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2022.03.24
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カテゴリ: 蜜猫
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2021年10月刊
竹書房・密猫文庫
著者:御厨翠さん
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公爵令嬢アルシオーネは皇帝ランベールとの結婚を前に毒殺されかけ、ブラック企業のOLだった前世を思い出す。身体は辛いが彼女は歓喜に震えていた。ランベールこそ前世愛読していた小説の推しキャラだったからだ。「そなたの頬は柔らかいな。唇はもっと柔らかかったが」政略結婚とはいえ彼に優しく扱われ淫らなキスをされてうっとりするアルシオーネ。か弱い身で彼を全力で守ろうとする彼女に、ランベールも心を動かされ!?
↑楽天ブックスより、あらすじ引用

一月に購入品として紹介した本です。
タイトルとあらすじでお分かりいただけると思いますが、所謂転生もの。

ここからネタバレと感想。

ブラック企業のOL麻生早都子の楽しみは推しに課金すること。だが、ある日無理が祟って過労死してしまった。
ふと目覚めると​​、彼女の寝台を家族が囲んでおり、皆一応に安堵の表情をしていた。
不思議なことに彼らが誰かは判るのに早都子の本来の家族ではない。明らかに西洋人な容姿の両親と兄、中世ヨーロッパの様な調度品。そして壁にかかったタペストリーに描かれた見覚えのある紋章などからここが小説「皇子殿下の運命の恋人」の世界だと気付いた。
しかもアルシオーネと呼ばれた自分は、もしや最推しキャラであるランベールの皇妃になる人物では。

ランベールはこの国の皇帝であり、小説の主人公のライバルキャラでもある。
後に主人公の国と戦争になり敗れて死んでしまうのだが、早都子にとっては主人公よりランベールの方がツボだった。以降ずっと応援し続け、これまでに費やした金額を人に言ったらドン引きされること間違いなしな程に入れこんでいたのだ。
その後、彼を主人公とした外伝も刊行され、アルシオーネ含めこのコデルリエ公爵家の面々もその登場人物であった。
小説世界に転生するなんてと思いつつ、このアルシオーネが陥った状況も覚えている。
彼女は妃として皇宮入りする日を目前に毒を盛られて意識不明になっていたのだが、つい先ほど目覚めたのである。
犯人も勿論知っていて、ランベールを目の敵にしている皇太后のモルガールだ。
自分の息子の第二皇子を皇位に据えるべくランベールの身の回りの者たちを排除しようとしている。
無論、当人であるランベールは日々命の危険にさらされているのだが・・・。
元々虚弱だったのもあり皇宮へ上がるのは延期にしようと父と兄からも勧められたけれど、アルシオーネの十六年の人生と早都子としての記憶もあった。ランベールの結末を知っている彼女だからこそ彼を守ることが出来るかもしれない。
予定通りの日に皇宮に上がる旨、皇帝陛下に伝えてほしいと頼んだ。

一方、ランベールは皇太后により暗殺されかけた自分の婚約者が予定通り輿入れすると聞かされて心底驚いていた。
虚弱体質らしいが随分と気概のある娘ではないか。
だが、皇宮に来ると言うことは皇太后も黙っていないはず。そもそも、毒を盛られたのはアルシオーネがいずれ彼の子を産む女性だからだ。世継ぎが産まれたら益々第二皇子の皇位は遠のく。
政略結婚ではあるけれど、ランベールはこの勇気ある決断をしたアルシオーネを必ず守ろうと心中で誓うのだった。

三日後、皇宮に上がったアルシオーネは本物のランベールを目にして感動していた。
のっけからかなりの好待遇なのは父が宰相なせいかとも思ったのだが、ランベール自身がアルシオーネに対してとにかく優しいのだ。
初夜を済ませた後は溺愛と言ってもいい程に愛されてるのが判る。
実は作中の二人は夫婦仲がよろしくなかったと記憶している。なのに早都子が転生したアルシオーネは随分とランベールに好印象で見られているようだ。
でもいくら二人は仲睦まじくともアルシオーネはまだ正式な皇妃にはなれていない。
皇太后がアルシオーネとの面会を拒否し続けているため、慣例の皇妃の冠の移譲が済んでいないからだ。
おかげで婚礼の儀式も執り行えず、コデルリエ公爵は激怒していた。
ランベールはいざとなれば冠無しで儀式を強行するつもりのようだが、皇太后派の貴族も少なくないため批判も多いだろう。

