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図書館で三谷幸喜×清水ミチコ著『むかつく二人』という本を手にしたのです。達人の域に達したお二人であるが、むかつくような本音トークが見られるかも・・・・ええやんけ♪【むかつく二人】三谷幸喜×清水ミチコ著、幻冬舎、2007年刊<「BOOK」データベース>より映画、舞台、テレビの話題から、カラオケ、グルメに内輪の話まで。丑年蟹座の脚本家と、子年水瓶座のタレントの丁々発止、縦横無尽な会話に笑いが止まらない。<読む前の大使寸評>達人の域に達したお二人であるが、むかつくような本音トークが見られるかも・・・・ええやんけ♪なお、この本は2005年4月~11月放送分を加筆再構成して作られたとのこと。amazonむかつく二人お二人の交遊関係あたりを見てみましょう。p39~31清水:ま、今回は三谷さんに譲ってもいいんです。だって今回はですね、私の『これ誰!?』っていう顔マネの文庫本が出たんです。三谷:で、僕にお礼を言いたい?清水:はい。そうです。本の中に、三谷さんとの対談も掲載されているんですよね。三谷:あの、単行本の時に対談したやつですよね。清水:さようでございます。三谷:文庫でも使い回しですか。清水:文庫化されるっていうことは、そういうことなんですよ。あれ、本出したことないんだっけ。三谷:あります。あります。清水:たったの720円で、全国発売されまして。文庫なのに新ネタも満載なんです。三谷:じゃ、対談はともかくネタは文庫用に新しく撮り下ろし?清水:もう大幅に加えました。女子十二楽坊とかね。三谷:時代に合わせていかないと売れないですから。清水:っていうか、私の気持ちとしてね。そういうタイプなんですよ。仲間由紀恵、女子十二楽坊、高橋克典、中島香里、そしてオノ・ヨーコなどなど。こういうのが入っています。三谷:単行本の時に話したと思うんですけども。清水:なんでしょう。三谷:清水さんが真似した人々のリストを見ると、みんなそのあと下り坂になってるじゃないですか。清水:そんなことない(笑)。一人もいませんよ。三谷:相当ななんか、負の力を持ってるなと思って。だから今回真似された人も、かわいそうに。清水:どの人のことをおっしゃてんのか分かんないですけど(笑)。三谷:真似した時がピークなんですよね。みなさん。清水:そんなこと言うと小林聡美さんの顔マネするぞ。三谷:やめて下さい(笑)。清水:やめて下さいって言うなよ(笑)。そんなことないですよ。一回そういうふうにパロディされた人は、かえって輝くもんなんですよ。コロッケさんのね、美川憲一さんとか。三谷:ええ、瀬川瑛子さんとかね。今回の女子十二楽坊は全員やったんですか?清水:やりましたね。大切なのは十二人やったってことですよ(笑)。いろんな楽器を持ってみましたね。三谷:まあ、楽器を持ってるだけって感じもちょっとしますけど。清水:だけってことはないですけどね。三谷:あの方々が楽器を持ってないで歩いていても、あ、十二楽坊の人って分かんないですもんね。清水:んー、楽器持って歩きはしないですよ。もし歩いていたらその時点で偽物ですよ。本物はケースに入れて歩きますからね。普通は。三谷:僕、前ダークダックスのどなたかと、街ですれ違って。清水:難しい・・・・。分かる。三谷:顔は見たことあるけど、すぐにはダークダックスの人とは分からなかった。四人組というところまでは思い出せたのに。清水:だけどデューク・エイセスのメンバーかもしんないし、ボニー・ジャックスかもしんないと。ウーム かなりむかつく場面が、ありまんな♪CM出演のあたりを見てみましょう。p130~131三谷:僕も前、通販生活のCM・・・。清水:知っていますよ。フラフープでしょ?三谷:フラフープしながらCMやりましたけど。あんな感じですもんね。清水:そうですね(笑)。でも通販生活って、なんであの、びっくりするような文化人がたくさん出てくれるの?