ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン& オペラとクラシックコンサート通いのblog
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全1件 (1件中 1-1件目)
1
東京オペラシティコンサートホール 19:00〜 3階右手 ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 op.90 交響曲第4番 ホ短調 op.98 指揮:チョン・ミュンフン 東京フィルハーモニー交響楽団 チョン・ミュンフンは、今年7月と9月でブラームス・ツィクルスを敢行するということで、7月に1、2番、9月に3、4番というプログラム。実は7月も聞いてます。書いてないだけ。7月はいつものオーチャードで聞いているのですが、悪くなかったです。1番は第一楽章や第二楽章が結構ゆったりめのテンポだったのに、終わってみれば45分くらいの快演。あれ?どっかカットした?というくらいの勢いで、でも決して拙速ではないし、いい演奏ではありました。ただ、ツィクルスというのはわかるけれど、1番の後に2番を聞くのは、ちょっと厳しいところは無きにしも非ずかな、といったところ。そして、「悪い演奏ではないのだが」という前提で申すならば、ダン・エッティンガーから、今はバッティストーニがいる中で、敢えてチョン・ミュンフンで、このブラームス、ある意味大家然としてはいるけれど、ちょっと「よくまとまってしまった」感がないでもない演奏、でもあるかなぁ、といった気もしないでもないのではありました。まぁ、割と贅沢な話ではあります。楽しんではきました。 今は結局緊急事態宣言が月末まで延長される中、それでも演奏会はやるらしい、バッティストーニだけじゃなくてチョン・ミュンフンも来るらしい、というので、当然行くところですが、日曜日は用事があるので、振り替えてもらいました。 お客は結構入ってます。やっぱり、チョン・ミュンフンの名前でそれなりに入るのですかね。かなりの入りでした。まぁ、キャパも東フィルの定演会場では一番すくなくはあるのですが。 今日も番号通りのプログラム。まぁ、1番→2番、よりは、3番→4番、の方が据わりは良いと思います。 結論から言うと、悪くない演奏だとは思います。 ただ、率直に言うと、これは私の趣味の問題ではあるけれど、あまり楽しめなかった。 正直言うとですね、やっぱり、ホールが良くないんですよ。 いつも言うことだけれど、今の日本のホールは響き過ぎなんですよね。サントリーホール症候群と言っていいと思うのだけれど、とにかく残響が長ければいい、という方向に振ってるんですよね。サントリーホール以降に建てられたホールは皆そうなってしまってます。でも、サントリーホールの音響にアドバイスしたというカラヤンは、レガートが身上の音楽をやる人だったんですよね。そしてそれを突き詰めた人だったから、長く残響が残るホールをよしとしたし、それを使いこなすことも出来た。何よりワインヤード形式のホールは、向きはあるけれど、響きは四方に向かうのであって、それを「とにかく残響を伸ばせ」みたいにして作ってんじゃないだろうか、というホールが次々出来たわけです。知らんけど。 その最右翼が多分オペラシティ。立地がある意味便利で、新国立劇場もあるから、割とよく行きますけれども、基本的には風呂場みたいなホールですよ。それと、このホールは、天井方向は確かに高さはあるけれど、お客のスペースはずっと下の方にあるだけで、上の空間は風呂場の天井と同じ。お客はステージに近いので、空間が使われないんですよね。で、兎に角近いから音が来る。その後から風呂場みたいに残響が来る。音楽関係無しに。そう、非音楽的と言ってもいいと思います。この響きっぷりは。 正直言うと、ここでオケ聞くと、場所によってはCD聴いてるような感じしかしないんですよね。今日は3階席サイドの中程前より、まさにそういう席。ここは3階正面席、つまりずっと後ろの方がまだいいと思います。遠いけれど。オーチャードは、サントリー以前に作り始めたホールなので、残響番長じゃないんですよね。色々悪口は言われますけれど、恐らく今の東京では音楽ホールとしては東京文化会館とオーチャードだけが「まともな」ホールだと思います。デッドなんじゃないんです。サントリー以下のドーピングを施したようなホールじゃないだけなんです。 今日の話で言うと、音は確かに大きいけれど、どういう響きを求めてやっているのか、よく分からない。とにかく頑張って弾いてるのはよくわかるけれど、なにしろ響かせるスペースが事実上無いので、「オーケストラの演奏を生で聴いている楽しみ」が無いんですよね。 演奏自体は悪くないと思うんですけれどね。ただ、敢えて申さば、今日の演奏はやや情に傾いたきらいのある演奏だと思います。ブラームスの交響曲をどう捉えるか、人それぞれだとは思いますけれど、私はブラームスは、音楽語法は確かにロマン派の人だけれど、やはり古典的なスタイルというものを意識していた人でもあると思います。だから、情に傾きすぎてはいけない気がするのですが、今日の演奏はやや情により過ぎかなと。まぁ、許容範囲ではあります。ただ、4番の第4楽章のパッサカリア、あれはもっとスクエアに、クールにやって欲しいと思います。別に激しくしてはいけないと言ってるわけではない。でも、あまりに情に流れて表情をつけ過ぎてしまうと、最後にああいう変奏曲をわざわざ持ってきた意味が崩れるような気はします。 やっぱりオーチャードで聞きたかったかなぁ......まぁ、そっちに行かない自分が悪いんですけれどね。 オペラシティだって、もう行かない、ってわけではないですよ。でも、やっぱり、オーチャードの方が断然ホールとしてはいいと思います。演者泣かせだとしても、それでも、泣かずにここでやり切れ!残響みたいなドーピングに頼るな!とは思いますね。東急百貨店本店の建て替えで一時休館もあるらしいですが、どうか変なことせずに、今の「デッド」な響きの路線は残してくれよ、と思います。
2021年09月17日
コメント(0)