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ハンガリー人の14歳の少年がユダヤ人狩りにあってナチスの強制収容所で労働した話。一人称の自伝的小説。処女作らしく文体は特に面白いわけでもなく、自伝を元にしているせいかプロットも地味であまり冴えず、よくある戦時中の話という程度。しかし物語そのものよりも、少年が強制労働を通して得た価値観がこの小説の特色になっていて、運命と自由を対比させる少年の世界観が印象に残る。★★★★☆運命ではなく価格:1,995円(税込、送料別)
2010.08.23
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バンドマンが見ず知らずの相手に復讐をすることになってどたばたする話。口語体がだらだら続く一人称。毒にも薬にもならず、落ちがあるわけでも教訓があるわけでもない、近所の酔っ払いおじさんの世間話程度の面白さ。★★★☆☆屈辱ポンチ価格:450円(税込、送料別)
2010.08.23
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女性の恋愛と結婚にまつわる悲劇を書いた短編集。誰かから聞いた話を書いたという体裁の三人称。展開はステレオタイプで、いかにも昔の小説という感じだけれど、教訓を含みつつ簡潔にまとめていて仕上がりは安定していて読みやすい。女性のロマンチックな嗜好と現実がぶつかって打ちのめされていくリアリティが面白い。★★★☆☆ハーディ短篇集価格:735円(税込、送料別)
2010.08.23
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新聞社の女性の論説委員に外部から圧力がかかって左遷されそうになる話。三人称。主人公は始終他人頼りで、左遷をごねておいて結局新聞社をやめるし、何がしたいのかわからない。1992年の初版らしいけれど、当時の女性運動の程度の低さ、それに反応する男性の程度の低さが垣間見えるのは興味深いものの、論説の内容も登場人物の思考もつまらないし、おじさんおばさんの幼稚な恋愛ごっこにしらけてしまう。★★★☆☆女ざかり価格:750円(税込、送料別)
2010.08.23
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幼馴染との恋が不完全に終わり、少女に欲情するようになったハンバートが再婚した女の12歳の娘のドロレス・ヘイズ(ロリータ)に欲情して、ロリータをレイプしながらアメリカを旅する話。ハンバートが一人称と三人称を交えて自分の行為を陳述書として提出するつもりで書いているという体裁。第一部はハンバートの生い立ちからロリータに出会う話で、第二部はロリータをつれまわす話。後半はロリータにまつわる細かいエピソードが延々と連なっていて、話の本流がはっきりせず、ひねりも落ちもなくて飽きてくる。小児性愛の男の心境や、子供の愛らしさを掘り下げた点は描写もレトリックも凝っていて面白いけれど、小児性愛者と思春期のわがままな少女の旅行の結末がどうなるのか、先を読み進めていくための物語としての魅力は乏しい。goukanを漢字で書くと「わいせつ、もしくは公序良俗に反すると判断された表現が含まれています」と表示されて書評を書き込めなかった。これじゃgoukan罪とか刑法を論じることもできないし、書評もできない。レイプならよくてgoukanがだめってどういう基準なんだ。こんなのは表現の自由を一方的かつ過剰に制限する不毛な言葉狩りにすぎないとこの場で楽天に抗議しておく。★★★☆☆ロリータ価格:900円(税込、送料別)
2010.08.18
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日本に住む外国人女性が事故にあった外国人の家族のために通訳をする話。主語がない主人公視点の文体。時系列順に物語が展開して、プロットの発展も乏しい。事故、脳死、在日外国人といった要素を含んでいるものの、終始ありがちな展開で予定調和に見える。死に対して無感動な日本人と感傷的な外国人を対比させるのがこの小説の狙いなのだろうけれど、主人公は板ばさみになった傍観者にすぎず、主人公の思考がよくわからない。結局死んだから悲しいというだけでは物語に落ちがないように感じて、文体も内容も特に面白いと思える点がなかった。★★★☆☆
2010.08.02
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映画学校を卒業した青年が百貨店の催事場でアルバイトしたり仲間と映画を撮ったりする話。特別な存在であろうとする「私」が自分を客観視して中山唯生という虚構の人格について三人称で語る文体。ブルース・リーやドン・キホーテなどへの言及が脱線のようにみえて物語の伏線になっているのはよい。芸術系の人間の偏狭なうざったさはよく描けているが、長々と描写した割にはストーリーはたいしたことのないどたばた劇で、最後の「アメリカの夜」の部分が唐突に感じる。★★★☆☆アメリカの夜価格:560円(税込、送料別)
2010.08.01
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男がばね工場を借りて元彼女と一緒に板に柿渋を塗る話。三人称。句点で長く文章をつなげていく文体。描写のペースが安定していて読みやすいけれど、冒頭で柿渋についての知識とばね工場の来歴が延々と語られ、最初は誰が主人公かわかりにくいのに加えて、たいしてプロットに関係しない脇役についての説明が多くてストーリーを把握しづらい。そのうえ名前だけ挙がるような脇役はプロットに関係せずストーリーが面白くなるわけでもないのが残念なところ。句読点で文章を長くつなげるために時間が端折られて描写に臨場感が乏しくなるのもストーリーが把握しにくい原因だろうかと思う。金儲けにあくせくしない人間関係と、主人公の結婚を暗示するような展開には好感が持てる。★★★☆☆
2010.08.01
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乾燥肌の男が階下に住む病気で自殺未遂する老人と知り合う話。三人称。短編のうえに細かく章分けされていて読みづらい。乾燥肌や自慰や病気の老人などの様子を描写するのが特徴的だけれど、ストーリーは救いようがないし、養生人物に共感もできないので読み進める魅力がない。★★★☆☆Onanieをカタカナで書いたら「わいせつ、もしくは公序良俗に反すると判断された表現が含まれています」と出て書き込みできなかった。これは過剰かつ一方的な言葉狩りだと思うのでこの場で楽天に抗議しておくことにする。
2010.08.01
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