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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・池井戸潤『半沢直樹 アルルカンと道化師』(11/29予約、副本33、予約644)現在130位・村上春樹『一人称単数』(1/27予約、副本26、予約301)現在12位・白井聰『武器としての「資本論」』(4/06予約、副本9、予約89)現在34位・52ヘルツのクジラたち(4/15予約、副本20、予約592)現在348位・桐野夏生『日没』(4/24予約、副本24、予約300)現在135位・マイケル・サンデル『実力も運のうち』(5/05予約、副本1、予約73)現在9位・『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』(5/30予約、副本2、予約16)現在7位・『ザリガニの鳴くところ』(6/04予約、副本17、予約315)現在223位・『生態学者の目のツケドコロ』(6/28予約、副本3、予約21)現在12位・『チャイニーズ・タイプライター』(7/17予約、副本1、予約3)現在2位・福岡伸一『生命海流』(7/24予約、副本1、予約16)現在21位・ブレイディみかこ『他者の靴を履く』(8/14予約、副本8、予約81)現在84位・ブリーディング・エッジ(8/22予約、副本2、予約9)現在9位・多和田葉子の〈演劇〉を読む(8/31予約、副本1、予約2)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・8月の果て・ある日うっかりPTA(副本4、予約39)・グレタたったひとりのストライキ<予約候補>・『コロナ危機の政治』・『大人の恐竜図鑑』・『レアメタルの地政学』・猫が30歳まで生きる日:図書館未収蔵・ビジョナリー・カンパニー・『中国戦線、ある日本人兵士の日記』・『理不尽ゲーム』 ・野外鳥類学を楽しむ・オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る・岡ノ谷一夫『さえずり言語起源論』・小野正嗣『多和田語の世界』:図書館未収蔵・本村凌二『馬の世界史』・藻谷浩介『進化する里山資本主義』・多和田葉子『文字移植』:図書館未収蔵・高野秀行「怪獣記」・橋本治『黄金夜界』・中園成生『日本捕鯨史』・高野秀行「ワセダ三畳青春記」・ヘミングウェイで学ぶ英文法:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・ネルケ無方著『迷える者の禅修業』<予約分受取:6/15以降> ・ケン・リュウ『生まれ変わり』(5/26予約、6/15受取)・田口俊樹『日々翻訳ざんげ』(4/29予約、6/20受取)・『超ひも理論と宇宙のすべてを支配する数式』(6/14予約、7/03受取)・平松洋子『韓国むかしの味』(7/05予約、7/09受取)・カズオ・イシグロ『クララとお日さま』(3/20予約、7/18受取)・内田樹『コモンの再生』(1/05予約、8/06受取)・『中国の大盗賊』(8/01予約、8/06受取)・岸本佐知子『ねにもつタイプ』(8/07予約、8/14受取)・ヤマザキマリ『生贄探し』(5/14予約、8/14受取)・鎌田由美子『「よそもの」が日本を変える』(4/26予約、8/29受取)***********************************************************************【半沢直樹 アルルカンと道化師】池井戸潤著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとに、とある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版舎・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とはー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/29予約、副本33、予約644)>rakuten半沢直樹 アルルカンと道化師【一人称単数】村上春樹著、文藝春秋、2020年刊<「BOOK」データベース>より短篇小説は、ひとつの世界のたくさんの切り口だ。6年ぶりに放たれる、8作からなる短篇小説集。【目次】石のまくらに/クリーム/チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ/ウィズ・ザ・ビートルズ/ヤクルト・スワローズ詩集/謝肉祭/品川猿の告白/一人称単数<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/27予約、副本26、予約301)>rakuten一人称単数【武器としての「資本論」】白井聰著、東洋経済新報社、2020年刊<「BOOK」データベース>より資本主義を内面化した人生から脱却するための思考法。【目次】本書はどんな『資本論』入門なのか/資本主義社会とは?-万物の「商品化」/後腐れのない共同体外の原理「無縁」-商品の起源/新自由主義が変えた人間の「魂・感性・センス」-「包摂」とは何か/失われた「後ろめたさ」「誇り」「階級意識」-魂の「包摂」/「人生がつまらない」のはなぜかー商品化の果ての「消費者」化/すべては資本の増殖のためにー「剰余価値」/イノベーションはなぜ人を幸せにしないのかー二種類の「剰余価値」/現代資本主義はどう変化してきたのかーポスト・フォーディズムという悪夢/資本主義はどのようにして始まったのかー「本源的蓄積」/引きはがされる私たちー歴史上の「本源的蓄積」/「みんなで豊かに」はなれない時代ー階級闘争の理論と現実/はじまったものは必ず終わるーマルクスの階級闘争の理論/「こんなものが食えるか!」と言えますか?-階級闘争のアリーナ<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/06予約、副本9、予約89)>rakuten武器としての「資本論」【52ヘルツのクジラたち】町田そのこ著、中央公論新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より52ヘルツのクジラとはー他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれるー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/15予約、副本20、予約592)>rakuten52ヘルツのクジラたち【日没】桐野夏生著、岩波書店、2020年刊<「BOOK」データベース>よりあなたの書いたものは、良い小説ですか、悪い小説ですか。小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。出頭先に向かった彼女は、断崖に建つ海辺の療養所へと収容される。「社会に適応した小説」を書けと命ずる所長。終わりの見えない軟禁の悪夢。「更生」との孤独な闘いの行く末はー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/24予約、副本24、予約300)>rakuten日没【実力も運のうち】マイケル・サンデル著、早川書房、2021年刊<「BOOK」データベース>より「努力と才能で、人は誰でも成功できる」この考え方に潜む問題が見抜けますか?100万部突破『これからの「正義」の話をしよう』から11年ー格差と分断の根源に斬りこむ、ハーバード大学哲学教授の新たなる主著。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/05予約、副本1、予約73)>rakuten実力も運のうち【分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議】河合香織著、岩波書店、2021年刊<「BOOK」データベース>よりクラスター対策に「3密」回避。未知の新型コロナウイルスに日本では独自の対策がとられたが、その指針を示した「専門家会議」ではどんな議論がなされていたのか?注目を集めた度々の記者会見、自粛要請に高まる批判、そして初めての緊急事態宣言…。組織廃止までの約五カ月、専門家たちの議論と葛藤を、政権や行政も含め関係者の証言で描く迫真のノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/30予約、副本2、予約16)>rakuten分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議【ザリガニの鳴くところ】ディーリア・オーエンズ著、早川書房、2020年刊<商品の説明>よりノースカロライナ州の湿地で村の青年チェイスの死体が発見された。人々は真っ先に、「湿地の少女」と呼ばれているカイアを疑う。6歳のときからたったひとりで生き延びてきたカイアは、果たして犯人なのか? 不気味な殺人事件の?末と少女の成長が絡み合う長篇<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/04予約、副本17、予約315)>rakutenザリガニの鳴くところ【生態学者の目のツケドコロ】伊勢武史著、ベレ出版、2021年刊<「BOOK」データベース>より生物と生物、生物と環境との関係を調べる、生物学の一分野である生態学。生きものについて知りたい、自然を守りたいと願う人にとって、生態学的な見方は必ず役に立つ。自然と生きもの、人間との関係を見つめ直す7つの章。【目次】第1章 人に囲まれて/第2章 暮らしのなかで/第3章 文化に触れて/第4章 外国を旅して/第5章 里山に生きて/第6章 森を歩いて/第7章 研究をとおして<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/28予約、副本3、予約21)>rakuten生態学者の目のツケドコロ【チャイニーズ・タイプライター】トーマス・S・マラニー著、中央公論新社、2021年刊<「BOOK」データベース>より中国語タイプライターの“不可能性”から繙かれる圧巻の言語技術文化史。漢字についての発想の転換や戦時中の日中関係、入力や予測変換といった現在につながる技術の起源まで、波瀾と苦渋に満ちた展開を鮮やかに辿る。<読む前の大使寸評>圧巻の言語技術文化史ってか・・・これは読むしかないでぇ♪<図書館予約:(7/17予約、副本1、予約3)>rakutenチャイニーズ・タイプライター【生命海流】福岡伸一著、朝日出版社、2021年刊<「BOOK」データベース>より福岡伸一、ガラパゴス諸島へ。ダーウィン進化論を問い、“本来の生命のあり方”を精密に描き出す。旅のリアルと思索が行き来する、まさしく「動的平衡」なガラパゴス航海記。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本1、予約16)>rakuten生命海流【他者の靴を履く】ブレイディみかこ著、文藝春秋、2021年刊<「BOOK」データベース>より“負債道徳”、ジェンダーロール、自助の精神…エンパシー(意見の異なる相手を理解する知的能力)×アナキズムが融合した新しい思想的地平がここに。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/14予約、副本8、予約81)>rakuten他者の靴を履く【ブリーディング・エッジ】トマス・ピンチョン著、新潮社、2021年刊<出版社>よりITバブルは弾けたが新世紀の余韻さめやらぬニューヨークで、子育てに奮闘する元不正検査士の女性。知人の仕事を手伝い覗いたネットの深部で見つけたのは、不穏なテロの予兆だった。NYの、そして世界の運命は肝っ玉母さんの手に――オタク的こだわりと陰謀論にあふれる、謎に満ちたアメリカ文学の巨人が放つビッグバン。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/22予約、副本2、予約9)>shinchoshaブリーディング・エッジ【多和田葉子の〈演劇〉を読む】多和田葉子著、谷川道子(編集)、論創社、2021年刊<amazon>より〈演劇人間(ホモテアトラーリス)〉としての多和田葉子に本格的に光をあてる初の試み。劇評、演出ノート、作品論、ドキュメント、初邦訳戯曲2本他で多和田の演劇ワールドを探り、パノラマ・可視化する。多和田書き下ろしエッセイ「多声社会としての舞台」も収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/31予約、副本1、予約2)>amazon多和田葉子の〈演劇〉を読む【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死【8月の果て】柳美里著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>rakuten8月の果て予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索システム図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。
2021.08.31
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図書館で『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』という本を、手にしたのです。毎年、ノーベル文学賞発表の時期には、村上春樹受賞の知らせを待つのが恒例となっているが・・・この本には村上春樹やカズオ・イシグロが載っていて、興味深いのです。(カズオ・イシグロは2017年に受賞したが、この本は2014年刊なので、当然、触れていません)【ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち】青月社編、青月社、2014年刊<「BOOK」データベース>より27ヵ国38人の作家が大集結!<読む前の大使寸評>毎年、ノーベル文学賞発表の時期には、村上春樹受賞の知らせを待つのが恒例となっているが・・・この本には村上春樹やカズオ・イシグロが載っていて、興味深いのです。rakutenノーベル文学賞にもっとも近い作家たち隠遁作家ともいえるトマス・ピンチョンを、見てみましょう。p54~57<超然たるヘビー級文学の雄> ノーベル文学賞の決定は、ノーベルの遺した「理想的な方向性」という文言に支配されてきた。文学史上の大作家たることが「理想的」とは、必ずしもならないわけで、その意味でカフカもプルーストもジョイスも受賞していないのは不思議なことではなく、ピンチョンが受賞せずじまいになったとしても、例外的なことではない。 ピンチョンの方も、賞の権威など欲しがるまい。デビュー作『Ⅴ.』(1963年)でフォークナー賞はいただいたものの、『重力の虹』(1973年)に対し、アメリカ文芸協会が5年に1度、特に傑出した作品に対して贈る「W・D・ハウウェルズ・メダル」を与える決定をしたとき、これをきっぱり辞退している。 過去半世紀、人前に姿を表したことのない隠遁作家。でもアニメの『シンプソンズ』に本人役で(声の)出演したり、コミック音楽楽団を率いるスパイク・ジョーンズのCD復刻版には、うれしそうにライナーノーツを書いたりする。実際に接してみると、とても優しい男だそうで、サリンジャーのようないわゆる人間嫌いでは全然ない。(中略) 正反対の性質が共存する人である。それは作品のテクストにもつきまとう印象だ。木原善彦氏による解説本『トマス・ピンチョン』(京都大学出版会)の副題は「無政府主義的奇蹟の宇宙」というのだが、実にその通りで、ピンチョンの思考はアナーキスト的。乱闘や、無秩序パーティ、政治的・社会的混乱を好んで扱うというだけでなく、論理の整序を崩しながら書いていくというところがある。 つまり、AとBが対立するとき、ふつうはAであればBではない。ところがピンチョンの世界では「Aであると同時にB」ということが平気で起こるのだ。1922年の南西アフリカの話だと思って読んでいると、そこに断りもなく1904年のヘレロ族虐殺のシーンが混入してきたり(『Ⅴ.』)、パラグラフの途中で視点人物が交代したり、映画内の話が映画外へ飛び出したり。(中略) もっとも、そういう頭の中を引っかき回されるようなところは『重力の虹』をピークに、『ヴァインランド』(1990年)以降、徐々に減って、小説内のサプライズは、それを解する読者の笑いを誘うようなものへと変質した感がある。 最新の二作・・・『LAヴァイス』(2009年)と『ブリーディング・エッジ』(2013年)は、それぞれ1970年のロサンジェルスのビーチの消え行くヒッピー・カルチャーと、2001年のマンハッタンの住人が出入りするネット空間を舞台にした探偵・探究小説として淀みなく読める。 もちろんそれは、ピンチョンが「フツー」になったという意味ではない。状況設定のとんでもなさも、文章の独特の弾みと捻りも、老練というか、読者に水を浴びせるのではなく、胸に染みるようなふうになってきたということで、ピンチョン印は満載である。この記事を読んでピンチョンに惹かれた大使は、さっそく『ブリーディング・エッジ』を図書館に借出し予約したのです。【ブリーディング・エッジ】トマス・ピンチョン著、新潮社、2021年刊<出版社>よりITバブルは弾けたが新世紀の余韻さめやらぬニューヨークで、子育てに奮闘する元不正検査士の女性。知人の仕事を手伝い覗いたネットの深部で見つけたのは、不穏なテロの予兆だった。NYの、そして世界の運命は肝っ玉母さんの手に――オタク的こだわりと陰謀論にあふれる、謎に満ちたアメリカ文学の巨人が放つビッグバン。<読む前の大使寸評>アメリカ文学の巨人が放つビッグバンってか・・・興味津々でおます。<図書館予約:(8/22予約、副本2、予約9)>shinchoshaブリーディング・エッジ『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』1
2021.08.31
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図書館で『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』という本を、手にしたのです。毎年、ノーベル文学賞発表の時期には、村上春樹受賞の知らせを待つのが恒例となっているが・・・この本には村上春樹やカズオ・イシグロが載っていて、興味深いのです。(カズオ・イシグロは2017年に受賞したが、この本は2014年刊なので、当然、触れていません)【ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち】青月社編、青月社、2014年刊<「BOOK」データベース>より27ヵ国38人の作家が大集結!<読む前の大使寸評>毎年、ノーベル文学賞発表の時期には、村上春樹受賞の知らせを待つのが恒例となっているが・・・この本には村上春樹やカズオ・イシグロが載っていて、興味深いのです。rakutenノーベル文学賞にもっとも近い作家たち先ずカズオ・イシグロを、見てみましょう。p162~167<遠い過去を見つめて> 現代イギリスを代表する作家カズオ・イシグロは、石黒一雄として1954年に長崎で生まれる。海洋学者であった父親の仕事の都合で1960年に渡英し、その後かの地に留まり続け、30歳を目前にしてイギリス国籍を取得した。 日本語をほとんど解さない彼は、1982年に英語で書く小説家としてデビューを果して以来、2014年現在に至るまでに6冊の長編と1冊の短編集を発表している。 1981年にインド出身のサルマン・ラシュディがブッカー賞(イギリスでもっと権威のある文学賞)を受賞したことに象徴される通り、1980年代のイギリスでは、第二次大戦以後の主に旧植民地からの移民流入の影響を受けて、国際的な背景を持った作家による文学作品への需要が高まっていた。 そのような時代背景の影響もあり、イシグロの最初の二つの長編小説である『遠い山なみの光』(1982年)と『浮世の画家』(1986年)は、敗戦直後の日本を主な舞台としている。だが、イシグロは5歳で日本を去った後、1989年に至るまで故国の土を踏むことはなかったがゆえに、この2作における日本像は、彼自身が保持する日本の記憶よりもむしろ、戦後の日本文学や日本映画(例えば川端康成の『山の音』と成瀬巳喜男によるその映画版、小津安二郎の『東京物語』と『秋刀魚の味』など)に依拠しながら描き出されたものである。 この実際には借用から成り立った日本像は、日本に明るくなかったイギリスの読書の異国趣味を掻き立てることとなり、『浮世の画家』は高名なウィットブレッド賞を受賞するという快挙を成し遂げる。 だが、イシグロの作家としての地位を不動のものとしたのは長編三作目の『日の名残り』(1989年)であり、この小説によって彼はブッカー賞を獲得することとなる。本作は、物語の舞台こそイギリスに設定されているものの、そのイギリス像が、イシグロが直接目にしてきたイギリスではなく、文学、映画、旅行ガイドなどに登場するステレオタイプなイギリス像からの借用によって成り立っているという点で、前二作との共通性を有している。また『日の名残り』までの三作は、扱われているテーマにおいても一貫している。 日本とイギリスという舞台に違いはあるものの、この三つの小説においては、第二次大戦中、職務への忠実さがゆえにファシズムに積極的に加担し、その結果、戦後の民主化した社会において、自らの人生を振り返っては激しく苦悩することとなる老人が共通して登場しているが、彼らの姿を通してイシグロは、価値観が大転換する時代を生きた人々の苦しみとともに、過去に犯した過ちに真正面から向き合えずに、ひたすら言い訳を繰り返してしまう人間の弱さを描き出しているのである。(中略) 戦後のイギリスを舞台とした、続く6作目の長編『わたしを離さないで』(2005年)では、芸術の失墜という主題が『充たされざる者』から引き継がれている。本作の主人公は移植用臓器供給のためだけに生み出され、遅くとも30歳前後までに臓器摘出により死ぬことを運命づけられたクローンたちである。 彼らは幼少期から10代半ばまでを過ごす全寮制寄宿学校で、徹底した人文学教育、芸術教育を施されるが、ある時、優れた芸術作品を生み出せば延命を勝ち取れるという噂を耳にした後、作品制作に必死で取り組むようになる。しかし物語の最後で、生み出された作品は彼らの延命を可能にしないことが明らかとなり、主人公たちは予定されていた通りの死を迎えることとなる。 クローンたちの無残な死という形で芸術の無力さを描き出すことによって、『わたしを離さないで』は『充たされざる者』と同様に現代社会における芸術の意義を真摯に問いただしているのである。
2021.08.31
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今回借りた4冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「文学・文芸」でしょうか♪<市立図書館>・圏外編集者・ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち・文芸ピープル「よそもの」が日本を変える<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【圏外編集者】都築響一著、朝日出版社、2015年刊<「BOOK」データベース>より珍スポット、独居老人、地方発ラッパー…無名の天才を発見し伝えつづける編集者の、本作りの裏側を初めて知る。<読む前の大使寸評>ニッチな編集的(偏執的?)視点が、みうらじゅん並みで、ええでぇ。rakuten圏外編集者【ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち】青月社編、青月社、2014年刊<「BOOK」データベース>より27ヵ国38人の作家が大集結!<読む前の大使寸評>毎年、ノーベル文学賞発表の時期には、村上春樹受賞の知らせを待つのが恒例となっているが・・・この本には村上春樹やカズオ・イシグロが載っていて、興味深いのです。rakutenノーベル文学賞にもっとも近い作家たち【文芸ピープル】辛島デイヴィッド著、講談社、2021年刊<「BOOK」データベース>より著名な賞の受賞、ベストセラー…、日本の現代文学が、いま英語圏で注目されているのはなぜか?アメリカ、イギリスの翻訳家、編集者、フェス運営者、デザイナーなど、本づくり&文芸に関わる人々=文芸ピープルを取材し、その声と仕事を伝えるルポ・エッセー!<読む前の大使寸評>日本の現代文学が、いま英語圏で注目されているのはなぜか?・・・読むしかないでぇ。rakuten文芸ピープル【「よそもの」が日本を変える】鎌田由美子著、日経BP、2021年刊<出版社>よりコロナ禍で日常生活や働き方が激変し、心のどこかで「これまで通りの生き方で本当にいいのか」と悩んでいる人も多いのではないだろうか。ニューノーマルは見たことのない世界ではなく、「デジタル化」「多様性」「環境意識」といった後回しにしてきた問題が目の前に突き付けられただけーー。JR東日本でエキナカや地域活性化を成功させてきた著者が、「『What if?』という自問自答が必要」「仕事と生き方は融合していく」「サステナブルが日常に」など、個人や企業の「これからの生き方」を提示する。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/26予約、8/29受取)>rakuten「よそもの」が日本を変える************************************************************図書館大好き505
2021.08.30
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図書館で『家族と社会が壊れるとき』という本を、手にしたのです。おお 是枝裕和監督とケン・ローチ監督との対談が載っているではないか♪NHK番組の取材を加筆して書籍化しているようです。【家族と社会が壊れるとき】是枝 裕和, ケン・ローチ著、NHK出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より分断、差別、忖度…「不平等な世界」をどう生きるか?映画監督ふたりが深い洞察と想像力で読み解く!大好評のNHK番組を追加取材、大幅加筆をして書籍化!<読む前の大使寸評>おお 是枝裕和監督とケン・ローチ監督との対談が載っているではないか♪NHK番組の取材を加筆して書籍化しているようです。rakuten家族と社会が壊れるときローチ監督が労働者の問題について語っているので、見てみましょう。p103~106<『わたしはダニエル・ブレイク』と『家族を想うとき』> 私が不安定な職に就いている労働者の問題を映画に取り上げようと思ったきっかけは、前作『わたしはダニエル・ブレイク』(2016)の撮影中にありました。そのとき取材したフードバンクのことが、ずっと心に残っていたのです。 フードバンクに来ていた人々の多くは、パートタイムやゼロ時間契約(雇用者が必要に応じて従業員を呼び出す契約)で働く人たちでした。 これは新しいタイプの働き方です。いわゆるギグ・エコノミー(インターネットを通じた単発または短期の仕事)のひろがりとともに、パートタイムに雇用形態を切り換えられた労働者だけでなく、自営業者、あるいはエージェント・ワーカー(人材派遣会社に雇われた労働者)も増えています。 非正規雇用の労働者である彼らのことは、その後も私と脚本家のポール・ラヴァティの会話に頻繁に出てきました。『わたしはダニエル・ブレイク』が最後の作品になるだろうと考えていたのですが、しだいにもう1本、別の映画をつくる必要があるかもしれないと思うようになりました。ですからこの映画は、『わたしはダニエル・ブレイク』と関係の深い映画でもあります。 主人公のリッキーは、地元の運送会社とフランチャイズ契約を結ぶ宅配ドライバーです。私はその仕事について、ポールがリサーチしてくれたあと、何人かのドライバーに直接会って取材しました。そこで驚かされたのが、彼らの仕事の不安定さと、自分たちの慎ましい生活を維持するために働かなければならない労働時間の長さです。 彼らは名目上、独立した自営業者なので、ビジネスのなあで何らかの不具合が生じた時は、すべての責任を負わなくてはなりません。配達用のバンにも不具合は生じ得ますし、それで配送がうまくいかなければ、本部から制裁を受け、大金を失うことになってしまいます。 一方で、彼らの車は最新のテクノロジーによって管理されていて、運転席にはルートを指示したり、顧客の荷物の場所や到着時間を知らせたりする装置が備えつけられています。それによって、顧客は家にいながらにして、走っている車を追跡でき、荷物が時間通りに配達される仕組みなのです。 しかしその結果、何が起こるでしょうか。通りから通りへと忙しく走り回る宅配ドライバーに、大きなプレッシャーがのしかかることになります。技術は新しいものかもしれませんが、搾取の形態は古くからあるものと変わらないのです。朝食、昼食、夕食のご注文を承っています。なるサイトが便利そうであるが・・・手元不如意のアナログ老人にとっては、どうかな?アメリカ発祥の仕事は、搾取の形態だったりして。『家族と社会が壊れるとき』4:フィルムとデジタルはまったく別のものp80~83『家族と社会が壊れるとき』3:映画製作についてp123~125『家族と社会が壊れるとき』2:イギリスの社会経済的背景p111~115『家族と社会が壊れるとき』1:ローチ監督の『家族を想うとき』p33~35
2021.08.30
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本屋の店頭で『文芸春秋(2021年9月特別号)』を、手にしたのです。ウーム 今月号は読みどころがたくさん載っていて、芥川賞受賞作(二作)と台湾・蔡英文総統インタビューが決め手になって・・・8月号に続いて買い求めたのです。【文芸春秋(2021年9月特別号)】雑誌、文芸春秋、2021年刊<出版社>より〇台湾・蔡英文総統 単独インタビュー「香港、ウイグルへの弾圧を北京当局がやめるよう呼びかける。聞き手・船橋洋一〇第165回 芥川賞発表・貝に続く場所にて 東日本大震災で生き残った者の罪悪感を 文学として昇華させた石沢麻依(いしざわまい)・彼岸花が咲く島 台湾出身の作家が描く 女性が統治する島の秘められた過去とは李琴峰(りことみ)<読む前の大使寸評>今月号は読みどころがたくさん載っていて、芥川賞受賞作(二作)と台湾・蔡英文総統インタビューが決め手になって・・・8月号に続いて買い求めたのです。bunshun文芸春秋(2021年9月特別号)芥川賞受賞者・李琴峰とのインタビューを見てみましょう。p298~301<私をカテゴライズしないで>Q:一昨年の「五つ数えれば三日月」に続き、今回は二度目のノミネートでした。受賞の喜びもひとしおだったのではないでしょうか。李:受賞の電話を取ったときは割と冷静だったと思います。というのも、実は文芸春秋のトイレにいたんです。コロナ下、大人数の人数で集まるのも憚られて、今回は担当編集の方々と三人、会議室で結果を待っていました。台湾で何を勉強していたか、とか海外に行きたいね、とかとりとめのない雑談をしていて。それなのに偶然席を立ってトイレへ行ったタイミングで携帯が鳴ったので、「これはちょっと出られないな」と、二回通話を拒否しました(笑)。 でも三回目がかかってきたんですよ。それでなんだか予感がしました。だって、もし落選の知らせだったら先にほかの人にかけますもんね。Q:その後は、真っ先にご家族に?李:私の家族は台湾にいて、みんなあまり日本のことを知らないので、「芥川賞ってなんぞや?」って感じです。だから「受賞したよ」とすぐ伝えるのではなく、台湾でネット記事になってから、そのURLは送りました。候補になった時は伝えていませんでした。Q:李さんは台湾のご出身で、日本語を母語としない作家としては、2008年の楊逸さん以来二人目の芥川賞受賞者です。デビューしてから一貫して日本語での作品を発表し続けていますね。李:日本語で書くことは大変ですが、私にとっては自然なことです。2011年、早稲田大学に留学してから一度台湾へ戻りましたが、13年にまた来日し大学院へ入りました。修了後もこちらで就職し、独立して今日までの8年間、ずっと日本で日本語を使って生活しているので。Q:台湾にいる頃から日本語になじみがあったのですか?李:日本のアニメや漫画は幼い頃から身近にありました。それこそ5、6歳の頃、テレビをつければ『セーラームーン』や『名探偵コナン』が流れていて、当時は中国語の吹き替えでしたけどよく観ていました。■五十音でコナンが歌えるQ:そもそも日本語を学ぼうと思ったきっかけは何だったのでしょう。李:うーん、よく聞かれるのですが、きっかけは特にないんですよ。14、15歳のとき、ある日突然、ちょっとやってみようと思ったのです。とはいえ、当時は台湾の田舎に住んでいたので教えてくれる先生がいない。だから自分で単語帳や文法の参考書を買ってきて一から勉強しました。よく観ていたコナンや『カードキャプターさくら』などのアニメを、吹き替えではなく日本語で観始めたのもその頃だったかな。 学び始めてみると、日本語はすごく便利で勉強しやすいと思いました。五十音さえ覚えれば、とりあえず何でも発音できる。それまで私は中国語と英語しか知りませんでしたが、中国語の漢字は無数にあって、基本的には習わないと発音がわからないし、英語も見たままのアルファベットとはちがう不規則な発音が多いですよね。どちらも字面だけでは正しい発音はわかりません。でも、日本語は五十音がわかれば歌が歌えます。それがモチベーションになって、五十音を1ヵ月くらいで覚えました。Q:どんな歌を歌っていたんですか?李:そうですねえ・・・劇場版コナン『迷宮の十字路』の主題歌で、倉木麻衣さんの「Time after time~花舞う街で~」とか。あとは『ポケットモンスター』のオープニングとかね。 ポケモンはカタカナを覚えるのにもぴったりでした。フリーザー、サンダー、ミュウにミュウツー。英語に由来しているから覚えやすくて、カタカナの形と発音が自然と自分の中で組み合わさっていきました。Q:日本の小説もよく読んでいたのですか?李:そういえば、初めて日本の作家と意識して読んだのが芥川龍之介でした。これ、インタビュー用に言っているわけじゃないですよ(笑)。高校の教科書に中国語の「蜘蛛の糸」が載っていたのです。先生が「羅生門」とか「藪の中」をプリントして配ってくれて「あ、これおもしろいな」と、そこから自分で短編集を買って読むようになりました。 あるとき日本に遊びに行って、国語便覧を買ったんです。で、パラパラ見ていたら太宰治の年譜を見つけて「ちょっと待って、6回も自殺しようとしてるの?」とものすごく驚いたのを覚えています。Q:では初めて小説を書いたのも日本語ですか。李:いえいえ、最初は中国語で書いていました。それも中学二年生のとき。ケイヨウさんという台湾ですごく有名な恋愛小説家の本を読んでいて、その影響か、ちょっと青春っぽい恋愛小説を書くようになりました。数日で原稿用紙6~7枚くらい。長いのも書いたりしましたが、下手くそで。今も下手くそかもしれないけど、当時はもっと(笑)。誰にも見せずに一人で書いていました。 本を読むこと自体は小さい頃から好きで、文学の原初的な体験は、やはり台湾文学や中国の古典文学です。小学生の頃に『紅楼夢』とか『水滸伝』を読んでいました。 ただ、これは原書で読むのはめっちゃ難しい。それで、子ども向けに書き直されたものを読んでいましたね。ほかにも家にあった子ども向けの世界文学全集を読み漁っていました。『文芸春秋(2021年9月特別号)』4:芥川賞受賞者・石沢麻依とのインタビュー『文芸春秋(2021年9月特別号)』3:「経済安全保障」について『文芸春秋(2021年9月特別号)』2:台湾・蔡英文総統への単独インタビュー(続き)『文芸春秋(2021年9月特別号)』1:台湾・蔡英文総統への単独インタビュー
2021.08.29
