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ひところ、各地にできた地ビールを売りにする観光施設。山口にもある。ロケーションはなかなかだ。一部で岩肌がむき出しになっている、(ちょっとだけ)日本の里山離れした山の中腹にど~んと建てられたヨーロッパのシャレー風の建物。すぐそばに滝もあり自然豊か。 車で来て遠方から見ると、かな~りステキな場所に見える。ウェブサイトの宣伝写真も相当きれいに撮ってある(こちら)。 かなり大きな施設だから維持費もかかりそうだ。そのせいか、プライスは高め。しかし、時間の経過とともに苦戦し、さびれていく地ビール施設も多い中では、かなり頑張ってやっているほうだと思う。 数か月前、まだ新型コロナがひどくなる前のことだが、平日の午後にここに家族で立ち寄って、ビール(を飲んだのはMizumizuオンリーだったが)とカプレーゼ、それにじゃがいものラクレットを頼んで、非常においしかった。 特にMizumizu母は、カプレーゼが気に入り、「また食べたい」と何度も。そこで、コロナが落ち着いたこの日曜日に行くことにした。 駐車場にはかなりの数の車が停まっている。ちょうどバラのシーズンで、レストランの周囲にはさまざまなバラが咲き乱れていた。手入れもそこそこ。ものすごく行き届いているとは言えないものの、それなりにきれいに保っている。 「こういう植物の手入れって大変だよな~」と、にわかガーデナー(実際は草取りメイン)は思いつつ、レストランへ。重い扉を押して入ると… シーン だっれも出てこない。非常事態宣言が解除されてまだ間もないし、実はお客さんいないのか? と思って客席をのぞくと、結構、入ってるじゃないですか。2~3人ではなく、5~6人で来ている人が多い。コロナ対策のためか、テーブルの数が減らされていたが、それでも駐車場の車の数に納得するお客の数。 お客がいないのではなく、スタッフが足りなかったと見える。その証拠に、空いたテーブルに食べ終わった食器やグラスがそのままになっている。 片付けてもらうまで待ち、席につく。結構待ったわりには、テーブルは拭き残しがあり、こちらが紙でもう一度テーブルをぬぐうハメに。 カトラリーは置きっぱなしのケースに入っていて、あれじゃ、不特定多数の客がベタベタ触ってしまう。コロナ対策、いまいち不十分なり。 見れば顎マスクで接客しているスタッフまでいた。トホホ… 窓からの眺めも、(ちょっとだけ)日本離れしている。庭のバラ、洋風の灯り、それに遠くの山が美しい。 奥にあるガラス張りのテラス席のほうを選べば、滝が遠くに見える。自然に囲まれた周囲の環境も抜群なので、テラス席を選ぶ人も多い。 さっそく、前回気に入ったカプレーゼ、じゃがいものラクレット、それに季節のソーセージを頼む。すると、ラクレットについて、笑顔で「平日はお席でおかけするのですが、週末は厨房で」と言われる。 そうそう、前回は大げさなワゴンに巨大なチーズの「ゆりかご」みたいなものをスタッフが持ってきて、熱を入れて溶けたチーズを、(おおげさな装置のわりには)ちょっぴり垂らしてくれたのだ。 イメージはこんな感じ。ただし、リアルの量はこれの10分の1(←印象)。 もちろん厨房でかけてもらうことに何の異存もなかった、のだ、このときは。しか~し、運ばれてきた料理は、前回とはまったく違ったモノだった。 これが今回のじゃがいものラクレット。上にかかってるチーズは、固まってしまい、ビニール状にめくれあがっている。下から熱を入れるのだが、弱すぎて、固まったチーズは全然溶けず、じゃがいものほうが焦げてきたので、慌てて火を止める。 ヒドイじゃありませんか? とろ~りとろけるラクレットをアツアツのじゃがいもにのせて食べる…ハズが、固まってビニールと化したチーズが、じゃがいもと分離するのを、なんとか同時に口に運ぼうと四苦八苦。 厨房でチーズかけた作り置きを出してきた感じ、明らかに。 そして、Mizumizu母がうわごとのように賛美していたカプレーゼもまた、前回とは別物が出てきた。 見てのとおり、カプレーゼなのにバジルじゃなく、ミントがのっている。前回は、(明らかに自家製の)フレッシュなジェノベーゼペーストを使っていて、かかっているソースもオリーブオイルを中心にした、だがちょっと複雑な味のソースだった。なのに、今回はただのオリーブオイルとしか。 極めつけは、「トマトがまずい」。前回はトマトがとても美味しかった。野菜だから、出来不出来はあるだろうけど、カプレーゼにコレは、ちょっとひどくないですか、という味だった。 同じ店で、同じメニューなのに、なぜ!? にわかには信じられないレベル差に愕然とするMizumizu+Mizumizu母。前回は、奪い合うようにペロッと食べたカプレーゼを、今回は「コレ、食べない?」と押し付けあうハメに。むろん誰も食べず、注文したMizumizu母が責任を取りました。 こちらは普通にGOODだった季節のソーセージ。しかし、「ゆず」と「桜」と…あと何だったかな、何かを練り込んでいるとかで、まー、ハッキリ言って、「ソレ要らないから」と思った。ふつーの、ベーシックなソーセージで十分だと思う。 このレストラン、やたらとメニューが多すぎるのだ。ハンバーグからピザからパスタから、「マルゲリータ釜飯」なんていう面妖なものまである。デザートもやたらとある。Mizumizuは以前パスタを何度か頼んで、どれも口に合わなかったので、それからは単純なビールのおつまみ的なものを頼むだけにしている。 日曜日は明らかに人手が足りていなかった。緊急事態宣言が解除されて間もなくの週末なので、それほど客が来ないと思ったら、予想以上に来てしまったのかもしれない。実際、支払のとき、たまたま前で払っていた人の注文数が「21点」となっているのが見えて、目が点になった。 そんな数の注文をあの明らかに少ないスタッフでこなすのは大変だ。1つ1つの料理の味が落ちても当然だろう。…にしても、あんまりだったが。 食レポが当てにならないのは、こういう理由もあるのだろう。同じ店で同じメニューを同じ人間が頼んでも、前回なら絶賛、今回なら酷評だ。 ビールも前回と同じくヴァイツェン。この味は、さすがに同じだった。 この店は、すいてそうな平日に来るのがオススメというオチかな。 それでも、ここに来ると(まぁ、実際にはそんなに来ないけど)お土産のオリジナルソーセージの詰め合わせを買って帰る(下にアフィリエイトバナーあり)。これは普通に美味しい。 ちなみに、店から山に続く道を車でのぼっていくと、ちょっとした驚きがある。結構な渓谷を左手に見ながら細く急な道を行く。すると山をのぼり切ったその先に、平地が広がっているのだ。平地といっても高原という雰囲気ではなく、田んぼになっているが、こんな不便なところまで農地にしたのかと驚く。ちょっとした天空の里、と言ったらさすがにオーバーか。 「名水」が湧き出ているあたりまでなら車で行ける。その先も細い道が続いているが、土地の人間でないなら、行かないほうが無難。 送料無料 山口地ビールとソーセージのセット|60958|
2020.05.28
「旅好きが選ぶ! 道の駅ランキング2018」で1位を獲得したという豊北の道の駅。ここは、夏の絶景・角島橋に近いとあって週末は県内だけでなく、九州その他からも観光客がどっとやってくる。角島の海は、晴天の夏、それも午前中が最も美しい。曇ってしまうとあの「ここって本当に日本??」と思うような澄み切ったエメラルドの海の色は見られない。その意味で、天候と時間帯に大きく左右されてしまう「絶景」なのだが、それでも主に自動車のCMでよく使われて有名になったことから、夏の間は観光客がひきもきらない。道の駅 豊北は、その角島を遠くに見るロケーション。海に向かって大きなテラスがしつらえてあり、トビの飛び交う海辺の景色をガラスなしで堪能できる。この景色も人気のうちだと思うのだが、なんといっても週末すごい混みようになるのがわくわく亭というこの道の駅の食事処。見よ! この大行列。ここは、券売機で食券を買って、セルフサービスで運ぶという庶民的な食事処なのだが、券売機がはるか先で見えないほどの行列になる。夏の間、週末に3~4回行ったが、だいたいお昼前にはこの状態だった。それでも料理はどんどん出てくるし、回転は案外速い。メニューは豊富。地元の魚を使ったものがメインだが、カレーやうどんのような軽食もある。こういういろんなものをごっちゃに出す食堂はマズイと決まっているものだが、道の駅豊北は、数少ない例外。絶品…とは言わないが、河豚や烏賊、地元の魚を使った料理は、お値段はとてもお手頃だが、その価格に対しての満足度が高い。逆に「とらふぐの刺身」などの高級食材を使ったものは、その値段のわりにガッカリだった。高級食材は高級店に任せて、ここではもっと庶民的なものを頼んだほうがよい。Mizumizuのイチオシは、ふぐ天丼。見た目は「天丼てんや」と変わらない――なんて言ったら元も子もないが、不思議と飽きない味。何度もリピートしている。日によってネタが変わる「おまかせ鮨」も、なかなか。白身の魚中心で、華やかな江戸前鮨に慣れた目で見ると、地味すぎてしょぼくれた印象だが、逆に白身の魚の味、歯ごたえのバリエーションの豊かさを知ることができる。白身魚が嫌いでないならおススメ。お土産コーナーの魚は日によって違う。一度だけ天ぷら用のキスが売っていたのにあたり、買ってみたらあまりの旨さに衝撃を受けた。さくっとした軽い触感。やわらかいがプリっとした身の味わい。山口市内のスーパーでも、それなりに新鮮なキスは買えるのだが、明らかに一段上だった。「山口の魚って、おいしいじゃん!」としみじみ実感したのは、有名なとらふぐではなく、ありふれたキスだった――というオチ。窓越しに明るい海を見ながら、みんながおいしそうに食べている。平和と豊かさがここにある。
2019.09.02
