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外山滋比古さんの「失敗」に関わるエッセイ。 入試や就活、辞職、軍事教練の号令、露天商で買った五銭のレントゲン等々、 自身の経験や周辺で起こったエピソードの数々を紹介しながら、 「失敗」について、その捉え方、考え方について述べておられます。 セレンディピティ(思いがけない発明・発見)や ケンカやいじめ、運動会のかけっこ、転ばぬ先の杖についての記述も 歯に衣着せぬ著者らしさが溢れる内容。 次の一文が、その根幹を言い表しています。 マイナスをすくなくすればプラスのチャンスもへる 失敗を恐れてはいけない 失敗を活かすことができれば 人間は大きく進むことができる
2021.07.18
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1871年に行われた廃藩置県により、全国260以上の藩が消滅しました。 1869年の版籍奉還の後、知藩事として国元を収めていた殿様たちは、 領地・家臣団を失い、強制的に東京に居住させられることになりました。 と、ここまでは学校の教科書にも載っていて、誰もが知っていること。 しかしながら、その後、殿様たちがどのように過ごしていたかとなると、 私を含め、多くの人たちがほとんど知らない。 本著は、そんな人たちに殿様のリアルを伝えてくれる一冊。 「そうだったのか……」と思わず唸らされる内容が満載です。 ***第1章「維新の波に抗った若き藩主たち」に登場する超有名人の松平容保(会津藩)や、その弟・松平定敬(桑名藩)、さらに林忠崇(請西藩)や徳川茂承(紀州藩)らは、所謂イメージ通りの人たち。幕末、そして維新の時期を殿様・知藩事として過ごした人らしい生き方。そして、第2章「最後の将軍・徳川慶喜に翻弄された殿様」に登場する超有名人の松平春嶽(福井藩)や山内容堂(土佐藩)、戊辰戦争で敵味方に分かれ兄・松平容保と戦った徳川慶勝(尾張藩)らも、私たちがイメージしやすい生き方をした殿様たち。 しかし、将軍職を退いた慶喜の跡を継いで徳川宗家当主となった家達(静岡藩)は、貴族院議長を明治36年から昭和8年までの長きに渡り務めるなど大活躍。大正3年には「内閣を組織せよ」という大命が下りましたが、辞退しています。また、大正10年には英国留学経験を活かしワシントン海軍軍縮会議に全権として参加。そして、現在大河ドラマ「青天を衝け」でも登場している慶喜の弟・昭武(水戸藩)は、慶喜の名代としてパリ万国博覧会に参加した後、そのままパリに留まり過ごします。帰国後は、1868年4月に水戸藩主に就任し、新政府の命で箱館戦争に参加。その後、軍人生活をした後、アメリカの万国博覧会御用掛を務めるなどしました。続く第3章「育ちの良さを生かして明治に活躍」に登場する殿様たちは、その生き方も実に様々で、本著の中でも最も興味深いところかも知れません。蜂須賀小六の子孫・茂韶(徳島藩)は、元老院議官や東京府知事などの要職を歴任、浅野長勲(広島藩)は、製紙会社を起こし、銀行頭取や外国公使も務めました。岡部長職(岸和田藩)は、米国留学後に外交官として活躍、東京府知事にもなりました。亀井茲監(津和野藩)は早くから教育に力を注ぎ、宗教行政に尽力しました。中でも印象に残ったのは、名君・上杉鷹山を敬愛した上杉茂憲(米沢藩)。県政不服従運動が展開される沖縄の県令に就任すると、教育機関・医療機関の充実と間切吏員制の改革に着手、改革意見書「沖縄県上申」を提出しますが、各省は「時期尚早である」との回答。しかし、茂憲はあきらめきれず、さらに意見書を提出したのです。 政府の高官たちは茂憲の熱意を感じながらも、大いに閉口した。 沖縄を牛耳っているのは、旧王族や士族、間切の吏員たちであった。 まだ沖縄は、日本の統治下に組み込まれたばかりで、 今後も清朝が領有を求めてくる可能性があり、 そのさい沖縄の支配層が清朝と結びついては都合が悪かった。 このため政府では、「旧慣温存」を沖縄統治の根本政策とした。 支配層に有利なように昔ながらの慣習をそのまま温存するというものだ。 まさに間切吏員制は、その柱であった。 それを茂憲は、大幅に改革したいと主張しているわけだ。 もちろん、県民のためになるのは明らかだが、沖縄統治のためには、 旧琉球王国の支配層の力が必要なのだ。 ここにおいて政府の実力者たちは、茂憲の召還を決めた。(p.191)政治は難しい。
2021.07.18
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副題は「忍び寄る老後の不安を吹き飛ばせ」。 『ママぽよ』の青沼さんも、もうアラフィフ(実は執筆時点で58歳)。 本著では、アラフィフになるとやって来る様々な問題について描いています。 スタートは、前著でも描かれていた「ホットフラッシュ」から。 そして「食べ物の趣向」の変化や「肩こり・頭痛」「老眼」「物忘れ」、 「涙もろさ」に「白髪」「手荒れ」「振袖肉と浮きわ肉」「放屁」「尿漏れ」等々。 それに伴う「ファッション」や「メイク」の変化や「健康診断」もテーマに。 「年金」や「貯蓄」「保険」等の経済的な問題や「定年後」の過ごし方も切実。さらに、親のお葬式、子供の結婚といった問題も考えさせられます。私が特に印象に残ったのは、ダーリンがぽそっと言った次の言葉。 60代になると また少しモヤっとするよ 40代になったときみたいに30代から40代、50代から60代には、何かしら大きな壁があるようです。
