★人生はホラー映画★ただいま労災で休職中★投稿すると抹殺人生★人生は運が全て★
カテゴリ未分類 32
映画 6
投稿 2
★小説教室(通信制)の報告デース★ 1
エッセイ:つぶやき★ 630
★小説「メデューサの聖廟」 9
★ハワイ旅行記(いとこ書き込み)★ 3
★スパイダーマン3★ 1
★スーパーマン★好きだ★ 0
★祝!! ショートショート掲載記念★ 4
★シュレック2,3★好きだ★ 1
★観てきました!「ダイハード4」★ 1
★「パイレーツオブカリビアン3」★ 1
★もう「トランスフォーマー」観ちゃった★ 1
★やっと掲載料がもらえたよ~★ 3
★映画「スターダストお気に入りデス★ 1
★3D映画「ボルト」見ました★★ 1
★怒り心頭・大儲けの方法★ 1
★小説「死神の告白」★ 7
★小説「流星の挽歌」★ 12
★小説「CALLING・神々の追憶」★ 12
★小説「赤い月に眠る」★ 5
★小説「アテンの暁光」★ 14
小説「MA・GU・ROファイナル」 3
★小説「極楽浄土迷宮」 2
★霊魂のささやき★ 5
★小説「アイシテル」★大昔 8
★小説「ヴィーナスは夢の途中」 1
★「ヴァルキューレの祝祭」★ 6
★「殺し屋は夢想する」★ 8
★「パピヨンパピヨン」第2話★ 10
★「恋は微笑む」恋愛物。漫画用でした 11
★1「パピヨンパピヨン」★第一話 14
★小説「ジパング・アウト・日本」時代 6
「メデューサの聖廟」 一部抜粋 5
プロット「イケメン」 0
全1件 (1件中 1-1件目)
1
「アイドルは夢の途中」1 ★続きはアマゾンの電子書籍でね。キンドルアプリをアンドロイドかIphoneでゲット。 プロの作家には、自分と担当編集者と、他の編集者と 編集長と、頭脳がたくさんありますが、こっちは脳みそがたった一つしかないので、大変です。どうしたって勝ち目はありません(笑)脳みそは一つ~。校正もいないし。「しばらく休んでくれないか?」(キララプロダクション)は女性アイドルばかりを養成しプロデュースしている芸能プロダクションだった。 その社長の内海サブロウが、スターダスト歌謡新人賞を一年前に受賞した東堂ヒナコに言った。「今度、初めて男の新人アイドルを売り出すことになったんだけど、売り出すまでの一年間、しばらく休んでくれないか?」「休む? まさかクビですか?」「違うよ。もちろんその間、ダンスや歌や演技のレッスンの時間を増やし、アイドルの東堂ヒナコから女優の東堂ヒナコとして成長するためのステップアップの期間にすればいい」「ステップアップですか?」 「実を言うと、あれなんだ、うちはこの世界じゃ新参者だろ? 同時に二人分の営業ができないんだ。ベテランのスタッフが不足していてね。今のところは俺のマネージャー時代の人脈で繋いでいるが、現実は営業力が不足している。君が歌手として成功を収めた事で、うちもプロダクションとしてかなり株が上がった。だから今のうちに二人目のスターを売り込んでおきたいんだ。スターが一人だけだと先行きが不安だからね」「契約解除というわけではないですよね?」「当たり前だよ。ステップアップだ。東堂ヒナコを知らない人はいないよ。きっとファンは、女優の東堂ヒナコに会いたがっている」「女優かぁ」 ヒナコは今時のコギャルらしく単純明快なオンナだった。 簡単に丸め込まれるオンナだった。 オトナの口車に乗せられれば、簡単に納得してしまった。 ヒナコのアタマにはすでに、女優になって、舞台に立っている自分の姿が浮かんでいた。 カワイー衣裳でのミュージカルのオヒメサマとかいいじゃないと思っている。 アイドル女優として男たちに追い掛けられ、声援を受け華々しく活躍している東堂ヒナコ。 彼女はほくそ笑んだ。「すまないね。もっとうちが大きくなったらきっと君の貢献に対して、それなりの報酬を払うよ」「じゃ、月給は現状維持で、今日からかっきり一年間休んでくれ。