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子供の頃はよく川で遊んだ。少し大人になってきてからは、一冊文庫本を持って、川の土手を歩いては、適当なところを見つけると、そこに座って川を見ていた。本は毎回持っていったが、ほとんど読まなかった気がする。その川に行くには、田んぼのあぜ道を通っていかなければならない。三方を山に囲まれた小さな谷の町だから、田んぼはそんなに広くない。けれど、人家は三方の山側にそれぞれ固まっていて、土地のほとんどを田んぼが占めていた。その中央を川が流れていた。ちょうど今頃の季節。そろそろ暗くなってきたので帰ろうと土手を降りた。あぜ道はまだ目が利く明るさだったが、しばらく進むとあぜ道の脇がぼうっと明るくなっているのに気づいた。蛍の群れだった。名前の知らない丈の高い草に鈴なりに蛍火が点滅していた。名も知らぬ草の葉叢に群がりし蛍火の記憶今なお静か
2006/06/26
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歯が痛くなって歯医者に行った。通い続けて4回になる。4回とも治療の前段階の歯の掃除だった。それでも、歯を削ったり歯垢を取るときは軽い痛みを感じる。もともとの痛みの原因は虫歯ではなく、歯周病のせいらしい。これからどの位通わなければならないのか、それを考えると気が重い。歯を削る少しの音に慄きつ頭の中で痛みをなぞる
2006/06/24
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煙 草 三 首この箱を吸い終わったら禁煙する必ずすると言いつつもまた税金をこれだけ納め嫌われる愛煙家とはそういうものか本当は煙草は好きじゃないと思ふ手持ち無沙汰で口寂しいだけ
2006/06/20
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今日も朝から人が来て菜園はにぎやかだ。黙々と作業する人もあれば、隣の人と楽しそうに話している人もある。そろそろ夏野菜は収穫の始まりだ。冬に、誰もいない菜園で土を掘り起こしていた人の畑も今は緑でいっぱいだ。最近、窓から見える緑が減ってきているので、この菜園は僕にとっては貴重だ。菜園を世話する人の姿して平和といふもの訪れしこと
2006/06/18
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少し前まで、窓からは緑がたくさん見えた。それがだんだんと減ってきている。最近は薄手のカーテンをずっと閉じている。景色が変わった。仕方ないことなのだろうけれど、住み心地は悪くなった。もともと家屋がなかったのが不思議なくらいだったのだから、自然のなりゆきなのだろう。自然の成り行きで自然が消えていく。皮肉なものだ。けれど、幸い窓からは菜園が見える。休日には人々が手入れに訪れる。いつからかは覚えていないが、毎年菜園の周囲にはひまわりが咲く。今年も咲いてくれると良いのだが。棕櫚の木の切り倒されし土地は今建設工事の音響く土地ひまわりの咲く菜園の手入れする人の顔皆優しげにして
2006/06/17
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食 三 首生き辛さ感じる夜半一人起き男爵イモを蒸かして食べるベーコンとほうれん草の炒め物ご飯に合うが肴にも好い蓄積する脂肪のように空しさが消化しきれず身体に残る
2006/06/15
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昔、いろいろなことに行き詰って、休日を利用して田舎に帰ったことがある。子供の頃に遊んだ、小さな川の狭い川原に寝転んで空を見上げた。夏だった。青空に濃い雲がゆっくりと形を変えながら流れていく。そのとき、ふと身体が空の雲間に落ちていくのではないかと不安になった。夏の陽炎が空気を歪めていたためかもしれない。とっさに両手で地面の草束を握っていた。頭では空に落ちるなんてことはありえないとは分かっていた。けれど、じっと見ていると空に吸い込まれそうな感覚がするのだ。満天の星空をじっと見ていると眩暈がしてくる、という文章がなにかの小説にあった。それと同じ感覚なのかもしれない。でも、どうせなら暗い夜空より、青空の中に吸い込まれたいと思う。一度、野っ原に寝転んで、じっと空を見つめてみると面白いかも知れません。重力よ吾を解き放ち天空の雲の谷間に落としめ給え
2006/06/11
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安物と書くとアフィリエイト先に申し訳ないが、安物のワインはうまい。これは絶対に真実だ。このとき注意するのは辛口を選ぶこと。甘口を飲んだら飲むたびに悪酔いをした。僕だけなのか?こんなに偉そうにいえるのは、今まで高いワインを飲んだことがないからだ。高いワインの味を知らないので比べようがない、というより、今では安物のワインの味が本当のワインの味だとしか思えなくなっている。これは良いことだ。僕の舌は実に安上がりに出来ている。最高だ!!。安物のワイン飲むとき生き物の大地蠢く音聞こえ来る
2006/06/10
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