黒柳さんが出られたりとかさあ。三谷:綾戸智絵さんもやってらっしゃいますよね。清水:うんうん。不思議ですよね。三谷:なんか、文化の香りがしますよね。それにしても清水さんCMっていっぱいやってらっしゃいますよね。清水:ううん?そうでもないよ。名古屋のみとか大阪の方だけとか。三谷:あ、そうだ。大体うちの妻が取っちゃう(笑)。清水:そう。私がやる予定のCM、全部小林聡美さんが取ってくんですよ(笑)。こんどこんなCM出演の候補に・・・・なんて話が来るのに、最終的には全部、あなたの奥さん。「ポポンS♪」絶対私ですよあれ(笑)、といつも苦々しく思ってますから。三谷:僕は別にタレントではないので、いままでは数少ないCMしか出てませんが。清水:あなたすごくおいしいCMばかりですよ。パソコンとか、コーヒーだの。三谷:あれはどうなんですか、自分がやていたCMが、ある日突然違う人に変わってた時の・・・(笑)。清水:契約期間っていうのがありますからね、大丈夫ですよ(笑)。三谷:なんかショックだったなあ。CM出演を取り合っていたのか・・・むかついたでしょうね(笑)。『むかつく二人』1
2016.10.04
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イーストウッド監督の新作ということで、『ハドソン川の奇蹟』を観てきたのです。これが86歳のイーストウッド監督の手腕なのか・・・ハドソン川の奇蹟もさることながら、イーストウッド監督の奇蹟とも言えるのではないか♪前作『アメリカン・スナイパー』は意識的にスルーしたので、監督の作品を見るのは久しぶりになるのです。もうお歳なのでいついなくなるかもわからないし・・・・でも、かなり意気軒昂なご様子で♪【ハドソン川の奇蹟】クリント・イーストウッド監督、2016年米制作、2016.9.30鑑賞<movie.walker作品情報>より制御不能になった機体をハドソン川に不時着させ、乗客乗員全員を救ったサレンバーガー機長の実話を、クリント・イーストウッド監督&トム・ハンクス主演で映画化したヒューマンドラマ。パイロットとしての長年の経験から、不時着という手段で乗客を救いながらも、周囲から疑いの目で見られるサレンバーガーの苦悩を描く。<大使寸評>不時着水は何度もフラッシュバックされるので、208秒の事故の経緯は、この映画を見る側によく分かるのだが・・・この映画のテーマは、機長に対する疑惑という試練だったのです。「不時着以外の選択肢はなかったのか?」という疑惑に基いて、事故調査委員会の執拗な追及が描かれているのだが・・・・「いったい何様のつもりだ!」と憤る大使であるが(笑)、悪人を仕立てるのがシナリオの常道なんでしょうね。事故調査委員会が実施したフライトシュミレーションでは何度試みても、避難先空港へ無事着陸できるのです。でもサリー機長は、予期せぬ事態の対応のために、ある時間的準備がいると主張して、事故調査委員会は35秒の待機時間を設定しフライトシュミレーションを再実施するのです。これで、疑惑は薄まるが・・・左側エンジンは活きていたという疑惑が残ったままである。最終的には、引き揚げられたエンジンの物証などで疑惑は晴れるわけで・・・機長の不屈の信念、機長を信じた仲間たちは報われるのです♪movie.walkerハドソン川の奇蹟ネットの映画評を見てみましょう。またも傑作『ハドソン川の奇跡』を完成させた、イーストウッド、86歳の奇跡よりいま、映画ファンの間で、ひとつのブランドが存在する。「スター・ウォーズ」でも「マーヴェル」でもない、ひとりの監督の「名前」だ。それは、クリント・イーストウッド。クリント・イーストウッド監督作は、ある種、神格化の域に突入して観客を引きつけている。それほどまでにハイレベルな作品が続いているのだ。俳優としてもスターの座を獲得したイーストウッドは、監督作も37本(劇場公開作)。