全5件 (5件中 1-5件目)
1
子供の頃、家が新聞販売店をしていた為に、この時間はいつも忙しくしていた。昔は折り込みチラシを束ねる機械がなかったので、元旦の朝の大量のチラシは、大晦日のこの時間に家族全員で一つひとつ束ねなければいけなかった。それが僕の家の毎年の恒例行事だった。その作業が嫌で堪らなかった。けれど、今、こうして静かに年越しを迎えていると、あの忙しくて慌しく過ごした大晦日こそ、本当の年越しだったのかも知れないと思えてくる。折り込みを束ねる指の逆剥けを絆創膏で守る年越し折り込むとは祈り手向けることなるか人はそれぞれ祈り年越す賑やかな昔のことを思いつつひとり酒飲み年忘れする来る年を待つ人々の祈る声瞬くような天上の星
2006/12/31
コメント(0)
雨上がりに所どころ乾いた道路を歩いていると、寒さも忘れて心地よい気分になってくる。傘を手に信号を待つ少女らが陽だまりの中へ歩き出すとき
2006/12/23
コメント(0)
子供の頃、雨の中を新聞配達しているとき、着ている雨合羽を打つ雨の音だけが聞こえてきた。田舎道の朝は車もほとんど通らない。そのうちに、寒さと冷たさに凍える身体が、心とともに雨音の中に入り込んで、次第に音のない世界に入っていく。降る雨に無音が耳を支配する色づかぬままの落葉踏む朝
2006/12/16
コメント(0)
前に一度、古戦場跡を見てまわったことがある。何もない普通の町に史跡だけが残っていた。いにしへのいくさの跡を歩く身の身ひとつながら息のぬくもり
2006/12/09
コメント(0)
昔、自分の部屋には不思議な絵が掛かっていた。鴨居の上のそれは横長で白黒の風景画だった。どこかの湾か入江らしい海には、小さな舟が一艘浮かんでいた。陸地は北国の湿原のように見えた。荒涼とした物寂しい印象の絵だったが、どこか懐かしい気持ちを起こさせる風景だった。人住まぬ土地静かなる訪れの夜穏やかに冴えわたる月
2006/12/01
コメント(0)
全5件 (5件中 1-5件目)
1


![]()