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レナード・コーエン名曲選Part 2(その3) 不定期更新でお届けしているレナード・コーエン(Leonard Cohen)の名曲選の続きです。前回(「タワー・オヴ・ソング」)と同じアルバムからの選曲になってしまうのですが、『アイム・ユア・マン』(旧邦題:『ロマンシェード』)に収録の「テイク・ディス・ワルツ(Take This Waltz)」というナンバーです。画質はさほどよくないのですが、まずは往時のライヴのテイクをご覧ください。 この曲の由来は少し変わっていて、『ジプシー歌集』などで知られるスペインの詩人・劇作家のフェデリコ・ガルシア・ロルカ(1898-1936年)のトリビュート盤に元々は収録されたものです。そんなわけで、曲のクレジットも、ガルシア・ロルカとレナード・コーエンになっています。 とまあ、上記のような曲の由来に触れたところで、この曲のPVをご覧ください。ガルシア・ロルカの肖像に始まり、グラナダ(ガルシア・ロルカの出身地)のアルハンブラ宮殿なども登場しているのですが、なるほどといった映像です。 [収録アルバム]Leonard Cohen / I’m Your Man(1988年) 【メール便送料無料】Leonard Cohen / I'm Your Man (輸入盤CD) (レナード・コーエン) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2019年02月28日
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デビューから3年で初の“1枚組”アルバム シカゴ(Chicago, 当初のバンド名はシカゴ・トランジット・オーソリティ)は1969年にデビューし、初のアルバムから3作連続で2枚組を発表し続けた(参考過去記事(1) ・(2) )。さらに、その後に出された4作目(ライヴ盤)にいたっては4枚組セットというヴォリュームであった。そのようなわけで、珍しい話ではあるが、5作目となった本盤『シカゴV(Chicago V)』はバンドにとって初めての記念すべき“1枚組”のアルバムであった。 1枚ものになったからといって、2枚分のネタがなかったというわけではない。そもそも曲を簡潔にしてアルバム1枚に収めようという意図をもって製作されたという。特徴としては、メンバーのうちロバート・ラムによる楽曲が多く、10曲中8曲(3.と10.以外)がラムの単独もしくは共作である。セールス的には大成功を収め、初の全米1位に9週間もとどまった。また、先行シングルとしてリリースされた7.「サタデイ・イン・ザ・パーク」も3位のヒットを記録した。 アルバム全体の音としては、いくぶん洗練と落ち着きが見られるように思う。とはいっても、ブラスを効果的に用いた激しさや意外性、当時のアメリカ社会の不安や政治的な内容を含めた彼らの発信力は決して引っ込んでしまったわけではない。前者の音の面では、6.「街が眠りについて」なんかが個人的にとても気に入っているのだけれど、以下では、後者の政治性の部分について、簡潔にクローズアップしておきたい。 上記シングルの7.の詞の内容も、7月4日のアメリカ独立記念日の光景を切り取ったものである。他に注目したい曲としては、パートIとIIの二部構成になっている4.と5.の「ダイアログ」。表題通り、テリー・キャスとピーター・セテラによる、急進派学生と楽観主義的な学生の間の“対話”というスタイルになっていて、このナンバーもシングル化された。また、8.「俺達のアメリカ(ステイト・オブ・ザ・ユニオン)」も多分に政治的で、暗闇から聞こえる“体制なんかぶち壊せ”の声というのも、社会の不安の一面がうまく切り取られている。[収録曲]1. A Hit by Varèse2. All Is Well3. Now That You've Gone4. Dialogue (Part I)5. Dialogue (Part II)6. While the City Sleeps7. Saturday in the Park8. State of the Union9. Goodbye10. Alma Mater1972年リリース。 【メール便送料無料】Chicago / Chicago V (輸入盤CD)(シカゴ) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓
2019年02月26日