一年後には舞台の仕事を用意しておくよ」「はい」 そう言ったものの、真っ黒だったスケジュール帳が突然真っ白になった。 世界から捨てられたようで淋しくなった。「ま、いいか」 立ち直りが早いのも、いまどきのギャルだった。 明日からの「毎日が日曜日」という現実を楽しもうとワクワクしている。 空を見上げた。 東京のビルの大画面にアイドルが映っている。すぐ真下を善良なる人々が闊歩している。 東堂ヒナコの最新のライブDVDの宣伝だった。前回のDVDは八万本売れた。今回も同じくらいは売れるだろうとヒナコは思っていた。 自分の映像を自分で見ている。妙な感じだった。 自分自身だけど自分ではないような奇妙な感覚。 ヒナコの双子が歌っている。 両親の離婚で離れ離れになった双子がアイドルとして歌っている。 それとも生霊の東堂ヒナコが歌っているのか。 その方が納得がいくというカンジだった。 東堂ヒナコは自分ではない。本名加藤綾音はここにいる。 ここで二次元のヒナコを宇宙人のように眺めている。 明日からは東堂ヒナコは雑誌にもテレビにも一切登場しない。 まるで世界から消えたように。 賞味期限が切れた食品のように生ゴミとして捨てられる、そんな孤独が襲ってきた。「休養?」「そなのママ。社長が男のアイドルを売り出す間、集中したいから休んでくれって。ま、充電期間ってことよ」 ヒナコの家は高級住宅街にあった。 父親は東京都全域で十六軒ものレストランを経営する会社の代表取締役だった。 フランス料理のシェフであった祖父が目黒にあったレストランで成功し、そのあと次々と出した店も盛況だった。 銀行が次々と資金提供を申し出て、あっという間に会社は大きくなった。 「ポラリス・スターダスト株式会社」はすでに押しも押されぬレストランチェーンになっていた。 その家は祖父の税制対策から賃貸ではあったが、屋敷とも呼べそうなほど威風堂々としていた。父親が欧米に憧れて輸入住宅に決めた。シンメトリーなデザイン。レンガタイルを張り詰めた外壁を引き締める白い窓枠。デコラティブな純白の柱。坪単価の高いモデルルームをそのまま再現させた上級なデザイン。まるで屋敷のようなその外観は、売れっ子アイドル歌手ヒナコのステータスを満たすためにふさわしいものだ。この家をお嬢様育ちのハハがインテリアコーディネーターにコーディネートさせた家具やカーテンが、さらに飾り立てていた。上級な邸宅は、それにふさわしいコーディネートが必要だというのが、ハハの口癖であった。 たしかにその完璧なコーディネートのおかげで、胸を張って、これが東堂ヒナコの邸宅よと言える物件になっていた。「人出不足なのね。それとも営業が大変なのかしら?」 お嬢様育ちのハハは加藤桜子といい、イタリア製の二百二十万円もするソファがお気に入りだった。 高級イスを撫でながら、深々とその細い腰を委ねて、ヒナコの話を聞いていた。まるでパーティに着るようなシルクのドレスをデイリーに着ている。 コンビニにもスーパーマーケットにも、通いのお手伝いさんが料理を作るので行かない。母親はいつも優雅な衣裳を好んで身につけていた。 そういう母親を時には、恥ずかしく思う事もあった。 どこか現実離れしている夢見る少女のようだった。 ヒナコが幼少期には、子育てもベビーシッターに頼んでいたという。 きっとカクテルドレスを着て、ヒナコを抱いていたに違いない。 爪が傷むと言っては、赤ん坊に触ることさえしなかったらしい。 そういうハハオヤだった。「でも、給料はこれまでどおりくれるって。今までよりも歌や演技のレッスンに打ち込みなさいって。今度は女優東堂ヒナコとして売り出してくれるらしいの」「そう」 子供の頃は赤ん坊モデルだった。 そしてチャイドル。その時は売れなかったが、今の社長に誘われて、十代のアイドルとして再デビューした。 年令と芸歴が同じというのが、ヒナコの売りでもあった。 歌のレッスンは厳しかったが、順調に歌もヒットし、タレントとしてもバラエティに出演が絶えなかった。 雑誌の取材、表紙の撮影、ダンスや歌のレッスンなどスケジュールは分刻みだった。 