近年は監督としての仕事がメインになっている。■巧みな構成力本作は事故当日のドキュメントはもちろん、事故後、その判断が正しかったのかどうか調査を受ける機長の苦悩に迫っている。どちらかといえば後者がメインなのだが、緊迫の事故シーンの、作品における配置が秀逸。これは脚本家の成果だろうが、アクションの見せ場の的確な位置づけで緊迫感を途切れさせない。絶妙なバランス感覚!■ヒーローも人間離陸6分後のバードストライク(鳥との衝突)で両エンジンが停止。その後、わずか208秒の間の判断、ありえない水面不時着の成功で155名の命を救ったサレンバーガー機長は、間違いなく「ヒーロー」なのだが、その判断の是非が問われることになる。前作の『アメリカン・スナイパー』でもヒーローと祭り上げられた兵士の心の闇を描いたイーストウッドが、今回も、ヒーローの「裏側」にぐいぐい迫っていく。英雄にも別の面があるという、ある意味、わかりきった事実を、ドラマチックではなく、あくまでに冷徹に、ドライに描くのがイーストウッド。トム・ハンクスの演技も含め、そこから「本物の人間」が浮かび上がってくる。ちなみに、イーストウッド監督作品についてはクリント・イーストウッド監督作品集としてフォロー中でおます。
2016.10.03
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図書館で『世界の居住文化百科』という本を手にしたが…全ページに画像満載で、まさにビジュアル版である。お値段が7020円とあるが・・・図書館目当てのマーケティングなんだろうか?【世界の居住文化百科】ジョン・メイ著、柊風舎、2013年刊<「BOOK」データベース>より世界の大多数の人々は、土、レンガ、石、木、竹、ヤシ、葦、そして廃タイヤやビール瓶を建材に、自分や、友人、家族らが手作りで建てた家に住んでいる。失われつつあるこれらヴァナキュラー建築には、先祖からの伝統や知識、技術が詰まっている。人々はいかに与えられた自然環境に適合して暮らしてきたのか。世界中のヴァナキュラー建築を巡り、様々な民族の生活や伝統を紹介する。<読む前の大使寸評>全ページに画像満載で、まさにビジュアル版である。お値段が7020円とあるが・・・図書館目当てのマーケティングなんだろうか?amazon世界の居住文化百科人類は身近にある建築資材を使って、営々と家を建ててきたわけだが・・・砂漠や草原の民は山羊の毛で織ったテントで暮らしてきたようです。ベドウィンのテントp76~77 <ブラック・テント> 様々な形態のブラック・テントが、西はモリタニアから極東はチベット高原にいたる広大な地域で使用されている。こうした地域の大部分は、高温で乾燥または半乾燥の気候帯に含まれている。 ブラック・テントは地中海沿岸すべてのアラブ諸国、中東、アフガニスタンで見られる。このシェルターを使用しているのはヨーロッパの一部地域のロマ(ジプシー)、トルコのユルック族とクルド人、パキスタンのバルーチ族であるが、最も有名なのがベドウィンである。ブラック・テントはすべての民族にとって日除けであり、風、砂、埃から身を守るものである。 テントの主体構造は様々に配置された柱で、ロープと杭で固定され、黒山羊の毛で作った織物で覆われている。黒山羊の毛は羊毛よりも黒くて太いので、これが好まれる。(中略) ベドウィンは自らのテントをベイト・アル・シャアル(毛の家)と呼び、砂漠の環境に完璧に適合した形式と考えている。いくつかの細長い布を縫い合わせて長さが30~40メートルの巨大な長方形の布地を作り、それにロープを掛けて柱で支える。(中略) 内部は装飾を施したカーテンで2つに分割されている。片方は男性の部屋で公共の領域としても使われ、他方は女性の部屋と厨房である。イギリス人の著者が見た日本の住宅とは、どんなかな?