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変身を遂げた“ロマンセ集”の第二弾 アイドル歌手がシンガーへと成長する――そんなステップを踏んでいくケースは国を問わずよくある話かもしれないが、メキシコで活躍するルイス・ミゲル(Luis Miguel)の場合、ロマンセ/ボレロ作品を手掛けたことで文字通り“大化け”したと言っていいように思う。1991年に『ロマンセ』をリリースし、大成功を収めたのち、他の作品をはさみながらおよそ3年後に届けられたのが、『ロマンセ』の第二弾に当たる『セグンド・ロマンセ(Segundo Romance)』だった。通算10枚目となるこのアルバムは、前作と同様に好意的な評価を受け、中南米各国のみならず、アメリカ合衆国やスペインでもセールスを上げ、前作の成功をさらに推し進めることになった。 実を言うと、ルイス・ミゲルの一連のロマンセ・アルバムのうち、筆者にとって最もリアルタイムでよく聴いたのが本盤だったので、個人的な思い入れも強い。1930年代からの様々なボレロ曲を取り上げているが、アルバムとしての作り方もなかなか工夫がなされているように思う。その理由はというと、始めから飛ばすのではなく、徐々に盛り上げていく展開にある。1.「想いのとどく日(エル・ディア・ケ・メ・キエラス)」は比較的静かに始まり、2.「あなたなしでは(シン・ティ)」、3.「恋人どうし(ソモス・ノビオス)」へと盛り上げていく。前半の最大の聴きどころは、アルマンド・マンサネーロ作の2.「あなたなしでは(シン・ティ)」、さらには定番の5.「ソラメンテ・ウナ・ベス」と言えそう。 さらに出色は、7.「ある恋の物語(イストリア・デ・ウン・アモール)」。数多くのアーティストが解釈しているナンバーだけれど、筆者にとっては、当時も今もこのミゲルのヴァージョンがベストという感想を持っている。アルバムの作り方(あるいは売り出し方)がよかったというのは事実だろう。けれども、結局のところ、最終的な評価はルイス・ミゲル自身の歌の解釈力で決まったという気がする。冒頭で述べたように、アイドルからシンガーへというのは時々起こるパターンであるにせよ、ルイス・ミゲルのこの成功は、第二弾でその評価を完全に確定させる(ダメ押しができた)という点でやっぱりすごかったように思う。[収録曲]1. El día que me quieras(想いのとどく日)2. Sin ti(あなたなしでは)3. Somos novios(恋人どうし)4. La media vuelta5. Solamente una vez6. Todo y nada7. Historia de un amor(ある恋の物語)8. Cómo yo te amé9. Nosotros(私たち)10. Yo sé qué volverás11. Delirio1994年リリース。 輸入盤 LUIS MIGUEL / SEGUNDO ROMANCE [CD] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓
2019年02月24日
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2019年02月23日
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2017年発表のロック・ウルバーノ作 これまでメキシコ都市部を中心に根づいている“ロック・ウルバーノ(アーバン・ロック)”のアーティストを何組か取り上げてきたが、今回のジャント・ウルバーノ(Llanto Urbano)もその1つである。そもそもバンド名自体に“ウルバーノ”という語が含まれているが、このバンド名は“都会の嘆き”といった意味合い。 本バンドの詳細は情報もなくて不明なのだけれど、写真から判断する限り、20代後半~30歳代ぐらいと思しき男性4人組。この分野のアルバム制作を手掛けているデンバー・レーベルからデビュー作として2017年にリリースされたのが、本盤『ウナ・ロサ・パラ・ウン・パンテオン(Una rosa para un panteón)』ということのようである。アルバムのジャケットの写真には、墓地と1輪のバラを手にした女性が映り込んでいるが、“墓地に1輪のバラを”という意味のこのアルバム表題に沿ったものになっている。 メンバーは、作詞作曲を担当しているヘラルド・コルテス・アルバラード(ヴォーカル、ギター)に加え、エリック・アントニオ・サマリパ(ギター)、エステバン・ケオエ・イニゲス(ベース)、ホセ・ウバルド・バレンシア・ゴンサレス(ドラムス)。全体のサウンドとしては、同ジャンルの他のバンドに比べ、ディストーションのかかったリズム・ギターが強めで、ベースとドラムも意図的に音圧を高めて激しさを演出しようとしているように見える。その一方で、曲調や詞はロック・ウルバーノの王道を行っているという印象を受ける。 全11曲が収められていて、やや一本調子な気もしないではないが、注目したい曲をいくつか挙げてみたい。1.「ウナ・ロサ・パラ・ウン・パンテオン(墓地に1輪のバラを)」は、アルバム表題曲にもなっているだけあって、展開が工夫されていてキャッチ―な部分も巧く組み込まれている。4.「ミ・セレナータ(我がセレナーデ)」、6.「スエニョス(夢)」、10.「ビダ・インフスタ(不公平な人生)」あたりは、ロック・ウルバーノの王道を行くといった感じで、アラガンやリラン・ロール(参考過去記事)を彷彿とさせる。