近代日本文学史メジャーのマイナー

近代日本文学史メジャーのマイナー

Calendar

Archives

2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
2026.01
2025.12
2025.11
2025.10
2025.09
2025.08

Profile

analog純文

analog純文

全て | カテゴリ未分類 | 明治期・反自然漱石 | 大正期・白樺派 | 明治期・写実主義 | 昭和期・歴史小説 | 平成期・平成期作家 | 昭和期・後半男性 | 昭和期・一次戦後派 | 昭和期・三十年男性 | 昭和期・プロ文学 | 大正期・私小説 | 明治期・耽美主義 | 明治期・明治末期 | 昭和期・内向の世代 | 昭和期・昭和十年代 | 明治期・浪漫主義 | 昭和期・第三の新人 | 大正期・大正期全般 | 昭和期・新感覚派 | 昭和~・評論家 | 昭和期・新戯作派 | 昭和期・二次戦後派 | 昭和期・三十年女性 | 昭和期・後半女性 | 昭和期・中間小説 | 昭和期・新興芸術派 | 昭和期・新心理主義 | 明治期・自然主義 | 昭和期・転向文学 | 昭和期・他の芸術派 | 明治~・詩歌俳人 | 明治期・反自然鴎外 | 明治~・劇作家 | 大正期・新現実主義 | 明治期・開化過渡期 | 令和期・令和期作家
2011.12.24
XML

『舞姫・うたかたの記』森鴎外(岩波文庫)

 上記文庫本の読書報告の二回目であります。
 前回、私は久しぶりに本書中の『舞姫』をよみ、結構面白がりながらも、あまり感心はしなかったという、文豪鴎外を一体どう思っているのか無礼者め的感想を書いてしまいました。

 ……でもねー、しかし、まー、私の与太話を以下お聞きください。
 昔、我が娘が小学校低学年くらいだった頃、「お父さんはなぜそんなにいつも本を読んでいるのか」と聞かれたことがあります。
 私はあたかも『星の王子様』に出てくる「酒飲みの星」の住人のように、タマネギの皮を順々にむいていくように答えていたのですが、何かの拍子に、ジャン・コクトーの詩の話になってしまいました。
 『月下の一群』中にある堀口大学訳の有名な詩であります。



  私の耳は貝の殻 
  海の響きを懐かしむ


 この詩ですね。要するに私は、この詩に大層感動したと娘に言ったんですね。すると娘は更に「なぜこの詩に感動したか」と聞きます。
 この質問には少し弱りました。

 何に感動するかは、その人物の生き方の根元的な部分と関係のあるものですね。しかしそれを説明するのは結構難しい。

 えー、なぜこんな話になっているのかといいますと、今回、『舞姫』を読んで私が疑問に思ったことの一つは、なぜ主人公・太田豊太郎は法学ではなくて歴史文学が好きになっていったのだろうかということであります。原文ではこんな風になっています。

また大学にては法科の講延をよそにして、歴史文学に心を寄せ、漸く蔗を噛む境に入りぬ。

 豊太郎が、わりとすらすらという感じで初めてエリスに声を懸ける場面、なぜあんなに「遊び人」みたいにエリスに声を懸けられたかと考えていくと、ここには間違いなく豊太郎の恋愛小説の読み過ぎがあるのではないかと、わたくし想像するのですが、要するにこの悲劇の遠因に、豊太郎の文学歴史への過剰なる嗜好があるのは間違いないでしょう。

 しかし、ではなぜ豊太郎は、文学歴史なんて好きになっちゃったのか、ここは『舞姫』にとってとても大切なところのはずですが、その説明は難しいと上述したように、十分鴎外も描いていません。
 隔靴掻痒に歯がゆいところであります。

 さて、私の疑問点はもう一つありまして、実はこちらの方がこの読書報告の主眼であります。
 そもそもなぜこれを疑問点と思ったかと言いますと、前回にも述べましたように、ストーリーとしては、この話はもう「終わっている」ように思います。

 今クールに本書を読めば、例えば若い女性ならば、こんな馬鹿な男に引っかかってはいけないと言う教訓かという話になるでしょうし、また若い男性が読めば、こんな女に捕まっては一生の不作だというこれもまた教訓かということになるのではないかと思います。

 要するに話としては、もう完全に「煮詰まって」いるんですね。新たな可能性も逃げ道も考えづらいと言う状況であります。
 こんな煮詰まった話に、もしもほころびのような可能性を見つけるならば、私はここじゃないかと思ったわけです。
 それは、昔より様々な人が触れている小説最後の部分であります。有名なこの個所。

ああ、相沢謙吉が如き良友は世にまた得がたかるべし。されど我脳裡に一点の彼を憎むこころ今日までも残れりけり。

 改めてここを読むと、なかなか疑問点の出てくる個所であると、ぼんやり私は思ったのでありました。
 えー、すみません。次回に続きます。


 よろしければ、こちら別館でお休み下さい。↓

俳句徒然自句自解+目指せ文化的週末

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011.12.24 12:07:30
コメント(0) | コメントを書く
[明治期・反自然鴎外] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Comments

シマクマ君 @ Re:思っていたよりも「重く」ない(02/21) 純文さんへ  あたたかいお返事ありがとう…
analog純文 @ Re[1]:思っていたよりも「重く」ない(02/21)  シマクマ君さんへ。  おや、思わぬお方…
シマクマ君 @ Re:思っていたよりも「重く」ない(02/21)  いつも読ませていただいてます。あのせ…
analog純文 @ Re[3]:無理筋仮定を考えてみる(12/28)  七詩さんへ、重ねてのコメントありがと…
七詩 @ Re[2]:無理筋仮定を考えてみる(12/28) analog純文さんへ 私もときどき読書日記を…

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: