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こういうもんだそうだhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%82%AA%E3%83%95%E3%82%A7発酵食品というのはとんでもないものがあるもので、私もこれは見たことがないが、くさやの数倍臭いといえよう。くさやは魚を漬け込んで乾燥するが、硬骨魚だからもともと体液の中にはアンモニアは少ない。ところがエイは軟骨魚で、まあ原始的といえる。代謝で出来たアンモニアを体液に溶かして浸透圧を調整し、海中で生きているのだ。だから、これを発酵させたら蛋白の分解によるアンモニア、或いはアミンと の相乗効果でとんでもなくアンモニア臭いものになるだろう、と想像する。くさやだって肥だめの匂いといい勝負だと思うが、とにかく発酵食品というのはとんでもないものがある。悪臭はだいたいアンモニアだが、蛋白は必ず窒素を含有しているから、どうしても出るのだ。じゃあ酒はなぜ臭くない?一つは徹底的に蛋白を除く事。糠をどんどんとっていって、歩留まりが50%(要するに元の米から収量半分の搗き上がった米という事だ)も珍しくない。はじめは黄色っぽいが、(赤糠)デンプンが増えてくると白くなる(白糠)。また、動物材料よりは植物の方が少しアンモニアの生成は少なめなように思う。もちろん、発酵する微生物が何かによって変わってくる。同じ大豆に微生物をはやしても、バシラス類(納豆など)とアスペルギルス(醤油・みそなど)では匂いは異なる。このあたりが発酵の醍醐味といえるかも知れない。多くは水分や温度の管理で、はやしたい微生物が好む環境を作る。 とんでもないような食べ物でも、結構死なないものだが、これはもう蓼食う虫も・・・の領域だろう。一度見てみたい気はする。食べるかどうかはその時次第だろうなあ。おかげさまでアクセス90000を超えました。 またもIPしか特定できない方でした。ご愛読ありがとうございます。
2008年08月16日
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「もやし」というものを実際に見た人は少ないだろう。炒め物に使う「豆もやし」はどこにでも売っているが、もやしもんの実家の商売は麹菌の胞子を集めて売ることだ。この胞子をもやしと言う。もやしもんでググってみると、オリゼ君の人気が高いようだ。日本の発酵食品で、おそらく一番活躍の場が多いだろう。醤油、みそ、日本酒、甘酒、これらはオリゼ君の活躍無くしては出来ないものだ。本名、aspergillus oryzaeという。もちろんこの名前は言わば日本人とか韓国人と言うようなくくりであって、細かい違いで分類したら人口ほどいるかも知れない。オリゼがなぜこんなに広い範囲で活躍するのか?みその原料である大豆は蛋白が主成分だし、酒の原料である米はほとんどデンプンばかりだ。微生物は、周りに有るエサに合わせてそのエサを消化できる酵素をつくるのである。だから我々が利用しているのは、オリゼ君のうんちやおしっこと言うことさえ出来る。人間であれば、稲ワラなんかは絶対に利用できない。消化する酵素がないからだ。牛なら、内臓にいる細菌の力を借りて利用できる。微生物はもっと柔軟でどんな酵素でもつくるやつもいる。すべてのものを食う、という訳ではないが、ニガーなんかは環境次第で何でも作り出す。だから、エサにありついてもしばらくは見かけ上生育は見られない。酵素生産の準備をしているのだ。一旦生産の方針が決まったら、爆発的に増える。食い尽くすまで増える。細菌兵器はこれが恐ろしいのだ。オリゼ君はそう有害なものは作らないが、病原菌はもっぱら毒素を作る。一緒に変な匂いも作るから食べないようなシグナルにもなるのだが、作らないたちの悪い菌もいるし、加熱して分解する毒素もあるが、毒素が分解しないボツリヌス菌みたいなのもあるので、油断は出来ない。 考えようによっては、オリゼ君の生えたものを食べた人と言うのは偉人としてたたえられるべきかも知れない。
2008年07月04日
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前回ヨーグルトについてしごく面白くない記事を書いてしまった。ヨーグルトと言うのは、牛乳に生えた乳酸菌の出す酸(乳酸)で、牛乳の蛋白が固まったものだ。比較的大きな入れ物で売っているものは、乳酸菌が生きていることもある。いわゆるカップものは、食感をよくするために色々混ぜ物がしてあることが多い。乳酸が生きていれば、自分で作ることも比較的たやすい。食べ残しを牛乳に入れておけばいいのだ。そして、冷蔵庫から出しておくこと。このごろの気温なら、朝入れておけば 夕方には固まっている。それから冷蔵庫に入れる。用意するものは牛乳パックだけだ。開封し、食べ残したヨーグルトを入れる。入れるだけだとあふれるから、まずコップに半分ほど出して、これは飲んでしまおう。次に、食べ残りのヨーグルトを入れればいいのだが、出来るだけ道具は使わないことだ。スプーンにしろ何にしろ、この世は菌だらけ。出来るだけ接触するものは少ない方が良い。プロなら火炎滅菌とか無菌箱を使えばいいが、家庭ではそうは行かないから、直接移してしまう。スプーンも使わない方が良い。立派な汚染源である。100gも入れれば安心できる。こんなに入ったら、他の菌は生えられない。かくて、400円ばかりするヨーグルトは牛乳の値段で出来てしまうのだ。もちろん「自己責任」だが、もう何年も実はやっている。
