpg
引用URL:http://japanese.china.org.cn/

一見すると何も目新しものがない単なる、艦内厨房写真のように思えます。

しかし、よく見るといくつもの技術的な部分での発見があります。

さらに過去に公表された中国海軍軍艦の写真と見比べて、建造技術や思想の変遷が推定できるのです。

これはTECHINT(テキント)と呼ばれる、公開写真から相手の技術レベルを推定する方法です。

ここで、いくつかの推定される事項が出てきます。

1.1 揚げ物フライヤーはアルミ鍋のガスコンロと推定

写真の中に、大型の中華鍋を利用した揚げ物フライヤーの写真がありました。

図3 揚げ物フライヤーでの調理
6a11841c.jpg
引用URL:http://japanese.china.org.cn/
鍋の材質から見て、アルミ製の鍋と思われます。

また全体的な油の状態から、高温が出せるガスコンロが使用されていると推定されます。

ここで『中国海軍は、ガスコンロで油を使って調理している(笑)』と、決めつけるは早計です。

フライヤーの周囲には、船体の動揺時に油が流れたときのためのスリットが見受けられます。

ある程度の船体動揺を考慮した設計が見て取れま、軍用の特注品の厨房機器でしょう。

また、鍋の上部に十分な空調空間が確保されています。
(ココ大事!)
炎が上がっても、ある程度耐えられるように設計されていることがうかがえます。

十分な空間設計と、ガスコンロを使用可能とした防炎対策がされていると推定されます。

1.2 厨房空間としては手狭過ぎる

公開された写真から、厨房の通路空間がやや手狭と感じ取りました。

図4 ケーキを作る調理員
be3e5f1f.jpg
引用URL:http://japanese.china.org.cn/

052D型駆逐艦の乗員は、推定280〜290名といわれています。

それほどの規模の駆逐艦なのに、今回公表された厨房写真では手狭過ぎることが見受けられます。

ケーキを作っているところから、士官室・司令部専用の厨房という推定もできます。

しかし、それにしては狭すぎる上に、調理器具が少なすぎます。

1.3 厨房の位置を示す大事な写真がある!

公開された写真の中に、注目すべき写真があります。

図5 4名で調理中の写真
e919d436.jpg
引用URL:http://japanese.china.org.cn/

一見何でもない写真ですが、厨房の位置を推定できる重要なものが映っています。

外につながるハッチと、船腹の縁および海・ハッチの穴と外壁が映っています。

これは、厨房の位置を推定するのに重要な情報です。
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(2)写真にあった052D駆逐艦の厨房位置を推定!

ここまでに出てきた情報から、052D型駆逐艦の厨房とされる位置が推定できます。

052D駆逐艦の厨房位置は、ここではないかと筆者は推測します。

図6 052D駆逐艦厨房の位置(赤丸の部分)
Inked052Dsuitei_LI.jpg

また過去に出てきた052B型駆逐艦の厨房写真と合わせて、推論が出てきます。

図7 052B駆逐艦の厨房
052B厨房.jpg
引用URL:https://i2.kknews.cc/SIG=1nbpvf0/9339/1879772087.jpg
2.1 厨房写真から推定できる、052D駆逐艦の技術情報について!
技術的結論から言うと、
・052D駆逐艦の厨房とされる写真は、乗員全員の食事を賄う区画ではない。
・揚げ物など、強い火力を使う料理をする区画を分離した。
・士官室専用ではなく、厨房区画をいくつかに分離
・艦橋構造物など、戦闘区画から厨房区画を分離して、被害極限設計を行っている。
・乗員全体用の厨房が、別にある可能性が高い。

思っている以上に、中国海軍の設計思想が変化しているようです。

艦隊防空を担う052D駆逐艦として、残存性を考慮してる技術設計思想がうかがえます。
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(3)思わぬ写真から、技術的情報が入手できる。

今回中国海軍052D駆逐艦の厨房写真から、厨房の位置など技術的情報が出てきました。

厨房機器ということで、秘密保全のレベルが低く考えていたのだと思います。

厨房機器など需品関係は軽視されがちですが、実は結構重要なものです。

厨房機器をどのように扱っているか?どこにあるか?どんな方法で加熱などをしているか?

この情報を突き詰めると、艦艇の火気使用の思想・防火対策・被害極限設計思想までわかります。

TECHINT(テキント)は、このような何気ない情報から技術的情報を引き出します。

このような情報収集というのも面白いですよ〜!
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posted by sstd7628 at 14:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 軍事技術
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