京町屋p88~89 <日本の都市住宅> 日本は木材が潤沢で、建材に木を用いるのは自然なことである。右側のページに示した木造の住居は、19世紀に建てられた洗練された都市住宅である。このような住宅は現在ではもはや一般的ではなく、原型を保つものは大事に保存されている。 伝統的な都市住宅としてより一般的なのは、町の民家である町屋である。日本中で広く見られるが、最も素晴らしいものは古都、京都にある。正面に木の格子が付いた、間口が狭くて奥行きが深い家々が並んでいる。木の柱は石や土を固めた基礎の上に立っている。地面からの湿気を防ぐために床は揚床で、木の根太の上に載っている。 構造は木造で、建物の重量を柱、梁、斜材で受けている。大きな勾配屋根は瓦葺きで、夏の日射を遮るために深い軒が付いている。屋根の重量は軸組が支えている。典型的な家には家族用と来客用の2つの入口がある。 内部は客間、居間、1~2室の寝室、食事室で構成され、家の中央にある食事室は他のすべての部屋とつながっている。部屋は襖で間仕切られる。窓は正面と背面にあり、側壁にはない。 小さな庭が家の内部と外部に2~3ヵ所あり、打ち水をすると冷たい微風が生まれ、夏の気温を下げる。加えて、屋根面まで吹き抜けた台所の天井に天窓があり、家全体の熱い空気を排出している。床の一部は板張りで、畳張りの部分もある。外壁はもともとは木舞壁であったが、合板のような現代的な材料に替わりつつある。『世界の居住文化百科』1
2016.10.03
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図書館で『世界の居住文化百科』という本を手にしたが…全ページに画像満載で、まさにビジュアル版である。お値段が7020円とあるが・・・図書館目当てのマーケティングなんだろうか?【世界の居住文化百科】ジョン・メイ著、柊風舎、2013年刊<「BOOK」データベース>より世界の大多数の人々は、土、レンガ、石、木、竹、ヤシ、葦、そして廃タイヤやビール瓶を建材に、自分や、友人、家族らが手作りで建てた家に住んでいる。失われつつあるこれらヴァナキュラー建築には、先祖からの伝統や知識、技術が詰まっている。人々はいかに与えられた自然環境に適合して暮らしてきたのか。世界中のヴァナキュラー建築を巡り、様々な民族の生活や伝統を紹介する。<読む前の大使寸評>全ページに画像満載で、まさにビジュアル版である。お値段が7020円とあるが・・・図書館目当てのマーケティングなんだろうか?amazon世界の居住文化百科人類は身近にある建築資材を使って、営々と家を建ててきたわけだが・・・そのなかでも、中国のヤオトンやマリ共和国の大モスクの印象が強烈である。土で作られた家・・・・これも大使のツボなんですね♪それでは、中国のヤオトンを見てみましょう。なるほど、ヤオトンには下沈式と懸崖式との2種類あるのか。下沈式ヤオトンp90~91 <中国のヤオトン>より 4000万人余りの中国人が地下居住もしくは段丘状の洞窟に住んでいるが、これらをまとめてヤオトンもしくはたんにヤオと呼んでいる。 ヤオは「カマド」の意味で、洞は「洞窟」である。ヤオトンが掘られているのは世界で最大の「開析台地」で、何世紀にもわたりゴビ砂漠とモンゴルから飛来した細かいシルト(黄土)が200メートルの厚さに堆積している。 黄土色の高原は、中国北部の河南省、山西省から北西部の陝西省・甘粛省まで帯状に拡がっている。木はほとんど生育せず、木材は貴重である。 この乾燥地帯はほとんど雨が降らず、夏は摂氏35度以上になり、冬は氷点下になるという極端な気温である。環境に順応するために、この地域の多くの場所では、人口の少なくとも20%がヤオトンに住んでいるが、陝西省北部では50~80%に達している。 ヤオトンには主に2つのタイプがある。崖の側面を掘る懸崖式と、地面を掘り込んで中庭を作る下沈式である。