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92気圧、460℃の気温。濃硫酸の雲が浮かび、水は蒸発してほとんど大気中にも存在しない。大気の大部分は、二酸化炭素。それが金星の姿。金星には、温暖化の究極の姿を見ることができます。大気中の二酸化炭素は、温暖化を招き、水の蒸発を促進しました。二酸化炭素と硫化鉄は、濃硫酸の雲を作り出します。上空には、自転速度の60倍もの速度の風が吹きます。この謎の高速の風は、スーパーローテーション。地球には、水があります。二酸化炭素の大半は、海に溶けています。さらに二酸化炭素はサンゴによって、石灰岩に閉じ込められます。もし地球に水がなかったら、生物がいなかったら、大気中の二酸化炭素濃度は、金星に匹敵するといわれます。金星は、水が蒸発し、生物が死に絶えた後の、地球の姿でもあるのです。もし地球に生物がいなかったら、大気中に酸素はありません。これほど高濃度の酸素がある惑星は、太陽系で地球のみです。もし酸素がなかったら、オゾン層も作られません。オゾン層がなければ紫外線が地上を照らし、生物は死に絶え、濃硫酸の雲も生じ得ます。地球は、水と、酸素が作り出す、奇跡の星。金星は、温暖化の暴走が導いた、死の星。わたしたちは、知らなくてはなりません。このふたつの星の差は、わずかであるということを。そしてそのわずかな差が、致命的であるといういことを。
2008.02.29
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技術開発は、人のためを目指すもの。名古屋にいた頃、1994年、中華航空エアバスが着地失敗、炎上したことを憶えています。264名が亡くなる大惨事でした。原因は、自動操縦のモード時に、手動で操作したため。コンピュータが手動操作を妨害し、失速し、墜落しました。自動操縦優先の設計が、原因とされます。自動車の自動走行の開発では、この事故を教訓にしています。あくまで手動操作が優先し、自動走行は緊急の手動操作で解除されるのです。自動走行が可能でも、やはり自動車を運転するのは人間。安全を守るのは、やはり人間なのです。技術は人のためにあり、常に人が優先される。技術は人を助けるもの。それが現代の、日本の先端技術開発です。
2008.02.28
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現世と冥界の狭間に立つ、ケルベロス。キマイラを姉に持つケルベロスは、同じくキメラです。半蛇のエキドナとテュポンの子。そのため、ケルベロスの尻尾は頭のある蛇で、背中にも鱗があります。3つの頭は、黒い牙を持つ犬。これがギリシアのケルベロス。エジプトに渡り、ケルベロスは姿を変えます。右は犬、中央はライオン、左に狼。このキメラらしい姿、それがエジプトのケルベロス。犬は未来、ライオンは現代、狼は過去を示します。そして、前足しかなく、下半身は完全に蛇なのです。自然界には、通常はありえない生き物、キメラ。人は、キメラを作り得る科学力を、持つに到りました。しかし人と動物を遺伝子融合させた、ヒトキメラを作る計画は、今はありません。人はキメラを、恐れています。キメラである、あのケルベロスを恐れるのと同様に。もし人が、そのキメラの領域に立ち入るなら、もし人が、ケルベロスを越えてその先に行くならば、そこにあるのは、冥界の、地獄そのものに違いありません。
2008.02.27
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昨日の、アライグマの日記へのコメントで、思い出したお話。1924年、タヌキとムジナの区別が、裁判で争われたことがあります。狩猟法で禁止された、タヌキを猟師が獲ったため。猟師はムジナを獲ったと主張し、タヌキとムジナの区別が裁かれたのです。判決は、「タヌキとムジナは同一の生き物」でした。しかし当時は、両者の区別が不明確なこともあり、猟師は無罪になりました。それほど、生き物の区別はあいまいでした。タヌキは、東アジア特有の動物。欧米にはいません。そのため、タヌキが欧米に輸出されるとき、ラクーンドッグ(raccoon dog)と呼ばれました。あまりになじみのない名前で、混乱が起こります。昭和の初めに日本からタヌキが輸出された時、新聞には「ラクーン犬」が輸出されたと書かれました。辞書にもないラクーンドッグが、タヌキとは分からなかったのです。ラクーン(raccoon)は、アライグマのこと。タヌキはバジャー(badger)と呼ばれることもありますが、これはアナグマ。つまり、タヌキがラクーンドッグとすると、アライグマ犬。しかし、ときにはアナグマ。さて、分からなくなってきました。タヌキとアライグマ、そしてアナグマの区別は、何でしょう。それにハクビシンも加わると、いっそう混乱してしまいます。だれか、答えを教えてください。どうやら、わたしは、タヌキにばかされてしまったようですので。