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本屋の店頭で『文芸春秋(2021年9月特別号)』を、手にしたのです。ウーム 今月号は読みどころがたくさん載っていて、芥川賞受賞作(二作)と台湾・蔡英文総統インタビューが決め手になって・・・8月号に続いて買い求めたのです。【文芸春秋(2021年9月特別号)】雑誌、文芸春秋、2021年刊<出版社>より〇台湾・蔡英文総統 単独インタビュー「香港、ウイグルへの弾圧を北京当局がやめるよう呼びかける。聞き手・船橋洋一〇第165回 芥川賞発表・貝に続く場所にて 東日本大震災で生き残った者の罪悪感を 文学として昇華させた石沢麻依(いしざわまい)・彼岸花が咲く島 台湾出身の作家が描く 女性が統治する島の秘められた過去とは李琴峰(りことみ)<読む前の大使寸評>今月号は読みどころがたくさん載っていて、芥川賞受賞作(二作)と台湾・蔡英文総統インタビューが決め手になって・・・8月号に続いて買い求めたのです。bunshun文芸春秋(2021年9月特別号)芥川賞受賞者・石沢麻依とのインタビューを見てみましょう。p292~295<母との「カラマーゾフ事件」>Q:受賞作はドイツが舞台ですが、石沢さんも現在、ドイツに住んでいるそうですね。石沢:はい。以前は小説の語り手と同じゲッティンゲンに住んでいましたが、現在はドイツ・ロマン主義の文学者たちに縁のある街にいます。 受賞の連絡をいただいたのは朝十時ごろです。本棚から本を出して、並べ替えているときでした。落ち着かないときは本棚の整理をするくせがあるのです。受賞を知らされたときは、驚いて本の山を倒してしまいました。Q:1980年、宮城県仙台市生まれとのことですが、ドイツへ住むことになった経緯を教えてください。石沢:仙台で生まれ、小学校から大学院まで、ずっと仙台で過ごしてきました。 大学院では西洋美術史を専攻しました。研究範囲は16世紀前後のドイツ・ルネサンス美術で、2013年の秋から1年間、ゲッティンゲン大学へ留学しました。一度、帰国して、2015年11月から再び渡独したので、いま6年目になります。Q:ずっと暮らしていたので、東日本大震災を仙台で経験されているわけですね。この点は後ほどお尋ねします。まずは小説を書くようになった契機から教えてください。石沢:「書く」という行為自体あ小さい頃から始めていました。小学生の頃に詩や物語を書いたり。これは母の本を読むようになったことが、確実に影響していると思います。 小さな頃から本が好きで、『赤毛のアン』や『秘密の花園』『あしながおじさん』など児童文学もたくさん読んでいました。小学校の図書館もよく利用していましたが、あるとき借りた本を開いたら、鼻血なのか血の跡がいっぱいついていた(笑)。それで怖くなって、本は読みたいのに図書館からは借りられない。どうしようと考えていた時に思いついたのが、私の部屋の本棚に置かれていた母の本だったんです。 そこで、まだ小学生でも手が届く、低い段に並んでいた詩集を少しずつ読み始めました。中原中也、萩原朔太郎、バイロン、ゲーテとか。(中略)■読書好きの家で育つQ:お母様と本の話をすることも多かったのでしょうか。石沢:そうですね。母も若い頃から読書家でしたし、例えば文学や社会において女性がどのおようなイメージを与えられてきたのかというテーマにも関心があったようです。『罪と罰』のソーニャや、『風と共に去りぬ』のスカーレットの生き方とは、といった話をしたりしました。 いちばん笑えるのが「カラマーゾフ事件」です。『カラマーゾフの兄弟』の新訳が出たとき、母は夢中になって読んでいました。このころ私は大学院生で、ある夜、バイトから帰ってくると、母が「ちょっといい?」と、深刻な顔をして、私の部屋へ入ってきたのです。何が起きたのかと身構えたら、 「ねえ、やっぱり犯人はミーチャなの?」 「それとも、スメルジャコフ?」と、すごく探りをいれてくる(笑)。 母が読んでいた箇所を確認して「あとこれぐらいで分かるから、もうちょっと我慢して読んで」と言ったら、「まさか、イワンなのかしら?」と、つぶやきながら部屋を出ていきました。 いま母の話ばかりしましたが、父も、妹も読書好きです。歴史や社会問題を扱った作品などを、よく読んでいますね。Q:これまで読んできた中で、影響を受けた作家は誰でしょうか。石沢:それは・・・古典も含め、挙げるとなると本当に多くなります。私が書きたいタイプの作品の傾向、「記憶や過去の問題」や「幻想と現実の問題」でいえば、漱石や内田百間、泉鏡花、久生十蘭とか。埴谷雄高の『死霊』も好きですし。(中略)■沈黙が言葉を育てたQ:幅広く読みつつ、ご自身でも小説を執筆していたわけですか。石沢:そこは少し面倒な話になります。先ほど言ったように、小学生の頃から書き続け、大学ではひまを見つけて書いたり、非常にお世話になったドイツ文学研究の先生が物語論やテクスト構造の研究もされていたので、ゼミに参加したり。その先生に書いたものを見せたら、強く後押ししてくださいました。 そして、読書好きの友人たちの存在も大きいです。彼女たちは読書量が多いだけに、私の文章の長所と短所をすぐに見抜いて指摘してくれました。 このように20代半ばまでは、作品として完成させたわけではなく断片的ではありましたが、書いていました。でも大学院に進んでから、大きなブランクができたのです。 まず書く時間がなくなりました。というのも、私は院へ進むとき、学費や研究、留学の費用は自分でまかなうと決めていたので、死にそうになるくらいアルバイトをしなくてはなりませんでした。 塾講師としてほぼ毎日働きつつ、大学では研究という生活を送っていたので、読書の時間をとるのが精一杯でした。睡眠時間を削って、本を読み続けたので、慢性的に寝不足、書く方に気が向かいませんでした。 もう一回、書いてみようかと考えたのは、2019年の夏ごろですね。Q:二度目のドイツ滞在が始まってから4年近く経っています。石沢:ええ。ドイツへ二回目にきたときは、母国語である日本語に対して、色も匂いも舌ざわりもないと感じるほど、疲れ果てていた状況でした。そこでドイツ語を学びながら、日本語の感覚を育て直すことになりました。二つの言語が別々に成長するのではなく、植物のツルのように絡み合いながら育っていったという感じです。 きどった言い方をすれば、沈黙することができたから、日本語を育てなおせたのでしょう。私の場合ですと、ドイツ語が話せないこと、そして無理に話さなくてもいいこと。二重の沈黙があったのです。そうなると「何かを表現したい、しなくてはならない」という気持ちになる。 留学してすぐは、それがドイツ語習得のモチベーションになっていましたが、それが落ち着いたので(今でもドイツ語は下手ですが)違う方向の意欲がわいてきて「もう一回、書いてみようか」と。だからドイツで暮らすようになってから、再び小説を書き始めるまで、すこし時間がかかったのだと思います。 書きはじめたころは、本当に体が錆びついていて、「書けない」という感じでした。リズムを取り戻すためにも、締め切りがあったほうがいいだろうと考え、文芸誌の新人賞へ応募するようになりました。 『文芸春秋(2021年9月特別号)』3:「経済安全保障」について『文芸春秋(2021年9月特別号)』2:台湾・蔡英文総統への単独インタビュー(続き)『文芸春秋(2021年9月特別号)』1:台湾・蔡英文総統への単独インタビュー
2021.08.29
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図書館で『エクソダス』という本を、手にしたのです。めくってみると、論文スタイルでぎっちり書かれてあり読みにくいが・・・移民、ディアスポラを扱っていて、大使のツボが疼くのです。【エクソダス】ポール・コリアー著、みすず書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より『最底辺の10億人』のグローバルな視点から、コストと便益の両方を見すえた、モデルを提示。“移民自身”“受入国の住民”“送出国に残された人々”という三つの立場にバランスよく目配りしつつ、移住のグローバルな経済的、社会的、文化的影響を分析する。<読む前の大使寸評>めくってみると、論文スタイルでぎっちり書かれてあり読みにくいが・・・移民、ディアスポラを扱っていて、大使のツボが疼くのです。rakutenエクソダス「第2章 移住はなぜ加速するのか」から加速する移住を、見てみましょう。p38~41<所得格差が移住にどう影響するか> 移住はディアスポラを生み、ディアスポラが移住を推進する。どちらがニワトリでどちらが卵なのだろう? これに関してだけは、謎はない。20世紀、富裕国が貧困国からの移民に国境を閉ざしていた長い期間のため、1960年ごろには大きなディアスポラはなかったことがわかっている。 1960年以降、ディアスポラが腰を据える前段階として移住があった。初期のディアスポラは大きな所得格差にもかかわらず取るに足りない数で、国境が開かれてもごくわずかしか移住しなかった。移民を受け入れてくれる先発組がまだいなかったため、移住にかかる費用が高すぎたのだ。 所得格差とディアスポラとの相互作用は、衝撃的ながらもわかりやすい力学を生む。移民の流入は、格差に加えて、どれだけの移民がすでにいるかによって変わるのだ。移民の数の蓄積につれてあとに続く移民の流れも増えるため、格差が一定であれば、移住は加速する。 経済学者は、常に均衡を探す。拮抗する力がバランスをとって、システム全体が静止状態にある地点を求めるのだ。移住のシステムが静止状態になるには、二つのはっきり異なる形がある。移住率が加速せずに一定になるか、あるいは、静止状態をもっと学問的に言えば、国と国の間での人の純フローが止まるということだろう。 この所得格差とディアスポラの単純な相互作用のプロセスが、いずれかの均衡をもたらすことはあるだろうか?<均衡が必要ない理由> 所得格差を一定とすると、移住の加速が止まるのはディアスポラの増加が止まったときだけだ。移住は常にディアスポラに増員を送りこんでいるので、ディアスポラの規模を減らす相殺的なプロセスをなにかしらなければ、その増加は止まらない。ディアスポラは理解しやすい概念だが、測定するのがやっかいだ。 通常、測定にはたとえばその国に住んでいるがそこで生れたわけではない人の数などの代数変数を用いる。だがディアスポラの妥当な概念はその出自ではなく、行動によって定義される。移住率にとって重要なのは、新たな移民と関係があり、彼らを支援することができる人の数だ。その意味では、ディアスポラからの脱落率は移民の死亡率ではなく、文化や義務感の伝達によって変わってくる。 私は移民の孫だが、エルンスバッハからイギリスに移住したいと願う人の役に立つことは一切できない。祖父があとにした美しい村には一度戻ったことがあるものの、そこの人々とも、イギリスにいるほかのドイツ人の子孫たちともなんらつながりを持っていない。つまり、私はディアスポラではないのだ。だが、移民のほかの孫たちの中には、そういう意味でディアスポラに属している者もいる。 ほとんどの社会において、ディアスポラの境界線は曖昧になっている。多くが移民としての過去に片足を、主流の未来に片足を突っこんだ状態だ。(中略) 私の父がしたように、移民の子どもが今暮らしている社会の一員として自分を再定義するのかもしれない。あるいは、長い時間を経て、移民家族の子孫が母国から精神的に切り離されていくのかもしれない。切り替っていくディアスポラの割合は、年ごとに高かったり低かったりするだろう。この割合を、「吸収率」と呼ぼう。たとえば、毎年ディアスポラ100人のうち2人が主流社会に吸収されるとすれば、吸収率は2%になる。 吸収率は、移民はどこから来たか、そしてどこに来たかによって大きく異なる。政策によっても異なる。この影響については第3章でもっと徹底的に議論しよう。ところで、「エクソダス」と聞けば、ポ-ル・ニューマン主演の映画『栄光への脱出』を思い出すのだが・・・観た当時は、強制移住とかユダヤ人問題に関心があったわけではありません。『エクソダス』2:第1章 移民というタブー『エクソダス』1:プロローグ
2021.08.28
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図書館で『奇書の世界史』という本を、手にしたのです。ぱらぱらとめくると・・・コペルニクスの地動説、魔女狩り、妄想の台湾誌、スウィフトの提案等々、面白そうである。【奇書の世界史】三崎 律日著、KADOKAWA、2019年刊<「BOOK」データベース>よりこれは良書か、悪書か。時代の流れで変わる、価値観の正解。ロマン、希望、洗脳、欺瞞、愛憎、殺戮―1冊の書物をめぐる人間ドラマの数々!<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくると・・・コペルニクスの地動説、魔女狩り、妄想の台湾誌、スウィフト等々、面白そうである。amazon奇書の世界史ジョナサン・スウィフトの『穏健なる提案』という論文を見てみましょう。p95~104 『穏健なる提案』とは、正式名称を「アイルランドの貧民の子どもたちが両親および国の負担となることを防ぎ、国家社会の有益なる存在たらしめるための穏健なる提案」という、1729年に発売されたジョナサン・スウィフトによる論文です。 彼は『ガリバー旅行記』をはじめとする冒険小説の作者として有名ですが、政治風刺作家としても活動し、数多くの政治的な論文を載せたパンフレットを発表していました。『穏健なる提案』もまたその風刺論文のひとつであり、故郷アイルランドが抱えた貧困問題に対して一石を投じるべく、書き上げたものです。(中略)<スウィフトはどこまで本気なのか> スウィフトのいう「無益な提案」とは、じつはいずれもかつて政治パンフレットに書いた内容です。スウィフトはこれらの、「穏健なる提案」がいずれも「無益な提案」に終わった現状を嘆く形で、この論文を書き上げたのです。 つまり一見残酷に見える提案の数々は、不在地主や権力者たちに対して、搾取による貧困のなか死なざるを得なかった子どもたちがいる現状、彼らが口にする美食の数々は貧民の血肉を貪っているのに等しい、という強烈な皮肉だったのです。 なお、『穏健なる提案』のなかでは、食人の習慣をイギリスで紹介した者の1人として、「サルマナザールなる台湾人」を挙げています。偽りの台湾ネタを盛り込むというあたりにも、スウィフトはこの説を本心で述べたものではないことが覗えます。 そしてその皮肉は、「無益な提案」に耳を貸さなかったアイルランド国民にすら向けられています。 スウィフトは「この私案を退けたければ、現に存在している10万人のタダ飯食らいたちと、100万人の人間の形をした動物たちへの処遇としてより優れた案を出してくれ」と語っています。(中略)■「穏健」ならざる飢饉が襲いかかる アイルランドの小作農たちは、不在地主やその代理人によって徴集される税のため、家族のための食糧は自ら所有するわずかな土地で穫れる作物に限られました。 そんななか面積あたりの収穫量が多く、栄養価も高い「ジャガイモ」が南米からもたらされると、たちまちアイルランド国中の小作農がその栽培を始めました。半分に割った種芋を土に埋めておけば、貧しい土地でも半年後には何倍にもなって収穫できるため、まさに貧農たちとって命綱そのものだったのです。 しかしジャガイモには、致命的な弱点を抱えていました。同じ種芋から収穫された芋を受け継ぐため遺伝的多様性を欠き、伝染病に非常に弱かったのです。1845年から広まった「立ち枯れ病」と呼ばれる茎が腐る疫病によって、アイルランド国内のジャガイモは壊滅的な打撃を受けます。 自らの腹を満たす作物をジャガイモだけに頼っていたため、小作農の食糧庫はたちまち底をつきました。一方、小作地で栽培されていた小麦やトウモロコシは疫病を免れ、例年どおり収穫されました。しかし、そおれらはほとんどが税や小作代として不在地主たちに徴収されるのです。 こうして、アイルランド国内では人々が飢え続けているにもかかわらず、港からは食糧が運び出し続けられるという異常事態が生じたのです。なんで、スウィフトの記事が気になったかといえば、今、朝日新聞に連載されている『ガリバー旅行記』の影響があるのです。(ガリバー旅行記:60)より■第3部 ラプータ、バルニバービ、ラグナグ、グラブダブドリブ、日本渡航記 宮廷で何か官職についたらどうか、と王様は何度も勧めて下さったのですが、何としても母国に帰るという私の意志が固いことをご理解下さり、国を出る許可を下さったばかりか、日本の帝(みかど)宛ての親書も直々に書いて下さいました。 また、餞別として444枚の金貨と赤いダイヤモンドを賜り、ダイヤの方はのち英国で1100ポンドの値で売れました。暇な大使は、一面ぶち抜きのこの連載をスクラップしているのだが・・・内容はあまり読んでおりません。『奇書の世界史』1
2021.08.28
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<『奇書の世界史』1>図書館で『奇書の世界史』という本を、手にしたのです。ぱらぱらとめくると・・・コペルニクスの地動説、魔女狩り、妄想の台湾誌、スウィフトの提案等々、面白そうである。【奇書の世界史】三崎 律日著、KADOKAWA、2019年刊<「BOOK」データベース>よりこれは良書か、悪書か。時代の流れで変わる、価値観の正解。ロマン、希望、洗脳、欺瞞、愛憎、殺戮―1冊の書物をめぐる人間ドラマの数々!<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくると・・・コペルニクスの地動説、魔女狩り、妄想の台湾誌、スウィフト等々、面白そうである。amazon奇書の世界史妄想の台湾誌を見てみましょう。p33~ 『台湾誌』は1704年、イギリスのロンドンで出版されました。作者である自称・台湾人ジョルジュ・サルマナザールが、幼少期を過ごした台湾の歴史、地理、民族、風習にいたるまで事細かに記した書物です。 これは17~18世紀当時の台湾の様子を伝える文献として、これ以上望めないほどに詳細に描かれており、たいへん貴重な歴史資料であると言えるでしょう。・・・ただし。 ただ一点、この本が徹頭徹尾、サルマナザールの“妄想”をもとに書かれた完全なる偽書であることを除けば、ですが。(中略)『台湾誌』の表題ページ<ニセ修道士のサルマナザール、ニセ日本人のサルマナザール> サルマナザールは、1680年頃に南フランスで生まれました。サルマナザールという名は旧約聖書にあったアッシリアの王からとった偽名であり、本名は分かっていません。 幼少期の彼は、生家の近くにある、修道士が開く寺子屋のような場所で、様々な学問に触れて育ちました。宗教学や論理学、ラテン語の才能を開花させていきます。 その後、自分がかつて修道士から学んだように、サルマナザールもまた地域の家庭教師として生徒の指導を行うようになります。ところが、訪問先の生徒の母親から誘惑されるなどといったことから、自分の仕事に嫌気がさして辞めてしまいました。 そして、身分を修道士だと偽りながらヨーロッパ各地の放浪を始めるのです。 しばらく旅を続けるなかで、イエズス会派の宣教師たちと交流を持ち、彼らから遠い異国の「日本」なる国の話を耳にします。ニセ修道士として長い放浪を続け、その日暮らしの生活にも限界を感じていたのでしょう。彼は「日本人」を自称することを思いつくのです。(中略)<台湾人、ジョルジュ・サルマナザールの誕生> イネス牧師はまずサルマナザールに対して、宣教師たちがすでに多数赴いている日本人ではなく、未開の地である「台湾人」を名乗ることを勧めます。そして、自ら洗礼を施すことで「祖国を離れ、偉大なるイギリスへ流れ着いた博識な台湾人」という経歴でイギリス国教会へ入信させました。このとき洗礼名として授けられたのが「ジョルジュ」の名であり、このイネス牧師との出会いをもって希代のペテン師「ジョルジュ・サルマナザール」が誕生したのです。 イギリスに上陸した(とされる)サルマナザールは、主教らに「台湾語訳」イギリス国教会の「カテキズム」を送りました。今回はイネス牧師との教訓を生かし、英語と完全に対応させた独自の「台湾語」も作り出し、万全な地固めを行っています。 イギリス国内はサルマナザールに夢中になりました。英語とラテン語を流暢に話し、いままで聞いたこともない「台湾語」を操る異邦人の魅力に取り憑かれてしまったのです。大反響を見たイネス牧師は、これまでの「台湾」に関する発言を1冊の本として出版することを思いつきます。 こうして生れたのが『台湾誌』、正式名称『日本皇帝支配下の島、台湾の歴史地理に関する記述』です。 本を執筆するにあたってイネス牧師は、ツテを通じて入手した中国や日本に関するいくつかの文献をサルマナザールに渡しています。そのため『台湾誌』の記述は、サルマナザールの空想と、宣教師らが見た現実の日本や中国とが入り交じった混沌とした様相を呈しています。 まず序文(2部構成)では、読者に対しサルマナザールがれっきとした台湾人であることを印象づけるために、自分の生い立ちについてまとめています。周到なのは、400ページ近くにもおよぶ本書で、その約半分を序文に費やしていることです。 そして本題では、台湾の地理、文化、風習などが37章にわたって事細かに記されています。
2021.08.27
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図書館で『家族と社会が壊れるとき』という本を、手にしたのです。おお 是枝裕和監督とケン・ローチ監督との対談が載っているではないか♪NHK番組の取材を加筆して書籍化しているようです。【家族と社会が壊れるとき】是枝 裕和, ケン・ローチ著、NHK出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より分断、差別、忖度…「不平等な世界」をどう生きるか?映画監督ふたりが深い洞察と想像力で読み解く!大好評のNHK番組を追加取材、大幅加筆をして書籍化!<読む前の大使寸評>おお 是枝裕和監督とケン・ローチ監督との対談が載っているではないか♪NHK番組の取材を加筆して書籍化しているようです。rakuten家族と社会が壊れるときお二人が映画製作について語っているので、見てみましょう。p80~83<フィルムとデジタルはまったく別のもの>ローチ:一つ簡単な質問があります。撮影のときに使うのは、フロントボードですかエンドボードですか(シーン番号・カット番号・テイク数などを記入したボードに音の鳴る拍子木がついた、いわゆる「カチンコ」をいつ使うかという意味〇)?是枝:なるべく使わないで、気がついいたらカメラが回っていた、というのが好きなんです。ローチ:ボードはまったく使わないのですか。私も撮影の開始撮影の開始には使いませんが、エンドに使うのはオ-ケーです。 もう一つ、まだフィルムで撮影していますか、35ミリですか?是枝:35ミリでやっています。ローチ:いいですね。是枝:監督は『わたしは、ダニエル・ブレイク』で、初めてデジタル・カメラを使われたんですよね?ローチ:いいえ、デジタル・カメラは使っていません。35ミリで撮影しました。是枝:日本の解説には、『わたしは、ダニエル・ブレイク』で初めてデジタル撮影が行われたと書いてあるんですが、あれは間違いということですね?ローチ:私はデジタル・カメラが嫌いですから、決してデジタル撮影はしません。是枝:でも映写機自体はデジタルですよね。ローチ:35ミリの映写機はとても少なくなっていますから。是枝:この質問をしたのは、メイキング映像を見たら、フィルム・カメラを使っているように見えたので、おかしいなと思ったからです。ローチ:ええ、私たちはいつも、絶対にフィルムで撮影します。是枝:ということは、日本の解説が間違っていますね。ローチ:私たちはデジタルの世界に道を踏み外したことは一度もありません。これまでの作品はすべてフィルムでの撮影です。 フィルムはデジタルとはまったく別のもので、そこには深みや輝き、ニュアンス、あるいはわずかなはかなさがあります。デジタルのように、フレーム全体があまねくシャープである必用はありません。あいまいさや不思議さといった、興味をそそられるものが、フィルムで撮影された映像にはあります。映像のクオリティの違いは重要です。 また、フィルム撮影には規律が必用で、何をどう撮りたいかをじっくり考え、それを正確に成し遂げなければなりません。カメラのマガジン(ヒルムを装填する部品)の中にあるフィルムの長さが、すべての基本になります。ですから、みんなが集中して良い仕事ができるのだと思います。 それと、映画づくりには個人的な直観が大切です。セットのあちこちにモニターがあって、その場で多くの人が確認できるような状況は、とても恐ろしい。俳優たちにも悪影響を与えかねません。 ストーリーを語るためには、フィルムのほうが格段に優れているのです。『家族と社会が壊れるとき』3:映画製作について『家族と社会が壊れるとき』2:イギリスの社会経済的背景『家族と社会が壊れるとき』1:ローチ監督の『家族を想うとき』
2021.08.27
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図書館で『家族と社会が壊れるとき』という本を、手にしたのです。おお 是枝裕和監督とケン・ローチ監督との対談が載っているではないか♪NHK番組の取材を加筆して書籍化しているようです。【家族と社会が壊れるとき】是枝 裕和, ケン・ローチ著、NHK出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より分断、差別、忖度…「不平等な世界」をどう生きるか?映画監督ふたりが深い洞察と想像力で読み解く!大好評のNHK番組を追加取材、大幅加筆をして書籍化!<読む前の大使寸評>おお 是枝裕和監督とケン・ローチ監督との対談が載っているではないか♪NHK番組の取材を加筆して書籍化しているようです。rakuten家族と社会が壊れるときローチ監督が映画製作について語っているので、見てみましょう。p123~125<なぜ映画製作をやめたかったか> 私が映画製作に戻り、いまも映画をつくり続けていうのは、伝えたい物語がたくさんあるからだと思います。上映のためにどこかに行ったり、ほかの国を訪れたりすれば、毎回そこにはたくさんの物語があり、必ず誰かが話を聞かせてくれます。 私たちはついニ、三日前にスペインのサン・セバスチャン映画祭に参加しましたが、そこではスペインの介護福祉士たちがストライキをしていました。高齢者施設で介護をしている女性たちです。彼女たちが置かれている状況は、イギリスの同じような立場の女性たちとそっくりです。 雇用状態はひどく、十分な介護ができないほど時間に追われていて、しかも賃金はとても低い。私は彼女たちに会って話をしてきましたが、とても魅力的な人たちです。みながそれぞれの状況、それぞれの家族の物語をもっています。ですから、映画づくりをやめるのは難しいのです。 私たちには好奇心があります。脚本家のポール・ラヴァテも、プロデューサーのレベッカ・オブライエンも同様で、私たちはチームで仕事をしています。とくにポールとはほぼ毎日のように、テキストや電子メールをお互いに送りあっています。彼はスコットランドに住んでいるのです。家族の噂話からサッカーの勝敗まで、いろいろなメッセージをやりとりします。そしてそのなかから、ストーリーのアイデアが生まれてくる。 私たちには好奇心がありますから、常にいま何が起きているのかを知りたいと思っています。人々は生活のなかで、いくつもの困難に直面しており、どうやって生き延びていくかともがいています。そこには伝えたい物語が、ほんとうにたくさんあります。 先ほど述べたように、映画に社会を変革するほどの力はないかもしれません。でも映画は問いを立てることができます。映画の種類にもよりますが、たとえばドキュメンタリーを製作するのであれば、伝えたいいくつかの考えを明確かつ具体的なやり方で、全面的に展開することができます。ウン やっぱり脚本家の存在が大きいようですね。監督自身が脚本を書くケースもあるけど。『家族と社会が壊れるとき』2:イギリスの社会経済的背景『家族と社会が壊れるとき』1:ローチ監督の『家族を想うとき』
2021.08.27
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図書館で『エクソダス』という本を、手にしたのです。めくってみると、論文スタイルでぎっちり書かれてあり読みにくいが・・・移民、ディアスポラを扱っていて、大使のツボが疼くのです。【エクソダス】ポール・コリアー著、みすず書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より『最底辺の10億人』のグローバルな視点から、コストと便益の両方を見すえた、モデルを提示。“移民自身”“受入国の住民”“送出国に残された人々”という三つの立場にバランスよく目配りしつつ、移住のグローバルな経済的、社会的、文化的影響を分析する。<読む前の大使寸評>めくってみると、論文スタイルでぎっちり書かれてあり読みにくいが・・・移民、ディアスポラを扱っていて、大使のツボが疼くのです。rakutenエクソダス第1章から、見てみましょう。p9~10<第1章 移民というタブー> 貧しい人々による裕福な国々への移住は、有毒な関連要素が満載の現象だ。最底辺の10億人が暮らす社会における根強い大量貧困は、21世紀に対する侮辱だ。どこかほかの場所にはもっと豊かな暮らしがあることを認識し、貧困社会の若者の多くは故郷を出たくてたまらない。そして手段は合法であれ非合法であれ、実際脱出に成功する者もいる。 そうした個人的エクソダスの一件一件が、恐れおののく富裕層によって打ちたてられた官僚的障壁を乗り越える人間の精神、勇気と創造力の勝利だ。この心情から言えば、開かれた扉以外はどの移民政策も底意地が悪い。だがその移住が、自己中心的とみなされる場合もある。 自分より逼迫した状況にある他者に対する責任を無視し、労働者が扶養家族を見捨て、進取の気性に富む者はそうでない者にかまうことなく去っていく。この心情的側面から言うと、移民政策は移民自身が無視して置き去りにする人々への影響を考慮しなおす必要がある。 同じ移住が、帝国主義への逆行とみなされることさえあるかもしれない。つまり、かっつて植民地化された人々の復讐だ。移民たちは移住先の国で居留地を形成し、貧困層に属する先住者から資源を奪い、競合し、彼らの価値を引き下げる。この心情に立てば、移民政策はそこに残ったままの人々を守らなければならない。移住は心情的なものだが、予期される結果に対する心情的な反応は、政策をあらゆる方向へ動かし得る。 移民は、分析される前から政治化されてきた。貧困国から富裕国への人の移動は単純な経済プロセスだが、その影響は複雑だ。移民に関する公共政策は、この複雑さと折り合いをつけていかなければならない。 現在、移民に関する政策は移民の出身国でも移住先の国でもかなりばらつきがある。出身国の政府の中には積極的に移住を推奨し、先輩移住者であるディアスポラとのつながりを維持する公的プログラムを実施しているところもある。その一方で、出国を制限してディアスポラを敵とみなす政府もある。 受入国の移民政策は、どのくらいの人数まで移住を許可するかが国によって大きく異なる。たとえば日本は世界でもっとも裕福な国のひとつになったにもかかわらず、移民には完全に扉を閉ざしている。一方、ドバイも同じく世界でもっとも裕福な国のひとつになったが、そうなったのは移民のおかげで、移民の増加があまりにも急激なために居住人口の95%がいまや非先住民となっているほどだ。 また、移民の内訳にどれだけ厳しいかも大きく異なり、オーストラリアとカナダはアメリカよりもかなり学歴にうるさいが、そのアメリカの基準はヨーロッパよりもずっと厳しい。移住してからの移民の権利もさまざまで、先住民と同等の法的権利が与えられて親族を連れてくることが許される場合もあれば、契約労働者にしかなれず、本国送還の恐れもあり、市民としての権利は一切与えられない場合もある。 移民に対する制約もばらばらで、特定の地域にしか居住を許されず、現地の言語を学ぶことが必須とされていたり、母国語をしゃべる者同士でかたまって暮らすことを許されていたりする。移住先への同化が奨励される場合もあれば、文化的差異を保持するべきという場合もある。 これほどまでに中身が異なる公共政策を、私はほかに知らない。この政策の多様さは、異なる状況に対する洗練された反応なのだろうか? それはあやしい。私はむしろ、移民政策決定におけるこの気まぐれさは、わずかな知識で感情に任せた有害な背景を反映しているのではないかと思う。『エクソダス』1(〇) 「〇」
2021.08.26
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図書館で『エクソダス』という本を、手にしたのです。めくってみると、論文スタイルでぎっちり書かれてあり読みにくいが・・・移民、ディアスポラを扱っていて、大使のツボが疼くのです。【エクソダス】ポール・コリアー著、みすず書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より『最底辺の10億人』のグローバルな視点から、コストと便益の両方を見すえた、モデルを提示。“移民自身”“受入国の住民”“送出国に残された人々”という三つの立場にバランスよく目配りしつつ、移住のグローバルな経済的、社会的、文化的影響を分析する。<読む前の大使寸評>めくってみると、論文スタイルでぎっちり書かれてあり読みにくいが・・・移民、ディアスポラを扱っていて、大使のツボが疼くのです。rakutenエクソダス移民、ディアスポラについて語られているようだが・・・先ずプロローグを、見てみましょう。p1~3<プロローグ> 今、これを書いている私の目の前に、彼の顔がある。カール・ヘレンシュミット。この写真が撮られたころ、彼はもはや文無しの若い移民ではない。スーツを着て、イギリス人の妻を持ち、6児の父になっている。 自信たっぷりにカメラを見つめる彼は、第一次世界大戦下の移民差別によってもうすぐ家庭が崩壊することにはまったく気づいていない。イギリスはじきに、「野蛮なッフン族」から文明を守るべく戦闘に突入する。彼は、そのフン族の1人だ。 「ジョン・ブル」という名の貧乏青年に身をやつした文明は、でっち上げられた敵のリストにカール・ヘレンシュミットを書き加えた。夜になると、文明的な群集が彼の店を襲撃した。文明の代弁者が彼の妻を絞め殺そうとした。彼は、敵国人として抑留される。妻は鬱病に屈して世を去った。12歳のカール・ヘレンシュミット・ジュニアは学校を辞めさせられ、店で働かされるようになる。それから20年も経たないうちに、また戦争が起こった。カール・ヘレンシュミット・ジュニアは住まいを変え、名前も変えた。チャールズ・コリアーになったのだ。 私たちの多くは、移民の子孫だ。帰属意識という自然な感情は理屈抜きの残酷さへと容易に転換されるもので、私の家族はその犠牲になったわけだ。だが、移民に対するこのような反応は、世界共通ではない。今年、私はあの当時の反ドイツ暴動の攻撃側に父親がいたという人物とたまたま会う機会があった。無実の移民が不当な扱いを受けたという認識は、私の家族と同様、彼の家族にも語り継がれていた。 私の祖父は貧困にあえぐエルンスバッハというドイツの村を出て、当時ヨーロッパでもっとも繁栄していた町、イングランドのブラッドフォードへと移住した。ひとつの国から別の国へというだけでなく田舎の村から都会へというその移住は、貧困国から富裕国への現代の移住の典型でもある。だがブラッドフォードに到着するとすぐに、祖父の若さに満ちた冒険はすぐに限界にぶつかった。 祖父がまっすぐ飛び込んで行ったのは、「リトル・ドイツ」と呼ばれるほどせでにドイツ人移民ですし詰めになっていた地区だったのだ。同じ状況が、現在の移民にも見られる。1世紀が経った今、ブラッドフォードはもはやヨーロッパでもっとも繁栄している都市ではない。運命のいたずらで、今ではエルンスバッハのほうが繁栄しているくらいだ。 だが到着の地ではあり続け、緊張が続く都市もあり続けている。移民票によって選ばれたイギリス唯一の左翼リスペクト党(実質的にはイスラム過激派の政党だ)所属の下院議員は、ブラッドフォード出身だ。近年、移民の中には本当に敵国人が含まれている。少なくともそのうち4人が、ロンドンで57人を死に至らしめた自爆テロを起こした。移民は理屈抜きの残酷さの被害者であると同時に、加害者にもなり得るのだ。 本書は、もっとも貧しい社会、「最底辺の10億人」に関する私の研究の一環でもある。それらの国々から裕福な西側諸国へ移住しようとする人々の奮闘に、私は職業的にも個人的にも興味を覚える。結果としての大量移住(エクソダス)が取り残された人々にとって有益なのか有害なのかは、難しくも重要な問題だ。彼らは地球上でもっとも貧しい人々だが、欧米諸国の移民政策は不用意なうえに見過ごされがちな影響を彼らにおよぼす。 そうやって私たちが考えなしに彼らの社会に何をしているかを、少なくともにんしきくらいはしておくべきだ。私の周囲にも、故郷に残らなければという義務感と最大限のチャンスを生かすべきだという義務感との間で引き裂かれている友人が多くいる。 だが、本書はリベラルな考え方の人々の間で主流となっている見解を批判するものでもある。私もリベラルの一員ではあるのだが、現代の欧米社会が脱国家的な未来を受け入れるべきだというその見解については批判的だ。 私自身の家族の状況をかんがみれば、私はこの新たな通説の熱狂的信者と思われてもおかしくないかもしれない。国境で、我が家は3種類のパスポートを出す。私はイギリス、ポーリーヌはオランダ人だがイタリア育ち、ダニエルはアメリカ育ちなのでアメリカのパウポートを誇らしげに提出するのだ。ちなみに甥たちはエジプト人で、彼らの母親はアイルランド人だ。本書は、私が過去に出した著書と同様、フランスで執筆された。脱国家的な家族などというものがあるのなら、我が家は間違いなくそれだろう。
2021.08.26
