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2015.09.15
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カテゴリ: アート
図書館で『染織の挑戦、芹沢ケイ介』という大型のムック本を手にしたが・・・・
芹沢氏の経歴、作品などをざっと見たら、マルチメディアの人である。
なにより、型絵染が版画に似ているので、大使のツボがうずくわけです。

型絵染の色調は茶色系統が多いのだが、これが大使好みなんですよ♪
芹沢



芹沢

芹沢ケイ介美術館(静岡市立)著、平凡社 、2011年刊

<みんなのレビュー>より
芹沢氏の経歴、作品などコンパクトにまとめられています。氏の膨大な作品量に対して本に載るのはごく一部ですから、どうしても物足りなさはあります。でもカラーの美しい写真でみることができるのはありがたいことです。肉筆画やステンドグラス、陶器の絵付けといった珍しいものまで載っていて、とても興味深く読みました。

<読む前の大使寸評>
芹沢氏の経歴、作品などをざっと見たら、マルチメディアの人である。
なにより、型絵染が版画に似ているので、大使のツボがうずくわけです。
型絵染の色調は茶色系統が多いのだが、これが大使好みなんですよ♪

rakuten 染織の挑戦、芹沢ケイ介


この本で、型絵染の生い立ちあたりを見てみましょう。

<脚光を浴びる「型絵染」> よりp36~38
 1955(昭和30)年7月、芹沢は自邸内に、カレンダーをはじめ、カード、うちわ、マッチのラベル、テーブルセンターなどを量産する芹沢染紙研究所を設立した。芹沢染紙研究所で生産される品々は、手ごろな値段と優れたデザインで人気を博し、やがて膨大な数を生産するまでになるが、たとえばその主力製品であるカレンダーに限っても、多い年には国内外に1万組(12万枚)を出荷した年さえあり、経済的な成功を収めたのだった。

 1956(昭和31)年4月、「型絵染」が重要無形文化財に指定され、芹沢はその保持者に認定された。この「型絵染」という言葉は文化庁による造語で、芹沢の後に「型絵染」で重要無形文化財保持者に認定された人には、稲垣稔次郎と鎌倉芳太郎とがいる。「重要無形文化財保持者」は、「人間国宝」と通称されるようになったこともあり、芹沢は「人間国宝の染色家」としてマスコミに大きく報道され一躍脚光を浴びた。これによって芹沢は、ようやく全国的な知名度を得ることになった。

 また同年7月には邸内に、土間と板場をもつ二階建ての大きな工房が建てられた。この頃から染色志望の入門者も増え、本格的な染色工房としての態勢が急速に整えられていった。さらに翌年2月には、宮城県登米市石越町から板倉を移築した。二階建てのこの建物は、もともと米や野菜、農具などの収納庫として使われていた建物であったが、簡素な雰囲気が気に入り自邸内に移築し、改装を施した。

 作品の構想を練ったり、型紙を彫ったりした創作の場でもあったが、主に応接間として使われた。また昭和40年代以降、この部屋には芹沢の募集品が数多く飾られ、その模様替えも芹沢の楽しみの一つとなったのだった。


芹沢さんの募集品は多彩であるが・・・あらゆるものに対して目利きだったんでしょうね♪

<郷土人形への愛惜:千葉惣次> よりp145
 私は昭和45年頃から江戸期の郷土人形を求めて毎年、月に一度は東北地方に募集旅行に出かけておりました。

 仙台の堤人形、岩手の花巻人形、米沢の相良人形については競争相手が少なく、出かけるたびに収穫があり、楽しく充実した日々でした。ところが三春人形にはまったく縁がありませんでした。その理由は、先行する強力な競争相手が存在したからです。いつもまったく歯が立たず、相撲に例えれば横綱に立ち向かう前頭、いや幕下力士のようなものです。その相手とは芹沢ケイ介さんでした。

三春
 三春人形に対する芹沢さんの熱意は実に強烈、江戸期の保存の良い三春人形が日本のどこかの市場に出現すると、まるで水が低い所に流れて行くように、芹沢さんの所に納まる道筋ができておりました。手も足も出ません。まさにお手上げでした。この状態は、芹沢さんがこの世を旅立たれる寸前まで続き、その遺志はご子息の長介さんに引き継がれました。親子二代に亘る三春人形の募集品は、日本有数の日本人形コレクションに数えられます。