2008.02.25
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えさを洗う、アライグマ。多くの人は、アライグマをその様にみています。しかし、アライグマはえさを洗いはしません。動物園で見せる、手をすり合わせる動作。たしかにそれは、野生の習慣からきています。アライグマは水中の、カエルやザリガニを捕らえて食べます。その時、手をすり合わせる様にして、獲物を探すのです。けっして、えさを洗ったりはしません。えさを洗うアライグマは、人が作ったイメージなのです。北米産のアラグマは、日本にはいない動物。しかし捨てられたペットが野生化し、今では日本の各地にもいます。日本のアライグマは、日本に本来はありえないもの。かわいいしぐさが人気のアライグマ。ありえない姿をかわいいとされ、ペット化し、その気性の荒さから捨てられます。彼らの生態は、日本でゆがめられています。ありのままに、生きられない。ありのままに生きれば、捨てられる。アライグマは、悲しい生き方をする生き物なのです。
2008.02.24
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赤く燃える夕日。その後にあるのは、暗く寂しい夜。寒く凍える夜を迎える、その直前に、夕日は時として、素敵なプレゼントを用意する。グリーンフラッシュ。太陽が水平線に消えるその瞬間、太陽は緑色に輝く。それは、一瞬のできごと。澄んだ空気、最適な温度、湿度、大気のゆらぎ。すべてのバランスが、織りなす奇跡のハーモニー。赤い光は水平線の陰に消え、緑の光だけがあなたにとどく。光の屈折率の違いは、あなたに魔法をかける。グリーンフラッシュ。闇に消えることを恐れ、別れを惜しむ、太陽のためらい。もはや、太陽に力強さはない。永遠であり続けるがゆえの、限りない孤独。その太陽の哀しみを、いつかわたしは見届けたいのです。【グリーンフラッシュ】 「眺海の森天体観測館・コスモス童夢」
2008.02.23
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なぜ、ひとは動物を愛するのでしょう。なぜ、ひとは動物のために涙するのでしょう。わたしのブログのお客様、きちはなさん。きちはなさんは、公園に住むくろねこ、黒ちゃんの里親を探していました。なぜなら、黒ちゃんの身に危険が迫っていたから。その公園には、野良猫を嫌う人がいました。野良猫に餌をあげることは、良い行為とはいえません。しかし、その人の行動は、尋常ではありませんでした。ねこに餌をあげた人が、その人に殴られました。子供遊ぶ公園に、その人は毒物をまきました。多くの人が、その人に何度も脅されました。子供も遊ぶ公園に、その人は脅迫状を何枚も貼りました。公園の自転車が、腹いせでなぎ倒されました。猫の餌箱が、粉々に踏み潰されました。そして、ついに、黒ちゃんは、「何者か」によって、殺害されました。きちはなさんの里親探しは、実ることはありませんでした。安全な場所への誘導も、実ることはありませんでした。野良猫には、自力で生き抜く真の野良猫と、人に頼る隠れ飼い猫がいます。黒ちゃんは、隠れ飼い猫。人に甘え、人を信じ、そして、人に裏切られました。わたしには、わかりません。なぜ、動物は、ひとを信じるのでしょう。【ご覧ください】 「きちはなさんの日記」昨日は動揺して、皆様に十分にご訪問できず、すみませんでした。そういえば、明日2月22日は、ニャン,ニャン,ニャンの猫の日でした。黒ちゃんが、迎えることのできなかった、猫の日でした。
2008.02.21
