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「俺は、モンスターだって倒したことがある。」 「下級だろう。それも、殆ど、ギリギリでだ」と俺は断言した。 もちろん、普通にそれだけ出来れば文句を言うべきところではない。 しかし、俺は奴に、言った。 「では、かかってこい、ブロンクス。構わん、武器を持って俺にかかってこい。」 と、俺はあらかじめ用意しておいた武器を見せた(心のうちの泥を・・)。 奴は、野蛮で乱暴な自分を隠そうともせず、不規則な息をさせながら、剣を手に取った。地を割って、ブロンクスの魂は奈落の底まで失墜する。無間の乱売、値崩れへ。 そして俺のことを投げやりに見えるほど気楽な男、とでも思っているのかも知れない。 苦痛や煩悶や疑惑が、こいつの中から完璧に消え失せている。勝負はもうついてる・・でも、まだわからない。引き下がれない男というのは、好きだが、モンスターには通用しない。 「いいか。納得しろとは言わん。ブロンクス――お前は俺に叩きのめされる。生涯でもっとも最悪の負け方をする。しかし他の奴もよく見ておけ。お前も、同じ目に遭うと思ってみておけ。お前等は全員どういう風にやられるか見ておけ。」 次の瞬間、ブロンクスは低く身構えると、大きく息を吸った。ダン、と大きな足音がした。その身体能力を使って、猛然と――目の前まで接近する。高速のすり寄せ・・ダッシュ。なるほど、下級は言いすぎだったかも知れない。 もしかしたら、中級のモンスターくらいならやれるかも知れない。 だが、俺は身動き一つせず、ブロンクスを見つめている。 「危ない!」とポレロが言った。 「よけて下さい!」とロバート。 神経質な痙攣――援護射撃、シュプレヒコール・・! がしゅっ、とインパクトの瞬間、「仕留めた・・」と思ったはずだろう。だが、そこに手ごたえはない。ブロンクス、お前の子供の症状だ。決済期限の延期はできない。ぐっぐっ、と剣が、押し返されてゆく。かぎられた面積の陣取りごっこ。フィルムはあっという間に感光する。俺はブロンクスの剣を素手でつかまえ、がちり、と針金のように歪めた。顔面蒼白になったブロンクス。種も仕掛けもない。重量も、勘も――常識も、そう言ってる――・・。 でもブロンクスよ、いま目に見えることが真実だ。説明もなければ命令もない。それはただの絵だ。そしてお前はそこに己への不信感を見つけ出さなくてはいけない。 次の瞬間、そこは、ともすれば辷りそうな断崖絶壁がひろがってる。原因のわからない硬部が、暗部となり、己の未熟さの破片の山をつくる。 塵・・内部に降る、無駄・・無駄――無駄・・。 ブロンクスは衝撃を感じただろう、腹部に――ドスン、とあたる。打ち身だ。だが、その威力は、ぶん、と後方に吹っ飛ばすほど、すさまじいものだ。ブロンクスは、完全にのびている。妄念は一瞥する。絶望的に、はっきりと、鳩尾のところへと触れてゆく。 部屋が、しーんとした。心がうつろになってゆくような、ぐじゅぐじゅの状態。熾烈だ。 俺はパワーバランスを、正常に――する・・。 「いいかね、諸君――俺は、武器を使わないと言ってない。一体俺がどういうやり方で、この二十年間、トレジャーハンターとして生き残ってきたと思う。もちろん、いまの一撃は、ブロンクスの腕が未熟だからにすぎない。もし本当に優れた剣技を持っていたら俺は完全に真っ二つにされている。」 兵士たちの顔つきがおそろしくこわばっていた。化け物、と言いたげな顔をしてる。 スロー 「しかし、ネタは簡単だ。俺は<緩速>の魔法をあらかじめかけておいた。戦闘を有利にするためだ。だが、それは一つの説明のためだ。俺は魔法がなくても、ブロンクスを同じ目に遭わせることができた。疑う者はいるか?」 (小さなものを苛める、猫のような気分だ――) 誰も、何も言わなかった・・俺は舌なめずりをするような、皮肉な眼で見るが、そんなのは、ポーズにすぎない。そもそも、そんな魔法があることさえわからなかった時点でも勝負はついている。いや、どんな意味でも、この闘いは無駄だ。自分ですら声を出して泣いてみたいような衝動の声を感じる。誰かがお膳立てした。だからおびただしい悲鳴が、流星のように光るのだ。そしてすぐに消える。強さは虚しい。 最低こんな使い方をするためのものじゃない――・・。 「・・気付いてほしいのは――武器を持たぬ相手に斬りかかった時点で、こいつはもう既に負けていたということだ。もちろん、ブロンクスが野蛮だったとは思わない。こいつの騎士道精神が歪んでいるとは思わない。おそらく、怒りは本物だ。それでも理性の一歩手前で、俺がどれくらいの腕前か見るつもりだったんだろう。油断だ。もちろん、絶対に勝てると思っていたわけではない。こいつほどの実力なら普通にそうだ。格上か、格下かくらいわかる。経験も違う。本能的にもうそんなことはわかっていたはずだ。だが、結果はどうなった。それは慢心だった、と眼が醒めた時に思うかも知れない。俺はこいつの剣の動きを完璧に見切り、挙げ句、剣をつかまえられ、お釈迦にされ、そのうえ、吹っ飛ばされた。しかも、のびてる。これは本当に最悪だ。たとえ、魔法がなくても、俺はこいつの剣の動きは読める。つまり、それだけの使い手でしかないことを認めなかった。未熟だ。肉体能力は高い。だが、そんなものは図式や、象徴的な能力や、ステータスにすぎない。繰返すが、こいつに言い渡されるのは、メンタルの弱さ、それだけだ。俺は助言をした。そして、何度もこうなるのだぞということを、婉曲的に説明した。こいつにはわからなかった。何百回やっても、この結果はくつがえらない。完全な敗北だ。」(目から鼻に抜けるように落ち度なく、) 一同はようやく、暗い眼をして、事態を察して部屋を出ていこうとした。ブロンクスを担ぎあげ、どうも迷惑をかけました、と、その中の一人が言った。 「ブロンクスが目覚めたら、お前は強い、と俺が言っていたと教えてやれ。皮肉じゃない、見込みがある。お前は、不謹慎な行いをしたと恥じることはない。それは俺の方だ。わざとこんな真似をした。それでも、俺はお前にちゃんと応えた、と言ってやってくれ」 と、俺は言った。伝えておきます、ご迷惑をおかけしました、と言った。 でもブロンクス、本当の敵を手なずけるまでに自分を堕落させるなよ・・。 「また他の者も、俺なんかの適正を絶対と思わず、落ち込まず、これを一つのターニングポイントとして、引き続き修練に励んでくれ。やってできない奴なんか、八十六名全員いない。お前等はただ、ちょっと足りなかっただけだ。」 四十名ほどは、それぞれ礼儀正しく、頭を下げ、部屋を去って行った。酒は苦い。討論は不信を募らせる。沈黙を重ねて、自由への翼を容赦なくへし折る。何も言わず、つくりあげてきた煉瓦の家が、台風ひとつでふきとんでしまう。 そして指から、きらきらと砂がながれおちてゆく。 まだ、皮もむかぬ馬鈴薯のような素質の者たち、と俺は思った。一種の絶望的なノスタルジアだ。描かれた線が、抛物線であることを、祈るばかり――だ・・。
2014年01月31日
トレー ニングル ーム―― どうしても納得できない、と彼等は言う――・・。 「そうだな、俺も無理だと思う・・」 覚悟を決めてきたのだ。(だから身体の奥に『崩壊』を感じる)選ばれた人々にとっての、永遠的な観念。それが一刹那の間に、繰返しサインを送る。そしてそれが澱んだ沼のような脳味噌にする。密集した臭い男たちの体臭が流れでるとともに、何時の間にか吹きはじめていた、野生の旋律。ただこのままで眠りの淵へと陥るがよい・・元の道へと、戻ることはできない。公平無私のスポーツなら、晴朗な宣言なら純粋の美を望むのは、善いことでもあり自然のこと。何かさせろ、それなら自分は納得する、と言っている。 (しぼんだ花を摘みとったり、度重なる海からの霧に落とされたりしたくない・・) 人間の奥深い臓腑を揺り動かす、不安のざわめきが、そこを通り過ぎただけで、要注意者をぞくぞく現われさせる。[懲役を求刑されるより辛い・・] 平たい布が、呼吸を苦しくする。衰弱する。熱をうしなう。でもそれは嘘だ。ただ、放縦に振舞っているだけだ。シミだ。自分よりも他人に打ち克つことが正義だと思っているタイプの典型的な特徴だ。俺は惨めさと醜くさとを人一倍深く感じ、そして人一倍深く憐れんでいる。 まるで自分の王国という題で、模型を作り続けている。蠱惑の力と情熱の炎。敵を斃さなければ、敵は自分を斃す。なんの躊躇も、なんの思案もない。しかし自分の心で何もかも過去はいっさい焼き尽くして見せる。神も彼が潔白ならんことを欲する。 或る微妙な罪名が破廉恥する!・・エクト―――プラズム・・ 「では、えーと、お前の名前は?」(薬品検査の不行届!) グッと、身体をのけぞらせると、『停止する、いっさいのコマーシャルメッセージ』胸をふくらませる。血の気の多い若者は嫌いではないが、そんなことで、無理矢理承諾するわけにもいかない。嘲笑的な憶測。庇護をうけているがゆえの醜聞。何だか、俺が使い捨て出来る日雇いにすごい扱いをして、帰りに襲われる工事主任のような具合ではないか、と思う。明確な感情を表現せよ、と思う。左右相称の非定形模様の無機的なうつくしさ。 「ブロンクスです。」(言葉が呪文のようにひびき、海藻のようにちぎれる。) 耳を引きちぎり、睫毛を引っこ抜いてやろうか、と思う。雪渓が白布を流したように、刻々激しさを加えていく鳴動から、奈落へ。けばけばしい虎の皮の自粛へ。 「では、ブロンクス――最初に言っておくんだが、俺はお前の気持ちがよくわかる。俺はいま、前時代的な扱いをしてると思う。神経質的な自動主義。敏感さ、用心さに対しての欠如があると思う。(動かなくなる、動かなくなる!)――お前達は花形だ。トレジャーハンターごときに、と思ってるかも知れない。その瞬間の感じのことだ・・動物的な、満足である。いやそうでなくとも、お前たちはいわば最新設計のビルだ。風景の莫大な消費だ。計算された壁の色で、心理をあらわすようなオートメーションがあちこちにある。お前はいわば、目隠しをされて、部屋をぐるぐる回らされているような犬だ。お前の言いたいことは、こうだ。社会的な矛盾をしてる。(小刻みに揺れてる――控え目な動きに揺れている・・)指が一体なんだ。赤い血が流れているのはわかる、かすかに汗ばんだ生き物の汗ばみがひめやかな吐息をする影絵のようなてのひらがなんだ。お前のスキルがなんだ。そう言いたい気持ちもわかる。理屈をこねだした十代前半のようなお前だが、そういう革命的な情熱は俺の望むところだ。ひどい歪形。お前たちの深さをまじさえたすばやいまなざし――・・」 皆も、一様にうなずく。まず、変な奴と思われては困る。 情熱が燃え尽きて抜けがらになったような、さみしさ―― しかしこの喜ばしい物質が同時に、冷たい物質だ。操り人形。誇大妄想。拡大解釈・・蜘蛛の巣にかかった蝶を、抱擁と称するくらい――熱意にあふれた偽りだ。[スライディングせよ!]上流から木を流す時、浅瀬に乗り岩に堰かれ、どこかで、止まる。それが何処であろうが、迫力と訴求力のポーズにすぎない。 仮に、無智なおだてかたをしても、ほんとうの淋しさは、誰も知らない。 少し斜めに歩を移すと、向うの崖に通ずる一条の道がたえだえに見られる。そこがお前の道だ。お前はまだ、本当の川の流れを見つけていない、と言えるだろうか。微熱が出て、眼にうつる世界がかすかに消耗されてゆく。引け目は、簡単に補償や、保険を欲しがる。 それでいて、まともさに対して一切の眼を瞑ろうとする。 「でもお前はいま、ギャングどもと一緒だ。」と俺は指摘した。 少し怯んだような気配があった。(知覚をうしなってしまった――)話せばわかる相手が、鉄面皮だったからだ。眼に映る過去は、映らない時と大差ないほどに、貧弱。愉快で、変てこにあくせくと、滑稽に通過してゆく。(赤道へと――。) まるい地球儀にふれると、くぼんでる、欠陥商品。口から、風が生まれ、転げ落ちるように、臀部へといざなう。放屁。今までテキパキ動いてきた人間が、急に人形になったように茫然と俺を見続ける。救済はない。お疲れ様と、俺はお前の肩を叩いている。 「お前に決定権は一つもない。秩序は俺が作る。未開の段階において、お前はただ、素朴でわびしい模倣を得ているだけだ。異常な成績。自尊心の回復・・お前は劣等感を克服するために、がむしゃらにやれると言うかも知れない。だが、俺はお前のマシュマロみたいな感情の性質に、いちいち思想や、安定的な言動をすることはできない。貧困だ。想像力も貧困なら、貧困のどん底に蠢めいている白蟻みたいなものだ。はっきり言って、邪魔だ。時間の無駄だ。お前等はみんな口癖のように、溜息をつきながら、どうして、と言う。わかる。お前は同じ酒が飲みたい。俺がお前をきちんと指導してやれば、お前は道理から外れることはしない。俺の所まで来たい――自分は猿じゃない、人間だ。きちんと扱ってくれ。握手なんかで俺の才能を見極めないでくれ。そうだ、でも、そういう人間の自尊心ほど、猿だ。ついでに言えば、ザルだ。世間知らずを強くする。俺はお前を慰めることはできない。他を当たれ、女に腕まくらしてもらえ。繰返すが、俺はお前に命令してる。丁寧にこれ以上説明せよ、ということはできない。俺はこんな若者の展覧会みたいなシュールレアリスムの状況自体が、不快だ。お前には最初から上下関係がある。小利口な愚鈍な群れの中で、他人の檻を見て勝手に吐き気しているようなものだ。モヤモヤが嫌なら川で泳いでこい。だがそれに反発を感じる必要はない。お前はこれから無限の努力をして、俺を見返せばいい。それだけだ。失せろ。」 と、俺は挑発する。相手はもちろん、カンカンになる。傷口を酸をそそぐ――ようなもの・・でも、キャラメルが欲しいのか? それともドロップが欲しいのか? しかし、俺が優しい言葉を吐いた所で、どうせ、納得がいくわけはない。ただ、根も葉もないあてこすりが底に残り、提供されるのは、防衛本能からの不干渉だ。善意の押しつけは不毛だ。贅肉を緊張させたって、皺はとれない。半ば地面に埋まりながら、俺のことを思うだけだ――これは避けて通ることはできない人間同士の対立だ。空間を生物が電波と同じ速さで輸送される。生ぬるい異臭・・首や手足から、フェロモンを発散させ、感情を増幅させる。 (君は空き巣狙いだ!) 「頼むから、納得のいく説明を聞かせてくれ。俺はこの兵の中でも、一二を争う身体能力を持ってる。生まれつき義務を拒まない性格もある。強くなりたい・・それに、今回の参加は、俺自身とてもいいことだと思ってる。できうるなら、アンタの指導を受けたい。はっきり言って、アンタの言ってることもよくわかる。俺は、アンタの規格において外れたんだろう。何か理由がある。それは絶対だ。わかる、でも本当にそれは確実なのか。俺は絶対に、先生を後悔させたりはしない。」 「うん、わかる――俺が、命知らずの兵士が欲しい時なら、お前を一番にあげる。」 それは予想外という台詞が一番妥当なのかも知れない。 「だがな、お前には精神面の弱さがある。本当は言うつもりはなかったが、お前のそれが、決定的な弱さだ。お前は、それが欠点だと気付いていない。お前みたいな奴を何度も見てきた。自分なら絶対にやれる。お前の場合は、肉体に対する過度な信頼だ。そしてそれが、お前を駄目にする。ナルシズムとか、精神の成熟とか言ってるんじゃない。お前にはまだ何かが足りない。それが、俺にはよくわかる。いまのままいけば、お前は近い将来、モンスターに喰われる。俺は賭けてもいい。」 ひびの入ったように、奴の顔つきが変わった。獅子奮迅、阿修羅・・血を流すほどの努力が、吠えさせる。求められた行為はしかし自分の意志ではなく本能のむなしさであるかも知れない。あれは何だ?・・と尋ねたならば、彼はこう答えたかも知れない。血の昂ぶり、と。 「俺は我慢できない。」 そうだな、と俺は思った。(お前は傷口に手を突っ込んで血を流したい。)わからないんじゃない――わかりたくない・・動作や表情の影が、そう言ってる。俺は強い。確かにアンタにはかなわないかも知れない。でも、アンタの意見が的外れだという自信がある。 いつでも人の心には、独特の遊びがあり、独特の悪戯がある。虫がいる。蟷螂に、ゲジゲジに、蜈蚣に、足長蜘蛛。それが人の心を狂わせる原因でもあるかのように――・・。
2014年01月31日
* 同時刻、アムニの神霊的空間で異変が起こっていた―― アムニは様々な神獣たちの宝庫であり、来る人を選ぶ・・ そこに来られる者はすなわち、選ばれた者だけ・・ ――伝説では、結界を越えたクリスタルの宮殿に、 在りし日の姿のまま、彼等が生息していると言う。 イフリート:何故だ・・。 覆面の男:うるさい。 (次の瞬間、火を司る神獣イフリートは、 一個の硝子玉に封印された。かたん、と乾いた音が鳴った。) 『〔サラマンダー〕がタッチされ、開封されました』 『〔火の能力〕を入手しました。』 ウンディーネ:何故なのだ・・世界平和が―― ・・・そなたの念願ではなかったのか・・ 覆面の男:ウンディーネ、闇はいいぞ・・ ――俺は・・何処までも強くなりたい――・・。 ウンディーネ:取り込まれたのだな――・・ ・・・あれほど――私たちが言ったのに・・ (次の瞬間、水を司る女神ウンディーネは、 一個の硝子玉に封印された。かたん、と乾いた音が鳴った。) 世界は終わりだ――終わりだ・・・ ――ウンディーネの残響・・・ 『〔ウンディーネ〕がタッチされ、開封されました』 『〔水の能力〕を入手しました。』 その時、シルフ・・またの名シルフィードは、 こっそりとアムニの神霊的空間を抜け出した―― シルフは、風の神霊・・少年の姿をした、神霊だ―― 次の瞬間・・大地を司る神官ノームは、一個の硝子玉に変えられた。 ――シルフは・・探さねばならなかった――上方から入ってきた、 光の道筋が、散乱によって見えているように、 新しい光を・・新しい勇者を――。 * 同時刻、山の空と相咬む波状の輪廓の麗美なる色彩にみちたこの王国―― ビジタリアン場内の、図書室の隣の部屋に、不穏な影があらわれていた。 よいしょ・・と、窓を開けると、くちばしをかちんかちんと鳴らす鳥・・ ――それはまぎれもなく、かもちゃんだった・・ かもちゃんは、大きなお尻を振りながら、チーズケーキを見た。 かもちゃん:お腹減ったな・・。 料理人:なんだ、このばかでかい鳥は――モンスターか? かもちゃん:バカヤロ、わかってるダロ、鳥だろ、見たまま、鳥ダロ! (――鳥が話してる。というか、鳥なのか・・、と料理人は思った。 しかしそう言って、首にぶら下げた風呂敷から、サンドウィッチ、 という不思議な料理を見せた――・・) かもちゃん:にまあ――っ。 料理人:どうも、モンスターじゃなさそうだな。 かもちゃん:チーズケーキ――食べたい・・ (うるうるした眼で、自称鳥は、お尻を振った―― チーズケーキを欲しがる鳥なんて、初めて見たな、と料理人は思う・・。) かもちゃん:サンドウィッチ・・あげるから―― 料理人:でも、これはセルビアさんの・・ (かもちゃんは、にゃおー、と大きな声を上げると、ばたん、 と倒れた。そしておもむろに立ち上がると、 「マジで、セルビアだけど、チーズケーキあげなさい。」と言った。) 料理人:いや、セルビアさん、死んでないから・・ かもちゃん:わかってるダロ、癒し系キャラクターとして、でてきた。 (料理人は、交換してほしいらしい、サンドイッチに、 ぱくつく・・「美味いなあ、これ――おまえ、作ったのか」 「西の友と書くSEIYUに行けば、買える。ウォルマートやめてほしい。 もしそうなったら、かもちゃん、どうしてよいかわからなくなる・・」 なんかよくわからないけど、「まあ、チーズケーキ食えよ」) かもちゃん:チーズケーキ、やわらかべな。 (屈託のない笑顔を――見せながら、チョコボの親戚する、鳥。 あっという間に、チーズケーキを、二三個食べてしまう。) 料理人:まあいいさ、もう一回つくるよ。 * 同時刻、飛行船が、空に浮かんでいた――。 それは、『この世界における魔界』と称された場所から飛んでいた・・。 シューティングゲームの画像、次にドット絵の画像、 最後に、イラストの美しい画像――。 飛行船の中で、小競り合いの声がする。そこには、黒いアーマー、 ――闇属性の兵士が・・ふたりの女性を捕まえようとしていた。 闇の兵士1:観念しろ。お前たちに逃げ場はない・・何処へ行っても―― マリア:うるさい・・悪魔に魂を売った者は、これでも喰らえ! (にんにくだった――そんなもの、キョンシーでない限り、きくわけがない。 ――困ったな、とマリアは思いながら、隣にいるフランス人形のような、 落ち着き払った、『世界で最も優れた白魔法使い』と称されるシャンラットを見る。 その美貌、そのスタイルと共に、勇者たちをうらやましがらせたのは昔の話。 しかし、このような危機的状況に、彼女は無力だ。攻撃系の魔法を一切使えない。 武器も持たな――い・・シャンラットは、『歩く病院』それだけ――だ・・) シャンラット:マリア、これ以上足掻いても仕方ありません。 マリア:いいえ、シャンラット様・・仲間を集めるのです―― シャンラット:世界最強と謳われた私たちのパーティーより、強い者が・・ ――何処にいるのです?・・ マリア:闇の谷なら―― シャンラット:フェニッ――クス・・・ マリア:はい―― シャンラット:でも、フェニックスが・・いたとしても――。 (噂は知っている。どうやって、上級モンスターで埋め尽くされた―― あの地下へと続く迷宮を、闇の谷へと続く道を越えて――いけよう・・) マリア:このまま、闇に取り込まれるよりはマシです! シャンラット:そうね・・。 (しかし、シャンラットは気付いていた・・所詮、光の力など無力にすぎない、と。 神の加護をもっとも知りうる彼女が――うなだれていた・・ 闇の力に取り込まれなかったのは・・私が、力を欲しがらなかったからだ―― けれど、いまの状態はどうだ。力を欲しがらない自分は赤子にすぎない・・ そんなシャンラットの、嘆きを、聞かせながら・・飛行船は、ビジタリアン王国へと、 いま、向かっている最中だった――) *
2014年01月31日
トレーニングルーム―― この城にはあまり似つかわしくないが、最先端の設備が導入されている。サイクルトレーナーとか、エアロバイク。(撃鉄が上がって、輪胴が回転する)定番の有酸素運動系マシンである、ベルトの速度調整、勾配調整機能も付いている、爽快な拘束力。失望とも不快とも感じぬ計算された間接的な脈拍。海底一万マイルにでも沈められたような、それでも、溺れながら走る、天国へと焦燥する努力というよりは惰性のランニングマシン。座った姿勢で錘を下げる運動のシーテッド・レッグカール。HPは減少する・・ セーブポイント上で△ボタンを押してミッションを選択せよ。 座った姿勢でバーを引っ張る、ラットプルダウン。シーテッド・ローイング。胸と二の腕を鍛える、ヴァーチカル・チェストプレス。両腕を身体の前で合わせるように畳んで胸を鍛える、ペックデック・ヴァーチカル。座った姿勢でひざの曲げ伸ばし運動をする、レッグプレス。仕組みは簡単だ、肯いて毎日その厚い楽譜を眺めていればいい。一日一日をその失神に似た姿勢で、眼を閉じ、蒼ざめて、汲んでも尽きない夜の海の寝息を聞きさえすればよい。 もちろん、定番のダンベルセットもある。[疲労が蔓延る。汗が飛び散る・・健康的で、根強く、漂流者たちの条件を満たすことができる](祝!メール開通)腹筋台、背筋台もある。ストレッチマット、体重計。他には――、アクセサリーショップ、マテリアショップ、あるいは、率直にアイテムショップでお馴染みの、浸食が・・。 プローンレッグカールとか、アームエクステンションというのがある。 もちろん、何処からどうみても城にあるようなものではない。だが、真っ直ぐに向いたままの城が、通り魔のような風に吹き飛ばされる話を知らないか? ハリボテ・・トランポリンも何故かあり、懸垂器具もある。また、湿布薬・鎮痛剤も部屋の隅の救急箱に――。 <挿絵や、写真や、図を用意せよ!> そんな、ものものしい部屋に、兵士たち八十六名が集まっている。 ワールドマップから各地を周ってゆく、トレジャーハンター候補生たち。言葉を知らない幼児のように、準備体操をする者や、ストレッチ、スクワットをしている奴もいる。瞼をぐっぐっ、と上へ押し上げる者もいえう。シュールに美しく歪んで見える薄明の意識。 やる気満々だ。細かいうるさい物は、見る間もなく過ぎ去ってしまう。 「では適性テストを行う。」 (サイヨウナイテイ)とかかれている―― かかれているのは・・。広くて、すかすかの、業の塊――。 と俺は言って、ひとりひとりの手を握っていく。指先が腕を探る。手の甲で止まる。動かない。眼を瞑る――空気や物を定着させるはたらき。重力。たとえば広場へと足を向かわせる真理のたえまない足音。 どろっとひろがる、にかわでくっつけたような、得体のしれない直感のメッセージ的な発酵。飼葉の枯れ草みたいな、甘い匂い。団栗に、穴を開ける時にふっと考える、脳味噌の痳れ。 お前には剣の素質がある。お前は斧がいい、お前は魔法系に素養がある、と俺は八十六名を見ていく。時にむずかしい講釈をひねくりまわす癖・・握力はこめない。沈黙しながら、ただ、抑揚を欠いた声で続ける。おそらく奴等の心臓はビクビクしている。からかうような苦笑は御愛嬌だ。酸が増した胃液だ。強烈な消毒臭――無視されるのは嫌だ、だから雨の中で、明るい建物に目を奪われる。膠着状態。飽和状態・・だが、そこから逃げることは出来ない。十五分ほどで、それは終わった。皮膚にへばりつく、陰気臭い細かな霧。 誰かが咳払いした。[藁のなかにくもぐってゆく・・] 獣も見ぬ、鳥さえも啼かぬ、――静かな夜のような部屋。 “それは或る重大なる政治的狙いを秘めたる某国の謀略だと認めざるを得ない” その時点で、四十名以上が脱落することになった。肉眼では見えない透視力・・黒の溶液、本能の遺産。だがそれが生臭い臭気をうみ、どうしようもないデクノボー(どうしようもないウルトラバカ・・)と、コラージュする。 まるで僕等は腸で、縄跳びをしているみたいに・・。 それは、滅亡へと至る、時間が二重写しになった経験の、方位磁石の見つけた、広い道であるかも知れない。彼等は最初、笑いさざめきながら行列を続け、虹を見た。坂道だった。斜面をのぼり、動物のように、ぬっと姿を見せた。俺をしげしげと、冬眠から覚めた蛇のように眺めた。そして浮かれて、<重力平衡圏へ入る>ここまで歩いてきた。でも彼等はそのすべてを読まないうちにずたずたに引き裂いてしまう。 はやてに吹かれた木の葉が腐った鮭の腹に思えてくる。 だが、ここに狭い門がある。試練の道がある。岐路がある。 中には、何が起こったのかさっぱり了解できないという表情の奴や、がっくりと肩を落とす者もいた。そして、これでは人を馬鹿にしているようなものではないか、と眉間に皺を寄せる者もいた。首振り人形は、生気を吸収している――・・ 、、、、、、、、、、 《しつもんはきんしです》 ばかっぽくて、どうでもよくて、わずらわしい、俺たちの時間――・・ 「向いていなかったと判断された者にだが・・縁がなかったと思って、どうか気を落とさず、この部屋を去ってくれ。お前が悪いわけじゃなく、俺が悪い。そういうわけだ。部屋から出て行ってくれ。」(アフタヌーン・アップルティーが飲みたい・・) と、目刺が杭に突き刺さっていた。 「ちょっと待ってくれ。」と、一人の男がカンカンになって言った。 そらきた、おいでなすった、と俺は思う。自然現象の驚異。室内自体が、音を吸収して食べている動物みたいに、饒舌な演説を好む。(数千頭のコウモリの気配を感じないか?) レタッチ・マン そのはずだ、手を握られて向き不向きを決められた日には、<修整工>よ、君だって眠れない夜を過ごすだろう。ターニング・ポイントは相手にかみつく非難の観念くだき。 これからトレジャーハンターになって、城を守ることを夢見に見ていた奴もいたかも知れない。俺はそいつの横顔を見た。ちょっと眉に皺をよせて少し躊躇したふうだったが、発見した瞬間から、レンズになる。興味を抱く――どんな人間にもドラマがある。スターになりたい願望がある。注目されるため、生存競争において種族維持本能を満足させるため、ホルモンを増加させ、生身の顔をより生き生きさせ、個性をつくる。 だが、そういう負けん気がいつどんな時でも通用するとは限らない。[カエルが、ほら牛の遠吠えみたいに啼いてる、けろけろ・・けろけろ!] そしてそういう奴は、鶴の一声で、どんどん覚醒する。正反対の順序で服を脱ぎ始める。できるか、簡単だ逆回しにすればいい。正確なビートを刻む、時計・・思考は狂う、一瞬の濁りでも、精鋭の姿を望めれば途端モデル化して、我も、自分もと、夢の中の老人になる。 イルミネーションにすら毒を流す。猛毒にする。影のように通過する、動揺の色。 気がつけば、俺のことを鼻もちならない、と勝手に決め付けてる。 「先生、そんな決め方は無理に決まっていますよ。(蜿蜒と続いて流れ込んでいく夥ただしい棺桶よりも?)」と誰かが言った。 オーケー、フ ァックする・・チャックする――カサブランカする・・。 聞くとおかしいほど大きな塩がれ声。皿を洗い、皿を割る、重要な初歩的な笑い。拍手も呼吸する。ハクシュンする――熱い埃も、やがて小さな渦になり、一つのワルツをかたちづくるオタマジャクシとなる。揮発性の抒情。突発的な光の余韻。だが、鶏の鶏冠をキュウリで間に合わせてしまう芸術家さながらの、うしなわれてゆく健康的なな生活。そんな奴いたっけ。いないよ。だから無理矢理作るんだよ。現実が、ぼうとした蜃気楼のように、したたかに、心を連れて悲壮に、フォト・デッサンしながら銀粉でもばらまきながら遠ざかる。 しかし大の男が、と、何か軽蔑できないものを感じないわけにはいかなかった[でも運命の力が働いているとは思わないかい?]間抜けめ――ひどく心の緊張を覚えているのだ。乾いていて、粗目なんだ、ざらついてる――人の哄笑にさらされる、と。毒を食らわば皿まで。誘惑まで――不揃いな足音、火照りが、肌にひりつくようにひびいてくる、しかし、頭ではわかる。受け容れる用意はできている。ゴム風船のように空気が抜けていく事態になった。だが、胸に甲高く打った、鋭い叫びをどうすることもできないのだ。それが悪魔のささやきだ。詭弁やトリックや老獪な話術。 『ああ・・・何と言う教育でございましょう!』 (ハンマーで砕けそうだ!) ひねりまわされ――砕け散る・・満身創痍な媚び! そしてそのために、時間はかかり、混乱し、疲労する。 その人自身も、相手も、途方に暮れさせてしまう。オリーブ油を塗った、ナメクジみたいな、変な、気分にさせられる。のたくる。印象は無用な不具の旺盛さ。それでも突進するイノシシ。空箱の産卵。 (ししゃものことを、しゃもといってしまう。) 「そうだな、俺も本当に無理だと思う。(非凡な短剣!)」