2021.07.15
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『マスカレード・ホテル』『マスカレード・イブ』に続くシリーズ第3弾。 9月には映画公開も予定されています。 *** 練馬区にあるマンションで一人暮らしをしていた28歳の女性トリマーが、 何者かによって睡眠薬で眠らされた後、感電死させられた。 その死体発見の契機となったのは、警察庁の匿名通報ダイヤルへの情報。 さらに、その犯人がホテル・コルテシア東京に現れるとの密告状も届いたのだった。その日は大晦日で、夜にはホテル恒例の仮面舞踏会が開かれることになっていた。刑事・新田浩介は、今回も同僚たちと共に早速潜入捜査を開始。また、コンシュルジュとなった山岸尚美も来客の要望に答えつつ、『年越しカウントダウン・マスカレード・パーティー・ナイト』に備えるのだった。 ***オープニングの、尚美が宿泊客の難しい要望に応えるエピソードは、「これで本当に良いのかな?」と思いました。また、度々登場する「ホテルマンに『無理です』は禁句」という言葉にも、「お客様は神様です」という言葉同様、ちょっと疑問を感じてしまいました。いつも通り、読み始めたら止まらない東野さんらしい作品で、五百数十ページを二日で読破。十分に楽しむことが出来ましたが、その結末は、少々期待外れだったかな。
2021.07.04
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松岡さんによる「小説家として儲けて富を得る」ための指南書。 小説の書き方から出版、契約等々に至るまで、 微に入り細に入り、一つ一つ懇切丁寧に教えてくれています。 確かに「こんなの今まで見たことが無い!」と言えるレベルの一冊。 まず、物語づくりのノウハウには「なるほどなぁ」と感心しきり。 もちろん、誰にでも簡単に『想造』が出来るとは思えませんけれど…… また、Ⅱ部の内容からは、出版業界の裏舞台が浮かび上がってきます。 この辺りは、人気作家としての実体験がないと書けないものでしょうね。 けれども編集者が収入に恵まれているのは、 そのために苦労して大手出版社への入社を果たしたからです。 小説家に例えれば、ベストセラーを出し一定の地位を築いた状況に相当します。 その意味では新人作家より先に、ひとつの大きな戦いを勝ち上がっているわけです。 デビューしたての新人作家は、まだ編集者と対等な立場ではありません。(p.148)これが、本著の中で、私が最も心に残った部分。新人作家と編集者との関係だけでなく、様々な場面でこの関係は成り立つのでは?相手の立場に敬意を払うことはもちろん大切なことですが、自分の立場に誇りをもって立ち振る舞うのも大切なことです。
2021.07.04
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『病院というヘンテコな場所が教えてくれたコト2』に続き、 かなり重たい内容のお話で、ページを捲るのが辛い部分も。 医療の現場というのは、常に生と死の問題に向き合っているということを、 今更ながら強く思い知らされます。 ***城北医科大学病院救命救急センターで副センター長を務めていた62歳の白石咲花子は、ある夜、都電と大型バスの衝突事故が発生した際、7人の重症者を受け入れる。しかし、その際、アルバイト事務員・野呂聖二が点滴をしたことで患者からクレームが。咲花子は、その責任を取って救命救急センターでの職を辞し、故郷金沢へと向かう。金沢では、元加賀大学医学部附属病院神経科内科医で87歳の父が、一人で暮らしていた。そして、まほろば診療所を営む仙川徹医師が、大腿骨頸部骨折のため手術を受け、退院後もまだ歩けない状態だったため、咲花子がその代わりを務めることになる。そのまほろば診療所は、在宅医療を専門で行う医療機関だった。29歳の看護師・星野麻世や、運転手役となった野呂と共に患者宅を訪問診察するも、パーキンソン病を患う86歳の女性の介護をする夫への対応に疲労困憊し、脊髄損傷で四肢麻痺の40歳IT企業社長の最先端医療要望を受け東奔西走、隠れゴミ屋敷に住む78歳の女性とその娘夫婦との関係修復にも心を砕く日々。さらに、膵臓がんを患った57歳の厚労省統括審議官の在宅緩和ケア治療希望に答え、腎腫瘍を患った6歳の少女の最後の願いを叶えるべく旅行プランを作成する。そして、そんな困難な状況を粘り強く一つ一つ乗り越えていくなか、神経因性疼痛に苦しむ父の積極的安楽死の問題に直面することになるが…… *** 映画は今年5月21日から公開され、現在も上映中です。 でも、この作品を映画館で見るためには、かなりの覚悟が必要かも。
2021.07.04
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