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本屋の店頭で『文芸春秋(2020年8月号)』を、手にしたのです。ウーム 今月号は読みどころがたくさん載っていて、特集「中国共産党の野望と病理」も充実しているので、手元不如意の太子も・・・久々に買い求めたのです。【文芸春秋(2021年8月号)】雑誌、文芸春秋、2021年刊<Customer reviews>より①今月は中国特集号だ。一帯一路政策、サイバーテロ、宇宙人戦争、台湾への圧力、ウイグル弾圧と枚挙に暇がない。②習近平は中華帝国の再来を目指している。ウイグル弾圧や香港の民主化運動場弾圧、台湾への圧力強化が国際社会から非難されても一向に構わない。主権は中国にある。③台湾への圧力強化は間違いなく日米中関係を悪化させる。中米に挟まれて苦しむのは日本である。これ以上米中関係を悪化させないように仲介役を務めるのが日本の外交政策である。④善隣外交の手腕が日本に求められている。お勧めの一冊だ。<読む前の大使寸評>今月号は読みどころがたくさん載っていて、特集「中国共産党の野望と病理」も充実しているので、手元不如意の太子も・・・久々に買い求めたのです。amazon文芸春秋(2021年8月号)中国の情報戦略と韓国系企業の怠慢が述べられているので、見てみましょう。p112~114<狙われた「LINE」と「個人情報」:峯村健司> LINEの個人情報が中国人にアクセスされていた・・・。 筆者は朝日新聞(3月17日)で、中国・大連にあるLINEの関連会社で働く中国人スタッフが、利用者が日記のように書き込む「タイムライン」の書き込みや画像、動画などを監視していたことをスクープした。 LINEの月刊利用者数は日本国内だけで8千6百万人に上る。LINEは、単なるコミュニケーションアプリに留まらず、決済サービス「LINEペイ」や「LINEバイト」など、日常生活に関わるあらゆるサービスを展開している。また、約九百の自治体がLINE公式アカウント上で、住民からの相談や納税などに対応しているほか、東京と大阪に設置された新型コロナワクチンの大規模接種センターをはじめ、約二百の自治体でワクチン接種予約システムにも使われている。いまや「公共インフラ」と呼ぶべき存在なのだ。 折りしも、3月1日には、LINEはヤフーを傘下に持つZホールディングスと経営統合し、そのサービス総利用者数が約三億人という巨大プラットフォーマーとなっていた。 「公共インフラ」の信頼性を揺るがす事態を受け、政府も即座に対応。個人情報保護委員会と総務省が、それぞれ個人情報保護法と電機通信事業法に基き、改善を指導した。 だが、一連の報道では明かしていない事実もある。実は、LINE上の「書き込み」だけではなく、ユーザーが登録した銀行口座の女王法など、極めて高度な個人情報まで中国人スタッフにアクセスされていた可能性があるのだ。<「LINE中国」の求人情報> 記事の端緒となったのは、今年2月、中国のサイトに掲載された求人情報だった。 「ソフト開発 二万元~三万五千元(約34万~60万円)」 雇用主は「LINE中国」と記されている。2018年、韓国にあるLINEの子会社「LINEプラス」が中国・大連に設立した会社だ。世界に五つある同社の開発拠点の一つで、AIや「タイムライン」などのアプリ機能を開発をしているという。 これまで、旧知のLINE幹部から「LINEのデータ管理やアプリ開発は日本国内だけで行われている」と聞いていた。そもそも、2014年以降、中国国内では政府の規制によってLINEは使えない。本当に中国企業がLINEのアプリ開発を請け負っているのか。 本当に中国企業がLINEのアプリ開発を請け負っているのか。LINEの元社員や取引先企業の関係者に取材を重ねた。「LINE中国」は3月時点の従業員は百五人。(中略) 同社の内部資料には驚きの内容が記されていた。LINE社内では利用者の個人情報を機密性に応じて四段階に分類しているという。このうち最も機密性が高いのはLINEのIDや銀行口座情報などで、「赤」に分類。電話番号や書き込み内容を二番目に高い「オレンジ」としている。そのいずれの個人情報にも、「LINE中国」側からアクセスすることができると記されていたのだ。 3月15日、事実関係を尋ねるべく、東京・紀尾井町のZホールディングス本社で同社の中谷昇・常務執行役員や、LINEの舛田淳・取締役最高戦略マーケティング責任者らと向かい合った。 冒頭、「LINE中国」でのソウト開発について聞くと、中国のネット検索大手・百度の幹部を務めたこともある舛田氏はあっさりと事実関係を認めた。 「優秀で人件費が安い技術者が確保できたからです。残念ながら日本にはAI人材はほとんどいない。国内だけでかいはつしようとすれば、世界を相手に勝ち残ることはできません」 だが、「赤」と「オレンジ」に分類される機密度の高い個人情報が「LINE中国」内でアクセス可能だったことについて尋ねると、舛田氏の表情は一変した。 「開発過程において適切な権限を与えた技術者のみがアクセスできるようになっていました。しかし、今では安全性を考えて中国からは誰もアクセスできないような措置をとっています」 さらに、いつまでアクセスできたか突っ込んで聞くと、LINE側の回答には矛盾が目立ってきた。『文芸春秋(2021年8月号)』4:中国新人類「寝そべり族」『文芸春秋(2021年8月号)』3:量子科学衛星の脅威『文芸春秋(2021年8月号)』2:台湾侵攻「日米極秘訓練」『文芸春秋(2021年8月号)』1:中国の「巨大な監視社会」やネットカルチャー
2021.08.26
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図書館に予約していた『生贄探し』という新書を、待つこと3ヵ月でゲットしたのです。内容はヤマザキマリ×中野信子というお二人の才媛の評論、対談となっていて・・・興味深いのでおます。【生贄探し】ヤマザキマリ×中野信子著、講談社、2021年刊<「BOOK」データベース>より幸せそうな人を見ると、モヤッとする、相手が得をすると損した気持ちになる、抜け駆けする人が痛い目に遭うのは当然、お前だけを特別扱いできない、などー日本人の思考の傾向は脳の特徴だった。豊かで多様性のある生き方のために、中野信子とヤマザキマリがアドバイス。<読む前の大使寸評>内容はヤマザキマリ×中野信子というお二人の才媛の評論、対談となっていて・・・興味深いのでおます。<図書館予約:(5/14予約、8/14受取)>heibonsha生贄探しお二人の対談で「炎上」が語られているので、見てみましょう。p99~102<なぜ、日本では陰湿な炎上が起きるのか>ヤマザキ:そもそも古代ギリシャでのオリンピックというのは、戦争の肩代わりとして考案されたものです。それ以前に、神に捧げるための神事としての祭典でもあったわけですが。中野:ネット炎上のことを「祭り」と言うのも、実に寓意的であるように思えてきました。ヤマザキ:戦争も人間同士の殺戮という問題を省けば、山車や踊りで勝ち負けを決める祭りと同様の大騒ぎにはかわりない。中野:祝祭がうまく機能していないからランダムに生贄が選ばれるんですかねえ。これは宗教不在の時代の病理なのでしょうか。ヤマザキ:宗教があれば・・・、たしかに、イタリア人のようなカトリックの倫理観に紐づいた生き方をしている人たちは、どこかで慈愛という、他者を慮るスイッチが入ります。彼らはデフォルトの状態であのキリスト教的倫理を備え持っている。唯物論者であっても。中野:それは価値のある仕組みですね。ヤマザキ:長きにわたる多神教の時代を経て、利他的倫理を人々に根づかせることによって、群れとなってもごく自然にまとまることができる、という仕組みを学んだんじゃないでしょうか。それが潜在しているので、イタリアでは日本ほどのレベルの恐ろしい陰湿な炎上は起こりません。中野:そのコードから外れなければ、生贄にはならない、というわけですよね。外れたら漏れなく死ぬけれど。日本のコードはもうめちゃくちゃですよ。ヤマザキ:秩序がないですからね。中野:宗教があるほうがまだマシと思えます。昨今は、有名無名を問わず何でもかんでも生贄にされてしまう。コロナ禍の最初期からそれは始まっていかす。ダイヤモンド・プリンセス号の乗客のうちには、発症もせず陰性であることがわかっていいたのにもかかわらず地元で話題になりすぎて引っ越しせざるを得なかった人もいたといいます。ヤマザキ:イタリアでは、感染で亡くなった人はみんな実名で新聞のお悔やみ欄に掲載されますし、追悼として顔写真が出ている人もいました。集合住宅の隣の部屋に暮らす人が陽性となっても、ベランダ越しに「自宅隔離も大変だね、で、今日は気分どうなの、大丈夫? 苦しくなったら言ってね」なんて普通に会話している。何なんでしょう、この差異は。中野:祝祭の構造が機能不全に陥っているのに人間は変わっておらず、生贄が必用だから誰でも標的になるというのを、日々目の当たりにさせられるようでした。ヤマザキ:どんな理由にも、生贄としての標的になる要素が潜んでいる。中野:私がたとえばトイレで手を洗わなかったとして、その場面を仮に書きたてられたとしたら、それだけで炎上しかねないですよね。『生贄探し』2:「あなたのため」という正義『生贄探し』1:“世間体”という日本の戒律
2021.08.25
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図書館で『中国文明の謎』という本を、手にしたのです。現代の中国は嫌いであるが、始皇帝がいた頃の中華はまた別で・・・悠久の歴史が見えてくるのです。【中国文明の謎】「中国文明の謎」取材班、NHK出版、2012年刊<Customer reviews>より表紙によるとNHKスペシャル「中国文明の謎」をより楽しむためのガイドブックという位置づけの本らしい。NHKスペシャルの放送にあわせて出版される本は、それなりに分厚く、番組以外の内容も含まれていて読み応えのあるものが多い。ところが、本書は、全部で120ページ程度の本であり、内容は確かにガイドブックである。放送の内容のまとめになっているので概要はわかる。「中国王朝の至宝」という特別展に出品されている内容の紹介もあるので、実物を見に行く時の参考にもなる。<読む前の大使寸評>現代の中国は嫌いであるが、始皇帝がいた頃の中華はまた別で・・・悠久の歴史が見えてくるのです。allreviews中国文明の謎始皇帝がいた頃の秦王朝を、見てみましょう。p98~100<秦の時代と東アジア:鶴間和幸>■秦王朝と始皇帝の実像を求めて 戦国七雄の一国であった秦の王、政は、他の六国を滅ぼし、紀元前221年に中国を統一したといわれる。自ら「皇帝」を名乗り、ここに中国のファーストエンペラーが誕生した。 郡県制をもって国を支配した始皇帝の事績として真っ先に挙がるのは、『史記』秦始皇本紀が記す、「法度・衡石・丈尺を一にし、車は軌を同じくし、書は文字を同じくす」である。自国の文字や度量衡の単位、車の轍の幅を統一基準とし、全国に普及させたというのだ。 しかしそれはあくまでもスローガンとしての統一の年に掲げたものであり、実際にどのおように全土に支配を及ぼしていったのか、その実態は一般にはあまり知られていない。 戦国時代を制する力を持った君主であると同時に、始皇帝は暴君であったとも後世は評する。悪名高い「焚書坑儒」を行ない、万里の長城や都・咸陽の造営では多くの人民に犠牲を強いたというのがその理由だ。 等身大の膨大な数の兵馬俑を納めた巨大な始皇帝陵が発見されて、2014年で40年である。造営に延べ70数万人が動員されたという。あの陵墓の規模を知るだけで、どれだけの権力を手にしていたのかという興味は多くの人が持つことだろう。 こうした秦という時代や、始皇帝その人に抱く一般的なイメージは、しかし果してそのとおりなのだろうか。始皇帝に限らず、中国歴代の為政者たちは、しばしば後代に批判を受け、あるいは正当化され、政治利用されてきた。しかし大切なのh、その時代の事実を明らかにすることである。黄土高原■秦を“中華”にする発想 秦のルーツは、黄土高原の遊牧民である。馬を養う能力に優れ、始皇帝をさかのぼること600年の周王に認められ、秦という小さな土地を賜った。現在の甘粛省東端の天水あたり、黄河の支流、渭水の上流である。 それから秦は長い時間をかけて西戎の覇者となり、勢力を東に拡大し、中原といわれる中国の中心、夏、殷、周三代の王朝が築かれた黄河下流域に迫っていく。そしてついにはその地を手中に収めるのである。 黄土高原から平原に降りて戦国国家を築き、中国統一を成し遂げたあとも、秦は父祖の地の名を名乗り続けた。また都は関中平原の咸陽に置き続けている。それが秦という国のおもしろいところである。 咸陽を動かなかった理由の一つは、国境を築こうと思えば長城をつくるしかない東方の大平原と違い、咸陽のあった関中平原は四方を関所に囲まれた盆地で、守りに適した天然の要塞だったということもあるだろう。『中国文明の謎』1
2021.08.25
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図書館で『中国文明の謎』という本を、手にしたのです。現代の中国は嫌いであるが、始皇帝がいた頃の中華はまた別で・・・悠久の歴史が見えてくるのです。【中国文明の謎】「中国文明の謎」取材班、NHK出版、2012年刊<Customer reviews>より表紙によるとNHKスペシャル「中国文明の謎」をより楽しむためのガイドブックという位置づけの本らしい。NHKスペシャルの放送にあわせて出版される本は、それなりに分厚く、番組以外の内容も含まれていて読み応えのあるものが多い。ところが、本書は、全部で120ページ程度の本であり、内容は確かにガイドブックである。放送の内容のまとめになっているので概要はわかる。「中国王朝の至宝」という特別展に出品されている内容の紹介もあるので、実物を見に行く時の参考にもなる。<読む前の大使寸評>現代の中国は嫌いであるが、始皇帝がいた頃の中華はまた別で・・・悠久の歴史が見えてくるのです。allreviews中国文明の謎秦王朝について述べられているので、見てみましょう。p80~82<法律が支配する国> 中原の国々から見れば文化的には後れているとさえ考えられていた秦は、いかにして国力を蓄え、中国全土を統一することができたのだろうか。 1975年、湖北省雲夢県にある秦の時代の墓から、1100枚にものぼる竹の札に書かれた文書が見つかった。この「睡虎地秦簡」には、大量の法律文書が含まれている。 例えば、戦場で功績を挙げた者には将軍の裁量で褒賞を与える。ただし、背信行為には斬首で報いる。秦は、賞罰を厳格にした、法律が支配する国家であったことがわかる。 法の眼が及ぶのは、戦いの場面だけではない。喧嘩をした場合には、凶器の種類や傷の深さによって、刑罰が細かく定められている。また、山林の伐採や野焼きについても、厳しい定めがある。 秦では、人々の生活の隅々にまで法律の支配が浸透していた。たとえ貴族であっても、法律に従わなければ罰せられる。これは、紀元前4世紀、商オウという宰相が行った大改革の産物だった。身分や伝統といった既成概念の束縛が比較的少ない、新興国ならではの思い切った改革であった。<史上初の統一帝国> 商オウの改革以後、秦は強大な軍事力を誇るようになり、他国を圧倒していく。紀元前260年、秦軍は長平(山西省高平市)の戦いで趙軍を殲滅、40万人を生き埋めにしたという。1995年には高平市内から多数の骸骨が出土、そのすさまじさは人々を驚かせた。 そして、紀元前247年には秦王政が即位する。彼こそがのちの始皇帝であり、各国を次々に滅ぼし、紀元前221年には中国統一を完成したのである。 史上初の偉業を成し遂げた始皇帝は、その権力を誇示するべく、巨大な建築物を次々と建てていった。北方防衛のための万里の長城、壮麗な宮殿・阿房宮、そして東西約1キロメートル、南北約2キロメートルの外壁に囲まれた巨大な墓、始皇帝陵。 1974年、始皇帝陵付近の地下から、「兵馬俑」と呼ばれる、陶器で作られた実物大の兵士や軍馬の像が多数、発見されたことは、よく知られている。現在も発掘が続くその総数は、8000体と推定されている。 550年も続いた混乱の時代。戦乱の果てに、広大な大陸に暮らすさまざまな人々を統一したのは、法律と武力に支えられた強大な権力だったのである。
2021.08.25
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。で、再読シリーズとして、以下のとおりボツボツ取り上げてみます。・#46: 文芸春秋(2021年9月特別号)・#45: 文芸春秋(2021年8月号)・#44: ヤマザキマリ『たちどまって考える』・#43: 『小川洋子対話集』・#42: 村上春樹訳『マイ・ロスト・シティー』・#41: ミヒャエル・エンデ著『モモ』・#40: 日本人はなぜ存在するか・#39: 「空気」の研究・#38: 街場の大阪論・#37: 韓国 反日感情の正体・#36: トウ小平・#35: 日本語と韓国語・#34: ソウルの練習問題・#33: 『「日本」とは何か』日本の歴史00巻・#32:「王権誕生」日本の歴史第2巻・#31:新・韓国風土記(第一巻)・#30:グ印関西めぐり(濃口)・#29:リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16・#28:日韓 悲劇の探層・#27:日本人と韓国人なるほど辞典・#26:街場の文体論・#25:書いて稼ぐ技術・#24:「無法」中国との戦い方・#23:資本主義の終焉と歴史の危機・#22:村上春樹ロングインタビュー・#21:日本人はなぜ存在するか・#20:兼好法師『徒然草』 (100分 de 名著)・#19:世界マンガ体系・#18:南画と写生画・#17:ホンモノの日本語を話していますか?・#16:ストレスゼロの整理術・#15:里山資本主義<再読候補>・ノモンハン・播磨国風土記・情報の「捨て方」・老人力のふしぎ・夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです*********************************************************<『文芸春秋(2021年9月特別号)』2>本屋の店頭で『文芸春秋(2021年9月特別号)』を、手にしたのです。ウーム 今月号は読みどころがたくさん載っていて、芥川賞受賞作(二作)と台湾・蔡英文総統インタビューが決め手になって・・・8月号に続いて買い求めたのです。【文芸春秋(2021年9月特別号)】雑誌、文芸春秋、2021年刊<出版社>より〇台湾・蔡英文総統 単独インタビュー「香港、ウイグルへの弾圧を北京当局がやめるよう呼びかける。聞き手・船橋洋一〇第165回 芥川賞発表・貝に続く場所にて 東日本大震災で生き残った者の罪悪感を 文学として昇華させた石沢麻依(いしざわまい)・彼岸花が咲く島 台湾出身の作家が描く 女性が統治する島の秘められた過去とは李琴峰(りことみ)<読む前の大使寸評>今月号は読みどころがたくさん載っていて、芥川賞受賞作(二作)と台湾・蔡英文総統インタビューが決め手になって・・・8月号に続いて買い求めたのです。bunshun文芸春秋(2021年9月特別号)『文芸春秋(2021年9月特別号)』2:台湾・蔡英文総統への単独インタビュー(続き)『文芸春秋(2021年9月特別号)』1:台湾・蔡英文総統への単独インタビュー*********************************************************<『文芸春秋(2021年8月号)』5>本屋の店頭で『文芸春秋(2020年8月号)』を、手にしたのです。ウーム 今月号は読みどころがたくさん載っていて、特集「中国共産党の野望と病理」も充実しているので、手元不如意の太子も・・・久々に買い求めたのです。【文芸春秋(2021年8月号)】雑誌、文芸春秋、2021年刊<Customer reviews>より①今月は中国特集号だ。一帯一路政策、サイバーテロ、宇宙人戦争、台湾への圧力、ウイグル弾圧と枚挙に暇がない。②習近平は中華帝国の再来を目指している。ウイグル弾圧や香港の民主化運動場弾圧、台湾への圧力強化が国際社会から非難されても一向に構わない。主権は中国にある。③台湾への圧力強化は間違いなく日米中関係を悪化させる。中米に挟まれて苦しむのは日本である。これ以上米中関係を悪化させないように仲介役を務めるのが日本の外交政策である。④善隣外交の手腕が日本に求められている。お勧めの一冊だ。<読む前の大使寸評>追って記入amazon文芸春秋(2021年8月号)『文芸春秋(2021年8月号)』4:中国新人類「寝そべり族」『文芸春秋(2021年8月号)』3:量子科学衛星の脅威『文芸春秋(2021年8月号)』2:台湾侵攻「日米極秘訓練」『文芸春秋(2021年8月号)』1:中国の「巨大な監視社会」やネットカルチャー*********************************************************<再読『たちどまって考える』>本屋の店頭で『たちどまって考える』という新書を手にしたのです。パラパラとめくってみると、ヤマザキマリの最新評論集のような本になっています。これは図書館予約している場合ではないでえ・・・ということで、衝動買いしたわけでおます。【たちどまって考える】ヤマザキマリ著、中央公論新社、2020年刊<「BOOK」データベース>よりパンデミックを前に動きを止めた社会。世界を駆ける漫画家・ヤマザキマリもこれほど長期間家に閉じこもり、自分や社会と向き合ったのは初めてだった。しかしその結果「たちどまることが実は必要だったのかもしれない」という想いにたどり着く。ペストからルネサンスが開花したようにまた何かが生まれる?混沌とした日々を生き抜くのに必要なものとは?自分の頭で考え、自分の足でボーダーを超えて。あなただけの人生を進め!<読む前の大使寸評>ヤマザキマリの最新評論集のような本になっています。これは図書館予約している場合ではないでえ・・・ということで、衝動買いしたわけでおます。rakutenたちどまって考える『たちどまって考える』10:医療崩壊と自問自答『たちどまって考える』9:イタリアと中国の蜜月p34~36『たちどまって考える』8:人生は思い通りにならないp166~169『たちどまって考える』7:テレビのコンテンツに苦言を呈すp150~153『たちどまって考える』6:松田聖子は「アイドル界のカエサル」p150~153『たちどまって考える』5:日本人の教養p146~148『たちどまって考える』4:ニッポンのコロナ感染『たちどまって考える』3:ニッポンの世間体p204~206『たちどまって考える』2:外国語の習得p200~203『たちどまって考える』1:漫画家のくせにp195~197*********************************************************<『小川洋子対話集』7>図書館で『小川洋子対話集』という本を、手にしたのです。小川洋子対話集ってか…目次を見ると対話者が異色で、期待できそうである♪(帰って調べてみると、この本を4年まえに借りていたことが分かったのです。で、この記事をその7としています)【小川洋子対話集】小川洋子著、幻冬舎、2007年刊<「BOOK」データベース>より日ごろ孤独に仕事をしている著者が、詩人、翻訳家、ミュージシャン、スポーツ選手と語り合った。キョロキョロして落ち着きがなかった子供時代のこと、想像力をかきたてられる言葉や文体について、愛する阪神タイガースへの熱い想い、名作『博士の愛した数式』秘話など心に残るエピソードが満載。世界の深みと、新たな発見に心震える珠玉の対話集。<読む前の大使寸評>小川洋子対話集ってか…目次を見ると対話者が異色で、期待できそうである♪amazon小川洋子対話集『小川洋子対話集』1:翻訳家の柴田元幸さん、作家のレベッカ・ブラウンさんとの対談p69~72『小川洋子対話集』2:翻訳家の柴田元幸さん、作家のレベッカ・ブラウンさんとの対談の続きp133~136『小川洋子対話集』3:田辺聖子さんとの対談p11~14『小川洋子対話集』4:翻訳家の岸本佐知子さんとの対談p48~51『小川洋子対話集』5:田辺聖子さんとの対談(続き)p16~20『小川洋子対話集』6:翻訳家の岸本佐知子さんとの対談(続き)p71~74*********************************************************以降は再読シリーズ(#41-44)による。*****************************************************************************再読シリーズ(#1-4)再読シリーズ(#5-8)再読シリーズ(#9-11)再読シリーズ(#12-14)再読シリーズ(#15-17)再読シリーズ(#18-20)再読シリーズ(#21-23)再読シリーズ(#24-26)再読シリーズ(#27-29)再読シリーズ(#30-32)再読シリーズ(#33-34)再読シリーズ(#35-37)再読シリーズ(#38-40)再読シリーズ(#41-44)
2021.08.24
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本屋の店頭で『たちどまって考える』という新書を手にしたのです。パラパラとめくってみると、ヤマザキマリの最新評論集のような本になっています。これは図書館予約している場合ではないでえ・・・ということで、衝動買いしたわけでおます。【たちどまって考える】ヤマザキマリ著、中央公論新社、2020年刊<「BOOK」データベース>よりパンデミックを前に動きを止めた社会。世界を駆ける漫画家・ヤマザキマリもこれほど長期間家に閉じこもり、自分や社会と向き合ったのは初めてだった。しかしその結果「たちどまることが実は必要だったのかもしれない」という想いにたどり着く。ペストからルネサンスが開花したようにまた何かが生まれる?混沌とした日々を生き抜くのに必要なものとは?自分の頭で考え、自分の足でボーダーを超えて。あなただけの人生を進め!<読む前の大使寸評>ヤマザキマリの最新評論集のような本になっています。これは図書館予約している場合ではないでえ・・・ということで、衝動買いしたわけでおます。rakutenたちどまって考えるパンデミックが語られているので、見てみましょう。p87~89<医療崩壊と自問自答> 今回のパンデミックによって、イタリアは医療崩壊を起こしました。高齢化社会であることや感染者の増加を遅らせる対策を優先しなかったことなど、その理由についてはいろんな分析がされていますが、イタリア人にとっては予測できたことでもあったようです。 かつてイタリアの医療は、そのものの質や国民の健康度、システムの平等性といった指標から世界第2位(2000年、WHO調べ)と評価されるほどの高い水準を誇っていました。 ところが失政や世界的な金融危機などを受けて政府は深刻な財政難に陥り、医療費の削減を積極的に行ないました。病院の統廃合などを通じて病床数を減らし、早期退職を募っては医療従事者の数も減らした。そこであぶれたイタリアの医師たちは、海外の病院などへ流出していきました。 イタリアはコロナ対策として、引退していた医者や医療関係者2万人の再雇用や、ある程度履修した医大生や看護学校生たちの早期卒業による就業、といった対応をとったと報道されています。しかし医療スタッフ不足は、そもそも政治が招いた結果だったわけです。 ただし、フィレンツェ留学時代から、事故による怪我などで3回イタリアの病院に入院した私の経験からすれば、当時から医療の現場には余裕がなかったように思います。 3回のうち2回は病床が満員という理由で、病院の廊下にしつらえたベッドで寝て、点滴や診察もおの状態で受けました。27歳で出産したときは、産んで早々「病室が足りないので、できれば早く退院してくれ」と急き立てられたことが忘れられません。医療水準は高かったにもかかわらず、すでに医療費削減が行われていて、医療事業がうまく回っていなかったのです。 そんな経験もあって、今回、初期段階にイタリアがPCR検査を大々的に始めたときから、医療崩壊が起きるであろうことは、私も予測していました。そしてイタリア人同士でも、医療崩壊に対して「大変だ!」と騒ごうものなら、「今更何を言っているんだ。こんなことになるのはわかっていたことだろう」と言い返されるほど、既知の問題でした。 夫とも医療崩壊について話したのですが、「医療費削減を政府が推し進めたとき、俺は『イタリアは本当にバカだ』と思った。でも、考えておくべきだった。医療については『イタリアのあれが悪い、これが悪い』だけで改善することではなかったんだ」と言っていました。そして自分たちの非を一旦責め、認めることで解決の糸口を見た、というようなことを話していました。 こうした自問自答の末に反省し、前へ進める答えへ向かうという思考パターンは、イタリア人たちとの会話でよく感じていることです。『たちどまって考える』9:イタリアと中国の蜜月p34~36『たちどまって考える』8:人生は思い通りにならないp166~169『たちどまって考える』7:テレビのコンテンツに苦言を呈すp150~153『たちどまって考える』6:松田聖子は「アイドル界のカエサル」p150~153『たちどまって考える』5:日本人の教養p146~148『たちどまって考える』4:ニッポンのコロナ感染『たちどまって考える』3:ニッポンの世間体p204~206『たちどまって考える』2:外国語の習得p200~203『たちどまって考える』1:漫画家のくせにp195~197
2021.08.24
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本屋の店頭で『文芸春秋(2021年9月特別号)』を、手にしたのです。ウーム 今月号は読みどころがたくさん載っていて、芥川賞受賞作(二作)と台湾・蔡英文総統インタビューが決め手になって・・・8月号に続いて買い求めたのです。【文芸春秋(2021年9月特別号)】雑誌、文芸春秋、2021年刊<出版社>より〇台湾・蔡英文総統 単独インタビュー「香港、ウイグルへの弾圧を北京当局がやめるよう呼びかける。聞き手・船橋洋一〇第165回 芥川賞発表・貝に続く場所にて 東日本大震災で生き残った者の罪悪感を 文学として昇華させた石沢麻依(いしざわまい)・彼岸花が咲く島 台湾出身の作家が描く 女性が統治する島の秘められた過去とは李琴峰(りことみ)<読む前の大使寸評>今月号は読みどころがたくさん載っていて、芥川賞受賞作(二作)と台湾・蔡英文総統インタビューが決め手になって・・・8月号に続いて買い求めたのです。bunshun文芸春秋(2021年9月特別号)中ロのサイバー攻撃にさらされている昨今であるが「経済安全保障」について、見てみましょう。p146~150<「経済安全保障」とは何か?:北村滋> 去る7月7日をもって国家安全保障局(NSS)局長を退任しました。1980年の警察庁入庁から始まった公務員人生は実に41年にわたりますが、そのうち最後の9年6ヶ月を総理官邸で過ごしたことになります。 「こういう職業は無限にできるわけではない」 退官に当たり、親友で、アメリカの国家情報長官を歴代最も長く務めたジェームズ・クラッパー氏は、こんな言葉を贈ってくれました。全く同感です。 どこかのタイミングで辞めるべきだし、そんなに長くやるべき職務ではない。今年の12月で65歳になりますから。フランス語のCa suffit.ほど強烈ではありませんが、もう十分だと思います(笑)。 既に報じられていますうが、退任後、しばらくは右変形性股関節症の手術と治療に専念します。今年に入ってから夜も眠れないほど痛みが酷く、鎮痛剤を手放せない状態が続いていました。 NSS局長には、2019年9月に就任し、主に外交・安全保障政策の司令塔役を担ってきました。この間、日本では安倍政権から菅政権へ、アメリカではトランプ政権からバイデン政権へと、政権移行と政権交替を経験しました。 こうした政権の過渡期において日米同盟をいかに維持し、深化させるかに注力しました。アメリカの国家安全保障会議(NSC)との折衝は非常に気を遣いましたが、日米の安全保障政策の継続性を維持し、志を一つにすることが出来たと思います。 NSCで手がけた大きな仕事の一つは、2020年4月に「経済班」を設置して、経済安全保障政策を推進したことです。この経済班は、「経済分野における安全保障」の司令塔となり、政策の企画立案・総合調整を行うもの。経産省出身の藤井敏彦内閣審議官の下に、財務省・総務省・外務省・警察庁から出向している四人の参事官がおり、総勢約20人(2021年7月11日時点)ですが、一騎当千の体制です。■無人ヘリの不正輸出 世界では正に今「経済安全保障」の時代が到来しています。「安全保障」といえば軍事を思い浮かべる方も多いと思いますが、その安全保障の分野が近年、経済へと拡大しつつあるのです。 かつては、インターネットのように軍事由来の技術が民間に転用されていましたが、今やAIやドローンを始めとした民間の先端技術が軍事転用されており、産業構造の地殻変動が起きています。覇権主義を強める中国も、軍と民間企業が一体となる「軍民融合」政策を進め、軍事力の強化を図っています。 警察官僚として私は外事畑が長く、外為法(外国為替及び外国貿易法)違反の事件を数多く手がけてきましたが、日本の先端技術が易々と他国に流出していく様子を目の当たりにしました。 ヤマハ発動機の無人ヘリコプター不正輸出はその一つです。 2007年2月、静岡・福岡両県警は、農薬散布や空中撮影等で使う無人ヘリコプターを中国・北京の空撮会社に輸出しようとした容疑で、ヤマハ発動機の幹部らを逮捕しました。無人ヘリは軍事転用が可能なため外為法で輸出が規制されていますが、ヤマハは性能を故意に過小申告し、中国への不正輸出を続けていました。輸出先は、人民解放軍とも密接に関係しており、軍事転用された可能性が濃厚です。 外国の情報機関が軍事、政治の機密情報を入手するのは、極論すると過去の話になりつつあります。世界各国における情報機関の矛先は、政府や企業が保有する先端技術に向けられています。NSSの「経済班」は、こうした世界情勢の変化に対する危機感から発足したのです。 我が国でも、安全保障と経済を横断する領域で様々な問題が生じています。後でご説明いますが、中国の大手IT企業・テンセントによる楽天への出資、東芝における外資規制と株主議決権の問題、LINEの個人情報問題、日本学術会議と「千人計画」の関係。誰もが知る企業やニュースの背景には「経済安全保障」の問題が多々存在します。 しかしながら、日本国内において「経済安全保障」の概念は、永田町・霞が関の一部を越えてあまり共有されておらず、危機感も高まっていません。世界で今何が起こっているのか、日本ではどのような制度が必要なのか。NSSの「経済班」を立ち上げた責任者として説明すべきだと思い、インタビューをお受けしました。 経済安全保障とは何か。明確な定義こそありませんが、大きく分けると三つの側面が見えてきます。 その一つが「エコノミック・ステイトクラフト」とも呼ばれる概念で、経済的措置を外交・安全保障に活かし、国益を追求するというものです。最も直裁で分かりやすい例が経済制裁です。 民主党政権下の2010年、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の際に、船長を日本政府が拘束したことに中国が抗議し、レアアースの対日輸出を停止しました。その結果、レアアースの価格は高騰し、日本企業は負担を強いられることになった。経済的措置を通じて他国を「攻撃」するものといえます。 二つ目は防御的側面。いかに自国の技術を守るかということです。先ほどお話ししたように、日本企業が有する様々な先端技術が海外流出しているう現状があります。外国企業が日本企業を買収することで、人材を含めた技術が流出していく例もあります。このような事態を外為法を始めとする法令でいかに防ぐかが重要になってきます。 三つ目が「自由で開かれた国際経済システム」の維持です。法の支配、自由で公正な貿易、民主主義といった共通の価値観に基き、経済的な連携をとっていく。日米豪印の「QUAD」等の枠組みを通じて、こうした価値観に合致する国際的なルールを形成していく必要が出てくるでしょう。(中略)■中国の視線の先 経済安全保障についての危機意識が高まった契機は、言うまでもなく中国の経済的・軍事的台頭です。1990年代以降、中国は、共産党一党支配の政治力を背景に、広大な国土と人口規模を生かし、軍事力と経済力を拡大してきました。 しかし、近年、西側の先進諸国が考える「国際秩序」と中国のそれとでは大きな隔たりがあることが明らかになってきました。西側先進国が目指す国際秩序は、先ほどお話ししたように、 「自由で開かれた、法の支配に基づく世界」。それぞれの国が平等で、法の支配・自由・平等を尊重するという同じ価値観に基いて、連携をとる世界です。 一方で、中国が目指す「国際秩序」とは何か。習近平国家主席は頻繁に「新しい形の国際関係の仕組み」という言葉を使いますが、これは現状の「国際秩序」への挑戦に他なりません。中国はかねてから巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げ、アジアやアフリカの発展途上国に対し、インフラ整備のための桁違いの投資を行なってきました。 その上で最終的に目指しているのは、中国の資金を潤滑油とする、非公式な同盟による枠組み形成です。しかも、対等な繋がりではなく、中華思想に基づく、中国を頂点としたピラミッド型の国家連合を目指しているのではないでしょうか。 これまで西側諸国は、中国と技術覇権を巡って競争するなかで、「同じ目標に向かって一位二位を争っている」ものだと思い込んできた。それが、実はそうではなかった。ただ単に技術的な競争をしているわけではなく、習近平主席の視線の先には、我々が想像するのと全く異なる未来が広がっていることが明確になりつつあります。『文芸春秋(2021年9月特別号)』2:台湾・蔡英文総統への単独インタビュー(続き)『文芸春秋(2021年9月特別号)』1:台湾・蔡英文総統への単独インタビュー
2021.08.24