また、7.「ウン・ジャント・マス」や8.「ウナ・ノタ・マス」はこのバンドのハードな方向に向いた音作りが生かされているようにも思う。いかにもローカルなシーンで演奏をしているバンドだが、このアルバムの出来だと次もあるかもしれない。密かな“ロック・ウルバーノ”ファン(苦笑)の筆者としては、細々と動向を追っておこうと思っていたりする。[収録曲]1. Una rosa para un panteón2. Borracho3. La secundaria4. Mi serenata5. Mis problemas6. Sueños7. Un llanto más8. Una nota mas9. Vagabundo10. Vida injusta11. Volver a empezar2017年リリース。 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2019年02月22日
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レナード・コーエン名曲選Part 2(その2) 不定期更新と言いながら連続しますが、レナード・コーエン(Leonard Cohen)の名曲選PART 2の第2弾です。今回は1980年代のアルバムに収められたナンバーです。1988年発表の『アイム・ユア・マン』(旧邦題:『ロマンシェード』)に収録された「タワー・オブ・ソング(Tower of Song)」です。 よく言われるように、この人は歌っているのか詩を詠んでいるだけなのかよくわからないわけですが、確かにバックのコーラスや控えめな演奏がなかったら、歌っているようには聞こえないかもしれません。とはいえ、筆者的には何とも中毒性のあるお気に入り曲だったりします。 もう1本は、少し変わったものをご覧いただこうと思います。コーエン自身の歌は相変わらずなのですが、バックの演奏がなるほどな感じの、U2との共演です。 ちなみに、この曲のタイトルは、1990年代に出されたコーエンのトリビュート盤のタイトル(『タワー・オブ・ソング~レナード・コーエンの唄(Tower of Song: Songs of Leonard Cohen)』)にもなりました。ビリー・ジョエル、エルトン・ジョン、スティング、ピーター・ガブリエルなど超豪華なメンバーによるカバー盤ですが、恐れ多かったのか(笑)、同盤ではだれもこの曲をカバーしていません。さらに余談ながら、収録アルバムのタイトル兼表題曲も、別のトリビュート盤のタイトルになっていました。[収録アルバム]Leonard Cohen / I’m Your Man(1988年) 【メール便送料無料】Leonard Cohen / I'm Your Man (輸入盤CD) (レナード・コーエン)下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2019年02月20日
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レナード・コーエン名曲選Part 2(その1) レナード・コーエン(Leonard Cohen)は、1934年生まれで2016年に亡くなった詩人でありシンガー。3年前の逝去の際にいくつも曲を取り上げましたが、今回はコーエン名曲選の続き(パート2)として、5回を目処に、不定期更新で彼のナンバーを取り上げてみたいと思います。 でもって第1回目は、シンガーとしてのデビュー(1967年)からさほど時がたっていない時期のナンバーです。初期の作品の中でも個人的には繰り返し聴いた回数がダントツNo. 1なのは、『ひとり、部屋に歌う』(旧邦題:『現代の吟遊詩人レナード・コーエン』)というアルバムです。このセカンド作の中に収録されたお気に入りナンバーの一つ、「真夜中の貴婦人(Lady Midnight)」をお聴きください。 もう1本、往時のライヴでの演奏もお聴きください。1970年、ワイト島でのライヴのテイクです。 [収録アルバム]Leonard Cohen / Songs From A Room(1969年) ひとり、部屋に歌う/レナード・コーエン[CD]【返品種別A】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2019年02月19日
