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日本では春と秋に観察されるチドリ科のダイゼン、イメージとしては海岸沿いを移動していくのを思い浮かべますが、文献に大雪山系の東大雪山の最高峰ニペソツ山(標高2013m)の高山帯での観察記録が文献に報告されています。嶋崎(2014)は、2013年9月8日にニペソツ山登山道でダイゼン幼鳥1羽を観察したことを述べています。観察地点はハイマツ、ウラシマツツジ、ガンコウラン、イネ科の草本などが群生していた環境にあったと記しています。あわせて、2009年8月12日らメダイチドリ、2009年8月12日にオバシギが大雪山系で記録されていることも紹介しています。上記の記録は、繁殖しているユーラシア大陸、北アメリカ北部から南方向に越冬地に移動していたものですが、越冬地から繁殖地にむかう時期でも同様なのか興味のあるところです。(引用)嶋崎太郎.2014.大雪山系の高山帯におけるダイゼンの記録.ひがし大雪博物館研究報告.p5-7.(写真)私のライブラリーのもので2015年8月12日谷津干潟で撮影
2023.03.31
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来月になるとホームグランド手賀沼流域にヨシゴイが飛来し、営巣、産卵、子育てが観察できます。単独で巣をつくるもの、集団で巣をかまえるものが存在します。その背景にあるものについて文献の記載されている内容を紹介します。上田(1996)は、ヨシゴイの繁殖期に巣場所や生息地の状況、捕食率などについて調査を行なった結果を報告しています。年により違いはあるものの単独巣は集団巣よりも高い割合で捕食にあい、巣の下の水深が深い場所の方がアオダイショウやイタチによる捕食にあう割合は低く、水深が浅い場所では捕食にあう割合が高い結果であり、水深は繁殖の成功を左右する重要な要因と判明したと述べています。しかし、ヨシゴイで単独営巣する個体が存在していることを指摘しています。葦の単独巣は捕食にはあいやすいが、葦の高いところにつくられた巣は高さが高いために、繁殖時期である梅雨後期の大雨や台風時の増水によって冠水しない利点があること、好適な営巣場所があっても遅く集団繁殖地に加わる場合には、集団繁殖地の周囲はかえって捕食者に襲われやすくなるといった背景があることが単独営巣する個体の存在する背景にあると指摘しています。(引用)上田恵介.1996.ヨシゴイはなぜ集団で繁殖するのか:巣場所選びと繁殖成功.STRIX Vol. 14, pp. 55-63.(写真)2022年8月26日柏市、2013年7月13日埼玉県越谷市で撮影
2023.03.30
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昨日の冷たい雨から一転して朝から青空が広がり、サシバと水鳥を探しに手賀沼沿岸を探索して歩きました。沿岸の一角でサシバが登場しないかと待機していたら上空を2羽のサシバが私共の方をめがけて飛翔してくるのがわかりました。上空を何度も旋回したとおもったら、一羽は昨年営巣したポイントに降り立ち、もう一羽は電柱の上に飛来。その後、複数回、田んぼ、道路の上にいる小動物を狙って狩りを披露してくれました。昨年は3月20日に出会えましたので、一週遅い初認でした。なお、サシバは頭が灰色がかっていること、眉斑が目立たないので成鳥雄でした。このほか、手賀川の水面にはカンムリカイツブリ、コガモ、オオバンとコブハクチョウの群れ、田んぼでは縄張りを巡回するキジの雄を観察しました。(写真)2023年3月29日撮影
2023.03.29
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船橋市ふなばし海浜公園沖に広がる干潟では、ミヤコドリを数多く観察できます。主食はニ枚貝ですが、いろいろな採餌方法を目撃します。澤(2016)は、ミヤコドリの形態、生活史、食性や採食行動などについての知見を整理し報告しています。その中で、個体により嘴の形状が異なっており、採餌方法や餌を特化させていることを述べています。(1)嘴の先端が細く尖った形状をしている個体砂や干潟をつついてゴカイ類や砂の深場に潜っている貝殻の比較的柔らかい二枚貝を採餌するのに適していると述べています。(2)先端が鈍く幅が太い嘴を持った個体貝殻を嘴で叩いて突き破り,そこから嘴を差し込んで閉殻筋(貝柱)を裁断する採餌方法に適していて,そのような採餌をおこなうことが多い。(3)中間の形状をした嘴の個体貝の中に嘴をすばやく突き刺し、貝が閉じて嘴に挟まった状態から閉殻筋(貝柱)を裁断して採食するのに適していると述べています。(4)雌と雄の嘴雄のほうが嘴が太く,雌よりも二枚貝を採餌する割合も高いことを記しています。(引用)澤 祐介.2016.嘴の形状と食性の関係.Bird Research News Vol.13 No.12.p1-2.(写真)一枚目:2015年2月11日二枚貝を採食していた成鳥二枚目:2017年3月5日サイズの小さい二枚貝を採食していた成鳥三枚目:2019年8月31日ゴカイのようなものを採食していた成鳥四枚目:2021年8月11日成鳥の後ろ姿五枚目:2017年7月9日虹彩が褐色の若鳥六枚目:2022年7月29日干潟にできた水たまりで水に浸っていた成鳥七枚目:2015年7月18日成鳥の全身
2023.03.28