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図書館で『家族と社会が壊れるとき』という本を、手にしたのです。おお 是枝裕和監督とケン・ローチ監督との対談が載っているではないか♪NHK番組の取材を加筆して書籍化しているようです。【家族と社会が壊れるとき】是枝 裕和, ケン・ローチ著、NHK出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より分断、差別、忖度…「不平等な世界」をどう生きるか?映画監督ふたりが深い洞察と想像力で読み解く!大好評のNHK番組を追加取材、大幅加筆をして書籍化!<読む前の大使寸評>おお 是枝裕和監督とケン・ローチ監督との対談が載っているではないか♪NHK番組の取材を加筆して書籍化しているようです。rakuten家族と社会が壊れるときローチ監督がイギリスの社会経済的背景を語っているので、見てみましょう。p111~115<自由市場の正体とは> 私の父は工場で働いていました。ちちの生れた家には十人の子どもがいましたが、兄弟はみな炭鉱労働者になりました。しかしちちだけは炭鉱では働かずに、工作機械の工場で働きました。 彼はかなり頑張って働き、一種の下級管理職となって、機械のメンテナンスを担当しました。彼は週7日、1年52週のうち50週は毎日働きました。週末の土曜と日曜は昼の1時でしたが、平日は朝6時には家を出て、夜6時に帰ってきました。 これが労働者階級の人間というものです。私の母はよく、「あたしは工場と結婚したのよ」と言っていました。当時子どもだった私は普通のことだと思っていましたが、自分が家を出てから、父の工場に対する献身ぶりに改めて気づかされました。 父は46年間働いて、退職しましたが、そのとき会社が払った退職金は、たったの46ポンドです。とても気前がいいとは言えません。いまになってみると、明らかな搾取だと思います。雇用主は、父に払った賃金以上の価値を、父の労働から得ていました。それこそが剰余価値です。 雇用主は父の労働から奪ったものを、全員に分配すべきでした。それは一緒に働く人たちや、老人や子ども、病院その他もろもろのもののために使われるべきで、雇用主個人の私有財産にすべきではなかったのです。 こうした問題を抱えているのは、イギリスだけではありません。いままさに世界中で起きていることだと思います。私たちは自由市場経済の世界に住んでいます。そして、この世界は労働者階級と、彼らの労働から利益を得て、生産手段を占有しコントロールしている支配階級とに分かれます。(中略)■ある種の怒りは生産的になり得る 怒りという感情に意味がないという人もいますが、私はある種の怒りは生産的になり得ると思っています。ただし危険なのは、極右の人間によってその怒りが利用されることです。 彼らはこう言います。非難すべきは上司ではなく、金持ちでもない。自分よりも貧しい人や、肌の色が異なる人、料理の匂いが異なる人、異なる神を崇拝する人だ。そうした人間が仕事を奪い、住む家を奪っているのだ、と。 これが極右のやり方です。私たちは1920年代や30年代に、ファシズムが引き起こしたことを知っています。そしてまさにいまトランプがやっていることを見ています。ですから、怒りが生産的・建設的でないことに使われると危険なのです。 私たちが大切にすべきは、敬意や尊厳です。敬意や尊厳とは、私たちがみな、「権利」を持っていると互いに認め合うことを言います。私たちはみな、社会に貢献し、生きるために必要なものに支払うだけの収入を得る権利があります。 それらが確保されれば、私たちの子育てや仕事はずいぶん楽になるでしょう。生活においって、スポーツやレジャー、音楽やアート、演劇、また映画でさえ楽しむ時間を持てるようになります。子どもたちと過ごす時間もそうです。経済的ストレスも金銭的な欠乏もない生活をおくることは、私たちの精神的健康にとってとても良いことですう。 もちろん、それで家族の問題がすべて解決するわけではありません。家族はいつだってさまざまな問題を抱えています。それが人間というものです。しかし、いずれにしても敬意や尊厳にもとづく安全な環境と、安全なコミュニティが必用だというのが、私の考えです。ウーム マルクス経済学の知識に裏打ちされたお話しになるのが、いかにもローチ監督ではおまへんか。ところで、ローチ監督作品で一番好きなものと問われたら、『天使の分け前』となるので紹介します。【天使の分け前】ケン・ローチ監督、2012年、英仏伊、ベルキ-制作<Movie Walker解説>より「麦の穂をゆらす風」で第59回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを獲得したケン・ローチ監督が、トラブルばかり起こす青年がウイスキーと出会ったことにより成長していく様を描いたヒューマン・コメディ。“天使の分け前”とは、ウイスキーが熟成する過程で年2%ずつ減っていくその減少分を指す言葉。第65回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞作品。【ストーリー】スコッチ・ウイスキーが根付くスコットランド。この地は今、不況にあえいでいた。家族とうまくいっておらず何かにつけ暴力沙汰を起こしてきたロビー(ポール・ブラニガン)は、またしても問題を起こし捕まる。しかし恋人との間にできた子どもがじき生まれることを鑑みて、刑務所送りではなく社会奉仕活動をするよう言い渡される。そこで指導者のハリーと出会い、ウイスキーの奥深さを知ったロビーは、次第にテイスティングの才能を目覚めさせていく……。<観る前の大使寸評>スコッチ・ウイスキー、社会奉仕活動をケン・ローチ監督が描く、それもコメディタッチで描くということだが・・・ケン・ローチ監督のコメディはどんなかな♪Movie Walker天使の分け前『家族と社会が壊れるとき』1(〇) 「〇」
2021.08.23
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図書館で『家族と社会が壊れるとき』という本を、手にしたのです。おお 是枝裕和監督とケン・ローチ監督との対談が載っているではないか♪NHK番組の取材を加筆して書籍化しているようです。【家族と社会が壊れるとき】是枝 裕和, ケン・ローチ著、NHK出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より分断、差別、忖度…「不平等な世界」をどう生きるか?映画監督ふたりが深い洞察と想像力で読み解く!大好評のNHK番組を追加取材、大幅加筆をして書籍化!<読む前の大使寸評>おお 是枝裕和監督とケン・ローチ監督との対談が載っているではないか♪NHK番組の取材を加筆して書籍化しているようです。rakuten家族と社会が壊れるとき是枝監督がローチ監督の『家族を想うとき』について語っているので、見てみましょう。p33~35<家族というモチーフ> ローチ監督の最新作の邦題は『家族を想うとき』です。先ほども簡単に触れましたが、これは崩壊寸前の家族の姿を描いた映画です。 原題は異なっていて、『Sorry We Missed You』。これは宅配便の不在連絡票に記されている文言と、家族の想いを掛けたタイトルです。「残念ながらお会いできませんでした」という事務的なことばに、仕事で忙しい父親に向けた家族の想いを表す、「私たちはあなたに会えなくて寂しかった」という意味が重ねられています。 僕も映画のなかで、さまざまな「家族」の姿を描いてきました。じつは、「もうホームドラマは離れます」と何度か公言してきたのですが、結局またホームドラマをベースにした物語を撮ってしまう。だから、もう「ホームドラマは離れます」とは言わないことにしようと思っています(そんな自分自身もふくめて、つくり手の言うことをあまり信用しないほうがいいとも思いますが・・・)。 前作の『万引き家族』も、「家族」とタイトルについてはいますが、ホームドラマかというと、ちょっと違う意識でつくったことには違いないのです。あの登場人物の「家族」は、ほんとうの家族ではありません。 彼らは家族共同体から排除されたり、家族共同体がつくれなかったりした人たちだから、その人たちがある種の幻想として、家族的な共同体を求めた結果が、彼らが同居しているあの家です。 だからあそこでの彼らの振る舞いは、彼らが憧れて手に入れられなかった、昭和の雰囲気を色濃く残す三世代同居の、家族的な共同体を実現しようとしているわけです。それはある種ファンタジックなものとして、すでに現実にはなくなっているけれども、彼らが思い描いている「家族」という共同体です。 フランスで撮影した最新作の『真実』(2019)は、カトリーヌ・ドヌーブさん演じる母と、ジュリエット・ビノシュさん演じる娘の物語なので、その意味では「家族」の話ではあるのですが、ホームドラマかと聞かれると、これも自分ではちょっと違うものをつくったつもりではあります。 もちろん撮影前に描きたいと思っていたテーマと、撮り上がった映画が表現しているテーマが、必ずしもイコールではなかったりすることは多々あります。また作品がどこに辿りつくのか、自分でもあまり明快にわからなかったりする場合もありますし、わかったつもりでしゃべっていても、観た人がどう受け取るかは別問題。それが映画づくりの難しさであり、面白さでもあるのかな、と思います。くだんの二本立て館で1年ほど前に『家族を想うとき』を見たので紹介します。【家族を想うとき】ケン・ローチ監督、2019年、英仏ベルギー制作、2020.6.27観賞<Movie Walker作品情報>より「わたしは、ダニエル・ブレイク」のケン・ローチ監督が引退宣言を撤回し、時代の波に翻弄される家族の絆を描いた人間ドラマ。マイホームを建てるため父はフランチャイズの宅配ドライバーになるが、過酷な労働条件に振り回され、家族との時間を奪われていく。労働時間を定めずに締結される労働契約、いわゆるゼロ時間契約について取り上げている。第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。<大使寸評>宅配便ドライバーの過酷な労働環境をケン・ローチ監督が描いているわけで・・・イギリス最下層を描くぶれない政治性が立派ではないか。たぶんこの作品が監督の遺作になると思われるのです。ケン・ローチ監督といえば「麦の穂をゆらす風」と「天使の分け前」の2作が忘れ難いが、ハリウッドとは違う作風が大使好みである。Movie Walker家族を想うとき
2021.08.23
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今回借りた4冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「世界史」でしょうか♪<市立図書館>・家族と社会が壊れるとき・エクソダス・中国文明の謎・奇書の世界史<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【家族と社会が壊れるとき】是枝 裕和, ケン・ローチ著、NHK出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より分断、差別、忖度…「不平等な世界」をどう生きるか?映画監督ふたりが深い洞察と想像力で読み解く!大好評のNHK番組を追加取材、大幅加筆をして書籍化!<読む前の大使寸評>おお 是枝裕和監督とケン・ローチ監督との対談が載っているではないか♪NHK番組の取材を加筆して書籍化しているようです。rakuten家族と社会が壊れるとき【エクソダス】ポール・コリアー著、みすず書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より『最底辺の10億人』のグローバルな視点から、コストと便益の両方を見すえた、モデルを提示。“移民自身”“受入国の住民”“送出国に残された人々”という三つの立場にバランスよく目配りしつつ、移住のグローバルな経済的、社会的、文化的影響を分析する。<読む前の大使寸評>めくってみると、論文スタイルでぎっちり書かれてあり読みにくいが・・・移民、ディアスポラを扱っていて、大使のツボが疼くのです。rakutenエクソダス【中国文明の謎】「中国文明の謎」取材班、NHK出版、2012年刊<Customer reviews>より表紙によるとNHKスペシャル「中国文明の謎」をより楽しむためのガイドブックという位置づけの本らしい。NHKスペシャルの放送にあわせて出版される本は、それなりに分厚く、番組以外の内容も含まれていて読み応えのあるものが多い。ところが、本書は、全部で120ページ程度の本であり、内容は確かにガイドブックである。放送の内容のまとめになっているので概要はわかる。「中国王朝の至宝」という特別展に出品されている内容の紹介もあるので、実物を見に行く時の参考にもなる。<読む前の大使寸評>追って記入allreviews中国文明の謎【奇書の世界史】三崎 律日著、KADOKAWA、2019年刊<「BOOK」データベース>よりこれは良書か、悪書か。時代の流れで変わる、価値観の正解。ロマン、希望、洗脳、欺瞞、愛憎、殺戮―1冊の書物をめぐる人間ドラマの数々!<読む前の大使寸評>追って記入amazon奇書の世界史************************************************************図書館大好き504
2021.08.23
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・池井戸潤『半沢直樹 アルルカンと道化師』(11/29予約、副本33、予約644)現在159位・村上春樹『一人称単数』(1/27予約、副本26、予約301)現在38位・白井聰『武器としての「資本論」』(4/06予約、副本9、予約89)現在40位・52ヘルツのクジラたち(4/15予約、副本20、予約592)現在378位・桐野夏生『日没』(4/24予約、副本24、予約300)現在158位・鎌田由美子『「よそもの」が日本を変える』(4/26予約、副本1、予約6)現在1位・マイケル・サンデル『実力も運のうち』(5/05予約、副本1、予約73)現在21位・『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』(5/30予約、副本2、予約16)現在8位・『ザリガニの鳴くところ』(6/04予約、副本17、予約315)現在239位・『生態学者の目のツケドコロ』(6/28予約、副本3、予約21)現在15位・『チャイニーズ・タイプライター』(7/17予約、副本1、予約3)現在3位・福岡伸一『生命海流』(7/24予約、副本1、予約16)現在22位・ブレイディみかこ『他者の靴を履く』(8/14予約、副本8、予約81)・ブリーディング・エッジ(8/22予約、副本2、予約9)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・8月の果て・ある日うっかりPTA(副本4、予約39)・グレタたったひとりのストライキ<予約候補>・『コロナ危機の政治』・『大人の恐竜図鑑』・『レアメタルの地政学』・猫が30歳まで生きる日:図書館未収蔵・ビジョナリー・カンパニー・『中国戦線、ある日本人兵士の日記』・『理不尽ゲーム』 ・野外鳥類学を楽しむ・オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る・岡ノ谷一夫『さえずり言語起源論』・小野正嗣『多和田語の世界』:図書館未収蔵・本村凌二『馬の世界史』・藻谷浩介『進化する里山資本主義』・多和田葉子『文字移植』:図書館未収蔵・高野秀行「怪獣記」・橋本治『黄金夜界』・中園成生『日本捕鯨史』・高野秀行「ワセダ三畳青春記」・ヘミングウェイで学ぶ英文法:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・ネルケ無方著『迷える者の禅修業』<予約分受取:6/15以降> ・ケン・リュウ『生まれ変わり』(5/26予約、6/15受取)・田口俊樹『日々翻訳ざんげ』(4/29予約、6/20受取)・『超ひも理論と宇宙のすべてを支配する数式』(6/14予約、7/03受取)・平松洋子『韓国むかしの味』(7/05予約、7/09受取)・カズオ・イシグロ『クララとお日さま』(3/20予約、7/18受取)・内田樹『コモンの再生』(1/05予約、8/06受取)・『中国の大盗賊』(8/01予約、8/06受取)・岸本佐知子『ねにもつタイプ』(8/07予約、8/14受取)・ヤマザキマリ『生贄探し』(5/14予約、8/14受取)***********************************************************************【半沢直樹 アルルカンと道化師】池井戸潤著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとに、とある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版舎・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とはー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/29予約、副本33、予約644)>rakuten半沢直樹 アルルカンと道化師【一人称単数】村上春樹著、文藝春秋、2020年刊<「BOOK」データベース>より短篇小説は、ひとつの世界のたくさんの切り口だ。6年ぶりに放たれる、8作からなる短篇小説集。【目次】石のまくらに/クリーム/チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ/ウィズ・ザ・ビートルズ/ヤクルト・スワローズ詩集/謝肉祭/品川猿の告白/一人称単数<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/27予約、副本26、予約301)>rakuten一人称単数【武器としての「資本論」】白井聰著、東洋経済新報社、2020年刊<「BOOK」データベース>より資本主義を内面化した人生から脱却するための思考法。【目次】本書はどんな『資本論』入門なのか/資本主義社会とは?-万物の「商品化」/後腐れのない共同体外の原理「無縁」-商品の起源/新自由主義が変えた人間の「魂・感性・センス」-「包摂」とは何か/失われた「後ろめたさ」「誇り」「階級意識」-魂の「包摂」/「人生がつまらない」のはなぜかー商品化の果ての「消費者」化/すべては資本の増殖のためにー「剰余価値」/イノベーションはなぜ人を幸せにしないのかー二種類の「剰余価値」/現代資本主義はどう変化してきたのかーポスト・フォーディズムという悪夢/資本主義はどのようにして始まったのかー「本源的蓄積」/引きはがされる私たちー歴史上の「本源的蓄積」/「みんなで豊かに」はなれない時代ー階級闘争の理論と現実/はじまったものは必ず終わるーマルクスの階級闘争の理論/「こんなものが食えるか!」と言えますか?-階級闘争のアリーナ<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/06予約、副本9、予約89)>rakuten武器としての「資本論」【52ヘルツのクジラたち】町田そのこ著、中央公論新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より52ヘルツのクジラとはー他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれるー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/15予約、副本20、予約592)>rakuten52ヘルツのクジラたち【日没】桐野夏生著、岩波書店、2020年刊<「BOOK」データベース>よりあなたの書いたものは、良い小説ですか、悪い小説ですか。小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。出頭先に向かった彼女は、断崖に建つ海辺の療養所へと収容される。「社会に適応した小説」を書けと命ずる所長。終わりの見えない軟禁の悪夢。「更生」との孤独な闘いの行く末はー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/24予約、副本24、予約300)>rakuten日没【「よそもの」が日本を変える】鎌田由美子著、日経BP、2021年刊<出版社>よりコロナ禍で日常生活や働き方が激変し、心のどこかで「これまで通りの生き方で本当にいいのか」と悩んでいる人も多いのではないだろうか。ニューノーマルは見たことのない世界ではなく、「デジタル化」「多様性」「環境意識」といった後回しにしてきた問題が目の前に突き付けられただけーー。JR東日本でエキナカや地域活性化を成功させてきた著者が、「『What if?』という自問自答が必要」「仕事と生き方は融合していく」「サステナブルが日常に」など、個人や企業の「これからの生き方」を提示する。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/26予約、副本1、予約6)>rakuten「よそもの」が日本を変える【実力も運のうち】マイケル・サンデル著、早川書房、2021年刊<「BOOK」データベース>より「努力と才能で、人は誰でも成功できる」この考え方に潜む問題が見抜けますか?100万部突破『これからの「正義」の話をしよう』から11年ー格差と分断の根源に斬りこむ、ハーバード大学哲学教授の新たなる主著。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/05予約、副本1、予約73)>rakuten実力も運のうち【分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議】河合香織著、岩波書店、2021年刊<「BOOK」データベース>よりクラスター対策に「3密」回避。未知の新型コロナウイルスに日本では独自の対策がとられたが、その指針を示した「専門家会議」ではどんな議論がなされていたのか?注目を集めた度々の記者会見、自粛要請に高まる批判、そして初めての緊急事態宣言…。組織廃止までの約五カ月、専門家たちの議論と葛藤を、政権や行政も含め関係者の証言で描く迫真のノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/30予約、副本2、予約16)>rakuten分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議【ザリガニの鳴くところ】ディーリア・オーエンズ著、早川書房、2020年刊<商品の説明>よりノースカロライナ州の湿地で村の青年チェイスの死体が発見された。人々は真っ先に、「湿地の少女」と呼ばれているカイアを疑う。6歳のときからたったひとりで生き延びてきたカイアは、果たして犯人なのか? 不気味な殺人事件の?末と少女の成長が絡み合う長篇<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/04予約、副本17、予約315)>rakutenザリガニの鳴くところ【生態学者の目のツケドコロ】伊勢武史著、ベレ出版、2021年刊<「BOOK」データベース>より生物と生物、生物と環境との関係を調べる、生物学の一分野である生態学。生きものについて知りたい、自然を守りたいと願う人にとって、生態学的な見方は必ず役に立つ。自然と生きもの、人間との関係を見つめ直す7つの章。【目次】第1章 人に囲まれて/第2章 暮らしのなかで/第3章 文化に触れて/第4章 外国を旅して/第5章 里山に生きて/第6章 森を歩いて/第7章 研究をとおして<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/28予約、副本3、予約21)>rakuten生態学者の目のツケドコロ【チャイニーズ・タイプライター】トーマス・S・マラニー著、中央公論新社、2021年刊<「BOOK」データベース>より中国語タイプライターの“不可能性”から繙かれる圧巻の言語技術文化史。漢字についての発想の転換や戦時中の日中関係、入力や予測変換といった現在につながる技術の起源まで、波瀾と苦渋に満ちた展開を鮮やかに辿る。<読む前の大使寸評>圧巻の言語技術文化史ってか・・・これは読むしかないでぇ♪<図書館予約:(7/17予約、副本1、予約3)>rakutenチャイニーズ・タイプライター【生命海流】福岡伸一著、朝日出版社、2021年刊<「BOOK」データベース>より福岡伸一、ガラパゴス諸島へ。ダーウィン進化論を問い、“本来の生命のあり方”を精密に描き出す。旅のリアルと思索が行き来する、まさしく「動的平衡」なガラパゴス航海記。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本1、予約16)>rakuten生命海流【他者の靴を履く】ブレイディみかこ著、文藝春秋、2021年刊<「BOOK」データベース>より“負債道徳”、ジェンダーロール、自助の精神…エンパシー(意見の異なる相手を理解する知的能力)×アナキズムが融合した新しい思想的地平がここに。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/14予約、副本8、予約81)>rakuten他者の靴を履く【ブリーディング・エッジ】トマス・ピンチョン著、新潮社、2021年刊<出版社>よりITバブルは弾けたが新世紀の余韻さめやらぬニューヨークで、子育てに奮闘する元不正検査士の女性。知人の仕事を手伝い覗いたネットの深部で見つけたのは、不穏なテロの予兆だった。NYの、そして世界の運命は肝っ玉母さんの手に――オタク的こだわりと陰謀論にあふれる、謎に満ちたアメリカ文学の巨人が放つビッグバン。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/22予約、副本2、予約9)>shinchoshaブリーディング・エッジ【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死【8月の果て】柳美里著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>rakuten8月の果て予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索システム図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。
2021.08.22
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『イエスの幼子時代』という小説を読んだところだが・・・・最近はどういうわけか、先住民や移民を描いた文学作品(絵本、ルポルタージュを含む)を読む傾向が見られるのです。それらを、以下のとおり集めてみました。・熱源(2019年刊)・地球にちりばめられて(2018年刊)・『i』(2016年刊)・イエスの幼子時代(2016年刊)・バラカ(2016年刊)・紙の動物園(2015年刊)・図説 ユーラシアと日本の国境(2014年刊)・アマゾン、シングーへ続く森の道(2012年刊)・氷山の南(2012年刊)・移民の宴(2012年刊)・東方的(2012年刊)・アライバル(2011年刊)・隣のアボリジニ(2010年刊)・北緯14度(2008年刊)・帰郷ノート/植民地主義(2004年刊)・ワイルド・ソウル(2003年刊)・李朝残影 : 梶山季之朝鮮小説集(2002年刊)・スワロウテイル(1999年刊)・熱風大陸(1988年刊)R8:『図説 ユーラシアと日本の国境』を追記【熱源】川越宗一著、文藝春秋、2019年刊<「BOOK」データベース>より故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太のアイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説。<読む前の大使寸評>島田雅彦の『エトロフの恋』という小説を最近読んだのだが、ロシア美人と残留朝鮮人のオモニが登場します。そしてこの『熱源』ではロシア美人と樺太アイヌが登場するわけで、舞台設定が似てなくもないのです。<図書館予約:(6/08予約、副本33、予約676)>rakuten熱源『熱源』2『熱源』1********************************************************************【地球にちりばめられて】多和田葉子著、講談社、2018年刊<「BOOK」データベース>より留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語“パンスカ”をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る―。言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。<読む前の大使寸評>言語学的なSFは、モロに太子のツボであるが・・・ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語“パンスカ”をつくり出したHirukoという元ニッポン人が、興味深いのです。<図書館予約:(2/18予約、8/28受取)>rakuten地球にちりばめられてパンスカという言葉がややはすっぱに響くのだが・・・汎スカンディナビアの短縮形なんだって、著者の言語感覚が鋭いというべきか♪『地球にちりばめられて』1********************************************************************【i】西加奈子著、ポプラ社、2016年刊<「BOOK」データベース>より「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日、数学教師は言った。ひとりだけ、え、と声を出した。ワイルド曽田アイ。その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。ある「奇跡」が起こるまではー。「想うこと」で生まれる圧倒的な強さと優しさー直木賞作家・西加奈子の渾身の「叫び」に心揺さぶられる傑作長編!<読む前の大使寸評>今でも本屋の店頭で平積みされている小説であり、これは期待できそうやでぇ♪<図書館予約:(1/06予約、4/26受取)>rakuteni********************************************************************【イエスの幼子時代】J・M・クッツェー著、早川書房、2016年刊<「BOOK」データベース>より初老の男が5歳の少年の母親を捜している。2人に血の繋がりはなく、移民船で出会ったばかりだ。彼らが向かうのは過去を捨てた人々が暮らす街。そこでは生活が保障されるものの厳しい規則に従わねばならない。男も新たな名前と経歴を得てひとりで気ままに生きるはずだったが、少年の母親を捜し、性愛の相手を求めるうちに街の闇に踏み込んでゆく―。人と人との繋がりをアイロニカルに問う、ノーベル文学賞作家の傑作長篇。 <読む前の大使寸評>過去を捨てた人々が暮らす街てか・・・・なんか面白そうやでぇ♪<図書館予約:(7/27予約、11/05受取)>amazonイエスの幼子時代イエスの幼子時代byドングリ********************************************************************【バラカ】桐野夏生著、集英社、2016年刊<「BOOK」データベース>より震災のため原発4基がすべて爆発した!警戒区域で発見された一人の少女「バラカ」。ありえたかもしれない日本で、世界で蠢く男と女、その愛と憎悪。想像を遙かに超えるスケールで描かれるノンストップ・ダーク・ロマン!<読む前の大使寸評>震災のため原発4基がすべて爆発・・・怒りの作家が描く近未来というべきか。待つこと約9ヶ月で、やっとゲットできました。今のところ最長待機記録の本でおます。読み始めたが、並行して進行する三つのストーリーが、老年決死隊とかブラジルからの移住日系人とか養子願望の未婚女性とか…どれをとってもニッポンの課題のような人々を描いています。果たしてこれらのストーリーはどのように繋がるのか?あるいは繋がらないのか?<図書館予約:(5/01予約、1/22受取)>rakutenバラカ********************************************************************【紙の動物園】江弘毅著、早川書房 、2015年刊<「BOOK」データベース>よりぼくの母さんは中国人だった。母さんがクリスマス・ギフトの包装紙をつかって作ってくれる折り紙の虎や水牛は、みな命を吹きこまれて生き生きと動いていた…。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞という史上初の3冠に輝いた表題作ほか、地球へと小惑星が迫り来る日々を宇宙船の日本人乗組員が穏やかに回顧するヒューゴー賞受賞作「もののあはれ」、中国の片隅の村で出会った妖狐の娘と妖怪退治師のぼくとの触れあいを描く「良い狩りを」など、怜悧な知性と優しい眼差しが交差する全15篇を収録した、テッド・チャンに続く現代アメリカSFの新鋭がおくる日本オリジナル短篇集。<読む前の大使寸評>3冠に輝いた現代アメリカSFの新鋭ってか・・・・期待できそうやでぇ♪<図書館予約:(9/27予約、4/12受取)>rakuten紙の動物園********************************************************************【図説 ユーラシアと日本の国境】岩下明裕, 木山克彦編著、北海道大学出版会、2014年刊<商品説明>より日本とユーラシアの国境・境界の問題をよく知るためのビジュアル本。国境の変遷やそれに伴う人々の暮らしの変化、境界をまたいで活躍した人々など、多数の地図と写真から国境地域の歴史と現在に迫る。北大博物館で試みたボーダースタディーズ(境界研究)の実験的展示の成果。<読む前の大使寸評>おお ユーラシア諸国や日本の領土問題の少数民族が満載の図説である。やはりロシアや中国が頻出するが、それだけ覇権国家なんだろう。rakuten図説 ユーラシアと日本の国境『図説 ユーラシアと日本の国境』1:********************************************************************【アマゾン、シングーへ続く森の道】白石絢子著、ほんの木、2012年刊<「BOOK」データベース>より今日は東京あさってアマゾン。若い感性で出会ったインディオの村、驚きと不思議!進む開発、消えゆくジャングル。インディオの暮らすアマゾンの森で今、何が起きているのか。<読む前の大使寸評>先頃、『ワイルド・ソウル』を読んで余韻も覚めやらぬなか、インディオの暮らすアマゾンが気になったのです。ある意味、人類学的フィールドワークといえるのではないか♪rakutenアマゾン、シングーへ続く森の道********************************************************************【氷山の南】池澤夏樹著、文藝春秋、2012年刊<「BOOK」データベース>より2016年1月、18歳のジン・カイザワは、南極海の氷山曳航を計画するシンディバード号にオーストラリアから密航する。乗船を許されたジンは厨房で働く一方、クルーや研究者たちのために船内新聞をつくることに。多民族・多宗教の船内で、ジンはアイヌの血という自らのルーツを強く意識する。女性研究者アイリーンとともに、間近で見る氷山に畏怖の念を覚えるジン。真の大人になるための通過儀礼を経て、プロジェクトに反対する信仰集団と向き合う。このプロジェクトの行方は…。21世紀の冒険小説。<読む前の大使寸評>冒険小説というマイナーなジャンルであるが、たまには夢を見たいではないか。池澤さんの長篇小説といえば、『カデナ』以来となるのだが…読んでみるか♪主人公の18歳のジンはアイヌの血が混じる青年で、少数民族交換事業の一環でニュージーランドで学んでいたという設定である。英語がペラペラの18歳のアイヌ系日本人というのはなんだか没入できないところもあるが・・・そんなのは読者の狭量なのかも。rakuten氷山の南『氷山の南』2byドングリ********************************************************************【移民の宴】高野秀行著、講談社、2012年刊<「BOOK」データベース>より突撃、隣の外国人の食卓。日本初の比較“ごはん”文化論的ルポ。