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冬の夜空は高く透き通り、小さな星までをも映し出す。あの空へ、ゆきたい。わたしは宇宙船にのり、そらに駆けのぼります。あまたの星がきらめく、あの宇宙へ。カプセルに入り、そして、無限の宇宙にとびだします。わたしは、地球の周囲をめぐります。人々の、喜び、悲しみ、怒り、夢、希望。すべてが、私の眼下に広がります。わたしも過ごした、懐かしい記憶とともに。しかし、あぁ、もう時がきました。星となる、その時が。わたしは流星となり、ふたたび地球に舞い降ります。わたしには、その声が聞こえます。流星のわたしに夢を願う、数知れぬ人々の声が。地上に舞い降りて、わたしは生まれかわります。宇宙から舞い降りた、新しいわたしとして。*宇宙葬は可能です。7gの遺骨はカプセルとともに宇宙に放出され、地球をめぐります。そして流星となり、地球に下りてくるのです。費用は105万円です。【宇宙葬】 「宇宙葬サービス」
2008.02.20
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グリム童話ではない、北ドイツのお話から。むかし、ゆきには色がありませんでした。そして、とても色がほしいと思いました。お墓に、黒い色がほしいと、おねがいしました。しかし、笑われ、追い払われました。バラに、赤い色がほしいと、おねがいしました。しかし、笑われ、追い払われました。すべての花に、花の色がほしいと、おねがいしました。しかし、笑われ、追い払われました。最期に、マツユキソウに、おねがいしました。「わたしには色がなく、まるで風のよう。だれも、わたしを見てはくれないのです。」マツユキソウは、かわいそうになりました。そして、華やかさはないけれどもと、自分の白い色をあげました。ゆきはとてもよろこび、それからは、ゆきは白くなりました。そしてゆきは、冬になると、すべての花を凍えさせます。まるで、昔の恨みをはらすかのように。しかし、マツユキソウだけは、凍えさせることはありません。あのときの、恩返しのために。*あのひとを、思いやること。それは、あのひとの立場で考えること。そして、その思いやりは、あのひとからあなたへの、思いやりの始まり。
2008.02.19
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睡眠不足から、脳下垂体の細胞が死滅する。その事実を、大阪市立大の研究チームが、ラットの実験で確認しました。睡眠が生物にとって、必須なことが分かります。学名フェリス・オクレアータ・ドメスティカ。「ネコ・すねあてをつけた・飼いならされた」、つまり飼い猫は、一生の2/3を寝ているとも言われます。ネコの名は、「日本釈名」では「寝るのを好む」が由来とあります。「順和名抄」では、ネコはもともと「ネコマ」とあります。これも「よく寝るのを好む」という意味です。また先の「日本釈名」には別説として、「ネズミを好む」が由来ともあります。「円珠庵雑記」にも、「ネコマ」は「鼠子待」、つまりネズミを待つとあります。ネコは寝ることで、繁栄を続けました。人類の科学は、ようやくネコの知識に追いつきました。「なにをいまさら」そんなネコの声が、聞こえてきそうです。
2008.02.18
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地動説を主張し、ローマ教皇庁から有罪判決を下されたガリレオ。1633年、彼の主張は、大半の人には理解されませんでした。後世の人々は彼を哀れみ、彼に復讐を遂げさせようと考えます。1737年、ガリレオの亡骸はフィレンツェのサンタ・クローチェ教会の本堂へ移されます。その時、彼の中指は切り取られ、フィレンツェの科学史博物館に収められます。上部をレース状の金属で飾られた、コップ状のガラス容器。その中に、ガリレオの中指はあります。その指は、まっすぐに天を指しています。中指を立てる行為、それが何を意味するかはお分かりでしょう。キリスト教への抗議を暗示し、人々はガリレオに報いようとしました。しかし、ガリレオがその様な行動を、取りはしないでしょう。むしろこの中指は、ガリレオの品格を汚すばかりです。過去においても、現在も、ガリレオは理解されません。あまりに偉大すぎる発見は、彼を今なお翻弄し続けています。彼が望んだこと。それは中指を立てる、抗議ではありません。片手を差し出す、和解の握手。ただそれだけに、違いないのです。闘争で得るのは、無限の苦悩。協調で得るのは、永遠の歓喜。その選択をするのは、私たち自身。
2008.02.17