あわゆき、淡雪、あわ雪、阿わ雪…表記はさまざまあれど、どれも卵白を甘くして寒天で固めたシンプルなお菓子だ。 Mizumizuがこのあわゆきファンであることは過去にも書いている。なんでもある東京だが、なぜかこのお菓子だけは、あまり美味しいものがない。 以前、愛知県の有名店のあわゆきを期待を持って買ってみてガッカリしたことがある。崩れにくいようにとの配慮なのか、少し硬すぎて、口のなかで、それこそ雪のように「しゅわっ」と溶けていく感覚がない。 あわゆきは、泡立てた卵白特有のこの「しゅわっ」感が命。きれいに箱詰めしている売っている有名店のあわゆきは、のきなみこの生っぽい「しゅわっ」が消えている。 不思議とMizumizuが気に入るのは、山口の小さなお菓子屋で、小規模につくっているあわゆきだ。市内では大殿の風月堂。ここは夏だけあわゆきを出すということだが、大切な「しゅわっ」感、そして甘ったるくない爽やかさを備えており、Mizumizuイチオシで気に入っている。ビニールに密封はされているが、商品名はマダムが墨で手書きしている。小規模手作り感があふれている逸品だ。 その大殿の風月堂に並ぶあわゆきをこの夏見つけた。それは意外な場所。 秋穂よりの防府にある「ふれあいステーションDAIDO(大道)」という地元の農家の直売品を売る店だ。 あわゆきにレモンを合わせた爽やかな味。口の中で溶けていくような「しゅわ」感もあり、甘さと酸っぱさのバランスも良い。 最初見た時は、それこそ地元の主婦の手作り品かと思った。 こんなテキトーな包装なので(笑)。値段も220円ととてもお安い。でも、製造者をよくよく見たら三協製菓という防府のお菓子屋さんだった。しかし、この淡雪「レモン」(「瀬戸内レモン」)、三協製菓のホームページにも出てこない。よっぽど力が入っていないんだろうか(苦笑)。 しかし、飽きない味で、Mizumizuはすでに何度もリピートしている。売り切れている(あるいは入荷していない?)こともしばしばで、行っても買えないとガッカリするので、だんだんと、「あればまとめ買い」するようになってきた。 もちろん、しっかり冷やしていただくのが鉄則。室温に置いておくと、卵白の悪いほうの生臭さが出てきてしまう。それだけ泡立てた生の卵白の食感が残っているということでもある。 防府のお菓子屋となると、それこそネット上で評判のお菓子でもないと、わざわざ行く機会もない。だが、道の駅にも似たこういう直売所だと、新鮮な野菜などを買いにきたついでに目についたら買ってみようかという気にもなる。 この大道の直売所はとても人気があり、いつもたくさんの車が停まっている。道の駅もそうだが、こういう直売所が地方の経済を支えているのだと実感する。 次のエントリーでは山口で最も人気のある道の駅をご紹介します。
2019.08.27
かつては廻船業で栄えたという阿知須(山口県山口市)。今はその面影はないが、そのかわり、「きらら 道の駅 あじす」付近は、野鳥観察公園やさまざまなイベントでにぎわうきららドームといった施設との相乗効果もあり、それなりに集客力のあるエリアになっている。ロワゾブルーは、「きらら」施設とは少しだけ離れた場所にあるが、ついでに車で寄るにはぴったりのロケーション。大変な人気店で、週末は狭い店内が人でごったがえしていることもしばしば。ロワゾブルーの周囲だけ、瀟洒な個人宅が立ち並び(数軒)、ここだけ葉山にでも来たような雰囲気。ここはジェラートも有名だが、なんといってもイチオシはカヌレ。平日でも夕方には売り切れていることの多い人気商品――味は絶品だ。カリッとした皮に、半生のようにクリーミーな中身。そのバランスが素晴らしい。カヌレは一時とても流行って、それから定番にしている店も多いが、ロワゾブルーほどの食感の対比をコンスタントに作り出しているカヌレは本当に少ない。たいていのカヌレは皮もしっとりしてしまっていて、対照的な食感が楽しめない。カヌレは日持ちがするので、たいてい6個ほどまとめ買いをするMizumizu。翌日ぐらいまでならそのまま置いておいても楽しめるが、やはり皮が少し湿気ってしまう。そのやわらかめの食感が好きな向きはそのまま食せばよいが、Mizumizuはカリッとした食感を再現したいので、次のステップで冷凍→解凍して食べている。1)アルミホイルで1つずつカヌレを包む2)食べるときはオーブントースターでそのまま10分。アルミホイルをあけて3~5分。3)カヌレを取り出して、しっかり冷ます。3)が特に重要。温かいままで食べるより、いったん冷ましたほうが食感の違いを堪能できる。この方法なら長持ちするし重宝だ。絶品カヌレと有名ジェラートのほかにも、ケーキや焼き菓子も豊富。Mizumizuのお気に入りのケーキはタルトシトロン。そのほかヨーロッパ直輸入だというパンオショコラやスイスショコラもオススメ。すべて窓に向かってしつらえられた店内のカウンターテーブルでいただくことができる。窓の向こうは、小さなフレンチ風の庭。その向こうは道路でその先は草ボーボーの遊休地。それでも遠くに山が霞み、ちょっとしたバカンスの雰囲気も楽しめる。週末は順番待ちだが、平日ならすいていることが多い。ただし、月曜日・火曜日はお休み。阿知須の「ここだけ葉山」のカフェ。宇部空港からもわりに近いので、機会があればぜひ。遠くから来る人は、事前に電話で取り置きをお願いしたほうがよいかもしれない。【送料無料】カヌレ 6個入り(カヌレ ・ド・ボルドー)★1配送先につき2個同時購入でドラ焼き1箱(4個入)プレゼント!
2019.08.23
この夏は山口で過ごしたMizumizu。田舎は退屈かなと思っていたが、なかなかどうして東京暮らしとは違った楽しみに溢れている。以前は感じた、都会と田舎の「食のレベルの格差」もあまり感じなくなってきた。カフェもそう。東京にも個性的なカフェはあるが、山口だって負けないぐらいある。ここは山口市で指折りの桜の名所、一の坂川。室町時代に当時の支配者・大内氏がこの川を京都の鴨川に見立てて町づくりをしたという。鴨川と呼ぶにはスケールが小さすぎるが、逆にその「小ささ」が箱庭的な雰囲気を醸し、桜の時期には大勢の見物客でにぎわう。桜を見るのにぴったりなカフェが川沿いにいくつかあるので、桜の時期はとんでもない混みようになるが、普段はとても静か。「ラ・セーヌ」もそんなカフェの1つ。モダンでアートフルな空間が特長。大きな窓の向こうの緑を眺めながら一息つくのもよし、奥のテーブル席でさまざまに置かれた雑誌や新聞に目を通すのもよし。ここでMizumizuが頼むのは、抹茶パフェ。だ~い好きな白玉と、抹茶のアイスのコンビネーション。器はガラスではなく萩焼きというのも山口ならでは。上にのったウエハースと下に忍ばせたフレークはありがちだが、ふりかかった苦めの抹茶の粉も、東京のカフェのようにケチケチしておらずたっぷりで、良いアクセントになっている。小豆餡も抹茶アイスと白玉に合う上品な甘さ。たまにはコーヒーゼリーも。特に強い主張はないが、安心して楽しめる良品。水もおいしい。出ようとして、壁にかかったイラストに目をやると、「あれっ!」東京在住で先ごろ歌手デビューした「マスターの彼」のCDジャケットを描いた人の作品だ。作風を見れば一目瞭然。猫が特に生き生きとしていて、この作者が持っているであろう強い「動物愛」が一直線にこちらに届いた。山口、一の坂川、ラ・セーヌ。小さな出逢いのあるアートカフェ。【楽天1位】誕生日プレゼント女性 送料無料 季節の花でおまかせアレンジメント 【楽ギフ_メッセ入力】 誕生日 女性 敬老の日 ギフト 開店 オープン 結婚記念日 お祝い フラワー お見舞い 退職 送別 花 プレゼント 即日発送
2019.08.21
山口県山口市矢原にあるパスタ&ピザハウス アキラ。実家に近いこともあって家族でよく行く、お馴染みの店。いつ行ってもお客さんでにぎわっている地元の人気店。駐車場も十分あるので、地元民にはその点もありがたいところ。この店の人気の秘密は、おそらくパスタのメニューの豊富さにある。生パスタこそないが、種類が非常に多く、誰が行ってもお気に入りの一品が見つかる店。ピザもあるが、たいていのお客はパスタを頼んでいる。Mizumizu母は、もっぱらここの「たらこ&イカ」を頼んでいる。水っぽいところが好みだそう。Mizumizuは逆に、(たらこ&イカは元来好きではあるが)ここのは水っぽすぎて好みではないが、お気に入りが別にある。それは、カルボナーラ厚切りベーコンが、表面こんがりで塩気が強く、Mizumizu好みのアクセントになっている。全体的に濃厚なので、カルボナーラは重くて…という向きにはお奨めできないが、カルボナーラ好きなら満足できるクオリティ。東京でも、ここまでやみつきになるカルボナーラを出してくれる店はなかなかない。しばらく行かないと、「そろそろまた、アキラのカルボナーラが食べたいな」と思う。家族で行って、それぞれが好きなものを注文して、気軽に食べる。そんな店。山口でもネットで有名になると、お客は旅行者が多くなる傾向があるが、この店はあくまで地元民のための店だ。昔からあり、いつもそれなりにお客が入ってる。地味だが、良店の証拠だ。実際、近くの繁華街、湯田温泉あたりでは、いつの間にか無くなってしまう飲食店も多い。ここは家族経営なので、顔なじみになると女主人が気さくに話しかけてくれる。最近はもっぱら、「ばね指」だとか「腱鞘炎」の話だが(苦笑)。個人で長く料理を作り、盛り付け、サーブする仕事をしていると、やはり指や手首、それに腰にも負担がかかってくるということだろう。ストレッチなどもして、体調キープには気を使っているとか。商売を続けていくということは、本当に大変だなぁと聞いていて思う。一時期人気が出ても、それを続けていくのは並大抵のことではない。アキラはその点、安定した人気をずっと長く保っているのが素晴らしい。家族で行くと、パスタのほかに、「気まぐれサラダ」を頼んで、皆で取り分けて食べることが多い。それから、たまにデザートも。こちらがMizumizu+Mizumizu連れ合いのお気に入り、チョコレートブラウニー。もちろんコーヒーとマリアージュ。チョコレートブラウニーというと、個人的にはクルミが入っているイメージ。ここのは入っていないので、どちらかというとややかためのガトーショコラという感じ。珈琲もアメリカン寄りだが、きちんと淹れた、それなりの味。ただ薄っぽい味だったり、煮詰めたような味がしたりする珈琲を出すカフェも多い中、パスタがメインの店だということを勘案すれば、十分に及第点以上の評価はできるだろう。ふつーにパスタを外で食べたい気分になったら、ふらっと寄ってみて損はない。