これらを一般的に洞窟住居と呼んでいるが、人力ですべてを掘った土のシェルターである。(中略) 土の住居は過酷な環境から住人を守る仕組みである。夏に涼しく、冬は暖かいが、内部は暗くて湿気が多く、換気が良くない。中国政府は、サスティナブルな設計原理に基づく近代的なヤオトンを作ることで問題を解決しようとしている。 問題をより難しくしているのは黄土高原で周期的に起きる地震で、ヤオトンは地震に弱い。1921年には地震でヤオトンが崩壊し、100万人以上が亡くなっている。お次は、ジェンネの大モスクを見てみましょう。まるでSF映画に出てくるシーンのようではないか♪p104~105 <ジェンネの大モスク> 土の建築で有名なマリ共和国のジェンネにある大モスクは、世界で最大の泥の建築で、アフリカで最も有名なランドマークの一つである。1988年にジェンネの旧市街とともにユネスコの世界遺産に登録されている。 ジュンネはサハラ砂漠の交易の中心地として繁栄していたが、13世紀にアラブ人の商人がイスラム教をもち込み、この地に最初のモスクを建てた。これは1834年に取り壊され、1896年に再建されたが、新しい建物を建てるために再び壊され、フランス植民地時代の1907年現在のものが完成した。 大モスクはバニ川の氾濫に備えて5625平方メートルの基壇の上に建っている。氾濫は例年のことで、ジェンネが島になり、街の一部が冠水することもある。これまでのところ、基壇は最も激しい洪水のときでもモスクを守ってきた。祈りの壁キブラはメッカがある方角の東を向いている。この壁は18本の控え壁で支えられ、3本の巨大な箱状のミナレットで分節されている。 ミナレットは内部に螺旋階段があり、昇ると屋根に出ることができる。屋根面には円錐状の尖塔があり、その先端に駝鳥の卵が冠してある。モスクの半分は屋内の礼拝所で、90本の木の柱が屋根を支えていて、3000人を収容することができる。(中略) ジェンネは長年にわたり、春祭りクレピサージュを開催している。80人の年配の職人の指揮の下に、ジュンネの全住民がモスクの壁を塗り直す行事で、過去12ヶ月間に悪天候により傷つけられた部分を修復する。外国人観光客が春祭りを見に来るようになり、今や、ジュンネの収入の大半は観光で稼いでいる。
2016.10.02
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<漁港の肉子ちゃん>図書館に予約していた『漁港の肉子ちゃん』を待つこと約3ヶ月でゲットしたのです。この本の表紙はクリムトの絵の摸写であるが、なかなかのもんやでぇ♪・・・・と、大使は加奈子画伯が描く絵にも注目しているのです。【漁港の肉子ちゃん】西加奈子著、幻冬舎、2011年刊<「BOOK」データベース>よりみんな、それぞれで生きている。それでいい。圧倒的な肯定を綴る、西加奈子の柔らかで強靱な最新長編。<読む前の大使寸評>この本の表紙はクリムトの絵の摸写であるが、なかなかのもんやでぇ♪・・・・と、大使は加奈子画伯が描く絵にも注目しているのです。<図書館予約:(7/07予約、9/27受取)>rakuten漁港の肉子ちゃん加奈子画伯の画像それでは、この小説の語り口を、ちょっとだけ見てみましょう。p17~20 サッサンの奥さんは、私と肉子ちゃんがこの街にやってくる1年ほど前に、亡くなった。子供もいなくて、夫婦だけで経営してきたから、サッサンは、孤独に絶望して、「うをがし」を畳もうとした。 そこに現れたのが、肉子ちゃんだった。 サッサンは、肉の神様が現れた、と思ったらしい。 肉子ちゃんを雇うようになって、「うをがし」は、より繁盛しだした。肉子ちゃんって、大袈裟な大阪弁と同じように、良くも悪くも、人を惹きつける力があるのだ。こっちに来てから、恋人も、ふたり出来た。ふたりとも漁師で、「うをがし」のお客さんだったけれど、ひとりは借金を背負い、遠洋漁業で遠くに行ってしまって音信不通。