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桜がほぼ満開となっている我孫子市側の手賀沼遊歩道を探索しました。この時期はカモがほとんど渡去していますが、コガモの姿や葦原でヒクイナやクイナと出会えます。越冬している複数のポイントを訪ねると、その一箇所で尾羽を跳ね上げながら姿を現したヒクイナ、尾羽を上下に動かしながら登場したクイナが登場してくれました。その他のポイントではヒクイナのコッコッコッという声が段々スピートアップしていく鳴き声を出していました。このほか、縄張りを点検して歩くキジの雄、嘴基部に白い小さな斑があるコガモ雌、遊歩道沿いの雑草をついばんでいたコブハクチョウ、浅瀬で餌を物色していたダイサギ、コサギ、頭部が白くなり足の付根に白斑が出ているカワウの婚姻色、遊歩道脇に登場したジョウビタキ、釣り堀の一角に出現したカワセミと出会い楽しい時間を過ごしました。ジョウビタキ、登場時には上面にオレンジ色が見えて別種かと思いましたが、体の橙色がたまたま見えた個体でした。(写真)2023年3月27日撮影
2023.03.27
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先週から連日、雨降りがつづいています。シギ・チドリ類と出会うシーズンを間近に控え、ハジロコチドリ、イカルチドリ、コチドリ、シロチドリ、メダイチドリ、オオメダイチドリのライブラリーの画像と特徴を復習していました。(1)ハジロコチドリ画像は2013年8月24日に船橋市三番瀬で撮影した個体です。この個体は嘴は黒色で太くて短く、胸の黒帯は太い傾向でしたので雄冬羽と思われました。(2)イカルチドリ画像は2022年1月3日に茨城県坂東市、2022年2月26日柏市で撮影したものです。アイリングはありますがコチドリほど目立ちません。嘴はコチドリに比べて長いのが特徴です。一枚目の個体は翼の羽毛が淡色で鱗模様が見えたので若鳥、二枚目は前頭部と胸が黒いので雄成鳥です。(3)コチドリ画像は2020年3月20日に手賀沼、2012年7月15日に茨城県河内町で撮影した画像です。黄色のアイリングが目立ち、胸の黒帯が前面でつながっています。(4)シロチドリ画像は、2022年3月4日、2015年4月22日、2015年4月22日に船橋市三番瀬で撮影したものです。一枚目は頭にヘアバンドのような黒い帯があるので雄成鳥夏羽です。二枚目は上面に淡色の羽縁が認められるので若鳥と思われました。三枚目は一枚目と同様の雄成鳥夏羽です。(5)オオメダイチドリ画像は2019年8月31日、2020年8月21日に船橋市三番瀬で撮影した個体です。一枚目は翼の羽縁が白いので若鳥、二枚目は背、胸、頭が赤褐色がかっていたので成鳥夏羽が冬羽の換羽中の個体と思われました。(6)メダイチドリ画像は2017年4月26日谷津、2018年8月11日に三番瀬で撮影した画像です。一枚目は頭上から胸がオレンジ色で黒い線があるので雄成鳥夏羽、二枚目は夏羽から冬羽に換羽中の個体です。
2023.03.26
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雪のように見えるチガヤの穂を巣材としてくわえて飛ぶことから名がつけられたと言われているセッカ、この鳥は一夫多妻ですが、雄一羽に妻10人という感じなのかしら、それとも一羽の雄が雌のところを訪ねて移動するのかと疑問に思っていました。連日の雨降りでフィールドに出かけられないので、文献のいろいろを閲覧していました。上田恵介さんが、つぎのように報告をしていらっしゃいました。ご参考までに紹介します。上田(2006)は、セッカの形態、生活史、興味深い生態などの知見を整理し報告しています。その中で、「セッカは一夫多妻だが,特にメスの数が多いわけではない。(中略)おそらく性比は1:1だろうと思われる。一夫多妻といっても1羽の雄が同時に11羽ものメスとつがっているわけではなく、次々とつくった巣にメスを引き入れて、連続的に一夫多妻になる」と述べている部分を拝見し、ようやく納得。くわえて、「まわりのなわばりで繁殖に失敗したメスが、流れてきて別の雄のところでつがいになるのである。(中略)繁殖期の後半になると、オスよりもメスの方が数が多くなるのだ.もちろん巣立った幼鳥の数には性比の偏りはない。問題はそのあとである.8月に入ると,なわばりオスがすでに渡去して空いたなわばりで不完全な囀りを行なっている若いオスもいる。しかし,オスの幼鳥はそのシーズン中になわばりを持ってメスを獲得することはできない.一方,メスの幼鳥は,巣立ち後約一ヶ月で性成熟し,繁殖に入ることができる」と記しています。成熟の早いセッカ雌が一夫多妻の背景にあるということがようやくわかりました。(引用)上田恵介.2006.セッカ.興味深い生態や行動,保護上の課題.Bird Research News Vol.3 No.5.p2-3.(写真)一枚目、二枚目:2016年7月10日茨城県稲敷市で撮影三枚目:2020年5月3日茨城県稲敷市で撮影四枚目:2021年6月20日茨城県稲敷市で撮影
2023.03.25