2018.05.19
ポーチ・マニアのMizumizu。尾道帆布のポーチも、勢いで買ってしまう。ブルーのストライプがすがすがしく、夏にぴったり。よく見るとブルーの縦縞は均一ではなく、微妙に太さが違う。それが安っぽくないニュアンスを出している。手触りもいい。ざっくりしながら滑らか。良質な天然素材の感触だ。脇に共布のツマミもあるので、トートバッグなどを持つときに、財布をこのポーチに入れてこのツマミを使ってチェーンでバッグに付けておけば安心。長財布は入らないが、2つ折りの財布には余裕のサイズ。実際に使ってみると、これまた非常に使い勝手がいい。大きさのわりには収納力が高く、モノが取り出しやすい。そのヒミツは、マチの取り方にあると思う。ひっくり返してみると分かるが、底マチがたっぷり取ってある。ベトナムで買ったポーチは底マチのないものがほとんどで、見かけはすっきりしているが、案外入らないし、取りだしにくい。帆布製品を好む人は多いが、愛着がわく気持ちが分かる気がした。生活のさまざまなシーンで、活躍してくれる素材だろう。これからもっと生活に取り入れていこう。期間限定セール! 尾道帆布11号***注文殺到にて予約販売開始!7/20頃入荷予定。入荷次第順次発送致します!/生成帆布/尾道/帆布/生地/布/綿/おのみち/ナチュラル/バック/カバン/カバーリング/ハンプ【送料無料】シンプル&ナチュラル:尾道帆布のクッション付きRoundスツール|ウォールナット|ナラ|バーチ(受注製作の無垢家具)【送料無料】尾道帆布の折り畳みスツール 折り畳みイス オットマン(受注製作の無垢家具)CARRYNEST(キャリーネスト) バックパック [ユニセックス] O BACK NEST 【WHT/ONEサイズ】 リュック コットンキャンバス 尾道帆布 日本製10P03Dec16【あす楽】尾道帆布ペンケース 雲州そろばんコラボ企画【マラソン期間中エントリーでポイント5倍】尾道帆布 .B コラボレーション ボールポーチ クラシックゴルフ ネイビー Dot.B ドットビー 尾道 帆布【尾道帆布】【.B】【コラボレーション】【ボールポーチ】【クラシックゴルフ】【あす楽対応】SPINGLE MOVE スピングルムーヴ SPM-324 ホワイト メンズ レディース スニーカーFEEL AND TASTE フィール アンド テイスト トートバッグ 2WAY キャンバス 尾道 帆布 レディース B4 横 f031 c062
2017.07.10
多くの文化人に絶賛される尾道の景観。映画の舞台にもなっているが、Mizumizuが知っているのは『東京物語』や『時をかける少女(原田知世主演)』ぐらい。『東京物語』のラストシーンでの、蒸気機関車の走り抜ける尾道は、筆舌に尽くしがたい美しさだった。西洋とはまったく違う、だが西洋の秩序にも通じる整然たる街並み。これをみて西洋人が日本という国に興味と尊敬の念を抱いたのもなるほどと頷ける。『時をかける少女(原田知世主演)』も尾道の坂の風景を、つぶさに印象的に見せていた。とはいえ、それらはあくまで優れた映画人のフィルターを通して描かれた尾道だし、そもそも『東京物語』は古すぎて、統一感のある瓦をいただいた低い家屋の集合はすでに破壊されて久しいはずだ。世の評判の高さとは裏腹に、「今の尾道」にはあまり興味がもてず、旅行好きのMizumizuがこれまで目的地に選んだことはなかった。だが、西日本でまだ行っていない観光地もいよいよ少なくなってきた。なので、今回は因島と絡めて尾道にも立ち寄ることにしたのだ。前日に因島から境ガ浜、鞆の浦と回り、福山で一泊。朝ホテルをチェックアウトして、レンタカーを福山駅前のレンタカー屋に返し、大きな荷物は駅のロッカーに預けて、在来線で尾道へ。駅からすぐにタクシーでロープウェイ乗り場へ向かう。GWなので、ロープウェイも並んでるかな、と思いきや、時間が早めだったせいか、並ばずにすぐに乗れた。ロープウェイからすでに素晴らしい景観が始まる。急な坂、海との間の狭い平地。尾道水道、向島大橋、そして瀬戸内海の島。向島との間には船も行き来していて、生活感にあふれている。ほとんど平地のない、海に面した坂の古い街というと、イタリアのソレント半島を思い出す。かの地のような広々とした紺碧の海やレモンの木や芸術的なタイルの建築物こそないが、そのかわり、ここには堂々たる橋があり、川のような海があり、連なった山があり、島影があり、観光だけ主な生業でない町の持つ人々の暮らしの匂いがたちこめている。ロープウェイを登ってすぐのところにある美術館からの眺めが良いと聞き、行ってみた。ちょうど猫をテーマにした古今東西の作品を集めた特別展が開かれていて、なかなか見ごたえがあった。だが、やはりここの白眉は、窓の外に広がるランドスケープだろう。アルネ・ヤコブセン作のエッグチェアがポツンと配置されている。その向こうには坂があり、狭い平地があり、背の低い、何かの寝姿のような山々が折り重なっている。左手にはロープウェイからも見えた向島大橋と尾道水道の景色。この特等席に座って、作品『尾道ランドスケープ』を眺める。それは、至福の時間だった。なるほど、だから尾道は人々から絶賛されるのか。行ってみて、心底納得できた。美術館を出て、千光寺へ向かう道をくだる。雨に濡れたつつじが美しい、すっきり晴れなかったのは残念だが、尾道は雨でも情緒がある。まさに日本の美しい町だ。千光寺はいわゆる「巨岩信仰」を強く感じさせる地にある寺だった。が、そんなことには今やおかまいなく、恋人のナントカとか、寺の売店の激しい売り込みとか、商魂のたくましさに正直かなり唖然とした。しかし、その甲斐あってか、若者もすごくたくさん来ている。まあ、寺も名所も人が来てナンボだ。恋人のナントカで若者を引き付けることに成功したのは、誰が考えたか知らないが、お見事。Mizumizu母の足の状態を考えて、Mizumizu+Mizumizu母は徒歩で下まで降りるのはやめてロープウェイで下ったが、Mizumizu弟夫妻は、狭い路地を歩きながら下まで降りて、楽しんだようだった。Mizumizu弟が撮って送ってくれた写真。これぞ、The尾道。やはり尾道観光の目玉は、この坂を歩いて下るときに出会える自然であり、生き物(猫や鳥や人間や)であり、建築物なのだろう。お昼過ぎにロープウェイ駅に降りたら、午前中にはなかった長蛇の列ができていた。尾道は交通の便がいいから、西からでも東からでも、自宅を朝出れば、お昼ぐらいには着けるという範囲が広い。だから、お昼にはこうなる。こちらは福山に泊まって朝来たので、混む前にゆっくり楽しめた。結論:GWの尾道は、午前中早めに来るといい。福山天然温泉ルートイングランティア福山SPA RESORT
2017.07.08
因島から境ガ浜、鞆の浦と回り、ホテルを取った福山へレンタカーで戻るMizumizu一行。GWだから混むかなと思ったのだが、拍子抜けするほどスイスイで福山に着いた。バラ公園にも行ってみたが、まだ早くてあまり咲いていなかった。時間が余ったので、カフェでスイーツでも、ということになり、その場でネット検索して適当なカフェをさがす。行ったのは「純喫茶ルナ元町店」というレトロなカフェ。スイーツがわりと豊富で、どれにしようか迷ったのだが、親子三代の愛好家もいるというお店イチオシのプリントップをオーダー。上にソフトクリームとプリンをのっけたパフェって…(笑)。一瞬「…」となってしまうような一品だったが、どーしてどーして、これがなかなかの逸品だったのだ。なんと言うのか、自家製だというプリンが、普通にとても美味しいのだ。一口食べて、うわー! というものではないが(まあ、そもそもプリンだし)、特に嗜好を選ばず、誰にでも受け入れられるであろう味。とても滑らかで、全体的にやさしい味。奇をてらわず丁寧に作っているのがよく分かる。ソフトクリームもしつこくない。底のほうに隠れているフルーツも、どうしてどうして楽しくも美味しいアクセント。しかもとても手頃なお値段。東京から来ると、このクオリティでこの値段は、めちゃ安に思える。こういうオーソドックスで「しっかりちゃんと作ってる」パフェというのは、ありそうでなかなかない。時の流れに淘汰されずに長く愛されてきたというのも、この店が、入れ替わりの激しい東京のど真ん中ではなく、落ち着いた地方の町にあったからかもしれない。Mizumizuが福山市民だったら、絶対に通っている。こういう逸品にふいに出くわすのも、日本の地方の旅の魅力だ。まったく期待していなかった分、印象は返って深くなった。また、必ず食べに行きたい。福山天然温泉ルートイングランティア福山SPA RESORT
2017.07.05