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熟女2人が挑んだ異色作 グロリア・トレビ(Gloria Trevi)とアレハンドラ・グスマン(Alejandra Guzmán)はともに1968年2月生まれで同い年のメキシコの女性シンガー。いずれも1990年代に歌手として人気を獲得した。その後、それぞれに違った長い道のり(特にグロリア・トレビの方は国際指名手配までされて刑務所のお世話になったほかゴシップな話題が満載だった)を経て、現在ではアラフィフ世代である。トレビにとって11枚目、グスマンにとって15枚目のアルバムで、2人の共演アルバムとなったのが2017年発表の『ベルスス(Versus)』であった。 熟女シンガー2人の共演がどの程度リスナー受けするのかと懐疑的に見ていたのだけれど、派手なプロモーションにつられて筆者も購入してしまった(笑)。アルバムの内容はというと、年齢を感じさせない(とはいえ歌唱力は若い頃よりもはるかに進化している)勢いのある演奏と歌唱である。目玉といえそうなのは、シングルにもなった1.「マス・ブエナ」と2.「クアンド・ウン・オンブレ・テ・エナモラ(男があなたを愛するとき)」。いずれもメキシカン・ポップの王道を行くような曲調と2人の熱いヴォーカルが印象的。他には過去のヒット曲を織り込んだり、4.「サティスフェチャ」では、ローリング・ストーンズの「サティスファクション((I Can't Get No) Satisfaction)」をスペイン語カバーしたりしている。 本盤の発表にあわせ、2人は“ベルスス・ツアー”を敢行した。リリース直前にロサンゼルスで幕を開け、リリース日にはメキシコシティで、ライヴを行っている。2017年6月から翌18年4月までのツアーは、米国50ヵ所、メキシコ15か所のほか、カナダ、ペルー、エクアドル、プエルトリコも回った。11か月で67公演をこなし、53万人以上を動員するものとなった。このツアーの模様もアルバム化されているが筆者は今のところ未聴である。35曲入りのヴォリュームということで、聴きごたえあるものだろうから、そのうちこちらも入手できれば聴いてみたいと思っている。[収録曲]1. Más buena2. Cuando un hombre te enamora3. Rivales4. Satisfecha5. Hey, güera & La papa sin catsup6. Soy tuya7. Todos me miran8. Esta sí va para ti9. Eternamente bella10. Más buena (remix)2017年リリース。↓それぞれのベスト盤です(本記事の盤ではありません)↓ 輸入盤 ALEJANDRA GUZMAN / 12 FAVORITAS [CD] 【メール便送料無料】GLORIA TREVI / ROCK DEL MILENIO (輸入盤CD) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 “ぽち”応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2019年02月17日
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NYの6つの顔 ドン・フリードマン(Don Friedman)は、1935年サンフランシスコ生まれのピアニストで、2016年に81歳で亡くなっている。彼は、1958年にニューヨークへ移り住み、1960年代になるとリーダー名義の録音を残していく。その中でも名盤として有名なのが『サークル・ワルツ』であるが、同盤と併せて忘れてはならないと思うのが、その前年(1961年)に吹き込まれた最初の作品にあたる『ア・デイ・イン・ザ・シティ(A Day in the City:Six Jazz Variations on a Theme)』という盤である。 アルバムのジャケット写真、6つの“ヴァリエーション”の表題からもわかるように、ニューヨークという街の1日の6つの時間帯を主題にした演奏で、1.「夜明け」から6.「夜」まで、途中に3.「ラッシュ・アワー」があるのも大都会らしいといえばそうなのかもしれない。一方、これらの“ヴァリエーション”が生まれたのは、プライベート・レッスンで曲作りの練習のために古い民謡(「ザ・ミニストレル・ボーイ」)を展開させたことに端を発するという。 ドン・フリードマンのピアノは、しばしばビル・エヴァンスが引き合いに出される。確かに、知的で繊細なタッチといった点では重なり合うのかもしれないし、スコット・ラファロとの関係(もともとこのベース奏者はフリードマンと演奏していた)なんかからもその連想がなされるのだろう。けれども、見事なテクニックに基づいたパッショネートなプレイと硬質なピアノの音色、空間をイメージさせる音の組み立てといった要素は“エヴァンス派”で括ってしまっては掴みにくい要素になるのではないかと思う。 編成はピアノトリオであるが、特にチャック・イスラエルスのベースおよび彼とフリードマンの掛け合いや絶妙の間が心地よいという場面が多く見られる(このベース奏者は次の『サークル・ワルツ』にも名を連ねている)。1961年という録音時期を考えながら、21世紀の現在にこの作品を聴くと、ドン・フリードマンがかなり“モダン”だったことがわかるように思う。ここ20年ほどの間にいろんなピアノトリオが実践してきた感性を、実は先取りしていたところが多分にあったんじゃないかという気さえする。[収録曲]1. Dawn2. Midday3. Rush Hour4. Sunset5. Early Evening6. Night[パーソネル、録音]Don Friedman (p), Chuck Israels (b), Joe Hunt (ds)1961年6月12日録音。 【輸入盤】Day In The City-six Jazz / Variations On A Theme And Circle Walt [ Don Friedman ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2019年02月15日