もうひとりは、実は結婚していた。 ふたりとも色が真っ黒で、大酒飲みで、いかにも「女にだらしない」という風貌だった。女を何人抱いたか、みたいな話を、私や他の子供がいる前でもするので、サッサンは、ふたりのことをすごく嫌っていて、でも、店に来るのを止めはしなかった。港には、閉鎖的だけれど、なんだかんだ人を包んでいまうおおらかさ、のようなものがあって、サッサンは、その空気を体現した人だった。 皆、肉子ちゃんがふたりのどういうところを好きになったのか分からない、と言った。でも、私は、肉子ちゃんの過去の遍歴を知っているから、ものすごく理解出来た。 ある日、男の奥さんが、「うをがし」にその男を連れて乗り込んできた。私はそのとき、家にいたから、どんなことになっていたのかは、知らなかったけれど、知らないでよかった。サッサンに聞いたところによると、「あれこそまさに修羅場」だったらしい。 肉子ちゃんは、「男を寝取った豚泥棒」と呼ばれたそうだ。どれほど興奮していても、肉子ちゃんの風貌を見て、きちんと「猫」と「豚」を使い分ける奥さんはすごいな、と思った。感心した。 肉子ちゃんは、罵られ、ぼこぼこにどつかれている間も、男が、自分は独身である、と自分を騙していたことを、言わなかった。男は肉子ちゃんにひっそりと感謝をし、のちのち、真実を知った奥さんは、男を捨て、結局、肉子ちゃんと仲良くなった。大人って、特に女って、よく分からない。 お腹を壊しただけで、噂が広まる街で、あんな「修羅場」を繰り広げたのだから、肉子ちゃんはしばらく、有名人だった。学校でも、「あの漁港の肉子ちゃんの娘」だ、と言われたし、興味津々に「どんなだったの」と聞かれたこともある。 私はそのとき、自分の人生が、10歳にも満たない今終わった、と思ったけれど、その騒ぎも、いつの間にか収まった。サッサンに聞けば、この街では、そういう色恋の噂が絶えないそうで、皆「修羅場」的なものには、慣れているらしい。 誰々のお母さんが、誰々のお父さんの昔の恋人とか、昔の結婚相手同士が仲良く酒を飲んでいるとか、街が狭いから、すぐに広まるし、後ろ指を差されることも多いのだけど、結局は共同体の形のない繋がりの中に、溶けてしまうのだ。 ずっと都会で暮らしてきた私からすれば、そういう感じは、全然理解できない。肉子ちゃんは、結局「不倫相手の奥さんと仲良くなった明るいデブ」くらいの感じで、皆に認識されていて、それはそれで、ほっとしている。 元凶の男も、たまに「うをがし」に来るし、肉子ちゃんも、「久しぶりやなぁ!」などと軽口を叩く。肉子ちゃんって、本当に馬鹿なのじゃないか、と、そういうとき、思う。著者の加奈子さんはうら若き女性であるが、語り口はまるで、おっさんやないけ♪まあ 可愛げと無頼の徒とも言える二面のアンバランスが魅力の一つなんでしょうね。ところで、クリムトの絵の魅力については、先日、『ジャポニスム』3で伝えているのでご笑覧ください。成就(部分)
2016.10.02
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小池新都政が発進したが、スタート直後から豊洲市場移転問題、オリンピック施設のドンブリ勘定など、叩きがいのある懸案が待っています。それにしても、小池さんがこれほど、核心を見抜く洞察力、スピード感のある行動力を持っているとは予想外でおました♪自民党、民進党を追う第3の党を目指すのか?・・・・凄い隠し玉なのかな?昨今のメディア報道に接して、つい怒りのツイートを発した大使であるが・・・該当ヵ所を集めてみました。@とにかく、公開の専門家審議会を開いて得た結論などを無視すとは、納税者をバカにしているとしか思えないわけで・・・都政が国政の手法を真似していて、国政の劣化を後追いしているのが良くない!@豊洲市場移転では400億円増額再入札時に、99%落札となる官製談合があったようです。