【目次】成田のタイ寺院ーThailand/イラン人のベリーダンサーーIran/震災下の在日外国人/南三陸町のフィリピン女性ーPhilippines/神楽坂のフランス人ーFrance/中華学校のお弁当ーTaiwan/群馬県館林市のモスクーMuslim/鶴見の沖縄系ブラジル人ーBrazil/西葛西のインド人ーIndia/ロシアン・クリスマスの誘惑ーRussia/朝鮮族中国人の手作りキムチーKorean Chinese/震災直後に生まれたスーダン人の女の子、満1歳のお誕生日会ーSudan <読む前の大使寸評>「比較ごはん文化論的ルポ」という切り口が、いかにも高野秀行やでぇ♪rakuten移民の宴移民の宴3byドングリ********************************************************************【東方的】中沢新一著、講談社、2012年刊<「BOOK」データベース>よりボストークー東の方。人間を乗せた最初の宇宙船の名前である。偉大なる叡智=ソフィアは、科学技術文明と近代資本主義が世界を覆い尽くす時こそが、真実の危機だと告げる。バルトーク、四次元、熊楠、マンダラ、シャーマニズム、製鉄技術、方言、映画とイヨマンテ…。多様なテーマで通底する「無意識」に、豊饒な叡智を探求する。<大使寸評>スラブ民族や熊楠曼荼羅など、果ては四次元的推論まで縦横無尽に書きつくす(あるいは書き散らす?)中沢さんの頭の中は、どうなっているのだろうと、驚いたのです。shogakukan東方的********************************************************************【アライバル】ショーン・タン著、河出書房新社、2011年刊<「BOOK」データベース>より新たな土地に移民した者が、その土地で生まれ変わり、新生児のように成長していく。そこには過去の自分を捨てなければならない辛さと、新しい人生を歩むチャンスを手にした幸せとの両面がある。それをまるでサイレント映画のように一切の文字を使用せず表現した、究極の文字なし絵本。 <大使寸評>大型本でハードカバーであるので重厚感があり、表紙の装丁も古めかしくいい感じです。そして、なによりセリフが無い、絵ばっかりである。絵の中に意味不明の文字が描かれているが、新規に入国した移民にとっては読めないわけです。・・・セリフが無い、従って翻訳文もないわけで、絵本の中には読める文字が一切無いわけです。小さなコマ割りが並んだページは、サイレント映画の弁士の説明みたいなものでストーリーを補足してくれます。また映画といえば・・・移民船の到着はエリア・カザンが『アメリカ・アメリカ』でよく似たシーンを描いています。モノクロで全体的に暗く労働者の悲哀を描くということでは、テリー・ギリアム『未来世紀ブラジル』を彷彿とします。ま~、字のない絵本を飽きもせずながめているが、ひとえにショーン・タンの画力によるのでしょう♪個人的には、古代のヒエログリフに接するように、稀有な文化的体験であるが(笑)・・・・まるで、韓国で迷子になった時と同じで、シュールな趣きがあり、しびれるわけでおま♪Amazonアライバルアライバルbyドングリ********************************************************************【隣のアボリジニ】上橋菜穂子著、筑摩書房、2010年刊<「BOOK」データベース>より独自の生活様式と思想を持ち、過酷な自然のなかで生きる「大自然の民」アボリジニ。しかしそんなイメージとは裏腹に、マイノリティとして町に暮らすアボリジニもまた、多くいる。伝統文化を失い、白人と同じように暮らしながら、なおアボリジニのイメージに翻弄されて生きる人々。彼らの過去と現在をいきいきと描く、作家上橋菜穂子の、研究者としての姿が見える本。池上彰のよくわかる解説付き。<読む前の大使寸評>アボリジニといえば、自然人、岩絵を描くアーティストというイメージがあるのだが・・・上橋さんが報告する現代のアボリジニが興味深いのです。<図書館予約:(5/03予約、5/24受取)>rakuten隣のアボリジニ隣のアボリジニbyドングリ********************************************************************【北緯14度】絲山秋子著、講談社、2008年刊<「BOOK」データベース>より 30年の時を越え、やっと神様に会える!西アフリカ・セネガルへの魂の旅。友だちと出会うこと、自分の居場所を見つけること、言葉の本当の意味をさがすこと、大切なことを考え続けた長篇紀行。<読む前の大使寸評>おお 絲山秋子の長篇紀行ってか・・・それも西アフリカ・セネガルへの旅というド田舎と言うか、キワモノではないか♪rakuten北緯14度北緯14度byドングリ********************************************************************【帰郷ノート/植民地主義論】エメ・セゼール著、平凡社、2004年刊<「BOOK」データベース>より【目次】序 偉大なる黒人詩人(アンドレ・ブルトン)/帰郷ノート/植民地主義論/エメ・セゼール小論(砂野幸稔)/解説 しかし神話は殺せるだろうかーネグリチュードをめぐる蜂起と寛容(真島一郎)【著者情報】 セゼール,エメ(C´esaire,Aim´e) 1913年西インド諸島のフランス領マルティニック島に生まれる。18歳でパリに渡り、高等師範学校に学ぶ。セネガルのL.S.サンゴールと出会い、1930年代、フランス植民地主義の同化政策を批判し、黒人存在の文化的・政治的尊厳回復を訴える「ネグリチュード(黒人性)」の思想を生み出した。 ネグリチュードに到るまでの意識発展のドラマである『帰郷ノート』が、ブルトンらシュルレアリストたちに絶賛されただけでなく、『植民地主義論』等による西欧批判と、解放の思想を追求する詩、戯曲等は、現在も世界中で読みつがれている。<読む前の大使寸評>エメ・セゼールの存在を絲山秋子の小説『離陸』で知ったのだが、気になるのです。…で、この本を図書館で予約していたのです。しかしまあ、ネグリチュード(黒人性)という思想を打ち立てた詩人というマルチタレントがすごいですね。<図書館予約:(12/10予約、12/15受取)>heibonsha帰郷ノート/植民地主義論********************************************************************【ワイルド・ソウル】垣根涼介著、幻冬舎、2003年刊<商品説明>より遺恨、情愛、希望、再生。歴史の闇に葬り去られてしまう前に──。今、最後の矜持を胸に、国家を相手に壮大な復讐劇の幕が上がる! 嵌められた枠組みを打破するために颯爽と走り出した男女の姿を圧倒的なスケールと筆致で描く、史上最強の書き下ろしクライム・エンターテイメント1314枚!<読む前の大使寸評>史上最強の書き下ろしエンターテイメントとは、大きく吹いているで。読み始めると、ブラジル移民が出てくるお話のようです。かつて拓務省が、満州への入植を奨励したが・・・戦後、ニッポン官僚は棄民政策のようなブラジル移民を奨励したことが、知られていますね。役所のなかで三流と呼ばれる外務省、農水省、文科省などがあるが、この棄民を推進したのは外務省だったかな?高給で閨閥優先で知られた外務省の気風は、戦後75年にもなる現在、改善されているだろうか?<図書館予約:(11/27予約、12/15受取)>rakutenワイルド・ソウル********************************************************************【李朝残影 : 梶山季之朝鮮小説集】梶山季之著、インパクト出版会、2002年刊<「BOOK」データベース>より梶山季之が生まれ育った「ふるさと」植民地下朝鮮を描く作品群。【目次】族譜/李朝残影/性欲のある風景/霓のなか/米軍進駐/闇船/京城・昭和十一年/さらば京城/木槿の花咲く頃/族譜(広島文学版)/エッセイ(韓国の“声なき声”を推理する/朴大統領下の第二のふるさと/京城(ソウル)よ わが魂(ソウル)/魂の街 ソウル)<読む前の大使寸評>最近まで、梶山季之といえばエロ&サスペンス?の作家だと思っていたが、朝鮮からの引き揚げ者で、朝鮮に関して数多くの作品を残していることを知ったわけです。大使にとって土地勘もあり思い出の多い朝鮮なので、これから読んでみようと思うのです。<図書館予約:(11/28再予約、12/04受取)>rakuten李朝残影 : 梶山季之朝鮮小説集李朝残影 : 梶山季之朝鮮小説集byドングリ********************************************************************【スワロウテイル】岩井俊二著、角川書店、1999年刊<「BOOK」データベース>より円を掘りに来る街。それがイェンタウンだ。日本人はこの呼び名を嫌い、自分たちの街をそう呼ぶ移民たちを逆にイェンタウンと呼んだ。ヒョウとリンとフニクラは墓荒らしで小金を稼ぎ、グリコは売春で生計を立て、身寄りのないアゲハを引き取った。ある日、客のひとりがアゲハを襲い、隣人のアーロウが客を殺してしまう。すると腹の中からテープが飛び出し、代議士のウラ帳簿が見つかる。飽和状態のイェンタウンで、欲望と希望が渦巻いていった。映画『スワロウテイル』の岩井俊二監督自身によるもうひとつの原作小説。<読む前の大使寸評>映画『スワロウテイル』を観て良かったので、その原作を読んでみようと思い立ったのです。amazonスワロウテイル********************************************************************【熱風大陸】椎名誠著、講談社、1988年刊<「BOOK」データベース>より『恐るべき空白』!150年前、熱気70度のオーストラリア砂漠を旅した男たちのロマンを追いかける。<読む前の大使寸評>たまたま椎名誠著『駱駝狩り』を読んだところだが、その話がカラー写真付きで詳しく載っているのが、ええでぇ♪若い頃の椎名の砂漠旅行となると、バカげの至りで期待できそうやで。<図書館予約:(11/16予約、11/20受取)>amazon熱風大陸『熱風大陸』2byドングリ『イエスの幼子時代』の著者J・M・クッツェーはオーストラリアに住んでいるようだが、大使が読んだ作品群は、結果的にオーストラリアにからむ文学作品になっています。
2021.08.22
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早朝に散歩する太子であるが、南東の空に月と金星が見えるのです。ちょうど三日月の内側に金星が位置しているが、これって中東諸国が好むマークではないか。また、このマークは春分と関係があるのではないか?テレビでは炎暑による熱中症の危険性について注意をうながしているが・・・「小さい秋」の気配が見えないわけでもないでぇ♪『日本のならわしとしきたり』という蔵書に二十四節季の記事があることを思い出したのです。【日本のならわしとしきたり】ムック、 徳間書店、2012年刊<内容紹介>ありふれたムック本ということなのか、ネットにはデータがありません。<大使寸評>とにかく「今日は二十四節季でいえば、何になるか♪」を知りたいロボジーにとって、座右の書となるでしょう♪Amazon日本のならわしとしきたりおわら風の盆この本で、処暑のあたりを見てみましょう。和暦p22<処暑>太陽の勢いが鎮まり、新涼の気配を感じるころ 現行の暦では、8月23日ころ第1日目を迎え、白露(9月9日ころ)に入る前日までの15日間が「処暑」となる。 ちなみに二十四節季の名称には、1日目のみを指す場合と期間全体をさす場合があり、混同を避けるため、初日を「処暑の日」、期間全体を「処暑」あるいは「処暑節季」と呼び区分している。 処暑に入ると『暦便覧』に「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすれば也」と記されている通り、夏の太陽の勢いが徐々に鎮まり、朝夕は過しやすい陽気となる。春先のひと雨ごとに暖かくなる「三寒四温」に対して、逆バージョンの現象といえよう。 処暑の期間の行事には、教育関連では夏休みの終了と新学期の始まり。地域の催しでは、子供達の健やかな成長を願って開催される「地蔵盆」、二百十日の台風などがある。地蔵盆は京都を中心とした近隣地区のならわし。残念ながら関東以北では行われていない。 処暑の期間の七十二候には、「綿のはなしべ開」綿を包む萼(がく)が開く、「天地始粛」ようやく暑さが鎮まる、「禾乃登(こくものすなわちみのる)」米などが実る、がある。 綿花がはじけ、中の白い綿が見える。これは、収穫が近いことを表している。【風祭】 日本各地において、毎年二百十日前後に行われる風を鎮めるための祭り。二百十日は台風来襲の特異日のため、収穫前の農作物が被害に遭わないように祈願することが目的。富山県八尾の「おわら風の盆」が代表例である。二十四節季の立秋に注目(復刻)
2021.08.22
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図書館で『図説 ユーラシアと日本の国境』という本を手にしたのです。おお ユーラシア諸国や日本の領土問題の少数民族が満載の図説である。やはりロシアや中国が頻出するが、それだけ覇権国家なんだろう。それにしても、ボーダースタディーズ(境界研究)というわりとニッチな分野があることを、この本で知ったのです。さすが北大というべきか♪【図説 ユーラシアと日本の国境】岩下明裕, 木山克彦編著、北海道大学出版会、2014年刊<商品説明>より日本とユーラシアの国境・境界の問題をよく知るためのビジュアル本。国境の変遷やそれに伴う人々の暮らしの変化、境界をまたいで活躍した人々など、多数の地図と写真から国境地域の歴史と現在に迫る。北大博物館で試みたボーダースタディーズ(境界研究)の実験的展示の成果。<読む前の大使寸評>おお ユーラシア諸国や日本の領土問題の少数民族が満載の図説である。やはりロシアや中国が頻出するが、それだけ覇権国家なんだろう。rakuten図説 ユーラシアと日本の国境サーミ先住民という視座が語られているので、見てみましょう。p89~95<第7章 先住民という視座からの眺め> 先住民と呼ばれる人々は、世界の様々な地域に居住し、それぞれの先住民を取り巻く状況は多様である。本グローバルCOEプログラムでは、先住民と境界に関わる展示を2度実施した。 1度目は、2010年11月から2011年5月まで実施された第4期展示「先住民と国境」である。本展示は、会期を前半と後半に分けて実施された。前半では、北米先住民ヤキの事例から地理的な国境に関するトピックを取り上げ、後半ではアイヌの事例から、概念的な境界に関するトピックを取り上げた。 2度目は、2012年5月から12月まで実施された第7期展示「北極圏のコミュニケーション 境界を越えるサーミ」である。本展示は、フィンランドを中心に北欧の国境を越えて生活するサーミの暮らしぶりと国境との関わりを中心に取り上げた。 これら先住民に関わる展示が取り上げたトピックは様々であるが、そこで扱われるテーマには共通点も認められる。例えば、ヤキにおける儀礼の場では、アイヌと共通した境界に関わる実践が認められ、そこでは様々な境界が錯綜している。また、アイヌの伝統的な居住地域の一部は現在ロシアの管轄下にあるが、サーミにおいてもノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアと4国にまたがって暮らしている現状があり、ここには近代国家間による国境策定と先住民に関わるいくつかの共通点を認めることができる。 境界研究では、先住民という視座を得ることで鮮明に見えてくる課題も少なくない。さらに境界を意識することで、目の前の風景がいままでとは違って見えてくることもある。これら先住民と境界に関する展示を通して、観覧者が先住民と呼ばれる人々に関心を抱くとともに、一人一人が日常のなかに当然視していた境界に疑問を抱き、その歴史に興味を持ち、自らの内と外の世界を見直す契機となったら幸いである。■北極圏のコミュニケーション:境界を越えるサーミ サーミは、北欧に住む先住民である。伝統的居住地は、スカンジナビア半島北部からコラ半島に及ぶが、近代国家の成立により、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、ロシアに分断された。現在、北欧・ロシア全体で約7万人が暮らすと推定されている。各国に組み込まれるなかで、サーミの人々は、文化的・経済的に差別されるとともに、各国の多数派の文化へ同化されることを強いられてきた。 この展示では、とくにフィンランドのサーミ(約9000人が暮らすとされる)に焦点をあてて、歴史や生活文化を紹介した。またどのようにサーミの言語、生活文化を維持・継承し、国境により分断されたサーミのネットワークを取り戻そうとしているのか、サーミの人々とフィンランドを含む北欧諸国の取り組みを紹介することとした。(中略)■アイヌと境界 本展示の中心は、『アイヌと境界 pet kamuynomi ペッカムイノミ 川の神への祈り』というタイトルの映像作品である。その内容は、2010年9月10日に財団法人アイヌ民族博物館で実施されたペッカムイノミ(川の神への祈り)と呼ばれる儀礼に参加した4人の1日の様子を、4台のビデオカメラで同時進行的に追うものとなっている。ペッカムイノミとは、漁期の始まる前に、カムイチェブ(サケ)が無事に遡上し、豊漁となることを祈願するアイヌの儀礼のことである。 映像作品のコンセプトおよび撮影総括は、山崎幸治と北原次郎太(ともに北大アイヌ・先住民研究センター)が担当した。作品では、4人の儀礼参加者(被写体)が、それぞれの日常生活から儀礼の場に参集し、またそれぞれの日常生活へと戻っていく様子が映し出される。そこには「日々の暮らし/伝統文化」「現在/過去」「日常/非日常」「職場/家庭」「カメラマン/被写体」「アイヌ/和人」「録画ボタンのオン/オフ」「正装/普段着」など多種多様な「境界」を見出すことができる。 そして、それらの「境界」が、重なり、交差し、もつれ合い、融け合うような感覚を視聴者に抱かせ、複数の解釈が可能な作品となっている。またクレジットが流れるエンドロールにNGシーンを中心とした映像を付し、本作品が創られたものであることを印象付ける。この映像作品自体も、現実との間に「境界」を生み出しているのである。 本映像作品は、儀礼参加者被写体)とカメラマンがペアとなって撮影された。てんじでは、それに対応するように4ペア(8人)の等身大写真のタペストリーとともに、全員の撮影当日の声(感想)をパネルとして展示した。観覧者は、それぞれ異なるポジションから発せられるコメントを読み比べることで、複数の「境界」の存在を意識化することが可能となる。アイヌのサケ迎え(ペッカムイノミ)といえば、『カムイの世界』という本に詳しく出ていました。『カムイの世界』1『図説 ユーラシアと日本の国境』3:亡命と移住の文学『図説 ユーラシアと日本の国境』2:日本最西端の与那国島『図説 ユーラシアと日本の国境』1:ユダヤ系ドイツ語作家
2021.08.21
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図書館で『村上春樹翻訳ほとんど全仕事』という本を、手にしたのです。めくってみると、村上さんが訳した本が、それぞれの表紙の画像と寸評が並んでいて・・・見るだけで楽しくなるビジュアル本でおます。【村上春樹翻訳ほとんど全仕事】村上春樹著、中央公論新社、2017年刊<「BOOK」データベース>より同時代作家を日本に紹介し、古典を訳し直す。音楽にまつわる文章を翻訳し、アンソロジーを編む。フィッツジェラルド、カーヴァー、カポーティ、サリンジャー、チャンドラー。小説、詩、ノンフィクション、絵本、訳詞集…。1981年刊行の『マイ・ロスト・シティー』を皮切りに、訳書の総数七十余点。小説執筆のかたわら、多大な時間を割いてきた訳業の全貌を明らかにする。<大使寸評>めくってみると、村上さんが訳した本が、それぞれの表紙の画像と寸評が並んでいて・・・見るだけで楽しくなるビジュアル本でおます。個人的にはレイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』、『さようなら、愛しい人』やスコット・フィッツジェラルドの『マイ・ロスト・シティー』がお気に入りです。rakuten村上春樹翻訳ほとんど全仕事村上春樹と翻訳家・柴田元幸さんとの対談(続き)で、お二人の翻訳テクニックを、見てみましょう。p172~175<古びそうな言葉はできるだけ使わない> 村上:僕の家の本棚には、柴田さんの本専用のスペースみたいなのがあって、そこでは毎月のように本が増殖していっくという印象があるんですが、訳書は年間何冊くらい出していますか?柴田:二、三冊くらいじゃないですか。今は「MONKEY」という雑誌をやっていますから、それが年に三冊出ますが、本格的な長篇小説の翻訳書は年に一冊か、せいぜい二冊ですね。あとは、細かくやってきたことの副産物みたいなものとか、あとエドワード・ゴーリーの絵本なんかも訳しているので、けっこう数としてはたくさんに見えますね。村上:しかし柴田さんがやっているのはかなり難度の高いものが多いからなあ。柴田:村上さんは、訳してみたらこれは失敗だったなと思ったことってあります?村上:いちおう最後まで読んで、よし、これをやろうと思ってやるわけだから、ハズレというのはほとんどないですね。それでも「こんな大変なものやるんじゃなかったよな」と後悔することはたまにあります。柴田:僕は最初のころは、やれと言われたものはほとんどなんでも引き受けたから、そうすると、この短篇はちょっとなあ、というのはありましたね。さっき話題に出た「ハッピーエンド通信」というのを加賀山弘さんという人がやったわけですけど、その次の「Par AVION」という雑誌を彼がつくったあたりから僕は翻訳を始めて、加賀山さんがけっこう使ってくれたんですけど、なんでもほいほい引き受けていました。 これはちょっとなあ、みたいなものも・・・。でもそういうのは、今かんがえると断るべきだったですね。作品にも失礼だったなと思う。まあ、ちゃんとベストは尽して、敬意をもって訳したつもりですけど。村上:翻訳って、弟子をとる人っているんですかね。柴田:翻訳学校の先生をやっていると、師弟関係ができちゃうんじゃないですかね。よくわかりませんが。村上:翻訳学校というのがちゃんとあるんだ。柴田:ええ。僕もたまに講演に行きます。ある学校に二年続けて喋りに行ったら、「去年と同じTシャツ着てますね」っていわれました(笑)。翻訳家になるいちばん確実なルートではありますよね。翻訳学校の生徒になるというのは。編集部:柴田さんの講座を受講した人が、「悪文といわれるような文章を、かんなをかけたみたいにきれいにしちゃいけない」というお話が印象的だった、と言っていました。とすると、これは日本語として読みづらいなという訳文も、あえてそのままにされるんですか?柴田:そこは難しいところですね。まず、少なくとも原文よりわかりにくくなってはいけないというのは大原則です。その一方で、ところどころで立ち止まらせるような文章が、いまふうに言う「サクサク読める」訳文になってもいけない。 いまだにその答えはないんですけど、ちょっとへんな、崩れている文章だから崩して訳そうと思うと、たんに下手な日本語にしかならないということは、いつも悩みとしてありますね。ちなみに「かんな」の比喩は岸本佐知子さんです。村上:あと、four-letter words(四文字熟語)をどこまで訳すか。これはもうケースバイケースしかないけど。柴田:単語単位で考えないほうがいいですね。段落全体で、乱暴な感じとか、卑猥な感じとかが等価になるのを目指すのがいいと思う。村上:「このメス犬」とか、「売女」とか、ああいうのはかんべんしてくれよなって思いますよね(笑)。でも最近、“bitch”は「ビッチ」である程度いけるようになってきました。「ファック」もだいたいそのままでいける。これは翻訳者としてはすごくありがたいことです。柴田:いや、ほんとに。村上:社会的にみればあまり褒められたことじゃないのかもしれないけど(笑)。最近は「マザーファッカー」も、僕はそのままにしちゃっていることが多いですね。「クール」もそのまま使えるシチュエーションが増えてきて、なかなか便利になりました。編集部:流行語を使うと翻訳が古びるのが早くなりますか。村上:それはありますよね。振るい翻訳書を読んでいて、「イカしてる」なんて書いてあると、なんなんだと思うものね。「すかしてやがるぜ」とかさ。ですから、僕が翻訳する場合にも、早く古びそうな言葉はできるだけ使わないというのが、けっこう大事なことになります。 「これはあとまで残るかな? それともそのうちに消えちゃうかな?」というぎりぎり境界線上の言葉や表現もあって、このへんの判断はなかなか難しいですね。 結局は翻訳者のセンスの問題になります。英語がすごくできる人でも、必ずしも良い翻訳者にはなれないというのは、そういう部分があるからでしょうね。編集部:英語より日本語のほうが、新しい言い回しが使われる傾向があるのでしょうか。柴田:日本語は変わりますね。『ガリヴァー旅行記』なんか18世紀に書かれたのに、言葉は現代とそんなに変わらない。シェイクスピアが書いていたのが16世紀末、17世紀はじめあたりで、そのへんで大きく変わって、そのあとは、そんなに変わってないですね。『村上春樹翻訳ほとんど全仕事』4:村上春樹×柴田元幸の翻訳機具『村上春樹翻訳ほとんど全仕事』3:村上春樹×柴田元幸の翻訳談義『村上春樹翻訳ほとんど全仕事』2:『さようなら、愛しい人』『村上春樹翻訳ほとんど全仕事』1:『マイ・ロスト・シティー』(
2021.08.21
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今回借りた4冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「予約本」でしょうか♪<市立図書館>・ペリリュー・沖縄戦記・図説 ユーラシアと日本の国境・生贄探し・ねにもつタイプ<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【ペリリュー・沖縄戦記】ユージン.B・スレッジ著、講談社、2008年刊<「BOOK」データベース>より「戦争は野蛮で、下劣で、恐るべき無駄である」。硫黄島に匹敵する損害率を記録した一九四四年秋のペリリュー島攻略戦、そして四五年春の沖縄上陸戦。二つの最激戦地でアメリカ海兵隊の一兵歩が体験した「栄光ある戦争」の現実とは?敵味方を問わずおびただしい生命を奪い、人間性を破壊する戦争の悲惨を克明かつ赤裸々に綴る、最前線からの証言。<読む前の大使寸評>終戦記念日が近くなると、新聞やテレビ放送でも戦記ものが増えてきます。この本ではアメリカ海兵隊の一兵士の体験が綴られているが、戦闘の実態が明らかにされたドキュメンタリーとなっているようです。rakutenペリリュー・沖縄戦記【図説 ユーラシアと日本の国境】岩下明裕, 木山克彦編著、北海道大学出版会、2014年刊<商品説明>より日本とユーラシアの国境・境界の問題をよく知るためのビジュアル本。国境の変遷やそれに伴う人々の暮らしの変化、境界をまたいで活躍した人々など、多数の地図と写真から国境地域の歴史と現在に迫る。北大博物館で試みたボーダースタディーズ(境界研究)の実験的展示の成果。<読む前の大使寸評>おお ユーラシア諸国や日本の領土問題の少数民族が満載の図説である。やはりロシアや中国が頻出するが、それだけ覇権国家なんだろう。rakuten図説 ユーラシアと日本の国境【生贄探し】ヤマザキマリ×中野信子著、講談社、2021年刊<「BOOK」データベース>より幸せそうな人を見ると、モヤッとする、相手が得をすると損した気持ちになる、抜け駆けする人が痛い目に遭うのは当然、お前だけを特別扱いできない、などー日本人の思考の傾向は脳の特徴だった。豊かで多様性のある生き方のために、中野信子とヤマザキマリがアドバイス。<読む前の大使寸評>内容はヤマザキマリ×中野信子というお二人の才媛の評論、対談となっていて・・・興味深いのでおます。<図書館予約:(5/14予約、8/14受取)>heibonsha生贄探し【ねにもつタイプ】岸本佐知子著、筑摩書房、2007年刊<ALL REVIEWS>より観察と妄想と思索が渾然一体となったエッセイ・ワールド。ショートショートのような、とびっきり不思議な文章を読み進むうちに、ふつふつと笑いがこみあげてくる。<読む前の大使寸評>ショーン・タンの絵本の翻訳者でもある著者は、やはりかなり変り者のようですね。<図書館予約:(8/07予約、8/14受取)>allreviewsねにもつタイプ************************************************************図書館大好き503
2021.08.21
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本屋の店頭で『文芸春秋(2021年9月特別号)』を、手にしたのです。ウーム 今月号は読みどころがたくさん載っていて、芥川賞受賞作(二作)と台湾・蔡英文総統インタビューが決め手になって・・・8月号に続いて買い求めたのです。【文芸春秋(2021年9月特別号)】雑誌、文芸春秋、2021年刊<出版社>より〇台湾・蔡英文総統 単独インタビュー「香港、ウイグルへの弾圧を北京当局がやめるよう呼びかける。聞き手・船橋洋一〇第165回 芥川賞発表・貝に続く場所にて 東日本大震災で生き残った者の罪悪感を 文学として昇華させた石沢麻依(いしざわまい)・彼岸花が咲く島 台湾出身の作家が描く 女性が統治する島の秘められた過去とは李琴峰(りことみ)<読む前の大使寸評>今月号は読みどころがたくさん載っていて、芥川賞受賞作(二作)と台湾・蔡英文総統インタビューが決め手になって・・・8月号に続いて買い求めたのです。bunshun文芸春秋(2021年9月特別号)蔡英文総統台湾・蔡英文総統への単独インタビュー(続き)を、見てみましょう。p103~104<「一国二制度」は絶対認められない>船橋:最後に香港や新疆ウイグル自治区を巡る中国政府の行動に触れたいと思います。近年、これらの地域における中国政府による人権弾圧が、国際社会で大きく問題視されるようになりました。総統は現状をどのようにご覧になっていますか。蔡:民主主義、自由、人権は普遍的価値です。私共は北京当局に、香港やウイグルの人々への弾圧をやめるように呼び掛けておきます。日本も含めた民主主義陣営は、民主主義の価値を守るために今こそ団結すべきです。船橋:香港では昨年7月、中国政府が反政府運動を取り締まるための「国家安全維持法」が施工されました。中国は香港に対して「一国二制度」を約束し、高度な自治を認めるとしてきましたが、これは結局、空手形だった「一国二制度」は神話にすぎなかったとの受け止め方もあります。「一国二制度」のこのような命運は、台湾の政治にどのように影響を及ぼすでしょうか。蔡:香港の人々は現在、自由、人権、民主主義を求めて闘っています。国際社会は彼等を支持する姿勢を強く見せるべきです。 1997年、香港がイギリスから中国へ返還された際、中国は「一国二制度」について、50年間維持すると約束しました。しかし近年の香港情勢を踏まえると、これはもはや存在しません。 2019年1月、北京政府は台湾に対し、香港と同じ「一国二制度」による統一を呼び掛けました。この制度が実現不可能であることは現在の香港によって証明されており、北京政府の言葉を信用するのは難しいです。北京政府による「一国二制度」の提案は、絶対に受け入れられません。将来の選択肢にさえ入っていません。これが台湾の国民のコンセンサスとなっています。船橋:台湾では政治への関心が高いとされていますが、国民の四割は無党派という状況のようです。無党派層の広がりは何を物語っているのでしょうか。政治家と政党は、それに対してどう応えていくべきだとお考えですか。蔡:政治的イデオロギーや党派を問わず、台湾の国民に共通いている認識は「自由で民主的な生活を堅持し、台湾が世界に向けて進んでいくことを期待する」というものです。政治家と政党は、国民の期待に応えるべく、台湾の民主主義を深化させる努力を続けるべきだと考えています。 常に政策を見直して精進していくことが、政治家と政党の仕事です。選挙であれ、政策の執行であれ、政治家は常に戦々恐々として、国民の最大多数の支持が得られるように努力するべきです。<まさかの時の友こそ真の友>蔡:第一に、民主主義と人権を尊重し、平等な社会にしたい。第二に、地域の平和と安定に寄与する国家にしたい。第三に、多くの困難と挑戦にさらされながらも立派に生きている台湾が、世界の人々にとって一つの模範として認識されるようになってほしいです。船橋:長時間、大変ありがとうございました。最後に、日本の国民へ向けたメッセージをお願いします。蔡:台湾と日本は長期にわたり良好な関係を築いてきました。貿易投資や人的往来等々の分野において、緊密なパートナーシップが形勢され、両国民が熱い絆で結ばれています。台日関係の歴史を振り返ると、片方が困難な状況に陥った時、もう片方が速やかに温かな援助の手を差しのべてきました「まさかの時の友こそ真の友」とはこのことです。 将来的に、さまざまな形で他国を支援するなど、国際社会に恩返しをしていきたいと考えています。 日本と台湾は同じ民主主義国家どうし、これからも価値観を共有し、連携を強めなければなりません。お互いを思いやり助け合う「善の循環」は、大変重要なものです。この関係をこれからも末長く、次の世代へと行き継いでいきたいと考えています。改めて日本の皆様、本当にありがとうございました。p105<インタビューを終えて:船橋洋一> 新型コロナウイルス感染を押さえ込み、犠牲者を最小限に抑えた蔡英文政権の取り組みは世界的に称賛されたが、今年の5月以降、変異株感染が広がり、ワクチン調達と接種の遅れもあって国民から批判の声が上がった。 その時、日本と米国が台湾にワクチンを供与した。 「まさかの時の友こそ真の友」であると総統はいい、感謝の気持ちを重ねて述べた。 日米の台湾へのワクチン外交は人道上の配慮である。しかし、米中の「大競争」時代、それもワクチンの戦略的重要性を考えたとき、今回の動きは日米台の新たな連携の兆しと見ることもできる。 世界の半導体製造の中軸である台湾と日米の間に生まれつつある半導体のグローバル・サプライチェーンの安定・安全供給面で協力もこうした連携の表れとみるべきであろう。 さらに、日米首脳会談やその後のG7において「台湾海峡の平和と安定の重要性」への共通認識も深まりつつある。 蔡総統は、「自由で開かれたインド太平洋」の国々のためにも台湾は「重要なキープレイヤーとしての役割」を果たせるとの自負を語った。CPTPPへの台湾の加盟もそのような台湾のインド太平洋戦略の一環なのだろう。 そして、このような対外構想を推し進めているのは、外省人vs本省人のアイデンティティよりむしろ民主主義的価値観を重視する無党派若年層を中心とする政治的希求であるに違いない。 蔡総統が形容したように日本は台湾の「島国の隣人」である。ただ、昨今の中国の近隣諸国に対する武張った攻勢は、台湾と日本の距離の近さを親近感よりむしろ恐怖感として感じさせる効果をもたらしている。なかでも日本は特別な地理的かつ歴史的関係を台湾と中国との間で持っている。日本の立ち位置は微妙である。 インタビューのなかで、蔡総統は両岸関係の「現状維持」と、対中関係の「バランス(均衡)」の重要性に言及した。生存と自立の価値観を守るため、自らの戦略的価値を不断に高め、抑止力を高める、そのような動的な現状維持。そして、それを実現するに当たって不可欠な、研ぎ澄まされた「バランス(均衡)」感覚。 そうした地政学的な反射神経と知恵はほかならぬ日本が身につけなければならない生き方でもあるはずだ。『文芸春秋(2021年9月特別号)』1:台湾・蔡英文総統への単独インタビュー
2021.08.20