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お化け屋敷。最近では、遊園地でも減りつつあります。仕掛けを知ると、慣れてしまうためかもしれません。日本のお化け屋敷と、西洋のホラーハウス。両者には大きな違いがあります。ホラーハウスは、屋敷自体に霊力が宿り、屋敷は異形の怪物となります。そして屋敷が焼け落ちるなどするまでは、怨念が消え去ることはありません。それに対し、お化け屋敷は、お化けがいる場所でしかありません。日本では、屋敷にお化けがとりつきはしません。お化けがいる禁断の空間に人が踏み込むから、そこがお化け屋敷となるのです。踏み入ってはいけない空間。それを日本人は、知っていました。そこは神聖な、自然の空間。お化けへの恐れは、人と自然との共存を可能としたのです。西洋的考えのもと、自然もホラーハウスと化します。そして、自然も人と敵対するもの、開拓し破壊するものに変わります。減り行くお化け屋敷と、増えるホラーハウス。日本人の西洋化。人と自然との共存から、開拓し破壊する自然へ。減り行く、そのお化け屋敷から聞こえる音。それは、私たち人類への、心を揺さぶるレクイエム。*ふと、懐かしいびっくりハウスを、思い出しました。今では数少ないことでしょう。
2008.02.16
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こんばんは。昨夜は失礼しました。実はホテルからのブログだったのですが、皆様へのご訪問を始めた途端に、ホテルの無線LANが壊れました。ホテルでも格闘してくれたのですが、修理不能。結局、ご訪問できずにすみませんでした。今日もその移動の関係で、ただいま帰宅しました。なかなか上手くいきませんが、土日でリカバーします。すみませんでした。
2008.02.15
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近鉄特急では、しばしば電車が急停車することがあります。車内放送では、接触事故が告げられます。かわいそうに、今日も鹿がはねられたのです。近鉄に限らず、鹿の列車事故は多く発生しています。JR東海では、「鹿よけ笛」という風により鳴る笛をつけています。しかし初年度は大きな効果があったこの笛も、今はほとんど役立ちません。山間部を通る線路は、鹿にとっては安住の地に思えます。線路はまるで、山中の草原の様だから。しかしそこには、幸せは待っていません。身近な道路も同じです。高速道路でも頻繁に起きる動物の事故。タヌキが圧倒的にワーストワンで、全件数の40%。次にネコで10%、以下にノウサギ、カラス、イタチと続きます。動物の生きる場所に、線路や道が造られました。そこを行き交う鉄の箱は、動物たちには何かは分かりません。もちろん、その恐さも分かりようがありません。道路をくぐる動物専用道路「エコロード」は、整備されつつあります。しかし幅が狭すぎ、鹿が通ることはありません。今日も、鹿は線路を歩きます。その場所の、危険も知らずに。ただ、あの広い、草原を夢見て。
2008.02.14
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くいくいと、ユーモラスに首を振って歩く鳩。歩くときに、なぜ鳩は首を振るのでしょう。エジンバラ大学のフリードマンは、鳩にランニングマシンを歩かせました。鳩のトレーニングではありません。首振りの理由を探るため。その結果、ランニングマシンを歩く鳩は、首を振らないことが分かりました。次に、ランニングマシンの外の景色を動かすと、鳩は首を振ったのです。つまり、鳩は外の景色の流れに沿って、首を振っていたのです。東京大学の藤田裕樹氏は、首振りは重心の移動と関係あるとの説を提唱しています。しかし高速移動では首振りが停止するなど、視覚説の方が優位です。鳩は首を瞬時止めて、外の景色を見ます。次の瞬間に首を動かし、外の景色を立体視するのです。首が痛くなりそうな、くいくいとした首の動き。鳩は、流れ去る景色を嫌います。鳩は、忘れたくないのでしょう。そして、愛着を持つのでしょう。今ここにしかない、その景色に。
2008.02.13
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2月12日の楽天ブログスタッフさんのコラム。私の11日のししゃもネタ。同期していますね。偶然?━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★☆ 楽天ブログスタッフの「はみ出しコラム」 ☆★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━こんにちは、スタッフGです。いきなりですが、私はシシャモが大好きです。飲みにいったら、必ず子持ちシシャモを注文します。ところが、先日そんな私に友人から衝撃的な事実が告げられました。日本全国で市販されている「子持ちシシャモ」の90%は代用品だと。そもそもシシャモは北海道南部の太平洋沿岸の一部でしか獲れない日本固有の魚で、漁獲高が少ないため本州の居酒屋チェーンに出回ることはないそうです。北海道出身の友人も本物のシシャモは2回しか食べたことがないとのこと。そして代用品の名前が「カペリン」。なんとも脱力してしまいました。