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完成度の高さが際立つトランぺッターの推奨盤 ルイ・スミス(Louis Smith)は1931年テネシー出身で、2016年に85歳で没していて、ブッカー・リトルのいとこにあたるトランペット奏者である。1990年代以降に10枚ほどのリーダー作は残しているものの、教師を本業としたこともあって、それ以前の作品数は少なく、1950年代に2枚、1970年代に2枚のリーダー盤を吹き込んでいるに過ぎない。 1950年代に吹き込まれた2枚とは、『ヒア・カムズ・ルイ・スミス』と、今回取り上げる『スミスヴィル(Smithville)』で、いずれもブルーノートからリリースされた。とはいえ、前者は厳密にはブルーノートで制作された作品ではない。トランジションというレーベルの音源をアルフレド・ライオンが買い取ってリリースされたものだった。そのようなわけで、真の意味でルイ・スミスのブルーノート盤はというと、後者の『スミスヴィル』だけしかないということになる(ただし、非リーダー作としては、ケニー・バレルの『ブルー・ライツ(Vol. 1 & Vol. 2)』などにも参加している)。 『ヒア・カムズ~』の完成度も高いが、本盤『スミスヴィル』はさらに輪をかけて完成度の高さが印象的である。サックスはチャーリー・ラウズで、2.「ウェトゥ」や5.「レイター」に見られるように、スミスのトランペットとの絡みは、なかなか迫力がある。こうしたナンバーにおいても、もう少し落ち着いた曲調の演奏においても、完成度の高さの大きな要因は他のメンバー抜きには成立しなかっただろう。前作にも参加したアート・テイラー(ドラム)に加え、ソニー・クラーク(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)という鉄壁のリズム隊がこの演奏を支えている。 ちなみに、筆者の好みを言うなら、ナンバー1は表題曲の1.「スミスヴィル」。味のある、あるいはカッコいい演奏を一つ決めて“さあどうだ”という演奏も悪くはないけれど、10分以上もびしっと決め続けられると、聴き手としてはそのまま惹き込まれていくしかない。滋味豊かなトランペットに全体としての見事な演奏ということなのだけど、“見事”なんていうのもおこがましい気がしてしまう。そして、目を閉じてじっと集中すると、このトランペットの抜け具合が実に心地よかったりする。[収録曲]1. Smithville2. Wetu3. Embraceable You4. There Will Never Be Another You5. Later[パーソネル・録音]Louis Smith (tp), Charlie Rouse (ts), Sonny Clark (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)1958年3月30日録音。Blue Note 1594 ↓本文中で触れた2枚のカップリングです↓ 【輸入盤】Legendary 1957-59 Studio Sessions (2CD) [ Louis Smith ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓
2019年02月13日
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ローカル・バンドの洗練と円熟 リラン・ロール(Liran’ Roll)というバンドは、メキシコ人以外にはあまり知られていない(とはいえ、メキシコではあちらこちらで本当によく耳にするのも事実な)ローカル・バンドである。1990年代初頭にシーンに登場し、デンバー(Discos y Cintas Denver)というマイナー・レーベルから作品を発表し続けてきた。現在も活動はしているようで、2017年には活動25周年を祝してライヴなども行われているのだけれど、アルバム・リリースは止まっているようで、おそらくこの2011年の『シギエンド・ラ・リネア(Siguiendo la línea)』が現時点としては最後に出たオリジナル・アルバムと思われる(ただしシングルやライヴ盤のリリースは行われている)。 元々はブルース・ロックに根ざしたメキシコのローカルなロック・バンドで、自国語で歌う自国製ロックの定着に貢献したバンドである。