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2024.11.30
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』という本を、待つこと7ヵ月ほどでゲットしたのです。
我が町にもカレー移民「インネパ」が数軒あるので、日本全土なら数千軒あるだろうことは・・・考えられるわけで、興味深いのだ。


【カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」】

室橋 裕和著、集英社、2024年刊

<「BOOK」データベース>より
いまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか?どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか?「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか…その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。おいしさのなかの真実に迫るノンフィクション。

<読む前の大使寸評>
我が町にもカレー移民「インネパ」が数軒あるので、日本全土なら数千軒あるだろうことは・・・考えられるわけで、興味深いのだ。
<図書館予約:(4/27予約、副本1、予約48)>

rakuten カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」


第2章『「インネパ」の原型をつくったインド人たち』でカレーの歴史が語られているので、見てみましょう。
p41~44
<インド独立運動が日本にカレーをもたらした>
 そもそも日本にカレーを中心としたインド料理が持ち込まれたのは、幕末から明治初頭にかけてのことといわれる。インドからの直輸入ではなく、イギリス経由だったことは有名な話だ。
 インドを植民地支配していたイギリス人は、現地の人々が食べていた「スパイスを使った野菜や肉の炒め煮」に着目した。その料理には実にさまざまなバリエーションがあったのだが、南インド・タミル語の「kari」(ソースの意)から「カレー」とざっくり総称し、母国に持ち込んだのだ。18世紀後半のことといわれる。

 そしてイギリスのみならずヨーロッパ各地で人気のメニューになっていく。その過程でヨーロッパ人の好みに合わせてアレンジされていったほか、カレー粉が世界で初めて開発された。いろいろなスパイスがミックスされたカレー粉に小麦粉を加えてとろみのあるルーに仕立て、肉や野菜を煮込んでいく。これをごはんにかけて食べる「カレーライス」が、イギリスの家庭に普及していった。

 日本にまずやってきたのは、このイギリスタイプのカレーだった。1859年(安政6年)とも1868年(明治元年)ともいわれるが、いずれにせよ鎖国体制が崩れて開港した横浜に、イギリス人が持ち込んだようだ。だから当時の日本人は、カレーをインド料理ではなく西洋料理のひとつと捉えていたらしい。

 やがて日本でもだんだんとカレーが広まっていくが、もともと米食がさかんだという背景も大きかった。お茶漬けや、味噌汁をごはんと合わせる「汁かけ飯」をよく食べる日本人にとって、ごはんにルーをかけるスタイルは受け入れやすかったのだ。明治から大正時代にかけて、「ライスカレー」という言葉も定着していった。

 国産のカレー粉が登場したり、軍退食として採用されるなど、イギリススタイルのカレーは日本人の食文化に溶け込んでいったが、昭和に入ると本場インドスタイルのカレーも上陸する。

 きかけはインドの独立運動だった。イギリス支配に抵抗すべく活動を続けていた志士のひとりラス・ビハリ・ボースは、そのため植民地政府から追われる身となり、1915年(大正4年)に日本へと亡命する。しかし当時は強固な日英同盟があった時代だ。イギリスからの要求を受けた日本政府はボースに国外退去命令を下すが、彼を保護しようとする人々がいた。欧米列強のアジア支配に反発する「アジア主義者」たちだった。

 これはのちの「大東亜共栄圏」にもつながっていく運動だが、その中心人物でもある遠山満や犬養毅らによって、ボースはかくまわれた。場所はパン屋として人気を博していた「新宿中村屋」のアトリエだった。遠山と中村屋創業者の相馬愛蔵・国光夫妻の間に、親交があったからだ。

 やがて夫妻の長女・俊子と結婚したボースは、中村屋が喫茶部(レストラン)をオープンするとき、カレーをメニューに加えることを提案。それはカレー粉ではなくスパイスをふんだんに使い、小麦粉は加えず、骨付きのチキンがよく煮込まれた、まさにインドのカレーだった。なおいまも中村屋では往時から受け継がれてきた「純印度式カリー」が看板メニューとなっている。

 さらに戦後になると、日本初の「インド料理専門店」が開業する。立役者となったのはやはり独立運動に携わっていたA・M・ナイル氏だ。日本に留学後、ボースとともに活動を続けていたが、終戦を経てインドが独立を勝ち取ってからは実業家に転身。1949年(昭和24年)、銀座に「ナイルレストラン」をオープンする。現在は3代目のナイル善己氏が運営する人気店だ。

 そしてもうひとり、忘れてならない存在がL・R・ミグラニ氏だろう。やはり戦前の日本に暮らし、国外からインド独立運動に身を捧げた志士なんである。
「祖父はロイター通信や、東京放送局(NHKの前身)などのメディアで活動するジャーナリストだったんです」
 と語るのは、ミグラニ氏の孫であるシャンカール・ノグチさん。ミグラニ氏が、ナイル氏やボース氏たちとともに写った、貴重な写真を見せてくれながら話す。
「みんなフリーダム・ファイターでした」


『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』1 :ネパール人はなぜ日本でカレー屋を開くのか





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Last updated  2024.11.30 00:09:02
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