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ホームグランド手賀沼とその沿岸には、ゴールデンウィーク前後にオオヨシキリが飛来する時期となります。ギョッギョッと囀るのを目撃すると、初夏の到来を実感します。西海(2007)は、オオヨシキリの形態、生態、生活などに関する知見を整理し報告しています。一夫多妻制でオスの20~30%が2~3羽のメスとつがう一方、なわばりを持っても1羽のメスともつがえないオスが15%前後いると述べています。早く渡来した雄はアシ原の植生密度が高い場所を好んでなわばりを確保し、最初の雌(第一雌)がなわばり内に入ると雄はさえずりをやめ、メイトガード(*)を行なう。第一雌が産卵を始めるころ(初卵日の前後3日間)にメイトガードをやめて再度さえずり始め,第二雌を誘引する.第二雌は第一雌の巣から離れた場所に営巣する傾向がある.早く渡来した雄、特に4月中に渡来した雄は一夫多妻になる傾向が強く,5月中ごろ以降に渡来した雄は雌を1羽も得られないことが多いことを記しています。さて、表題について、西海(2007)は、次のように興味深い報告をしています。オオヨシキリの雄が多い巣では雄親の給餌頻度が高いことを紹介しています。雄のヒナが多い場合には、雄親は十分な餌を与えて「良い息子」に育てようとし,逆にメスのヒナが多い場合には、給餌には労力を割かず、さえずることでもう一羽のつがい相手を獲得することに労力を割く方がより多くの子孫を残すことができるからだと考えることができると述べています。一般的に鳥類のヒナの性は外観上わからないとされていますから、雄親がどうやってヒナの性を識別しているのかという疑問は残りますが、興味深い記事です。(*)メイトガード:雄が雌に近づかないように警護すること(引用)西海 功.2007.父親はオスのヒナが多い巣でよく働く.Bird Research News Vol.4 No.8.p4-5.(写真)一枚目2019年5月11日柏市布瀬二枚目2019年5月12日柏市片山新田三枚目2022年5月20日印西市下井四枚目2022年6月17日柏市鷲野谷
2023.03.24
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ヒバリは、平地から山地の農耕地、草地、荒れ地等に生息している鳥類で、主に平地に生息していると思われてきました。しかし、清棲(1966)が報告しているように、長野県の霧ヶ峰や奥日光の小田代が原といった高地、上田(2007、白木2007)が述べているように富士山の標高1500~2000m のガレ場で営巣が確認され、北海道の高山帯でもさえずりが確認されていました。しかし、近畿、中国地方には活動中の火山が存在しないこと、ヒバリが生息できる見通しのきく環境がないことからヒバリは生息しないと考えられてきたこともあり、日本列島の山岳地帯の生息状況は不明でした。上田ほか(2022)が、2018年から2021年にかけて調査を行った結果、従来は知られていなかった亜高山帯のガレ場や火山のスコリア帯(火山の軽石帯)における生息状況が明らかとなり、平地にしか生息しないとされてきたが日本列島の火山帯のガレ場やスコリアに普遍的に分布することが明らかになりました。また、調査の結果、高山の植生ではスゲ類が見られるところでは生息が認められたが完全な岩礫、裸地では生息が認められなかったこと、高山における生息環境要件として巣材として利用できるスゲ属の生育が重要であること、斜度35度になる急斜面のガレ場でも生息が明らかになったと報告しています。(引用文献)清棲幸保. 1966. 野鳥の図鑑. p205-206.東京堂出版.白木彩子. 2007. 大雪山における高山帯耐性鳥類研究の試み.鳥学通信 no.17.上田恵介. 2007. 高山ヒバリはどこから来たのか?. 鳥学通信no.17.上田恵介ほか.2022.科学研究費助成事業 研究成果報告書.高山帯ガレ場に生息するヒバリ個体群の生活適応史と遺伝構造の解明.(写真)一枚目2011年6月12日柏市片山、二枚目2015年6月6日柏市布瀬、三枚目2021年8月20日印西市発作、四枚目2022年6月30日柏市正蓮寺、五枚目2023年3月20日柏市正蓮寺で撮影
2023.03.23
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青空が広がった朝、k_tsuminetさんの街のツミを探索しに出かけました。現地で待ち合わせをして林の中を見て回りました。到着後、40分ほどして鳴き声が聞こえたと思ったら、雌が頭上の枝にとまり鳴き声を出し、雄は毎年見張り台として使っている枝にとまりました。雌はその後、林の外に出かけましたが、雄はそのまま見張り台に。(写真)2023年3月22日撮影
2023.03.22
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昨日、柏の葉キャンパス駅近くでイソヒヨドリ雌を目撃しました。観察した個体はアップした画像のように上面に青色味があり、雨覆に白い斑点はない、下面には赤色部分がないことから雌成鳥と思われました。柵の高いところにとまり、周囲を見渡したり、地面に降りて餌を物色したり行動を目撃しました。伊沢・松井(2011)が報告しているように、イソヒヨドリは一夫一妻制(まれに一夫二妻の場合)で、雄が周年なわばりを維持してなわばりの中の高い位置にとまってり見張りをし、抱卵は雌のみが行うと記しています。雄の姿が確認できないのでまだ抱卵に入っていないのか、雌単独なのか、または一夫ニ妻の雌なのかといろいろ頭を過りました。いずれにせよ、今後の観察が楽しみです。(写真)2023年3月20日撮影(引用)伊澤雅子・松井 晋.2011.イソヒヨドリ.Bird Research News Vol.8 No.8.p4-5.