2014年01月30日
「塵一つ残らない。後には、そいつの恐怖の悲鳴だけだ。魔法の契約だって、正式なものでやらなければ、どんな目に遭うかはわからない。今回は特別サービス(と言いながら、トレジャーハンターになりたての奴に、よく頼まれて、引き受けてきた。)で契約に立ち合うが、世の中、甘い話ばっかりじゃない。気をつけろ。」 と言いながら、全員が目を点にしているので、どうも、さっきのチンプンカンプンの話より、少し現実味があるこちらの話の方が食い付きやすかったのかも知れない。敏感と聡明とを誇る、この国の兵らしくなってきた。暇な時間を増やすことより、非生産的な快楽を斥ぞけ、休養的教養の時間を持つ、この国の兵。 あるいは、脅しが利いただけかも知れないが。 「たとえば、ロングソード、ボウガン、回復系の魔法使いだ。」 「魔法の名称はなんですか?」と、ロバート。 Shine 「<光輝>」 そう言いながら、俺の身体が、すうっと光に包まれる。身に覚えのない記憶が自分の頭を侵食する。優しい光、魂をつつむ、――光・・。 戦慄的な名前が、何度もぐるぐるとまわり、方向感覚をうしないでもしたように、全方位へ。軽く弾かれるような、しっとりした感じが爪先から腹にまでも伝わってくる。 ・・静かな感覚。澄みわたった水は矢よりも早く流れてゆく、風はナイフより鋭く、火は心臓より激しく高鳴っている。人間の五感における音は空から運ばれ、風は神経組織とつながり聴覚に関係する。想像してごらん・・ 吹く風の音、下にはカサコソと落葉を踏む音――。 光は純粋な愛情の中に取り囲まれた自分を教えてくれる・・。 見てごらん、落ち着いた、しとやかな、そして安穏な一生を――。 火は光や色――視覚と関係する。水は舌が乾くと味がわからないと・・味覚に関係する。 土は嗅覚――感性の働きを強める、花・・鼻―― 初めて魔法を見たらしい奴等は、驚嘆の声を上げた。 すげえ、とも言った。いや、全然すごくない。 さっきまで、昏々と眠りつづけていて――、 頗る憂慮すべき容態のお前等の変わり身の早さがむしろすごい。よるとさわると重大らしく、必ずこの疑問を話題にしそうなお前等の子供っぽさ、しかし快活さは、明るい。 「これは本当に初級の回復魔法だ。」 「他には?」と、誰かが言った。 活き活きした沈黙を領している、部屋――・・。 おいおい、俺は見世物のパンダか。と思いながら、十八番の、魔法を使う。 fire 「<火炎>」 ぼうっ、とてのひらに、赤い火を集める。次第に、真に燃え立つような、強い明るいオレンジ色の勢力へと拡大して行く手前で、引き上げる。 城を燃やして反逆罪とかいう洒落にならないことはしたくない。 しかし、おお、と歓声が上がった。ひとしく、物珍しい眼を離さなかった。 何だ何だ、お前等こういうのが好みなのか、とも思った。 「俺は火炎系の魔法の使い手、ということになる。先程も言った、向き不向きの段階で決まる。火炎系なら、俺も高等な魔法を使えるが――・・」 と言っている傍から、さすが兄貴だ、あれで女をこましたんだな、と誰かが言った。 「なんという、欲情の――火・・。」 どういう下世話な見方だ――。 ふっと声の方に視線を向けると、にこにこしたポレロがいた。 「ポレロ、静かに。」 ウオフ、ウオフ、ワウオーン、と何のつもりか遠吠えした。 「はい、兄貴。お見合いの話は――順調に進んでますよ。」 この野郎、みんなにバラす奴があるか・・と、全員がくすくすと笑った。まあ、いい、 「でもありがとね、神様、感謝してますわ!」と笑いをとっておくことにした。 全員が、大きな声を上げて笑った。鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をして、おいおい、やっぱりお前等、いい顔をしてるな。小さなパラシュート野郎どもめ、と思った。 と、ふざけている場合じゃない。だが、重苦しい気持ちを拡げがちであった室内は、まだら模様のふり灑ぐ木洩れ陽のようだ。しかししかし、室内で輪投げでもしていたような気分だ。多幸症的な運動。舞踊的な要素。そして動からふたたび静――。 こほん、と俺は咳払いした・・。 「全員、剣に向いてるわけじゃない。本当の適性は、俺のスキルで見てやる。」 <見抜くもの>というスキルが俺にはあるのだ。 これでいままで数多くの武器をトレジャーハンターに持たせてきた。全員剣に向いているわけではない。一番ポピュラーな武器だが、たとえば俺のように、アックス、もしくはランサー、弓、そうでなければ格闘術といった風に分かれる。 それでもまだ向いていなければ、魔法系の力を持たせるように仕向けた。人間相手にいくら強くても、モンスター相手ともなれば向き不向きは絶対だ。それに、よい悪いもない。トレジャーハンターには毎年そういう馬鹿がいて、俺がどつきまわす、というのが一つのイヴェントないしは、名物みたいになってる。 放っておけばいいと思うが、それが出来たら、エリア31に上官殴って突っ込んだりしない。案外、これが理由で、今回のことも――というのは美化だな・・。 「それにあたって、これからお前たちの適性を見極めることにする。トレーニングルームへ行ってくれ。なお、それにあたって、昼飯を食ってからにしろ。少々手荒い真似をする。一時間後までに覚悟を決めてやって来い。命までとるつもりはないが、小便もらすのだけは勘弁しろよ。」と最後の最後で、しまいを引き取った。笑った。では解散、と言うと、奴等は食堂の方へ、一目散に向かっていった。おうおう、飯食って大きくなれよ、と俺は思った。 おそらく、昼食後はもうすこし資質の明瞭度は増すだろう。 「いい先生ぶりじゃないですか。見違えましたね。」とポレロが言った。 「よしてくれ。」 打棄っておいてくれ、と思う。 無鉄砲をわらわれる資格は充分にある。 「女性の方はリストアップしておきました。数日中に、お見合いしましょう。」 「お、おう。」と、何だか上擦る俺。 「でも――お前ちゃんとフォローしておけよ。」と俺は言った。「俺はあくまでも、トレジャーハンターになることを前提とした、おおよそ十二人、多くなっても二十人程度を面倒みるという話でやってるが、もちろん、ここには八十六名いる。悪いが、向いていなければ、護衛なり、兵士なりで力をふるってもらうことになる。しかしそれは、あくまでも俺の考え方で、俺がトレジャーハンターになれるかどうかの話で、なろうと思えば、全員なれるんだ。」 (面白い話がある。拳銃の打ち方を教えてくれ、とある奴が言った。だから、よろこんで、拳銃でそいつの頭をぶっ叩いた。気絶した。銃だって、打ち叩くものの一つだ。) 「わかってますって。」とポレロは言った。 「いずれの階級のいずれの個人にも等しくチャンスはある。俺だって、できうるならそんな差別はしたくない。トレジャーハンターなんかそんな大したものじゃない。だが、わざわざ死にに行かせること、さもなければ、命を粗末にさせるような目に遭わせることだけは避けておきたいだけだ。もちろん、全員指導できるなら、国家的には大喜びだろう。」 「そりゃそうですよ。」 「でも、眼が届かないことをすれば、必ず、死傷者が出る。」 「経験則ですよね。」 「俺は奴等に、まず、自分より強いモンスターと巡り合ったら、逃げろ、としか教えない。そんな三等兵の鉄砲玉の勇気なんかいらない。勝ち負けは後で決めればいい。それが人間ならやり直しがきくが、モンスターは俺たちを喰らう。ポレロ・・、親にも合わせられない惨殺死体を見るのはきついぞ。」と俺は言った。 俺の眼が、あまりにも鋭いので、ポレロも少しビビって、ごくりと唾を呑み込んだ。 「もし、選ばれなかったことで、嫌な想いをする者がないように、次回のチャンスの話をしておきます。もちろん、セルビアさんがやってくれれば、それに越したことはありませんが」 「おいおい、俺をどれだけ働かせるつもりなんだ、この野郎。」 「死ぬまで、なんてどうですか?」と、おどけながら、眼だけマジでいやがる。 「でも、俺みたいな兵士くずれに・・適正を見定められるなんて、嫌だろうな。」 では選挙しましょう。これに御投票を、とおどけて言いそうになった。 でも前歯がない少年のように――。 どこか、切ない空気を押し出す感じだ・・。 もうじきだよという冬から、春の合図――。 俺がもし、イスタリア軍にいた頃に、こんなことをさせられていたら、本気でキレただろう。目的や理由は違えど、トレジャーハンターに対する根強い不快感は金銭目的ということがあった。もちろん、俺だって生活のためだけに、こんなことをやってるわけじゃない。だが、国家のため、世界の平和のため・・という、考えを持っている者には、思う以上にダメージが大きいかも知れない。子供たちの依怙地なプライド。ショートする自負心・・だが、そういう暗い影を感じる必要はない、と訴えたかった。 何より、俺は兵士としての一生の方が立派である、と思っていたからだ。 だが、引き受けたからにはやらなければいけない。――と、ポレロがクワッ、グワッ、とアヒルの真似をしだした。何だ、アヒルにでも憑依されたかと思っていると、隣の部屋に食事を用意していますよ、先生、と言った。 どうも俺が難しい顔をしているのを、見透かしたものらしい。 長いハサミが頭の後ろから耳の上をじょきじょきと切り進む――・・。 そうだな、飯にするか、と気を取り直しながら、ドアをがちゃりと開けると、西洋風の甘ったるいような一種のにおいがそのからだにも服にもまつわってくる。 ちなみに俺は、引き受けるにあたって、三食昼寝付きチーズケーキ食べ放題に転んだ。 もちろん、長く世話になってきた国に対する奉公的な意味合いもあったが、引き受けたのは、お見合いのこともあるが、チーズケーキも強い。ストイックな、あるいはサバイバルの要素が強いこの職業でいると、どうしても甘いものに眼がくらんでしまう。 だから俺も笑えない。お前たちの教官は、チーズケーキで出来ている。 「フォークとナイフを忘れてないだろうな!」と俺はふざけて言った。 「もちろんであります――隊長!」 しかし教壇から彼等を見下ろしていると、おもちゃのように眺められるから不思議だ。ボーディングスクールの懐かしい記憶を、ふっと、手繰り寄せる。やはり十五や、六の頃の、昔のような懐かしさが、よみがえってくるのを俺は意識した。 と、ぞろぞろ足音が乱れながら、規則正しい鐘の音が聴こえてくる。 *
2014年01月29日
『王国の勉強部屋』と呼ばれる、図書室で俺は説明した。 室内には、膨大な本が本棚に収まっているが、おそらく、ここにどんな本があるのかは一部の者しか知らないだろう。王国の系譜がメインで、今年これこれどうあった、ということが追記されていく。ほかにも、国民の名簿も収録されている。 なお、全然関係ないが、城下町にある国が運営している博物館には、パピルスや、壁画の残骸なども多数収録されている。民族意識も強く、伝統も根強いのも、こうしてきちんとした歴史を確認できるからだろう。脳震盪を起こしたように、くらくらする、明るい国――。 山の空と相咬む波状の輪廓の麗美なる色彩にみちたこの王国――。 ステンドグラスなどがはまっている独特なデザインの大きな窓が特徴で、話によれば、この王国の象徴的なイヴェントを記したものらしい。棘が跡形もなく消えそうな、意匠だ。そして、理想的な換気装置。 また、先程からクラシックの音楽が流れ、これなど、贅沢な仕掛けだ――もちろん、ここには、世界中の名著も健在で、この国の文化教育の高さがうかがえる。 と、俺はここで、『初心冒険者セット』と銘打たれた、マニュアル書の類を全員に配った。これは俺が作ったものではないが、やはり、トレジャーハンターとして名高い、俺の先輩でもある、先駆者が作った。 大分前に出たものだが、いま読んでも目から鱗のエピソードがあるから、すごい。 また。トレジャーハンターたるものなら、当然できていなければおかしいことが書かれている。エッセイなども収録した分、分厚いが、テントを張って一人淋しくなる時にこの本に何度助けられたかわからない。俺がトレジャーハンターで尊敬している数少ない一人だ。 もちろん、ここにいる者は、そんなものに目を通したことすらないだろう。 もしかしたら、世の中にそんなガイドブックがあることさえ、知らなかったかもしれない。 でも、これ一冊と、俺の・・と、宣伝してどうする。 でも、たとえば『アムニの神霊的空間』の話。これは神獣の話。ちなみに先程、講義していたのもそのひとつで、これから、『闇の洞窟』を目標にさまざまな場所でのモンスターハントをするにあたって、しておいたものだ。 もちろん、これは伏線として、試験的な意味合いがある。 犬猫で言えば、予防注射のようなものだ。 しかし犬猫たちが、浮かれ歩いて行く情景しかそこにはない。 そう、結果たるや散々なもので、数名の者は意図をわかっているようだったが、いつもなら訓練に明け暮れているだろう頑強で、国家愛の強い彼等・・騎士道精神も女がいなければこんなものか、という、たくましき男たちは、こんな眠気催す話に、何度も眠い眼をこすっていた。お前はアライグマか、と思う。 まあ、股間をこすっているよりはよい。そして今度は、一心不乱にせっせと少しばかりのこわれおもちゃをいじくり回している。 ともあれ『初心者冒険セット』には、最初の段階のことが事細かに書かれている。 だが、全員に配る必要はなかったのかも知れないとも思う。そもそも、話の意図がわからずに、寝ぼけている時点で、アウトだ。 いくら俺の採点を甘くしたって、モンスターたちは優しくない。 最初からガツンと基礎を叩きこむことで、一発死亡の危機を回避できる、という意図もあった。もちろん、誰がそんな間抜けになるものかと、思っている。当たり前だ。お金を稼ぐのが、トレジャーハンターの仕事だ。でも、毎年トレジャーハンターにはそういう奴がいる。けしてそいつの腕のせいだけじゃない。初心者がいきなりモンスターに囲まれて、とか、下級モンスターを仕留めようとして上級モンスターと遭遇した、という笑い話にはならないようなことが、起これば――・・。 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、 勿論いつ天国行きの切符を手に入れてもおかしくない。 誰に言えるだろう――・・。 吐息――。俺は、眼を見開く。 欠伸する。そして、泡立ち、緊張する・・。 かの勇者どのだって、昔は苦労をしまして、と謙虚なことを言っていたものだぞ。おもむろにしかも絶え間なく、後へ後へと流れて行った。経験、苦労・・もしその中に一つでも動かないものがあれば、それは薄雲を漂わせる、お前の手や、しみや、切り傷。 いまの俺なら下級モンスターどころか、中級モンスター十匹に囲まれたって平気だが、それでも、上級モンスター十匹に囲まれたら間違いなくお陀仏だ。いざ、それが自分だったらどうする。そんな時は、勇敢さなど無用だ。必死こいて逃走しまくるしかない。あと、パニックにならないこと。敵の目を避けるように、攻撃をよけ続けながら逃げる能力。 そいつが追いかけてくるか、来ないを一瞬で見定める直感力――・・。 当初から推奨される仮説は、消音機つきの銃をかかえたテロリストが狙っているぞ、だった。トレジャーハンターの仕事にそんなものはないが、そう考えていろという心構えをあらわしたものだ。危険な状況の時にそなえて、いつもガムを噛んでいろ→敵と遭遇したら、とりあえず、ガムをふくらませて、ぱちんと破裂させろ。鞭を持つ→お前は馬だ。 が、こういう子供っぽいことを言わなければならないのも野暮だが、あらゆる職業の中で、もっとも危険で、もっとも死亡確率が高いのは、トレジャーハンターなのだ。 それに、一見のほほんと講義しているように見えただろうが、こいつらの大半、つまり九割は催眠を使うモンスターという教訓を、一切受け容れてないと見える。知識不足を補うために、町の研究所に頼んで、データブックをデジタル化、さらに携帯化するかとも考えた。 しかし、だからといって、頭をどつくわけにもいかない――・・。 昨日まで彼等は国を守ることが目的だったのに、今日からアクティヴにも、全員がトレジャーハンターになり、国を守る役目をしろ、ときた。もちろん、全員参加させるような話ではないものの、十二人ほどの候補者を探すつもりだったのだが、めぼしい奴は片手ほどしかいない。しかしそれだって、おそらく、何マイルも離れた場所から企てられた暗殺なりの流れ弾が、たまたま当たったようなものなのだろう。 突拍子もない上、突然身に振りかかってきた火の粉に緊張するやら、不安でいっぱいやら、けれどそれでもやっぱり眠たいやらといった顔を浮かべているのが、おおよそだ。 トレジャーハンターになるのだ、という意気込みは、まったく感じられなかった。 俺は黒板に、文字を書きながら、初心者マニュアルと経験を参考にして、武器や装備、戦術などを説明していく。たとえばモンスター退治においては、好き勝手に武器を持っていい、ということ。ただ、近距離攻撃、遠距離攻撃、あるいは回復系の魔法を使う者のパーティを組むことを前提とした。 「セルビア先生、質問です」と、真面目そうなロバートが言った。 剣技の腕前がピカイチということだったな、とざっくり書かれた兵士一覧表を見る。 ちなみにこいつは頭角で、よいトレジャーハンターになりそうだという勘があった。 「先生はよしてくれ、ロバート。でも、お前が言いたいのは回復系の魔法のことだな、自分たちは魔法を使えないのに、どうするんだ、と。」 「はい。」 いいね、こんな気持ちのいい受け答えするトレジャーハンターはいない。 まず、受け答えに基本敬語はない。そういう世界である。 クローゼットを掻きまわしてセーターを見つけるような世界だ。 「安心しろ、初級の魔法なら、契約を結べば誰にでも出来る。向き不向きはあるがな。魔法はそもそも、火、水、風、地で説明される。サラマンダー、ウンディーネ、シルフ、ノーム。みんなも知っての通り、俺はあのアストリアで兵士をしていたことがあるんだが、そこに魔法が使える奴が混じっていて、そのやり方を教わった。あらゆる魔法は、精霊との契約だ。ただ、回復系の魔法、もしくは、暗黒系の魔法だな――それはまったく別の管理下にある。精霊じゃなく、前者なら、この場合、土地の神霊との契約にあたる。まあ、後者、暗黒系の魔法についてはあまり説明する必要のないことだが、もう知っている者もいるかも知れない。悪魔に魂を売った連中だ。肉体や魂を売り渡すことで、強くなろうとした連中の最後は――死んだ時にわかる。絶対にするな・・もしそんな考えを持っている奴がいたら、俺が殺す。」 一同が、ごくり、と生唾を飲み込むのがわかった。潜伏期ほど、野良猫は虎になりたがる。 塗りつぶしたような暗闇――ジメジメした陰湿な空気・・。蛆虫・・蠕虫――。 生者が覗き見てよいものではない。貧乏や、孤独や、小さな虚栄やわびしい歓楽。 そこで、爪先が痛む、腓が痛む。ひと刹那の間一層暗くした、呼吸・・。 膝関節がいたむ、腿がいたむ、ついには腰までも――喰われる・・ほぼ薬籠中とする、 軽蔑すべき連中。悪魔に魂を売るだけで、進取的精神が麻痺する。誹謗中傷は増加する。 鬼に。狂気に――蛍光性のようなグレーの膜に。灰は掃除したことがあるまい・・ きっとないと請け負えるくらいの穢たなさの暖炉――・・。欠点や弱さは、個性になる、 必ずいつの日にか強さになる。うやむやに葬ってしまうな、向かい合え。 向かい合うしかない・・。根本的問題は、新鮮なエネルギーになる。 スキルになる。カメラ・アイになる。いまは欺瞞に思えても・・。 意気悄沈、今にも泣き出しそうな顔をしている奴もいて、目隠し状態になる。 金魚鉢にいる――ああ、オタマジャクシみたいだ・・河豚みたいなツラ――。意気地なしの、 はたらきの無いその顔には、ありありと当惑の色が現れている。でも、うつむくな、 忘れるな、人類が最高の知能者だと自惚ぼれる者があったら、どうかしてる。嘘に、 尾鰭を付けて、賭をしているようなものだ。 長く生きていると、厭な記憶がわんさかしている――石杭をつなぐ、 頑丈な鉄の鎖・・ぐるぐるに巻かれた、パンドラの箱。通俗的な、普遍的な、 非専門的なものでなければならない、というスポイルの誤解を恐れた者たちの末路。
2014年01月29日
花火師には化学の知識が必要であるように、哲学にも芸術的な感性が必要だ。生徒たちに知識を詰め込んだ教育が餓え渇するものを求めていない――それゆえ、知識の源泉は経験である。驚異の眼を瞠った者だけが、知識への発作を冷静に分析することができる。先天的なものは何一つとして使えない、理由のない興味は一つも存在しない、やってみるがいい、誰もあなたの言葉に耳を傾けたりはしない・・。気づまりな時代に、あなたが犯した数々の不都合を思い出す、少なくとも怒りを交えずに、軽蔑していること、胸をどきどきさせないこと、弱いこと、醜いことを――・・。グローバルな知識も、専門的な知識も、生活にオーバーラップしていかなければ、自分自身には意味がないことだ。消化しなければ用を為さぬ知識、人と話す間に、あるいはそれを見聞きする間に、本として読む間に、人がまなばなければならぬ時間は減っていく。しなければならないことを取りやめ、好きなことを取りやめ、無知の様相をなまなましくさらしながら、謙虚さをもち、百科事典的なイメージを手繰り寄せ、ひとつの社会が共有するすべての知識へと、瞑想する。不適切な形で宗教へとベッドインし、悲しいくらいに愛が翻弄される。ねえ、神様、僕等は死ぬまで、その問題が解けなかった。人は本当にその気になれば何でもやれた、でもその機会を否定する言葉は口にするのに、それを肯定して、行動する考えは奪われたままだ。24時間、詩を書ける体力や根性はあっても、あふれんばかりの情熱を持ってしても、僕の魂のかがやきをもってしても、僕はどれだけ詩を書いても、その問題を解ける自信がない――。人がみな知識を求める時、僕等は『死なない』ことを前提としてる、でも僕等は所詮与えられた『器』にすぎない、神を恐れない知識によいも悪いもない。でも、間違いは深まるだろう。そして僕は神をののしりまくるし、でも、次の瞬間にはきっと神を受け容れてる。霊的なものに知的であるために難解なのか、それとも超自然の代弁による人への知識の連絡なのか、僕は時々、真夜中、目をつむりながら考える、煙草を吸いながら考える、多分どんなことをしても、何を得たとしても、本当に満たされることなど、ただの一度もありはしない。殺人がなくなることもない、戦争がなくなることもない、でもあきらめることもない、しかしそれで世界平和を疑う必要もない。だからといって運動は軽視する必要もない、流行を笑う必要もない。僕等はただ、知識に差をつけているだけだ、色を付けているだけだ、それで言葉を得たりしているだけだ、ただ、それで偉そうにしたりしてるだけだ、でも何もしなくたって、そんな人は必ず現れる。システムは知識だ、魂のためにまったく役に立たないものが、ある日、とんでもない形で教えられる、自然とそこにまた導かれる。知識は暗闇に等しい、それゆえ、経験さえも暗闇。生きてゆくために明るくなるには、世の中を明るくすることだが、それにはひとりひとりの明るさ暗さが必要だ、新たな知識を身に付ける能力には、スタイルがあって、ルールがあって、必ずビハインドがあって、エクスキューズがあって、そして環境に適応した瞬間からそいつは、スポイルをはじめるようになってる。広告には心理学が必要だ、工場で働くには体力が必要だ、病気に打ち克つには医学の進歩が――・・。でも君、学んでいる人を侮るな、常に前に進もうとする人を見くびるな、僕は彼等に何度でも言った、たった一か月で、僕は君との差をつける。僕は目を瞑ってみる、いいことも悪いことも、増えたり減ったりもしない、起こるとすればそれは乗り越えることで、起こらなければ自分で何かを探す、僕等は感情の生き物だ、感情が神を探す、24時間悪の眼にさらされながら、手も足も出ない僕等の自由な舌が、どこまでも喘いでいるのを知りながら、それでも手を伸ばす、足を伸ばす――。本当に必要なものなんて何もない、だから誰が正しいと思う必要もない、けれど必要なものと正しいものは同一だ、嘘が真以上に雄弁であるように、それゆえ真実は常に寡黙だ。沈黙の中で、一番大切なことを学ぶことはできるが、しかしそれが一番正しいものである必要はない。僕はただ、目をつむり、この文明の集積の一つのプラグになったことを、感じる。蟻になった、あるいは蛇になった、林檎になった、もしかしたら花になった、と――・・。そしてまた深い眠りにおちてゆく瀬戸際で、生きることの馬鹿馬鹿しさに思い当たる、人を愛することの胡散臭さに打たれる、でも、それが愛の真の理解ってやつだよと思う。スタイルシートに、僕はコードやリズムを載せてゆく、ネットワ—クにおける選択的な視覚分析の知覚が、基本作法、知識、技術を学習した結果、精度の高い翻訳知識を自動的に作成できる。でもだからこそ、僕は感情を求める、それらをもって綴り合わせたり、結びつけたりする――はじめて言い表す感動が必要だ、そこで人を感化させるエネルギーが必要だ。僕は長い間、神の国にいるような気がする、でも、それを君が信じる必要はない、僕はただ、長い森を抜けて、川を渡り、さまざまな人や、動植物、昆虫と、巡り合ってきただけだ――・・知識の欠如が生み出したさまざまな珍説のように、みんな、同じ言葉を繰り返した――みんな、好き勝手なものを信仰し、それでプロペラ出来るのだといい気になって言った。そして愛がなくたって生きていけると僕が言うと、君等はみんな、押し黙るのだ、ひとりひとりが考えることにそれほど大差はない、学ぶことに特別な方法や、個性的な訓練はあるにしても、それもまた実践的な面でそれほど違いはない、あるとすれば、もっと別のことだ、もっと別のことが、マッピングする、感性に影響する発想源へと、シュミレーションする。眼をつむりながら、僕は思う、なりたいと思う僕は、なりたくない僕であるとしても、受け容れよう、と――もし知識が避けられなければならないとしたら、そこにも必ず意味がある・・。そんな風に、僕は一つの詩を考えている。しかしそれとは別に、また一つの詩を終えてゆく。たとえば、その時、隠された知識は広汎な仮説だ、と僕が言ったとしても、それが高度な知識であればあるほど、ニーズはより別のものになってゆく。たとえば、神の存在について確かな知識を持つことができない、でも、そんなことを言ったって、多くの話題について確かな知識を持つこともできない。多くの異なった興味の対象についての薄っぺらな知識が、本当に狭い門を忘れてゆく、でも、多くのところ、知識なんていうものは、生活を充実させるものすぎないのだ。そしてそれで好き勝手に勘違いしている人がいて、自分を別の人のように見せかけたいのだ、尊敬されたいのだ、愛が欲しいのだ。たとえば、また僕は目をつむってみる――・・今度は何も手に入れたくない、そしてできるなら、何も欲しくない、と願いながら、祈りながら――今日をやり過ごして、ゆく・・。