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本屋の店頭で『文芸春秋(2021年9月特別号)』を、手にしたのです。ウーム 今月号は読みどころがたくさん載っていて、芥川賞受賞作(二作)と台湾・蔡英文総統インタビューが決め手になって・・・8月号に続いて買い求めたのです。【文芸春秋(2021年9月特別号)】雑誌、文芸春秋、2021年刊<出版社>より〇台湾・蔡英文総統 単独インタビュー「香港、ウイグルへの弾圧を北京当局がやめるよう呼びかける。聞き手・船橋洋一〇第165回 芥川賞発表・貝に続く場所にて 東日本大震災で生き残った者の罪悪感を 文学として昇華させた石沢麻依(いしざわまい)・彼岸花が咲く島 台湾出身の作家が描く 女性が統治する島の秘められた過去とは李琴峰(りことみ)<読む前の大使寸評>今月号は読みどころがたくさん載っていて、芥川賞受賞作(二作)と台湾・蔡英文総統インタビューが決め手になって・・・8月号に続いて買い求めたのです。bunshun文芸春秋(2021年9月特別号)蔡英文総統台湾・蔡英文総統への単独インタビューを、見てみましょう。p94~98<まさかの時の友が真の友です>船橋: 昨年来、国際情勢は新型コロナウイルスの感染拡大によって混沌としています。また、東アジアでは、力による現状変更の試みも見られ、地政学的リスクも高まっています。そうした中、台湾はさまざまな面において世界の注目を集めています。日本にとって台湾の動向は他人事ではありません。本日こうしてオンラインでの総統へのインタビューの機会を頂戴でき、とても光栄です。蔡: こちらこそ、光栄です。 今日は公式なインタビューですので、台湾総統として最初に一言、日本政府・国民の方々にお祝いの言葉を申し上げたいと思います。東京オリンピック・パラリンピックは昨年3月、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により1年の延期が決定し、その後も多くの困難に見舞われました。それらの障害も乗り越え、今年7月に予定通りに開催される運びとなったことを、日本の隣人として心からお祝い申し上げます。(中略) 船橋:ありがとうございます。最初に台湾での新型コロナウイルス対策について伺いたいと思います。台湾は世界的なパンデミックが始まった初期から感染封じ込めに成功し、防疫の「模範国」とされてきました。蔡:台湾は2003年に起こったSARSの流行を教訓として、米国のCDC(米国疾病予防管理センター)のような衛生福利部疾病管制署(台湾CDC)を設立した経緯があります。同署はコロナ前から専門家の主導による防疫を進めてきました。これらの経験が、今回の防疫の成功にも繋がっていると考えます。■日本からのワクチン供与に感謝船橋:ただ今年5月、感染力の強い変異株が流入したことで市中感染が拡大しました。ワクチンの供給も安定せず、接種率は主要先進国の中でも最低レベルに留まっています。政権への厳しい声もあったようですが。蔡:確かに台湾では、5月19日から全国での警戒レベルを「第3級」に引き上げ、集会の制限や娯楽施設の閉鎖など、人々への行動制限を行ってきました。同時に、世界的なワクチン不足の中、調達したワクチンが予定通りに届かないという状況も発生しました。多くの人々が多大な影響を受け、社会に不安が漂っていたように思います。 しかしながら、政府と国民が絶え間ない努力を続けてきたことで、7月に入ってからは感染状況も落ち着いてきました。国内の新規感染者数も一桁となり、以前と比べると感染状況をコントロールできています。 7月27日からは警戒レベルを「第3級」から「第2級」に引き下げ、国民も一安心しているところです。ここで気を緩めることなく、コロナ以前の日常生活が徐々に戻るように努力したいと思います。船橋:台湾へのワクチン供給を巡り、総統は5月26日の記者会見で、独・ビオンテック社との新型コロナワクチンの購入契約を巡り「中国の介入」があったと明言されています。現在も中国による「介入」が続いているのでしょうか?蔡:確かにワクチンの調達において、最初は大きな困難に直面しました。ただ、国際社会から台湾が注目され、日本やアメリカをはじめとする国々が、ワクチンの供給において助けて下さいました。この場をお借りして、心から感謝の意を表したいと思います。 日本からは英・アストラゼネカ製ワクチンの提供を受けましたが、第一便は6月4日、桃園国際空港に到着しました。台湾のテレビ各局が中継で報じ、台湾の多くの国民が歓迎の意を込めて見守りました。私も飛行機が到着した様子を鮮明に覚えています。これも長期にわたっての友情が証明されたものであります。台湾が最も困難な時期に日本が援助の手を差し伸べてくださったことを、台湾の国民一同、心より感謝しています。(中略)■積極的な情報発信でフェイクニュースに対抗船橋:国産ワクチンの開発ですが、台湾の一日当りの新規感染者数は一~ニ桁と欧米に比べて小規模です。数万人単位の被験者を必要とする大規模治験の実施は難しいのではあいでしょうか。蔡:台湾では第二段階の治験において、倍ぐらいの被験者をとりいれて行っているため、より多くのデータを収集することができました。また「免疫ブリッジング」という、海外での治験データを自国で活用する手法を採用しています。これにより新薬承認までの期間の短縮が可能となったのです。日本でも最近、似たような取り組みがあるという話を聞きました。船橋:コロナ禍において、中国がサイバー空間でのディスインフォメーションを活発に行っているとの報道もあります。例えば「日本寄贈のワクチンで死者が急増している」と虚偽の情報をネット上に流し、台湾社会の分裂を画策しているなど。こうした偽情報などの「政治工作」に、どのように対応するのが最も賢明なのか。これは台湾のみならず、日本を含めた各国に共通する課題ですので、総統のお考えを是非お聞かせください。蔡:私たちは感染症対策において広報活動を重要視しています。例えば、新型コロナの対策本部である中央感染症指揮センターは、昨年1月の開設以来、毎日休むことなく定例記者会見を開き、政府の感染症対策を説明しています。毎日の会見では記者からの質問を受け、やり取りを可視化することで、透明性の高い情報公開をおこなっています。このようなアプローチにより、フェイクニュースの流布をある程度阻止することに成功しているのです。 さらに、LINEの公式アカウント、独自に購入したテレビの放送枠、ツイッターやフェイスブックなどの様々なSNSを通じ、防疫に関する知識を国民に向けて日々発信しています。 こうした取り組みによって、センターは国民からの高い信頼を集めています。そのため国民は、センターが呼びかける隔離及び検査、ワクチン接種の順序などの規範を遵守することに前向きな姿勢を示している。政府と国民が一丸となって、感染防止に取り組むことにつながっているのです。■中国へ「懸念」のシグナルを送ることの重要性船橋:話題を国際情勢に移したいと思います。今年4月の日米首脳会談では、共同声明の中に「日米両国は台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する」との文言が盛り込まれました。日米首脳会談で台湾に言及したのは1969年のニクソン・佐藤会談以来、実に半世紀ぶりのことでした。声明の内容を、どのように受け止められましたか。蔡:日米首脳会談の様子は、私共も注意深く見守っていました。日米両国が台湾海峡の平和と安定を重視する姿勢を示されたことに、感謝の意を表したいと思います。 6月にイギリスで開催された「G7サミット」でも、台湾海峡の平和と安定の重要性について触れられました。これは、世界の主要先進国が台湾海峡の平和と安定を極めて重視していることの現われであり、台湾海峡の現状を破壊しているのは台湾ではないことの良い証明でもあると思います。 台湾海峡の平和と安定は、台湾の利益にのみかかわるものではありません。「自由で開かれたインド太平洋」の国々のためにも、台湾は重要なキープレイヤーとしての役割を果たせると、私たちは信じています。インド太平洋地域の平和と繁栄に貢献するため、これからも私たちは理念を同じくする諸国との意思疎通や交流を進めていきます。ウン コロナウイルスと中国という二つの災厄に対する蔡総統の現状認識と対応策がいいではないか♪それにつけても、役人の書いた原稿を首相が読み飛ばしたりする我が政権は、台湾にかなり離されているのでは。文芸春秋8月号でも台湾関連を取り上げています。『文芸春秋(2021年8月号)』2:台湾侵攻「日米極秘訓練」蔡総統の本邦初の著書(2016年刊)です。『蔡英文 新時代の台湾へ』1
2021.08.20
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図書館で『図説 ユーラシアと日本の国境』という本を手にしたのです。おお ユーラシア諸国や日本の領土問題の少数民族が満載の図説である。やはりロシアや中国が頻出するが、それだけ覇権国家なんだろう。それにしても、ボーダースタディーズ(境界研究)というニッチな分野があることを、この本で知ったのです。さすが北大というべきか♪【図説 ユーラシアと日本の国境】岩下明裕, 木山克彦編著、北海道大学出版会、2014年刊<商品説明>より日本とユーラシアの国境・境界の問題をよく知るためのビジュアル本。国境の変遷やそれに伴う人々の暮らしの変化、境界をまたいで活躍した人々など、多数の地図と写真から国境地域の歴史と現在に迫る。北大博物館で試みたボーダースタディーズ(境界研究)の実験的展示の成果。<読む前の大使寸評>おお ユーラシア諸国や日本の領土問題の少数民族が満載の図説である。やはりロシアや中国が頻出するが、それだけ覇権国家なんだろう。rakuten図説 ユーラシアと日本の国境ポーランドの作家たちが語られているので、見てみましょう。p64~66<亡命と移住の文学:ポーランドの作家たち> ポーランドは、亡命・移住に関してはとりわけ長い伝統を持つ国だが、そのはじまりは、18世紀の国土分割にある。列強諸国によって三度にわたり分割されたポーランドは、ほぼ140年間、ヨーロッパの地図上から姿を消した。分割・占領された各々の地域は、おれぞれ異なる政治体制のもと、異なる支配者によって統治された。その名残ははっきりとした文化的差異となって、独立が回復された第一次世界大戦後も残った。 列強による国土分割は、亡命・移住の歴史のはじまりでもあった。19世紀初めには、軍人や芸術家といった知的エリート層がフランスへ亡命し、19世紀末から20世紀初頭には、大量の経済移民がドイツやアメリカ合衆国へ移住した。前者は、母語や出身文化を民族の絆とみなし、亡命先でもポーランド語で文化活動を展開したが、貧農層出身者が大半を占めた後者は、移住先の社会や文化に同化した。 前者がポーランド語によって書いた文学作品はやがて「亡命文学」という特別なジャンルとして制度化され、「故国喪失」の神話の生産や、ポーランド人という民族意識の形成に寄与した。(中略)■境界を広げる:ポーランド人失敗者クラブの戦略Club der polnischen Versager 1990年代、旧ソ連・東欧圏から多数の若者がドイツへ流入した。とくに、ベルリンでは、中心部に位置するミッテ区。この地区では、ベルリンの壁崩壊後、空き家となった家屋が、ドイツ人の若手芸術家たちによりアトリエとして使用された。芸術家がたむろするこの「境界領域」に、自分たちの居場所を求めたのはドイツ人だけではなかった。有名な、旧ソ連出身のユダヤ系ドイツ語作家ヴラジミール・カミナーも、この地区で「ロシアン・ディスコ」を経営する。 「ロシアン・ディスコ」の近所に2001年開設されたのが、「ポーランド人失敗者クラブ」である。クラブでは、平日の晩、文学作品の朗読会、映画祭、写真展、絵画展、ライブコンサートなど様々なイベントが開催され、新しいもの好きのベルリンの若者やドイツ各地からやってくる観光客を楽しませている。 クラブの人気は、なんといっても、「ポーランド人失敗者クラブClub der polnischen Versager」という、その名称にある。Versagerという「失敗者」を意味するドイツ語は、ポーランド語では〇となるが、ここには、「何一つまともに成就できない人」「うだつのがらない人」という意味だけでなく、「名声に甘んじることのない人」という意味が込められている。 ドイツでは伝統的に、ポーランド移民に対し、「車泥棒」「売春婦」「だらしない」「オツムが弱い」といったネガティブなイメージが付与されてきた。しかし、クラブのメンバーはそうした固定観念を逆手に捕ることで、ドイツ人の興味を掻き立て、ひいては、クラブを訪れ、失敗者集団の仲間入りすることはあながち悪くない、と思わせる。 彼らはドイツ人/ポーランド人を分断してきた「境界」の幅を広げ、曖昧な領域を作り、そこにあらゆる人々を招き入れるという、新しい跨境の方法を提示しているといえるだろう。 クラブは、ドイツのテレビや新聞雑誌にも大きく取り上げられ、多文化的都市ベルリンのカルチャー・シーンに欠かせない存在になっている。 2002年、クラブは『ポーランド・ソーセージ人間のクラブ』と題された大衆小説を出版した。『図説 ユーラシアと日本の国境』2:日本最西端の与那国島『図説 ユーラシアと日本の国境』1:ユダヤ系ドイツ語作家
2021.08.20
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図書館に予約していた『ねにもつタイプ』という本を、待つこと1週間でゲットしたのです。ショーン・タンの絵本の翻訳者でもある著者は、やはりかなり変り者のようですね。【ねにもつタイプ】岸本佐知子著、筑摩書房、2007年刊<ALL REVIEWS>より観察と妄想と思索が渾然一体となったエッセイ・ワールド。ショートショートのような、とびっきり不思議な文章を読み進むうちに、ふつふつと笑いがこみあげてくる。<読む前の大使寸評>ショーン・タンの絵本の翻訳者でもある著者は、やはりかなり変り者のようですね。<図書館予約:(8/07予約、8/14受取)>allreviewsねにもつタイプ「べぼや」とはどういう意味なのか?、見てみましょう。p151~154<べぼや橋を渡って> 何かをしているとき、あるいは何もしていないとき、気がつくと頭の中でどこか別の場所を歩いていることがある。 たとえば翻訳をしていて、ああでもないこうでもないと文章をひねくりまわしているとき、私の頭の一部は、いつの間にか新宿の駅構内を歩いている。 歩くのは決まって西口の、ロータリーに面した地下コンコースだ。小田急線の改札を背にして、タイル貼りの床をゆっくりと丸の内線改札方向に進んでいく。たくさんの柱と人混みの間を縫うようにすり抜けていくと、やがて大きな目玉の壁画が見えてくる。そのすぐそばの柱の陰には必ず大きな旅のお坊さんが一人立っていて、黒い碗を片手に捧げてお経を唱えている。その碗の中に十円玉を入れようとするのだが、あと少しというところで、いつも意識が引き戻される。 夜、眠れなくて目を閉じているときには、たいてい小学生の頃に住んでいた世田谷の家の近くを歩いている。 社宅の門を出て右に行くと学校のほう、左に行くと駅のほう、寝床の中で行くのは、きまって駅のほうだ。 門を出て左に少し行くと、すぐ川に突き当たる。コンクリートで固められた広いドブ川で、それに沿って右に行くと小さな橋がかかっている。欄干にはめこまれた鉄のプレートには「べぼや橋」と書いてあって、でも「べぼや」がどういう意味なのか、誰に聞いてもわからない。 橋を渡って細い曲がりくねった道を進むと、左側に小さな青果市場がある。市場なのにいつ通っても無人で、がらんとしたコンクリートの地面にキャベツの屑だけが散らばっている。(中略) その先の細い道を行くと、夫婦で顔がそっくりなおじさんとおばさんがやっている八百屋がある。おじさんは笑うと金歯で、おばあんはいつも肩にタオルをかけ、その上にオカメインコをとまらせている。オカメインコは「ボヨヨン」と鳴くので、本当の名前は「ピーちゃん」なのに、私たち子供の間では「ボヨヨン」で通っている。 八百屋の前の、さらに一段細い道を右に入ると、T医院の古びた玄関口があって、看板に「内科」「小児科」と並んで「ちゝもみ」と書いてあるのが、いつも気になって仕方がない。(中略) 八百屋のおばさんのオカメインコは、私が中学になった頃にどこかに飛んでいってしまった。あんこ工場も卓球場も、今はもうない。家の近くのドブ川は私が引っ越したあと暗渠になって、いまは遊歩道になっている。だから「べぼや橋」ももうないだろう。不思議なことに、あの橋のことを誰も知らないと言う。何度も一緒に渡ったはずの家族まで、「べぼや橋? 何それ」と言うのだ。 先日ふと思い立って、「べぼや橋」をネットで検索してみた。一件だけヒットして、胸が高鳴った。でもそれは自分のウェブ日記だった。ウーム 不思議なテイストのお話しですね。このお話しにジャンルを名づけるとしたら・・・不条理エッセイとでも言いますか。『ねにもつタイプ』2:「さじ加減」や「気配り」『ねにもつタイプ』1:翻訳志望の若者に対する助言
2021.08.19
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図書館に予約していた『生贄探し』という新書を、待つこと3ヵ月でゲットしたのです。内容はヤマザキマリ×中野信子というお二人の才媛の評論、対談となっていて・・・興味深いのでおます。【生贄探し】ヤマザキマリ×中野信子著、講談社、2021年刊<「BOOK」データベース>より幸せそうな人を見ると、モヤッとする、相手が得をすると損した気持ちになる、抜け駆けする人が痛い目に遭うのは当然、お前だけを特別扱いできない、などー日本人の思考の傾向は脳の特徴だった。豊かで多様性のある生き方のために、中野信子とヤマザキマリがアドバイス。<読む前の大使寸評>内容はヤマザキマリ×中野信子というお二人の才媛の評論、対談となっていて・・・興味深いのでおます。<図書館予約:(5/14予約、8/14受取)>heibonsha生贄探し第2章 の対談を見てみましょう。p63~66<対談「あなたのため」という正義>■自己評価の低さがおデブの引き金に中野:ネロの場合は、自分が本当は何もない人間じゃないかとばれるのが怖い。欠落を埋めたいと考えていたのではないでしょうか。ヤマザキ:なるほど、その兆候、私にもあるかも。中野:マリさんは誰がどう見ても揺るぎない実績があるのに、それでも感じるんですね。摂取障害でない出方をすることもあります。たとえば、セックスに溺れる人もいます。一時的に欠落が埋まった感じがするのですね。性的な相手に依存することで、いっとき苦しさを忘れるんです。 ただまあ、相手に執着する割に意外に相手は誰でもいいという、特徴的な性的関係を持ちます。相手を愛しているわけではないですからね。ヤマザキ:ネロはバイセクシャルで、そういうお相手もたくさん周りに侍らせていました。ネロだけではなく。皇帝という重すぎる役職を担っていた歴代の何人かが、やはり同じような放蕩性を持っていた。自分の命を肯定するには、そうやって本能的部分の要求に過剰なくらい執着するしかなかった。■人の評価が支配する“世間体”という戒律中野:なるほど。そういう見方がたしかにできますね。自己を自己のまま受け入れるということがやりにくい時代だったんでしょうか。文明病とも言えるかもしれません。ヤマザキ:今の人間社会も、人からの評価があって自分の存在を自覚する、というのは同じだと思います。だから、社会の評価が歪んだり、稀薄になって満たされなくなった人が、放蕩な行動をとるようになる。私は古代ローマと日本はお風呂以外にも相似する事柄はたくさんあると思っていて、たとえばあの世界にも今の日本のような“世間体”戒律があった。 当時は建物の壁がメディアの役割をなしていて、悪口が書き込まれるなんて当たり前でした。中野:なるほど。その壁は今でいう匿名掲示板とか、ヤフーコメントのようなネットやツイッターの書き込みに相当するものですね。ヤマザキ:帝政ローマの礎を築いたカエサルのような人も目立つ存在だっただけに、この「落書き文春砲」をくらっていたようです。 ネロももちろん標的になっていましたが、ネロはまさに“世間体”戒律を大袈裟すぎるくらい体現していた存在ですね。市民がどう思おうと自分さえよければそれでいい、ではなく、市民からの好感度を意識しすぎて、大好きな自分の判断は市民の希望、みたいな超越した解釈になってしまった。 ネロは自分の判断は市民の願望を叶えるものであり、正義のためだと思い込んでいたわけで、悪さをしようと思ってしていたわけはでなく、それをとがめる人が周りに誰もいなかったのも大きいですね。(中略)中野:よかれと思って正義をやる俺。みんなのために、いたたまれなくなります。誰とも信頼できるコミュニケーションをとれなかったんですね。ヤマザキ:まさにそれです。民衆という鏡に映さないと自分の姿が見えない。一方で、自分が周りから盛られて出来上がった存在だという自覚もあった、というところが彼に凶暴性をもたらすきっかけとなった。 ネロが母親を殺したのは22歳のとき、皇帝になって6年目です。私が思うに、母親の存在を払拭することで、自分は他者によって操られるような表層的な存在ではない、という確信を持ちたかったんじゃないでしょうか。しかも母親だから、ネロの行動のあれこれにコメントしたり批判もしていた可能性がある。「今日の弁論はよかったけど、あそこはもっとこうするべきだったんじゃない」だの、「もっと痩せたほうがいいんじゃないの」だの、夫婦間でもそういった口出しがきっかけで離婚にいたるケースもよくありますが、そんな感じだったのだろうと想像します。『生贄探し』1
2021.08.19
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図書館に予約していた『生贄探し』という新書を、待つこと3ヵ月でゲットしたのです。内容はヤマザキマリ×中野信子というお二人の才媛の評論、対談となっていて・・・興味深いのでおます。【生贄探し】ヤマザキマリ×中野信子著、講談社、2021年刊<「BOOK」データベース>より幸せそうな人を見ると、モヤッとする、相手が得をすると損した気持ちになる、抜け駆けする人が痛い目に遭うのは当然、お前だけを特別扱いできない、などー日本人の思考の傾向は脳の特徴だった。豊かで多様性のある生き方のために、中野信子とヤマザキマリがアドバイス。<読む前の大使寸評>内容はヤマザキマリ×中野信子というお二人の才媛の評論、対談となっていて・・・興味深いのでおます。<図書館予約:(5/14予約、8/14受取)>heibonsha生贄探し“世間体”という日本の戒律を、見てみましょう。p172~177<思い知らされた“世間体”という日本の戒律:ヤマザキマリ> 個性や独特な世界観が人としての評価を高めることのできる欧州と、世間が築いたテーゼからはみ出さないように生きてきた人が評価される日本。こうしたそれぞれの国民の個性や価値観の相違の背景には、そういった精神性が育まれるにいたった歴史や地理といった条件が織り込まれているので、どちらがよいとか悪いとかといったことを考えるのはナンセンスですし、そんな比較をする気は私にはありません。 たとえば、西洋や中東では、長い年月宗教が築いた倫理や理性が人々の中で確固たる軸をなしていますが、宗教の拘束がない日本の場合は、“世間体”という戒律がわれわえの生き方を統制しています。先日、コロナの陽性反応が出たことで「周りに迷惑をかけてしまった」と危惧し、自ら命を断ってしまった女性がいたことを報道番組で知りました。周囲から非難されることを恐れて、検査が陰性でも田舎の実家へ戻らないようにしている人たちも随分いると聞いています。 下手をするとこの“世間体”は、キリスト教やイスラム教やちょっとした社会主義体制よりも、よほど厳しい戒律だと解釈することもできます。無症状だけど陽性判定が出てしまい、周りに迷惑をかけることを苦に自死した女性がいるとイタリアの家族に話をしたら「なんだって!? そんなことで自殺をするなんて、自分たちには信じられない!」と絶句していましたが、実は日本におけるこうした“世間体”の厳しさこそが、他国と比べてコロナの蔓延をいくらか抑制する理由になっている部分も少なからずあるのではないかと、私は見ています。 われわれは、自由と民主主義が許された社会の中で暮らしていると思い込んで日々をすごしています。でも実態は“世間体”という、具体的なかたちになっていないだけの民衆による強烈な統率力と、その時々の流動的な倫理によって形成される正義感によって、思想や行動の自由が容赦なく規制された、窮屈な環境の中に置かれているとも言えるのです。<想像力の欠如がヒトを危険生物化する> イタリアへ戻ることができなくなり、20数年ぶりで日本での長期滞在を強いられることになった私は、ふだんであればじっくりと考えることもなかったさまざまな問題と向き合う時間が、必然的に増えました。 パンデミックで世界中が同一の問題と向き合う中で、イタリアにいる家族や、アメリカそしてブラジルに暮らす友人たちと時々SNSなどで接触をすると、国によって感染症の受け止め方も違えば自国に対する不平不満の温度感も違うことを、この機会に強く実感することができています。 感染症が世界的に蔓延し始めた2020年の春、日本では他国とのPCRの検査数の圧倒的な差異を巡ってあれこれ議論が飛び交っていました。統計で出てくる被験者数は相変わらず少なく、いつまで経っても他国が感染の現状の指標としている“陽性率”という数値もメディアではなかなか取り上げられることがありませんでした。 そんな話を他国の友人やイタリアの家族にすると「ひょっとして、日本では国民に実態がわからないよう情報操作がされているんじゃないの? オリンピックも開催するつもりなんだよね?」と猜疑心を促す言葉ばかりが戻ってきます。それもたしかにあり得る見解だと思いましたし、テレビでのウイルスの研究者や歴史学者の方との対談でも、日本での検査数の少なさは、もしかするとオリンピック開催への考慮が関係しているのではないかという話題になったこともありました。 3月から4月にかけてイタリアでは急激な感染拡大が深刻化し、死者数があっという間に世界で1位になりました。どうして欧州の中でも、それほど大きい国でもないイタリアがそんな事態に陥ってしまったのか、私は自分が17歳から暮らしてきたこの国の、イタリア人家族をはじめとする国民の日常習慣をあれこれ思い出しました。 まず、その理由としてすぐに頭の中に思い浮かんだのは、イタリアが日本に次ぐ世界第2位の高齢化社会であること。加えて、夫の実家のように3世帯同居率が高く、それが家族内感染のリスクを高める十分な要因となっていること。日本人の目からしてみれば濃厚接触としか思えないハグやキスを毎日何人もの人たちと交わしていることや、夫が鼻をかんだハンカチを無造作にポケットに突っ込んでいるという、ふだんなら思い出すこともないようなあらゆる彼らの日常的習慣や行動が次から次へと脳裏をよぎりました。 ロンバルディア州など北部イタリアの中小企業が中国と密接なかかわりを持っていることも含め、私はイタリアの家族と交わす電話のやりとりでわかったことや、自分の経験に即した見解を時々メディアでも発信するようになりました。(中略) 中野さんとの対談でも触れましたが、ヒトという生き物は、体だけではなくメンタル面もしっかり鍛えなければ、いとも簡単に生体バランスを欠いた危険生物と化してしまいます。というか、もうとっくの昔から地球にとっては環境を破壊し、同じ種族同士で殺戮をくり返し、他の生物の遺伝子を存在も脅かす、人食い鮫や猛毒の蛇以上に危険な生物だと思っているので、できることであればこれ以上酷い生き物になってほしくはありません。
2021.08.19
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図書館で『ペリリュー・沖縄戦記』という本を手にしたのです。終戦記念日が近くなると、新聞やテレビ放送でも戦記ものが増えてきます。この本ではアメリカ海兵隊の一兵士の体験が綴られているが、戦闘の実態が明らかにされたドキュメンタリーとなっているようです。【ペリリュー・沖縄戦記】ユージン.B・スレッジ著、講談社、2008年刊<「BOOK」データベース>より「戦争は野蛮で、下劣で、恐るべき無駄である」。硫黄島に匹敵する損害率を記録した一九四四年秋のペリリュー島攻略戦、そして四五年春の沖縄上陸戦。二つの最激戦地でアメリカ海兵隊の一兵歩が体験した「栄光ある戦争」の現実とは?敵味方を問わずおびただしい生命を奪い、人間性を破壊する戦争の悲惨を克明かつ赤裸々に綴る、最前線からの証言。<読む前の大使寸評>終戦記念日が近くなると、新聞やテレビ放送でも戦記ものが増えてきます。この本ではアメリカ海兵隊の一兵士の体験が綴られているが、戦闘の実態が明らかにされたドキュメンタリーとなっているようです。rakutenペリリュー・沖縄戦記ペリリュー島攻略に続いて沖縄戦を、見てみましょう。p277~279<第八章 進攻の序章> マクラッケンの手すりに並んだわれわれは、大規模艦隊を目の当たりにして茫然自失の体だった。巨大な新造戦艦、巡洋艦、流線形の駆逐艦、護衛艦の大群・・・ありとあらゆる軍用艦がいる。これだけの数の航空母艦が終結している姿は誰も目にしたことがなかった。太平洋上にこれほどの進攻艦隊が集結するのは前代未聞だった。われわれはその光景にただ圧倒されていた。 潮や風に押された艦船は錨を下ろしたまま錨のチェーンが届く範囲内を少しずつ移動するから、艦隊は日々その様相を変えた。毎朝上甲板に上がっていくと、方向がわからなくなる。座標軸がずれてしまったような妙な感覚を覚え、あらためてまわりを見直さなければななかった。 ウリシーに着いて最初の午後、仲間の迫撃砲手が言った。「双眼鏡を持ってこいよ。艦艇の種類をどれだけ見分けられるか試してみようや」みんなで迫撃砲班の双眼鏡を回して、何時間も観察していた。 突然、誰かがはっと息をのんだ。「左舷前方注意! おい、あの病院船、見てみろよ!看護婦がいるぞ! 双眼鏡をくれ、双眼鏡!」 病院船の手すりに10人ほどの看護婦が並んで、艦隊を眺めていた。双眼鏡を奪い合って多少の小競り合いはあったものの、やがてわれわれ全員が看護婦たちの姿を見ることができた。みんなで口笛を吹き、手を振ったが、声の届く距離ではなかった。 巨大な新造戦艦や空母に次いでわれわれがよく話題にしたのが、近くに停泊している、ひどく焼け焦げて大破した航空母艦だった。海軍士官がフランクリンだと教えてくれた。飛行甲板には、焼けてねじ曲がった艦載機が見えた。爆弾やロケット弾を積んで待機しているところに、母艦が攻撃されたのだ。爆弾やロケット弾が爆発しガソリンが燃え上がり、さぞかしすさまじい炎熱地獄だったことだろう。やがて一人が言った。「ひどいもんだな。可哀想に水平たちもどんな目にあったか」。ペリリューで雨あられと降る砲火のなかを生き延びたわれわれには、フランクリンの水平たちがどんなに勇敢に戦ったかが手にとるようにわかった。(中略) ウリシーで、われわれは来るべき沖縄進攻の説明を受けた。今度ばかりは長期戦が必至だという。「最も犠牲の多い上陸作戦になるだろう」と士官の一人が言った。「ジャップの本土から五、六百キロの島を攻撃するのであるから、敵も決死の覚悟で臨んでくるのは間違いない。上陸時の死傷者は80から85パーセントにのぼる可能性がある」 隣にいた仲間がつぶやいた。「あれで士気を鼓舞してるつもりかよ」。私はただ唸るしかなかった。(中略) 3月27日、「出航用意」の命令がスピーカーから流れ、水平たちが持ち場に集まって、錨を上げた。「あーあ、スレッジハンマー、錨を上げてるぜ。いよいよまたおっ始めるってわけだ」と、仲間が言った。「そうだな。気が進まないね」。私は答えた。「まったくだ」。仲間はため息をついた。(中略)<第九章 執行猶予>p290~291「敵は無抵抗だぞ!」 ヒギンズ・ボートがアムトラックにつながれたとたん、声が飛んできた。われわれは呆気にとられて、その海兵隊員の顔を見た。「冗談だろ?」すぐに仲間の一人が応じた。「ほんとうだ。死傷者は一人もいない。ニップのやつら尻尾まいて逃げやがった。迫撃砲弾が二発、海に落ちるのを見たが、それっきりよ。みんな悠々と頭を上げてる。こんなの見たことないぜ」 ペリリューに上陸したときの大混乱が、それまでに何度私の頭をよぎったかわからない。それなのに、沖縄上陸に際しては、日本軍の反撃は事実上ないに等しかった。最初の驚きがおさまると、みんな笑ったり冗談を言ったりしはじめた。緊張から解放されたあの安堵感は忘れられない。 われわれはアムトラックのコンパートメントの縁に腰かけて、歌を歌ったり、取り巻く巨大な艦隊について感想を語り合ったりしていた。銃弾や榴散弾に当たらないようにと、頭を下げてうずくまる必用はなかった。この戦争でいちばんのうれしい驚きだった。今でもそう思っている。 だが突然、本土からたった五百キロしか離れていない島に、無抵抗でわれわれを上陸させるなど、まったく日本軍らしくないという思いが、頭をもたげてきた。何かの策略に決まっている。敵はいったい何を考えているのか。私はにわかに不安にかられた。『ペリリュー・沖縄戦記』2:Hアワー(攻撃開始時刻)を向かえたペリリュー島『ペリリュー・沖縄戦記』1:ペリリュー島上陸あたり「〇」(〇)
2021.08.18
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図書館で『図説 ユーラシアと日本の国境』という本を手にしたのです。おお ユーラシア諸国や日本の領土問題や少数民族が満載の図説である。やはりロシアや中国が頻出するが、それだけ覇権国家なんだろう。それにしても、ボーダースタディーズ(境界研究)というニッチな分野があることを、この本で知ったのです。さすが北大というべきか♪【図説 ユーラシアと日本の国境】岩下明裕, 木山克彦編著、北海道大学出版会、2014年刊<商品説明>より日本とユーラシアの国境・境界の問題をよく知るためのビジュアル本。国境の変遷やそれに伴う人々の暮らしの変化、境界をまたいで活躍した人々など、多数の地図と写真から国境地域の歴史と現在に迫る。北大博物館で試みたボーダースタディーズ(境界研究)の実験的展示の成果。<読む前の大使寸評>おお ユーラシア諸国や日本の領土問題の少数民族や満載の図説である。やはりロシアや中国が頻出するが、それだけ覇権国家なんだろう。rakuten図説 ユーラシアと日本の国境日本最西端の与那国島が語られているので、見てみましょう。p42~44<八重山:台湾との一衣帯水> 台湾からおよそ110kmの距離に八重山諸島に属する与那国島がある。現在の日本の最西端に位置するこの島の人口はわずか1600人ほど。距離だけ見ると石垣まで120kmだから、台湾により近い。久部良の西崎から台湾が見えることもあるが、その大きさは見る者を圧倒する。 台湾が日本の植民地だった頃、与那国島は日本の国境の島ではなかった。多くの住民たちは台湾にあこがれを持っていた。池間苗さんは当時を振り返って言う。「石垣まで船で11時間だけど気分が悪い。台湾まではもっとかかったけど行くとなるとわくわくしていた」「台湾から日本の文化が直接、入るから、沖縄よりこっちが進んでいる」(DVD「知られざる南の国境」) そもそも与那国は16世紀に琉球王朝に征服される以前、サンアイ・イソバという名の女酋長のもとで独立国の様相を呈していたという。その気概は長年、引き継がれ、平成の大合併で石垣や竹富と一緒になるという話が出たときも、これを住民投票で拒否したほどである。 その背景には台湾との緊密な関係がある。日本敗戦直後でさえ、台湾住民との間で砂糖や米の「密取引」(「復興交易」と現地では言う)が行われ、人口は1万人を超え、外間守吉町長によれば「当時はニワトリでさえ、地面に落ちたお米を食べなかった(それほど裕福だった)」という。 しかし、米軍統治下で日台の交易の取り締まりが厳しくなり、やがて与那国は日本の国境の「行き止まり」となり、過疎化が進む。 台湾との交流を地域振興の起爆剤にする。与那国の住民たちはとくに1980年代から交流事業の可能性を探り続けてきた。だが、国際航路の認定を得られる船が手配できない状況で、彼らの挑戦は困難に直面する。「国境特区」として与那国を開放しようとする試みも、諸官庁の厚い規制の壁に阻まれ、実現は用意でない。 しかし、彼らは交流をあきらめることはない。台湾・花蓮との姉妹交流を積み重ね、ときには台湾の飛行機をチャーターして国境往来の実績をつくる。とても長い道のりだが、一歩一歩を積み重ねようとしている。与那国島については、先日に読んだ『国境の人びと』でもレポートされています。【国境の人びと】山田吉彦著、新潮社、2014年刊<「BOOK」データベース>より境界だからこそ晒される脅威と苦難。だが、そこにも根を下す人々がいた。北は択捉島から南は沖ノ鳥島まで、東は南鳥島から西は与那国まで、世界で六番目に広い「海」を持つ日本。その国境はすべて海の上にある。紛争の最前線、北方領土、対馬、竹島、尖閣諸島をはじめ、99に上る国境離島のことごとくに足を運び、自らの目で確かめた著者が、そこで暮す“人”を通じて問い直す「この国のかたち」-。<読む前の大使寸評>海に囲まれた日本にも領土問題はあるわけで、その相手はロシア、韓国、中国、台湾となります。一番強硬な国は、なんといっても中国であり、仮想敵国なんでしょうね。rakuten国境の人びと『国境の人びと』2『図説 ユーラシアと日本の国境』1:ユダヤ系ドイツ語作家「〇」(〇)
2021.08.18
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図書館で『図説 ユーラシアと日本の国境』という本を手にしたのです。おお ユーラシア諸国や日本の領土問題や少数民族が満載の図説である。やはりロシアや中国が頻出するが、それだけ覇権国家なんだろう。【図説 ユーラシアと日本の国境】岩下明裕, 木山克彦編著、北海道大学出版会、2014年刊<商品説明>より日本とユーラシアの国境・境界の問題をよく知るためのビジュアル本。国境の変遷やそれに伴う人々の暮らしの変化、境界をまたいで活躍した人々など、多数の地図と写真から国境地域の歴史と現在に迫る。北大博物館で試みたボーダースタディーズ(境界研究)の実験的展示の成果。<読む前の大使寸評>おお ユーラシア諸国や日本の領土問題や少数民族が満載の図説である。やはりロシアや中国が頻出するが、それだけ覇権国家なんだろう。rakuten図説 ユーラシアと日本の国境ユダヤ人であり、ドイツ語の使い手であったカフカが語られているので、見てみましょう。p69~70<言語の境界に生きた作家:フランツ・カフカ> フランツ・カフカ(1883-1924年)は、ハプスブルグ帝国(オーストリア=ハンガリー帝国)末期のプラハに生きたユダヤ系ドイツ語作家である。近代社会の不条理を描いた小説化として知られている。 当時のプラハはドイツ語とチェコ語の2言語都市であったが、高まるナショナリズムのなかで、ドイツ語中心の都市からチェコ語中心の都市へと変貌しつつあった。ドイツ人とチェコ人の民族対立が深刻化する中、大学などの教育機関や、市民たちの集うオペラハウスやカフェは、ドイツ系、チェコ系と民族別にわかれていった。 ユダヤ人であり、ドイツ語の使い手であったカフカは、二重の意味でマイノリティの地位に置かれていた。しかし、彼がプラハを捨てることはなかった。 カフカはチェコ語も堪能であったが、作品自体はすべてドイツ語で書かれている。『変身』や『審判』などの代表作は、言語と民族の境界線上で産み出されたといえる。 プラハは細い路地が入り組む比較的小さな街であり、ドイツ人とチェコ人の公共空間が分離しつつあったとはいえ、両者の生活が完全に分断されていたわけではない、例えば、ドイツ系とチェコ系の小学校が隣接していたり、プラハ大学についても、入口こそドイツ系とチェコ系で分かれていたが、同じ建物を使っていたりした。カフカは、住居、学校、職場のいずれもプラハ中心部にあったため、両民族の活動が交錯する真只中で生活していたことになる。 カフカは、ドイツ系学校出身で、ドイツ系文化人が集うカフェ・アルコに足繁く出入りしていたが、チェコ系の劇場や集会にも顔を出すなど、チェコ文化も積極的に吸収しようとしていた。 当時はヨーロッパ社会において反ユダヤ主義が強まった時代でもある。プラハのユダヤ人は、ドイツ人として生きるか、チェコ人として生きるか、それともユダヤ人として生きるか、選択を迫られていた。 プラハ市の統計調査などより、1890年から1900年までの10年間に、実数にして約4000人のユダヤ人が使用言語をドイツ語からチェコ語に変更したとも言われている。社会からの差別や排除を恐れるユダヤ人が、時代の趨勢に敏感であらざるを得なかった点が伺える。 不安と孤独を感じさせるカフカの作品には、プラハでドイツ系ユダヤ人として生きることの「息苦しさ」が反映されていたのかもしれない。当時の状況に思いを馳せつつ彼の小説を読み直してみると、また違った側面が見えてくるだろう。「〇」(〇)