2023.03.21
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ニ週間ぶりに柏の葉キャンパス駅近くにある調整池を訪ねました。湿地のあちこちにタシギとコチドリが餌を物色している姿、水路にクサシギ、水面にはオカヨシガモとヒドリガモ、カルガモの姿を見つけました。あわせて、湿地帯ではバン、ヒバリ、タヒバリの姿もありました。このほか、商業施設の近くの柵の一角にイソヒヨドリが登場。上面に青色味があり、雨覆に白い斑点はない、下面には赤色部分がないことから雌成鳥と思われました。(写真)2023年3月20日撮影
2023.03.20
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3月9日のいつもの林上空からツミの鳴き声がしていたと鳥友k_tsuminetさんから連絡をもらっていたのでいつもの林に立ち寄りました。10時代で合計6回鳴き声、うち2回は上空を旋回する姿もあわせて観察できました。昨年はヒナが誕生しながらも巣立ち直前で外敵に襲撃されヒナ全滅の事態となったので今年こそ無事でという思いです。しかし、市と地権者の関係で昨シーズンの営巣エリアに自由に市民が出入りできなくなる模様で、ツミが無事営巣できるかは流動的です。(写真)上空を旋回していた関係で撮影記録ができず2022月3月31日撮影のもの
2023.03.19
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来月下旬からゴールデンウイークにかけてホームグランド手賀沼沿岸の田んぼや近郊の水田や干潟にシギ・チドリが飛来する時期となります。雨ふりとなりムナグロとならびよく見かけるキョウジョシギの撮影画像を復習。(1)成鳥雄夏羽一枚目から三枚目の写真は成鳥個体です。三枚ともに頭上が斑点状となっているので雄個体です。体上面は赤褐色と黒のまだら模様です。ただし、体上面の黒の模様が多い個体を手賀沼沿岸で見かけたことがあります。2014年5月11日印西市、2015年5月10日印西市、2015年8月12日谷津で撮影した個体です。(2)成鳥雌夏羽四枚目の写真は2018年8月18日に谷津干潟で観察した成鳥雌個体です。頭上がキャップ状に見え、上面の赤褐色は雄個体と比べて淡い印象でした。(3)成鳥冬羽五枚目の写真は、2008年5月10日に印西市で観察・撮影した成鳥冬羽です。頭上が斑点状で上面に赤みがありません。第一回冬羽では雨覆と風切に幼羽が残っているはずですが、雨覆に擦れが見られなかったことから冬羽と考えました。(4)第一回冬羽六枚目の撮影個体は、2006年4月30日に印西市で撮影した個体です。成鳥冬羽と似ていますが、雨覆に擦れが見られるので第一回冬羽と考えました。
2023.03.18
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冬鳥として飛来したユリカモメの姿も春になると見られなくなります。千葉県では利根川河口沖で夜間の集団ねくらをとることが知られていますが、水面以外のねぐらは文献報告も少なく、意外と知られていません。平田(2007)は、一部の個体が京都府の民家の屋根でねぐら行動をとっていたことを報告し、屋根の上では幼鳥率が高い傾向が認められたと報告しています。ねぐらとしたところでは中州などの周囲を水で囲まれた陸地が池の周辺にはなく、屋根は地上性の天敵が接近しにくいという点で安全性が高いことも要因となったのではないかと述べています。また、あわせて、小さな池や陸上における小規模なユリカモメの集団ねぐらは日本では非常に少ないが、日本と同様にユリカモメが多数生息するイギリスでは、小さな池やビルの屋上などでも小規模な集団ねぐらが普通に見られるとの報告があり、なぜ日本では陸上ねぐらが少ないかを議論するうえで多くの情報が必要と指摘しています。(引用)平田和彦.2007.日本におけるユリカモメの陸上ねぐら.Strix第25巻.pp141‐146.日本野鳥の会.(写真)2016年11月13日茨城県潮来市北浦、2018年11月14日東京都不忍池、2022年1月17日水元公園で撮影
2023.03.17
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昨日リポートした水戸街道の宿場町のチョウゲンボウの記事を見てくれた鳥友から見てみたいと連絡をもらったので一緒に現地を訪ねました。午後、現地に到着すると複数の雄が獲物を捕獲して帰還する様子を目撃しました。このほか、今シーズンの巣を構える橋梁の穴に獲物を持ち込み、羽をむしっている様子が目撃できました。羽のサイズからすると、小鳥のような感じでした。鳥友がチョウゲンボウを観察していた間は、昨日、河川沿いにある柳の花芽やイノコズチの実がなっているエリアからベニマシコの鳴き声が聞こえていたのでそのエリアの一角で待機してみました。すると、複数のベニマシコが柳りの花芽、イノコヅチの実を食べていました。腹の赤が目立つ雄、全体が褐色で地に縦縞模様があり、翼に2本の白線がある雌個体の姿を観察できました。雄はほとんど鳴かず、雌がフィッ、フィッと鳴き声を出して登場のパターンを何度も繰り返しました。(写真)2023年3月16日撮影
