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2021.08.24
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カテゴリ: 気になる本
本屋の店頭で『文芸春秋(2021年9月特別号)』を、手にしたのです。
ウーム 今月号は読みどころがたくさん載っていて、芥川賞受賞作(二作)と台湾・蔡英文総統インタビューが決め手になって・・・8月号に続いて買い求めたのです。





雑誌、文芸春秋、2021年刊

<出版社>より
〇台湾・蔡英文総統 単独インタビュー
「香港、ウイグルへの弾圧を北京当局がやめるよう呼びかける。
聞き手・船橋洋一

〇第165回 芥川賞発表
・貝に続く場所にて 
東日本大震災で生き残った者の罪悪感を 文学として昇華させた
石沢麻依(いしざわまい)
・彼岸花が咲く島 
台湾出身の作家が描く 女性が統治する島の秘められた過去とは
李琴峰(りことみ)

<読む前の大使寸評>
今月号は読みどころがたくさん載っていて、芥川賞受賞作(二作)と台湾・蔡英文総統インタビューが決め手になって・・・8月号に続いて買い求めたのです。

bunshun 文芸春秋(2021年9月特別号)


中ロのサイバー攻撃にさらされている昨今であるが「経済安全保障」について、見てみましょう。
p146~150
<「経済安全保障」とは何か?:北村滋>
 去る7月7日をもって国家安全保障局(NSS)局長を退任しました。1980年の警察庁入庁から始まった公務員人生は実に41年にわたりますが、そのうち最後の9年6ヶ月を総理官邸で過ごしたことになります。

「こういう職業は無限にできるわけではない」
 退官に当たり、親友で、アメリカの国家情報長官を歴代最も長く務めたジェームズ・クラッパー氏は、こんな言葉を贈ってくれました。全く同感です。

 どこかのタイミングで辞めるべきだし、そんなに長くやるべき職務ではない。今年の12月で65歳になりますから。フランス語のCa suffit.ほど強烈ではありませんが、もう十分だと思います(笑)。

 既に報じられていますうが、退任後、しばらくは右変形性股関節症の手術と治療に専念します。今年に入ってから夜も眠れないほど痛みが酷く、鎮痛剤を手放せない状態が続いていました。

 NSS局長には、2019年9月に就任し、主に外交・安全保障政策の司令塔役を担ってきました。この間、日本では安倍政権から菅政権へ、アメリカではトランプ政権からバイデン政権へと、政権移行と政権交替を経験しました。

 こうした政権の過渡期において日米同盟をいかに維持し、深化させるかに注力しました。アメリカの国家安全保障会議(NSC)との折衝は非常に気を遣いましたが、日米の安全保障政策の継続性を維持し、志を一つにすることが出来たと思います。

 NSCで手がけた大きな仕事の一つは、2020年4月に「経済班」を設置して、経済安全保障政策を推進したことです。この経済班は、「経済分野における安全保障」の司令塔となり、政策の企画立案・総合調整を行うもの。経産省出身の藤井敏彦内閣審議官の下に、財務省・総務省・外務省・警察庁から出向している四人の参事官がおり、総勢約20人(2021年7月11日時点)ですが、一騎当千の体制です。

■無人ヘリの不正輸出
 世界では正に今「経済安全保障」の時代が到来しています。「安全保障」といえば軍事を思い浮かべる方も多いと思いますが、その安全保障の分野が近年、経済へと拡大しつつあるのです。

 かつては、インターネットのように軍事由来の技術が民間に転用されていましたが、今やAIやドローンを始めとした民間の先端技術が軍事転用されており、産業構造の地殻変動が起きています。覇権主義を強める中国も、軍と民間企業が一体となる「軍民融合」政策を進め、軍事力の強化を図っています。

 警察官僚として私は外事畑が長く、外為法(外国為替及び外国貿易法)違反の事件を数多く手がけてきましたが、日本の先端技術が易々と他国に流出していく様子を目の当たりにしました。
 ヤマハ発動機の無人ヘリコプター不正輸出はその一つです。

 2007年2月、静岡・福岡両県警は、農薬散布や空中撮影等で使う無人ヘリコプターを中国・北京の空撮会社に輸出しようとした容疑で、ヤマハ発動機の幹部らを逮捕しました。無人ヘリは軍事転用が可能なため外為法で輸出が規制されていますが、ヤマハは性能を故意に過小申告し、中国への不正輸出を続けていました。輸出先は、人民解放軍とも密接に関係しており、軍事転用された可能性が濃厚です。