鞆の浦では対潮楼にぜひとも行きたいと思っていた。18世紀に朝鮮通信使が、「日東第一形勝」と称えた眺望の楽しめる座敷があるという。対潮楼のある福禅寺は駐車場からもすぐで分かりやすかった。対潮楼のお座敷に入ると、やや暗い畳の部屋の向こうに、明るい、素晴らしい眺望が開けている。ちょうど柱と桟が額縁のよう。切り取られたパノラマの中を船が行く。瀬戸内海の美はやはり、水面を行く船という動的な要素があってこそ。畳に座り、さあ、この海と島と明るい陽光の織り成すパノラマをゆっくり静かに堪能しよう、と思ったとたん!なぜか、ガイドと思しきオバサンがやって来て、こちらからの眺望を思いっきり遮る迷惑な位置に座り、話を始めてしまった!なんで1人でそこに座るかなあ、邪魔なんだけど。でも、10分ぐらいで終わるでしょ。が!10分経過、20分経過…まだしゃべっている! この素晴らしき風景のど真ん中に居座ったまま!しかも、地名の「鞆(とも)」が国字だという話から、「躾」も国字だと飛躍し、さらに「いいですねえ。身を美しくすると書いて『しつけ』。素晴らしいですね」と、自分たちの国で作ったヘンテコな漢字を自画自賛し、「かの国にはこの字がないからでしょう、(マナーが)ひどいでしょう」などと、聞いていて唖然とするような差別発言を、まったく悪気もなく声高にするではないか。具体的に「こういうことを中国人がしているのを見て(あるいは、されて)、マナーが悪いと思った」というような体験談なら、まあ、まだアリないかもしれない。観光ガイドがする話としては極めてふさわしくないとは思うが、それはそれで言論の自由の範囲だ。だが、具体的な例を挙げるわけでもなく、「躾」という字が日本にあって「かの国にはない」から「躾がなってない」なんて十把一絡げのトンデモ論は、ジョークのつもりなのかもしれないが、はっきり言って完全にアウトだ。田舎のオバサンはこれだから困る。内輪の井戸端会議じゃないんだから、まったく。もし、話を聞いてる観光客の中に、日本語の分かる中国人がいたらどう思うか、想像することさえできないんだろうか? 鞆の浦はマイナーな観光地で外国人は、まだあまり来ないかもしれないが、観光立国を目指すなら、当然外国からも観光客を誘致しなければいけない。鞆の浦の美しさ、朝鮮通信使ゆかりの土地という歴史。これらは海外の観光客にもアピールする要素だ。それなのに、どこの団体のガイドか知らないが、フリーで来てる客もいる場所で、素晴らしいパノラマを背にして一番良い席を1人で陣取り、中国人に対する差別意識丸出しの下世話なおしゃべり。おまけに、話が長すぎる!因島でもそうだったが、広島の人は話が長いのか? 旅行先で立て続けにこんな目に遭ったのは初めてだ。仙酔島へ行く「いろは丸」が出航すると、オバサンガイドが、「前に出て写真を撮ってもいいですよ」と、許可を出す(苦笑)ので、内心「あんたさえいなければ、あんたに許可もらって前で写真撮る必要もないんですけどね」と思いつつ、写真を撮らせてもらった。オバサンが座って動かないから、柱と桟の「額縁」を入れて撮ることができない。この場所の風景はもちろん素晴らしいが、それを柱と桟で独創的に「切り取った」からこそ、ここのパノラマは絵画めいた唯一無二の絶対美を備えたのだ。この場所に座敷の開口部を作り、明るい外界をこうやって切り取って、「ここにしかない絵画」に仕上げた先人の苦心。それを思ったら、「絵画」の中心位置に、自分がデンと座って、先人の作品を鑑賞する他人の権利を阻害するようなマネはできないと思うのだが。どうしてもそこで話をしたいなら、もっと短くするか、あるいはいろは丸が出航するシャッターチャンスには、自分が腰を上げてどくべきだろう。こちらからすれば、頼んでもないガイドに視界を邪魔され続け、長い話を延々、延々、延々と聞かされ、話が終わったころには、もう座り疲れてしまい、静かに景色を楽しむ気力は残っていなかった。落胆。次いつ来れるのか分からない、こちらにとっては、おそらくは一期一会の旅なのに。座敷に入ってきたときに、オバサンが座っていなかった(だから、一瞬、素晴らしい外界のパノラマがそのまま目の中に飛び込んできてくれた)ことだけを救いに思うことにして、対潮楼を去ったのだった。鞆の浦温泉 景勝館 漣亭
2017.07.03
境ガ浜のランチのあと、鞆の浦へ向かうMizumizuファミリー。海沿いの道をそのまま進めばもうすぐ鞆の浦というところで、路上で旗を振りながら、渋滞を避けるために山沿いのグリーンロードのほうへ行くように誘導しているおじさんがいた。素直に迂回して、のぼり坂をあがり、福山グリーンロードへ入るMizumizu一行。これが大正解だった。晴天に恵まれた日だったせいもあるが、眼下に広がる瀬戸内の景色は絶景と呼ぶにふさわしい。広島にこんな景観の良い道があったのか? と驚いた。しかも、GWだというのに、車がめちゃくちゃ少ない(笑)。こんなシーニックロードががらすきってどういうこと? みろくの里付近のなんでもない山道で大渋滞したかと思えば、ヨーロッパの地中海風景に勝るとも劣らない景観美の道がガラガラ。関東から来た人間には想像外の現象だった。海岸線ギリギリまで迫った山。青い海。点在する島々。はるか遠くの山は麓に雲(あるいは海霧か?)がかかり、宙に浮いているように見えた。晴れた日だけに、よけいに幻想的で不思議な光景だった。そして海を行く船の白い水しぶき。壮大な景観に添えられる、動的なアクセント。グリーンライン自体は、もっと北まで続くようだったが、目的地が鞆の浦だったので、途中で海岸沿いのほうへと降りた。旗振りおじさんがいなければ通らなかった道。思いがけず最高のパノラマに出会えて、大感動したMizumizuだった。ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道鞆の浦温泉 汀邸 遠音近音(みぎわてい をちこち)
2017.06.30
因島のあとは、本州に戻り、境ガ浜マリーナへ向かう。高級ホテル「ベラビスタ境ガ浜」付属のイタリアンレストランSOFUのランチを予約してある。SOFUはだいぶ前に予約したのだが、とても感じが良く、気が利いていた。12時に予約したのだが、「GWに因島から行くので、もしかしたら時間に遅れるかもしれない」と言うと、「30分ぐらいは余裕見ますので、12時から12時半ぐらいの間にお越しいただければ大丈夫ですよ」とのこと。さらに、この時期はもうテラス席が気持ちのいい季節だということで、マリーナ側のテラス席を用意してくれるとのお申し出。地方の有名レストランだと、やれ予約は1か月前にならないと取らないとか、ランチは予約取らないとか、この時間でないとダメだとか、遠くから行く観光客にとってはいろいろと面倒なことが多いのだが、SOFUは早めの予約で、時間がややアバウトもまったく問題なく、すべてがスムーズで助かった。このあたりのサービスの質は都会人も満足できる東京クオリティ。さすがに1泊7万とか10万とか取るホテルの付属レストランだけある。さて、GWの予約日、午前中だったせいか因島から福山あたりまでは、さほど渋滞しなかったのだが、「みろくの里」というテーマパークの周囲がとんでもない渋滞だった。ここを避けて海沿いの道で来れたはずなのだが、一度道を間違えて、みろくの里を通る山越えルートをなんとなく選ぶことになったのだ。みろくの里へ続く山道がGWに家族連れで大渋滞になるなんてことは、こちらは知らないから、逃げ場のない山道で渋滞の列に巻き込まれ、SOFUへ状況を説明する電話をかけるハメに。それでも、因島を早めに出発していたので、約束の時間帯に多少遅れるぐらいで到着。ここは本当に日本? と思うような高級感あふれるマリーナ。初夏の陽光を受けて海も、山も、ヨットも明るく輝いていた。まさしく『太陽がいっぱい』の世界。広島にこんな場所があるとは。隣りの山口県に高校時代まで住んでいたのに、まったく知らなかった。SOFUはテラスの窓際を用意してくれていた。気持ちの良い席で、気持ちの良いサービスとともに、凝ったパスタ料理に舌鼓。Mizumizuの注文したカルボナーラ。生ハムとアスパラもチーズに良くマッチしていた。こちらは、パスタを注文すると自動的に付いてくるサラダ。選んで良かったと思えるレストランだった。付属レストランがこのレベルなら、ベラビスタ境ガ浜ホテルも、値段に見合う上質なホテルなのだろう。いつか泊まりに来たい。
2017.06.28
今回因島に行った一番の目的は、「ナティーク城山で食事をする」ことだった。昔からここのシェフの評判の高さは聞いていて、一度行ってみたいと思っていたが、なかなか機会がなかった。村上水軍の出城だった長崎城の跡地というロケーション。さすがに眺めが良かった。室内からの眺めは、近隣の企業の建物にだいぶ遮られてしまってさほどでもないのだが、テラスやデッキからの眺望は素晴らしい。目と鼻の先にある生名島と行き来するフェリー乗り場が、ホテルのテラスのすぐ下に見えた。フェリーは頻繁に運航されていて、地元民と思しき車が乗りこんでいく。生活の足としてフェリーが活躍している光景は、東京から来た人間には、それだけで珍しい。お目当てのディナーは、瀬戸内海の海の幸を創作的にアレンジした料理。必ずしも魚が好きでないMizumizuだが、お任せのコースにすることで、普段ならあまり食べない素材の持つ美味しさを教えていただいた気分。オードブルは牡蠣と、体質的に牡蠣がダメなMizumizuのために代替の河豚が用意されていた。手をかけた料理だが、ふっくらとした河豚の身の美味しさがしっかり活きていたのが印象的。瀬戸内海の海の幸を散らしたサラダ。東京ではほとんど食べない魚介の種類が楽しい。瀬戸内に来たんだな~と思う。そして、普通は避けているシメサバも野菜と一緒にすんなりいただく。腕の良いシェフにかかえればグラタンも、唯一無二の料理になる。食べ飽きたはずのグラタンが、これまで食べたことのない一皿に変身。コースで食べるというのは、単に美味しいものを並べてたくさん食べることに意義があるのではない。こってりしたもののあとに、あっさりしたもの、そのあとに重いもの、と連続させることで、様々な味覚の喜びを刺激させるのだ。選択肢が溢れた現代の食生活では、返って人は自分の好きなものばかりを食べるようになる。嫌いなもの、興味のないものは食べる必要がないからだ。そうした時代だからこそ、たまにこうした、素晴らしい腕をもったシェフのいるレストランに来て、お任せのコース料理を食べると、普段の選択肢とは別の食材の持つ可能性に触れることができる。それが素晴らしい。たとえば、途中に供される冷製のガスパッチョには、思い切って青臭いトマトが使われていた。トマトはあまり好まないMizumizuだが、コース料理の1つとして、口直しの意義を感じつつ全部食べた。これを食べることで、前のこってりした料理の後味がなくなり、次の重めのメインの味が引き立つのだ。魚介も野菜も肉も、幅広い素材を巧みに調理しコースに仕立てる。シェフの技量の高さを堪能できるディナーだった。こういう本物のプロフェッショナルは、案外少ない。客のほうも好き嫌いが激しくなっているうえ、自分だけが肥えていると思っている舌と自分だけの狭い主観で料理を評価する「なんちゃってグルメ評論家」も増えているから、様々な素材を的確に扱える真の料理人にとっては、受難の時代かもしれない。瀬戸内海だからこそ味わえる、瀬戸内海でしか味わえない料理。ブラン・ド・ブランのシャンパーニュと一緒に、楽しく堪能させてもらった。朝は和食がおすすめだと誰かに聞いたので、日常生活では朝はパンが多いのだが、和食にしてみた。これまたいつもは食べないような魚料理を美味しく完食。朝はバイキング形式の宿が増えているが、腕の良いシェフが1つ1つ丁寧に味をつけた料理を食べる楽しみも、日本から消えてほしくない。こうして書いていてもジワジワと料理の魅力が蘇ってくる。インパクトがあり美味しいと思っても、案外「一度でいいや」と思うレストランも多いが、ナティーク城山には、またいつか行きたい。