2014年01月28日
かもちゃんは、かもめハウスで、ごそごそと何かを探していました。 あったゾ。あったゾ、とくちばしでくわえると、昔の仕事の友達と会ったらしい、 wa!ひろさんに、つけてもらいます。 「これでいいの。」 「いい。」 ぴかーん。ウサギの耳。かもちゃんは、ラビット・かもちゃんになった。 スピードがなんとなく1上がった。耳が頭の上にあるので、何となく賢くなった。 攻撃力が草食動物なので何となく1下がった。 「今日からうさぎになる。」 電気カーペットのうえで、亀のように熱を吸収したwa!ひろさんは、 「がんばって。」と言いました。 と、かもちゃんは、ぴょんぴょん、と草むらにすんでいる、 うさぎ達を呼びよせて、 「オーマイフレンド、こっちへ来い」と無理矢理じゃれあいました。 うさぎ達は、マジビビりして、すぐに逃げ出そうとしましたが、 いい鳥なので、ここは一つそうしておくべきではないかなと思われたうさぎ達は、 おそるおそる、オーマイフレンドかもちゃんうさぎと言いました。 遠くの方でカラスたちが、兄貴なにしてはるのやろ、と言いました。 「どこからどうみても、うさぎ。」 と、そこへ、hiroyukiが煙草をすいながら、通りかかりました。 「それでうさぎのつもりか。」と言って、通りすぎました。 立ち止まり、もう一度振り返ってかもちゃんを見ました。 「それでうさぎのつもりか。」ともう一度、言いました。 「ひどすぎるダロ。」とかもちゃんうさぎは、言いながら、 しかし現実に、大きなお尻も、翼も、うさぎっぽくありませんでした。 そういうわけで、急遽、とりあえず、うさぎ達に、 うさぎらしさの講習をうけました。習うより慣れよ、の世界です。 茶色い体毛をした、なんとなくあたたかそうなうさぎが言いました。 「うさぎはまず、耳をぴこぴこさせます。」 かもちゃんは耳がうごかないので、羽根をうごかしました。 それは耳のつもりなので、それを、うさぎ達は耳のように処理した。 「うさぎはまず、猫の鳴き声はしません。」 「にゃおー、うさぎしない。にゃおー、うさぎはしない。」 段々と変になっていく、すごい仕上がりで、うさぎにおけるうさぎっぽさが、 経験値のようにたまっていった。マジでな、すごい勢いでふくれあがっていった。 そこへ、キャラかぶりしたいずちゃんうさぎが、とことこと二本足でやってきました。 「こんにちは。かもちゃん、どうした?」 「わかってるダロ、見たままのうさぎ!」 翼をばたばたとはためかせ、にゃおー、にゃおーねことちがうねことちがう、 と、いいつのり、お尻に丸い尻っ尾をつけ、ぴょんぴょん、うさぎとびしていました。 「あー、うさぎだ。」 ホントか? 「あー、それはうさぎだ。」 と、そこへhiroyukiが通りかかり、缶コーヒーをかもちゃんにあげました。 「お前、どういう化けもんや。」と言いながら、去りました。 しかし去る前に、もう一度立ち止まり、とことこと近寄って、 うさぎの耳にさわり、 「お前、どういう化けもんや。」ともう一度言いました。 そう言いながら、スポーツ振興くじBIGをあげました。 「これで当たったら沖縄に行け。」 かもちゃんは、うさぎの耳をはずし、缶コーヒーのタブをプシュッとあけ、 ごくごくと器用にのみました。 ぷはあ、と大きな息をつくと、まっしろい溜息のガスが、空にうかびました。 どこまでもどこまでも空にうかんでいくように見えましたが、放散しました。 「鳥はうさぎにはなれないのだなあ。」とかもちゃんは、言いました。 しかし、すでに鳥でもないかも知れないというかもちゃんに、 カラスたちは、兄貴なに考えてはりますのやろ、と遠くの方でいいました。 冬でした。遠くの方で、焼き芋のアナウンスがきこえてきます。 かもちゃんは、焼きいもが食べたくなって、hiroyukiと、いずちゃんうさぎと、 wa!ひろさんと、市長さんの分を買おうとおもいました。 うさぎの耳を外すと、一月の寒い風の中を飛びました。 もう二月です、カラスたちが、かもちゃんに見とれています。
2014年01月28日
* 闇の谷――。 その昔、プテラノドンと呼ばれる伝説の怪鳥がいた。正確には、翼竜だがな、プテラノドン・ロンギケプスの骨格化石を見ると、本当におどろおどろしいが――研究によれば、人間を鷲掴みにして空中に舞い上がるだけの力は無かったと考えられている。しかし、徐々に神格をあげていき神となる夢の底には、以前小さな鏡がある。溢れたる抑えがたき喜びと誇りの色。化粧石鹸の匂いに似た、清潔な、その玲瓏たる姿に接した芸術的素養を持った古代人は、ひどく昂奮して、彫刻や壁の絵画へと向かった。ゆらゆらと、ブランコをしている子供のように、人の顫えと、井戸を見下ろすような目の前の幻は、こうして空寂閑々とした時代にあっても、ふっと風が通り過ぎたように、花の匂いや、果物の匂いのように我々に訴えかけてくる。 それは古代の神殿の遺跡で数多く発見されている通りだ。彼は、彼女は、アホウドリのように風をつかまえて、体力温存しながら飛ぶ。グライダーのように飛ぶ。もちろんそうだ、だが、神秘な実体がようやくヴェールを透してうっすりと見え始めてきたね。ファイアボール、ポーション、腕輪――。 プテラノドンが生息していたという谷には、最初少なくとも、記号が残されていた。おそらく尖った石器のようなもので、殴り付けるようにして描かれたのが最初で、少しずつ、そこに塗料の成分を持った粉や、チョーク的な性質を持ったものに移り変わってゆく。と、ここは、そういう授業ではなかったか、すまない、背景がいつも同じだと飽きるから・・。 あるいは、象徴的な文字だ。ある隠れた本能が、不安と一種の感嘆と畏れを入り混じらせながら作った呪術的な行為だ。ともあれ、それを我々は何一つ知らなかった。読み解くにはそこから数十年が必要になる。考古学の分野だね。古代文字は石版にアンモナイトやカブトガニのように残され、そこには村人と会話が記されている。『その鳥には魔法があって、人間との合体能力を持っていた。』というようなことを――。 ねえ、諸君、私はそういう時、溶岩にさらさらの粉雪が降りかかるような場面を思い描く。 まるで硝子を透かして眺めると泡が見つかるように、それは曇って、緑色に見える。だが、その目の前に樹木がひょろついていれば珊瑚のように色鮮やかで、幻想的だ。微妙だからこそ美しい。人間にはどうしてこんな深い喜びが与えられているのか、わかるかい。知識欲。認識欲。知的好奇心・・耳を弄する炸裂音のように、あるいは旱魃に慈雨を得た百姓のように。 子供というのは、人一倍悪さに長けて、横着で、時にはその生先が危まれるようなことまでしでかすものだ。だが、磨るにつれて滑らかさを増す墨のように、みな、喜びの前では捕虜になる。蟹はこわい、だが、機械の蟹、おもちゃの蟹は好きになるのだ。蠍も同じだ。誰もが子供時代を遊学として、生活様式において将来の夢をもっとも多く描くことができる。白紙というのはすべてを肯定する-吸収する。そこで人は快活になるのだ。心の中で渦巻きを始めた、風。遠くにある雲。その時、人びとは情熱なもの問いたげな瞳をして、自分の物にするという喜びについて考える。一つは憎悪、しかしもう一つは愛。この事情を悟るために、お芝居になる。最初に遊んだ時の違和感と同じだ。一瞬のうちに花開く。まるでさして遠からぬ地平線に、そういう小さな村の教会堂があるように。 私達が世界の住人ではなかったら、何処の世界の住人なのか? そこの、シルバーナックルの君、いい掘り出し物だね。下の派手な手袋も、紋章も趣味がいい。武器屋で? ふむ、ところで、いい五感をしていそうな君よ、閃めいたことを語ってくれ。そうだ、そこで生まれたのが、プテラノ・マーメイドだ。この名には、人魚の伝説が神秘的に一体化され、ここにおいて夜の時間や、氷河期、神話を連想することができる。 ヘーシオドスの『神統記』によれば、ヒュプノスは、ニュクスの息子で、その兄弟にはタナトスやモロスなどの「死」を意味する神々がいる。また夢がヒュプノスの兄弟――・・。 船人を歌声でいい気持ちにさせ、酩酊させ、進路を迷わせ、岩礁に激突させ、座礁させたという伝説――・・。 そこの機兵銃を持った君よ、――溜息をつかず、情緒に目を開いてくれ。ローレライ、君の母君と会話したい内容だ。思い出を汚すような錯覚におちいるが、劣等な快楽によって精神上に傷害を蒙むる淫声、と判断するのは尚早だ。時の変化に従って、それは超音波となった。それはレーダーのように、構造物内部の欠陥や減肉調査を目的に発された。私の記憶に間違いがなければ、ついには破壊力を持ったレーザー光線となった。 我々は美酒にひそんだ毒蜜、甘美な生への誘惑のような音の波――・・。 しかし、その頃には、プテラノ・マーメイドは様々なものと合体し、進化、時には退化し、人間の言葉を話すものの、もはや人間と合体したことなどつゆと忘れ、まったくの、化け物になり果てていた。真面目な、優しく微笑んだ、物思いにふけったプテラノドンはもういない。ああ、投石機に載せられた憐れな人のように、フワリと体が持ち上がり、まるで空を飛んでいるような感覚――って、こら、なに、寝てる・・。 、、、、、、、 そして闇の谷は、彼等の住処だ。だが、それは何百年か前の地震や噴火で、ほとんどのプテラノ・マーメイドは死滅した。また闇の谷へと行けなくなった。鍔広のやわらかな麦藁帽子さながらの閉じた本のように。しかしかくも恙無く、世にも稀なる書物のように、行路がすべて土砂に沈んだあとに、唯一闇の谷へと、何かの奇跡のように、地下へとつづくその洞窟には、その生き残りがいて、いまでも地中深くで、不思議な声をあげていると言う――・・。 *
2014年01月28日
あなたは私のただ一つの太陽です。名もない草に陽射しが当たるまで――子供の眼には・・ながい間、待ちこがれた太陽・・・灰いろの世界に、遠い傾いた町が見えます。シューズは、いらないのです、ひさしに白いほこりが落ちかかりながら、やさしくて、渦を巻いてゆくかぜをかんじ、止め処なくて、陽だまりは、あかるい。発狂しそうな焦燥が健康的に発散されてゆく、わらったときに、かわいい花が目に留まる。よわよわしくかんじていたものに、名前がある。ぽかぽかと暖かな光りをきらめかせて、監獄をわすれさせてくれる鳥のさえずり。太陽がまぶしい。生きていることがまぶしい――空一面に鳴っている、ホィッスルが聴こえます。ひそやかな、シンフォニーの始まり。遠い遠いところへ逃がれていく影、走る走る走る血液!どこまでも続くその耳に伝言する、山脈を走る銀のナイフ、雲の切れ間、子供たちが駆け抜けていく――この胎内に、だらしなく砂が巻き上がる時に、あなたは私のただ一つの太陽です。直線的な進行を遮られてゆく、世界に、波が起こる、かなしく、くらく、ひかりながら、このざわめきのなかに、情感ある蔭をかさねて、諧調ある自然の沈黙に打たれ、愛が増えてゆきます。甘ったるい光のハミング、樹木や屋根の上に溢れ、それからだんだん下に流れて、ついにはそこらいちめんに、まっ青な果実しかのぞめない恍惚が見えてきます。ひまわり。いま何か言ったのだろう。言ったのだろうお前は答えてはくれないけれど――私は更にずんずんと、その奥へと進んでゆきます。偉大で熱烈な日輪は遠ざかりゆく、シイッ――、待って・・。陰気な独り言、死んだ魚の眼をしながら、肩をがっくりと落とし、一日中だってうなだれているのです。抵抗力を、もはや意識することがない、と、せせら笑い。この生命を去勢する無力さ、何ものをも焼きつくそうとしていると、君はぼやき、とんぼのように目をくるくるとまわしている。身を切るようなあさのつめたいかぜの仕業、白い壁にくっきりとうつしているきみの影は、晴れた日も、雨の日も、曇りの日も、人形です、私は暗い感情に支配された、あやつり人形。でも、ぼうっとかすんだような、もろもろの斑点。空気は、光と調和して、透明な波を掻く、泳ぐしかない、泳げ! 泳げ! 泳げ!脊髄にきいた。単調なリズムは、狂暴な奔流で、あっという間に、アイスクリーム。それでも虫も土も空も、草木も水の音も、太陽のように真っ赤な薔薇で。私は欲しいのです、太陽。あの、おしゃべりが。木の葉がさらさらと揺れだします、しずかにせり上ってくる魂の引力、思う存分に荒々しく呼吸をして、手をぶんぶんと振りまわし、そしてそれが地球の回転の速さを緩めます、月です、知らぬ間に音もなく地面から抜け出して虚空へ逃げて行く、蝉を、いそがせます、情熱のポンプ――尖端的な世界にロマンチックな、夕焼けがみえてきます。意地の悪いこころが死んで、からだ中がうずうずしてきます、太陽は小さな幸せ。君の大きな孤独のゼンマイを、巻きます。あなたはハッキリと網膜に焼付いたまま遠ざかる、ながい間、待ちこがれた太陽・・・毎朝、毎晩、あかるくて嘘みたいで少し変な太陽、真実へ向かって勇敢に突進する、太陽と月、どちらが昇り、どちらが落ちるのか、という問いはおかしいです、でもどちらも昇り、どちらも落ちるという答えもおかしいです、惑星に男は、ひとり、目覚めたのです、男がいれば女がいるものです、明とも暗とも付かぬうちに砂ぼこりです、そこは砂丘です。ビーチボールが転がっています、突き刺さってたはずの在りし日のビーチパラソルが、倒れています。私は著衣とも言えぬぼろきれです、あなたは山羊の眼をしています、私は牛のような心でいます、太陽です、月です、――向こうの山の端に、いま、くるめき入ろうとしている、絵の具です。赤です。でもどこかでオレンジ色やきいろやむらさきです。あわいはだ色です。あなたは人ですか、と聞きます。あなたは人です、だから僕も人です。うれしいですか、かなしいですか、ときいています、なんでも好きでした話すことは明るいことです、くらくてもそこでつながることが明るいのです、あまねく潮の香の豊かな南の海をおもいえがきながら、あなたは白です、私は黒です。
2014年01月27日
祝福の光がある・・・か・・・ら――、 昔来た場所――。 雨上がりのまぶしさに、僕は、 眼が痛くなったんだ――よ・・ 星に届きそうな手のひら――は・・ なんか、ちょっと・・ 優しくて、すこし違ってた――。 夜が明けるまで導いてくれた、 あの音楽の興奮――は・・寝静まらない、 はずなの――に・・ 一瞬の、凪が・・ 僕をさらっ――た・・。 泣きそうだっ――た・・ ガードレールに腰かけた君よ、 金網をよじ登った君よ――。 愛じゃなくて、ごめん・・ 愛になれなくて、ごめん――。 夜明けの風景が・・こぼれた――、 はじける泡・・ 空を駆けのぼる・・・。 僕は、思い知らされる、 時を刻まなくなった時計に、 見透かされ――。 離したくなかった、その手に・・、 ふわり、と、 僕の心が飛んでゆく――。 真実は何処に・・? 生きている意味は何処に――。 長いまつげが雨に濡れ・・、 重荷でいっぱいだった僕の肩は、 雨に濡れ――肺炎になった・・。 痛みが消えて、 死さえ遠くなりながら、 涙さえ忘れ――て・・。 もやもやとした難題―― かかわらない人達も、 その文句も、人びとも屑だ・・ でも愛って、また・・、 僕にはわからなく――て・・ でもどうしても欲しくて――、 生きてられないような気がして、 強くならなきゃって言い聞かせて、 幻の中に見る未来は――・・。 壊れる音がした、 そしてそんなこと、 大人に成り損ねただけ――だって・・ 子供の境界線なんだって、 少しわかる気がする――、 終わらない戦争もわかる気がする・・。 愛じゃなくて、ごめんよ・・ 愛になれなくて、ごめんよ――。 もっと先へ行ける気がしたんだ、 愛って・・、 悲しいね、作りものみたいだね――。 壊れやすいね、 さみしいね、 でも、言わない言葉―― その・・言えない・・・おくゆかしい、 その言葉――は・・・、 不安の根源に微笑んでいた・・・。 いずれ無くなるかも知れない、 うた 君の詩を思い出す・・、 孤独を感じる時、思い出す――、 あのメロディーは、 十五歳。 雨上がりの前触れ――・・。 希望に満ちたあの日、 不安定な優しさを口にしながら、 音楽の聴こえる場所は――。 あまりに遠くて・・まぶしくて、 一生そんな風になれない、 見つかりっこないって笑ってた――。 でも違った、あの音楽は、 叶うはずもない願い、 幼さを残した僕の背伸び――。 遠くまで聴こえる、 あの詩、 真っ直ぐに、伝えられない・・ もどかし――さ・・こわさ・・・ 勇気がなく・・て、 手に入れられなかったもの。 美しいことは、罪・・ 夢は、あまりにも儚すぎて、 恋する言葉はキレイだった――。
2014年01月27日
さて、話は前後するが、そもそも、モンスターとは何か? ――もちろん、我々はモンスターが何処から来たかはわからない。 ある学者は魔界から来たと言うし、ある学者は呪われた悪魔の書から出てきたと言うし、ある学者は遠い昔から言い伝えられていた『裁判の時』すなわち<滅亡までのカウントダウン>が近づいている前触れだと言う。ある学者は、生物における突然変異だろうと言った。どれも、モンスターという存在の前では安易に首肯してしまいそうだ。 十年前に出て以来、ベストセラーとなっている、モンスターガイドブックなんかを捲ってみると、本当にどれも正しい見解に思えてくる。異形にして魁偉。不気味にして凶悪。ちなみに、その本は俺が出した。 トレジャーハンター必須アイテムとして語り継がれる、名著だ。と、自分で言っていたら世話はないが、そんなおぞましいもの、ましてやそんな物つくるまえにおっ死ぬのが関の山だ。 ともあれ、モンスターはいまでも多くのところ謎のままだ。 ただ、数年前、先程のエピソードの続きだが、勇者御一行が、この世の魔王と呼ばれる存在を倒した。だが、それでもモンスターはなくならない。そもそも、魔王討伐と、モンスターの出現はリンクしているものの、それですべてがなくなるという種類のものではないのだ。 いま彼等が何をしているのかは知らないが、とりあえず、魔王はいなくなってよかった、ということで、世界の危機は一切ぬぐいさられていない、というパラドックスというか、笑い話もある。ただ、もちろん、魔王の軍団がイスタリア軍をほとんど壊滅させていたのだから、けして、その功績が見劣りしたりするような種類のものではない。 あとは、トレジャーハンターの仕事だ。話を戻そう――・・。 ただそれがどういうものであるにせよ、モンスターと呼ばれる化け物は俺たちを敵、もしくは捕食行為のために襲う。つまり人間は餌だ。食事だ。彼等の本能、つまりDNAにはそういうものがあるらしい、ということが、研究機関からの正式の発表で出ている。 もちろん例外的にまったく人畜無害なモンスター、つまり知的な、高級な、あるいは古代の生き残りとでも言うべきモンスターもいるが、そんなモンスターと出くわした奴は五本の指ほどいるかどうかさえ怪しい。ともあれ、そんな奴らばかりなら、あっという間に、世界平和だ。それゆえに、トレジャーハンターたちが必要なのだ。 ところで、山の空と相咬む波状の輪廓の麗美なる色彩にみちたこの王国――。 世間的にはビジタリアン王国には観光名所もなく、優れた人物(たとえば勇者とか、賢者とかね。)を輩出したこともない、何処にでもあるような、城であり、また城下町なのだが、それでも知る人ぞ知る人モンスター被害の多い地域、というか、モンスターが一、二を争うくらい出現確率が高く、それがすなわち、ビジタリアン王国の政策方針として、モンスター討伐における支払いが他の城の何処よりも高い、というのは豆知識か。 つまりそれを聞きつけて俺はここにいるのだが、いかんせん長すぎた。もう、二十年くらいになる。船脚の揺らめきのなごりが残ってでもいるように、からだがふらりふらりと揺れる。しのび笑いの声は漣のように伝わった。そして新しいひそめきがそこに交じった。 命の安売りをするだろうと白羽の矢をたてた、人の名を二、三思い出す。酒場で一緒に馬鹿騒ぎした戦友も思い出す。段々燃えるような力の崇拝もうすらいで、静かな力のあるものに最も心を惹かれるようになっている。つまり、死だ。 灰を突つく。突いて、突いて、悲惨の境界に淪落せしむる動力を見る。 「一級のモンスターが一匹、二級が十七匹、三級が四十匹・・」 低い、オズオズしたような声・・。 「いいよ。別にそんなの――。」 戦利品を囲んでガヤガヤ騒いでいるトレジャーハンターなんて、三流以外の何ものでもない。それもいよいよ今夜でおしまいだ。そう考えると、いささか感傷が起る。 「でもこれだけすごいモンスターをとってこれるのは、セルビアさんだけだよ。」 「ふん。ガキだな。井の中の蛙大海を知らずさ。ガキはおべっか使わず、出すもん出して、早く大臣にでもなっちまえ。立派になったら、今度は俺がおべっか使ってやる。」 くっくっ、とポレロは肩を揺らして笑った。 いい若者だと思う。こんな奴が上にいるなら、国も安泰だな、と思う。 「はい、金貨1枚、銀貨17枚、銅貨40枚。」 「ありがとよ、ポレロ。ところで、貯金はいくらになった?」 俺は、大分前からポレロに頼んで国の銀行にお金を預けている。 ちなみに、世界には様々な貨幣や硬貨があり、また金銭価値と同等の宝石や、金銀などがあるが、ようは金貨のたった1枚で庭付きの家を建てられる。銀貨10枚あれば、商売ができる。銅貨100枚で飯や、女遊びが楽にできると考えればいい。 なお、1=10=100である。これらの下に、準金貨、準銀貨、準銅貨、とつづく。 トレジャーハンターがどれくらいの金を稼ぐ仕事かわかってもらえるか、と思う。ただもちろん、世の中そんなに甘い話はなく、よっぽど強くなければ、すぐに死んでしまう。もちろん、勇者御一行ほど強いと言うなら大金持ちになることもできるだろう。 だが、俺から言わせればあれは全員人間ではない。 どっちが化け物か、俺には正直わからなかったくらいなのだから。 「そうだね、もうざっと見積もっても、金貨1000枚は超えたね。」 「よしきた。ポレロ・・それを10枚ほど下ろしてくれ。俺は、今日を持って、引退する。」 これから町へ出て、生活必需品の買い集めに狂奔する決心をした。 俺は大分前から、仮住まいの宿屋から、家を持って暮らしている。そこに、老後のベッドや、設備を新調し、酒を運び込むのだ。退屈しのぎに、本も買い込むだろう。一匹くらい、犬を飼うのもいいかも知れない。 「えーっ、ちょっと待ってくれよ、セルビアさん。」 ものすごく慌てている。そりゃそうだろう、さっきまで、引退の話など一度もしたことはない、ベテランのトレジャーハンターが、引退を宣言しているのだ。王国的にも損害が出る。だが、そんなの俺の知ったことではない。 しかしこれでも三十頃なら、生涯現役で、とか思っていたものだ。トレジャーハンター泣かせの、迷いの森で焚火をあげながら、夜風に混じってやってきたモンスターを倒しながら。 でも、いくつもの眠れない夜を過ごしながら、気持ちも変わった――・・。 「・・・ポレロ、時代は変わった。もう俺の時代は終わった。」 「――そうかな・・。」 「そうだよ。」 「でもさ、・・元は軍師なんだろ? 長年町を守ってきた、はからいでさ、そっちの方に話をつけてやってもいいぜ。オヤジも、セルビアさんなら、絶対に悪いようにはしないって。」 「おいおい、今更、講習をやれってのか。」 「でも、いい案かも知れないぜ、セルビアさん。トレジャーハンターとしての経験があって、作戦指揮もしたことがある。これからは軍の奴等が、みんなモンスター討伐をやるんだ。かの有名なイスタリア軍のように・・!」 「ふむ――。」 と、肯きながら、確かに、将来的に、老後を安全に暮らすためには、そういう兵士がいてもいいかな、とチョロっと思った。いやそれと同時に、イスタリア軍での一件、先生との死に別れの一件、トレジャーハンターとしての長い経験から、そういう仕事も引き受けてもいいかな、とふっと思った。 「でも、そろそろ嫁さんを探さないといけないしな・・」 むちゃくちゃ、保守的じゃん、あのセルビアさんが、とけらけら笑われた。 「馬鹿野郎。嫁さんと、ナニして、子供つくって、幸せに暮らすんだ。」 と言うと、ポレロは照れ笑いした。多分まだ、なんだろう。 今度夜の店へ連れて行ってやる、と老婆心から、余計なことを言いそうになったが、やめておくことにした。きっと、こいつみたいないい奴は、そういう話はしないが、もう恋人がいて、そいつと一緒になる心積もりでもあるのかも知れない。 「いやまあ、その話は、俺から新聞屋さんに頼んでおくよ。天下のプレイボーイ、セルビアさんも年貢の納め時。みたいな、感じで・・」 と、ニヤ・・リ―――。 悪い奴だ、でも、俺も、ニヤ・・リ――。 「尻の毛まで剥かれちまうな。」 「どうかな――セルビアさんに憧れてる女性多いから。今度、お見合いしなよ。」 「おいおい、お見合い好きのお前の婆さんは勘弁してくれよ。」 ポレロの婆さんは、占い師のくせに、出会いの魔術師と呼ばれている。 が、ようは、お見合い好きの、ただの色ボケババアだ。 しかし何千人ものカップルを作った功績は、称えるべきだ、とは思う。 「まあその話は今後するとしても――どうだい、引き受けてみないか?」 「じゃあ、何処で訓練するんだ・・」 「『闇の洞窟』なんかでさ――」 「馬鹿馬鹿、お前、何言ってやがる。あそこは、上級モンスターがいっぱいだぞ。」 「でも、セルビアさんは行くんだろ。セルビアさんがいなかったら、俺、この話、オヤジにしちゃうよ。みんな、上級モンスターだらけで、死んじゃうだろうけど。」 じいっと、俺の顔を見つめてくる。おいおい、正気かよ。 *
2014年01月27日