2008.02.12
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偽装事件が多い昨今。ところで、偽装とはどこからを言うのです。身近にも「偽装まがい」は多くあります。最近は有名になりましたが、子持ちシシャモはシシャモではありません。私たちが食べるのは、カラフトシシャモ(カペリン)かキュウリウオ。鱗がシシャモより小さく、味も違います。シシャモの漁獲量が減ったための、代替品に変わっています。世界の珍味キャビアも、ホシチョウザメの卵ではありません。日本のキャビアは99%が、ダンゴウオの卵です。私たちは、代替品を食べているのです。シシャモはパックの表示にも、カペリン等と表示されています。しかしレストランのキャビア等は、代替品であることを知らされていないと思います。偽装との境目が、分からなくなっている私です。ところで、ダンゴウオはとてもかわいい魚です。個人のHPですが、ついリンクしてしまいました。動画もありますので、よろしかったらどうぞご覧ください。【ダンゴウオ】 個人のリンク
2008.02.11
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キャベンディッシュの知名度は、日本ではまだ低い。1810年に78歳で亡くなるまで研究を続けながら、大半を未発表のまま。そのため生前の彼の業績は、ほとんどが陰に隠れています。彼への追悼の言葉が残っています。「ニュートン以来の偉大な天才を失った。 そして彼の業績は、現在よりも未来において高く評価されるだろう。」彼の死後に判明した業績は偉大です。地球密度の測定と万有引力常数の測定。オームの法則を先行して発見、クーロンの法則を先行して発見。水素の発見、水が化合物であることの発見、大気組成の定量化。ヒ素の合成、硝酸合成、水蒸気圧の測定、水溶液の電気伝導性の測定など。後世に発見された数多くの法則を、彼は発見しながら未発表のままでした。そのために、オームの法則、クーロンの法則などは、その発見が遅れることになります。高精度の実験データの測定が、彼の特技でした。しかし極端な恥ずかしがりやと女性嫌いで、人を避けていました。生まれつき、高い社会的な地位に恵まれた彼。そのために、研究成果を発表して、名誉を求める必要はありません。父親からの膨大な財産に恵まれた彼。生活費の心配なく、高価な実験装置に囲まれて、研究に没頭できました。あまりに余裕がありすぎて、研究は彼の趣味でしかなかったのです。そのため彼の研究業績は、後世まで歴史に埋没していたのです。幸せすぎる環境は、むしろ人を不幸にします。今を変えたいと思う気持ち。それは、人が社会的に生き続けるために必要な気持ち。そして、私たちを苦しめる不幸。それは幸福への案内状なのです。
2008.02.10
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イワシは海で多くの生物に捕食される、かわいそうな生き物です。そのために、彼らは集団となり、身を守ります。その彼らを、人は、弱い魚「鰯」と書きました。イワシを食べるクジラもいます。クジラはイワシの群れに突入し、多量のイワシを食べてしまいます。クジラの前では、イワシの集団行動はむしろ仇となっているかのようです。しかしイワシにも、秘策はあるのです。追われたイワシは、突然、反撃を始めます。彼らは、クジラの眼に向かって体当たりを開始するのです。何百、何千というイワシに襲い掛かられたクジラは、退散するしかありません。海で眼が見えなくなることは、致命傷となるからです。弱い力も、強い力に打ち勝つことができます。小さな力も、大きな夢を成し遂げられます。イワシは、自然界のルールを教えてくれます。夢を成し遂げるのに、必要なもの。それは、勇気と努力ということを。
2008.02.09