2017.06.26
因島ナンバーワンのビュースポットという呼び声も高い白滝山。頂上近くまで車で行けるので、10分ほどのトレッキングで頂上まで行けるという。これなら、Mizumizu母でも歩けるだろうと、GWの旅行日程に組み入れた。因島フラワーセンターのすぐ奥にも駐車場があるのだが、そこからだとかなり徒歩で登ることになる。頂上の展望台に一番近い駐車場に行くには、ぐるっと遠回りして行くことになるので、そこは注意が必要だ。実際、頂上に一番近い駐車場に停めて歩きだしたら、下から登ってきた親子連れに、「ここに駐車場があったんですか!? だいぶ歩いて来たんだけど」と話しかけられた。やはり勘違いする人がいるようだ。さて、「徒歩10分」のはずの遊歩道だが、道はけっこう険しかった。しかし、眺望は抜群! 期待以上!!展望台へと続く道の途中で振り返れば、木々の向こうに無数の島が浮かぶ瀬戸内海が見える。時刻表で名高いトーマス・クックが、日本の瀬戸内海地方の景観美を絶賛した話は有名だ。「私はイングランド、スコットランド、アイルランド、スイス、イタリアの湖という湖のほとんどすべてを訪れているが、ここはそれらのどれよりも素晴らしく、それら全部の最も良いところだけとって集めて一つにしたほど美しい。」もうあの赤い表紙の分厚い時刻表を知らない人も増えているだろう。インターネットがこれほどまでに発達する前は、ヨーロッパ旅行でMizumizuはずいぶんとトーマス・クックの時刻表にはお世話になった。あの時代に個人でヨーロッパを鉄道で旅した人間にとっては、彼は特別な存在。Mizumizuもスイスやイタリアなら、ちょっと有名な湖ならほとんどすべて廻ったと言っていい。その眼から見ても、ランダムに小島の浮かぶ瀬戸内海の風景は、どこにも負けない感動を与えてくれる。船で行く瀬戸内海も、橋で渡る瀬戸内海も素晴らしいが、因島の白滝山のように高いところから見る瀬戸内海は、また格別だ。わずかな平野部には、きれいに手入れされた田畑。このキチンと感に、この土地に住む人たちの勤勉さが表れている。それが景観美となり、また感動を誘う。その向こうの水面に浮かぶ島々を見ていると、ここをヨーロッパの海と比べず、湖と比べたトーマス・クックの心情が分かる。この景色は確かに海のというより、湖のそれに見える。水上を行き来する船の多さに驚く。この人々の生活を感じさせる「動」のアクセントが、瀬戸内海の美しさをさらに特別なものにしている。五百羅漢越しに眺める因島大橋。しまなみ海道は橋梁という人工構造物の美しさにも感動できる道。島と島をつなぐ白い大橋は、下から見てもその堂々たる機能美に圧倒されるが、上から見ても実に凛として美しい。飛行機でしまなみ海道の上空を通ったときも、島と島とつなぐ橋の姿――それはとても小さく見えたが――に感動したことを覚えている。今回はそれより地上に近い山の上。あの橋を渡ってここに来た。穏やかな青い海と緑豊かな山々。緑の中をうねって敷かれた道路までもが芸術のように見えた。頂上の展望台からは、まさに360度ぐるりの眺望。天気に恵まれて良かった!日当たりの良い場所は農作物のための場所にして、人々の住まいは遠慮がちに隅のほうに固まっている。後継者不足の言われる地方の農家。人々の地道な勤勉さが作り上げたこの景色は、この先どうなっていくのだろう?遠くに見える尖った橋梁は、生口橋のよう。今回の旅は因島で終わりだが、あの橋を渡ってどんどん進めば、四国の今治まで行けるのだ。それも楽しそうだ。いつか行く機会があるだろうか?
2017.06.25
GWは瀬戸内海の因島、鞆の浦、尾道を回ってきた。天候に恵まれ、といって真夏のように暑くもなく快適な旅行になった。いや~、GWの瀬戸内海地方、最高じゃないですか。まずは早朝東京から新幹線で福山へ。10時過ぎぐらいに到着。福山というところはまったく知らなかったのだが、新幹線から降りてびっくり!駅のホームの窓越しに白いお城がすぐそばに見える。ちょうどホームの高さとお城の高さが合っていて、間に遮るものは何もない。堂々たる借景になっている。城を取り囲む、5月の若い緑の色も清々しい。素晴らしい景観じゃないですか、福山(の新幹線の駅のホーム)。好印象のままレンタカーを借りて、まずは因島へ出発。案の定、GWだけに福山から因島へ向かう道は混んで、かなり時間がかかった。計画を立てるときに、因島でのランチをどうしようかといろいろ調べたのだが、ネットで評判を取るような店は休みの時期は非常に混むようだ。島だからそもそも選択肢が少ないし、因島の宿は料理で名高いナティーク城山。ディナーはそこのコースだから、昼はあまり重いものにしたくない。因島の観光は、本州から入ってすぐのフラワーセンターと、因島の代表的なビュースポットだという白滝山、それに村上水軍城に絞っている。お昼近くにどこまで行けるのか、事前に読めず、「これはお弁当持参のほうがいいかも」と考えた。多くの人にとって、おそらく母親の作るお弁当というのは特別なものだと思うが、MizumizuにとってもMizumizu母のお弁当が世界一。小学校低学年のころ、遠足で食べた母の鮭おにぎりの美味しさには子供心に感動したのを、今でもはっきり覚えている。あまりにMizumizu母のおにぎり弁当が美味しいから、いまだに市販のお弁当類にはまったく興味が持てない。名高い駅弁というのも食べてみたことがあるが、一度として感動的に美味しいと思ったことがない。しかし、Mizumizu母も高齢。今回の旅行は一家で計5人。5人分のお弁当を早朝に作るのは大変かなあと思いつつ、メールで頼んでみたら、「大丈夫、張り切って作るね」とヤル気満々の返事が。ヤッター!実際にGW渋滞を抜けて向島から因島に入り、フラワーパークに着いたところで、もうランチにしてもいい時間になってしまった。ちょうどフラワーセンターにはピクニック族のためのテーブルとイスが庭にいくつかしつらえてある。眺めの良い場所は先客がいたが、ちょうど空いてるテーブルもあったので、さっそくお弁当タイムに突入。くれぐれも作りすぎないように念を押したので、量も5人でほどよい。おにぎりとか唐揚げとか、定番モノを皆で頬張り、「美味しい~」と盛り上がった。因島フラワーセンターに来た目的は、この時期に咲く除虫菊を見るためだったのだが…正直、フォトジェニックではなかった。温室もあったが、中はとても貧相。せっかく良いハードを作ったのだから、維持管理をどこかノウハウをもっている業者に委託するとか、もっとうまく活用すればお金の取れる施設になると思うのだが。建物のほうに歩いて行ったら、「ぜひ聞いていってくださ~い」と、おじいさんが誘導している。「何だろう? まあちょっとなら聞いていくかな」ぐらいの軽い気持ちで中に入ったら、キンチョーのプレゼンテーションで、キンチョー(大日本除虫菊株式会社)の初代社長の艱難辛苦を乗り越えた立身出世の話を聞かされてしまった。30分ぐらいで終わってくれれば別に文句もないのだが、この話がやたら長くて… 蚊取り線香のキンチョーの正式な社名が大日本除虫菊株式会社というのはトリビアだったが、知ったからといって、別に得した気にはならない。旅行始まったとたんに長い休憩を取ってしまった感じ。このプレゼン、因島の地元民のためのものだったようなのだが、こんなに長々と話をするなら、安易に外部の旅行者を誘導するのはやめてほしい。明らかに人数増やしのために誘導しただけ。参加人数が少ないから、途中で席を立つもの失礼な雰囲気だし、途中でプレゼン用のプロジェクターが調子が悪くなったりして、さらに時間がかかり、1時間以上座ってるハメになった。急ぐ旅ではないが、キンチョーの初代社長の宣伝に1時間以上取られるのは、何の縁もゆかりもない人間には時間の無駄。旅行者まで誘導するならもっと話を短くするように打ち合わせておきべきだろう。除虫菊の導入から渦巻き状の蚊取り線香の誕生までのエピソードは、面白いと言えば面白かった。渦巻き状の蚊取り線香は今では当たり前だが、この形に行きつくまでには紆余曲折があったということだ。なんでも出来てしまえば当たり前に見えるが、それを考え出すのは大変なことだ。…という内容は良かったのだが、正直同じ話の繰り返しも多かった。GWに旅行者まで巻き込んでやるなら、端的にまとめて、時間はもっと短く。
2017.06.23
世界遺産にも登録され、いまや外国人観光客も押し寄せる宮島。その宮島にわたる船の発着場である宮島口に、行列のできる店がある。あなごめし うえの。さすがにここには、欧米人観光客の姿はない。ある休日の朝、クルマで宮島口をうろうろしていたMizumizu+Mizumiu連れ合い。午前の早い時間だったが、駐車場はどこもいっぱいで、さてどうしたものかと信号待ちをしつつ、ちょっと途方にくれていると、「駐車場あります」と書いた板をもったおじさんが窓越しに、「こっちにあるよ」と営業をかけてきた。大丈夫か? と思いつつも、自転車にまたがって手招きする、どこからどうみても善良なる一市民のおじさんのあとをついていくと、月極とおぼしき一般の駐車場に案内された。どうやら、自分で借りているものを、こういう休日だけ観光客に貸すらしい(注:あくまで推測です)。値段も周囲の駐車場と変わらない値段を伝えられ、特に時間制限もなく、クルマを置かせてもらうことに。駐車場に向かいつつクルマで通りかかったときは、それほどではなかった「あなごめし うえの」の行列は、徒歩で戻ってみると長くのびていた。隣接するイベントスペースでたまたまやっていたパッチワーク展など見ながら、ときおり座って待つことができた。だいたい50分ぐらい。満席の店内で食べた「あなごめし」、つまりは穴子丼は、東京では味わえない逸品。ふわっとしながら、密度のある身の具合といい、上品な味付けのタレといい、東京でなんとなく心にあった「うなぎ>穴子」というランク付けがくつがえる感があった。場所が場所だけに一見さんも多い、混んでいるので落ち着いてゆっくりというわけにもいかない。それでも宮島に行ったら、また食べてみたい名物だ。