「そろそろ潮時ってやつかね。」 俺は寒からぬ程度に暖まった空気の中に、両手を二の腕までむき出しにして、換金所にいる。モンスター討伐のトレジャーハンター。それが俺の職業だ。 目まぐるしい人通りの往来がしずまる、木の看板の、トレジャーハンター御用達の店に、俺はいる。格別閑却されたことを不平に思っていないたたずまいだが、社会の秩序ゆえだ。 しかしこれでも俺も昔は、東の軍――正式名称イスタリア軍のちょっとは名の知れた軍師だった。イスタリア軍と言えば、世界最強と謳われる軍隊で、この世の中でもっともエリート色の強い職業だ。ただもちろん、出世すればだ。大半は、チェスの駒のように扱われる。蟻というアイデンティティーを持たされるよう訓練する。 給料はよく、そしてそれに見合った分だけ、さまざまな働きをさせられることになる。 ああ、世は不幸の末路に終るもの――俺は、規則正しい二列縦隊を思った。夜のテント生活を思った。しち難しい書き方をした戦術書や、帳面に書いた事細かなアイディアや、メモを思った。すべて水の泡・・とある日、俺は軍の会議で楯突いてはいけない目上の奴に、激昂した。謝ることさえせず、速攻で殴り飛ばした。理由は、軍の方針で、いま四面楚歌の境遇にあるエリア31、極寒の地域に属するアストリアへと派遣された517小隊全314名を見殺しにする、という決断を下したからだ。俺は納得がいかなかった。口を慎め、と言われた。 俺には出来なかった。これが名高いイスタリア軍か、とんだ臆病軍隊だったわけだ、と俺は嘲笑した。しかしそこにも理由はあった。その517小隊には、俺に手とり足とり教えてくれた先生がいた。これまで散々軍に奉仕し、最後の仕事だよと引き受けたそこで、見殺しの目に遭う。これでは何の為に彼が一生をかけてきたのかもわからない。いや、それだけではない。兵ひとりひとりは駒ではない。皆、感情を持ち、故郷を持ち、家族がいる。たとえそうでなくとも、ひとりの人間を軽んじる者がこれからの強国の仲間入りができるだろうか? だが、俺の犯したそれは軍会議にかけられるまでもなく、次の日、俺自身の手で辞めた。引きとめられたが、もうこんな所にいることはできない。俺はその足で、岸を東へ東へと走った。地図を見、磁石を頼りにしながら、やがて、エリア31へと辿り付いた。 そこではもう、大半の兵が死んでいた。助かる見込みのある者だけを、俺は救助した。何の利益もない。ましてや、こんなことをして軍に恩を売るつもりも、ない。ただ、そうするだけの理由が、俺の軍で学んだことにはあった。 しかし、そこに、先生はいなかった――・・。 惜しくも数日前、氷雪系のモンスターと遭遇し、命を断たれていた。 そして俺は、職業を転々としながら、ついに、絶対になるものかと思っていたトレジャーハンターに手を染めた。軍隊の頃の仲間から、誘われたのだ。そして、ついに、あの軍師もこんな所まで落ちぶれてしまった。まあ、脛に傷のある奴がトレジャーハンターになる傾向は強い。任務の成否に関する重大な岐路でこけた奴は俺くらいだろうが、それでも、イスタリア軍からトレジャーハンターになる奴は多いはずだ。 何故なら、世界中でイスタリア軍だけが、モンスター討伐が出来るからだ。 ともあれ、軍くずれではなく、最初から、剣術に長けたとか、魔法能力の優れたとかいう奴は、やはり、こんなところにずっととどまったりはしない。数年前に、勇者や賢者という魔王討伐のパーティーと一緒に食事をしたことが、俺の数少ない自慢なのだが、何しろ、考え方がすごい。聞いてみるか、彼等の意気揚々とした台詞・・! 『魔王を倒して世界平和をするのだ』――。 考えてもみてほしい。もしそんなことを俺が言おうものなら、村人も失笑する。最低でも、気でも狂ったかとは思われる。法廷における、例によって型通り、うそは申しませぬとの宣誓を済まして証言するあの儀式さながら、まかり間違っても、そんな言葉を言う器じゃない。 本当に勇者というのは、頼もしかった。オーラが違った。カリスマ的な発言力も・・フカシじゃなく、そいつの人生を賭けた、勇気の産物で、何者にも屈さないという気位と、数えきれないほどの敵と戦うことで学んできた経験における自信が、彼をかがやかせていた。 最低、俺はうらやましく思いながら見惚れ、同時に、つくづく人間って奴は、すでに魂で勝ち負けが出るんだなと思った。その魂はそれだけで、この世界中の何物とも引き換えにできるものだ。そして俺は勇者御一行に、どうかひとつと頼み込んで、フィールドでの戦闘を見学させてもらった。一生に一度あるかないかだから、冥土の土産に、と思ったのだ。 でも結論から言えば、身も蓋もないが、すごかった。何しろ、腕前が半端じゃない。何というやさしい景色だろうと、飽かず眺めつつ過ぎた。勇者のあの身のこなし、一つ一つの動作の美しさ。重くて、扱いにくいはずの剣で、びゅんびゅんモンスターを蹴散らしてゆく。底無しとしか思えない体力。自分より明らかにばかでかい相手に、ジャンプしながら斬りかかっていく姿はもう一つの絵のようにしか見えない。賢者は、出血大サービスだったのか、あきらかに格下の相手に、高等魔法を連続で使った。普通なら、マジックポイントがすぐに底をつく。 武道家という肩書きの男は、たった一撃で、岩より硬いモンスターを粉々にした。正真正銘の化け物だった。どうやってやるんだと聞くと、気だ、と言った。いまでも、武道家はすごいと俺は思う。とりあえず、気で、やるんだ。 ありがとう――武道家よ、言っている意味わからない・・。 そんな風に、一流の技の数々をまざまざと見せられて、本当に腰が抜けそうになった。広く世界を見てきて、それでもイスタリア軍の猛者たちのことを、心のどこかで最高の人びとと長く想ってきたが、世の中には、本当に強い連中がいるのだ。 人間、器を知らなくてはいけない。本当にそう想う。 二十になる前に、俺は小さな田舎町を出た。両親が止めるのもきかず、俺はでかいことをしてやるんだという志しを持って、イスタリア軍に志願した。元々戦術に興味があったから、そこで上官に頼み込んで、戦術について学んだ。先生がよかったのか、すぐにその出番は来た。篤志なしかし無邪気な、大きな夢を持った男の第一歩だ。俺の立てた戦術は、採用され、功績をかさねてついに扱う兵の数も増えていった。 だが、子供のころからそうだ。後一歩で、ポシャッてしまう。 子供の時から好きだった女は、どこからかやってきた、二枚目の男に連れ去られた。あっという間に、ウェディングベルが鳴った。挙式に参加し、ずっと好きだったよ、と言った。あたしもよ、と彼女は言った。 でもいつもどうしてか、こんな感じになってしまう。 「おいおい、いまからだろ。」と換金所の会計をしているポレロが言う。 こいつはまだ二十代だが、父親がこの国の大臣で、将来は正式にこの国のために働く男だ。 いまは下積み時期というわけだな。いってみりゃア世の中の裏ッ側みたいなとこで、社会勉強をすることで、将来の管理職の足しにするというわけだ。 「何言ってやがる。俺の顔をちゃんと見ろよ。もうロートルだ。ジジイだ。」 「ベテランだろ。まだ、ジジイなんていう歳じゃない。」 「俺に媚び売ってどうするつもりだ、馬鹿野郎。見てみろ、十年前ならこの二倍やったって、元気もりもりだ。もう足がふらふらで、家に帰ってぐっすり眠りたいよ。年齢と共に、このロングアックスが重くなる。」 「そんなの持てるの、セルビアさんだけだ。村一番の力持ちで、もっとも経験豊富なトレジャーハンターだ。みんな知ってることだよ。」 繁栄の絶頂を超えて、既に老朽の坂を降りつつある、自分―― 肉体は瀕死だ。絶望的な状況はやがて来るのは、目に見えている・・。 「買被りだな。俺は逃げ足の速いピエロだ。」 と、ポレロと話していると、モンスターの金額計算が終わったらしい。 モンスターにはそれぞれ賞金がかけられている、というのは、世界中そうだが、おそらく、城以外の換金所と言えば、世界中どこを探してもここにしかないかも知れない。それはこの国の珍しい特徴ゆえかもしれない。ともあれ、ここはモンスター討伐の斡旋所であり、パーティーを集める喫茶店ないしは酒場でもある。と言いつつ、夜な夜な賭けポーカーに興じていたりもするので、トレジャーハンター賭博場と言っても差支えないかも知れない。 でも何故そうなっているかといえば、この、国――ビジタリアン王国は、モンスターの出現がもっとも速い地域の一つだった。かれこれ五十年前のことになろうか、モンスターは突然発生した。そして国家レベルの災害を、ほとんど世界的な危機に見舞われた。昔なら、飢饉といったところだろうが、いま、そういう言い方をすれば、誰もがモンスターの大増殖と言う。 国家レベルのキャパシティーを超えた問題に、ある王国は、何も出来ぬまま敗れ去った。塵となった。その後には、モンスター達が屯した。そしてさらに増殖し、そこは魔の地域となった。が、多くの王国がそうであるように、このビジタリアン王国は早い段階で懸賞金を出すことで、様々な対抗策を編み出した。たとえば、イスタリア軍のように破壊兵器。あるいは『古代の知恵』と呼ばれる<魔法>。そうでなければ、腕っ節に力がある現実的な対抗手段。 ともあれ、ビジタリアン王国はさまざまなトレジャーハンターを呼びよせることで、モンスター被害を最小限――それも殆ど一年に一度死傷者が出るか出ないかのレベルにまで、食い留めることに成功した。これはあまり言われていないが、ビジタリアン王国はそういう意味で、おそらくもっともモンスター対策に熱心な国と評されていい。
2014年01月27日
サウンドはオフになる。初期化される。キウィの畑が見えた。壁画だ。ジ、ジ、ジ・・距離と焦点を合わせよ。この柱は太いか、この建物は古いか。だがその壁画の前には、沖合に浮かぶ島のように、キウイフルーツ、サクランボ、パイナップル、ミカンが、 籠に入っている。次第にそれが目の前にあるのだということで、それは円における環という不思議な存在を明らかにする。ここは、<庭園>だ。だが、人は自然を勝手に手製の鋳型にはめて幾何学的な庭を造る、 ガラス おおまるで無機的に合成された玻璃の蔽いのように。 チョーク ヘリオトロオプそしてそれが、白亜と淡紫色を混淆させる、月の光。眼前に彷彿たらしむる、処 女マリアに赤ん坊のキリスト。ジ、ジ、ジ・・。数千年後、それがアダムとイヴとして紹介される。くもりのない瀝青の瞳も、白陶の肌も、アールグレイの眉も、妖艶な雰囲気も、たれることのない乳も。ふくよかな、頬も。赤い舌も。あれは、怪物の眼のような教会の鐘。あれは、鴉のばさばさという音。色んなことは、義務であり習慣だ。説明よりも要求だ。時計よりも前に日付だ。順序が狂うと、模型もうまく作れない。最初にジグソーパズルの角を克服しない限り、何千枚もの知恵の輪に喫煙できない。だが、それでもそれはおこなわれる、反射は灼熱のなかで、かげろうのように揺らぎ――歪みながら球体を作る。水溜まりのように、折りたたんだ一枚の紙切れのように。俺はすっかり舞台でも見るようにこの空家を見ている。風通しがよく、寝椅子を出して横たわるのにちょうどよい、一晩。大きな飴玉を口の中で転がしているような、 リンネル シャツ至福の退屈。白い亜麻布の襯衣は、やがて、赤く染まった。 ロボイズムただ機械的に窓から首を突き出し、その頭上から巨大なcutterが、巨大なguillotineが落ちてくる。 コール温度は零度に下降する。連続する音。そして君が遅れる三十分。あるいは老人と子供が考える五分。最後に面倒な死体を処理する十分。そして僕等はたえず眼が遠くから自分の背中に向けられているのを、むずがゆく感じながら、ひっそりとわびしく並木の道に、黒ずんだ落葉が散り敷いてゆくのを見る。そこを歩いてゆく君は、庭園や牧場、あるいは河水に姿をうつす、その館、舞台のような空家のことを思い出す。たくさんの人がそこへ泊りに行った。華やかな明るい楽の音につれて、炎に透けそうな胡蝶。青いスポット・ライトを受けてくろぐろと光って、夜空が泣いている。夜空は聞きなれない異様な叫びに、ぬるんだ空気に、毛並みを作る。氷でも砕くようなめまいを感じながらでいる、夏のように、――面倒だけど、悪趣味な、向日葵がしずかに咲いている。
2014年01月26日
[page] そして店の近くにあった、自動販売機でポカリスウエットを一気 飲みした。そのあと、よくわからないまま蝉とりし、母親に、今日は 戻れないかも知れないと伝え、早く戻るのよと電話でやりとりした あと、とりあえず、シャドウボクシングをし、あらかじめ置いてあった としか思えない縄跳びで三重跳びをし、僕はすぐさまコンビニで弁 当をがさごそ買占め、貞操帯をどこからともなく手に入れ、はいた。 そして、戻った。 店に戻ると、僕の話し合い、再三再四の説得の末、ユウコは下着 姿になった。第一、違う店になってしまうというのが一番きいたのか もしれない。僕まで変な気持ちになってしまう。 [page] ユウコは、敵が来るのを眠たい目をこすりながら待っていた。 こころなしか、ちょっと乳首が勃っているのが、僕としては少し気に なったが、知らないふりをした。生理現象にふれるのはためらわれた し、オカマがさっきから妙な視線で僕を見ているのも気になったが、 やはりためらわれた。どちらにふれるのもやはりためらわれた。もし ふれるなら、機関銃がほしかった。あるいは戦車越しに、たずねかた った。それが正常だと、心底思った。 「弁当をそろそろ、いただこう。」 「お姉さんの分もありますよ。」 と、ご飯を食べつつ、十九時にそなえた。しかし、敵はいつまでも、 やって来ず、二十時、二十一時と時間は無情に流れて行った。 もちろん店は商売していた。 オカマ達の中には、道ですれちがってもわからない美人もいた。 [page] ちなみに店は、ニューハーフバブとかいう感じで、基本料金は60 分5,000円ウイスキーと焼酎が飲み放題で、ビールは別料金とか いう感じだった。おつまみ各種 1,000円。フルーツの盛り合わせ 3,000円とかいう感じだった。 各種クレジットカード取り扱いしています。 彼等は踊りまくる。大きな声で笑う。 また地声で、女性の歌をうたう。 「今日は来ないかも知れないわね」と、22時になって、マドレーヌ が言った。じいっと待ち続けていた彼女は、すっかりくたびれていた。 「そうか。」とユウコは、あきらめて服を着た。 [page] [bg downtown-night-blur] 誰が変態だったのかわからないまま、事件は終わった。 明日もとりあえずやって来るつもりだ、とユウコは言った。 僕も、もちろん、ベルトコンベアー的にそうするつもりだ。 「ユウコさん。」 「なんだ?」 「あ、いいえ、何も・・。」 [page] [bgm daily-life] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/424/a0001_016476_m.jpg] [page] [page] その時、一瞬静かになった―― 街がしずかに・・・ [page] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/425/031042.jpg] (お腹減ったなあ・・) [page][bg downtown] 「お前、あたしのこと好きだな。」 「どうしてですか?」 「ニューハーフのみんなが、言ってた。お前が、男だって、さっき気 付いた。どうなんだ。それ、本当か。」 そんな聞き方あるか、と僕は本気で抗議したかった。 (はい、本当です)と言えば、何だか馬鹿みたいだ。 「はい、本当です。」 でも、言った――。 「どうして言わない、あたしも困るだろ。いくらなんでも、そうだと 知っていたら、裸にはならなかった。あたし達は、盃をかわした、 兄弟のような間柄だとずっと思っていた。」 どういうことだ、と言いたかった。 その前にあなたは女性ですよ、と言いたかった。 [page] 「すみません。」 「いや、謝ることはない。問題は、前もって言わなかったことだ。 あたし達はなんでも話し合えると思っていた。」 (でも、話し合えるというのは嘘だなと思った。主語と喋り方が、 全然噛み合っていないと何度も指摘しようと思ったが、ユウコが 可哀想に思えて、結局何も言えなかった。) 「結婚したいのか?」 「いや、その――」 「どうなんだ、したいのか、したくないのか。」 「したいです。」と、言わされた感じで、言った。 しかし、何だか別のニュアンスを持っていたそれは、真夜中の そういう店のある通りでは、無敵の破壊力を持っていた。 「わかった。」 [page] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/425/031042.jpg] (ここ、どこだろ・・) [page] [bg downtown] 「一度しか言わないが、はっきり言う、お前のことは好きだ。」 「あ、はい。」 「ただ、――あたしは昔からこういう性格だ。苦手だ。バレンタ インに、チョコレートをたくさん貰う。子供の時から、自分は男性 ホルモンが強いんじゃないか、と気になるくらい、ちょっと違って いた。女性らしい格好も苦手だ。嫌悪してる。スカートをはいて 学校へ通うのがどうしても嫌で、両親に行って、私服の学校へ 行かせてもらったくらいだ。」 「はい。」 「病院へ行ったんだ。そうしたら、性同一性障害だって診断さ れた。実を言うと、すごく喜んだ。長い間の、あの鬱陶しさがよ うやく理解できた。両親もようやくわかってくれた。でも、あたし は・・・つまり俺は、どうもお前のことが好きみたいなんだ」 [page] 「いいことじゃないですか」と僕はつとめて明るい声で言った。 「そうか? 面倒くさくないか、それ。」 「確かに、相当面倒臭い。ややこしい。何じゃそりゃ、と最低 でも百回は唱えたい。でも――僕が好きだって言うなら、それ でいいじゃないですか。僕も、好きですよ。」 「でも、精神的にだ。肉体的にというか――」 「そんなのは、あとから考えればいいんじゃないですか」 と僕は、こんな時だけ、ちょっとワイルドに言ってみる。 「アンタがいいんだ。」 「いいのか?」 「いいんだ。」 しかし、何だか別のニュアンスを持っていたそれは、真夜中のそうい う店のある通りでは、無敵の破壊力を持っていた。 [page] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/425/031042.jpg] (ああ、アメリカに行きたいなあ・・) [page] [bg downtown] 月がああ、どうしようもなく輝いてる―― 輝いている。 それでも、彼女は困った顔を浮かべている―― 僕は無理につくろった顔を浮かべて・・いる・・・。 [page] こんなに素敵な夜なのに・・・・・・。 [page] 「でも、もっと、女の子らしい格好するな。」 「いや、そういうのは別に――」 別に、と言いながら、そういう格好を望んでいる、 そんな僕もいるんじゃないかと思うと、複雑だ。 「違うんだ――子供の時とは全然違う・・ 男だって女の格好をする、女だって男の格好をする、 そういうのがわかってきたんだ。」 声が少し揺れていた。 僕はユウコの泣きそうな声を、 初めて聞いたかも知れない。 「本当のところ、格好くらい、どうだっていいんだ。 お前が望むなら、そんなのは些細なことなんだ。」 ふっと、海で溺れた場面のことを思い出す。 [page] [bg none] [text-color white] あの時傍にいたユウコは、 すごく動揺していた。 蛇を見たって何とも思わないユウコ。 触るし、投げる、ユウコ。 肝試しで、牛乳とバナナな、ユウコ。 全然この世の女性とはほど遠いかもしれない、 ワイルドな、ユウコ。 でも確かに、彼女は動揺していた。 自分が悪いことをしたと思えたから? それとも僕のことが好きだったから? [page] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/424/a0001_016476_m.jpg] いまはもうわからない―― 夜風は涙のように流れた・・・。 [page] 愛を探したかった・・・・・・。 [page] ただ、愛を見つけたいと思えた・・・・・・。
2014年01月26日
[bg downtown] [page] [se scissors2] (でも焼酎飲むかも知れない)とも思った。 僕の家系もそうだが、父親と母親は酒豪で、僕がビールや、チ ューハイを飲んでも全然怒らない。 「こいつが弟分のマサヒコ」 そう言うと、ホームレスのおじさんは、カセットテープレコーダー から軍歌を流し始めた。昔、街宣車-というか左翼のそれで聞い たような歌だった。 しかし、昔博多まで行って、とんこつラーメンを食った時のこと を思い出してしまう。 深夜の屋台で、ヤクザと同席すると、そんな歌が流れたのだ。 「うん、実に弟分という感じの子だね。」 どうも、任侠映画の設定みたいだ。 「ここは男塾段ボールハウスだ。」とユウコは言った。 [page] [bgm festival] [filter white] らしくなってきたなと思う―― ユウコらしい・・・ [page] [se scissors2] ちなみにだが、ユウコは幼少のころから空手を習っていて、 相当強い。小学生の頃は、全国大会で優勝したこともある、 と話を聞いたこともあった。 中学生になって、父親と揉めて、延髄蹴りで一発ノックアウ トとかいうことがあって以来、さすがのユウコも、空手を辞め てしまったといういきさつがあり、それは実際かなり面白い、 またハチャメチャな彼女らしいエピソードなのだけど、基本的 にはタブー。彼女が女の子らしくなったのは、そのせいじゃない かな、とも僕は思う。 次の年から俺から、あたしという主語になっていて、面食らっ たものの、基本的には全然変わってないところもさすがの仕上 がりだった。彼女が、その一件で急にお淑やかになったら、父 親も、死んで本望だったろう。いや、死んでないか――。 [page] それでも、彼女が暴力をふるった場面に一度も出くわしたこと はなかった。 はあはあ――ふうふう・・ミーンミン・・。 どうしようか、と思った。 あなた女ですよね、から始めるべきなのだろうか。 いやいや、もう面倒臭いからそれはスルーしよう。 それにしても、暑い。段ボールハウスは、多分ユウコによる ものだろうが、ファブリーズの匂いがした。 「男塾ですか?」 しかしやはりこれは言わねばならない。 はっきりとこだわりのない笑顔を見せながらユウコは応じた。 「そうだ。」 (そうだ、って・・。) [page] ユウコが、暴力をにおわせる発言をしたことで、僕は少し驚 いた。たぶん焼きそばに、生クリームを添えるくらい驚いた。 それでも、僕はユウコの傍で泣き言も、ぼやきも、愚癡も言わ ず、それを食べただろう。何食わぬ顔をして――。 ユウコは、携帯をしまい、段ボールハウスに胡坐をかくと、 「近頃、ここらへんは物騒になってる。だからあたしは、男塾 を立ちあげることにした。」と実際、かなり突拍子もないのに、 やはり自然な仕上がりでスキンヘッドを処理した床屋。 眉毛を剃ったけれど、これが最新の眉毛でして、はい。 「自分たちの手で町を守らなくてはいけない。」 [page] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/425/031042.jpg] (近頃は物騒だから仕方ないな。) [page] [bgm none] [bg downtown] 「そうですね。うん、うん――」 と、よくわからないけど、僕は肯くことにした。 「どうだ、物わかりがいいだろ。」 と、ユウコはホームレスのおじさんに言って、笑った。 ホームレスのおじさんは、 「本当だね」と言った。 そういえば、あの男どうなった、とホームレスのおじさん。 「ああ、この前のストーカー男か――ああ、マサヒコは知らない な。二十代の女性の、悲鳴。目の前には、男。道端で困っている のに、誰も何もしない。そこへ、あたしが、この軟派男め、女々し い奴め、としばきあげた、とまあ、こういう感じだ。」 「なるほど。」 (やっちゃったわけだ。)と僕は思った。 [page] そして、ホームレスのおじさんの方に視線を向けると、 「一応は、交番へ連れていって説教されてたし、あたしからも、 社会的指導(つまりまた、ぼこったらしい。)をして、反省したらし いから、きっと立派な男になろうとしてるんじゃないかと思う。」 くるっと僕の方に顔を向けた。顔が近い――。 「マサヒコ、立派な男になれ。お前も今日からその一員だ。正義 の味方になれ」 強制らしい。でも、なろう、とその時に決めた。 即断即決ではなく、そうしなければならない、と強く思った。 「はい、頑張ります」 そんな僕等のやりとりに、ものすごく、目を丸くしていた。 ホーム レスのおじさんが、言った。 ガスコンロでわかしたお湯で、コーヒーを差し出しながら。 [page] それにしても血管の浮き出た細い腕で、サラダばっかり食べ ている菜食主義者を想像してしまう。 なんだか突然、オカズが少ない、と言ったお金持ちの子を想像 してしまい、少しブルーになった。小学生の頃にそんな友達がい たのだ。でもそれは実のところ、僕でもあったのかも知れない。 確かに、そんな友達がいた。 でも、僕等はとある日、ちょんまげをしていないと言い切れるだ ろうか。馬のかぶりものしていない、銀行強盗風ストッキングして いないと言い切れるだろうか? 僕は彼女から、そんな風に思われている自分を知っていたし、 それでやっぱり、ブルーになる。 [page] [se scissors2] 酔っ払いの男と会話しよう。 「口のききかたを教えてやる」 [page] と、そこで、ホームレスのおじさんのフォローが入った。 「ユウコさんは、別に道理の外れたことをしていないよ。ただ、 治安を守る仕事を自発的にやってるだけ。時間が遅いのに、 ゲームセンターでたむろしている子供を帰らせたり、たとえば、 暴走族とかに、少し、力で対抗したりするだけだよ。」 そうか――と、僕はひそかに唸った。 高校一年生になってユウコはついに、ウルトラバカになったの だな、と。こいつやっぱりすげえ、と僕は逆に感動していた。そん なの警察に任せるべきなのに、しかも、女なのに、ついに、そん なことまでやるようになったのだ。将来は、警察官だろうか、と僕 はぼんやり思ったりした。 ここまできたら、アマゾネスになるのか、と僕は思った。 「では、マサヒコ、ついて来い。」 [page] ユウコと共に段ボールハウスを出ると、田舎の町――とは、もう 言えなくなった、盛況した、街路をすりぬけていく。 田舎とは言っても、一歩外へ出ればこんな感じだ。 どこにでもビジネスがあって、どこまでも大きな物が出来上がる。 コンビニ。カラオケ。劇場前広場のパチンコ屋。路地裏。コインロ ッカー。彼女はそこをねり歩き、目を血走らせる と、そこへ、オカマ が現れる。身長は百八十センチはあろうかという体格で、あきらか に筋肉質。それなのに、ワンピースなるものを着、そこはかとなく、 髭の剃り跡があるオカマが。 「ユウコ~ッ」とした発情したモンスターボイス。 「ああ、どうした、マドレーヌ。」 マドレーヌ? っていうか知りあい? しかし、このマドレーヌちょっと声が大きい。 [page] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/425/031042.jpg] (魔物よ、魔界へ帰れ。) [page] [bg none] [bgm daily-life] [bg downtown] 僕はすっかり面喰いながら、それでも、ユウコの隣でキョロキョ ロしていた。 社会見学の感じが強くあった。 「近頃、変態が店に来るの。」 (大丈夫、変態はあなたですよ。)と、僕はにこにこしながら、言 おうかと思ったが、ユウコは真面目な顔で、 「いつだ?」と言った。 僕はそれを聞きながら、無農薬野菜のことをつとめて考えた。 そろそろ、ぬか漬けのキュウリ食べたいなと思った。 [page] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/425/031042.jpg] (きゅうり食べると、お腹が冷える。) [page] [bg downtown] しかし、話は続いていた。 「いつも十九時頃に店にやってきて、すっぽんぽんで、お酒飲ん で帰るの。気持ち悪いったらありゃしない。こんな店だと思って、 馬鹿にしてるのよ。警察にも言ったけど、民事不介入とかいって、 ほんとはただ、気持ち悪いから相手したくないだけなのよ。偏見よ。 別にそういうプレイでもなんでもないのに」 (そりゃそうですよ)と僕は笑顔で言いたかった。 「そいつを、しばきあげよう。」 そう言うと、ユウコはレトロな看板の店へと行き、おもむろに服を 脱いだ。なんだかよくわからないが、すっぽんぽんになった。 僕は呆気にとられながら、ユウコのきれいな身体を見つめた。 「まあ、きれいな身体。」とマドレーヌは言った。 「いや、あの、何してるんですか、ユウコさん」 [page] 「裸には裸だ。男塾。」 僕はすっかり混乱していた。変態がもう一匹増えたような気がし て、僕はこわかった。僕はもちろんユウコの裸に興味がないわけ ではなかったが、かといって、こんな形で、神様感謝しますという わけじゃない。それとも何か、僕は男ではないのか、とビックリし てしまう。 なんというか、カルチャーショックを味わう。 原初の頃から、ここはプライヴェートビーチだった。 まったくのノープログレ。僕もおそらく、ユウコに向かって、お前 の身体になど興味はない、と言わねばならないのだ。なんにせよ、 純粋にこわかった。 [page] しかし、ふっと僕は思った。 このままでは、僕まで服を脱がされそうなシチュエーションではな いだろうかと思ったのだ。僕はその瞬間、つとめて強い声で、 「許さんぞ変態!」と僕は言った。 明らか色んなことを誤魔化していた。 マドレーヌが驚くくらい、大きな声だった。 「買いだしに行って来ます。クソウ変態め、いたいけな女性・・・ そうだ、女性に、破廉恥な真似を、許すものか!」 「そうだその意気だマサヒコ!」 「買いだしに行ってきます。飯を食わねば戦えない! 精のつ きそうなものを、買ってきます。」 「おう、行け、弟分よ!」 僕はドアをものすごい勢いで飛び出した。
2014年01月26日
