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2024.09.20
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カテゴリ: 夢中文庫


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2024年6月刊
夢中文庫アレッタ
著者:永野水貴さん

“相続した多額の遺産金で夫を買おうとしている成金悪女”と噂のリリアン。実際は、とある過去からお金の力を痛いほどわからされた孤独の令嬢。幸せな結婚を目指すリリアンは、自分を裏切らない人を伴侶にしたいと、たびたび孤児を引き取っては理想の夫に育てようとしていたのだ。しかし最終的に、何不自由なく育てられた彼らはみな華々しく巣立ち、リリアンはそれを見送っていたのだった。そんなリリアンに仕える執事のアルフレッドもまた孤児の一人。彼だけは離れずにずっと側にいてくれるけれど、夫候補育成には非協力的。ある日、どうしても伴侶がほしいリリアンは夜会への参加を決めるも、なぜかアルフレッドに付き添われることになって?



登場人物
  リリアン=失恋後に莫大な遺産を受け取ったことで大金持ちになった女性。
       理想の夫を自ら育てるという野望を持っている。
アルフレッド=リリアンの養い子の一人。成長して執事役を務める。
 ポーリーン=リリアンの友人で行き遅れ仲間。
  ビーター=リリアンの元カレ。


貧乏育ちのリリアンは、婚約者が金持ち女​を選んだことで大失恋。
そのショックが冷めやらないうちに両親が相次いで亡くなると言う不幸に見舞われた。父も母も金があれば死なずに済んだし、元カレのピーターも豪商の娘に走らなかっただろう。
悔しさをこらえ孤独に生きていた彼女は、ある時父方の親戚が遺した莫大な遺産を受け取ることに。以降、リリアンの生活は180度変わり、人生最大のモテ期がやって来た。
が、箱を開けてみれば誰もが彼女の金目当てで、早々に虚しくなってしまった。
そんなことが続いて、ふと思った。そうだ、理想の夫を自分で育てればいいのではと。

聊か不純な動機ではあるものの、孤児院で引き取り手が無い男児を屋敷に呼び寄せ、高度な教育を施し、才能があるならそれを伸ばす手伝いを惜しまなかった。
しかしながら、誰も彼女との結婚を望む者はおらず、ある程度の年齢になるとリリアンの元を巣立って行く。残ったのは養い子の中でも古株のアルフレッドのみ。
引き取った当初は、何かしでかしそうな危険な雰囲気の少年だったが、衣食住が保証され勉強していくうちにすっかりまともになって今では屋敷の執事を務められるまで成長した。
その優雅で洗練された物腰に憧れる令嬢も多いと聞く。

今日は絵の才能があり、早くもパトロンが付いた新人画家のボブが巣立って行った。それを笑顔で見送った後、リリアンはソファに突っ伏して悔し泣き。
どうして誰もが残って私との結婚を望まないの!?
理想の夫を自分の手で育てると言う野望は、今のところ全く叶っていないではないか。皆、彼女に感謝こそすれ、異性としては見てくれなかった。
これではただの慈善事業家だ。
でも、理想の夫という割に女の子も多数引き取ってたよね?と、アルに突っ込まれれば、あの子たちの場合は可哀そうな子猫を引き取った感覚だったと言う。
やっぱりただの慈善事業家じゃないかと辛辣に言われ言葉に詰まるリリアン。

これほどの金額を使っても、まだまだ財産は有り余るほどある。それを妬み、リリアンを成金悪女と揶揄する貴族令嬢も多いが、アルからしてみれば彼女は女神さまのような人だ。巣立った者たちもリリアンを敬愛し、慕っている。それに彼らが出て行ったのは偏にアルの本懐を遂げさせるため。
とはいえ、まだ時ではない。嘆くリリアンを宥めながらアルフレッドはその機会を窺がっていた。

そんな最中、行き遅れ仲間であるポーリーンから、結婚が決まったと報告を受けてリリアンは愕然。そんな、彼女まで私を置いて行くの?
のんびりおっとりした友人は、焦るリリアンが責める言葉を並べようが意に介さず、ぽつりと案外あなたの近くに理想の人が居るのではなくて?と宣った。
はぁ?そんなのがいるなら苦労はしないのよ、と帰って行った。
数日後、悪いと思ったのかポーリーンからパーティーの招待状が送られて来たので、たまには社交の場でお相手を探そうと決意した。
エスコートは不本意ながらアルフレッドに頼んだ。スーツを誂え、髪型を変えるとあらビックリ。なかなか様になってる。
せっかくの友人の好意、無にするのも悪いかと思い参加したが、リリアンに声をかけて来る猛者は嫌味三昧の令嬢達ばかり。男性陣には遠巻きにされてて、やはり来なければ良かったかと後悔。
やたらと人気があったのはアルフレッドの方で、虫の居所の悪い彼女は帰りの馬車の中でつい彼に当たってしまった。

気不味い中、気晴らしに一人で買い物に出掛けた彼女は、偶然ピーターと再会。5歳上だったからまだ31歳のはずだが随分老け込んだように思う。
よせばいいのに近況を尋ねれば、妻の実家家業が傾き苦労しているらしい。
元々、リリアンを捨てることになったのは当時借金苦だった家業を救うため。両親を相次いで亡くしたリリアンのことを気遣い長らく差し入れをして助けてくたのは罪悪感からだったのかもしれない。
前のように贅沢は出来ないけれど、何とか生活はできているからと苦笑いする彼に、つい援助を申し出そうになったが何とか飲み込み、妻の誕生日プレゼントの下見に来たんだという彼に、そういう時は花束でいいのよ、とアドバイス。
この一件で、彼女は色々吹っ切れた気がした。
アルに謝ろう、そう決意して屋敷に帰ると、彼は暇を貰いたいと言い出し・・・。


女版光源氏みたいなモットーで理想の夫を育てようと躍起になっていたヒロイン・リリアン。でも、皆感謝しつつも私の元を去っていく、失意に暮れる彼女を見守り、愛していたアルフレッド。
ポーリーンも、彼の気持ちには気が付いていてさらっと身近におるやん、と教えてたのにリリアンはなんのこっちゃ状態。
でも彼から出て行くと言われた時は激しく動揺して、引き留めるも意志が固いと知るや寂しい気持ちを押し殺して送り出します。そしてようやく自分の気持ちに気付くのでした。
でも、数日後、アルフレッドが訪ねて来て友人達と起業したと報告。それに合わせてリリアンにプロポーズ。
あなたのお金には興味がありません、欲しいのはあなた自身です。
それはまさしく望んでいた言葉。リリアンはアルフレッドの求婚を受け結婚。
成金と謗られつつも、養い子たちは皆彼女の味方。
それぞれ大成していたので、いつか恩を返そうと考えていました。
それでも、結婚してからは成金悪女という揶揄は消え始めていました。どうやらアルフレッドが名誉棄損だと悪評を立てた令嬢達を訴えたらしいと聞き、彼らは爆笑。
昔からあいつはリリアン一筋だったしと盛り上がり、俺らも彼女のおかげで一廉の者になれたんだから、今後は彼女の慧眼ぶりを世間に知らせようと決意を固める場面で物語は幕。
聊か不純な動機で始めた行動がとんでもない善行で、後にリリアンの評判は覆されるんだろうな、っていう余韻を持たせた終わり方が本当に良いです。
唐突なラブシーンがないのも好印象。良作だと思います。



評価:★★★★★





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最終更新日  2024.09.21 10:46:57
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