2023.03.16
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かつて水戸街道の宿場町として賑わった街の橋梁で長年チョウゲンボウが営巣・子育てをしています。今シーズンの様子を見に現地に立ち寄りました。最寄り駅から向かうとチョウゲンボウが2羽、グランドで採餌をしていました。さらに、子育てをしているポイントに移動すると、雌がキュリリーキュリリーと鳴き声をあげ雄は呼応するようにキッキッと鋭く鳴き声を出していました。雄がグランドで獲物をゲットして帰還すると、跳ねるような感じで雌が接近し獲物を受け取る光景も目撃しました。あわせて、羽根の模様のいろいろを観察。尾羽の先端が黒いこと、初列風切のサメの歯のような模様などをじっくり観察できました。これから産卵、子育てとなるものと思います。見守りつつ、観察を続けていきます。(写真)2023年3月15日撮影
2023.03.15
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ホームグランド手賀沼とその沿岸を探索しました。沼の東端の水面で角刈り頭と角刈りでないカンムリカイツブリを目撃。角刈り頭に慣れていると新鮮な出会いでした。このほか、遊歩道脇の雑草をついばむコブハクチョウ、コガモ雄成鳥と雄幼羽が生殖羽に換羽中の個体、ヨシガモ雄、巣作りの準備に入っているカイツブリ、水面の杭に止まっているミサゴ、セグロカモメ、葦原エリアでホオジロの雌雄、縄張りを巡回していたモズ、葦原で餌を物色していたオオジュリン、遊歩道脇で餌探しに余念がないツグミの雌雄と冬の小鳥たちを見かけることができました。(写真)2023年3月14日撮影
2023.03.14
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40年来の鳥友から柏市内、手賀沼とその周辺地域のシラコバトの生息について問い合わせをもらいました。拙宅の亭主が観察記録を整理している中から1970年からの観察記録を見返した結果を整理し、2009年7月5日から8月8日の約一ヶ月間、柏市中原の公園で姿を見かけて以降、シラコバトを観察していない旨と市内でのシラコバトを観察した地区を整理してデータを提供しました。(1)柏市内でのシラコバトの観察記録1979年4/8柏市戸張1羽1983年6/8柏市高田1羽1992年2月3日から8月27日柏市十余二の公園で繁殖1993年4月11日柏市泉1羽1994年5月13日から7月27日柏市十余二の公園で繁殖1995年3月9日から6月10日柏市十余二の公園で繁殖1996年4月24日から5月16日柏市十余二の公園1996年9月19日から1996年9月20日柏市豊四季1997年4月8日柏市十余二の公園で1羽1997年6月5日柏市豊四季で1羽1997年9月13日我孫子市北新田で1羽1998年8月8日柏市今谷上町で1羽2000年6月18日から8月25日柏市豊四季でペア個体2001年6月19日柏市東中新宿で1羽上記の観察場所は、いずれも垣根、庭木、防風林が存在し、休憩場所として使っていたものと思われます。(2)隣接する埼玉県でのシラコバトの動向埼玉県がホームページでシラコバトの調査結果を報告しています。その結果を整理すると、つぎのようにhttps://www.pref.saitama.lg.jp/なります。2012年6月から8月の繁殖期 24羽2012年12月から2013年1月の越冬期76羽2013年12月から2014年1月の越冬期107羽2014年12月から2015年1月の越冬期103羽2015年12月から2016年1月の越冬期103羽2016年12月から2017年1月の越冬期66羽2017年12月から2018年1月の越冬期75羽2018年7月から8月の繁殖期44羽2019年12月から2020年1月の越冬期38羽2020年12月から2021年1月の越冬期29羽2021年12月から2022年1月の越冬期42羽(3)埼玉県でのシラコバト減少の要因中央大学の2017年度高校生地球環境論文賞の入賞論文で斎藤玲奈さんが調査・インタビューした結果から減少の要因を報告しています。https://www.chuo-u.ac.jp/a.越谷市によると、2008年までの50年間で農地割合が72 %から27 %になり、一方で、宅地割合は2008年までの50 年間で8 %から36 %になったとし、農家の宅地化と宅地化による治水対策によるコンクリートの護岸工事によるシラコバトの水飲み場減少が減少の要因としてあげられると記しています。b.越谷市の養鶏業は1968年に飼養戸数500戸、飼養羽数100万羽に達していたが、2013年3月1日には、養鶏場が市内に1戸のみとなったことで餌場としての畜舎の減少が要因としてあげられると報告しています。c,越谷市内の屋敷林の箇所数は、1989年は386 箇所だが、2014年には156箇所になり、25年間で約4割減少し、営巣場所が減少したと記しています。(写真)2011年5月8日柏市内で撮影