[page] [bg woodland-path-blur] 2は、折角田舎へ来たんだから、ちょっと案内してあげな さいよ、というユウジの母親のアサミさんにいわれて、僕 を森へと案内してくれた時のことだ。 僕は風景写真がそれとなく好きな子供で、とりたてて、 森の写真が好きだった。森が水をきれいにするように、 森が涼しいように、僕は、そこでたくさんのことを想像した。 年を取ってから、西洋絵画でアルブレヒト・アルトドルファ ーとか、ピーター・ブリューゲルを特に気に入った。 田舎の森は、多分そんなに美しいものではなかった。 道端に、ゴミが捨てられていたり、乗り捨てられた車が あったりした。でもそんなこと気にもせず、ユウコは喋った。 「あれは毒があるキノコだ。」 案内した。鬱蒼とした、深い森の中を。 [page] ボーイッシュな印象の彼女と、防空壕とか、大木が倒 れているとか、あれは珍しい鳥だ、という基本的なことを クリアしつつ、僕等はカブトムシやクワガタをもちろん探し た。本当に鬱蒼とした森で、ブナとか、クヌギだとか知ら ない僕に、あれはこれこれこういう木だぞといわれると、 すごく感心した。午後の暑い真中に、 「蝉めえ、うるさい!」というユウコが傍にいると、子供 心に泣けてくる。 川の音が聞きたい。波打ち寄せる音が聞きたい。 最終的に、エアコンの音が聞きたい。 [page] [page] [bg none] ともあれ、田舎の人はみんな木が詳しいんだな、と変な ことを思ったりするくらいに、ユウコは詳しかった。 また、草の名前にもすこぶる明るかった。そのせいで、 僕はどこを歩いていても、木の名前や、草の名前を気にす るような癖ができた。しかし、話はそこで終わらないのがユ ウコで、その途中で、僕等は蛇に出くわした。青大将だった。 しかも、それを見つけたのは僕だった。 [page] [page] [bg none] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/426/a0002_009709_m.jpg] 毒はないけれど、とぐろを巻いているので、攻撃はして こないというのはすぐにわかった。もちろん、普通はそう だ。蛇と出くわして、蛇がいきなり噛みついてくるようなこ とはまずない。蜂は別だ。黒い服を着ていたら、いきなり 襲いかかってくるはあるかも知れない。ライオンだって、 お腹が減っていたらそうかもしれないけど、普通は――。 そういう時には逃げる。これはよいと僕がただちに去ろうと すると、ユウコはずかずか大股で近付いて行って、おもむろ にガツンといきなり頭の所を手にとると、「蛇って可愛いなあ」 とわけのわからないことを言いながら、「どうだ、マサヒコ」と 戦利品を見せた。 あなたはネズミをくわえた牧羊犬か、と僕は思った。 そして僕の目の前に、どうらぞ、と突きだした。 [page] [page] [bg none] ユウコはビニールやゴムのおもちゃみたいに、ぶんぶん振 りまわす、ヨーヨーにも、水ふうせんにも似た童心ならではの 遊びに子供がえりしながら、挙げ句、藪の中へとあわれな蛇 を、「おらよ、ストライイイィク!」と野球のボールのように、 びゅんと放り投げられた。 そこにホームベースも、バッターがいないことも幸いだった。 でも蛇はすごく困ったと思う。 「やめてくれシャー」くらいは絶対に言ったと思う。 僕も、そう言ってやりたかった。でも、ユウコは、でさあ、と 何事もなかったように、森の案内を続けた。 そして僕は心の中で思った。蛇ごろしのユウコ・・。 [page] [bg none] [bgm kindness] もしかしたら見えていなかったのは自分だけで、 あるいは、そうやって自分が忘れていただけで、 全てはこうなるように仕組まれていたのかもしれない。 本当のことは誰も知らないし、知ることは出来ない。 『時間』ってやつのことを、時々思う。 [page] 3は、もちろん、夜中のきもだめしだ。ユウコが提案したの は、昼間にバナナと牛乳をとある場所に置いてきた。それを 探してとってくる、というもの。 何故バナナと牛乳・・・? わからなかった。でもそれは確実に、自然に処理された。 肝試しの夜、僕はたったひとりでバナナと牛乳を見つけた。 こわかった。でも、バナナと牛乳を食べると、おかしかった。 [page] [bgm daily-life] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/424/a0001_016476_m.jpg] お爺ちゃんとおばあちゃんの家へ着くと、ユウコが待ってい た。「久し振り」とも言わず、「よく来たな」とも言わず、 「出掛けるぞ」と言った。 マッサージ機のコードを齧ったみたいにピリッ、ときた。 感電した。それでも、僕はお爺ちゃんとおばあちゃんにだけ 挨拶して、ユウコと出掛けた。 少し髪をのばしているらしいのがわかった。 こころなしか、頬の輪郭が女性らしくなっただろうか。 胸も少し大きくなったかも知れない。 でも、と僕は思った。何故、上下ジャージ。 [page] [bg downtown] 彼女はまず、近所にある、ゲームセンターへと僕を連れていっ た。それは高校一年生らしい反面、少なからずショックだった。 (パンと同じだよなあ)と僕は思った。 少し前まで食パンに、バターをつけるのがよかった。最後に、 ジャム。時々にはチーズが。でも、クロワッサンが好きになった。 次にハムサンド。お次は、ホットドッグ。ヘイヘイ、サンドウィッチ。 パパヤパパパヤ、アンパン、食パン、カレーパン。 [page] ユウコが、すっかり垢ぬけたなあと想う、そんな僕をよそに、 いきなり素通りし、その横にある、きたならしい段ボールハウ スへと案内した。 ちなみに僕は日本の隣に北朝鮮や中国があって、そこで、核 兵器がつくられているかも知れないというくらい驚いた。 ノレンをくぐると、年齢はわからないが、おそらく六、七十代くら いのホームレスがいた。 ユウコに気付くと、カッカッカ、とけたたましいすごい笑い方で、 ユウコを迎えた。 皺だらけの顔は、無尽蔵の、小さな生命の蠢動、という表現を したかった。 段ボールハウスは、賞味期限の切れた牛乳みたいな感じがす る。そのせいか、子供の時の牛乳パックの筏を連想してしまう。 [page] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/427/a0001_017612_m.jpg] 「今日は誰も来ていないよ」とホームレスのおじさんは言った。 「こっちもない」と携帯をいじりながら、ユウコは言った。 そして僕は、無尽蔵の、小さな生命の蠢動と、牛乳パックの 筏を想像している。 そのせいか、目の前の人間が、神様が命をとっておいたとい う気がして、一緒にビールを飲みたくなった。 ビールを飲むと、どうしてか、シャチのショーを思い出す。 パンダの親戚みたいなシャチとビール・・。 [page] そんなことを考えていると、 穴が広がって、僕はそれを人の鼻の穴のように、 僕は思い始める。すっと手をのばせば、 ボウリングの穴になって、 ピンを転ばせるために転がってゆく。 [page] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/424/a0001_016476_m.jpg] (ここ何処だい?)
2014年01月26日
[bgm kindness] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/422/000386.jpg] 子供の時の、彼女はまだ小さく―― ・・・・・・・・・まだ、僕の方が大きかった。 ねえ、信じられるかい? [page] まだ五センチぐらい低かった彼女は、 はじめて会ったばかりの僕に、 「俺と遊びに行くか」と言った――。 [page] [se scissors2] [bg blue-sky] ――8月1日が今年もやって来た。 [page] [bg river-evening-blur] 僕は夏休み。 自由研究。宿題。 クラブ活動。 毎日毎日、興奮がさめないままの、 過密なスケジュールを過ごす人もいれば、 のんびりだらりと団扇をしてる人もいる。 猫は扇風機を浴びる――。 [page] [page] [bgm none] 僕は田舎にあるお爺ちゃんお婆ちゃんの家へ―― [page] [se scissors2] [bg station-square] これは小学生の頃から続く家族の伝統的な行事で、 一週間ほど、僕等はそこで夏休みを過ごす。もっぱら 近くに住んでいる父方の妹の子供で、一歳年上の従 姉のユウコと一緒に、行動する。男と女がと言うと、結 構変な想像をされるけど、これが真面目に、男同志み たいなエピソード満載でビックリする。 ちょっと笑いそうな話がいっぱいだけど――。 [page] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/424/a0001_016476_m.jpg] [page] [bgm daily-life] [bg https://storyblog.s3.amazonaws.com/uploads/picture/image/423/a0002_011007_m.jpg] [page] [bg train-night-blur] 引っ越しでもするような、重い荷物を背中に背負い、 外へ運び出す。ふっと耳をすませると、声がきこえず、 幻聴や耳鳴りのようにヘビメタが聞こえてくる。 ユウコの好きな音楽だ。 彼女の服装は、どんどん変わっていったけど、基本 的に、男まさりなところは一切変わらず、どこか、ネジ が一本抜けているところは、(僕の望みでもあるけど、) 変わってほしくない。 ほんとうに夢のような記憶だけど、お祭りの日に、 一度だけユウコが浴衣を着ていたことがあって、僕は、 素直に、すごくいいです、可愛いです、と言った。 [page] 新幹線に乗れる駅で、お土産を両手いっぱいになる まで買い、出発。 ちなみに僕とユウコは、本当に時折メールで連絡す ることがあって、それは大概きまぐれなのだけど、それ でも、今回のように帰省する場合は、メールをする。 彼女の両親から聞かされるに決まっているのだけど、 それは僕と彼女の、あるいは僕が勝手にいだいている 友情のようなものだ。 あるいは、思春期特有の屈折し た恋愛心理のようなものかもしれない。 [page] 帰省する朝には、何故か必ず、ちらし寿司を食べた。 そして景気づけといって、必ず父親と母親は缶ビールを、 一本飲んだ。何だか基本技を覚えた格闘ゲームみたい に、少しだけ強くなっている。 朝の弱い母親も元気になる。 真面目で几帳面な僕は、毎年、そんな両親を見ながら、 チャイを作り、飲む。 ラジオ体操の子供たちが集まる時間帯に――。 一瞬眠りにとろとろと落ちそうになっては、浮上する。 ちなみに『夏休み』の取扱説明書には、こう書かれて いる。もしもし、どちらさまですか? 僕等はよそ行き顔 をし、窓辺から見知らぬ景色を見る。汗をかきながら、 ぼんやりと懐かしい人の顔を思い出す。 [page] ちなみに僕は、少し自閉症気味の子供だった。牛や 羊の鳴き声が好きで、ぬいぐるみが部屋に飾られてい た。心配した母親が、自然学校とか、空手とかに通わ せたくなるのも少しは分かる気がする。ちなみに僕は、 絵を描くのが好きで、とりたてて野良猫が寝転がって いるのを見つけては、写真でパチリとやって、家に帰っ てスケッチしたりする趣味がある。 まあそんなわけで、戦隊物や、ロボット物にはあまり 興味がない子供時代を過ごしたのだが、それでも、そ の夏休みの間は少し違っていた。ユウコは何と言うの か、僕と正反対で、トラブルメーカーな所というか、事件 を呼ぶ性格というのか、毎年僕に色んな体験をさせてく れる。彼女はまた、任侠映画が好きだった。 [page] [bg none] [bgm none] 庶民、一般市民のハートを鷲掴みにする。 「死んでもらいます。」 [page] [bg river] [bgm kindness] 実際、ユウコは、面と向かってこそ言わないものの、子 供の時からあこがれの対象だった。 カップラーメンにお湯を注ぐみたいに簡単に感化されて、 僕はほとんど彼女における友達や、時折には奴隷のように 過ごした。でも、そういうのが嫌にならないのは、結局、 彼女が自分には持っていないものを持っているということに、 すごく惹かれていたのだろうと思う。 彼女はしかも、僕が苦手な水泳が得意で、これが、もしか したら、男女における間柄を必要としない友情関係を決定的 にしているのかも知れない。 ある朝、ユウコと近くにある海へと出かけると、僕の表現で いうところの幻の彼方にしか思えない離れの島まで、ものす ごい泳ぎ方で、ざぶざぶ行ったりした。そして――。 [page] [bg none] あっちの岸の方から、大声で、 「さあ、お前も来い」と言った。 僕は目を丸くし、首を振った。 基本的に、そんな感じの間柄だった。 彼女が着ていたスクール水着に、 色気を感じる暇もなく、僕はただちに海へ入り、 溺れた。それをヤバイと思ったユウコは、 「待ってろ、いま助けてやる」と言って、 飛び込み、僕は救助された。 子供の時における、特別な瞬間の一つだけど、 この人すごい、と思ったら、 それが一生のものになるのだ。 [page] [bgm none] 見えない繋がり―― 忘れているもの・・・ [page] [filter none] 印象に残っていることを三つ挙げよ! [page] [bg stairs-on-the-ground-floor-blur] 1、スイカ 2、蛇 3、肝試し [page] 1は、多分、どこかで貰ってきたスイカを、ふたりで仲 良く食べなさいと言われたのだろう。でも、ユウコは、願 望もあったのだろうが、あきらかに言われたことと少し違 うことをした。ちなみに僕はスイカが好きだったけれど、 一個まるごとを、ざくっと包丁でいれて、「さあ食え。」 皿にのせられた半分のスイカに、さあ食べようと言える 感性はない。しかしユウコは、イノシシのように種子をペッ ペッ吐きだしながら食べ始めた。 魔物がいる、と思えるほど、すさまじい光景だった。 フードファイターがそこにいた。もちろん、ぶったまげた。 でも、もちろん、食べた。ユウコがしたことで、僕がしない、 ということは許されない。というか、それを言うことができ ない。それは子供心に恥しらずだと思えた。 [page] [page] [bg none] あわてて、スイカに口をつけ、見よう見まねで、スイ カを両手に抱えて、歯をさくっと入れた。甘い。でも多い。 当たり前だけど、そんなに食べたこともないから、すぐに 食べられなくなる。うえっ、とか、おえっとかいいながら、 食べている僕も、さすがに限界で皿に戻した。ふっと見る と、ユウコはあっという間に、もう食べていた。、「どうした、 お前、何やってんだ。」と言いながら、僕の食い残したスイ カを手にとって、猛烈な勢いで喰った。 考えてみると、彼女は僕の二倍しゃべり、僕はその分 だけ二倍無口になった。 [page] [page] でも気付いてくれる―― わかってくれる・・・・・・
2014年01月26日
ろまんてぃっく過ぎてまじでごめんkamome7440本文[bgm daily-life] [bg woodland-path] その時、僕は、多分、 前に進もうとしていたんだ――。 [page] しんとした太陽が青い空に出て、 屋根のひさしをふと思い出したように、見る。 [page] ――青いよ。 [page] こころと身体が別ものであること を いま みとめてしまう―― [page] [bgm none] [page] [filter white] [se crow01] [bg field] [bgm melancholy] ――6月11日晴れ。 17:15。 静かな雨が 降っていた・・ 雨は明るさと、快活さと、 また暖かさを、奪っていく。 陰鬱な乱雑がねくたれていて、 悪どい空気がじっとり湧いている。 曇りながらでも、空から、ポツポツと降ってくる雨は、 空にとどまっている悲しみのプールを想像させる。 [page] つたない波 で いつのまに か こんな に 深い溝 が横たわって る [page] 「アイツは気付いてないんだ――。」 [page] [page] [bg downtown-evening] 「関係ないだろ。」 あの時のシチュエーション。 あの時の僕。 両親の仲がよく、 たまに来てくれる彼女・・・。 隣の家の、 同級生。 でも実際はお節介で、 口うるさくて、けど・・・。 長い間、僕はずっと――。 [page] ――君の傍にいられたらいい [page] スーツのポケットに小さな緑亀がはいっていて また小さ な 鼠がはいっていて [page] [bgm none] [page] わたしは まるで シャッターを押して蛙ばかり写してる [page] [bgm heartbeat] [bg field] [text-color black]思い出す――― あの夜のこと・・・。 [page] [bgm none] [page] [bg bedroom-evening] [text-color white] [bgm festival] 「ねえ、ちょっと!」 大きな声。 二階の部屋。他の部屋より暑い、西日の当たる二階の部屋。 床に転がったゲーム機に漫画と、掃除もせずに汚れているのに、 机はおそろしいくらい綺麗。気侭な電車という名の揺籃! でも、――雨がこういうのを全部鬱陶しくさせる。 そうすると、嫌なことを考える。 でもそれが全部、何かの間違いであったみたいに、 彼女は、大きな声で僕を呼んでる。 [page] まるで、飼い犬みたいな扱いだ。 ひどい。 そしてまたベッドで微笑んでいる僕が見える。 でも嫌だ。 さっきまで雨の音を聴いて、ぼんやりしていたのに・・・。 ちょっとは男のセンチメンタルな胸の内というのをだな、 悟りなさい。悟れなければ、砂糖せめて五匙いれなさい。 と言ったって、そんなこと言えば、聞かれるにきまってる。 [page] セメント・・・・・・、 無色雑音の砂・・・・・、 [page] 何をよ。しかしこの何をよ、が憎らしい。 何をよ。はいはい、あなた様は、 いつまでもお子様ランチ喰べてなさい。 おじさんは、そろそろ、大人になる。 いつまでも俺だってポップソングじゃないんだぞ、 ブルースもする、シャンソンもする。 馬鹿野郎。 [page] それで も 一歩 だけ すすみた い ね もっと 前 へ と ・・・・・・ [page] そしてなにか不思議な世界――。 [page] 「ねえ!」 知らんぷりを決め込んでいるわけじゃないが、 ちょっとした気分のものだ。 そうすると、ぽとんぽとん、と石を投げてくる。 二階の僕の部屋は、川となった。 そうだよ、君、アンダースローで、 ピュッと投げるのがいいのだ。 って、違うだろ! [page] ワンポイント・レッスン! 神はいつも欲張りな人の味方 そこにひとりの女性がもの言わずに佇んでいる 昔こんな夢を見たわ、と ・・・・・・ [page] ここは川じゃねえ。ていうか、 窓割れるだろ。 手加減してますじゃねえ。 と、いつのまにか、テレパシーしてる。 馬鹿みたいなやりとりを、一体いつまで、 続けるつもりなのか。 こんな子供っぽい関係を、 いつまで・・・。 [page] ガラガラガラ―― 「おいこら!」 すると、にっこり。 なんだか、怒る気も失せるくらい、 ほっとした顔をしている。 「・・・やっぱり、いるんじゃない。」 「なんだよ。」 [bgm none] [page] [bg field] [bgm melancholy] [text-color black]思い出す――― あの夜のこと・・・。 [page] [page] しいんとした部屋 で TVや 洗濯機の 音が やけに リアル に 引き戻して き て なんという か 終わって い た [page] [page] [bg none] たった一度だけ、夜中に、二人で海へ行ったことがある。 自転車を漕いで。でも、俺が選んだんだったよな? すごい山道でさ、くねくねした曲がり角、ひいひい、息切らしながら、 乗り越える。でも、なんだかよかったんだ。覚えてないと思うけど。 暗い夜道だったけど、豁然と、月が道を浮かべていてさ、 それに、虫の音なんかがして。 [page] [bg moonlight] [text-color white] [bg downtown-evening] 「関係ないだろ。」 お前は本当に馬鹿だよな。 馬鹿だと思う。 ――長い間、勘違いしていただけで こいつは俺のことを・・・。 何とも思っちゃいない・・・。 [page] すこし なれなれしくな って また 同じことをくりかえ す よくて たまらな い ぴったり と 寄り添っていられるのが そういう風な 正直な気持ち で [page] [page] [bg bedroom-evening-blur] [text-color white] [bgm festival] 「――長いトイレね!」 「馬鹿野郎。勉強だよ、モーツアルト聴きながらね。 おお、巨匠、レクイエムを聞かせて!」 「勉強しなさいよ。」 と、窓越しの彼女。 「だから、してたの!」 と、言いながら、後ろを振り返れば、 漫画が転がってるので、 ぼすっ、と蹴飛ばした。 [page] [bgm none] [page] [bg none] きれいな海だった。全身筋肉痛で、 もう帰れないから、朝になるのを待って、 自転車ごと電車に乗せて帰ったっけ。 本当にめちゃくちゃな計画。 素っ頓狂な話。 でも、覚えてないかも知れないけど、 海辺でお前少し寝てただろ。 あの時、 お前の唇が俺の唇に触れたんだぜ。 [page] 火 の ぬくもりを感じた ら ふかい みな底でふたり は 神へ の抱擁 をするのかな そう ポートレートは赤と青のみで忠実に再現されて い る 冷静と情熱 の 峡間に揺 れ る [page] 「アイツは気付いてないんだ――。」 [page] [page] ごめんなさい 辛かった んで す あの時 は 友だち から 聞いて しまったものだか ら メールの言い訳 を 彼が聞く はずもな く わたし は すっかり 涙脆くなっ てい た [page] [bg bench] 家を出て、ちょっと話があるからと、 わざわざ公園まで行く。 女の子の一人歩きは危ないんだぞ。 あなた、女の子なの。 オオカミだよ。違うよ。もちろんそうだよ。 公園には、遊具があって、 とりたてて滑り台とブランコがあって、 えーと、あとは何もないな。無言の浸食作用。 饒舌は回転寿司。えーと、って何だ。 なに、どきまぎしてんだ。 うるせえ。 [page] ――白痴。 [page] 自動販売機でジュースを買ってくる。 「それで、どうしたんだよ。」 話せよ、という風に、目配せする。 「えへへ・・・ご馳走様でした。」 「なんだよ、それ。」 コカコーラを、プシュッ、と開ける。 どこかで、ガハハという酔っ払いの声がした。 中年め、俺にも酔わせろ。 「友達のカナコちゃんがね、・・」 カナブン? 「うん?」 と、言いながら、俺は顔を青くした。 まさか、―― [page] カ マ キ リ ? [page] ――何のこっちゃ。 [page] 「待て。俺は、スカートめくりなど断じてしておらん」 「したの?」 「いや、言ってみただけ。」 続けて、と言った。 「あだち充読みすぎ。」 「青春の代弁者。」 「合い言葉は?」 「ムフッ。」 「も一つおまけに?」 「サービスショット!」 [page] ――ごめんねって。 [page] ねじきれまいとした バネ仕掛けの莟 か ら 澱み な く ふくら み ふたつ並んだ 影 は 鮮やか な 実験 [page] [bg park-night-blur] [bgm daily-life] むくむく と わたし の視界 を くらく おおっ て [page] だから 覚えて て ね あたしのことば すこしだけ で いいから ちょっとだ け 地面に転がっている鞄 や 折れた鉛筆 みたい に [page] 独楽 の 回転 は すずろか で そ の ぶつかるの 音 を 思うたび に 僕 は 何か を 待って いる [page] 次第に冷えてゆく大気を敏感な肌に感じ な が ら [page] みんないつも淋しくて そんな人生にもとめてるのは何かって ・・・・・・ 話してもいい? 聞いてもいい? [page] 不思議な魔法をかけられてしまう 生きてるって悲しみがその瞬間に満たされる ・・・・・・ 町の様子 に 見惚れて 自然 や 物の 匂い が あふれて 街灯に 葉が 透けてるのがわかって [page] それは空想の阿片によって色濃くイマージュされた ふくよかに映える月夜の散歩 [page] ――大好き
2014年01月25日