2021.08.18
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<二人のディスタンス>「伝説の家政婦」として人気の志麻さんは、以前NHKで放映されたことがあるので記憶していたが・・・15年下のロマンさんと結婚していたのか♪昨日(16日)放映の番組を,NHKアーカイブより紹介します。タサン 志麻さんと夫・ロマンさんのすてきな“ディスタンス”とは?より■あなたの大切な人は誰ですか? この番組は“ふたり”に焦点を当て、その“ディスタンス”=距離感を見つめるドキュメンタリーです。終生のライバル、反目しながらもリスペクトする親子、分かちがたく結びついた夫妻…。 初回は「伝説の家政婦」として人気を集めるタサン 志麻さん(42)と夫・ロマンさん(27)に密着。ふたりの日常に目を凝らし、歩んできた道のりをたどると、すてきな“ディスタンス”が見えてきました。志麻さんのフランス料理修業の潔癖さもすごいが・・・専業主夫に徹するロマンさんの人生観もユニークである。制作側からの一言■担当プロデューサー 荒川格 視聴者の方々に、ドキュメンタリーをもっと気楽に見ていただきたい。そう考えたときに思い浮かんだのが新垣結衣さんでした。包み込むようなやわらかさと凛りんとした強さが共存する新垣さんの声ならば、たくさんの人の心にスッとしみこむはず…と思ったのです。 そして迎えた収録…。番組は私たちの想像をはるかに超えるものになりました。新垣さんのナレーション、お楽しみに!出演するカップルがすてきなディスタンスで語り合うという企画がいいではないか・・・次回に期待します。
2021.08.17
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図書館に予約していた『ねにもつタイプ』という本を、待つこと1週間でゲットしたのです。ショーン・タンの絵本の翻訳者でもある著者は、やはりかなり変り者のようですね。【ねにもつタイプ】岸本佐知子著、筑摩書房、2007年刊<ALL REVIEWS>より観察と妄想と思索が渾然一体となったエッセイ・ワールド。ショートショートのような、とびっきり不思議な文章を読み進むうちに、ふつふつと笑いがこみあげてくる。<読む前の大使寸評>ショーン・タンの絵本の翻訳者でもある著者は、やはりかなり変り者のようですね。<図書館予約:(8/07予約、8/14受取)>allreviewsねにもつタイプ兵馬俑「さじ加減」や「気配り」に関するエッセイを、見てみましょう。p169~172<西太后の玉> たとえば、あなたが会社に勤めているとする。あなたのところには毎日いろいろな書類が回ってくる。その中に、部長なり課長なりから下りてきた書類や手紙に、部長なり課長なりの字でこう書かれたメモがついたものが混じっていることがある。 そういうのはたいてい誰もが面倒くさがる瑣末な仕事なので、さんざんたらい回しにされたあげく、いちばん下っ端であるあなたのところに流れつく。 よしなに。これはたぶん「個人の裁量で」「常識の範囲内で」「適切な判断を下し処置せよ」ということだ。だが加減というものがわからず常識のかけらもなく場の空気が読めず、「さじ加減」とか「気配り」とか「阿吽の呼吸」とか「胸先三寸」とか、そういうことに絶望的なあなたは、「よしなに」を極度に恐怖している。恐怖しているから、この言葉を見たとたんに脳がフリーズし、体が硬直する。汗が吹き出し舌が乾き、いよいよどうしていいかわからなくなる。 あなたはなすすべもなくその言葉を見つめる。よしなに。よしなに。よしなによしなによしなに。見ているうちに、だんだんひらがなの一つひとつがぐにゃぐにゃほどけて、ヘビのようにのたくりはじいめる。 あなたは慌ててひらがなを漢字に変換する。与子名二。与志那仁。与那国。与論。対馬。漢倭那国王。魏志倭人伝。頭の中で、兵馬俑がゆらりと身動きする。中国の大地に埋まっていた何千何万という石の軍隊が、こちらに向かって進軍を始める。 狙っているのは皇帝の暗殺を指示する密書。まさに今あなたが手にしている拠るいだ。あなたはあわてて持っていた与死那弐をびりびりに破く。あるいは口の中に詰め込む。あるいは引き出しの奥の奥にしまいこむ。そして安心して、何もかも忘れていまう。 あるいは、ある会合の案内メールが届く。そこにはこんな一文が お含みおき下さい。あなたはその言葉をじっと見つめる。汗が出る。喉が渇く。脳がフリーズする。含みおく。含みおく。含みおくとはどういうことだろう。AがBを含む。たとえば、銀河系は地球を含みます。それならわかる。 だが人間が何かをどうやって含めばいいのか。口に含めということだろうか。頭の中で、とある映画の冒頭、死んだ西太后の口の中に大きな玉をカポッと押し込むシーンが思い出される。そういうことだろうか。だが口に含んだままだとうまくやべれない。会合どころじゃない。そうこうしているうちにも、玉は口の中でどんどん膨れ上がってくる。よだれが顎をつたい、ひしゃげた舌が喉の奥を圧迫して呼吸が困難になる。 だめだ。自分にはとても含みおけない。あなたは舌を押し戻し、必死の思いで玉をベッと吐き出す。玉はごろごろと転がって部屋の隅で止まる。 それからあなたは疲労困憊の体でもう一度メールを読み直し、会合に行く予定の別の誰かにメールを打つ。「会員は別料金って書いてあったんだけど、それってどういうこと?」そして送信した瞬間にフリーズが解けて気づく。それが「会員は非会員より会費を安くしてあるが、それは秘密の優遇なので非会員の人には内緒にしとくように」という意味だったことに。そしてたった今メールを送信してしまった相手が非会員であったことにも。『ねにもつタイプ』1:翻訳志望の若者に対する助言「〇」(〇)
2021.08.17
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図書館に予約していた『ねにもつタイプ』という本を、待つこと1週間でゲットしたのです。ショーン・タンの絵本の翻訳者でもある著者は、やはりかなり変り者のようですね。【ねにもつタイプ】岸本佐知子著、筑摩書房、2007年刊<ALL REVIEWS>より観察と妄想と思索が渾然一体となったエッセイ・ワールド。ショートショートのような、とびっきり不思議な文章を読み進むうちに、ふつふつと笑いがこみあげてくる。<読む前の大使寸評>ショーン・タンの絵本の翻訳者でもある著者は、やはりかなり変り者のようですね。<図書館予約:(8/07予約、8/14受取)>allreviewsねにもつタイプフレンチ・カンカン翻訳志望の若者に対する助言を、見てみましょう。p134~136<とりあえず普通に>「どうやったら翻訳家になれますか」という質問は、「どうやったらハイジャックに遭えますか」というのと同じくらい答えるのが難しい。これといって資格や試験があるわけではないし、周囲を見回しても「何となく」「ひょっこり」「うっかり」なってしまった人ばかりだからだ。 それでも、就職を控えた学生さんに訊かれた場合は、とりあえず普通に就職することをお勧めしている。フリーランスやフリーターと違って、組織の一員になると、制約だらけで窮屈だ。でも、その制約の中で否応なしに出会わされる人や物事や状況は貴重な経験のデータベースとなって、いつかきっと翻訳の役に立つに違いないからだ。 たとえば、あなたは叱られて腰を抜かしたことがあるか。私はある。「恐怖の大王」として誰からも恐れられていたお局様だった。呼びつけられて机の斜め後ろに立つ。無視されること数分。やがてお局様が静かにバインダーを閉じ、こちらに向き直る。「だいたいあなたね」からあと、何を言われたかは覚えていない。ただ、その第1声でフロア全体が水を打ったように静まりかえったこと、どこかで内線電話がトルルル、トルルルといつまでも鳴っていたこと、他の人たちが仕事をするふりをしながらペンを持つ手が完全に止まっていたこと、お局様の湯呑みの柄がキキ&ララだったことなどを、今もありありと覚えている。 実際は五分たらずの出来事だったが、体感時間は1時間だった。一礼して向きを変え、自分の席に戻ろうとしたら足が上がらない。すーっ、すーっと摺り足で移動する私の姿は、さながら能役者のようだったと、後で語り草になった。 たとえばあなたは、人柄と服装センスが天国と地獄ほどにかけ離れた人物を知っているか。私は知っている。外国帰りの、サンタのように太ったX室長。ある日のネクタイは、大きな錦鯉が下から上に向かって勢いよく登っている柄だった。別の日は、目がチカチカするような茶色と黄とオレンジの細かい花柄のシャツに、おそろいの色と柄のネクタイだった。 何かの立体画像が浮かび上がるらしいとデマが流れ、他のフロアからも人が見にきた。奇蹟的にシャツもネクタイも普通だった日には、アライグマの毛皮の帽子をかぶってきた。でも、ああ、X室長は素晴らしい人格者だった。何が起ころうと決して怒らず慌てず、常ににこにこして頼りがいがあった。そのにこにこ顔は、私の記憶の中でいつもチカチカのシャツとセットになっていて、思い出すたびに軽い目眩を感じる。 あるいはあなたは、会社の命令でフレンチ・カンカンを踊るためだけに大阪に行ったことがあるか。私はある。会社が広告の大きな賞を取った記念のパーティで、部の新人女子十人ほどで何か演し物をやることになった。単なる余興と高をくくっていたら、プロの振付師を呼んでの半月におよぶ血の特訓(ちゃんと残業手当がついた)、衣装もメイクもプロ仕様、本番は数百人の観客の前で舞台の上でのスポットライトという超本気のイベントだった。 しかもそれが好評を博してしまったために、急きょ本社のある大阪でもパーティをやることになった(ちゃんと出張手当がついた)。ちなみに翌年も同じようなパーティが開かれたが、新人の数が足りなかったために私はまたしても駆り出され、ペンギンの着ぐるみを着て踊った。 これらはどれも、就職していなかったらおそらく一生経験できなかった類のことに違いなく、もしもこの先、翻訳している本の中に、フレンチ・カンカンの踊り子や、鯉の滝登りのネクタイをした人物や、立ったまま腰を抜かすシーンが出てきた時には、きっと私はまるで見てきたように活き活きと、それらを訳せるのに違いないのだ。 だから翻訳志望の若いみなさんには、ぜひいちど普通の会社に普通に就職することを、強くお勧めする次第だ。
2021.08.17
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<『ペリリュー・沖縄戦記』2>図書館で『ペリリュー・沖縄戦記』という本を手にしたのです。終戦記念日が近くなると、新聞やテレビ放送でも戦記ものが増えてきます。この本ではアメリカ海兵隊の一兵士の体験が綴られているが、戦闘の実態が明らかにされたドキュメンタリーとなっているようです。【ペリリュー・沖縄戦記】ユージン.B・スレッジ著、講談社、2008年刊<「BOOK」データベース>より「戦争は野蛮で、下劣で、恐るべき無駄である」。硫黄島に匹敵する損害率を記録した一九四四年秋のペリリュー島攻略戦、そして四五年春の沖縄上陸戦。二つの最激戦地でアメリカ海兵隊の一兵歩が体験した「栄光ある戦争」の現実とは?敵味方を問わずおびただしい生命を奪い、人間性を破壊する戦争の悲惨を克明かつ赤裸々に綴る、最前線からの証言。<読む前の大使寸評>終戦記念日が近くなると、新聞やテレビ放送でも戦記ものが増えてきます。この本ではアメリカ海兵隊の一兵士の体験が綴られているが、戦闘の実態が明らかにされたドキュメンタリーとなっているようです。rakutenペリリュー・沖縄戦記Hアワー(攻撃開始時刻)を向かえたペリリュー島を、見てみましょう。p91~94<第四章 地獄への強襲> 午前8時00分、Hアワー(攻撃開始時刻)。戦艦の巨大な16インチ砲の砲口から、雷鳴のような大音響とともに赤く長い閃光が走り、黒煙が噴出した。巨大な砲弾は機関車のような轟音を残して大気を切り裂き、島をめがけて飛んでいく。「すげえ。あの16インチ砲をぶっ放すと、一財産吹っ飛んじまうな」と、近くの仲間が言う。「いくら金がかかろうと、おれの知ったことか!」と別の仲間が応じた。 16インチ砲の圧倒的な迫力に比べれば、巡洋艦の8インチ砲の一斉射撃も、小型艦艇の速射砲の連射も、すっかり影が薄れてしまう。 だが、ふつうなら潮の香りがすがすがしい晴れ渡った大気は、早くも鼻をつく硝煙とディーゼル燃料の臭いに満ちていた。強襲部隊が陣形をととのえ、私の乗ったアムトラックが海上で静かにアイドリングしているうちにも、艦砲射撃はますます激しさを増し、耳をつんざく轟音のなかでさまざまな口径の火砲の砲声を聞き分けるのはもはや不可能になった。 隊員同士、大声を張り上げなければ相手の言葉も聞き取れない。いよいよアムトラックの隊列が進行を開始すると、大型艦はさらに激しい砲撃を加えつつ、両翼へ移動していった。背後からわれわれの頭上を越して砲撃すれば、弾着距離が不足する恐れがあるからだ。 われわれは海岸にむけて進発する合図をじりじりしながら待っていた。その時間は永遠に続くかとも思え、張りつめた空気に我慢が限界を超えそうだった。(中略) 私はとうとう絶えきれなくなり、われわれ上陸第二波の指揮をとる海軍士官の方を見やった。そのときだった。士官が海岸に向かって旗を振るのが見え、あきらめにも似た安堵感と、怒りの入り交じった思いがこみ上げてきた。 アムトラックの操縦手がエンジンをふかす。キャタピラーが海水を撥ね上げ、われわれは進撃を開始した・・・上陸部隊の第二波として。 すさまじい光景を目の当たりにしながらわれわれは前へ突き進んだ。先を行くアムトラックの隊列が暗礁に接近すると、砲撃を受けて巨大な水柱がいくつも噴き上がった。海岸は今や見渡すかぎり火炎に包まれ、その向こうに煙が分厚い壁のように立ちのぼっている。大規模な海底火山の噴火を見るようで、島へ向かうというより、燃えさかる地獄の底へ吸い込まれていくようだ。実際、多くの者にとってこの島が終焉の地になるのだ。 小隊長はみずから気を奮い立たせ、ハーフパイントのウィスキー・ボトルを取り出した。「いよいよだぞ、みんな」と、小隊長は叫んだ。 映画のせりふそのままだ! どこか現実離れしているように思えた。(中略) そのとき突然、ものすごい衝撃とともに大型の砲弾が炸裂し、右前方の至近距離に巨大な水柱が噴き上がった。危うく命中を免れたのだ。アムトラックはエンストを起こした。前部が急激に左へ傾き、前方を行くアムトラックの後部に激突した。そのアムトラックもエンストを起こしたか被弾したようだが、どちらかはわからなかった。 エンジンが停止したまま、アムトラックはしばらく海に漂っていた。ぞっとするような状況だった。敵の射撃手にとっては格好の餌食だ。操縦席の後ろのハッチから前方を覗くと、操縦手が必死に操縦桿と格闘していた。まわりには日本軍の砲弾が鋭い音とともに次々と落下して、あたりかまわず爆発している。 ジョン・マーメット軍曹が身を乗り出して、何か叫んだ。私には聞き取れなかったが、操縦手はその一言で落ち着きを取り戻した。エンジンがふたたび始動する。炸裂する砲弾が次々と水柱を噴き上げるなか、われわれはふたたび前進を開始した。 艦砲射撃が海岸から内陸へと移りはじめた。急降下爆撃機の空爆と機銃掃射もあとを追う。すると日本軍は押し寄せるアムトラックの隊列にさらに激しい砲火を浴びせてきた。鳴り響く騒音をつんざいて、砲弾の破片がぶんぶんと唸りながら空中に飛び散る不気味な音が聞こえた。ウン 映画『プライベート・ライアン』で見られたノルマンジー上陸のような過酷さがすごいでぇ。ただ、ミラー大尉が招集兵なのに、スレッジは海兵隊に志願したのがとてつもなく愚かではあるが。【プライベート・ライアン】スティーヴン・スピルバーグ監督、1998年制作<movie.walkerストーリー>より時は1944年。第2次世界大戦の真っ只中、米英連合軍はフランス・ノルマンディのオマハビーチでドイツ軍の未曾有の銃撃を受け、多くの歩兵が命を落としていった。戦禍を切り抜けたミラー大尉(トム・ハンクス)に、軍の最高首脳から「3人の兄を戦争で失った末っ子のジェームズ・ライアン2等兵を探し出し、故郷の母親の元へ帰国させよ」という命令が下った。<大使寸評>ある名も無い招集兵の軌跡を描くとともに、出血覚悟で友軍救出という米軍の伝統を描いています。冒頭のノルマンジー上陸のシーンがドキュメンタリータッチで凄まじい。movie.walkerプライベート・ライアン『ペリリュー・沖縄戦記』1
2021.08.16
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図書館で『ペリリュー・沖縄戦記』という本を手にしたのです。終戦記念日が近くなると、新聞やテレビ放送でも戦記ものが増えてきます。この本ではアメリカ海兵隊の一兵士の体験が綴られているが、戦闘の実態が明らかにされたドキュメンタリーとなっているようです。【ペリリュー・沖縄戦記】ユージン.B・スレッジ著、講談社、2008年刊<「BOOK」データベース>より「戦争は野蛮で、下劣で、恐るべき無駄である」。硫黄島に匹敵する損害率を記録した一九四四年秋のペリリュー島攻略戦、そして四五年春の沖縄上陸戦。二つの最激戦地でアメリカ海兵隊の一兵歩が体験した「栄光ある戦争」の現実とは?敵味方を問わずおびただしい生命を奪い、人間性を破壊する戦争の悲惨を克明かつ赤裸々に綴る、最前線からの証言。<読む前の大使寸評>終戦記念日が近くなると、新聞やテレビ放送でも戦記ものが増えてきます。この本ではアメリカ海兵隊の一兵士の体験が綴られているが、戦闘の実態が明らかにされたドキュメンタリーとなっているようです。rakutenペリリュー・沖縄戦記ペリリュー島上陸あたりを、見てみましょう。p72~79<第三章 ペリリュー島へ> 8月下旬、われわれはパヴヴ島での訓練を官僚した。26日ごろ、K中隊はLST(戦車揚陸艦)661に乗艦。三週間にわたる航海ののち、ペリリュー島の海岸に敵前上陸することになる。 ペリリュー島を強襲するライフル中隊を乗せたLSTはアムトラック(水陸両用トラクター)を積んでいた。このアムトラックが、上陸を敢行する兵員をLSTから海岸へと運ぶのだ。われわれが乗り込んだLSTは、中隊全員を収容するだけの兵員室を備えておらず、どの小隊がどの場所を占めるかは、それぞれの小隊長がくじを引いて決めた。わが迫撃砲班は運に恵まれた。艦首楼にある、主甲板に面した兵員室を引き当てたのだ。主甲板に固定された上陸用舟艇や装備の下、あるいはその周囲に陣取ることを余儀なくされた小隊もあった。 錨を上げると、われわれはまずガダルカナル島へ直行し、第一海兵師団はタサファロンガ沖で機動演習を行った。このあたりの海岸線はわれわれが上陸をめざすペリリュー島とは似ても似つかない地形だった。それでも数日間にわたり、大部隊や小部隊で上陸演習に励んだ。 ガダルカナル島の上陸作戦に加わった古参兵のなかには、そのとき命を落とした戦友の墓を訪れたいと望む者もいた。だが顔見知りの古参兵たちの願いは聞き入れてもらえなかった。彼らの憤懣やるかたない気持ちは私にも理解できた。 訓練の合間を縫って、私は仲間といっしょに海岸をあちこち見て回った。そこここに打ち捨てられた日本軍の上陸用舟艇が残骸をさらし、かく坐して炎上した輸送船、山月丸や二人乗りの潜航艇の残骸も目に留まった。ガダルカナル島の戦いに加わった古参兵の話によれば、難なく上陸してくる日本軍の増援部隊を、なすすべもなく丘の上から眺めているのはひどく心細いものだったという。 当時、ガダルカナル島を含むソロモン諸島一帯の制海権は日本海軍が握っていたのだ。激戦の模様を物語るかのように、今も一帯はおびただしい樹木がなぎ倒されたままになっていて、ジャングルの茂みのあいだには、白骨と化した数体の遺骸を目にすることができた。 気が重くなることばかりではなかった。毎日午後、訓練を終えてアムトラックで帰還すると、われわれは船室に駆け込んで装備を片づけ、裸になって、主甲板の下にある戦車甲板へ降りていく。アムトラックがすべて帰還したあとも、艦首の扉と昇降ランプは降りたままになっている。兵士たちがシーラーク水道の青い海(〇)で泳げるようにという艦長の計らいだった。われわれは何のためにここにいるのかも忘れ、童心に返って美しい海で泳ぎ、もぐり、水を撥ね上げた。数時間がまたたく間に過ぎていった。 第一海兵師団の強襲部隊を乗せた30隻のLSTは、9月4日早朝、ついに錨を上げ、一路ペリリュー島をめざして進発した。3400キロ近い航海のあいだ、海は穏やかで、スコールも一度か二度しかなかった。 毎朝、食事を終えると、私は仲間といっしょに艦尾の扇形甲板へ出かけていき、ヘイニー一等軍曹のショーを見物するのが日課になった。カーキ色の半ズボンと軍用ブーツにゲートルという出で立ちの軍曹は、例によって銃剣突撃の練習とライフルの手入れを律儀に行うのだ。(中略)軍曹はざっと1時間ばかりこの儀式を続ける。 ときおり、通りがかった水平が目を丸くしてヘイニーを見つめることもあった。あいつは頭がいかれているのかと、尋ねる水平もいた。(中略) 海軍の水平たちは、海兵隊の歩兵は少し頭がおかしくて、荒くれ者で、向こう見ずな連中だと思っているらしい・・・私はいつもそんな風に感じていた。もしかすると、そのとりかもしれない。だが「どうにでもなれ」と開き直った態度でいなければ、戦場で待ち受ける運命に正気で立ち向かうことなどできなかったろう。 われわれ兵卒は、めざすペリリュー島がどのようなところかろくに知らなかった。パヴヴ島での訓練中には、フィリピンに侵攻するダグラス・マッカーサー将軍の右翼線の安全を確保するために攻略する必要がある島だということ、またペリリュー島には将軍を支援するのに格好の飛行場があるということは聞かされていた。(中略) パヴヴ島を離れるに先立って、われわれは第一海兵師団がペリリュー島攻略に備えて約2万8000人に増強される予定だと聞かされていた。しかし、誰もが知っていたように、増強される予定の要員には、戦闘訓練を受けてもいなければ、戦う装備も備えていない連中が数多く含まれていた。彼らは師団付きの特殊技能兵であり、強襲部隊の上陸前は艦上で、その後は海岸で物資の補給をはじめとする任務につくことになっていた。彼らは実際に戦うわけではなかったのだ。 ペリリュー島へ向けて出航した時点で、第一海兵師団は将兵1万6459人を数え、1771人が後方部隊としてパヴヴ島に残った。このうち歩兵は三個連隊、わずか9000人ほどにすぎない。情報部によれば、ペリリュー島には1万人以上の日本軍守備隊が待ち受けていると推定されていた。われわれ歩兵のあいだでは、もっぱら双方の兵力の比較が話題の的となっていた。<上陸前日> 1944年9月14日、夕食を済ませた私は、仲間と二人でLST661の手すりに寄りかかり、戦争が終わったら何をしたいか語り合った。私は翌日のことは気にかけていないふりをした。相手も同じだった。二人とも、相手と自分を少しは欺くことができたかもしれない。だが、本心を隠し通すことはできなかった。(中略) そのとき、ある思いが稲妻のように私を貫いた・・・自分は明日、生きてふたたび夕日を見ることができるだろうか? パニックに襲われた私は、膝から力が抜けそうになった。私は手すりを握りしめ、会話に夢中なふりをした。 船団の影が海上を滑る黒い塊と化していくころ、艦内スピーカーの声が二人の会話を遮った。「総員に告ぐ。総員に告ぐ」。二人で、あるいは少人数のグループで静かに会話をしていた仲間たちは、いつもに増して真剣に命令に聞き耳を立てているように見えた。「全員兵員区画へ戻れ。全員兵員区画へ戻れ」 私は親友といっしょに兵員室に戻った。下士官の一人が作業班に命じて、別の区画へ携帯口糧と弾薬をとりに向かわせる。作業班が戻ってくると小隊長が顔を見せ、われわれに「休め」と命じてから、伝えておきたいことがあると言った。眉をひそめた士官の顔には疲労の色が浮かび、何か心配事があるように見えた。「諸君も承知のとおり、明日はいよいよ攻撃開始日(Dデイ)だ。ルパータス少将の話では、きわめて厳しい戦闘になるが、すぐに終わる。四日、あるいは三日で片がつくはずだ。タラワのときと同じく、激戦にはなるが、長くはかかるまい。すぐに休養基地に戻れるだろう。 訓練で学んだことを肝に銘じておくように。アムトラックに乗ったら、頭を低くしているんだぞ。サイパンでは外の様子を見ようとして舷側から頭を出す兵がいて、無駄に多くの犠牲を出した。アムトラックが海岸に停止したら、ただちに飛び下り、できるだけ早く海岸を離れるんだ。アムトラックは後続の部隊を乗せるに沖へ戻っていく。だから進路を妨害するな。それと、戦車もわれわれのあとから上陸してくる。戦車兵に歩兵をよけている余裕はないから、諸君が道を空けてやれ。ともかく一刻も早く海岸を離れることだ! 日本軍は海岸のわれわれに猛爆を浴びせてくる。浜に釘付けにされたら、大砲や迫撃砲を食らって一巻の終りだぞ。(中略) 迫撃砲の高性能炸薬弾は、密閉容器のテープをはがし、弾薬袋にしまっておけ。水筒を満たし、携帯口糧と塩の錠剤を受け取っておくこと。それから武器の手入れを忘れるな。起床は夜明け前。攻撃開始時刻は08時30分。今晩は早めに就寝するように。休養が大切だ。幸運を祈る。しっかりやってくれ」 小隊長が船室を出ていくと、下士官たちが弾薬、K号携帯口糧、そして塩の錠剤を配った。「〇」(〇)
2021.08.16
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図書館で『村上春樹翻訳ほとんど全仕事』という本を、手にしたのです。めくってみると、村上さんが訳した本が、それぞれの表紙の画像と寸評が並んでいて・・・見るだけで楽しくなるビジュアル本でおます。【村上春樹翻訳ほとんど全仕事】村上春樹著、中央公論新社、2017年刊<「BOOK」データベース>より同時代作家を日本に紹介し、古典を訳し直す。音楽にまつわる文章を翻訳し、アンソロジーを編む。フィッツジェラルド、カーヴァー、カポーティ、サリンジャー、チャンドラー。小説、詩、ノンフィクション、絵本、訳詞集…。1981年刊行の『マイ・ロスト・シティー』を皮切りに、訳書の総数七十余点。小説執筆のかたわら、多大な時間を割いてきた訳業の全貌を明らかにする。<大使寸評>めくってみると、村上さんが訳した本が、それぞれの表紙の画像と寸評が並んでいて・・・見るだけで楽しくなるビジュアル本でおます。個人的にはレイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』、『さようなら、愛しい人』やスコット・フィッツジェラルドの『マイ・ロスト・シティー』がお気に入りです。rakuten村上春樹翻訳ほとんど全仕事村上春樹と翻訳家・柴田元幸さんとの対談(続き)で、お二人の翻訳機具を、見てみましょう。p165~166<研究社の人に表彰状をあげたいくらい> 村上:柴田さんは手で書いているんですよね。柴田:手書きですね。村上:僕はね、パソコンでやっているから楽なんですよ。文章をピピピッと入れ替えればいいだけだから。手書きでやると、原稿がぐしゃぐしゃになっちゃうじゃないですか。柴田:でも手のほうがやっぱり、漢字の変換なんかを考えなくていいので。村上:手で書いた原稿を柴田さんの奥さんが打ち直してくれるんでしたっけ?柴田:はい、それが大前提です。編集部:複数の訳書を抱えて、同時進行的に訳すのでしょうか?柴田:いや、やっぱりなるべく一冊に集中したい。のめり込んだほうがいいですね。三つ並行してとかは、やりたくないですね。村上:あれは使っていますか、研究社のオンライン辞書。柴田:僕は電子辞書です。村上:昔はいくつも辞書を並べて、俗語辞典とかもあって、机の上がいっぱいになっちゃたんだけど、あのオンライン辞書が登場して、なんでもカバーできるようになったから本当にありがたいです。海外でも簡単に使えますし、辞書をいちいち持ち運びする手間が省けます。僕としては、研究社の人に個人的に表彰状を書いてあげたいくらいのものです。こういうのをよくぞ作ってくれたと。柴田:あれはよさそうですよね。聞いたら研究社の人が喜ぶだろうな。僕もパソコンをつけて仕事をするという前提だったら、そういうのを使うでしょうね。でも翻訳をしているときはパソコンがついていないから、ちっちゃい電子辞書だけです。中身は研究社の辞書だけです。中身は研究社の辞書が中心ですが。村上:あれは大変でしょ。小さいと。柴田:いや、そんなことはないですよ。だって右手で書きながら、左手でキーを押せるじゃないですか、電子辞書だと。村上:そんなことしてるんですか。すごいなあ。柴田:電子辞書をこっち(右)に置いたらだめなんですよね。村上:グーグルは使ってますか?柴田:使いますよ。でも、調べものが少なくてすむ作家だったら、訳すときに検索すると流れが途切れちゃうので、傍線かなんか引いといて、あとでまとめて調べます。(トマス・)ピンチョンを訳したときだけは今言ったこととすべて違っていて、とにかくもうほとんどの時間リサーチしていますから、グーグルでいろいろ調べつつ訳すので、ピンチョンだけは原稿をキーボードで、自分で打ち込みましたね。『村上春樹翻訳ほとんど全仕事』3:村上春樹×柴田元幸の翻訳談義『村上春樹翻訳ほとんど全仕事』2:『さようなら、愛しい人』『村上春樹翻訳ほとんど全仕事』1:『マイ・ロスト・シティー』
2021.08.16
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今回借りた5冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「嫌中本」でしょうか♪<市立図書館>・コモンの再生・中国の大盗賊・日本人が知らない日本の戦争史・水彩画プロの裏ワザ2・村上春樹翻訳ほとんど全仕事<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【コモンの再生】内田樹著、文藝春秋、2020年刊<出版社>より天下りのマッチポンプ、地方の過疎化、アンチ・グローバル化現象……コモン(共有地)の再生が日本の活路を開く!・西部劇『シェーン』が示すコモンをめぐる原理的な主題・ベーシックインカムの成否を決定づける要素とは?・トランプ現象とアンチ・グローバリズムの流れ・マナーの悪い「幼児的」なオヤジのマウンティングについて・明治維新前の藩制度とフランスのコミューンの共通点・「自我の支配」から解放される瞑想のやり方……etc.分断を超えて、新しい共同幻想が立ち上がる希望の書。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/05予約、8/06受取)>rakutenコモンの再生【中国の大盗賊】高島俊男著、講談社、2004年刊<「BOOK」データベース>より昔、中国に「盗賊」というものがいた。いつでもいたし、どこにでもいた。日本のどろぼうとはちょっとちがう。中国の「盗賊」はかならず集団である。これが力をたのんで村や町を襲い、食料や金や女を奪う。へんぴな田舎のほうでコソコソやっているようなのは、めんどうだから当局もほうっておく。 ところがそのうちに大きくなって、都市を一つ占拠して居坐ったりすると、なかなか手がつけられなくなる。さらに大きくなって、一地方、日本のいくつかの県をあわせたくらいの地域を支配したなんてのは史上いくらでも例がある。しまいには国都を狙い、天下を狙う。実際に天下を取ってしまったというのも、また例にとぼしくないのである。幻の原稿150枚を完全復元。 共産党の中国とは盗賊王朝である。劉邦から毛沢東まで伝説の完全版がよみがえる。<読む前の大使寸評>共産党の中国とは盗賊王朝とのこと・・・これは読むっきゃないで。<図書館予約:(8/01予約、副本2、予約0)>rakuten中国の大盗賊【日本人が知らない日本の戦争史】豊田隆雄著、彩図社、2013年刊<「BOOK」データベース>よりこの国は、私たちが知っているよりもずっと多くの戦火をくぐり抜けてきた。歴史の授業では教えてくれない真実の日本戦争史。<大使寸評>追って記入rakuten日本人が知らない日本の戦争史【水彩画プロの裏ワザ2】奥津国道著、講談社、2004年刊<「BOOK」データベース>よりむずかしい水面もガッシュの使い方で見ちがえる、グリザイユ画法の次はカマイユ画法を身につける、人物デッサンのコツは軸足を描くこと、タッチの強弱で遠近感は出せる、「ダンボールタウン」でデッサン力はアップするー奥津流水彩風景画が上達する5つのポイントを伝授。<大使寸評>追って記入rakuten水彩画プロの裏ワザ2【村上春樹翻訳ほとんど全仕事】村上春樹著、中央公論新社、2017年刊<「BOOK」データベース>より同時代作家を日本に紹介し、古典を訳し直す。音楽にまつわる文章を翻訳し、アンソロジーを編む。フィッツジェラルド、カーヴァー、カポーティ、サリンジャー、チャンドラー。小説、詩、ノンフィクション、絵本、訳詞集…。1981年刊行の『マイ・ロスト・シティー』を皮切りに、訳書の総数七十余点。小説執筆のかたわら、多大な時間を割いてきた訳業の全貌を明らかにする。<大使寸評>追って記入rakuten村上春樹************************************************************図書館大好き503
2021.08.15