2008年07月03日
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主人公が菌とコミュニケーションが取れたり、見えたりという特殊能力を発揮してくる。いきなりヨーグルトが出てきて、「L.ブルガリスク」だなどと書いてあるのだが、これは誤植か校正もれである。ブルガリカス、またはブルガリクスである。cusをどう発音するかだ。ブルガリカスはやや独特の匂いがきつい。ヨーグルトが苦手、という人はたいがいこの匂いが原因だ。日本のヨーグルト、有名なヤクルトはL.アシドフィルスであり、この方が日本人には好まれるようだ。この他、ビフィドバクテリウムも「ビフィダス」の商品名で売れている。ヨーグルトの乳酸菌はたくさんある。ここに挙げたのは、いわば「犬」くらいの分類に過ぎない。この下にさらに名前がつき、さらにその下につく場合もある。L.はLactobacillus の略。乳酸菌だが、菌(細菌)には桿菌(棒状)と球菌がいる。bacillusがつけば桿菌である。球菌はcoccusという。納豆菌は代表的な桿菌だ。また、微生物を扱う人が一度は痛い目に遭うbacillus subutillisも有名。なんにでも生えて邪魔をする厄介なやつで、(もちろん菌操作が未熟なせいだが)憎しみをこめて「ズブ」と呼び捨てている。さて、こういった微生物の扱いは、農学部なら農芸化学科、工学部なら醸造工学科の担当になる。 医学部でももちろん扱うが、こちらは病原菌が対象になる。だから微生物の封じ込めも非常にレベルが高い。もちろん、遺伝子操作を農学部でもやるので、これらを行った菌については、しっかり殺して廃棄し、外に漏れないようにしている。いわゆるバイオハザードだ。
2008年07月01日
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「もやしもん」はもやし屋の息子が菌が見えると言う特殊能力を持っていて、大学の農学部に進学し、あれこれと事件に巻き込まれながら活躍する漫画である。同じ職場の若い人に見せたら、「これ、面白い!」少々あり得ない!ような話もあるのだが、もう少しトリビア的に見られたらな、と思う。農学部の卒業生として甘く辛く書いてみたい。そもそも、農学部と言う学部は、国公立にはほとんどある(若干の例外がある。大阪大学など)が、私立大学には数えるほどしかない。やはり、土地が必要だと言うことだろう。演習林ともなると大変だ。山一つと言う単位で必要なのである。だから大学の中に演習林があるとしたらよほど大きな敷地か山の中の大学と言うことになる。現在は、学科の呼称がすっかり変わってしまったが、農学科、林学科、農業工学科、農芸化学科、農業経済学科、畜産学科などはだいたいどこにでもあった。この呼び方の方がイメージがつかみやすいと思う。 しかし、おしなべていうなら、農学部と言うのが一番近いのは家庭科ではないかと思う。料理、栄養、耕耘、播種、或いは繊維、木材、などと言ったら実に普遍的なテーマである。戦後、食糧増産の時期に多くの新制大学が造られたから、当たり前と言えば当たり前だが、今はほとんどを輸入に頼っている。山は荒れ、中国産ギョウザの事件も記憶に新しいところだ。何よりも食糧自給率は40%を割り込み、輸入が出来なくなったら食えなくなるのだ。さらに、運搬にも石油を使うと言うムダぶりだ。さて、エスキモーの食品の話が出てくる。アザラシの腹に鳥を詰めて発酵させると言う食品だ。これを土に埋めて発酵するのを待つと言うのだが、およそ発酵も腐敗も根本は同じ。人間に有益なものを作るのが発酵で、有害なものが出来れば腐敗と言う。およそ手前勝手な表現なのである。しかし、エスキモーの住むところと日本を微生物的に同一視することは出来ないので、漫画の限界なのだが、こんなものを国外から持ち込もうとしたら厳しい検疫が待っている。微生物と言うのは、早い者勝ちで増える。仲間を増やしてしまえば、他の微生物は成育できなくなることもある。納豆が腐敗しない道理だ。ところが、例えば酒になると活躍する微生物が入れ代わっていく。麹菌がまず生え、デンプンから糖が出来たところで酵母が活躍してアルコールを造り、そのアルコールで酵母が死んだ後は乳酸菌がはえる。その調整をするのが杜氏の仕事だ。
2008年06月30日
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