睡眠は移動のワゴン車で取るのが当たり前であった。 睡眠不足で気絶しそうになる事も度々あった。 もうこのまま自殺してしまって、この苦労から解放されたいとも思ったこともある。 それほど苛酷なスケジュールだった。しょせんアイドルは使い捨て。 半永久的に使えるわけではない。 若くピチピチと可愛いい時はほんの数年だ。その間にプロダクションは総力を上げて営業をし、アイドルの名前をぱっと売り、たっぷりと儲ける。 そして長持ちしそうなら、演技の勉強をして舞台へと活躍の場を広げられる。 しかし十代から二十代前半でしか使えない、あまりファンがつかないと判ると、早いうちに契約を打ち切られ捨てられる。 女のアイドルは結婚に走るか、新たな活躍の場を探すしかない。 ちょっぴり留学をしてみたりして、バイリンガルのタレントとして残ろうとしてみたりする。 けれどもいつかはやはり (イマイチ)の落胤を押されたが最後、仕事は来なくなる。 永遠にスケジュールは真っ白のままになる。 いつか東堂ヒナコにもそういう時期が来るのだろうが、ヒナコは歌謡新人賞も受賞したアイドル歌手だ。 演技力を磨けば、ミュージカル女優としてもやっていけるだろうと彼女は考えていた。「ねぇ、綾音、お給料はこれ以上下がらないのね? 一年後には絶対にお仕事が増えるのよね?」 香水の香を封じ込めた、一流ブランドのルージュで赤く塗られた唇を舐めながら、雪女のようなハハは言った。「たぶんね」「困ったわ。今年もヒット曲が出て、全国ツアーなんかでお給料が増えると思ってたのに」「でもいいじゃん。すてっぷあっぷの期間なんだから。来年は女優として活躍が決まってるの。ホショーはされてないけど、ほぼ確実よ。だってあたしは新人賞まで取ったアイドル歌手なんだから」「そ、そう。でもね、実は」「え?」「パパの会社が倒産しちゃって」 能天気なハハはそのモデルのようなと自分で形容したその足を組んだまま、優雅に言った。その能天気さは死んでも治らないと思われた。「え?」「借金が山ほどあるの。あなたの活躍も計算して調子に乗って、さらに借金しちゃったところだったのね。ホンコンに出店したのが悪かったみたい」「え?」「もしかしてパパが帰ってこないのは?」「そう、借金取りから逃げてるのよ。ここももうすぐ見つかるわ」「じゃ、すぐに引っ越さなくっちゃ!」 そこからが修羅場だった。 翌朝すぐに不動産屋を回り、引っ越し先を探した。 見つかると一日で荷物をまとめ、すぐに引っ越し業者を頼んだ。 引っ越し先は、高層マンションだった。 一文無しになる事が決定していても、こういった贅沢品を選んでしまう所が、まだブルジョワだった。 貧乏になれていない者たちは、さらにムダな買物をするものだ。「ほら、ママ。急いで。夜のうちにここをカラにしなくちゃ」「まるで夜逃げね」「バカね、あたしたち夜逃げをするんじゃない」「やだわ。チョー貧乏みたい」ハハは能天気に笑った。「ママ、あたしたちホントに今、チョー貧乏じゃない。自己破産するんでしょ?」「そ、ね。裁判所から決定が出るまで、身を隠さなくちゃいけないの」 長い爪を眺めながら、ハハは極楽気分で言った。「あたしは東堂ヒナコのハハなのに。取り立て屋から逃げるなんて、ミジメね」 モデルのようなポーズをとりながら、ハハは自慢の爪をうっとりと眺めていた。「ブツクサ言ってないで、早く。見張ってるかもよ」 完璧な作戦を立てていたおかげで、一夜にしてヒナコの引っ越しは終わった。 まるで夜逃げのようにして、家を変えた。ヒナコの衣裳や道具だけでも数百キロもあり、アルバイトが五人いても時間がかかった。 そこへ贅沢品で埋まりそうなハハの部屋の道具が加わった。 夜逃げ中でもブルジョワはめげない。 何一つ離したくない。 破産管財人が仰天するほどの完璧さで、「加藤家」の家財は隠蔽された。 女優へのステップアップ期間の四日間が、こうして消化されていった。
2013年04月12日
コメント(0)