2023.03.13
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昨日三番瀬でスグロカモメと出会うことができました。羽色(成鳥夏羽、成鳥冬羽、第一回冬羽)、鳴き声、採餌などについても復習。A.羽色について(1)成鳥夏羽成鳥夏羽は、上面が青灰色で、初列風切外側3枚の外弁は白く羽先が黒く、5枚程度あるものと思います。(2)成鳥冬羽成鳥冬羽は頭部は白く、眼先、頭頂、頬がわずかに黒く、脚は暗赤色で、尾は白色でした。黒い初列風切に白い斑があるのが目立ちました。(3)第一回冬羽から第二回冬羽に移行中の個体第一回冬羽で、翼に褐色斑(幼羽)は見とれず、初列風切先端の白がず少し見えているので第二回目冬羽に移行している個体と思われました。(第一回冬羽:静止時では初列風切先端の白斑は見られません。第一回冬羽の脚は暗褐色、雨覆や三列風切に暗褐色斑が見られます)B,鳴き声について成鳥夏羽が餌を捕獲するときに、第一回冬羽から第二回目移行している個体に合図なのかコアジサシに似たキィキィと声を出していました。この声を出すと眼下の水たまりに降り立っていました。C.頭が黒くなるタイミング和田(2016)が2014年3月3日に兵庫県加古川河口でズグロカモメ成鳥13羽のうち、7羽の頭が真っ黒だったとし、ユリカモメよりも一か月近く夏羽になる印象と報告しています。ユリカモメの頭部が黒くなっていく様子を観察した結果から4月に入って急速に黒くなり、4月終わりに成鳥の大部分は黒い頭になっていると述べています。D.採餌の様子昨日の三番瀬では、歩きながら干潟表面をつつき回して嘴の触感で餌を探している様子と干潟にできた水たまりに上空から舞い降りてカニを捕獲していました。(写真)2023年3月11日撮影(引用)和田 岳.2016.身近な鳥類学.ユリカモメの頭はいつ黒くなる.むくどり通信.第242号.p10-11.日本野鳥の会大阪支部.
2023.03.12
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昨年の10月以来、久しぶりに三番瀬に出かけました。今回は、ズグロカモメの羽色のいろいろを重点に観察しました。頭が真っ黒な成鳥夏羽、頭はほぼ真っ黒なのに頭頂と眼先が白い個体、頭部が黒くなりかけている第一回夏羽、眼の後ろに黒斑のある成鳥冬羽と観察していて時間を忘れるような羽色のいろいろを目撃。このほか、ユリカモメ、カモメ、ススガモ、距離が遠かったもののその独特のシルエットでわかるビロードキンクロ、ミヤコドリ、ダイゼン、ハマシギなどとの出会いを楽しみました。(写真)2023年3月11日撮影
2023.03.11
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春到来とともに出会いが楽しみなのがミソサザイです。小さな体に似合わず、雄は震わせた声を効かせて複雑な声量のある声でさえずる大好きに鳥のひとつです。音が鳥のさえずりに与える影響が注目されています。興味深く目を通したのが沢沿いに生息するミソサザイと山のミソサザイではさえずりの特性が違うとの植田さんの報告でした。植田(2013)は、ミソサザイは山と沢を比べると山の方がよりさえずりの音圧が低い傾向があったと報告しています。具体的には、沢の近くで雑音が多い場所(沢)でさえずる個体とそうでない普通の森林地帯の個体のさえずりの特性について調べた結果、沢の個体は山の個体と比べて大きな声でさえずり(音圧が高い)最低周波数が高く、音要素の周波数変調が少ない(単調な歌)ことが判明したと述べています。沢の近くでは、沢音がさえずりの邪魔をしているのでミソサザイは、負けないよう大きな声でさえずり,沢音の周波数帯と被らないように最低周波数が高くなっていると考えられる。一方,山の個体のさえずりは,沢音が邪魔しないので,それほど大きな声でさえずる必要がなく,音要素の周波数変調が多い(つまり複雑な歌)さえずりを持つことができると考えられたと記しています。(引用)植田睦之.2013.大きな声で鳴く沢のミソサザイと小さな複雑な声で鳴く山のミソサザイーミソサザイのさえずりへの騒音の影響ー.Bird Research.第9号.pp.S23-S28.(写真)一枚目:2015年5月23日栃木県日光市湯滝で撮影二枚目:2019年7月9日長野県戸隠森林植物園で撮影三枚目:2021年6月29日長野県上高地で撮影
2023.03.10