こういう既存システムの解明、改革に小池・新都知事の手腕が期待されています。@豊洲市場移転のドタバタであるが・・・箱物建築の際に、官製談合があったようですね。それから都政であるが・・・上にいくほどアホで無責任になるところなど、旧陸軍と同じ構図が見えますね。@NEWS23で豊洲市場移転を報じているがナウ、400億円の事業費UPの裏に談合の疑惑があるとのこと。また、都が出してくる資料は全面的に黒塗りとなっているということだが、これは官製談合があるということか?@森組織委員会会長と小池都知事のバトルが始まったが・・・オリンピックの費用が当初の4倍になるというドンブリ勘定が問題なんでしょうね。予算にシーリングを設けなかった黒幕は誰か?@豊洲市場移転先の地下水脈の水質調査の結果は、ベンゼン、砒素が基準値オーバーとのこと。・・・・ということは、盛り土うんぬんよりも、豊洲市場移転先が食品関連施設には適しないということになりますね。都の担当者は知っていたと思うけど。@豊洲市場移転の盛り土方針無視について、都の調査では責任者不在とのこと。・・・「むかし陸軍、いま都庁」の観があるで。@NHK報道によれば、h22年にモニタリング空間という言葉が公に出ていたそうです。つまり、盛り土しても地下水汚染の恐れありとの認識があったのだろうが、専門家審議会の決定との不一致について考えが及んでいないようです。モニタリング空間というアイデアは、地下水汚染を危惧する技術系職員から出ているのだが・・・盛り土という専門家審議会の結論を軽視するアイデアであり、都民に対する背信にも当たるのだが、都職員にはその危機感が欠如していたようですね。30日の朝日で、小池知事会見を見てみましょう。2016-09-30豊洲問題で誤った説明「恥ずかしい状況」 小池知事会見より 東京都の築地市場(中央区)が移転する予定の豊洲市場(江東区)の主要施設の下に土壌汚染対策の盛り土がない問題で、小池百合子知事は30日の記者会見で、「責任者を特定することは難しい」とする調査結果を発表した。「今回の事態を招いたのはガバナンス(内部統制)と責任感の欠如」と厳しく批判。巨大組織に構造的な問題があるとして、縦割り打破などの組織改革に取り組む方針を示した。 会見では、都の調査チームがまとめた自己検証報告書の内容を小池氏が説明。いつ、どの時点で誰が盛り土をしないことを決めたのか▽なぜ、都議会や都民への説明責任を果たせなかったか、の2点を最重要ポイントとして挙げた。 盛り土なしの決定については、2008年の技術部門での内部検討から、13年2月の実施設計完了にかけ、五つの段階で決まった過程を示したが、責任者は特定できなかった。都民への説明責任の欠如は、土壌汚染対策の土木担当と建物の建築担当の縦割りによる連携不足や、ずさんな引き継ぎなど、組織運営に不備があったとした。 この結論に小池氏は「いつ誰が、という点は、ピンポイントで指し示すのは難しい。流れの中で、空気の中で進んでいった。それぞれの段階で責務が生じる」と述べた。敷地全体に盛り土をしたとの説明を続けたことは「誰も気づかず、チェックさえなかったという恥ずかしい状況」とした。 小池氏に続き、地下空間を設ける設計を進めた11~12年当時の中央卸売市場長だった中西充現副知事や岸本良一・現中央卸売市場長らが会見し、謝罪。2人は「盛り土の上に建物があると思っていた。理解が足りなかった」と述べ、部門トップとして「責任を痛感している」と繰り返した。フンフン、黒幕は中西充現副知事や、岸本良一・現中央卸売市場長と特定できるのか・・・あとは、小池・新知事の決断にかかっているのだろう♪
2016.10.01