2012.12.05
ダイナースカードの会員誌『シグネチャー』の最新号で山口がフィーチャーされた。タイトルは、な、なんと「美食王国、山口」。そうだったのか!? 『シグネチャー』によれば、瀬戸内海と日本海に面している山口は、食のゲートウェイなのだとか。フムフム、言われてみれば、たしかに。下関のふぐは言うまでもないが、萩ののどぐろ、仙崎のいか、秋穂の車えび、周防大島の穴子・・・挙げてみればいろいろあるではないか。個人的には、好きなものも、さほどとも思えないものもある。値段が高いものも、手ごろなものもある。美食の王国は、ちょっとばかり(いや、かなり?)言いすぎだとしても、こうした地方の特産物を食す楽しみは、ミシュランよろしくクルマを飛ばして、その土地の風土もろとも味わうことだろう。Mizumizuが穴場的に気に入っているのは、周防大島。ここは、山口の中でも温暖な気候で知られ、みかんの名産地でもある。ひねもすのたりの、穏やかな瀬戸内海と、そこに浮かぶぼこぼことした緑濃い小島を眺めながら大島へ向かう橋をわたると、心まで温かくなるようだ。穴子というと、世界的観光地の宮島のほうが全国的には有名だが、大島は「知る人ぞ、知る」ところ。Mizumizuが好むのは、「あなごのさかえ」という小さな店の「あなご押し寿司」。注文を受けてから穴子を焼く。焼きあがった穴子をカウンター奥で押し寿司に仕上げる。東京で食べる穴子は身がふにゃふにゃと変にやわらかく、濃いめのタレでごまかしているふうだが、ここの穴子は、ふわっとやわらかながら身がよくしまり、みじんの生臭さもない。「あなごのさかえ」の押し寿司は、間に大葉がはさまっていて、さわやかなアクセントになっている。それも気に入っている。タレも上品で甘やかに軽い。それがきゅっと凝縮した寿司飯の酸味とあわさる。素敵なコンビネーションだ。ああ、日本人でよかった(笑)。ここは穴子のてんぷらも美味らしいが、行くとついつい押し寿司のほうを頼んでしまう。もっと近所に住んでいれば、ほかのメニューを試すくらい頻繁に通えるのだが。「あなごのさかえ」は、実はそれなりに有名な店らしく、中に入ると著名人の色紙が飾ってある。場所はわかりにくい。大島へ入り、国道437号線を走って、久賀港にある土産物店前の信号を右折。「山口銀行」の看板が見える路地なら、正解。だいたい国道から200メートル弱ぐらい。駐車場ももちろんある。この写真は路地の奥から撮ったもの。国道からは「あなごのさかえ」の看板は見えないので、クルマで来るときは、「山口銀行」をとりあえず目印にするといい。しかし、真昼間だというのに、人通りがないなあ・・・ いつ行ってもこんな感じで、閑散としているのだ。地方の過疎化の現実を、こんなところで思い知る。押し寿司を食べたあとは、セピア色の温泉に体を浸すのもいい。のびやかな瀬戸内海の島の風土と、めずらしい穴子の押し寿司と温泉。広く知られた観光地ではないが、小粒できらりと光るような行楽が楽しめる。それが周防大島だ。
2012.12.03
山口でりんごといえば、徳佐。徳佐といえばりんご。 山口市内の町中からくねくねとした山道をドライブし、トンネルをいくつか抜けると、田園風景のひろがる高原に出る。そこが徳佐だ。澄んだ空気の中、涼やかな風にのって、まっすぐになった道を走ると、やがて道路沿いにりんご園が見え始める。昔から知っているりんごの村だが、特においしいりんごの産地というイメージはなかった。小さなりんご農家が並んでいる、田舎の中の田舎。ところが、今年は「異変」が起きた。テレビで徳佐りんごが好意的に紹介されたのをきっかけに、小規模農家に注文が殺到。徳佐りんごの創始者家族の経営する友清りんご園には、関東地方からも注文がひきもきらず、はやばやと贈答用りんごが予約も含めて完売するという「騒ぎ」になった。このにわかな人気に、一番驚いたのは現地の農家のよう。毎年の固定客をもっている、小規模経営の園には、「ありがた迷惑なこと」だったらしい。徳佐のりんごが特においしいというイメージをもっていなかったMizumizuも、叔母がテレビを見て、徳佐のりんごが食べたいと言っているとMizumizu母から聞いて、「は?」となってしまった。もともと関東出身のMizumizuにとっては、りんごといえば、長野や青森。わざわざ山口のりんごを重宝する理由も見当たらず、山口に住んでいたころも、むしろ徳佐のりんごより長野・青森のりんごを買っていた。子供のころ、りんご狩に行った記憶もあるが、すっぱくて硬いイメージしかなかった。 「またまたテレビの過剰演出じゃないの?」と思ったりもしたのだが、よく考えれば、贈答用の徳佐りんごは、ほとんど食べたことがない。そこで11月の頭に、徳佐までクルマを走らせてりんごを農家から直接買いに行った。友清りんご園に行ってみたが、贈答用はすでに予約にすべりこむことすらできず、りんご園直営の店で、名月とふじを試食した。寒冷な空気の中で食す、徳佐のりんごは・・・おや、しゃりっと噛むと、さわやかな歯ごたえといい、野性的な酸味の中の、ほのかながらぎゅっとしまった甘みといい、口の中に幸福感がひろがるではないか。え? 徳佐のりんごって本当はおいしかったのか? 贈答用は売り切れでも、家庭用に小分けしたりんごなら入手できた。古いイメージで、過小評価していたが、これは見直さなくては。徳佐のりんごは野性的で、どこかに寂しげなイメージがある。それがどこから来るのかよくわからない。あまり揃っていない外見のせいかもしれない。 硬めの果肉に閉じ込められた、密度の高い酸味の甘みの混在のせいかもしれない。みずみずしい・・・というのとは、少し違う。だが、しゃりしゃりと噛むと、じんわり広がる味わいは、深みがあり、洗練とはまた違った野の個性がある。友清りんご園のような有名な農家の予約はすでに終了したが、徳佐のりんごそのものは、まだこちらで、入手可能のよう。地名こそ違うが、こちらも徳佐と地理的にほとんど変わらない。 送料を考えると、あまり遠くの方に強くお奨めはできないが(失礼!)、ほとんど地元で消費され、あまり広く流通することのない徳佐のりんごを、一度お試しになってはいかがだろうか。
2012.11.30
津和野に近い山口県の山奥に、泉質バツグンと言われる炭酸泉がある。柚木滋生温泉、正真正銘のかけ流し。炭酸含有2107mgの文字が誇らしげに掲げられている。施設はといえば、とっても質素。プレハブ?湯治場とは思えないのですが・・・(苦笑)。浴槽は1つしかないし、露天もなく、洗い場は狭く、シャワーも1つしかない。それでも脱衣所には無料で使える鍵つきのロッカーもあり、風呂場には一応固形石鹸も置いてある。ドライヤーは常備はしていないが、受付に言えば無料で貸してもらえる。黄褐色に濁ったお湯につかってしばらくすると、体に炭酸の泡がたくさんついてくる。炭酸泉の泡は加温すると消えてしまうとかで、ぬるめの温泉が多いのだが、ここも例外ではない。炭酸泉は血行をよくするとか。確かに浸かっているうちに、じわじわと体が温まってくる。このお湯につかった日は、寝つきも寝覚めもよくなる(ような気がする)。皮膚の状態もよくなるし、腰や肩などの痛みも軽減する(ような気がする)。お湯からあがったあとは、サビ臭い炭酸水のような温泉水をいただいて飲む。いかんせん、浴槽が小さく、高い効能に惹かれて集う地元のお年寄りも多いので、とても「混んでいる」ことが多い。宿泊もできるのだが、四畳半の部屋に3食つきで2晩からと、どこまでいっても「湯治」であって、温泉宿でくつろぐという雰囲気ではない。最近は人工炭酸泉が温泉施設に多く導入されているようだが、天然の炭酸泉は少ない。希少かつ効能をすぐに実感できる温泉を所望される方は、ぜひ一度お試しあれ。
2012.06.14
泉質自慢の温泉は、設備がもうひとつ清潔でなかったり、狭かったりする場合も多い。そうした温泉よりも、ゆったりした優雅な雰囲気の中で湯浴みを楽しみたい観光客にお奨めなのが、萩の萩本陣。中庭をぐるりと取り囲む回遊式になっており、天井の高い大浴場、立ったまま入浴できる屋根つきの立湯、ジェットバス、露天風呂・・・・と、次々に楽しむことができる(詳細はこちらを参照)。かけながしは低温の「壺湯」だけで、循環式の湯は、若干塩素くさいかな? と思わないでもないのだが、気になるというほどでもない。塩化物温泉ということで、効能もそれなりにうたわれているが、基本は無色透明の、温泉としては個性のないお湯。だが、泉質にこだわらないのであれば、この設備のよさは推奨に値する。日帰り入浴も可なので、萩を訪れた際には立ち寄ってみるといいかもしれない。そして、ここのもうひとつの名物が、モノレール(7月からはSL型車両)で行く展望台。中州に広がる萩の町並み・・・指月山・・・そして、小島の浮かぶ日本海を一望のもとに見下ろすことができる。この得がたいロケーションも1度は行ってみる価値大。14種類の湯めぐりの宿 萩本陣
2012.05.10