2000年代に入る辺りから次第に洗練されていき、単なる抒情性やスペイン語で歌っているということだけでなく、音楽的にも貫禄が徐々に出てきた。その最終形がかなりまとまった形で示されているのが、本盤といってもいいように思う。 洗練されようが、はたまた円熟に差し掛かろうが、おそらくは意図的に、このバンドはローカルであり続けようとしているように見える。本盤では1.「ネサ」がその最たるものだろう。表題の“ネサ”というのは、メキシコシティに隣接する貧困地区の名前である。10.「ポエタ・ウルバーノ(都会の詩人)」というのもそうで、“都会”と聞いてパリやニューヨークはたまた東京を想像してはいけない。近代化も“第三世界”もごった煮になったメキシコシティを思い浮かべなければならないのだ。何と言っても詞に出てくるのは、ロック・スターを夢見て朝から地下鉄の車両に乗り込んで弾き語りを長年やり続けている、夢破れた“詩人”なのだから。 とはいえ、上述の通り、全体としての音作りが精緻化しているのも明らかである。それがよくわかる例としては、4.「ノ・ラ・アガス・デ・ア・ペド」や6.「ラ・バタージャ」なんかが挙げられ、彼らの演奏の質の高さがもはや他のロック・ウルバーノのバンドの比ではないことがわかる。また、随所にゲスト陣も迎え入れられており、目を引くところでは、7.「エス・ディフィシル」ではコロンビア人女性シンガーのルアナ・リベロス(Luhana Riveros)が参加している。さらに、注目したいのは、ラスト曲の11.「シン・トゥ・ラティド」。スペイン人シンガーソングライターのルイス・エドゥアルド・アウテ(Luis Eduardo Aute)のナンバーで、こういう曲をロック・ウルバーノでできるというのも、新境地というか間口の広さと余裕を感じさせる。そんなこんなすべて合わせて考えると、本盤はやはり彼らの“最終形”と言える気がする。個人的には、初めてリラン・ロールを聴くという人がいたら、ぜひこの盤を勧めたいと思う。[収録曲]1. Neza2. Nunca pensé3. Fúgate conmigo4. No la hagas de a pedo5. El grito6. La batalla7. Es difícil8. Es para siempre9. Escándalo10. Poeta urbano11. Sin tu latido2011年リリース。 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓
2019年02月12日
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事を追加するのに加え、ページ内に収まらなくなってきたものがあるため、少し手入れをしてページ数を増やしました。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-B)へ → つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-L)へ → つづき(M-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたい です)をクリックお願いします! ↓ ↓ にほんブログ村 : 人気ブログランキング:
2019年02月11日
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70年代ロック&ポップス名曲選~Part 6(その10) 1970年代の名曲選を続けてきましたが、今回の10回目で一区切りとなります。最後は、ポリス(The Police)の代表曲の一つを取り上げて締めくくることにしたいと思います。 ポリスは、スティング、スチュワート・コープランド、アンディ・サマーズの3人組(最初期には若干の異動あり)ですが、活動期間は今から思えば意外と短く、ちょうど70年代末から80年代初めにかけての比較的短い年数の間にヒットを連発しました。今回は70年代の名曲集というわけですので、1979年のナンバーをピックアップします。このグループとしては初の全英1位となった「孤独のメッセージ(Message in a Bottle)」です。 他の2人ももちろんそうなのですが、特にスティングの見た目が若いですね(40年も前なら当たり前と言われそうですが)。そのスティングは現在(2019年初頭)、67歳。還暦を超えて以降も老け込むどころかますます元気なようで、順調にアルバムも制作しています(個人的には、一昨年の『57th & 9th』が最近のお気に入りの一つだったりします)。そんなわけで、最後は比較的最近のものから、2017年、パリのオランピア劇場でのライヴの様子をどうぞ。 [収録アルバム]The Police / Reggatta de Blanc(白いレガッタ)(1979年) 白いレガッタ/ポリス[SHM-CD]【返品種別A】 Police ポリス / Outlandos D'amour / Regatta De Blanc 輸入盤 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2019年02月08日