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今年も春のシギ・チドリの姿を期待して茨城県南部の浮島、甘田干拓地を訪ねました。浮島周辺の蓮田ではセイタカシギ、タゲリ、タカブシギ、タシギ、オオジュリン、ホオアカの姿を観察できました。帰り際に立ち寄った甘田干拓地では、ノスリの姿を目撃。喉の黒いのはどの個体も一緒でしたが、眼先から嘴基部にかけて真っ黒の個体とそうではない個体を見かけました。(写真)2023年3月8日撮影(ホオアカのみ2022年2月千葉県で撮影)
2023.03.09
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多くの図鑑では、アトリ科のシメは種子を好んで食べ、地上で採食すると記されています。太い嘴は樹上に残った種子、地上に落ちた種子をすりつぶして食べるのに向いていると解説しているものがほとんどです。しかし、穴田・多奈田(2000)が富山県のモウソウチク林でハチ類を採食した旨を報告しています。イカルは、モウソウチクエダフクレフシを割って中に潜んでいたサナギまたは幼虫を食べていた旨です。私共のフィールドには、モウソウチクエダフクレフシが存在していないので、確認しようがありませんが、今一度、シメの食べている餌に注目してみる必要があると思います。(引用)穴田哲・多奈田功.2000.イカルとシメによるモウソウチク虫えい内の八チ類の採食.Strix.第18巻.p111-114.日本野鳥の会.(写真)過去の私のライブラリーのものをアップ
2023.03.08
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一ヶ月に柏の葉キャンパス駅近くにある調整池を訪ねました。タシギとクサシギが活発に採餌をしている様子が肉眼でもよくわかりました。長い嘴を起用に使って餌を探すタシギ、白いアイリングと上面の褐色で白斑が点在するクサシギをよく観察できるのがこのフィールドの自慢です。なお、タシギは合計10羽以上が湿地を移動する姿を目撃。このほか、カモの仲間は、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、オカヨシガモが水面を移動する姿も観察できました。先週後半に地元の方がヒメアマツバメの飛翔する姿を目撃したと聞いていたので巣兼ねぐらとしているポイントに立ち寄るときれいに補修されており、いてねぐらとして使っている可能性が高い印象を受けました。(写真)2023年3月7日撮影
2023.03.07
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昨年、鳥友から教えてもらった東葛地区の駅前にイソヒヨドリを探しに立ち寄りました。2006年以降、毎年姿が目撃されていると聞いていますので、そろそろ繁殖行動に入る頃と期待。昼前に現地に到着し、ピルが立て並ぶ一角で待機すると、目の前を上面青色が目立つイソヒヨドリ雄がビルの谷間を移動していきました。その後もショッピングセンター屋上に登場し、素早く移動していきました。いずれも鳴かずに移動していったことからすでに営巣している可能性もあります。駅前のビルで営巣は、雨があたらず乾燥していること、ヘビや猛禽等から回避できるメリットがあります。今後も足を運びたいと思います。(写真)静止しているところを撮影できなかったので昨シーズン4月撮影のものをアップ。
2023.03.06
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ホームグランド手賀沼とその沿岸にある水田地帯を探索しました。冷たい北寄りの風が吹き、柏市側の遊歩道近くの手賀沼水面ではには鳥影は少なく、マガモ、カンムリカイブリ、カワウ、ミサゴ、セグロカモメの姿をみかけたのみでした。そのため、印西市との境界まで移動し、下手賀川に集結しているオオバン、コブハクチョウ、水田エリアでタゲリ、ノスリ、チョウゲンボウを観察しました。アップした写真は、水田で採餌に余念のないタゲリ、その近くの電柱に止まっていたノスリ若鳥、下手賀川に集まっていたオオバン、コブハクチョウ、オナガガモ、手賀沼の葦原、遊歩道近くに姿があったツグミ、ホオジロ、オオジュリンです。このうち、ホオジロは頬を膨らませて変顔をしていたのを目撃。誰に強そうに見せていたのかは不明です。いつも見ている顔との違いがおもしろいと思いました。(写真)2023年3月5日撮影
2023.03.05