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音を聴き、その音源の位置を知ることができる人。それは、左右の耳の音の、わずかな時間差を認知して。音源が人の真横にあるとき、左右の耳に届く、音の時間差は0.6ミリ秒。つまり、わずか0.0006秒の差。しかし人は、そのわずかな時間差を聴き分けます。さらに音源が、人の前後に移動するなら、よりわずかな時間差の聴き分けが必要になります。しかし実際は、神経細胞はその時間差は、区別でできません。そこでたくさんの神経細胞で、音の検知を分業します。0.1ミリ秒差だけ反応する細胞。0.3ミリ秒差だけ反応する細胞。数千万のそれぞれの時間差にだけ反応する細胞。それら、たくさんの時間にだけ反応する神経細胞が、その役割が来るのを、ひたすら待ちます。私たちの耳は、無数の時間に限定された、神経細胞に支えられています。0.0001秒の一瞬の、断片的な時間の連続。私たちの世界は、刹那の連続。音源の位置を、つきとめて。一瞬の時に、きらめきを感じて。
2008.02.08
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寒くなり、ダウンジャケットを多用する様になりました。鳥の羽を大別すると、ダウンとフェザー。ダウンは綿羽で、いわゆる綿毛です。それに対し、フェザーは真羽。赤い羽根などでご存知の、あの風切り羽です。真羽は板状になる仕組みがあり、飛行に適した羽となります。一方で、硬く、保温性も劣るため、防寒着には不適です。しかしダウンばかりでジャケットを作るには、数十羽の鳥の羽が必要です。そのために、通常はフェザーを混ぜるのです。ところで安物の私のジャケットは、やはりフェザーが多い。明日からは、「フェザージャケット」と呼ばないといけません。偽装と指摘されないように。【過去の日記】 「西川寝具専門店:ダウンとフェザーについて」
2008.02.07
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人はなぜ、金に魅かれるのか。人はなぜ、金を生み出そうとするのか。錬金術は多くの学者を魅了し、その貴重な時間を奪ってゆきました。大阪帝国大学初代総長、貴族院議員、学術振興会理事長、帝国学士院院長、学術振興会学術部、第一回文化勲章受賞で、戦前の科学行政の最高地位を極めた理学博士、長岡半太郎。彼も、そのひとりでした。1924年、彼は水銀を金に変える実験の成功を発表。いわゆる水銀還金事件です。もちろん誤りであったこの発表ですが、反対する人は少なかったと言われます。そして彼自身、この誤りを生涯認めることはなく、時間を浪費することとなります。錬金術の魅力がもたらす罠。しかし彼にあるのは、それ以上に大きな罠。それは、だれも過ちを指摘できない彼自身の権威。権威者は、悲しいほどに孤独なもの。孤独ゆえ、錬金術に魅かれます。金の輝きが、心の闇を明るく照らすから。錬金術を讃えよう。錬金術は、ベドガーにマイセンの歴史を拓かせます。金よりも、陶磁器に魅かれます。やさしく白い陶磁器が、心を静かに輝かせるから。【過去の日記】 「マイセンの歴史」※)この2006年11月17日は、思えば今につながる日記でした。
2008.02.06
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超能力者 御船千鶴子は、追いつめられていました。1910年、千里眼の能力者という彼女は、透視の公開実験に挑みます。対するは、東京帝国大学総長の山川健次郎。透視するのは、はんだ付けされた鉛管につめられた紙の文字。しかし結果は失敗。それどころか、彼女が透視したのは、前日彼女に練習用に渡された、鉛管の中の文字。鉛管の中を盗み見た疑いが、彼女にかけられます。そしてその4ヵ月後、彼女は重クロム酸を飲み、自殺します。まだ25歳の若さでした。もともと彼女の予言は、些細なことでした。母親の“へそくり”のありかを当てました。軍服のバンドが切れるのを当てました。馬が暴れるのを当てました。本来の彼女は、少し勘の良い女性にすぎませんでした。しかしある日、有明海の炭鉱のありかを当て、謝礼をもらいます。その金額は、当時の価値で2,000万円。ひとりの女性の人生を狂わせるのに、十分な金額でした。この時から、「よく当たる」ではなく、「必ず当たる」予言が彼女に求められ始めます。そして、彼女は追いつめられてゆきます。しかし追いつめた山川健次郎も、それが本意ではありませんでした。そのことは、のちの彼の言葉から分かります。「世の中の人が、すべて目が見えないとする。人々は触覚で物の形を判断する。そのとき、ひとり目が見える人がいて、手で触れないで、卵は丸いと言ったとする。すると、皆、その人を嘘つきと呼ぶだろう。超能力とは、その様なものかもしれない。」超能力、超常現象、幽霊、妖怪、UFO、UMAなど。これらが、今も論じられる理由。それは、それらが必ずそこにあるからではなく、それらを、わたしたちが求めるからに、違いありません。【過去の日記】 超能力 公開実験 ― リングの世界 ―
