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2016.11.26
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カテゴリ: 歴史
<『海のシルクロード史』>
図書館で『海のシルクロード史』という新書を手にしたのです。
中国が最近提唱する一帯一路戦略があるが・・・・
その一路(海のシルクロード)について歴史を遡って見てみたいわけです。


【海のシルクロード史】
シルクロード

長澤和俊著、中央公論新社、1989年刊

<「BOOK」データベース>より
中国南部から、東南アジア、インド、西アジア沿岸を経て地中海に到る南海航路は、インダス文明の頃より連綿と継続してきた貿易路であり、決して、陸路の補助的な存在ではなかった。南海産の香料や大量の陶磁の輸送は、船舶によってこそ可能であり、またオアシス路も、海を渡って初めてアテネやローマと結ばれたのである。本書は、20年に及ぶ現地調査をもとに、東西交流の接点を海上交易の視点から見直そうとするものである。

<読む前の大使寸評>
中国が最近提唱する一帯一路戦略があるが・・・・
その一路(海のシルクロード)について歴史を遡って見てみたいわけです。

rakuten 海のシルクロード史


この本の第7章「鄭和の西洋下り」を見てみましょう。
p151~154
■明の南海路経営
 モンゴル族を駆逐して、中国の統一を完成した明の太祖(1368~98在位)は、北方の長城線を補強して塞外との交通を絶つとともに、内政的には強力な専制的中央集権体制をつくり、経済的には農村の復興と農民の生活安定に力を尽くした。

 太祖は即位の翌年から翌々年(1369~70)にかけて、海外諸国に新王朝の成立をつげ、入貢をうながす使節を送った。その結果、日本、朝鮮など十数国が朝貢使を送ってきた。しかし太祖は各国の来貢があまり頻繁になることを好まず、これらの国々に3年1貢、あるいは5年1貢に制限した。そして明朝の対外貿易を朝貢貿易のみに限定しようとした。

 その結果、きびしい海禁政策をとり、私貿易を全面的に禁止した。とくに中国人の海外渡航は厳禁となり、1374年、市舶司も全廃された。こうして唐末以来、発展を続けてきた海外貿易は衰退し、商船の往来も途絶えがちとなった。

 こうした国初以来の伝統を破って、積極的な対外政策を打出したのは、太祖の没後に孫の建文帝を破って(靖難の変)即位した、第3代の成祖永楽帝であった。英邁な成祖の視野はモンゴリア、シベリア、西域、チベット、安南、西アジアから朝鮮、日本にいたるアジア全域に及んでいた。

 成祖はモンゴリアのタタール部やオイラート部征服のため、モンゴリアに5回も親征した。東北へは1411年、宦官イシハの軍を送ってサハリンまで征服させた。チベットには宦官候顕を送って間接統治に成功した。安南には1406年に出兵し、交址布政司をおいた。西アジアのシャー・ルフには、1413年以来、3度にわたって陳誠らを派遣した。

■鄭和の登場
 こうした永楽帝の積極的な対外政策の一環として、南海路には前後7回にわたって鄭和の西洋下りが敢行されたのである。
 鄭和は1371年、雲南省の昆陽洲に生まれた。曽祖父は馬拝顔、祖父は父とともに馬ハッジと呼んだ。一家は古くからのイスラム教徒で、ハッジ聖地メッカに巡礼した人の意である。1382年明朝は雲南を攻略した。この時、父を失った鄭和は南京に連行され、宦官となった。征服された美少年を宦官にするのは、昔からの慣行だったという。

 その後永楽帝に仕えて次第に重用され、とくに靖難の変で軍功を立てて鄭姓を賜り、宦官の最高職である内官監太監となった。彼は180センチ、腰囲は1メートルをこえ、眉目秀麗の偉丈夫であったという。

 すでに触れたように、成祖永楽帝は大いに国威宣揚をはかり、とくに南海路では政府官営の海外貿易の振興を画策した。そこで鄭和を起用して大船団の司令官とし、東南アジア、インド、西アジア諸国の招撫と朝貢貿易の復活を図ったのである。

 その結果、1405年から1433年にかけて、7回にわたる大遠征航海が行われた。宝船、西洋大宝船、西洋取宝船等と呼ばれたその船団は、ときには大船62隻、乗員2万700人以上の大船団(第1,3,7次)で、いたるところ反抗する者は鎮圧し、南海・西洋諸国に中国の勢威を誇示し、その朝貢をうながした。

 それから約1世紀後の1498年に、ポルトガルのバスコ・ダ・ガマがインドのカリカットに達してインド航路を開拓するが、そのときのガマの艦隊は、100トン前後の旗艦サン・ガブリエル号以下4隻に、170人の水夫が乗組んだものだった。鄭和の大航海がいかにスケールの大きなものであったかが分かる。


鄭和の大航海については 中国が海を支配したとき3 でも、詳しく述べられています。


【中国が海を支配したとき】
鄭和

ルイーズ・リヴァシーズ著、新書館、1996年刊

<「MARC」データベース>より
大航海時代に先立つこと数十年前に、ヨーロッパ艦隊とは比較にならないほどの大艦隊が世界の海を牛耳っていた。中国に出現した鄭和の艦隊の大航海と、蜃気楼のように歴史の舞台から姿を消すまでを描く。

<読む前の大使寸評>
1996年刊のこの本のタイトルが、今日的であることが気になるのです。

amazon 中国が海を支配したとき






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Last updated  2016.11.26 00:35:58
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