[page][bg classic-classroom] どうして彼女を見るようになったのか、全然思い出せ ない。教室で、百合は大抵真面目な顔をして、お勉強 していた。自慢じゃないが、僕は寝ていた。死んでいた。 勉強全然わからん。とか、言いながら完璧にケイラクヒ コーを突かれていた。ユアーショックだった。僕はウルト ラマンになりたかった。仮面ライダーになりたかった。 というか、勉強のない国へ行きたかった。将来は、絶望 的だったけど、肉体労働すりゃ生きていけるだろうと思っ ていた。でも人間って、何処でどんな風になるのかわか らない。僕はこれから数ヶ月後、おそろしく勉強すること になる。結果はどうあれ、人生で死ぬほど勉強して、彼 女と同じ学校へ行くことを本当に夢見ていた。 [page][bg classic-school-passage] 恋って、すごい――。 [page][bg library] 図書室なんて、絶対入りたくもなかったのに、百合が そこで読書をしているから、僕まで、難しい漢字だらけ の本を読んでる。ウルトラバカコンテストがあったら、 絶対に一番とる自信があったけど、たくさん本を読んで る内に、俺ってわりとこういうタイプだったのかな、と誤 解してしまう。「今日はこんな本を読んだの。」という話 を聞きながらの帰り道――別にそんなに大したことじゃ ないんだ。別にむずかしいことじゃないんだ。頭がよく なくても、きちんとやれば色んなことって出来るんだ。 ただ、彼女の読書の話は、いつでも丁寧で、要点をき ちんと抑え、キャラクターの説明、ストーリーも分かり易 かった。僕の場合、これがすげえんだよと、いきなり見せ 場から始まり、後は大抵、百合に聞かれて答えた。 [page][bgm none] [bg black][text-color white] ――好きだな、と初めて思った。 [page] [bgm yokaze] 「わたしね、引っ越しする。」 「え?」 唐突な、彼女の言葉は――。 僕には理解不可能で・・。 [page][se mobile-suit1] その時、僕は足に力が入らないのに気付いた。花が はらはらと花びらを開くように、百合の唇を見つめたま ま、僕の思考が殆ど途切れてる。シェイクスピアの夢 幻劇のように記憶がぼんやりとしてる。乗客が、動物 の顔にも見えた。ここは動物園のような気も、いまじゃ、 する。百合は、目を伏せ、一週間後に転向することを、 僕に告げた。でも、ちょっと待って、ちょっと待ってくれよ。 一昨日まで、いや、昨日だってそんな話はなかった、唐 突すぎる。何があったんだよ。どうしてそうなんだよ、と 僕は言った。すごく混乱していた。受験勉強もしてた。 図書室で一緒に本を読んだ。そういう生活が、ずっと続 くと、勝手な僕は、思っていた――。 [page][bg black] 風が吹いてる・・・。 夜の深さが――葉脈を伝って、 潤い、僕の身体に染みこんでゆく・・・。 循環する。月が満ち――てゆく・・ 風が無性に波を、感じさせる――。 紫の花が、ほら、咲いてる・・。 あれは、本当は白い花なんだけど・・・。 月の色に染まっ・・て――。 あの暗闇の中で、まったくと言って、 劇的な変化をする。あれは・・、 百合だね。まっしろな――百合・・。 なんてきれいな――花だろう。 そしてなんてきれいな・・・名前――。 [page] 彼女のいない卒業式―― 彼女のいない高校・・・ [page][bgm intermission] でも、もう我慢できない――。 [page][bg downtown-evening] 彼女とは、相変わらず続いてる。夏休み、冬休み、 彼女は僕に会いにきた。「全然、変わらないよ・・」と 彼女は言った。でもね、百合。そんなに単純なことか な。 電車で数時間もかけなきゃ来られない。通う高 校も違う。毎日顔も合わせない。たまに電話はする。 毎日メールする。でも、会いたい。会って――また、話 をしたい。こんな奴、好きにならなきゃよかったな、と 思う。百合、それが本当だよ。でも、嫌いになれない。 彼女が来た帰り際の、さみしそうな顔を見ると、しっか りしなきゃな、と思う。心配かけまいと、ありがと、また 来るね、と言う百合を見てたら――。 [page][bgm none][bgm clapping-long] 百合――。 [page] 彼女が服飾のクラブに進んで、その服が、どういう経 緯かは不明だけど、とある著名なデザイナーの目に止 まって、ちょうどその人のファッションを展示しているデ パートの一角に百合の服が飾られてる。今日は、その 最終日。僕はメールで場所や、日時を知っていたけど、 何だこれはって思うくらい猛烈な拍手で、コンサートに 突然迷い込んだ少年みたいに、頭がくらくらした。デパ ートの9階。確かこっちの方だと、およおよしながら歩 いていったら、これだ。ふっと――拍手の真ん中にい るのが、百合だと気付いた。どういうことだ、と思う。 [page] 「夢なんです・・・」 と、百合はマイク越しに喋った。 「服をデザインするとか、 それで有名になろうとかじゃなくて、 大好きな人に、―― 着てもらいたい・・・。」 [page][bgm starlight] 百合が、僕に気付いた――。 [page][bgm none] 微笑む、百合・・・・・・。 [page][bg downtown-night] 僕は、少し、とぼとぼと歩いた。サプライズというつも りで、わざわざ来たんだけど、なんだか、百合がすごい ことをやってるらしいぞ、ということを知って、一体自分 は何をしているのかと思って。デパートから、出て、とぼ とぼと、歩いて、まったく見知らぬ町を百合と手をつない で歩く。「いつも、いい時に、箱崎君はいる。」なんて、こ いつの優しい発言に、心底落ち込んで。「いつも、すま ん。正直、来なきゃよかったな、と思う。」「どうして?」 どうして、ってお前――あそこは、お前のキラキラしてい る場所じゃないか。俺はどうだ。俺は一体何をしてた。 いや、なんだか、こいつにはずっと勝てないなという気 がして。本当に俺はこいつの彼氏なのか、と思えて。 [page][bg cloudy-sky-night] 「今でも、あたしのこと好き?」 [page][bg moonlight] 「どうして?」 [page][bgm daily-life] 百合は、立ち止まり、すごく淋しそうな顔をした。 「本当は、すごく淋しいの。」 「いや、俺だって――」 「そうじゃなくて・・、毎日会わないでしょ。顔だって、 たまに送ってくれる写真だけ。電話しても、毎日かけ たら、面倒くさく思われるでしょ。」 「お前、馬鹿か。」 と僕は言ってから、 百合の目が泣きそうになったので、 あわてて、いや、違うんだと言った。 「恋人だろ。」 [page][bgm none] うん――。 [page][bg none] 「むしろ、ずっと俺は百合に感謝してるんだよ。知って るだろ。俺はウルトラバカなんだよ。勉強なんか、いま でこそちゃんとするけどさ、百合とこんな風になってなか ったら、今頃、マジで十五歳で就職してるか、スポーツ特 待生! いや、間違いないね。間違いない。じゃなかった ら、近隣でも有名な大馬鹿高校に入って、煙草とシンナ ーを覚えてきてしまう。いや、間違いないね、間違いない。 本も読んでない。百合がいなかったら、クラシックも聴いて ない。ショパンと、モーツアルトと、チャイコフスキーの違い もわからない。いや、間違いないね、間違いない。それも これも、全部、百合のおかげだ。時々思うよ。でもだから、 時々すごく自分とお前が釣り合ってないように思うよ。」 [page][bgm yokaze] 「馬鹿ね・・・。」 [page] 「箱崎君は、ちょっと正直すぎるだけよ。本当は、大体 みんなそうなのよ。勉強が好きな人なんて、まず、いな いし――大体、・・・大体、変よ。いつも、あたしが言いた いこと、あなたが言うんだから――ねえ、箱崎君、実は ね、また、あっちに帰れそうなの・・・今度は、もうお父さ んやお母さんが何言っても、何処へも行かない。絶対 行かない。本当よ。・・ずっと一緒にいたい。キスしたい。 一緒に笑ったり、泣いたりしたい。鬱陶しいかもしれな いけど、毎日顔が見たい。会って、話をしたい・・・これ、 さっきの会場で飾ってた服。箱崎君に会ってたら渡そう と思ってた。絶対似合う。似合うと思って、作ったの。 その――恥ずかしいけど、着て。」 [page] 変な服だった――。 [page][bgm none] 袋を開けた瞬間に―― ちょっと後悔した・・・ [page][bgm daily-life] スケスケのブラアアアック――。 [page] おまいさん、あっしは、 マイケルジャクソンと違うよ。 [page] 「と、それはともかく――」 と、誤魔化しながら、袋に戻した。 すげえ、がさごそいわせながら戻した。 「百合、・・・」 と、僕は彼女の顔を見つめた。 ものすげえ無理矢理、両頬をおさえ、 ものすげえ無理矢理に、 話をそらしながら、僕は言った。 [page] おまいさん、あっしは、 マイケルジャクソンと違うよ。 [page] ――違う。 [page] 「おかえり。」 [page] 百合は僕の手に頬ずりしながら・・、 「ただいま。」
2014年01月25日
ムーンウォークやりすぎkamome7440本文 風が吹いてる・・・。 夜の深さが――葉脈を伝って、 潤い、僕の身体に染みこんでゆく・・・。 循環する。月が満ち――てゆく・・ 風が無性に波を、感じさせる――。 紫の花が、ほら、咲いてる・・。 あれは、本当は白い花なんだけど・・・。 月の色に染まっ・・て――。 あの暗闇の中で、まったくと言って、 劇的な変化をする。あれは・・、 百合だね。まっしろな――百合・・。 なんてきれいな――花だろう。 そしてなんてきれいな・・・名前――。 [page] [bg residential-street-1] 彼女に会いに行くんだ・・。 [page] [se wad-up1] [page] [bg house] [page][bg station-square] [page] 電車に乗って、何処までゆけるかなんて考えているわ けじゃない。出発地. 駅名、目的地。施設名、住所・・・。 ただ、人生って、そんなにしかつめらしく考えたもんじゃ ない。そんな気がする。電車に初めて乗ったと僕が、言 えるのは、確か五歳の時だったと思う。未来への希望を 語るように、世界は色んな表情を見せた。窓にへばりつ き、小さな僕は、母親の手を放れて、この世界というもの を見つめていた。ここが何処かなんてわからず、多分、 それがどういう乗り物かもわからず、車窓の景色に揺れ ながら、僕は『都会』というものを見つめた。華やかその 街-Cityに、音楽が聴こえてくる。 [page] [bgm yokaze] 「わたしね、引っ越しする。」 「え?」 唐突な、彼女の言葉は――。 僕には理解不可能で・・。 [page] 百合は、中学校の時の同級生だった。美しい目、美し い手、美しい髪・・なんて言ったら、僕が彼女にゾッコン だった、ということが、わかるだろう。アルトの聴きやす い声に、時折混じる甘えるような猫なで声。ねえ、百合、 君は多分、色んなこと、僕に教えてくれたよね。実は、 彼女と親しくなったのは、この駅だった。彼女は花柄の、 派手なワンピースで、女の子が女の子するためのよう な服を着ていて、麦藁帽子をかむっていた。多分、派手 さを少し誤魔化すためのものだろう。でも首元には、ネ ックレスが揺れていて、少し大人びて見えた。百合は、 これから電車に乗って何処かへと出かける。僕は、ちょ うど、家に帰るところだった。 [page][bg train] 「箱崎君よね?」 僕は、もちろん、 大分前から気付いていたけど、 あれ・・あれ、と二回言った。 「あれ、琴川さんじゃにゃーか!」 大体、男というものは、ネコ。 ぷっ、と彼女がふきだして、 僕の猫キャラも定着した。 [page][bg store] でも、百合・・。 君は少し、無防備すぎる。 「ねえ、箱崎君、よかったら―― これから、ちょっと、どう?」 [page][bg downtown] もし、十六歳の僕が、人生を振り返って、これが七不 思議ですと言うなら、その一つに間違いなく入るのは、 この時だ。「そーゆー台詞は、男に言わせろ。フ・・モテ る男はつらいにゃー」と、いきなりふざける僕。それに、 目を見張って、ふきだす、百合。でも、考えてもみろよ、 別に、二枚目ってわけでもない。クラブでバリバリって わけでもない。確かに僕は陸上部で、少しは汗を流し ていたけど、優勝したとかいうクチでもない。多分、こ いつの気まぐれだろうな、と思う。でも女の子の気まぐ れって、思う以上に、どきどきする。それに、僕は、彼 女のことを大分前から、見つめていたわけだし――。 [page] 「お父さんの、ネクタイ買おうと思って・・」 「お父さんって、パパか?」 と、いやらしいニュアンスをこめるが、 百合はそういうのがよくわからないので、 「そう。誕生日プレゼント。」 [page][bg downtown-evening] 夕暮れって、一人で歩いてると、すごく淋しいんだ。 何だか、後ろぐらいことや、切ないことを思い返して るような気がする。心を浮き立てるような音楽に、耳 を傾けている時はいいんだけど、あてない空想に耽っ て、自分が子供だって気付いて嫌になることや、本当 に、とても小さな、懐疑の芽。自分へと向けられた、 銃口。その時、あきらめたこと、悔しかったことを思い だしたりする。 静脈管の中へ、時計の針の中へと、 僕は消えていく。何かを見失ってる気がする。時々、 これが本当じゃないって気がする。そんな途切れた夢 の前で立ちすくんだまま、一歩も歩けないような気持ち になるから――。 [page][bg black] 顔のわりに、目はすごく大きいのな――。 [page][bgm none][bg downtown-night] 「買った買った。」 と、はしゃぐ百合。 「でも、もう七時ですよ・・・お嬢さん!」 中学生の一人歩きは、 感心しない――。 「箱崎君もでしょ?」 ゲームセンターの景品が、 ぽろっと、腕から滑り落ちた。 [page] [bg station-square-night] [page] [bg school-gate-night] [se scissoring-nails] 夜遅いし、物騒だからと、送ってくよ、と言ったら、すん なりOKで、僕の方がビックリした。警戒心ゼロ。僕は猫 か。いや、もちろん、そんなつもりも全然ないんだけど。 それでも、折角ボディーガード役を任命されたわけだし、 少しでも男らしさをアピールしようと、肩をこわばらせて いたら、腕大丈夫、ちょっと重いかな、と荷物の心配を されてしまった。いつもこうなんだ。 [page][se cat2] 学校に、通りかかる――。 [page][bgm shin-on] その時、何にも思わなかったけど、思い出すと、あの 時、百合は、もしかしたら数ヶ月後の転校を知っていた んじゃないかな。どうもそんな節がある。突然、立ち止 まって、もうあと少しね、と言った百合は――その時は、 そうだな、学校生活もあと一年と少しだもんな、と僕は 肯き、ぼんやりと不気味に浮かびあがるホラーの舞台 にしか思えない校舎を見つめながら、しかし今日は得 をした、なんというか、得をした、と思っていた。オヤジ さんの誕生日もタイムリーだった。ありがたい。よくわか らんけど、感無量、と思っていた。もちろん、このあと、 家に帰ったらエロゲー的妄想する。申し訳ないけど、 オカズにする。男って、どうしようもない生き物だから、 自然、そうなる。ごめんだけど、そうなる。 [page] でも、物憂い表情で―― 校舎を見つめる百合に・・・ [page] 「今度よかったらデートしないか?」 [page] 迷惑かも知れないけど―― ここは言う時だと思って・・・
2014年01月25日
ねぇ、もっとして――愛されてるって感じたいの・・ねえ、ゲーム・コントローラが――転がってる・・部屋で、やっとの想いでやって来た金曜日が来る。ずり落ちた肩の紐をかけ直して、またシャワーを浴びて・・鏡の前で、口紅を引く、君は、なぞなぞの答え合わせみたいに、(ヘッドホンから漏れるリズム・・)バターやキャラメルの嘘のコマーシャルみたいに、ねばねばしてくる、遮断機を潜った僕は、「明日何処へ行く?」という背を向けた言葉に、暗い顔をする。赤い糸が切れそうな倦怠感のムードが、冷たい頬に犯されてしまう――(どこを見ているの?)何処 吹く 風さ・・そんなの許さない・・大人だって、社会人だって、言い聞かせているけど、立派な人間になろうとするけど、僕は前よりずっと孤独だって気がしてる、沈黙にもうんざりしている・・し、その場凌ぎの、甘い甘い恋の魔法は、こんな 時 に、そらぞらしく聞こえる。力がない腕は――、継続に、退屈を誤魔化す・・生まれたばかりの姿を慈しんだあと――で・・、悲しみに寄り添いたい な が ら・・あの頃の思い出を胸に抱いて、弱々しく揺れる炎・・、、、、、、、、、、、、、、、、、聞かれたくない独り言を言ったあとで、厭らしく笑う聖書の蛇を思う――知識を与えた林檎は、あなたの優しい心や、大切にしたい、その気持ちを汚す、――美しい以上の言葉を見つけられなかった夜は、、、、、、闇に溶ける。0から10までの言葉――を・・初めての愛の芽生え、初めてのKiss ・・弱い星屑の光にも似た映画を見ながら、俯きがちの無口な少女は、少女のような少年になって――ゆく・・(Come, let's go on with the game...)皺の入ったシーツに、止められない想いはあっても、揺れる心の中はない『本能』の平気な顔を見つめながら、それはあまりにも突然に、「さよなら」に、変わろうとする――さよならも言えない僕も、見え透いた未来も最悪の結末を恐れている僕で、またParadox は狂気に・・嫉妬に――すり変わってゆく、、、、、、、、 、、、、、、、、、、唇を寄せながら、また催眠術を聞くんだ・・・不老不死の肉体なんてあるわけもないから・・だから肉体の愛を認めなくちゃいけないのに――性欲求の楽しい歌と踊りが、僕を、乾かせる・・「ねぇ、もっとして――」(嘘で傷付くことも、折り合いであるみたいに・・)「愛されてるって感じたいの・・」(冷たい尋問調が、もう一人の僕さ――)純粋な心を持ち続け、より良い暮らしを見つけよう、(Come, let's go on with the game...)ねえ、神様、多くの障害と闘っていく、泣きながら歌った歌も、この物語はとても悲しいからだと――言うんだろう・・存在を全否定して、完全になりきれない僕を、ああ、この僕を、『愛』と・・?(ヘッドホンから漏れるリズム・・)きっと、僕は、何も知らない顔して――笑う・・、手をつな――ぎ・・ながら、またその優しさで傷付きながら、このノイジービートに目をチカチカさせ――て・・、Oh また遠回りに、僕は君へと近づいて・・いく――優しく憎みながら、その醜い自分を隠すみたいに、見えない愛を感じながら、それ――でも・・前にも後ろにもすすめなくなりながら・・それ――でも・・、時折には、その瞳に、焼かれながら、奪われ――ながら・・。
2014年01月23日
睡気が忽ち香油の瓶を離れ、AとBの関係。自問自答。わたしのなまえ。 あなたの存在価値はゼロです。ゼロです――・・。 野戦情報処理システムが起動する、ヴァーチャル・リアリティ-・フィールドで、 バトル・フィールド・スキャナーをONにする。眩暈に襲われ、 吐き気をもよおした。雷に撃たれたように強張った足取りで、潜り込む。 都会――潜伏・・。混雑からよろよろと押し出され、おかし い―― 字が、眼の中で踊りだす・・。 進入禁止区域/淡く煌めく御伽の国 視聴覚センサーとジョセフソ素子コンピューターが電子のテニスをやり、 それは僕に、とある事件を思い出させた。嗅いだことのある匂いが充満している、 小気味のいいシャカシャカという金属音。豆のこすれる音、・・いや炒れる音。 1、社交界の花形だった若い美女 2、地元の有名スポーツ選手 3、それに被告席にいるのは新進気鋭のビジネスマン という殺人事件。しかも、新聞がにおわせるのにもってこいのスキャンダルが、 揃っていた。なんとも滑稽な絵本だが、ほら吹きのロミオと、淫乱ジュリエットが、 この事件の真相。犯人に仕立て上げられた無罪の人間は懲役を喰らい、獄死。 ミキサーの回転音がしていた――車輪のうごきがめまぐるしくなった・・ 葬儀万全しかるべく執り行ったうえ、 しかし。これらのことを仕上げ為遂げた暁には、 心のうち胸のうちにじっくりと想いを凝らせ――。 、、、、、、 戦況を分析し、通信波で大脳視覚野に情報を送ってくれる。 タイプライタアの音がする。小麦粉と卵と砂糖が無防備にまぜあわせられてゆく。 『銀行ってやつはおそろしく保守的だ』(guideline) ひ 灯が急に明るくなった―― 揺れる君の瞳(は、)ロックンロール・ナイトメア、 コンサートのライブ。無断外泊。露出度も高くなり、まるで、打ちっぱなし、 ゴルフの――劈くようなひしゃげる音。真っ黒のスーツ。黒い血液の音。邪悪な奏法。 ・・・この中に身を投げて、メッセージをしつこく点滅させる。 青銅の鏃に塗る致死の毒を求めて――いるのだ・・ 生まれながらに呪われたる自らの命を自ら深く呪いつつ、 いけにえ 善良なる旅人をおのが永遠の呪いの犠牲にして・・・。 (ゆっくりとしていく――異物感。フィルターをかけられ、 しかしそれと同じく。ねばねばの蜘蛛の糸にはまったような、 エゴ・・世界が変わってくれればこうはならなかった、とぼやきだす、 ダウナーが回ってる――・・) いつまでもいつまでも見つめている。目は、いつとなくグルグルと、 くるめきはじめる。「はかりごとを用いるか、あるいは正々堂々と戦うか・・」 ゾフィーだ。目の前で、白い服を着た、清潔そうな、爪をいつも切り揃えているような、 その男が、僕にそう言う。それは幻想かも知れない。幻想は、前世と言うし、 未来の男だとも言う。狂っている――だが、正常に僕は狂っている・・。 さりとて、永遠にいます神々の怒りを憚って与えず・・! 「いずれにせよ彼等を討ち果たす手立てを思案せられよ。」 (子供じみた振る舞いがあってはなりませぬぞ。」 それに応えて言うには、――銃とヘビー・ドラッグ・・・。 ひ 灯が急に明るくなった―― 電池の残量。空席の隣人。ギアを上げるため、体感速度を向上させる。 キーショートカット、ブラインドタッチ、バックアップ・・深く映った灰色の空が、 いつしか黄昏の色に黝ずんでいる。変な会話が耳に飛び込んでくる。違和感がある。 ◇最適の選択――撤退◇ ・・・その瞬間、漂い砕くる波の泡の中に落ち込む。美しい壁画を持った、 二階建て三階建ての家屋群が姿を現す。まるで見覚えがない。でも、 もしかしたら、僕はまったく別の場所にいたのかも知れないと思う。 (回想――どうして疲れを感じた時に、人は思い出すのだろう。 「あら、どしたの、ここ――え?」 「ガラスで切った。」 「いつ!」 口をパクパクさせるが、言葉にならない。僕は鯉だ――あくびだ・・) その壁画は、江戸時代の両替屋のような看板を僕に想起させる。 幅は四十センチほどはあろうか、長さは一メートルちょっとで、硬い木の板だ。 黒檀のようなもので縁どられている。しゃくし定規みているみたいだ。 思わずヨロヨロとよろめいて・・、オカシイ、それでもしばらくジッと見つめている。 砂漠で焚火をしているような孤独を感じる。オモチャの電話が、腐った生卵に変わる、 そこはかとなき薄暗がりが、曠野の草に流れてゆく。ねっとりした愛撫、口から洩れる、 水蒸気。それは黒水晶の切り口だ。厚い厚い層だ。 “日常”は異常すぎる・・。 欲望のために他人を傷つける人間にも、 そして報復というあまりに救いのない結末を選択する人間にも、 無論そこへ積極的に介在していこうとする自分にも―― 真黒く、けれども妙にすき通るような色を持った垢、紅蓮、炎、血―― 十数秒で地獄絵図と化した。蜂蜜と檸檬の味を懐かしく思い出すような、 僕は、腑抜けとなり、不安も苦痛も感じなくなった。両手でジーンズの、 ポケットを無気力にまさぐる。ナイ・・でも、オカシイ――そのことに、 ぼやけた。誰の目にもたまらない魅力の、仮死的な生活。退廃的な芸術の、 ムード。追憶の季節は、喪失感をひそませている。フレームだけが、 手招いている。一歩一歩、引き寄せられてゆく蟻地獄みたいに。到底、 泳ぎ渡れそうにない、無限の、底無しの疑惑の海は、生物体内で起きる、 抗原抗体反応のごとき強烈さで、堂々巡り。自意識過剰な自己完結性の高い思考を、 繰り返す。圧縮された・・リサイクル――手が届かない場所で、とりおこなわれる、 不細工な泣き顔のコレクション・・。(瓶の中に人が住んでいるのだ――) それがおのれを自らの破滅の奥へと、 駆り立てるひそかな絶対的な天命。 われわれの目の前に破滅があるのだ、 眼を見開いたままで、 そこへ突入させていこうとする権力との闘争なのだ。 自ら死ぬ風の心――、目に湧いて来る寂しみの雲。 底無しの泥沼へ沈むような、 自力ではどうすることもできない熟睡・・・。 あしおと 跫音が聞こえた。人々はひどく急いでいる。立ち止まる気配もない。 おとしあな 陥穽がそこにあった。最も暗黒な――最も戦慄すべき・・・けれども、 僕は一生懸命に叫んでいた。青色の猿が飛び跳ねている。 軽やかな淡い青を身にまといながら、インディアン風に踊る。 せかせかと動き回っている。万華鏡のような具合に、花開く一瞬の表情、 驚くほどしなやかな体の線を見せて、明るい躍動感。明るさは未熟だ。 だがそれゆえに、躍動感には、一生続く良心の荷物の存在がない。 トラウマがない。不幸がない。それはどことなくエロチックですらある。 小さく体育座りをすると、 そこは、図書館だ。僕の手には、ケミカル系の液体が握られ、 操り人形のように、それを、壁へと投げる―― すると、壁から、家族の団欒が聞こえてきて、 見たこともないけれど、確かに知っている、 赤ん坊が泣いているのが見えてくる。
2014年01月22日
ABCで答えて In this kind of situation...ひっきりなしに慰めて I'm feeling fine now...不協和音、コンシェルジュ。安楽死を望むようになる『言 葉』シャツ タイムグ ラスライ フ・・・月光の射しこむ暗い部屋で Where are you going to run away to? (to?)緑と黒の甘いウェーブ僕には時間がない I'm sorry...「さあ、ここは、エイプリルフール・サーカス。24時間365日、サイレンする。鳥の声する・・腐敗する前の綺麗ごと並べた社会における正常な、エイドリアン・プール・バッカス――」(汚いから近付くな!)いかれた脳は運命をサイコロする。a wayworn traveller... 雑音深淵、昨日までの眉間にしわを寄せた君に、脳内オーバーキャパシティ!さぁ、こっちにおいで、エクスキューズミイするから――この世のどこよりも高い場所にある飛び込み台 I'm going to have to think about it...「ピンチヒッターは誰だ?」(これが君の答えかい?)汚らしく着飾る二重人格 to put it baldly... 物欲のセンサー(は、)アプリコットに欲情するエログロでどこか自虐的な淫声・・このまま Continuous rain... Continue from now...手取り足取り花嫁にマシンガン! 円盤ダンス、crazyなlove(で、)あなたと交わす365日の愛のリメイク・ミーにくるくる回る――ホワイトリリーが死んでいる。クロッカスが死んでいる。真面目になるほどバカらしく思えるカンパニュラ(は、)cut into the line...シャツ タイムグ ラスライ フ・・・ブリーチして痛んだ髪のバーテンダーは、教科書通りの罵詈雑言・・ケセラセラの幸福・・欺くたびに血に縛られてゆく、ヘイ、マリオネット・・(マリー アントワ ネット――)金の糸を手繰りよせれば蝋燭に浮かぶビー玉 to blow out a flame with one's breath...銃撃戦のある娯楽施設へようこそエンドレス・チョコレイト味の無差別テロ。そこに確かに在るもの・・・悲劇――まるで魔法のように歪んだ叫び声の中、I can not let the matter drop... デンパ、来ないメエルを彷徨う、チロル。寄生する・・増殖する、『私はこの街が嫌い』(盲目的誘惑の呪い・・)大好物はスパゲティ、夕暮れのスパゲッティーノ! イミワカンナイ、でも say good‐by to somebody... 破滅への序曲と始まりの歌!ねえ、誰でもいいから私を見て give a groan... あさぐろい果実(は、)誰の視界にも入らない、毒と嘘とフェチ!シャツ タイムグ ラスライ フ・・・ブルーベリーソースのアクセサリー(と、)レモネードして・・!ココナッツミルクのピアスして(よ、)同情と愛情の火蓋・・!プラスチック・ラブ・・サイダーのシャワーにエメラルドが落ちてくる!Give water to flowers! 雨宿りしなさい郵便配達の人、蜂の巣にされたくなかったら。刹那的月蝕バタフライのフィルム/アイ泥沼、本当の気持ちは何処? the act of connecting many rings...19 時にいつもの水没・・ 虚空を撫でるミルクティー魔法都市。あなたの夢を見るたびコスモスが揺れる・・人工知能――それは、一位と二位の間、根拠のない噂は命取りだから、死神は言う「a reception desk of a hotel... 」泣くことを知らない君の目に映るもの、服のシミ、身体のアザ、心の傷・・感情は暗証番号で語られる、ヒップ ホップデ ィスコ!ヒステリック殺戮! 快楽の奴隷・・ナミダボシ消えて消えて消えて――鬼さんこちら、手のなる方へ the fat in milk...点滅する踏み切り。君はエキゾチックな死体愛好家・・生きていても死んでいても、得することはない。君たち・・・君たち・・・君たち・・・・・・ピリオドを of buildings, to fall down ...... 吐き気がするニュース速報、どうでもいい芸能人ニュース、興味本位な言葉、いらない、ヒトリヨガリメランコリイ・・シャツ タイムグ ラスライ フ・・・
2014年01月22日
こころの奥底のだれも知らないところに繋がる 無罪のモノクロ想像妊娠の街長くせきとめていた水が溢れた意味ありげなその笑み Call.. また Dream of loveあなたの鼓動がぬくもりに変わる唇を噛んだ 雨音が金切り声で呼ぶ古のエデンみんな嘘つきで風船を割りたいだけの優しい気持ちにさせて Call.. また Dream of love君のために作っておいたんだ君のために作っておいたんだもっと近くで 感じてみたいよリズミカルなウェーヴ君を失うことは余韻に浸ってるそれがトラブルのシグナルでもゆっくりでいいんだこんなペースでもそう一歩進むんだリズミカルなウェーヴ
2014年01月22日
冷たい君を抱きしめて朝陽に染まるこの手を伸ばす届かないこの手の行方だけが傷つけあってもこのまま ふたりで無記入の解答欄にフォルティッシモの雨が降ってもまるで気が狂ったように涙を拭いて泡沫の闇に沈んでいく 思い出せば僕はあなたの道心を奪って朽ち果てる夢物語 見てて君が大好きな僕は君にとってかっこよくないウソツキなピエロで電話越しのキスも切ないその息を食べさせてあなたのそばにいれるのなら君は僕の愛する人 酔い潰れながら僕はあなたの道もしも夜明けにはぐれても深海まで堕ちてゆきたいセンチメンタルな歪みだけど夏が来れば秋が来るからいつもいつの日も淋しさも悲しみもあなたが欲しい僕はあなたの道心を奪って朽ち果てる夢物語 見てて君が大好きな僕は君にとってかっこよくないウソツキなピエロで僕はあなたの道もしも夜明けにはぐれても深海まで堕ちてゆきたいセンチメンタルな歪みだけど夏が来れば秋が来るから
2014年01月22日
まだ言ってないことがあるんだぽっかり空いた穴を埋めてくれるみたいに壊れた目覚まし時計 アイデンティティーさ!未知との遭遇の法則キラリと光る汗 吸い込まれるような瞳さよならしよう? おもちゃ箱の中身カラフルな世界に君 アイデンティティーさ!補正数値を図るマガイモノの感情 記憶に沈む一枚の絵珍味といえなくもない予想外の料理当てにならない野生のカン アイデンティティーさ!アイデンティティーさ!