2008.02.05
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昔、鳩に悩まされていたことがあります。すぐにベランダに、鳩が巣を作ってしまうのです。ベランダが汚れるのに加えて、鳩の声にも悩まされました。鳩は一度に2個の卵を産みます。それらが育ち、ベランダがとてもにぎやかになるのです。日が昇ると鳩が鳴き出すため、自然と私は早起きになりました。巣を壊せない私は、鳩の一生をベランダで見ることになりました。生まれ、巣立ち、また卵を産む。そして時には、ベランダで死ぬ鳩までいました。鳩は天敵のカラスに食べられないために、人家の傍を好んで住みます。さらに鳩には、人家の傍に住むための特技があります。それはピジョンミルクです。雛に餌を与えるために、親鳥は餌を頻繁に運ぶのが通常です。しかし鳩は、雛の孵化後3~4日は、餌を運ぶ必要がありません。この間、親鳥はピジョンミルクを作り出し、口移しで雛に与えるのです。さらに通常の鳥は、水を飲むのに頭を上下させなくてはなりません。しかし鳩は、嘴を水につけたまま、水を飲むことができるのです。このため、人が多い街中でも、短時間で多量の水を飲むことが可能なのです。この特技で、鳩は私たちの身近に住み続けました。しかしその糞害や騒音から、徐々に嫌われ者になりつつあります。これからも、鳩は私たちの友達でいられるのか。それも難しくなりつつあります。平和の象徴の鳩。平和を維持するには、人と人との相互の理解が必要です。そして鳩との関係を維持するにも、鳩と人の理解が必要なのでしょう。
2008.02.03
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牛の体と、人の頭。必ず当たる予言をし、牛から生まれて数日で死ぬ。その予言は、天災、流行病、戦争と、あらゆる凶事。この妖怪、くだんが生まれるのは、未曾有の大凶事の前触れ。疫病の流行、飢饉の時、人々が不安におののく時、くだんは生まれる。太平洋戦争中も、くだんは生まれ、空襲を予言した。避けようがない凶事。その予言をするために、なぜくだんは生まれるのか。人はなぜ、その予言を聴くのか。誰にも、それはわからない。温暖化、乾燥化、異常気象。テロ、戦争、世界経済の崩壊。公害、大地震、新型インフルエンザ。2008年は、波乱に満ちた年。わたしには、今年は、くだんが生まれる気がしてならない。
2008.02.02
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中国製餃子の毒が、問題になっています。中国製土鍋の釉薬に含まれる鉛についても、以前お話しました。そして水道銅管に含まれる鉛についても。身近な毒物は、とても多くあるのです。化学物質の毒とは別に、私が気になっているのは、夾竹桃の毒。以前にも、少しお話しました。古代ギリシアのアレキサンダー大王。その軍隊は、夾竹桃の枝を肉の串にして、バーベキューをしました。その結果、多くの兵士を失ったといわれます。夾竹桃に含まれるオレアンドリンとアディネリン。それは致死量が、体重1kgあたり0.3gと、青酸カリにも勝る猛毒。各国の王族を恐れさせた心臓毒なのです。街路樹などにも多く用いられ、広島市の市の花でもある夾竹桃。しかし、その広島でも死者は出ています。低温で焼けば、煙さえも猛毒。乾燥させないまま、夾竹桃を燃やすのはきわめて危険。しかしそのことは、日本では十分に周知されていません。むしろ日本では、とても身近な草なのです。8月の、原爆の日の頃に花が盛りになる、夾竹桃。原爆と夾竹桃。奇妙なほどに、シンクロする。原爆に、これほどよく合う花は、他にはないのかもしれません。【夾竹桃】キョウチクトウ【関連日記1】銀杏の悲劇 ― 毒のある植物 ―【関連日記2】レモンティーに注がれた毒 ― 釉薬の毒性 ―【関連日記3】毎日 鉛を飲まれている皆さんへ ― 水道管と缶詰 ―
2008.02.01
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