長門湯本からクルマで20分ほど山道をのぼると、古来から湯治場として名高い俵山温泉に着く。かなり山深い。まさに「分け入っても分け入っても青い山」といったふうだ。緑したたる山に抱かれた清涼な空気が湯治客を迎えてくれる。ここは3~40軒の旅館が軒をつらねているこじんまりとした温泉街だが、ほとんどの旅館は内湯をもっていない。外湯は3つ。すべて源泉100%加水なし掛け流しの正真正銘の温泉だ。しかもpH値9.8と、長門湯本を上回る強アルカリ性温泉。この値は全国でも有数だとか。細い路地まで古びた旅館でびっしり。湯治客の多さを物語る。旅館同士が温泉設備は競いあうのではなく、限られた湯量の温泉をともに守り、共存している・・・そんな場所だ。時代を巻き戻したような古い旅館の佇まい。こうした日本家屋の旅館は、都会から来た者にとっては、それだけで珍しい。Mizumizuが入ったのは、もっとも設備の新しい「白猿の湯」。長門湯本の恩湯と違って、シャンプーやボディソープも備えつけられており、洗い場もそこそこの広さがある。また露天もあるのが嬉しい。湯治場というと、「お湯の質はいいが、設備が古く汚い」が相場だが、白猿の湯はその常識(?)をくつがえす、新しくて清潔な公衆浴場だ。入浴料は700円だが、同じ施設内のレストラン涼風亭を利用すると200円引きになった。食事もしようと思う人は、先に食べて温泉の割引券をもらおう。こちらが「白猿の湯」と同じ建物内にある和仏料理のレストラン、涼風亭。若者向けのメニューが豊富だった。Mizumizuが食べたのはグラタン。普通に美味しい味で、こういう湯治場で食べる洋食としてはかなり満足できるレベルだった。Mizumizu連れ合いは海老フライに舌鼓をうっていた。白猿の湯は、さすがに西日本一のアルカリ度を誇るだけあって、ヌルヌルといっていい肌触り。泉質のよさと設備の清潔さを両立しているところが、「なんちゃって湯治客」にとってはありがたかった。内湯をもたない旅館はどこも、休憩もできるようになっている。料金も安い。桜並木が見下ろす川のせせらぎを聞きながら、人里離れた山奥の湯治場でゆるりとするのも、また一興かもしれない。
2011.09.16
山口県では湯田温泉と並んで名高い長門湯本温泉。設備の整った大きめのホテルがあり、それぞれに内湯があるのだが、実は泉質は同じではない。循環式がほとんどになってしまったホテルの内湯に飽き足らない温泉マニアには、長門湯本では公衆浴場の恩湯をお奨めしたい。循環なし、加水なし、加温なし(ただし、女性用浴槽の1つは加温しているという話も聞いた)の正真正銘の掛け流し。しかも、PH9.6という強アルカリ性の抜群の泉質を誇る。強酸性の硫黄泉が温泉の王者なら、無色透明ながら、湯船に身を沈めると、しっとりと、いやほとんどぬるつくように体にまとわりつく強アルカリ性のお湯は、温泉の女王というべきか。ちょうど温泉街の真ん中の川のほとりにあり、ご覧のような目立つレトロな外観で、すぐ横は駐車場になっているので、一見の観光客にも見つけやすく、行きやすい。入浴料は200円と破格の安さ。ただし、中にはお金の戻らないコインロッカーしかないので、クルマで来た観光客は必ず小銭の用意を。値段からも明らかだが、まごうことなき公衆浴場なので、タオルや石鹸・シャンプーは持参のこと。ただ、タオルや石鹸などは、川向こうの店でも買えるし、恩湯にも売られている。恩湯から少し上がった場所に同じ公衆浴場の礼湯もあるが、こちらは加温している。やはり、恩湯のほうに入るべきだろう。設備はきれいではないが、どうにも古すぎて清潔さに欠けるというほどでもない。泉質のよさと値段を考えれば、良心的なほうだろう。露天はないが、温度が低めなので、夏でも息苦しさを感じずに入浴できる。長門湯本のホテルの内湯の中には、塩素臭いような温泉もあるので注意。同じ温泉街でも泉質は均一ではないのだ。もし、宿泊するのなら、設備のよさと(恩湯ほどではないが)泉質のよさ、それに値段のバランスで、個人的には玉仙閣を奨める。玉仙閣には露天もあり、歩いて入れる深めの湯船もある。ただし、混んでいる日は日帰り入浴は断られることもある。断られても気落ちすることはない。恩湯に行けばいいのだから。駐車場でみかけたタイル画。ここまで金子みすずのふるさとにされている。仙崎からそれなりに内陸に入った場所なのだが・・・
2011.09.15
仙崎から車で小一時間ほど西へ走ると、日本離れした景観を誇る角島大橋に出会える。このあたりの砂浜は白く、海はご覧のような透明感あふれる水色。正面に見えるのが角島。生活道路として建設された角島大橋だが、夏の晴れた日に特に際だつこの景観美は、すでに自動車のCMに多く使われている。そもそも山口県は道路もよく、渋滞もなく、山道あり海沿いの道ありで、ドライブが楽しい県だが、角島大橋はその白眉ともいえる。写真を撮る人も多いが、なんといってもハーレーの多さに驚いた。高速道路ではよくBMWのバイクを見るが、こういうなだらかで走りやすい道はハーレー乗りを惹きつけるのかもしれない。白バイそっくりのマニアも走っていた(笑)。残念ながら、というべきなのか、当然ながらというべきなのか、角島自体には観光名所らしいところは皆無。灯台があるとはいっても、わざわざ行くほどのものでもない。角島自体、ドライブしてもさほど楽しいところではないので、この橋を目当てに来たドライバーは、角島に入って少し先にある道の駅あたりで引き返すほうが無難。大橋の横には小高い展望台も作られ、水色の海流と橋のパノラマを楽しむこともできる。橋と海を一望できる西長門リゾートホテルでお茶をするのもいい。ただし、味は・・・「いけません」。
2011.09.13
小学校のころ、何年生のときだったかは忘れたが、夏に青海島(北長門海岸国定公園)を回る船に乗った。青緑色の不思議な海の色とあちこちにある洞窟の不思議な景観、それに大きな岩のアーチを真上に眺めながらくぐったことなど、感動的な思い出として胸に残っている。それからは機会はなかっのたが(まあ、ああいうものはだいたい一度で十分ということになるものだ)、この夏、本当に久しぶりに乗ってみた。小学生のころは、デッキから海や洞門や洞窟を眺めていた記憶があるのだが、今はデッキに出ることのできない、小型の水中翼船のような天井のある船に変わっていた。夏は冷房がきいているが、横の窓は全開にできる。最初の名所、花津浦。海は深い藍色。コウモリ洞と名付けられた、洞窟が並んだ岸壁。子どものころは、こうした穴が非常に神秘的に見えたものだ。世界的景勝地でもあるイタリアの「青の洞窟」も見てしまった今となっては、こうした洞窟や洞門に感激することはないが、それでも、形だけではなく、灰色がかったり茶色がかったりと、色も変化に富んだ岸壁は、見ていて面白い。突き出た岩にはやたらと「仏」とか「ナントカ観音」という名前がついている。危険ととなりあわせの漁を生業としていた人々が、岩の形に宗教的な意味を与えて無事を祈った時代が確かにあったのだと実感した。沖(島の北側)に出ると、緑がかった青に、海の色が変わってくる。金子みすゞが自選詩集を「琅?集」と名付けているが、もともと青々とした美しい竹を意味し、最高級の翡翠の呼び名である琅?は、この海の神秘的な色から思いついたのではないかと、ふとそんなことを思った。子どものころ見た青海島の海はもっと澄んでいたようにも思ったが、今でもやはりその色の変化は美しい。大門と呼ばれる岩の大アーチをくぐる・・・と思ったら、半分ほど入ったところで船はバックしてしまった。遠ざかる大門。昔は、船のデッキから直接アーチが頭上を通り過ぎていくのを見た記憶があるのだが・・・ あの迫力はもうなかった。青海島の南側に戻ってくると、海の色は再び藍色に沈む。小山を海上にランダムに置いたような眺めは、なるほど「海上アルプス」と言われれば、そういうイメージなのかもしれない。1時間半と少し長い青海島一周船の旅だが、夏の天気のよい日に仙崎港に来たら、一度経験してみる価値はある。
2011.09.09
3.11の大震災のあと、テレビでさかんに流れた金子みすゞの「こだまでしょうか」。やはり、テレビの効果はすごいというべきか、仙崎(山口県長門市)の「金子みすゞ記念館」には、多くの老若男女が訪れており、驚くような賑わいを見せていた。みすゞが働いていた本屋を再現した記念館入り口。大正時代にタイムスリップしたような佇まいは、雰囲気がある。中は、最初にみすゞの書斎を再現した部屋などのある古い日本家屋を見たあと、ミュージアム形式の記念館に進むことになる。入館料350円という安さのわりには、見ごたえのある記念館だった。仙崎の観光施設や店先に置いてある「下関・長門・美祢 山口県西部 ドライブマップ」という青い二つ折りのマップを入手すれば、入館料が50円引きになる。行きたい人はぜひこれを持って行こう。小学校3年生から高校卒業までを山口で過ごしたMizumizuは、当然詩人・金子みすゞについては知っている。だが、ファンタジックな詩とは裏腹に、金子みすゞの人生については、夫から性病を移され、離縁し、幼い娘を遺して26歳という若さ自殺した・・・と暗いイメージで語られることが多かったように思う。詩人=苦悩がステータスだった時代というのが確かにあり、その時流にのって、人生の陰の部分だけが取り上げられる傾向にあったのかもしれない。そのイメージで記念館を訪ねたMizumizuは、やたらと金子みすゞを、その純粋な人となりから持ち上げている「マンセー」ぶりにやや違和感をもった。才能あふれる若き女性詩人、彼女を虐げる傲慢で無理解な夫・・・というような、あまりにわかりやすすぎ、単純すぎる人間関係の図式にのっとって、金子みすゞの不遇が語られすぎている。西條八十に高く評価されたことは、これでもかと強調されているが、八十の後任には好まれなかった話はできるかぎり矮小化されている。自殺という最期についてはできるだけぼやかし、なにが原因なのか、記念館の記述をつぶさに読んでもまったくわからない。小さな子どもも見に来るから・・・というような「配慮」からかもしれないが、そうした気遣いをすることが、果たして正しいのだろうか?もとより山口というのは田舎で、非常に保守的な土地柄だ。そこで詩ばかり書いている空想力豊かな少女が、それほど周囲に受け入れられたのだろうか? 経済的に成功していればともかく、カネにもならない文芸活動をしている女流詩人など、「変わり者」だと白い目で見ていたのではないだろうか?金子みすゞの詩にはそもそも、周囲の「普通の」人間には見えないものが見え、感じないものを感じてしまう鋭敏な神経な詩人の孤独感・浮遊感が漂っているように思うのだ。