 外国の情報機関が軍事、政治の機密情報を入手するのは、極論すると過去の話になりつつあります。世界各国における情報機関の矛先は、政府や企業が保有する先端技術に向けられています。NSSの「経済班」は、こうした世界情勢の変化に対する危機感から発足したのです。

 我が国でも、安全保障と経済を横断する領域で様々な問題が生じています。後でご説明いますが、中国の大手IT企業・テンセントによる楽天への出資、東芝における外資規制と株主議決権の問題、LINEの個人情報問題、日本学術会議と「千人計画」の関係。誰もが知る企業やニュースの背景には「経済安全保障」の問題が多々存在します。

 しかしながら、日本国内において「経済安全保障」の概念は、永田町・霞が関の一部を越えてあまり共有されておらず、危機感も高まっていません。世界で今何が起こっているのか、日本ではどのような制度が必要なのか。NSSの「経済班」を立ち上げた責任者として説明すべきだと思い、インタビューをお受けしました。

 経済安全保障とは何か。明確な定義こそありませんが、大きく分けると三つの側面が見えてきます。
 その一つが「エコノミック・ステイトクラフト」とも呼ばれる概念で、経済的措置を外交・安全保障に活かし、国益を追求するというものです。最も直裁で分かりやすい例が経済制裁です。

 民主党政権下の2010年、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の際に、船長を日本政府が拘束したことに中国が抗議し、レアアースの対日輸出を停止しました。その結果、レアアースの価格は高騰し、日本企業は負担を強いられることになった。経済的措置を通じて他国を「攻撃」するものといえます。

 二つ目は防御的側面。いかに自国の技術を守るかということです。先ほどお話ししたように、日本企業が有する様々な先端技術が海外流出しているう現状があります。外国企業が日本企業を買収することで、人材を含めた技術が流出していく例もあります。このような事態を外為法を始めとする法令でいかに防ぐかが重要になってきます。

 三つ目が「自由で開かれた国際経済システム」の維持です。法の支配、自由で公正な貿易、民主主義といった共通の価値観に基き、経済的な連携をとっていく。日米豪印の「QUAD」等の枠組みを通じて、こうした価値観に合致する国際的なルールを形成していく必要が出てくるでしょう。
(中略)


■中国の視線の先
 経済安全保障についての危機意識が高まった契機は、言うまでもなく中国の経済的・軍事的台頭です。1990年代以降、中国は、共産党一党支配の政治力を背景に、広大な国土と人口規模を生かし、軍事力と経済力を拡大してきました。

 しかし、近年、西側の先進諸国が考える「国際秩序」と中国のそれとでは大きな隔たりがあることが明らかになってきました。西側先進国が目指す国際秩序は、先ほどお話ししたように、 「自由で開かれた、法の支配に基づく世界」。それぞれの国が平等で、法の支配・自由・平等を尊重するという同じ価値観に基いて、連携をとる世界です。

 一方で、中国が目指す「国際秩序」とは何か。習近平国家主席は頻繁に「新しい形の国際関係の仕組み」という言葉を使いますが、これは現状の「国際秩序」への挑戦に他なりません。中国はかねてから巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げ、アジアやアフリカの発展途上国に対し、インフラ整備のための桁違いの投資を行なってきました。

 その上で最終的に目指しているのは、中国の資金を潤滑油とする、非公式な同盟による枠組み形成です。しかも、対等な繋がりではなく、中華思想に基づく、中国を頂点としたピラミッド型の国家連合を目指しているのではないでしょうか。

 これまで西側諸国は、中国と技術覇権を巡って競争するなかで、「同じ目標に向かって一位二位を争っている」ものだと思い込んできた。それが、実はそうではなかった。ただ単に技術的な競争をしているわけではなく、習近平主席の視線の先には、我々が想像するのと全く異なる未来が広がっていることが明確になりつつあります。


『文芸春秋(2021年9月特別号)』2 :台湾・蔡英文総統への単独インタビュー(続き)
『文芸春秋(2021年9月特別号)』1 :台湾・蔡英文総統への単独インタビュー





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Last updated  2021.08.24 01:05:36
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