 昭和50年頃になると東京にも古道具の蚤の市が開かれるようになり、東北旅行の帰りには必ず立ち寄りました。親しくなった道具屋さんが時々芹沢さんの所に出かけていることを知り、同行させてもらう事を依頼しました。間もなく、芹沢さんに直接会う千載一遇の機会が訪れました。確か昭和57年頃のことでした。

 道具屋さんとともに東京蒲田の、現在は静岡の芹沢ケイ介美術館に移築されている芹沢家を訪ねました。中にいると、土間から部屋の隅々まで色彩豊かな工芸品が溢れていました。その濃密な景色に圧倒されました。そんな中で笑顔で応対してくれた芹沢さんは幸福に包まれているようでした。



<創造への挑戦> よりp52
 心に染み入る色彩と、懐かしさがこみ上げてくるような模様。作品はどれも独特の世界を醸し、ひと目で芹沢ケイ介のものであることがわかる。芹沢作品が観る者に幸せな気持ちと懐かしさを抱かせるのは、そのモチーフにあるだろう。野辺に咲く草花、台所に転がる野菜や果物、街中で見かける道路工事や、電気屋の腰に下がる道具、旅で出会う風物、伝統的な手仕事にたずさわる紙漉場や窯場、織物、染物の職人たち、世界各地から募集した品物、そしていたる所で目にする文字など、芹沢の手にかかるとすべての物が作品のモチーフとなった。

 どこへ行くにもスケッチブックを離さず、家にいる時にも森羅万象を描きとめていてそれらが模様を生み出すもととなった。型彫りのための下絵を準備する時にも、描きためたスケッチを前に逡巡して模様の構成を練るというより、物や風景を眺めた時、芹沢の中には瞬時に模様が出来上がっていたのではないだろうか。

 中でも布が風にひるがえって、ねじれ、折りたたまれて漢字を作る布文字は、芹沢の独創性を示す模様である。朝鮮民画にある飛白体文字から触発されて生まれたとも考えられるが、布を扱う染色家だからこそ、張り場で天を仰ぎながら実感し発想した模様なのだろう。

 芹沢は、伝統的な型染の技法を脱してすべての工程を自分で行うという型絵染を確立した。型紙を使うという制約を逆手にとって、型紙だからこそ表現できる模様、型染でなければできない世界を創り上げた稀有な染色家といえる。


芹沢ケイ介美術館では、企画展《文字絵と朝鮮民画》が始まったようです。
朝鮮民画か♪・・・・大使のツボがうずくが、静岡市での展示だから諦めるしかないのです。


静岡市立芹沢ケイ介美術館 より
暮らしに生きる文字
芹沢ケイ介の文字絵と朝鮮民画

民画芹沢ケイ介収集の朝鮮民画

2015年9月12日(土)~11月15日(日)
<休館日>毎週月曜日(9/21、10/12を除く)、9/24、10/13、11/4

 芹沢ケイ介は文字の造形に強い関心を持ち、初期から晩年まで、大小たくさんの文字作品を制作しました。漢字を布で表現したもの、漢字の一部が模様になったもの、文字の中に動植物の世界を表現したもの、文字を擬人化したものなど、実にさまざまな工夫が見られます。本展覧会では、芹沢ケイ介の額絵、のれんなどの文字作品を中心に60点の作品をご覧いただきます。

 また、展示室の後半には、芹沢ケイ介の収集品の中から朝鮮民画を展示します。芹沢ケイ介は、昭和28年ごろから朝鮮民画の収集を始め、多数の資料を集めました。当館には76点の資料が収蔵されており、300点近くにおよぶ芹沢の絵画コレクションの中でも重要な一角を占めています。芹沢の集めた朝鮮民画はバラエティに富んでおり、文字絵の他、文房図、花鳥図、物語絵など、多彩な主題を見ることができます。本展では当館に所蔵する朝鮮民画全点を展示します。

大使が韓国に出張した際にも、かの地でわりと頻繁に文字絵に遭遇したのです。






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Last updated  2015.09.15 22:01:57
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