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70年代ロック&ポップス名曲選~Part 6(その9) ビートルズや元ビートルの楽曲はこのブログでは登場頻度が低いのですが、決して好きではないからというのが理由なわけではありません。いつかビートルズを全アルバム(あるいは全曲?)レビューするという野望を夢想しつつ、特にビートルズの楽曲についてはなかなか取り上げられないでいる次第です。 それはさておき、1970年代にフォーカスしている今回は、ジョン・レノン(John Lennon)のナンバーを1つピックアップしたいと思います。1973年のアルバム『ヌートピア宣言』(旧邦題はこうなっていましたが、原題は『マインド・ゲームス』)の表題曲、「マインド・ゲームス(Mind Games)」です。 “心の遊び(ゲーム)”とは、何ともわかりづらい感じで、これが収められたアルバム自体もジョンの作品の中では落ち着いた、やや地味な盤なのですが、この曲は、「イマジン」でも広く知られる愛と平和に対する姿勢を歌ったものです。後に本人が語っているところでは、元のタイトルは「メイク・ラヴ・ノット・ウォー」だったとのことで、結局それはボツにして詞を書き換えてこの曲になったんだそうです。 最後に、この曲のカバーを1つ、ご覧いただきたいと思います。毎年開催されているジョン・レノンの記念ライヴのうち、2017年のものからの映像です。パティ・スミス(Patti Smith)が歌う「マインド・ゲームス」をどうぞ。 [収録アルバム]John Lennon / Mind Games(ヌートピア宣言)(1973年) 【メール便送料無料】ジョン・レノン / マインド・ゲームス(ヌートピア宣言)[CD][初回出荷限定盤(初回限定盤)] 【輸入盤】Mind Games (Digi)(Rmt) [ John Lennon ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2019年02月07日
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70年代ロック&ポップス名曲選~Part 6(その8) ニール・ヤング(Neil Young)絡みが続きます。スーパーグループとして一世を風靡したCSN&Y(デヴィッド・クロスビー、スティーヴン・スティルス、グラハム・ナッシュ、ニール・ヤング)ですが、彼らのいいところは、“ついたり離れたり”という不思議な距離感にあると思います。それぞれがそれぞれに活動(問題を起こして音楽から遠ざかったケースもありましたが)し、時にリユニオンをする。何とも不思議な距離感を感じることがあります。 さて、今回はそのうちのニール・ヤングがスティーヴン・スティルスと組んだ1976年作『太陽への旅路(ロング・メイ・ユー・ラン)』の表題曲です。まずは、元のヴァージョンをお聴きください。 続いては、後世にCSN&Yとして演奏しているものです。上で述べた“つかず離れず”のような関係、お互いに演奏を楽しんでいるといったこの雰囲気を見ると、個人的には何だかほっとする気がします。 今回は蛇足ながらもう一つ。ニール・ヤングと所縁のあるニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)が2010年にニールの楽曲カバー集を出しています。残念ながらジャケ写だけで映像は動きませんが、その中に収められた「太陽への旅路」です。 [収録アルバム]The Stills-Young Band / Long May You Run(1976年) 【輸入盤】Long May You Run [ Neil Young / Stephen Stills ] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2019年02月04日
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70年代ロック&ポップス名曲選~Part 6(その7) 70年代名曲集の第7回目、今回はダニー・ウィットン(Danny Whitten)によるナンバーです。ダニー・ウィットンと言えば、ニール・ヤングとも縁の深いクレージー・ホース(Crazy Horse)のメンバーだった人物ですが、このバンドのセルフタイトル盤(1971年の『クレイジー・ホース』、正し邦題は『ファースト・アルバム』)に収録された「もう話したくない(I Don't Want To Talk About It)」という曲をお聴きください。 お聴きになってお分かりのように、この曲は後に様々なアーティストによってカバーされることになった有名曲です。よく知られているのは、ロッド・スチュワート(Rod Stewart)によるものです。