Mizumizuがフランスに行ったときも、世界的人気を誇る詩人・ジャン・コクトーをあちこちで「町興し」に使っている例をいやというほど見て、薄ら寒い思いをした。コクトーはフランス人の詩人に対する冷淡さを何度も著作で嘆いていたというのに。同じような「ちゃっかり」ぶりを、金子みすゞを観光資源として使っている仙崎にも感じた。どこもかしこも、「しょーばいしょーばい」と言わんばかりだ。みすゞは才能にあふれ、賢く、やさしい女性で・・・と言った周囲のマンセー証言だけを並べ立てれば並べ立てるほど、奇妙に嘘臭く、人間・金子みすゞの姿がぼやけてくる。金子みすゞに興味をもつきっかけとしては、意義のあるものかもしれない。だが、こうしたしょーばい優先の綺麗事記念館が、あちこちにできて町興しに使われているのかと思うと、Mizumizuの中の違和感は高まる。みな、人の真実には興味がないのだろうか? 人生には光と陰がある。光の部分だけをことさら強調し、陰の部分はなるたけ後ろに隠し、死後何年もたってから広く認められるようになった才能をもてはやして商売につなげるのが、果たして詩人と詩を愛する人々のためになるのだろうか。だが、記念館の方針がどうあれ、金子みすゞの「大漁」は傑作だ。この詩は、前半には、大漁に賑わう港の騒ぎを目の前で見ているような臨場感があり、読んでいるだけで魚の匂いを嗅ぐようだ。そして、最後に読者の思索は詩人とともに海へ沈み、人の営みの罪深さと業、物事の裏表に想いを馳せることになる。大漁朝焼 小焼だ大漁だ。大羽鰯(おおばいわし)の大漁だ。濱は祭りのやうだけど海のなかでは何萬の鰯のとむらひするだらう。
2011.09.07
日本海に面した城下町・萩は、夏蜜柑の町でもある。光圀の夏蜜柑丸漬は、そんな萩を代表する銘菓。光圀は、光圀本店と分家の長州屋光圀に分かれているのだが、Mizumizuが萩で寄ったのは、萩グランドホテルの目の間にある長州屋光圀。店の中は暗く、やや雑然としていて、「大丈夫か? この店」と突っ込みを入れたくなるような雰囲気だった。光圀本店のほうは違うのかもしれない。こちらが夏蜜柑丸漬。皮を砂糖漬けにし、中身をくりぬいて羊羹をつめた伝統の味。なめらかな羊羹と噛みごたえのある皮の食感の違いが楽しい。一度は試してみる価値あり。皮は、苦みをまったく感じさせないぐらい甘く甘く漬けてあるので、それが逆に、皮の苦味が好きなMizumizuには猫に小判になってしまっている。羊羹も甘いので、とにかく、「甘みが珍重されていたころのお菓子」という印象。東京の老舗の和菓子屋もこういう味のところが多い。こちらは「夏蜜柑平漬」(左)とまだ青い夏蜜柑の皮を薄切りにして糖蜜煮した「萩乃薫」(右)。平漬は、簡単に言えば、丸漬の中身がないもの。皮だけを漬けてペタンとつぶしたお菓子。これもとにかく甘い。萩乃薫は甘いなかにやや若い苦味があり、こちらのほうが好みだった。萩らしい、老舗らしい味。この城下町を訪ねたら、持って帰りたいお土産だ。
2011.08.25
「き楽」は午後かなり長い間昼休みを取るので、観光客の時間と合わないこともあるかもしれない。そんなときは迷わず、近くの「千石寿司」へ行こう。くじらのモニュメントが目立つ仙崎港前にあり。目の前が駐車場だから、クルマで来た人には「き楽」より行きやすい。 活イカづくしはないが、メニューは豊富。生うに丼や三味ちらしが目玉のようだが、Mizumizuがここで食べるのは、もっぱら「いかそうめん丼」。要はすし飯にいかそうめんをのせたもの(笑)。イカは透き通ってはいないが、新鮮。めちゃくちゃ美味しいとか絶品とか、言うつもりはないのだが、普通に美味しくいただける。これが案外大事だ。うには正直言って、北海道のものを食べてしまうと山口で食べる気になれない。もっともイカも北海道のほうが美味しいと思う。なんてことを言っては身も蓋もない。ここは西日本。北海道の海鮮と比べては気の毒というものだ。窓の外に、波に揺れる船が見える。四角いテーブル、四角い模様の入った四角い座布団、四角い窓、四角い障子・・・この統一感と窓の向こうの、潮の香り漂う港の風情が好き。
2011.08.24
山口で仙崎といえばイカ。イカといえば仙崎。日本海に面したこの漁港に来たら、「き楽」(営業時間/午前11時~午後2時、午後5時より午後10時)へ寄ろう。ここはイケスでたった今まで泳いでいた活イカを刺身で食べさせてくれる店。いかにも漁師町にふさわしい料理の数々。すべて新鮮な海の幸が使われており、素朴な味わいに満ちている。この透き通った新鮮なイカを目当てに、客がひきもきらない。ゲソは身を食べ終わってから唐揚げや天ぷらなどに、調理してくれる。いったん引き取って調理されて出てきた熱々のゲソ。美味しいのは言うまでもない。こちらは一緒に行ったMizumizu連れ合いの頼んだふぐ膳。こちらもMizumizu連れ合いの評判は上々だった。
2011.08.23
弁天池からさほど遠くないところに、秋芳白糸の滝という、ちょっとしたハイキングコースがある。木製のりっぱな橋をわたって山道へ入る。橋の向こうの山肌には、黄色い山吹の花が咲いていた。やまぶきの 立ちよそひたる山清水 汲みにいかめど 道のしらなく(山吹の花が咲いている山の清水を汲みに行こうと思っても、道を知らないのです)これは十市皇女(とおちのひめみこ)が急逝したときに、異母弟の高市皇子(たけちのみこ)が歌った歌。山吹の「黄」と清水、すなわち水の湧く「泉」のイメージを重ね、黄泉(よみ)の国へ追いかけて行きたいのに道がわからないという、のこされた者の絶望感を表している。清らかな水が山肌から流れてくる秋芳白糸の滝への道は、まるでこの歌で高市皇子が探していた道のようだった。いかにも湧き水の出そうな山肌に咲く一重山吹、そしてその奥に隠れた清らかな滝。とすれば、ここは黄泉の国だろうか。今は整備されたハイキングコースだが、確かに橋をわたって山吹の花に出迎えられ、カルスト台地の石灰分を含んだ、神秘的な緑色の水をたたえた池を見て、滝へと向かう人里離れた道筋は、晴れていても濡れたような空気が静謐で、昔の人なら黄泉の国へ通じる空間だと畏怖の念をもったかもしれない。やまぶきの 立ちよそひたる山清水 汲みにいかめど 道のしらなく悠久のときを超えて、先だった十市(おそらく彼女は自ら命を絶ったのだ)が高市に向かって、「私はここよ、ここにいる。私に逢いたいのなら、貴男がここに来て」と言っている。そんな幻想をふと抱いた。ありふれた田舎のようでいて、カルスト台地という特異な地質がもたらす非日常的な恵みを隣り合わせにもち、想像力を刺激するちょっとした不思議が散らばっている。このあたりはそんな場所だ。ここからさほど遠くない町に生まれ育った画家香月泰男は、鮮やかな山吹の黄色も、弁天池を思わせる青緑色の神秘的な色彩も、どちらも印象的にキャンバスに再現している。この画家は黒を基調としたシベリア(抑留)シリーズが有名で、中学時代に反戦思想とからめた教育の一環として、戦争の悲惨さを強調するカタチで香月泰男の同シリーズだけを(ほとんど無理やり)鑑賞させられた。子どもだったから、その陰惨さにショックを受け、香月泰男が苦手になってしまったのだが、あらためて香月泰男美術館へ足を運んだところ、絶望的な抑留生活だけではない、田舎の木訥とした生活人である画家のさまざまな側面が見えた。油彩だが、やや日本画的な空間処理やデザイン的な構図は、なかなかに見応えがあった。陰鬱な黒や血のような赤を使った絵ばかりが紹介されるのだが、むしろ温かみのある黄色を使った静物画、それに日常生活のひとこまを神秘的な青緑色を使って不思議感たっぷりに描き出した作品が印象に残った。ある画家のあるイメージを押しつけるような教育や宣伝は、いかがなものかと思う。芸術鑑賞まで1つのイメージに「抑留」されてはたまらない。長い抑留を経験しても、画家が心のおもむくまま身近な景色を、あるいは記憶の中の遠い景色を描いたように、見る側も画家のメッセージを「自由」に受け取りたい。
2011.08.18
Mizumizu+Mizumizu連れ合いが山口県をドライブしていて、思わず同じ感想を言ったことがある。「山口って、バリ島に似てない?」植物体系こそ熱帯と温帯で違うものの、低めの山が連なった田舎道の緑の豊かさ、霧が出たときの暖かな湿気など、どことなく似ている・・・気がする。極めつけは、この場所、別府弁天池。こんもりと緑に囲まれた神秘的な風景。ここに足を踏み入れたとき、バリ島の湧き水のある寺「ティルタ・エンプル」に戻ってきたような感覚にとらわれた。エメラルドグリーンの神秘的な水をたたえた弁天池。日本名水100選にも選ばれた湧き水の出る場所で、池から少し離れた駐車場のそばに水道の蛇口を取り付けた取水場がある。だが、個人的にはこの神社の境内の中にある取水場から出る水のほうが美味しいように思う。駐車場まで水道管でひっぱった水は、量が多いし汲みやすいのだが、味が落ちるのではないだろうか?のぞき込むだけで不思議な気持ちにさせられる水の色。晴れた日の北海道のオンネトーほどではないが、それに近い神秘性がある。ここでケチャックダンスのような宗教的な踊りがあれば、ますますバリ島だな・・・と思ったら、なんとなんとちゃんとあった。「念仏踊り」。つまるところ、これらはいわゆる聖水信仰で、自然の中に八百万の神が宿ると信じていた日本とバリ島の宗教観には共通性があるということだろう。ヨーロッパの先住民族ケルト人にもこうした自然信仰があり、アニミズムを野蛮なものとして嫌った制服民族であるキリスト教徒は、彼らの聖地に大聖堂を建てた。シャルトルの大聖堂もケルト人の聖水信仰の地に建てられており、行ってるみると、なるほど川に囲まれた水の豊かな場所だった。ヨーロッパでは消された自然信仰が、こういうかたちで残っている・・・・・・日本の古い田舎とバリ島がどことなく似ているのは、やはりこうした根が同じだからかもしれない。Mizumizuが怪我をしたときにバリ島の人々が見せた控えめで、さりげない思いやりも、日本人のもつ主張しない優しさにとても似ていた。
2011.08.15
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