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図書館で黒田勝弘著『韓国を食べる』という本を手にしたのです。とにかく、韓国通の黒田さんの本だから、かなり期待できると思うのです。【韓国を食べる】黒田勝弘著、光文社、2001年刊<「MARC」データベース>より韓国人は「耳」で食べる? 在韓20年におよぶ著者が、自らの実体験をもとに韓国の食文化に迫る、驚きの韓国・食紀行。食べれば日本人の知らなかった韓国人のメンタリティがわかる。<読む前の大使寸評>とにかく、韓国通の黒田さんの本だから、かなり期待できると思うのです。amazon韓国を食べる本書は読みどころが多いのだが、野菜類を見てみよう。p208~211 <韓国では野菜、果実で酒を飲む>より 黄色いマクワウリ、韓国語では「チャメ(本当のキュウリといった意味)」と言うが、こいつが出回ると初夏の雰囲気だ。ぼくは毎年、飲み屋のツマミでこれが果物として出ると夏の到来を感じるのです。 メロンにはない、あのしっかりした歯ざわりが素朴でなつかしい。ただ、韓国人はあれをタネごと食べる。したがって輪切りに切って出された時も、タネはそのままついている。このタネをツマヨウジでほじるようにはずすぼくの様子を、韓国のホステスたちは不思議そうに見ている。 季節感という意味では、意外にジャガイモがいい。ジャガイモは韓国語では「カムジャ」というが、ぼくは韓国で「ハジカムジャ」という言葉を覚えた。「ハジ」とは昼が最も長くなる夏至のことで、「ハジカムジャ」とはそのころに収穫する早出しのジャガイモを言う。 これが実にうまい。湯がいてホクホクしたのを、塩をつけて食べるのが一番いい。 ある時、ある店の韓定食でこれが出た。ぼくが「うまいねえ」としきりに感心したところ、店のおばちゃんが「ハジカムジャじゃからね」と言うので「何のこっちゃ?」と聞いて分かったのだ。 以来、ぼくはそのあたりの季節になると、どの店に行っても「ハジカムジャは出ないの?」と言っている。そのうまさを余りに言いつのるものだから、ある年の6月、行きつけの食堂のおやじが突然、ジャガイモをダンボール箱にいっぱい送り届けてきた。あれは何十キロあっただろうか。 いくら「うまい、うまい」と言っていても、ひとり暮らしではとうてい食い切れない。事務所のスタッフに分けたり、事務所近くの食堂に持ち込んで湯がいて食べたり、日本人記者仲間にくれてやったりしたが、それでも減らない。あの量もまた、いったん親切となると押し付けるほどの「情」を発揮する韓国人特有の「多情さ」の反映であろう。 ジャガイモは江原道が主産地になっている。先に「岩下老仏」の言葉で江原道の人心のよさを紹介したが、この地方の別名は「カムジャバウイ」でもある。江原道に多い、ジャガイモと岩山の岩(バウイ)で江原道を象徴しているのだ。(中略) さて韓国のジャガイモ料理でお勧めは「カムジャタン」である。「タン(湯)」で分かるように鍋モノだが、ブタの背骨のぶつ切りとジャガイモを、トウガラシ味噌で甘辛く煮込んだ料理である。ブタの背骨はこぶし大の大きさで、骨についた肉をかじったりほじくったりして食べる。これが楽しい。ジャガイモもまるまるのが入っている。辛さはほどほどで、いい味がついており、かつ豪快な感じがある。 きわめて庶民風の料理だ。酒によしメシによしである。だから店はどこにでもあるが、ぼくの行きつけでは、ソウル・延世大前の新村にある「現代百貨店」裏の路地に、この店が集中して軒をならべている。カムジャタンソウル郊外の常宿ホテルの近くにあるカムジャタン屋には足繁く通ったのです。ブタ肉、ジャガイモ、ほうれん草などを煮込んでタワー状に盛って出されるのだが・・・ドーンという感じで豪快である。このタワーを崩しながら食べるのだが、ブタの背骨周りの肉をほじくるのが、けっこう楽しいのです。なお写真は二人前の分量です。『韓国を食べる』1『韓国を食べる』2『韓国を食べる』3この記事も韓国料理あれこれ収めておくことにします。
2016.10.01
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