そんなわけで、ロッドのカバー・バージョンもどうぞ。 このロッドのバージョンは、1975年のアルバム(『アトランティック・クロッシング』)に収録され、1977年に「ザ・ファースト・カット・イズ・ザ・ディーペスト」との両A面シングルとしてヒットしました(全英1位)。けれども、その時には作曲者のダニー・ウィットンは既にこの世にはいませんでした。上述のクレイジー・ホースのアルバムが出た翌年、ドラッグ中毒に侵されていた彼は帰らぬ人となっていました。 また、ニール・ヤングが彼を追悼して『今宵その夜』を1973年に録音(リリースは1975年)したこともよく知られています。実は個人的な事情を言うと、昨年発表されたニールのアーカイヴ音源(『ロキシー:トゥナイツ・ザ・ナイト・ライヴ』)を聴いていて、いろいろと思い出しつつ、この曲を取り上げるにいたった次第だったりします。[収録アルバム]Crazy Horse / Crazy Horse(1971年)Rod Stewart / Atlantic Crossing(1975年) 【中古】 ファースト・アルバム /クレイジー・ホース 【中古】afb アトランティック・クロッシング [ ロッド・スチュワート ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2019年02月03日
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70年代ロック&ポップス名曲選~Part 6(その6) シカゴ(Chicago)は、1969年にレコード・デビューした後、1970年代、1980年代と時代が進む中でスタイルを変えていき、政治的なテーマを多く取り上げるブラス・ロック・バンドからラヴ・バラードをたびたびヒットさせるバンドへと移り変わっていきました。 今回は比較的初期のシングルヒット曲、「サタデイ・イン・ザ・パーク(Saturday in the Park)」です。1972年発表の5thアルバム、『シカゴⅤ』の先行シングルとして発売され、当時のこのバンド史上としては最大のヒット(ビルボード3位)となりました。 “土曜日の公園”という表題からしてのどかな光景を連想する人もいるかもしれませんが、シカゴ初期の政治的なカラーはこの曲にも反映されています。7月4日(アメリカ独立記念日)の“土曜日の公園”の景色を歌っていて、“世界を変えるべく”ギターを弾き歌っている人物が登場したり、“望めば手に入る、その日が”という詞も当時の彼らの曲らしい(ロバート・ラム作)と言えるかもしれません。 最後に、当時の動いている映像もご覧ください。この「サタデイ・イン・ザ・パーク」と「一体現実を把握している者はいるだろうか(Does Anybody Really Know What Time It Is?)」の連続したビデオ映像です。 [収録アルバム]Chicago / Chicago V(1972年) 【メール便送料無料】Chicago / Chicago V (輸入盤CD)(シカゴ) 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2019年02月02日
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70年代ロック&ポップス名曲選~Part 6(その5) 続いては、リンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt)です。1960年代から活動を行い、1970年のソロ・デビュー後は、1970年代を中心に多くのヒット曲を世に送り出しました。今回は、1977年発表の8thアルバムに収められた「イッツ・ソー・イージー」をご覧いただきます。同アルバムからのシングルですが、同じくシングルの「ブルー・バイユー」とともにビルボードで5位以内にこれら2曲ともがランクインという記録を残しています。 1950年代末のバディー・ホリー(クリケッツ)のナンバーのリメイクですが、リンダ・ロンシュタットの歌唱力が生かされた選曲だったのではないかと思います。映像をもう一つリンクしておきます。往年のライヴでの歌唱シーンもご覧ください。 1990年代から闘病し、2011年頃には彼女は引退してしまったことが明らかになりました。また、2013年にはパーキンソン病であると公表されていますが、今はどうされているのか(現在、70歳代前半のはず)、気になるところです。[収録アルバム]Linda Ronstadt / Simple Dreams(夢はひとつだけ)(1977年) SIMPLE DREAMS 40TH ANNIVERSARY EDITION【輸入盤】▼/LINDA RONSTADT[CD]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2019年02月01日
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