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<図書館予約の軌跡272>『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・池井戸潤『半沢直樹 アルルカンと道化師』(11/29予約、副本33、予約644)現在159位・村上春樹『一人称単数』(1/27予約、副本26、予約301)現在38位・白井聰『武器としての「資本論」』(4/06予約、副本9、予約89)現在40位・52ヘルツのクジラたち(4/15予約、副本20、予約592)現在378位・桐野夏生『日没』(4/24予約、副本24、予約300)現在158位・鎌田由美子『「よそもの」が日本を変える』(4/26予約、副本1、予約6)現在1位・マイケル・サンデル『実力も運のうち』(5/05予約、副本1、予約73)現在21位・『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』(5/30予約、副本2、予約16)現在8位・『ザリガニの鳴くところ』(6/04予約、副本17、予約315)現在239位・『生態学者の目のツケドコロ』(6/28予約、副本3、予約21)現在15位・『チャイニーズ・タイプライター』(7/17予約、副本1、予約3)現在3位・福岡伸一『生命海流』(7/24予約、副本1、予約16)現在22位・ブレイディみかこ『他者の靴を履く』(8/14予約、副本8、予約81)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・8月の果て・ある日うっかりPTA(副本4、予約39)・グレタたったひとりのストライキ<予約候補>・『コロナ危機の政治』・『大人の恐竜図鑑』・『レアメタルの地政学』・ビジョナリー・カンパニー・『中国戦線、ある日本人兵士の日記』・『理不尽ゲーム』 ・野外鳥類学を楽しむ・オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る・岡ノ谷一夫『さえずり言語起源論』・小野正嗣『多和田語の世界』:図書館未収蔵・本村凌二『馬の世界史』・藻谷浩介『進化する里山資本主義』・多和田葉子『文字移植』:図書館未収蔵・高野秀行「怪獣記」・橋本治『黄金夜界』・中園成生『日本捕鯨史』・高野秀行「ワセダ三畳青春記」・ヘミングウェイで学ぶ英文法:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・ネルケ無方著『迷える者の禅修業』<予約分受取:5/26以降> ・清水義範『大人のための文章教室』(5/15予約、5/26受取)・川越宗一『熱源』(6/08予約、6/06受取)・ブレイディみかこ『ワールドサイドをほっつき歩け』(9/19予約、6/06受取)・ケン・リュウ『生まれ変わり』(5/26予約、6/15受取)・田口俊樹『日々翻訳ざんげ』(4/29予約、6/20受取)・『超ひも理論と宇宙のすべてを支配する数式』(6/14予約、7/03受取)・平松洋子『韓国むかしの味』(7/05予約、7/09受取)・カズオ・イシグロ『クララとお日さま』(3/20予約、7/18受取)・内田樹『コモンの再生』(1/05予約、8/06受取)・『中国の大盗賊』(8/01予約、8/06受取)・岸本佐知子『ねにもつタイプ』(8/07予約、8/14受取)・ヤマザキマリ『生贄探し』(5/14予約、8/14受取)***********************************************************************【半沢直樹 アルルカンと道化師】池井戸潤著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとに、とある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版舎・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とはー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/29予約、副本33、予約644)>rakuten半沢直樹 アルルカンと道化師【一人称単数】村上春樹著、文藝春秋、2020年刊<「BOOK」データベース>より短篇小説は、ひとつの世界のたくさんの切り口だ。6年ぶりに放たれる、8作からなる短篇小説集。【目次】石のまくらに/クリーム/チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ/ウィズ・ザ・ビートルズ/ヤクルト・スワローズ詩集/謝肉祭/品川猿の告白/一人称単数<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/27予約、副本26、予約301)>rakuten一人称単数【武器としての「資本論」】白井聰著、東洋経済新報社、2020年刊<「BOOK」データベース>より資本主義を内面化した人生から脱却するための思考法。【目次】本書はどんな『資本論』入門なのか/資本主義社会とは?-万物の「商品化」/後腐れのない共同体外の原理「無縁」-商品の起源/新自由主義が変えた人間の「魂・感性・センス」-「包摂」とは何か/失われた「後ろめたさ」「誇り」「階級意識」-魂の「包摂」/「人生がつまらない」のはなぜかー商品化の果ての「消費者」化/すべては資本の増殖のためにー「剰余価値」/イノベーションはなぜ人を幸せにしないのかー二種類の「剰余価値」/現代資本主義はどう変化してきたのかーポスト・フォーディズムという悪夢/資本主義はどのようにして始まったのかー「本源的蓄積」/引きはがされる私たちー歴史上の「本源的蓄積」/「みんなで豊かに」はなれない時代ー階級闘争の理論と現実/はじまったものは必ず終わるーマルクスの階級闘争の理論/「こんなものが食えるか!」と言えますか?-階級闘争のアリーナ<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/06予約、副本9、予約89)>rakuten武器としての「資本論」【52ヘルツのクジラたち】町田そのこ著、中央公論新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より52ヘルツのクジラとはー他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれるー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/15予約、副本20、予約592)>rakuten52ヘルツのクジラたち【日没】桐野夏生著、岩波書店、2020年刊<「BOOK」データベース>よりあなたの書いたものは、良い小説ですか、悪い小説ですか。小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。出頭先に向かった彼女は、断崖に建つ海辺の療養所へと収容される。「社会に適応した小説」を書けと命ずる所長。終わりの見えない軟禁の悪夢。「更生」との孤独な闘いの行く末はー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/24予約、副本24、予約300)>rakuten日没【「よそもの」が日本を変える】鎌田由美子著、日経BP、2021年刊<出版社>よりコロナ禍で日常生活や働き方が激変し、心のどこかで「これまで通りの生き方で本当にいいのか」と悩んでいる人も多いのではないだろうか。ニューノーマルは見たことのない世界ではなく、「デジタル化」「多様性」「環境意識」といった後回しにしてきた問題が目の前に突き付けられただけーー。JR東日本でエキナカや地域活性化を成功させてきた著者が、「『What if?』という自問自答が必要」「仕事と生き方は融合していく」「サステナブルが日常に」など、個人や企業の「これからの生き方」を提示する。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/26予約、副本1、予約6)>rakuten「よそもの」が日本を変える【実力も運のうち】マイケル・サンデル著、早川書房、2021年刊<「BOOK」データベース>より「努力と才能で、人は誰でも成功できる」この考え方に潜む問題が見抜けますか?100万部突破『これからの「正義」の話をしよう』から11年ー格差と分断の根源に斬りこむ、ハーバード大学哲学教授の新たなる主著。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/05予約、副本1、予約73)>rakuten実力も運のうち【分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議】河合香織著、岩波書店、2021年刊<「BOOK」データベース>よりクラスター対策に「3密」回避。未知の新型コロナウイルスに日本では独自の対策がとられたが、その指針を示した「専門家会議」ではどんな議論がなされていたのか?注目を集めた度々の記者会見、自粛要請に高まる批判、そして初めての緊急事態宣言…。組織廃止までの約五カ月、専門家たちの議論と葛藤を、政権や行政も含め関係者の証言で描く迫真のノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/30予約、副本2、予約16)>rakuten分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議【ザリガニの鳴くところ】ディーリア・オーエンズ著、早川書房、2020年刊<商品の説明>よりノースカロライナ州の湿地で村の青年チェイスの死体が発見された。人々は真っ先に、「湿地の少女」と呼ばれているカイアを疑う。6歳のときからたったひとりで生き延びてきたカイアは、果たして犯人なのか? 不気味な殺人事件の?末と少女の成長が絡み合う長篇<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/04予約、副本17、予約315)>rakutenザリガニの鳴くところ【生態学者の目のツケドコロ】伊勢武史著、ベレ出版、2021年刊<「BOOK」データベース>より生物と生物、生物と環境との関係を調べる、生物学の一分野である生態学。生きものについて知りたい、自然を守りたいと願う人にとって、生態学的な見方は必ず役に立つ。自然と生きもの、人間との関係を見つめ直す7つの章。【目次】第1章 人に囲まれて/第2章 暮らしのなかで/第3章 文化に触れて/第4章 外国を旅して/第5章 里山に生きて/第6章 森を歩いて/第7章 研究をとおして<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/28予約、副本3、予約21)>rakuten生態学者の目のツケドコロ【チャイニーズ・タイプライター】トーマス・S・マラニー著、中央公論新社、2021年刊<「BOOK」データベース>より中国語タイプライターの“不可能性”から繙かれる圧巻の言語技術文化史。漢字についての発想の転換や戦時中の日中関係、入力や予測変換といった現在につながる技術の起源まで、波瀾と苦渋に満ちた展開を鮮やかに辿る。<読む前の大使寸評>圧巻の言語技術文化史ってか・・・これは読むしかないでぇ♪<図書館予約:(7/17予約、副本1、予約3)>rakutenチャイニーズ・タイプライター【生命海流】福岡伸一著、朝日出版社、2021年刊<「BOOK」データベース>より福岡伸一、ガラパゴス諸島へ。ダーウィン進化論を問い、“本来の生命のあり方”を精密に描き出す。旅のリアルと思索が行き来する、まさしく「動的平衡」なガラパゴス航海記。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本1、予約16)>rakuten生命海流【他者の靴を履く】ブレイディみかこ著、文藝春秋、2021年刊<「BOOK」データベース>より“負債道徳”、ジェンダーロール、自助の精神…エンパシー(意見の異なる相手を理解する知的能力)×アナキズムが融合した新しい思想的地平がここに。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/14予約、副本8、予約81)>rakuten他者の靴を履く【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死【8月の果て】柳美里著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>rakuten8月の果て予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索システム図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。
2021.08.15
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。で、再読シリーズとして、以下のとおりボツボツ取り上げてみます。・#44: ヤマザキマリ『たちどまって考える』・#43: 『小川洋子対話集』・#42: 村上春樹訳『マイ・ロスト・シティー』・#41: ミヒャエル・エンデ著『モモ』・#40: 日本人はなぜ存在するか・#39: 「空気」の研究・#38: 街場の大阪論・#37: 韓国 反日感情の正体・#36: トウ小平・#35: 日本語と韓国語・#34: ソウルの練習問題・#33: 『「日本」とは何か』日本の歴史00巻・#32:「王権誕生」日本の歴史第2巻・#31:新・韓国風土記(第一巻)・#30:グ印関西めぐり(濃口)・#29:リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16・#28:日韓 悲劇の探層・#27:日本人と韓国人なるほど辞典・#26:街場の文体論・#25:書いて稼ぐ技術・#24:「無法」中国との戦い方・#23:資本主義の終焉と歴史の危機・#22:村上春樹ロングインタビュー・#21:日本人はなぜ存在するか・#20:兼好法師『徒然草』 (100分 de 名著)・#19:世界マンガ体系・#18:南画と写生画・#17:ホンモノの日本語を話していますか?・#16:ストレスゼロの整理術・#15:里山資本主義<再読候補>・ノモンハン・播磨国風土記・情報の「捨て方」・老人力のふしぎ・夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです*********************************************************<再読『たちどまって考える』>本屋の店頭で『たちどまって考える』という新書を手にしたのです。パラパラとめくってみると、ヤマザキマリの最新評論集のような本になっています。これは図書館予約している場合ではないでえ・・・ということで、衝動買いしたわけでおます。【たちどまって考える】ヤマザキマリ著、中央公論新社、2020年刊<「BOOK」データベース>よりパンデミックを前に動きを止めた社会。世界を駆ける漫画家・ヤマザキマリもこれほど長期間家に閉じこもり、自分や社会と向き合ったのは初めてだった。しかしその結果「たちどまることが実は必要だったのかもしれない」という想いにたどり着く。ペストからルネサンスが開花したようにまた何かが生まれる?混沌とした日々を生き抜くのに必要なものとは?自分の頭で考え、自分の足でボーダーを超えて。あなただけの人生を進め!<読む前の大使寸評>ヤマザキマリの最新評論集のような本になっています。これは図書館予約している場合ではないでえ・・・ということで、衝動買いしたわけでおます。rakutenたちどまって考える『たちどまって考える』8:人生は思い通りにならないp166~169『たちどまって考える』7:テレビのコンテンツに苦言を呈すp150~153『たちどまって考える』6:松田聖子は「アイドル界のカエサル」p150~153『たちどまって考える』5:日本人の教養p146~148『たちどまって考える』4:ニッポンのコロナ感染『たちどまって考える』3:ニッポンの世間体p204~206『たちどまって考える』2:外国語の習得p200~203『たちどまって考える』1:漫画家のくせにp195~197*********************************************************<『小川洋子対話集』7>図書館で『小川洋子対話集』という本を、手にしたのです。小川洋子対話集ってか…目次を見ると対話者が異色で、期待できそうである♪(帰って調べてみると、この本を4年まえに借りていたことが分かったのです。で、この記事をその7としています)【小川洋子対話集】小川洋子著、幻冬舎、2007年刊<「BOOK」データベース>より日ごろ孤独に仕事をしている著者が、詩人、翻訳家、ミュージシャン、スポーツ選手と語り合った。キョロキョロして落ち着きがなかった子供時代のこと、想像力をかきたてられる言葉や文体について、愛する阪神タイガースへの熱い想い、名作『博士の愛した数式』秘話など心に残るエピソードが満載。世界の深みと、新たな発見に心震える珠玉の対話集。<読む前の大使寸評>小川洋子対話集ってか…目次を見ると対話者が異色で、期待できそうである♪amazon小川洋子対話集『小川洋子対話集』1:翻訳家の柴田元幸さん、作家のレベッカ・ブラウンさんとの対談p69~72『小川洋子対話集』2:翻訳家の柴田元幸さん、作家のレベッカ・ブラウンさんとの対談の続きp133~136『小川洋子対話集』3:田辺聖子さんとの対談p11~14『小川洋子対話集』4:翻訳家の岸本佐知子さんとの対談p48~51『小川洋子対話集』5:田辺聖子さんとの対談(続き)p16~20『小川洋子対話集』6:翻訳家の岸本佐知子さんとの対談(続き)p71~74*********************************************************<再読『マイ・ロスト・シティー』>図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。で、再読シリーズ#42として『マイ・ロスト・シティー』を取り上げてみます。この古い文庫本がどういう経緯で本棚に乗っていたかはわからないが、村上春樹訳のこの本が気になっていたので・・・読むことにしたのです。【マイ・ロスト・シティー】スコット・フィッツジェラルド著・村上春樹訳、中央公論新社、1984年刊<商品のレヴュー>より訳者の想いが冒頭にあるため、必然的に村上春樹の世界に引きずられてしまうような気が、、、それはともかくどの短編も諦めと言いましょうか、静かな悲しさに包まれた雰囲気を纏っている。狂騒的な時代に嫌悪感を感じつつ、それに合わせていかないと様々な意味で生きていけない自己および市井の人々の悲哀をこの作家は本能的に嗅ぎつけ、かつ意図して淡々と描き出して見せた気がする。今回の読書後の一番の好みは『残り火』かな。<読む前の大使寸評>この古い文庫本がどういう経緯で本棚に乗っていたかはわからないが、村上春樹訳のこの本が気になっていたので・・・読むことにしたのです。rakutenマイ・ロスト・シティー『マイ・ロスト・シティー』*********************************************************<ミヒャエル・エンデ著『モモ』6>駅前のバザーでミヒャエル・エンデ著『モモ』という文庫本を、手にしたのです。お値段は100円という「持ってけ泥棒」値段であり、汚れもない状態であり・・・即、購入したのです。ぱらぱらとめくると・・・エンデ自筆の挿絵も載っていて、サービス満点でおます♪【モモ】ミヒャエル・エンデ著、岩波書店、2005年刊<「BOOK」データベース>より町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ、「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります…。「時間」とは何かを問う、エンデの名作。小学5・6年以上。<読む前の大使寸評>お値段は100円という「持ってけ泥棒」値段であり、汚れもない状態であり・・・即、購入したのです。ぱらぱらとめくると・・・エンデ自筆の挿絵も載っていて、サービス満点でおます♪rakutenモモミヒャエル・エンデ著『モモ』5:友人であるジジとベッポミヒャエル・エンデ著『モモ』4:灰色の男たち(続き)ミヒャエル・エンデ著『モモ』3:灰色の男たちミヒャエル・エンデ著『モモ』2:ニコラとニノのけんかミヒャエル・エンデ著『モモ』1:円形劇場に住みついた*********************************************************【日本人はなぜ存在するか】與那覇潤著、集英社インターナショナル、2013年刊<「BOOK」データベース>より日本人は、日本民族は、日本史はどのように作られた?教養科目の人気講義が一冊の本に!【目次】1 入門編ー日本人論を考える(「日本人」は存在するか/「日本史」はなぜ間違えるか/「日本国籍」に根拠はあるか/「日本民族」とは誰のことか/「日本文化」は日本風か)/2 発展編ー日本人論で考える(「世界」は日本をどう見てきたか/「ジャパニメーション」は鳥獣戯画か/「物語」を信じられるか/「人間」の範囲はどこまでか/「正義」は定義できるか)<読む前の大使寸評>與那覇先生の日本人論とあれば、読まないといけないでしょうね♪rakuten日本人はなぜ存在するか『日本人はなぜ存在するか』1:比較文学p106~108、日本人の性癖p118~119*********************************************************【「空気」の研究】山本七平著、文藝春秋 、1983年刊<内容紹介>より超えて日本人を支配する「空気」及びそれに呼応して勢力を振るう「水」の如き怪物「通常性」の正体をあばきつつ独自の論証を自在に展開する。<大使寸評>買ったのは2013年だが、第1刷出版は1983年となっています。とにかく、この本を読んでいないと話にならないほどの名著なんでしょうね。rakuten「空気」の研究『「空気」の研究』*********************************************************【街場の大阪論】江弘毅著、新潮社、2010年刊<「BOOK」データベース>よりスタバはないがお好み焼き屋があり、缶ビールを24時間売っているコンビニはないが朝からやってる立ち呑み屋があり、ヤクザが徘徊し、おばはんの立ち話が続く。そんな「大阪の街場」のリアルなコミュニティと、そこで生きていくおもしろさを、岸和田に生まれ育ち、関西有数の雑誌の名物編集長だった著者が、ラテンのノリで語る。大笑いしながら考えさせられる大阪発スーパーエッセイ。 <大使寸評>著者の江弘毅という人、内田先生のお友達でもあるが…岸和田で生まれ育ち、雑誌「ミーツ・リージョナル」の創刊に関わり12年間編集長を務めたそうです。「カーネーション」の世界で育ち、ベタな大阪を描いてるでぇ♪Amazon街場の大阪論『街場の大阪論』2:神戸の下町の焼き肉屋*********************************************************【韓国 反日感情の正体】 黒田勝弘著、角川学芸出版、2013年刊<「BOOK」データベースより>ではなぜメディアや政治は執拗かつ極端な反日行動をとるのか?対日行動の真実を在韓30年の日本人記者が緊急レポート。【目次】第1章 反日無罪の系譜/第2章 壮大な虚構としての慰安婦問題/第3章 竹島は取り戻せるか?/第4章 反日の効用/第5章 反日はなぜ生まれたのか?/第6章 韓国人の歴史観は面白い/第7章 日本隠しとウリジナル主義/第8章 日本人が次々と“極右”に?/第9章 たかがビビンバ、されどビビンバ/第10章 東日本大震災の親日・反日/第11章 韓国の反日と中国の反日/第12章 韓国の中の日本ー統一教会と創価学会<大使寸評>私が知っている(穏やかな)韓国ウォッチャーとしては、黒田勝弘、戸田郁子、関川夏央、重村智計、呉善花あたりになるわけで・・・これら諸氏のご意見を聞きながら、韓国とは着かず離れず接していくしかないようです。rakuten韓国 反日感情の正体『韓国 反日感情の正体』1:韓国における親日タブー『韓国 反日感情の正体』2:反日メディア*****************************************************************************【トウ小平】エズラ・ヴォーゲル×橋爪大三郎著、講談社、2015年刊<商品説明>より トウ小平は、中国の方向をどのように転換させたのか。強大な経済力・政治力パワーをもつに至った中国の基礎をどのように築いたのか。「現代中国の父 トウ小平」の著者が、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントを語る。【「TRC MARC」の商品解説】「トウ小平は、20世紀後半から21世紀にかけての世界史にとって、もっとも重要な人物だ」――橋爪大三郎「いま中国は相当強くなった。10年か20年で、GDPは世界のトップになるだろう。これがどうして可能になったかというと、トウ小平の開いた道なわけです。あれほど経験があって、権威があって、あらゆる面の実力を兼ねそなえている人は、いない」「このインタヴューは短いけれど、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントをすべて盛り込むものになった」――ヴォーゲル<読む前の大使寸評>エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪hontoトウ小平エズラ・ヴォーゲル『トウ小平』1:指導者の交替p138~140『トウ小平』2:改革開放p154~160『トウ小平』3:革命よりも改革p164~168、流血の天安門p214~218『トウ小平』4:中国共産党の病理p231~234、習近平は、実力者p248~250『トウ小平』5:フランス留学p41~43『トウ小平』6:中国に戻ったトウ小平と共産党p48~51『トウ小平』7:中国共産党と日本の自民党p168~170*****************************************************************************【日本語と韓国語】大野敏明著、文藝春秋、2002年刊<「BOOK」データベースより>二千年の交流関係をもつ日韓両国には同じことばが少なくない。むかしから共通だった固有語(たとえばカマ)、近代に生み出された漢字語(たとえばヤクソク)、日本統治時代に残してきたことば(たとえばワリバシ)、そして近年、韓国から流入して日本に定着したことば(たとえばキムチ)。その一方、韓国に行って安易に「朝鮮」ということばを使うと、とんでもない目にあいかねない。なぜ南は「朝鮮」を忌避し、北は「朝鮮」に固執するのか。そこには、十九世紀末から二十世紀初頭にかけて存在した「大韓帝国」に対する認識の差があった…。日本と韓国の同質性と異質性をことばを通して、多角的にあぶりだす。 <大使寸評>図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。Amazon日本語と韓国語『日本語と韓国語』2:韓国演歌「カスマプゲ」p44~46『日本語と韓国語』1:儒教民族の先祖p82~85*****************************************************************************【ソウルの練習問題】関川 夏央著、情報センター出版局、1984年刊<内容説明より>屹立する高層ビル群を背景に、広い高速道路をマラソンランナーが駆け抜ける―ソウル五輪は現代韓国の一面を鮮やかに伝えてくれた。しかし韓国で暮らす人々について、我々は何を知っているだろう?ハングルの迷路を旅して、出会う人々と語り合い、彼らの温もりと厳しさを拾い集めた瑞々しいルポルタージュ。韓国社会のフィールドワークとして一時代を画した名著<大使寸評>父の蔵書を継ぐものであるが、韓流ブーム以前の韓国を見る著者の目は異文化を透視しています。Amazonソウルの練習問題『ソウルの練習問題』1:「ヨォ」という終助詞p34~36*****************************************************************************【「日本」とは何か 日本の歴史00巻】 網野善彦著、講談社、2000年刊<Amazon紹介>より日本中世史に新たな地平を拓いてきた網野善彦が、編集委員として参加している全26巻の日本通史「日本の歴史」の第00巻として著した日本論である。 これまで自明なこととして扱われていた「日本」の起源と地理的範囲、日本列島に限定されていた縄文文化や弥生文化を、北方アジアや朝鮮半島との関係から見直し、基本的用語を問い直す必要があるというのである。また、主従関係、貨幣制度、差別意識などの地域的相違を明らかにすることで、「均質な日本人」という常識の盲点を指摘している。さらに、記紀神話の豊葦原瑞穂国から、班田収受や公地公民といった律令制度、中世の荘園、江戸時代の士農工商制度、明治の地租改正、戦後の農地改革に至る土地所有制度の変遷をたどることによって、日本は農民中心の農耕社会とする従来の日本社会史に疑問を投げかけている。 有史以来、日本列島は北方アジア、朝鮮半島、琉球列島、中国大陸とダイナミックな交流があり、列島内部でも活発な地域間交流があったことが、現在の「日本」を形づくっているとする。 網野史観の全体像を1冊にまとめた格好の入門書といえる。(堤 昌司) <大使寸評>父の蔵書を引きつぐものであるが、2000年刊行と比較的新しい本であり、「日本人論」では欠くべからざる本であったのが嬉しい♪Amazon「日本」とは何か 日本の歴史00巻『「日本」とは何か 日本の歴史00巻』1:倭寇登場p85~88『「日本」とは何か 日本の歴史00巻』2:長良川あたりが東国と西国の境界p156~157*****************************************************************************【「王権誕生」日本の歴史第2巻】 寺沢薫著、講談社、2000年刊<「BOOK」データベース>より水稲は、列島をどのように変えたのか。なぜ、戦争が始まったのか。群雄割拠した国々は、いかに統合され、王権成立へと至ったのか。そのとき卑弥呼はどこにいたのか。最新の考古学が古代の謎を解く。<大使寸評>この本は父親の蔵書を継ぐものであるが・・・水稲は、列島をどのように変えたのか。なぜ、戦争が始まったのかと、とにかく読みどころが多いのである。Amazon「王権誕生」日本の歴史第2巻『「王権誕生」日本の歴史第2巻』4:エピローグp348~349『「王権誕生」日本の歴史第2巻』3:戦争のはじまりp126~128『「王権誕生」日本の歴史第2巻』2:水稲農耕の伝来p50~51『「王権誕生」日本の歴史第2巻』1:水稲農耕の伝来p44~48*****************************************************************************再読シリーズ(#1-4)再読シリーズ(#5-8)再読シリーズ(#9-11)再読シリーズ(#12-14)再読シリーズ(#15-17)再読シリーズ(#18-20)再読シリーズ(#21-23)再読シリーズ(#24-26)再読シリーズ(#27-29)再読シリーズ(#30-32)再読シリーズ(#33-34)再読シリーズ(#35-37)再読シリーズ(#38-40)
2021.08.15
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ブログで取り上げたNHKスペシャルを集めてみました。個人的アーカイブという趣きでんな♪なお、クローズアップ現代も一部ふくめています。NHKスペシャル放送予定改11:2021年最新版を追加********************************************************************【2021年】・「新型コロナ“第5波” 最大の危機をどう乗り切るのか」2021.08.11・『パンデミック 検証“医療先進国”(後編)なぜ危機は繰り返されるのか』2021.06.27・『パンデミック 検証“医療先進国”(前編)なぜ保健所は追い込まれたか』2021.06.22【2020年】(追って記入)【2019年】・NHKスペシャル『ノーベル賞会社員』2019.2.17・NHKスペシャル『アメリカvs中国 “未来の覇権”争いが始まった』2019.1.19【2018年】・クローズアップ現代『難問!どう遺品を整理』2018.10.25・NHKスペシャル『“脳” すごいぞ! ひらめきと記憶の正体』2018.2.04・NHKスペシャル『万病撃退!“腸”が免疫の鍵だった』2018.1.14【2017年】・あなたの家電が狙われている2017.11.26・追跡 パラダイスペーパー2017.11.23・NHKスペシャル『人体 脂肪と筋肉 』2017.11.05・NHKスペシャル『 巨龍中国 一帯一路』2017.10.14・NHKスペシャル『人体 神秘の巨大ネットワーク 』プロローグ2017.10.03【2016年】・NHKスペシャル『自閉症の君が・・・』2016.12.11・NHKスペシャル『終わらない人 宮崎駿』2016.11.13・NHKスペシャル「縄文 奇跡の大集落」2016.5.01・NHKスペシャル『狙われる日本の機密情報』2016.2.07・NHKスペシャル『世界は秘密と嘘(うそ)に覆われた』2016.1.24【2015年】・NHKスペシャル「縄文 奇跡の大集落」2015.11.8・NHKスペシャル『雇用激変』2015.10.24・NHKスペシャル『戦後70年、豊かさを求めて』2015.6.5・プラントハンター西畠清順2015.4.3・空き家列島の衝撃22015.2.17・空き家列島の衝撃12015.1.19【2014年】・本を読まない人が急増 2014.12.11【2013年】・再発・転移する元凶「がん幹細胞」が見つかった 2013.09.19・NHKスペシャル【メルトダウン】2013.03.10【2012年】・NHKスペシャル「中国文明の謎」32012.12.11?・NHKスペシャル「中国文明の謎」22012.11.11・NHKスペシャル「中国文明の謎」12012.10.14・NHKスペシャル「魚の町は守れるか」2012.2.12
2021.08.14
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図書館で『日本人が知らない日本の戦争史』という本を手にしたのです。この文庫本には、元寇、黒船来航、日清・日露戦争、満州事変、ノモンハン事件等々・・・読みどころが多いのがええでぇ♪【日本人が知らない日本の戦争史】豊田隆雄著、彩図社、2013年刊<「BOOK」データベース>よりこの国は、私たちが知っているよりもずっと多くの戦火をくぐり抜けてきた。歴史の授業では教えてくれない真実の日本戦争史。<大使寸評>この文庫本には、元寇、黒船来航、日清・日露戦争、満州事変、ノモンハン事件等々・・・読みどころが多いのがええでぇ♪rakuten日本人が知らない日本の戦争史ハルハ河畔の戦闘ノモンハン事件のあたりを、見てみましょう。p198~202<実は敗北じゃなかったノモンハン事件> 「満州国」の誕生は中国だけではなく、革命を通じて社会主義国家になったロシア、ソ連との軋轢をも生み出すことになる。 舞台はモンゴルだ。 匈奴やモンゴル帝国など、数多くの強国を産み出してきたモンゴルだったが、近代戦の時代となって、清からの侵攻を受けてからは鳴りを潜め、清の藩部(自治政府)となっていた。 状況が変わったのは1911(明治44)年、清朝政府の政治改革への不満、政府による鉄道国有化による反発により、中国各地で反対運動が起こり、清から独立を宣言した「辛亥革命」が起きてからだ。 外モンゴルはロシアの援助を受けて独立を宣言し、ボグド・ハーン政権を樹立した。 ソ連が誕生すると、これに頼り1924(大正13)年には世界で2番目の社会主義国[モンゴル人民共和国]が誕生した。 その後、ソ連との間に相互軍事援助協定が締結され、コミンテルン指導の下、社会主義化が強制的に行われた。 遊牧民の集団化や、ラマ教寺院の破壊などが行われたのも、この時である。 外交や政治はソ連の支配下に置かれ自由にならず、独立国とは名ばかりの「ソ連16番目の共和国」であり、実態は満州国以上の傀儡国家であった。■ノモンハン事件 そのモンゴル人民共和国は満州国と国境を接していたのだが、1939(昭和14)年5月12日、外モンゴル兵700人がハルハ河を越えて満州軍と交戦するという事件が起きる。 当然、それぞれのバックにいた満州駐留の日本軍と、モンゴル駐留のソ連軍が互いに駆けつけ対峙した。 5月21日には、日本軍の攻撃によって本格的な戦闘が始まった。当初は日本が優位に戦いを進めていたが、4日後にソ連が装甲車や戦車を中心とした機械化狙撃大隊を送り込むと、形勢は逆転。 戦車隊と砲兵隊の攻撃に、歩兵と騎中心の日本軍では歯が立たず、ソ連の増援を予想した司令官・小松原道太郎は部隊に撤収を命じ「第1次ノモンハン事件」は終結した。 陸上では苦戦していた日本だったが、空戦では圧勝で、敵機数十機を撃墜し被害は軽微だった。これはソ連がスペイン内戦に介入していたため、一流の操縦士が不在だったことが大きい。 日本軍の撤退後、ソ連は大量の戦車、重砲、航空機を現地に投入する。 ソ連の野心を警戒する日本も、第23師団、第7師団の一部、第1戦車団、第2飛行集団を終結させるなど、両軍共に国境紛争としては例のない大規模動員をかけはじめる。 7月2日からは「第2次ノモンハン事件」が始まる。日本の頼みは第1戦車団だったが、ソ連軍と比べ戦車が旧式で装甲が貧弱だったため大損害を受けてしまう。 航空機部隊も、一流パイロットが戻ってきていたソ連相手に苦戦を強いられた。 8月に入ると、日本の予想をはるかに上回るソ連軍の攻勢が始まり、日本軍は後退が目立つようになる。8月下旬には、フイ高地がソ連によって陥落。日本はモンゴル側が領土だと主張する領域を次々と奪還されていった。■休戦協定 日本はソ連を牽制するため、ナチス政権下のドイツと1936(昭和11)年、「日独防共協定」を結んでいた。ところが、1939(昭和14)年8月、突然、ドイツはソ連と「独ソ不可侵協定」を締結。これには世界中が驚いた。 ドイツの思惑は、ソ連と条約を結ぶことによって東からの侵入を防ぎ、西ヨーロッパに戦力を集中できる、というもの。 一方のソ連は、現在ノモンハンで戦闘中の日本と、ドイツに挟み撃ちにされる事態を恐れての条約締結であった。 日本への衝撃は大きく、当時の平沼麒一郎内閣は情勢判断の力を失い「欧州の天地は複雑怪奇」と声明を残して退場してしまった。 9月1日、ドイツはポーランドに侵入、長い「第二次世界大戦」の始まりであった。 一方、被害の拡大を恐れた日本の大本営陸軍部は、関東軍に戦闘の中止を命令する。 作戦を主導していた辻政信少佐らは、9月10日頃に計画していた攻撃を主張して譲らなかったが、参謀本部は彼らの職を免じた上で、強制的に軍を退かせた。 併行して日本政府はソ連に停戦を求め、東郷茂徳外務大臣とヴァチェスラフ・モロトフ外務大臣が、クレムリンで交渉を行う。 ドイツが動き出した以上、ノモンハンでの戦いを早く終わらせたかったのはソ連の方だった。というのも、ドイツに対抗して早くポーランドに侵攻したかったからだ。 9月16日、両国はモスクワで停戦で合意。ソ連は翌日に、ポーランドに侵攻し国際連盟を除名された。『日本人が知らない日本の戦争史』3:満州事変『日本人が知らない日本の戦争史』2:日露戦争『日本人が知らない日本の戦争史』1:黒船来航「〇」(〇)
2021.08.14
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