2014年01月22日
かもちゃんは、大学のお兄さんと話をしていました。彼は、市長と知り合いだと知って、この話をしに来たのです。「市役所ってひどいんだ。住所変更にあたって、転出届が必要なんだ。」「ソーカ。」もぐもぐと、ハンバーガー食ってる、かもちゃん。大学生のお兄さんに、もらった。いずちゃんうさぎは、プリンをもらったので、おとなしく、かもめハウスに持ち帰り、食べる。十個くらい、長い時間をかけて食べる。「数時間もかかる故郷の市役所まで行って、転出届を持ってきたんだ。わざわざだよ。別にその場で、いいじゃないか。」「ネットワーク照会とかないのか。ネット手続きとかできないのか。」時折、理知的なかもちゃん。「ない。」「市長をどげんかせんといかん。」ハンバーガーをもぐもぐしながら、多分ハンバーガーに釣られた、めちゃくちゃな鳥。怒る理由、ハンバーガーもらったから。「とりあえず、市役所に抗議してくる」かもちゃんは飛び立った。大学生のお兄さん、それを見る。いずちゃんうさぎ、プリンを食べる。wa!ひろさんが来たので、一個あげる。コーヒーの粉末をさらさらといれて、ポットで注いで、出す。かもちゃん、ばたばたと市役所の所へ降り立つ。そしておもむろに、ぽきぽきとケンシロウ風の音を鳴らすと、覚悟はいいな、といいながら、壁に体当たり。「市民の怒りの声!」ぼすっ、あう。ちょっと羽根が痛くて、泣きそうな顔をしてる。「ヤルな。」何だか、挑発的な顔をしている。かもちゃんは、くちばしで、市役所の壁をやった。がつーん、あう。「・・・貴様、鋼鉄の鎧とかズルイだろ!」かもやん、それは鉄筋コンクリートですよ。「どうしたのですか、かもちゃん。」騒ぎを聞きつけて、市長さんがやって来ました。「市民の怒り!」「そうですか。理由を聞かせていただけませんか。」「かもちゃんは、正義の味方!」ハンバーガー食べたら動く安い正義の味方。「はい。」「住所変更はもっとスムーズにしなくちゃいけないダロ。時代は変わってるダロ。ネット手続きとか、全国ネットワークとか必要ダロ。警察だって、銀行だってデキるだろ。いつまでも、閉じてちゃいけない!」かえすがえすも残念なのは、ハンバーガーのために言ってる意見。「わかります。確かに転出届を出してから、十四日以内に届け出をするとか、随分、変なことではあると思っていました。」そんなことはまるで知らなかったかもやんだったが、とりあえず、言っておく。「じゃあ直せばいいダロ!」「法律です。」「法の前に人ダロ。それじゃあ法治国家は、支配する、搾取するためのものダロ。国家権力粉砕、こなにしてくだく!」たまに変なことを言う鳥。大体ここにでてくる動物は大体変なことを言う。「わかります。会社で働いている人や、うっかりしていた人もいるでしょう。もしそれで、法律違反になる、罰金五万円になる、なんて言ったら、我々は権力という嵩をきていることになるでしょう。裁判所も然りでしょう。」「もっと簡単にすればいいダロ!」と言いながら、かもちゃんは、もう一度、市役所に体当たり・・!ぼすん、あう。「もう痛いから、やめる。」むなしさに気付く、えいえんの三歳児。「ハンバーガー食べたい。」「いいですよ。ポテトは?」「つけてくれ。コーラも。」「いろいろつけます。」「でも、市民の声もっと聞かなくちゃいけない。みんなでやれば、色んなルールもっとよくなる。公園、みんなのおかげで住みやすくなった。」「はい。」「ホームレスのおじさんも、家欲しい。ご飯食べたい。働きたいけど、年齢でもう駄目だって言ってた。借金いっぱいある。それでホームレスしてる。」「そうですか。知りませんでした。」難しい顔をする、市長。「かもちゃん、おじさん好きだから、ごはん一緒に食べる。ババアが汚いと言ったら怒る。お前の方が汚いと言って怒る。みんな違う。違うから、みんな、生きてる。」「はい。」「かもちゃん、中国人の友達いる。保険証なくて、病院行かない子も知ってる。」「はい。」「病院無料にすればいい。できるようにすればいい。お金持ちいっぱいいる。お金なくたって生きていけるけど、弱い人いっぱいいる。学歴で、職業まで決まる。夢が叶うかも決まる。そういうフェアじゃない社会は絶対につぶれる。必ずつぶれる。」「私もそう思います。」肯きながら、さあどうぞ、と車の後部座席に案内する。「――私も何かをしなくちゃいけない。そう想います。かもちゃんがこの街の一員になってから、色んなことをしました。市民と一緒に色んなことをしながら、素直にそう思いました。幸福の追求とは何なんだろうと近頃、考えています。」「ハンバーガー食べろ。」かもちゃん、おごってもらうのに、この言い方。しかし、にまあ――っ・・と笑う。「世界平和シタイな。年金がなくても、介護がむずかしくても、ババア元気だけど、ババアかわいそう。これからのひと達、もっと、かわいそう。だからお金稼ぐみたいなこと言う人もいる。」「はい。」「制度が悪いからそうなる。一緒にお酒飲まないからそうなる。だからお金持ち淋しい。だから制度もさみしい。法律つめたい。」「はい。」「鳥だって知ってるあたりまえのこと!」「はい。」運転席に座ると、かもちゃんが、ごろんと寝転がっている。どこからどうみても、鳥とは思われない鳥だった。「でも、かもちゃん、むずかしいことも知ってる。市役所に体当たりして、わるかった。」「いいんですよ。」世の中には、本当にいろいろな抗議の仕方がある。火炎瓶。手榴弾。時限爆弾。人質をとって占拠。治安が悪ければそこで犯罪が生まれ、そこでまた法律が裁く。理由を聞けば他愛ない。だけれど、その他愛ない理由と言う人達が、そういう人達を見下してはいまいか、と市長は思う。エアコンをつける。かもちゃん、ふはあーああっ・・と変な声を出す。
2014年01月21日
リフレイン、風、シャワ ー、み ず た ま 、ドロップスサーチライト、凪、メトロ ノーム――。ブランコ、ベンチ、セレナーデ、きらめく水しぶき――フラッシュ ...時が止まる...フラッシュ!...もう一度、時が止まる...雨上がりの、虹、よつ葉 の ク ロ ー バ ー、こぼれ落ちる、砂、ドロップス風に転 がる麦わ ら帽子――。そよぐ風、きらめく水面、窓際の席、交差点の信号――。 *フラッシュ ...時が止まる...フラッシュ!...もう一度、時が止まる... *ホールド・ミイ・ナウHold me now(傍にいて)イッツ・ハード・フォー・ミイ・トゥ・セイ・アイム・ソーリーIt's hard for me to say I'm sorry(昔のようにごめんねとは言えないけど)アイ・ジャスト・ウォント・ユウ・トゥ・ノウI just want you to know(わかってくれるだろ) *シカゴの『素直になれなくて』が流れる歌詞を何度か読んでいる内に、抱き締めて、とか、素直に君に謝りたいというのとは、ちょっと違うんじゃないかという気がした――ずっと昔に観た映画の解釈を求めるみたいに、僕は、この歌の主人公が、あるいは作者自身が、もっと別のことを言っているような気がしたのだ。 *ホールド・ミイ・ナウHold me now(つながっていたい)アイ・リアリィ・ウォント・トゥ・テル・ユウ・アイム・ソーリーI really want to tell you I'm sorry(今度こそはちゃんとって思ってる)アイ・コールド・ネヴァー・レット・ユウ・ゴオI could never let you go(ここにいて欲しい) *フラッシュ ...時が止まる...フラッシュ!...もう一度、時が止まる... *時々、英語の歌詞の翻訳を見ていて、これは嘘なんじゃないか、と思う場面がある。ホテルカリフォルニアとかは、何となくわかるような気もするけど、言葉には別の側面があってそれを浮かび上がらせるところの装置だから、と僕は説明するのだけれど、いや多分、ふつうに誤訳として扱われるか、意訳として好意的に処理されるか、だろう――。 *言葉をめぐって僕等は旅をするのか?それとも感情を探すために嘘の毎日を生きるのか? *フラッシュ ...時が止まる...フラッシュ!...もう一度、時が止まる...
2014年01月21日
甘い恋の欠片気まぐれな風が君のスカートを揺らしたドラマ のような恋はなくて夢のようなひととき熱い身体は言 葉だけじゃ駄目だから誰にも教えたくない 甘いため息甘い香水に ふわふわするあ な た を 想う時間・・・手 の ひ ら の 温もり高鳴る 胸 の 鼓 動ド キ ド キ は 止まらない
2014年01月21日
樹々のそよぎの中で ひらかれた頁が ひと時 誰かの夢の中へ。舞踏曲風に じゆうな 表現で。喪しみに蠶食された マシュマロの歯ごたえ それから風は 風変りな 魔術師。みどりのかみがゆれるその撫で肩をみせて オリィブ。やさしい。オリィヴ いまは歪んだ真珠。砂糖菓子の ような雨がくる。文字盤を濡らすたびに 籠の中の鳥は 忘却のように ながれてゆく。永遠の身振りをする 凱歌をあげながら。つねに張りつめたこの墓標。オリィブ。くるしい。オリイィヴ あまいキス。もう 笑わない夢のなかに 消えてゆく。どこまででも行けるはずと 信じていた 鳥の翼のように 君の瞳はまぶしかった。知りつくした スピランテ ミステリオーソもののように。spirante。misterioso ・・思い出の中の君はいつも 治まりそうもない微熱を感じていた。心の中で いつまでも消えない笑顔。でもいまは 機械仕掛けの人形。どこにもいない。思い出の中の君はいつも たやすく空に近づいて翔びたっていった。もしも飛べるなら ねえ魂の狩場で うしなわれた 掌を 差しのべる。苦悩の所在を 透明な死面を。「今心配なのは君だ」「余計なお世話」でも コロナを見せた 魔法を。マイラヴァーズ ふたりをつなぐ 空色に溶ける虹。しのびやかに前髪を 梳いて 逢いたかった 行かないで。かぎりなく透明に近いこわれやすい想い。マイラヴァーズ ふたりをつなぐ迫り来る夕景。眼帯がほどけてゆく。消えても想い出は残る さくら色のはなびらが残る。地下から這い出る夜の生き物がうたう 春の終わりと 夏の目覚め。夜汽車は 失恋のそれとおなじで ぼくはただ夜をみていた。ささやかな祈り 忘れられない。歩いて止まって また歩く。マイラヴァーズ ふたりをつなぐ雪折れの音 落ち葉の 舞い降ちる音。どうか気付いて こわれてしまう前に。ホラ いまも夢見る 消せない過去と 背中合わせの僕等の箱庭。妖精は こうるさく飛び回る。人生はどこまでも続いていく。カットグラスが 紙風船になっても それでも いまあなたを思う。過去は どこまでも続いてきて 僕を追いかけてくる。あなたを抱いて 水面に歪む影。真っ白なカレンダーと ひとり帰る通学路。きらきらとして 離れていく。ただ 遠くに。きらめくように つめたい星と ボタンが交錯する。見るだけじゃ足りない。でも だって あなたは手を放したじゃない。沓を ぬいだ。ふたたび 深い 皺を刻む。季節の鎧を身にまとい 色にかくれていた 蝋の翼と塩の塔と 救世主の白衣。しきりに翼をさぐりあっている。筋をくまどって ブランコは きしる。 インテルメッツォ運命の輪よケアレスミスのような 間奏曲。オルゴールの メロディーは ながれる。いたずらに花を流しては やさしいあやまちを匿しあっている。マイラ ヴァーズ ・・マイラヴァーズ――
2014年01月20日
1「魔法が解けるまで後三秒・・」月が落とした千の雫が、愚者の戯言を生んで、変わらない明日も、心にも無い言葉も――、、、、、、、、命題と死の錯綜・・・突き刺さる気持ちが大切――。花びらがその時に散って・・、混沌と不安の天秤だ――。(繰返すことを恐れている・・・。)何処かに向かっているようにも見える僕たちも、意識が生じた一瞬のうちに一瞬ではなくなって、何かを考えることができる。幸せなんてどこにも無いと、気付いた終わりのない夢の後――・・ 2 乳母車にのせられた赤ん坊。 花嫁の懺悔。 シャボン玉は、ふわり・・ふわ――り・・ 飛んで行った――そして割れて行った、 明日さえ見えぬまま、 星の光を求めてガラスの割れる音・・。曖昧な境界線の上にいる僕らだから、言えなかった分だけ、付け入られる隙を作ってしまう。ポジティブになりきることもできず、身体の力が全部抜けていくような喪失感を味わって、何だかここにいる。愛情が冷める。友情が消える。ぐらぐら揺らぐ――世界に・・僕は数え切れないほどの捨てる覚悟をした。でも信じることは難しい。何がしたいのだろう。けれど、何かはしたい。でもそれ以上に悪いことに出合う。でもだから努力する。苦しい。けれど戦う。打たれ強いわけではないのに、本当に、よくやってきたなと思う。交わされた契約。紙一重の愛と憎しみ。でも、こんな毎日のまま、永遠の眠り――永遠の美・・のことなんて、忘れていって、すぐに、歳をぶくぶく食って、豚になるのだろう。でも、世界はあまりにも広い、「旅に出てみようか・・」とだって、言える――日々に慣れることは僕が考えた世界で唯一の方法だったけど、・・・瞳を閉じて、キミを見るディスイズラブ――ディスゥイイィズラア・・ちょっとくらいのズレなら埋めることができる、あっちでもこっちでも素敵な出会いが起きて――、見えるように見せかけている嘘も暴かれて・・、ゆくん――だ・・。変わらないはずの、昨日があった、でも眼が眩むほど眩しい朝焼けがあった・・! 3でも傷つくことを恐れてはならない、逃げるたびに――きっと、僕は何者でもなくなってしまう。だから目をそらさない。いつか本当のことがわかって・・すべての決着が着く日がやってきたとしても、受け容れるつもり。終わりを迎えた世界に、泣き止まない雨。でもそれを悲しまない・・ミジンコのようにちっぽけな出来事を、自然の摂理と――僕は笑う・・・つもりだ・・。何通りもある未来を、望まなかった・・学んだことは、素直になる――。 4 どこまでも続くトラウマの日々、ああ・・・ああ、なんていう気鬱さ、この哀愁、言い訳に詮索されて、ああ――僕は死んでない。でも・・変わらないことも僕はわかっていて、ただ僕は、笑うことしか出来なくて、「またね」と言っても、自分の本音やエゴに噛みつかれる。データプレートを装置から抜き取るみたいだ。誤字が多い報告書。それと、計算ミスが目立つ・・将来性とか、不安とかをどんなにうまくまとめても、それは伝わらなく・・て ――、苦し紛れの嘘に終始してる、――叶わないことがある、・・・叶わない。いつか君のその手で、君のために咲く言葉・・混ざり合って黒になる、冷たい花―― 5 千年後の世界を、 魔法のような奇跡のような、 泡のように消えた夢のように夢見た。 生きる意味なんてない、 だから生きる目的もない、 それに頑張る意味もない、 だから頑張る目的もない、 年齢が、時間が、人の成長に従って、 この世界に存在するようになる。「同じ船に乗っているんだ――」「歴史の中で・・?」(色をなくした世界から、もう一度、変わってゆく。戻ってゆく。そのための、歩み寄るための勇気――ねえ、手を繋ごうよ・・僕と手を――つなごう・・)孤独――が、生まれていいか、と言った・・時計に空の青が通い始め――埋められないのは距離か・・いつか届く君への言葉、緩やかに時を刻み、明日へと繋がる―― 6いちばん悲しかった日。世界でいちばん悲しかった日。僕にとって・・?ああ、君にとって?繰返していたことは――続けていたこと・・また生まれていた・・すれ違い、それで震えながら、ただ、生まれていた――慣れない駆け引き。 7鎖が、絡まる。君を想う時、涙が出るんだ。ロボット工場に回路をつながれて、不思議な魚が――鋳型の中に、自由な海を見つける、さくらんぼのへたを結ぶみたいに、限定された空間の出来事も、躓くことで、そこで鍵を持つことで、「またね」って手を振って、夕飯の匂いがする家に帰っていくことができる。きっと僕は酸素中毒だ。太陽の孤独を――、絶対的な信頼として、時代の改変として、明るく一歩ずつ、そう、一歩ずつ・・進むことができる――。愛しき日々は、永遠に・・・新世界――へと・・! 8人工芝にダイブする・・、黒く塗りつぶす心がズレるとそこが白になる、割りきれないものは何処かへと行く、また違う色になる、そしてまた違う自分になる、そこで僕は空を見上げる・・空を見上げて――考える・・、最悪な組み合わせを続ける世界に、白痴になる。かすむ花の記憶・・罠のように、ブルベリージャムが、拡がって、折れるだけ無駄だ、だからこれ以上、祈り続けるな!ねえ、それでも、誰でもいいから愛が欲しい。息をするほど苦しくなる、見え透いた嘘を、引き剥がした夕暮れの悲しみ! 9・・・言葉なんていらないよ。僕は――大分前からわかっているんだよ、雨に濡れた猫のこと、涙をこらえた世界中の人たちのこと・・。ゼイゼイしながら生きている人たちのこと。怠惰であれと洗脳されてる人たち、疲れたと言え、やりたくないと言えと、命令されたように、本当は言いたくない人たち、だって、それは、たった一言なのに・・・。この胸に咲く花――。たった一言なのに・・・そうするだけで、混沌の中で生きるしかない、泥沼に、はまるしかない。救うのは自分自身か、それとも多くの人か。でも、多分、そういうことを、社会は奪っていく。だから言葉なんていらないんだよ、特別なんていらない、ただ、レールはいつだって、そういう種類のものから選択肢が生まれていく、だから生き方なんだよ、人の心が震えるんだよ、ただの一言で、人は変わっていってしまうから、僕にはいつでも毎日が特別なんだよ、それがどんなに小さな特別でも、眼を凝らして、もっと胸の中を、覗けばいい。自分にちゃんと聞いていればいい・・!・・・瞳を閉じて、キミを見るディスイズラブ――ディスゥイイィズラア・・――幸せを象徴する・・、もの・・は、まだ――、水底に堕ちてない・・、俯き加減の――、柔らかなまどろみ・・は、変わらない。発情期の異様なテンションが、垣間見せた、天使の羽根はあの雲の中に、真昼の雲の中に・・・!
