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2017.08.22
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カテゴリ: 歴史
図書館で『歴史と風土』という文庫本を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくると、ウイグル族とか女真族とか、中華から見たら辺境の民族が出てくるわけで…これも大使のツボでおます♪




歴史

司馬遼太郎著、文藝春秋、1998年刊

<「BOOK」データベース>より
司馬遼太郎という作家の大いなる魅力のひとつに、その話術の妙がある。歴史に対する深い造詣から紡ぎ出される数々の興趣つきない逸話は人の心を捉えて離さない。ここに収めたものは全集第1期の月報のために語り下ろしたものと「雑談・隣りの土々」という表題の雑誌連載から三篇(『司馬遼太郎の世界』所収)である。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくると、ウイグル族とか女真族とか、中華から見たら辺境の民族が出てくるわけで…これも大使のツボでおます♪

rakuten 歴史と風土


古代満州を遊よくした高句麗人を、見てみましょう。
p199~201
<高句麗人は、すべて扶余なり>
 話はまた草深き古代満州の世界に戻りますが、満州の後背に広がっているシベリアは、非常に低くて、むろん、タイガという森林が育っているし、ここでは、さほどには遊牧はできません。遊牧のグループはいたようです。大遊牧国家を形成するほどの条件はありませんでした。それにくらべると、満州は地面が高く、ちょっと別の地域になるわけです。
 北京に行くと、八達嶺という所に長城を見学に行きます。その万里の長城の上に立って、向こう側の満州の方を見ますと、非常に鋭い傾斜が裾をひいています。今は公園化して、木を植えていますが、昔ならば木を植えては防衛にならず、草だけのズンベラボウにしておく。そういう傾斜だと馬をかついで上がるわけにはいかず、まして城壁があって阻まれます。騎馬民族というのは、馬を捨てたら、ただの人で、だから長城一重で防げます。山海関の関所さえ扉を開けなければ、彼らは入ってこないんです。

 ですから、長城の存在が実証するように、古代は万里の長城の向こう側は、漢民族の居住地ではなかったわけです。先ほど戦国の趙の話が出ましたが、おなじく戦国七雄の一国で、「燕」という国を考えることが、満州については重要です。紀元前222年に秦に滅ぼされるのですが、それまでは現在の北京付近から河北省にかけてひろがっていました。

 現在の長城に接しているために、異民族からのたえざる圧迫があったと思います。その版図は半乾燥地が多いために、旱魃があると、農民は満州に逃げてゆき、耕作しました。満州における農耕のはじまりについては、燕の農民の活躍が見のがせないでしょう。満州に燕の農民の耕作地ができると、燕の役人や軍人がやってきて徴税し、管理する。従って燕の版図は満州までひろがったのです。

 だから紀元前数百年前には、いわゆる漢民族領地は、そこまで膨張していたということがあって、遼東半島ぐらいには及んでいたろうという想像がつきます。くだって漢が一時、遼東半島及び朝鮮の一部の分割を強いたりしていますので、満州は中国人の十分な可視範囲になっていました。さらにはいまの遼寧省あたりを行政化していることから見まして、満州は必ずしも、固有の満州・ツングース語グループのもののみではなかったということが言えます。

 しかし、やっぱり満州にはツングース固有の文化があった、と思いたいですね。
 話は変わりますが、私は10年ほど前に韓国に旅行して、扶余の町に行きました。非常にいい所でした。ところが一番わたしにとって気になるのは、扶余という言葉です。扶余という言葉は、かつて地名でもあり、種族名でもあったと思うんです。

 その地名は、今の中国東北地方の吉林省の扶余という所と、同じ文字を書きます。その扶余という所から、朝鮮半島に、グループが出ているんです。「高句麗人は、すべて扶余なり」と言われています。これは北朝鮮です。

 百済は王朝のみ扶余族であると言われている。だから、百済は、もとは扶余族が南下して征服した王国かも知れません。新羅はちょっと一概には言いにくい。

 要するに「扶余族」というのは、もともと満州にいた民族でしょう。少なくとも高句麗というのは、扶余族が朝鮮半島に南下定着して、さまざまの条件によって高い文化をつくりあげたものと考えます。

 燕が勢力を南満州、遼東半島にまで伸ばしたという時に、扶余族は当然その影響を受け、素朴を脱し、農耕化したであろうと想像します。

 農業というものはより優れた適地を求めて、移動します。農耕化した扶余族は当然、南方にある朝鮮半島の適地を求めて、移ったのでしょう。それが、後に言われる高句麗一円で、王国を作ったのではないか。


ウン 司馬さんは、女真族、高句麗人とかツングース語グループにロマンを感じていたようですね♪





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Last updated  2017.08.22 06:22:08
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