アルシオーネが皇宮入りして一ヶ月ほど経ったある日、彼女の元に第二皇子のエヴラールが訪れた。
後に彼女を介して異母兄との面会に取り付けたエヴラールは、ランベールに助けてほしいと言う。
エヴラールは自分付きの侍女と恋に落ち、すぐにでも結婚したいのだが皇太后に反対されているそうだ。恋人と添い遂げたいのは山々なれど、下手をするとその侍女は皇太后に秘密裏に消されかねない。
ランベールの力で何処ぞに匿って貰えないかとのことだった。
見返りとして冠を持ち出して来るとの申し出に、その件はやんわりと断ったランベールは兄として弟の願いを叶えると約束をした。
そもそもエヴラールは皇位などには更々興味が無い。ただ、母の手前黙っていただけだ。
出来れば恋人と静かに暮らしたいと言うのが本音のようだ。
その侍女は命の危険があるため、アルシオーネの実家であるコデルリエ公爵家で預かることになり、エヴラールには今まで通りの生活を続けて皇太后の動きを探ってくれるよう頼んだ。

エヴラールが味方になってくれたのはありがたいが、折しも大国パニシャがこのベントラント帝国の先帝が滅ぼしたフリア王国の王子を担ぎ上げて戦争を仕掛けようとしているらしい。
戦となれば国も荒れるし、何よりランベールも出陣するため皇宮にはアルシオーネが一人になってしまう。ただでさえ皇太后が虎視眈々と狙っていると言うのに、どうにか戦争は避けたいところなのだが・・・。
十日程経ち、戦争はもう避けられない状況になっており、アルシオーネは小説と内容が変わっていることに気が付いた。
ランベールはアルシオーネと結婚した五年後に主人公の国と戦うまで戦争に行っていないはずだ。まさか、自分との関係が変わったせいで展開も変わってしまったと言うことなのか。
誰にも言えない不安に駆られる彼女を連れ出したランベールは二人きりでお忍びデートを楽しむと、その夜必ず帰ってくると約束した。
アルシオーネの中には早都子の記憶もあるけれど、前世の推しだからではなく、今のランベールを愛しているのだと自覚したのだった

数日後出陣式を見送った彼女は、見覚えのある場面に蒼白になった。
なぜならその後にランベールが戦死したのだから。
彼が亡くなるとしてもこの五年後のはずだ。それに対戦国も違う。
やはり、展開が大幅に変わっているのかもしれない。
すぐにでもランベールに伝えたかったのだが、運悪く虚弱な彼女は心労のせいで昏倒し、二日も意識不明になってしまった。
目覚めたアルシオーネは慌てたものの、幸いにもまだランベールは無事であった。
彼の詰める城砦に自分も行きたいと頼んでいたら、エヴラールがある密書を手に入れたと彼女の元に訪れた。どうやら皇太后がパニシャ宛に送ろうとしていたらしく、この戦争も皇太后が仕組んだものだったのだ。おそらくランベールを亡き者にするためであろう。
戦死しなければそうと見せかけた方法で殺害する計画も立てているようだし、やはり何としても彼に知らせなければ。

アルシオーネはもしもの時のためにと置いて行ったのだろう、ランベールの腹心の部下であるルキーニに連れられて城砦に向かった。
途中、皇太后の息がかかった騎士に襲われたが何とか退け、ランベールの元に向かったアルシオーネはパニシャの司令官と剣を交える彼の姿を見た。
ランベールの方が優勢だったけど、彼は横から弓兵たちに狙われていた。だが、咄嗟に危ないと声を掛けたアルシオーネのおかげで命拾いをしたのだった。
やがて、すぐさま助太刀に現れたベントラント帝国の騎士たちにより司令官は拘束されたことで一気に戦況は変わったのだ。

敵兵は敗戦を悟って逃亡を図り始めていることから程なくこの戦争は帝国の勝利で終わるだろう。
後を部下に任せたランベールはアルシオーネと共に皇太后を断罪すべく皇宮に戻った。
皇太后モルガールは密書の内容が知られても否認していたが国家転覆罪ともなれば重罪である。アルシオーネの毒殺未遂を含めて罪に問われ、処刑こそ免れたが皇太后の地位剥奪の上生涯幽閉となった。
モルガールにとっては、エヴラールが皇位継承権を放棄したことも相当ショックだったようだ。

その後、帝国側の勝利で終戦となった。
パニシャ国ではモルガールと通じて戦争を起こした責任を問われ国王が退位し、第一王子が継ぐようだ。
親と違って随分と聡明な人物らしいので、今後の国交問題についても話し合いに応じるであろう。
アルシオーネとランベールは漸く式を挙げ、彼をずっと傍で支えようと改めて誓うのだった。


前世の推しのために奮闘するヒロインのお話でしたが、文庫一冊あっという間に読み終えてしまいました。
それ位面白い。
小説と違いヒーローとヒロインが愛し合ったことで展開が変わり思わぬ不運に見舞われる訳ですが、虚弱体質なヒロインが馬で戦場にまで行っちゃう行動力がとにかく凄い。
この出来事のおかげで早々に戦など起こしてはいけないとヒーローも思ったようで、五年後に主人公に敗れてなくなると言うエピソードも無くなりそうですね。
今後もヒロインと仲睦まじく国を平和に治めて行くのではないでしょうか。

評価:★★★★★
イラスト買いでしたが、内容も素晴らしい。





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最終更新日  2022.03.25 00:07:22
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