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昨日、千葉市内でケヤキの木についていたヤドリギの実を食べていたヒレンジャク、キレンジャクを観察しました。帰宅後、ヤドリギについて復習。山崎(2015)は、ヤドリギについての知見を整理し報告しています。(1)ヤドリギの色の秘密光合成により栄養をつくっているので緑色をしており、果実は直径5mm ほどの球形で、中に透明のネバネバした液につつまれた種子が入っている。ヤドリギの種子は鳥のお腹の中でも粘液に包まれたままで、鳥のフンといっしょに出てきます。鳥が木にとまっているときにフンをすれば、粘液が長く糸を引いてたれさがります。また、果実の黄色または赤色は、人と同じように色を見分けられる鳥から発見されやすいと述べています。(2)ヤドリギのつく木の種類2012年冬に札幌市内のヤドリギの調査をした結果、ヤドリギがつく木の種類は、着生が多い順(割合)に並べると、A:公園や森に植えられた木ではシラカンバ・ハルニレ・ナナカマド、B:自然に生えてきた森の木ではドロノキの割合が50%にたっし、次いでオオバボダイジュとハルニレとの結果と報告しています。さらに、文献に収録されている長野県松本市を中心とした地区の調査結果を紹介し落葉広葉樹20種でヤドリギが確認され、たくさんついていたのはケヤキ・シラカンバ・コナラ・クリだったと記しています。(引用)山崎真実.2015.北海道の自然.北海道自然保護協会会誌.第53巻.p102-106(写真)1枚目、2枚目:2023年3月3日千葉市内で撮影、三枚目2020年2月埼玉県で撮影
2023.03.04
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鳥友から千葉市内の10haあまりの公園内に毎年レンジャク類が飛来していると教えてもらい、現地を訪ねました。古代、麻績(おみ)氏により開発され、麻布を生産するために池で布をさらしたことから池の名がつけられた公園の近郊にあるヤドリギにその姿がありました。現地に通っている方によると、今朝は合計38羽のレンジャクが池に水を飲みに飛来した姿を目撃した由。今日、観察したポイントでは、ヤドリギに10羽の姿があり、うち一羽はキレンジャクでした。残りは、ヒレンジャクでしたが大半が下尾筒が橙色で若鳥、第一回冬羽でした。(写真)2023年3月3日撮影
2023.03.03
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3月にはいり、江戸川に飛来しているコミミズクを見に現地に出かけました。コミミズクとの出会いは、14時30分のことでした。羽角は長めでその間隔は広く、眼周辺が黒い個体でした。また、体下面の縦斑は細いので雄個体と思われました。菜の花が土手沿いに咲いていたので、飛翔を記録できたらよかったのですが、冷たい北寄りの風が吹き始め、小雨が降り出したので15時30分には撤収。なお、同地で観察した個体の写真を参考にアップします。顔盤、羽角などの違いを見る際の参考となれば幸いです。五枚目は1月19日、六枚目は2月12日撮影のものです。(写真)2023年3月2日撮影
2023.03.02
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スズメの嘴基部の色が季節によって変化すると研究報告を目にしました。身近な存在であるスズメですが、その嘴基部の色を丁寧に確認してこなかったので反省することしきりです。玉田・池田(2019)は、北海道の札幌市と江別市のスズメ個体群を対象に嘴基部の色に着目して鳥類標識調査と野外観察を実施し、嘴基部の色の変化につい調査した結果を報告しています。野外観察の結果から、6月から7月までの間、幼鳥の嘴基部の色は黄色であったが成鳥は黒色であった.9月から 12月は,ほとんどすべて個体が黄色になり、1-2月には黒色の個体の割合が増加し、3–5月にはすべて黒色との結果であり、嘴基部の色は,季節変化することが考えられたと述べています。1月から 2月は黄色から黒色に変化する時期で,8月は黒色であった成鳥が黄色に変化する時期であると思われる。このことから、嘴基部が黄色のスズメをすべて幼鳥と判定することは誤りと指摘しています。また、 1歳以上の成鳥で嘴基部が黄色の個体も確認されており、文献や図鑑で説明されている成鳥の嘴基部は黒色であるとする記述は、すべての個体で当てはまることではないことを指摘しています。最後に調査結果からは、北海道に生息するスズメの成鳥には嘴基部の色が黄色と黒色の個体が存在することが明らかになり,色は季節によって変化することが考えらると結んでいます。永井(2014)は、スズメ成鳥の嘴は黒色、嘴が淡色、黄色なのは若鳥、成鳥冬羽の嘴基部は黄色くなるといった解説があります。また、石田(2015)や叶内(2020)では嘴は黒く、幼鳥は嘴基部がわずかに黄色味を帯びることを記しています。(写真)一枚目:2023年2月16日柏市増尾、二枚目2008年12月14日柏市内で撮影したもの。嘴は黒色。三枚目:2021年10月12日柏市増尾、四枚目:2020年8月15日野田市江川で撮影したもの。嘴基部が黄色。(引用)永井真人.2014.野鳥図鑑670.p161.文一総合出版.玉田克巳・池田徹也.北海道のスズメにおける嘴基部の色の季節変化と外部計測値による性判定の可能性.日本鳥学会誌第68巻.第2号.p349-355.68(2): 349–355 (2019)叶内拓哉.2020.フィールド図鑑日本の野鳥.p368.文一総合出版.
2023.03.01
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