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2024.09.04
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カテゴリ: メディア
砂漠、アラビアのロレンス、村上春樹とくれば・・・
私の三大ツボみたいなものなので、以下のように復刻して反芻してみたくなるのです♪

*********************************************************
図書館に予約していた『砂漠と異人たち』という本を、待つこと3ヵ月ほどでゲットしたのです。
この本では、アラビアのロレンスや村上春樹を取り上げているので・・・私のツボが疼くのです。




宇野常寛著、朝日新聞出版、2022年刊

<「BOOK」データベース>より
情報社会を支配する相互評価のゲームの(外部)を求め、「僕」は旅だった。そこで出会った村上春樹、ハンナ・アーレント、コリン・ウィルソン、吉本隆明、そしてアラビアのロレンスー。20世紀を速く、タフに走り抜けた先人たちの達成と挫折から、21世紀に望まれる、新たな主体像を模索する「批評」的冒険譚。

<読む前の大使寸評>
この本では、アラビアのロレンスや村上春樹を取り上げているので・・・私のツボが疼くのです。

<図書館予約:(2/25予約、副本1、予約5)>

rakuten 砂漠と異人たち

「ドライブ・マイ・カー」

「第三部 村上春樹と「壁抜け」のこと」で、村上の作品がずたずたに刻まれて批評されているので、見てみましょう。
p242~244
<28 駅とインターネット>
 かつての村上春樹はインターネット的なコミュニケーションの全面化を予見するかのような力を示していた。それが『ねじまき鳥クロニクル』の「壁抜け」であり、『アフターダーク』の監視カメラ的な視点だった。しかし、この時点の村上春樹は明らかに世界に対しての想像力を失い、ナルシシズムの中に引きこもっている。この「駅=インターネット」への過小評価こそが、村上春樹の陥った罠を示しているのだ。

 前述したように「壁抜け」は、インターネットのもたらすフィルターバブル的な全能感を誘発する。村上春樹は「駅」=「インターネット」のプラットフォームの代わりに「母」的な女性性に依存する性搾取的なシステムを用いた回路なのだ。村上春樹は「壁抜け」の性搾取を手放さない限り、そのインターネット的な危うさを克服することもできないのだ。

<29 男のいない男たち>
 もう少しだけ、村上春樹の話を続けよう。繰り返すがおそらく、村上は行き詰まりに自覚的だ。その迷いが端的に現れた作品が、2014年に出版された短編集『女のいない男たち』だ。この短編集はタイトルにあるように、妻や恋人のいない、もしくはそうした女性に去られようとしている男性たちの物語を集めたものだ。

 しかし、僕は考える。この短編集に本当に相応しいタイトルは『男のいない男たち』だ。なぜならば、この短編集に収録された作品は唯一、初出時に別の雑誌に掲載された「シェエラザード」を除くすべてが、何らかの理由で魅力的な男友達と仲良くなるけれどうまくいかない、という物語だからだ。

 たとえば「ドライブ・マイ・カー」では妻を亡くした主人公の男が、妻の生前の浮気相手の男性に興味を持つ。主人公は、その男性に、ちょっとした復讐を企てて近づく。しかし、主人公もまた彼に惹かれる。彼は器量が良く、裏表もない好人物だが「たいしたやつじゃない」。しかしその凡庸さが主人公の内省を(主に亡き妻のことを話すことで)適切に促す。
(中略)
 そう、村上春樹はここで自分の代わりにこれまで彼が築き上げてきたナルシシスティックで、男性的な規範から逸脱してくれる男の友人を求め始めているのだ。

 ここで村上春樹が、初期三部作(『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』)で「僕」とその友人「鼠」の対比で物語を展開していったことを思い出してもらいたい。村上春樹は、そもそも失敗していたかもしれないもう一人の自分の負の可能性を「友人」として側に置き、そして彼が失われることで主人公の選択が肯定されるという構造から出発した作家だった。

 三部作の続編である『ダンス・ダンス・ダンス』では「五反田君」が「鼠」と同じ役割で登場する。「鼠」が60年代の学生反乱の季節における亡霊だとするのなら、「五反田君」はバブル景気を背景にした、80年代の日本の消費社会の生んだ幻影のような存在だ。どちらも、時代に流され、そのことを後ろめたく思い、そしてそのためにせめてもの抵抗として自らその生命を絶つ。そのような時代と並走して生きた彼らの死を横目に、生き残った主人公は時代に対して中距離を保つ自分のスタンスを確認する。

 しかし『女のいない男たち』において「男友達」が、ここにきてもう一度重要なモチーフとして浮上している。村上春樹は再び、同性の友人を描き始めているのだ。


『女のいない男たち』2

『砂漠と異人たち』4 :村上春樹と「壁抜け」
『砂漠と異人たち』3 :アラビアのロレンス(続き)
『砂漠と異人たち』2 :アラビアのロレンス(続き)
『砂漠と異人たち』 :アラビアのロレンス
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■2023.06.09XML
『砂漠と異人たち』4
https://plaza.rakuten.co.jp/foret/diary/202306090001/





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Last updated  2024.09.04 00:07:24
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