2014年01月19日
輪郭を伝って流れた液体の線が、 問題を知識――認識――の範囲に限定する・・、 最大の障壁の一つが取り除かれた、というのが、多くの視聴者の見方だ。 世界平和会議は、 緊迫感を持って見守られていた会議。モータで油圧ポンプを動作させて、 くさびを移動させて、電動薪割り機は動く。タイヤもついている。音も静かだ。 でも、何か首をかしげたくなる。 アメリカと北朝鮮は一触即発の緊張感を持ち、わぁー、天国はすてきだ! ロックンロールしようぜ、と、交信した、霊魂した、 中国と日本の外交的な理由に関係なく、飛び火し、それとはまったく別の所で、 チェスをしようとしていた。フランスの経済相を務めるN氏は、 無差別に発砲した事件と今回の世界平和会議について述べ、 ブログ炎上した。屈辱的な手抜かりがあったのは、 あわただしく、廊下を多くの人が通りすぎていく時や、コメントの時には、 人一倍の注意を払っていたが、酒の席ではまったくの無防備で、 ボイスレコーダーを持った女性記者にすっぱ抜かれた。 機械的な正確さで次々と刻まれていくキャベツみたいだな・・・。 「ドイツは、権力争いの図から一歩引いて傍観している」と、 コメンテーターの自説によって、ヨーロッパ的な図式を説明したが、 上がり続ける失業率や貧困の危険をかえりみなかった。 そこの席にいた人々はみな、彼の本を読んでいなかったので、 何を言っているのかさっぱりわからなかった。大丈夫、 そんなのわからなくたって、君の情報が遅れているわけじゃない。 と、ところで――。 僕はいま、辛気臭そうな神社の前を通り過ぎ、ファミレスで食事している。 食べ終われば、ガソリンスタンドへ向かい、 国民分裂の問題をふと思ったりしながら、 給油をしたいと考えている。 そして人知れず、ジャガイモと人参と、 タマネギと肉とカレー粉のことを考えている。 (でも土曜日に、改革には賛成であるが、 廃止には反対である、と述べた、情報筋と呼ばれていた友人は、 昨日いなくなった・・) 消され たのだ。 「今まで、ありがとう――・・」 最後にそう言葉をかけた。港町の埠頭で、潮の匂いを嗅ぎながら・・。 葬式へは行かなかった。排他的経済水域による問題だ。 多義的なメッセージはつまり急速にブクブクふくらんで、何の脈絡もなく、しぼむ。 [僕は闇の組織と呼ばれる暗殺集団のことを知っていたし、 その息の吹きかけられた連中が、どういうメンバーかも知らなかった。 でも確実にそれはあり、それは僕等みたいな情報を扱い、なおかつ、 その情報に価格があるために、危険な橋を渡らざるをえない僕らみたいな連中は、 むやみに怯えなくちゃいけない。慎重になり、色んなことが、億劫になる。 友達は少ない。友人はいる。でも、仕事上のことだ。] 三年前に、僕は自分のアイデンティティーコードを完全に抹消した。 知識の世界の外へ、思いがけなく揺れる突起状の炎がそこにある。 (そういえば、国立の海洋研究所で働く大学時代の友達が言っていた。 日ごとに水質汚染の問題が深刻化している。 僕の頭の閉鎖的な金星が、「どういう意味?」――と言う・・ それはそのはずだ、と僕は思った。どうでもいいよ、僕は思った。 重油タンカーに穴があこうが、仮に一個の都市がすべて塵や灰になろうが、 それが僕の街でなければそれでいい。なんだったら、常識的な思考回路よ、 欠落せよ、と嘯こうか。高速道路にバイパスに、サーキット用の車さ。 さあ、いま、僕の目の前に、核兵器のスウイッチを置いてくれ。 これで何処かの国が吹き飛ぶ。それで、鬱陶しい人間が死ぬなら、 それで、どんな人畜無害な善人や、社会的に立派な人間が死のうが、 ねえ、そんなの僕の知ったことじゃない。) くいちがってるかもしれない・・・・・・ でも、なにがただしいかなんてわからない―― 保守でもなく中立の立場をとらざるをえない国家が、 それを確認するのはリズム感の悪いドラマーみたいに不可能。 (彼は続ける。浄化装置を取り付けるなどの方策をあげているが、 際限がないうえ、効果もあまり見込めない。 「でも僕等は科学者なので、実験していればそれでいい。」 と、正直に言った。申し訳ないとも思わないよ、と続けた。 「それで世界をどうにかしようという気持ちなど、 これっぽっちもない。」) ブツブツ独り言を言っている。 ブツブツブツブツ独り言を言っていた。 ブツブツブツブツブツブツ独り言を言っていた。 規制をクリアさせるために、国は動いた。 重要なのは、国際的かどうかだ。そしてそれが、タイムリーかどうかだ。 多分『七番目に好きな料理は何ですか?』というトリックと一緒だ。 それは大体のところ、その人の生活に必要な料理だ。 僕は政治家の立場を擁護するつもりもないが、一部は激しい言葉の応酬となった、 とある討論番組で、つくづく人って奴はあさましいなあ、と思った。 はやく死ねばいいのに、と無表情で思った。 家へと帰り、ネットの中へはいる。 >心の中心的な位置に正確に十ミリの溝を掘る。 >ハイジャックする僕等のずるがしこい心理的安心。 ――世界を予防するという考えは重要だ。救済は必要だ。未来への希望が必要だ。 いずれ来る最悪の状況のために、僕等は常に何かをしなくてはいけない。 でも国は本格的に動いたりはしない。それは遠い未来の子供たちが困るだけのことで、 その頃、僕等は死んでいるからだ。 どんなマニフェストも、官僚的な正論にすぎない。 すぐ、モナリザの微笑にカモフラージュした。 僕等が死んでいることを切羽詰まった問題と捉えるなら、ビンゴをしたり、 プログラミングしたりする余裕はないだろう。そうだ、そのはずだ―― でも僕等は間違いなく、ボウリングをし続けているのだ、今日も・・。 軍事活動を支援する国にならなければいけない。紛争で血が流され、 ねじのゆるみ、もれ、防止剤。 人道的な危機の状況にある国に、僕等が出来ることはといえば、 たかだか、自分が困らない程度のお金を、金融機関を通じ、国外へと振り込み、 そこから、物資として提供するだけだ。でもそこに、労力はない。 偽善や欺瞞は爆発する。やがて僕等は何もしなくなる。 自分さえよければそれでいい、と平気で呟くようになる。) ある奴が言った。これで世界が救われる、と。 でもそれは嘘だ。警告を発する報告書の中で、世界情勢の福祉的な見方は、 一部のめぐまれた考えに終始し、どうしてそれが福祉的な見方かであるかも、 ちっともわからない羨ましい連中に救われたそいつの頭の中の、 実用的な防衛本能だけが、詐欺師するためだけの薔薇が咲かせただけだ。 浜辺はどこ? 音楽は? バレーボールは? 陰の方から静かにあらわれてくる。オレンジ色によって、 感傷や悲哀が強まる。たとえば霧がひどくて、地表も滑走路も見えない。 その上、飛行機には計器飛行のための設備もない。わかるだろ、 僕等のネット世界が突然フリーズするように、 そういう不便を含めて楽しみながら、チカチカする光量のさなかにいる僕等は、 それでもそれが、いっせいにくまどられ、 『禁止です』 と言われるまで、こんな茶番を続けるのだろう。 働く家族のために疲れを知らない、 自分の子供を幸せにしたい、 そのくまどりは空いっぱいに見る間に広がっていく。 『絶望です』 恐るべき暗雲の形を完全に描き出しながら、夕映えの僅かな余光の中に、 微妙な取ってつけられた感を否定できない、巨大なビルが街の中央にある。 興奮を冷ます状態を作ろうとしている、と詩人は言った。 『墓標あるいは生きるうえでの性的なシンボルの滑稽』 ランプの中の歌声と、貝殻の中の泣き声を混ぜ合わせる動きがある。 刑事訴追を緊急には行なわない。でもすみやかな更迭。 法治国家、司法、自由な報道がまだ成熟していない中で、正義や、報復、 あるいはその正当性が――・・。 正当性だって?・・クックックッ―― >時計の心は、透明な時計の針・・・・・・ (あらゆる選挙に在宅のまま投票することが可能となり、 それが4 なのか5 なのか、つまりこれから先における最大幸福につながるかは、 まったくのところわからないが、それでも、ピアノを弾いている。) 数年前から、新しい試みではなく正式な決定として、 オンライン投票が始まった。それにあたって、ネット上の発言力は拡大し、 プロパガンダ的声明もまた強くなった。 ユーザーは投票日当日に自分の選んだ候補者のアイコンをクリックするのだ。 投票手続きはすべて自動で行われる。 噴水はその一つの音楽だ。すべては徒労に始まり、 餓えに満たされた足踏みをしている。地域を封鎖している。 既に、僕等はあらゆる容疑者の一人となり、 常にプライヴァシーの危機にさらされている。 月が昇り過ぎる夜に、氷を渡って僕は骨を探しにゆく。 そして、僕はまたひとつの嘘を殺しにゆく――。
2014年01月19日
さくらは、 石榴に似たうめきをあげ、 逆回しのスローモーションとなりながら、 「孔雀の悲しみ夏の嘆き・・、」と言ったのだ、 どうして・・? しとしとと降り暮らす、 春の雨の冷たさのなかで、 それは最初の疑問だった。さくらは、ヌンゲンじゃなかった。 でも、野良犬でもなかった。妖精だった。 素朴な頭が、すういっちをひねった。 <さくらの開花予想は、 この桜の花芽の生長が気温に依存する性質を、 利用して行われる。> Discovery...... ロバの背にのせられ、飾らず、包み隠さず、 錯乱状態でありながら、胸の懺悔を――、 ・・・語らせてほしい、と、泣き声をあげた、さくらは、 ラップを聴いている。ひっぷほっぷをきいている、 世界が滅びる日に、 アメリカのどこかの博物館で、 有名な製作者の造ったというガラスの花を、 さくらは、雨の音だけが増加してゆく、 ビルの谷間 に・・ そうぞうしている――・・ 響く壁 だ――響いてくる壁 だ・・。 放った―――――。 ぼくらの中に遠い世界がひろがる。 浮かべた・・・・・・。 「秋の慄き、薄いフラスコの水にちらつく―― デリケエトな公孫樹の葉・・、」(あらゆる都市で、 すべてが凍り付こうとしている――) さくらは、かなしみにひかる声によって、 肉も皮もないような世相に―― 「冬の呻き・・天賦の敏感、天然の花――。」と言う。 きみは 扉を開けて 叩く―― (ハイハーイ・・) 欲望もない不在の上に・・毛皮の男は、世の賢者たちに、 さまざまな花をむしっている姿を見せる。パリでも、 マルセエヌでも、シャンゼリゼエでも、 浮かべた・・・・・・。 風にひっぱたかれ、めくるめく舞踊が花開いたとき、蝶、花粉、 藻の色、漂う光、くるめきが―― 『満開』 失意は一瞬にして力づけられ、それは停車駅へ滑り込んだ、 車両の扉をこじ開けて入ってきた世紀末の人影だ。 『満月』 聖なる墓地をよごしに行く。膠着し、飽和した、 眼をとじて百か二百かぞえ、 (こころのきずを なおすために・・ 君はこのふるさとの街の歌を み つ け る――) Discovery...... Discovery...... ポプラア 白楊の木の茂みへ。 風よ、 簡単な図形。ファンタスチック、おもちゃ店、 お前のように自由に吹かせてくれ。煙草を吸って、 昼飯のピラフが残っている。 おびただしい心臓がうごめいて、商店街―― 花屋というのも名ばかりのような店先で、帆立貝とか、 水槽の音とかを聴く・・。 ――必要がなかった考え方も、 これがお前の寝るところだと言われた暗い納戸・・。 でも僕が欲しかったのは、こんな花じゃなかった。 こんな花じゃなかった―― 生命は古臭い夜更けの喫茶店に、こぼれている。 輻射熱と大気のなかにある塵の量を想像しながら、 僕が思い浮かべていたのは、挿花だった。 ゆるやかな曲線を描いてナイフが落ちてくる。 入れ歯じゃなく、人工皮膚でもなく、挿し花。 奥歯をかみしめると、いまだかつてこれほどまでに深くて、 戻るすべのない闇が広がっていたことはないほどに、 そこで、すさまじい砂嵐があった。 刑罰をうけた人間の魂がもつ、 メランコリイが、発火している。パンツは燃える。 こがれ憧れ――あなたのいる遥けき国。 僕のブラジャーは何処・・? (とけあった肉体の上―― とまれ蓮の花に天道虫よ・・ そのテントの入口から、森が―― uum この指先に火を・・) 「雪はお前の首元のように真っ白い・・」 落ちる透明な血・・。 ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・。 蛍光灯に浮かびあがる秘密の螺旋階段。 「雪はお前の襟元のように冷たい――。」 密林の祈祷師の太鼓のなりやむ時は、 悪霊がシャーマンに敗けた時――
2014年01月16日
それは赤い文字の炎 ありふれた昼下がり 血のように暗い 何も入っていないその重箱に 赤い花弁が落ちて ぼってりと ふくらんで その家の屋根は ここではどうも 色の判別がつかない でもそれは銀色になっていった それは灰色になっていたのだ 建造中のビルの鉄骨のように がらくたを集めた スクラップ置き場のように 重箱におさまりきらないものが その名を変えていった ――あらゆるものの祖型は林檎だった という 下らないことを考えながら 読者に媚を売るよりも 知識偏重に拍車をかけるよりも まだ少しましなこともある 最初のりんごはそんなに美しくない 最後のりんごもそんなに美しくない ただそこに挟まれた期間が ひとにぎりの米と塩を買う くりかえし子供たちに伝えた くりかえし子供たちに伝えたのだ 朱に染まる月の色は不吉だし それと同じように いまだかつて肉眼で 太陽をまじまじと見たことはない ・・・・・・僕がもし 赤という色には 売約済みという意味があると うそぶいたところで誰も困らない 困るのは僕以外の解釈論者だけだ 否違う 自分は断じて賢治ではない 光晴ではないと言ったところで 一個のりんごほど みずみずしいわけもない しかし一個のりんごは弾丸 お前の頭にあてることはできる くらくらさせることができる そして何千年の間にこれはルビーと呼ばれ 大殺戮的象徴と扱われ 僕の馬鹿馬鹿しい思いつきもえらくなるのだ いやいやおたくさんの考えは随分えろい 僕はりんごを買いたくなって 家の傍にある林檎売りの少女に声をかけた 「お嬢さん、そのりんごをくれますか?」 「これですか――どうぞ・・」 「ありがとう。どうしても、りんごが食べたかった」 「わかります。あなたそんな眼してるから。」 ・・・・・・僕は女を殺して庭に埋め ジャックの豆の木するかの実験をした 怨念がどれくらいすさまじいか 僕はどうしても りんご的ニュートンしたかったのだ でもあんなのは科学の妄想のひとつで 本当はそんなことよりも 外国人がりんごを食べ歩きするという光景を見て ああ 彼はふつうの人だった りんごを食べながら思いついたのだ もしかしたら ふつうの人でも こんな発想に思いつくということがあるかも知れない 僕も頑張ろう そちらの方に興味を持つ方が健全だ IQとか エリートとか そんなことに時間をかけている僕等の国が 成功と失敗を語っているあいだに 漫画や映画やゲームは逃げてゆくかも知れない それが君をどれくらい貧しくさせたとしたって どれくらい下らない人間にしたとしたって りんごを食べていることに変わりはない 僕は特別なりんごを買うようなふりもしないし それがりんごであることも実際には求めないだろう 最初のりんごはそんなに美しくない 最後のりんごもそんなに美しくない ――僕等は聞く どうして女を殺して埋めなきゃならなかったの 馬鹿ね あれはあの詩人一流の表現なのよ 不条理劇的な作家特有の心理ね きっと・・ そうじゃない あれはきっと梅干しなんだ 核兵器の暗喩だね レトリックの鬼と呼ばれた人だからね ――山は削られ 砂漠は増え 林は日ごとに消えてゆく 植林では追いつかない 排気ガスはふかし続け それについて 誰も胸をいためない (赤い薔薇は愛を意味しているのよ) と一輪さしだしてくれた少女の言葉なら 聞くだろう (赤いりんごは・・フフ――爆弾よ・・) と差し出されても キョトンとするのとは大きな違いだ でも本当に世界はよごれているの? もしそうなら これから僕等は救済することはできないの? もしそうなら いまこの瞬間から始めることはできないの? 大昔 この地球にマグマが荒れ狂っていた頃に あるいは氷河が生物をねむらせていた頃に 僕の何年か何十年かの魂のかがやきが 寄り添うことができたなら それで僕の一生はめぐまれたものだったと それで僕の詩における愛は優しい夢として 完成するかも知れない 最初のりんごはそんなに美しくない 最後のりんごもそんなに美しくない 僕はあまりにも本当に長い夢を見ていた 眼が醒めてから大分時間が経ったけれど いつかりんごは 小さな疑いの石のようになり 眸はすっかりウェルズやヴェルヌしていたし 言葉はすっかりポーやバロウズしていた でも時折には高見順のことを考えた 僕の二十八年の人生の中のとある年 コーヒーを最低でも 一日四リットルくらい飲んでいたある年に 図書館で僕はいわゆる文学的につまらない 子供でどうしようもない詩を読んでいた でもそれが一体何なんだろうと振り返る 僕は僕の人生を持って読み込んだところで あるいは誰かが彼の人生を垣間見せたところで 本当の意味でそこから得るものは少ないだろう だから僕等は毎日それでも働き それでも辛気臭くなる話を聞き 時折にはハッピーなことを求めたのだ ――けれど大切なことは いつだって本当に言葉が少なく いつだって見つかりにくいものの中にある ハローはじめましてとアメリカ人が言ったって 僕がこんにちはという確率は限りなく高い そんなものだよハローはじめましてと言える人もいれば 僕みたいにこんにちはと言っている人もいる 世界は小さな小さな夢を見ている 世界は大きな大きな夢を見ている 最初のりんごはそんなに美しくない 最後のりんごもそんなに美しくない
2014年01月15日
もう完全に過去へ歿した・・という瞬間――それはとても幻想的だ。 鉛いろの日光に整然とかがやいた、曇りの日の夕方は、波に永遠に止まる。露骨で無害な好奇心と、他愛のない期待とが一刻もはやくふくらんでゆこうとして、僕はスポンジの泡だらけの光景を想像する。死という幻想だ。強い迷信の奇妙な影響が僕に忍び寄ってくる。ここは凹凸のはげしい石畳。古風な構えの家々。 想像上の風景や幻想的イメージを題材に細部にまで気を配る写実主義絵画。劇の台詞。 ――ちいさな靴のさきにいきおいよく弾かれた石は、馬だ。いくつものシャボン玉を想像する。だがすぐに割れる。陶酔しきっているからだ。路地に秘密の出入り口はない。しかしもう一度シャボン玉は帆のように大きくゆたかにひろがって波打っている・・機転の聞いた個人の記録が、魔術や、錬金術のようにそこここに神秘的にとどまっている。 斜めに辷べる陽ざしが、蒼天の夢の中に溶けてしまう――。 僕は自分の望むことこそが真実だと思いながら、清水のようにうそ寒い空の色をうつして、緑蔭にその姿を消しながら、それでも火というすべての起源は、自由奔放な姿で現れる。ホログラムを利用した周囲に彩色鮮やかで幻想的な雰囲気をかもし出す照明具を提供する真夜中、僕は岩の間を潜り、海草の茂みを分け、僕は絶えずそこが海だと考え続けている。街上風景の片鱗には、香の立ちのぼるような水晶的モザイクがあふれ、発作的な詩人の自負的な制度の領域で、自動車が走る。焦点が合っていなくても、それがいかなる物であろうとも、人が歩く。線路のレールを無気味に照らしているこの瞬間、指輪だらけの手で安煙草をふかしつづける瓦斯灯の楽曲的舞台効果が・・、 ささやき合う、これは淋しい石――運命の名もなき石と・・・ 涙がそっとこぼれる。怪奇や幻想的レアリズムにとらわれながら、傍らで、銅板がすっかり緑に変色し、甲冑から蟹が出てくる。壜の王冠栓も。食料品の籠をかかえ、土地を買い、そして町には地上との絆がシグナルの分だけ弱くなり、宗教上の迫害もまた弱くなる。 そして僕は・・・、ひらかれた海の咽喉を想像しているのだ――。 夜には、赤や青の灯がともり、優柔不断さや物語全体を覆う憂愁な雰囲気が、特殊な加工を受けていることに気付く。人間は何千年もかかって人間と自然界のバランスを壊した。それでも、この噴水装置、雨――、 人は皆、ベトウヴェンのような顔の皺をして・・。 祈りが軽く何処かへと飛んでゆき、実社会とは直接何の関係もない淋しさが襲う。底になにかが沈澱している。それでもそれを拾えない。それは掴めるものではないからだ。善良な市民を狂わせる、街路が雨に濡れている――。 すれ違う女の顔を見る。女は、農民的な頬の赤さをしている・・。 忍び笑いし、争ってうしろへ流れてゆく・・たわいない幻想に取り付かれ、真夜中の太陽はあたまのすぐうえで風と戯れている。雪。霧の中をゆっくり進んでくる影に、ひとつの不可思議な光景が眼を打つ――それは究極の美しい幻想・・、 噴火口の底にひらめく硫火の舌のように、ゆらゆらと燃え上がる。 知恵より成り天則を子孫とせる、星座・・むっちりとした白い肌も露わに、 脳内麻薬の思い違いをしながら、それは、ありとあらゆる・・鼻のそばかす――。
2014年01月14日

自分では絶えず工夫して進んでいるつもりでも、自給自足とか、総意工夫とはいかず、一見合理的な知恵の産物であるはずの人間も、その知恵の集積である会社も、書物も、保身や現状維持は絶えず生まれてゆくものです――。そうした爪も牙も抜かれた、お尻の毛もね、抜かれちゃった、それでも体裁のあるところに、クレーマーが現れます。クレーマー、そいつは、従順な飼い犬の天敵。男に七人の敵はいる、というような意味ですかね。精神構造の回路がショートしてしまっている相手には、素早く警察に連絡して下さい。下手に出たり、スキャンダルを恐れたりすると、事態はどんどん悪くなる一方です。営業妨害なりでお引き取り頂く相手ならこれはよいのですが、ハッタリや、出任せが巧妙な相手となると、そう、うまくはいかないものですね、はい。しかし、そういうのも、考えようによっては、強烈な個性とカリスマ性と能力と言えるかも知れませんね。電話で契約が取れたら苦労はしない、だからアポ無し訪問、とね、はい。それにしても、儲けよう、人を陥れてやろうとする力は、強大なものです。旧制度は刻々に崩壊し新秩序が刻々成立しつつある現在に、交際費。ゴルフクラブも接待費。職務怠慢に、間違った行為。挙げ句、趣味の物品まで領収書を経理部に、回してくるような状態なんて笑い話ですが、案外いるものです――。こういう会社に、日に日に会社に損失を与えている状態の社員なんてのがいて、給料ドロボーなんて奴のがいるのです、はい。たとえば、2ちゃんねるなんかを見ると、あることないこと書いてる輩もいるわけで、匿名だから、自分は被害者だからみたいに好き勝手言うわけです。でも名前を堂々と出しても一切得しない社会であることが、こういうのを増長させてしまう一つのケースなのですね、はい。何か時代に対する諷詠があり、しかしそれでいて、国民というのはお喋りだね、マッタク、とね。――会社における従業員は、社長の指示に従って動くだけのロボットですと、従業員のモチベーションはどんどん下がってきますし、やはり、どんなに才能があっても落ちこぼれは生まれたり、逆に落ちこぼればかりでもきちんと努力して、上に立とうとする人間も生まれてくる、と、どこかで大きく構えて、受け入れなくてはいけないのかもしれません、はい。業績の常に上を目指す会社なんていうと聞こえはいいですが、目標を見誤っていると社員たちは苦労します。たとえば、標語ですね。あんなものを貼りだすよりも、社員教育をする方がずっとよいですね、はい。もちろん、話す内容は決まっていますね、お金があるからと、社員を何百人もとって、その次の年、経営が傾かないようにね、とね、はい。たとえば、経費を公私混同しようと私的流用しようと、経費の無駄、コスト削減なんて言っているのが、タチの悪い会社です。世に言う、ブラック企業。・・・このブラアク企業というのは、人を人とも思わない連中なのです。昆虫的! 爬虫類的! 宇宙人的・・!世の中には働かねば生活していけない人がいて、これが年齢と共に就職難になる。不況な有利な資格もとっときゃよかった、と、一句できた、今更遅い、言ってどうなる超高齢化社会。不況ともなれば、若者も何処でもいいから入りたい。そういう心理を逆手にとって、やりたい放題なのが、このブラアク企業なのですね、はい。売り上げの低下とかいうのを、社員を一斉に集めて、プロジェクターで報告。泣いてバショクを切るとかいいながら、おいお前何ベンツ買ってるんだクヌヤロみたいなね、はい。神社のガレージにスポーツカーみたいな、オイテメエみたいなね、はい。ボーナスも出ないなあ、と思っていたら、リストラ名目の人員削減。これでは対外的評価も悪くなる一方で、倒産へと一直線。こういうところが、税金や社会保険料や納付期限前にしかるべく手を講じることもなく、納付期限を過ぎてからの対応をするのですね、はい。督促や通知が来ても無視して放置を決め込むなんて方法は、夜逃げを覚悟するようなもの。資金繰りに困って、商工ローンとかサラ金や町金などの高利の金貸しから、借りてしまうのも、このパターン。それならもう、社会保険事務所や税務署に出向いてはっきりと、すいませんお金が無くて税金が全額払えませんので、分割の相談に乗って下さい、という方が正しいのですね、はい。業務内容の見直しから適性人員の検討や必要経費や運転資金。負の連鎖を断ち切る最良の方法を見つけるために、経営コンサルタントは必要でしょうか?無理が通れば道理が引っ込む!営業コンサルタントや経済評論家特有の、具体的な方法をとらない、実に大学的なスタンス。成功体験。神話。それとも、業務上の命令に従えない社員を退社してもらい、恐怖政治しますか、どうします?わからないね、そうだろうね、スモールオフィイス・ホームオフィイス、ケースバイケースだからね、とね、はい。成功して躍進を遂げた企業が俗に言われる、大企業病になられ、不況の原因は、株価の下落に基づくものと、信じているのもこうした人たち。それならまだ、ツボから霊気をいただいた方がまだマシですね、はい。冗談ですよ、くれぐれも信じず、はい。スキル意識が低かったりプロ意識が低い我々だよ、とね、はい。とまあ、事業縮小から完全撤退までのプロセスを、冗長に説明しているのですが、管理職も増えて肥大化し、人間は官僚的になり、段々と、保守的になり、世の中のルールというものに疎くなっていくものです。新規借り入れもままならない、リスケ交渉をしても、焼け石に水状態で破綻してしまう。だから誤魔化す。そこで様々な嘘をつかなければいけない羽目になる。これが小さな会社だったら命取りになる。そこで、プライドだの、世間体を必要とせず、倒産を防止することが会社もとい経営者の最大の仕事であり、それが社員の生活をつくり、しいては、国家的な貢献になる。とまあ、そうは言ってもうまくいかないのが世の中、万が一のときには、人は誰でも醜態をさらすものですね、はい。人が三人いれば派閥が出来る、というように、たられば論者が増え、決断するスピードは遅くなり、会議は増え、残業は増え、責任の所在が曖昧になり、非効率な仕事ぶりに拍車がかかるようであれば、社会保険料の負担、あるいは諸費税も近い将来に税率の引き上げが、予定されているように、人件費も毎年ベースアップされ、仕入れの原材料も上がるような世の中に、立ち向かっていくことはできない。かくあるべし、では、軍隊かといわれますが、そこはまあ、手腕次第ですね、はい。日本のような敗者復活の仕組みが充分に出来ていない国では、経営的に失敗した時に、経営者が自分の個人的な財産を含めて、すべてを失ってしまうケースもあります。さらに多額の借金が残ってしまうなんてことも、決して非現実的な話とは言えません。でも口では革新を唱えても、みづから、その範を垂れる人は寧ろ例外で、言うは易く行うは難し、十年一日の如しだね、とシャレこむつもりかい、退屈な、現状維持的な、日和見的な、我々の会社よ、とね、はい。それでも、企業経営の世界においては世襲制がプラスの役割を果たし、上が変わると下が変わる、つまり現場が変わるで、それはどうなるかわからないわけなのだけれど、はい。――グローバルな経済の中では、規模を追求しないと、コスト面で勝ち残っていけない。絶対成功する、選別受注。同じく、リスクを減らす信頼。行き過ぎれば、暴走するしかない船でもね。ほらまた、吸収合併で淘汰が進んでゆく、ああ、素晴らしいノウハウだね、とね、はい。クビにならないように、滅私奉公しちゃう世のサラリーマン、とね、はい。
2014年01月14日
A、B、O、ABの四型に分類される、 血液型――。 血液による父子の鑑別法・・。 (『青い』はずの『海』に――集団的無意識や、 人間の心の奥底を感じながら、じゃあどうして血液は、 『赤』くて、でもそれを、何の疑問もなく、 『血』だよと、それでも『塩』だよ――『鉄分』だよと、 しているのかって――) 僕等は一体何を考えてる・・・ そして僕等は一体どんな幻を信じてる―― 取去ることの出来ない世界の呼吸。 僕等はいつも誰かを疑っていて、 もしかしたら僕等はそんな風に生きてゆくかも知れないと、 いつも心の何処かで何かを信じていて、 でも時に強く自分自身で裏切ってもいて――。 、、、、、、、 猛毒のような血。 、、、、、、、、、、、、、、、、、、 蠍の毒が身体中にまわる肉体における血。 (からだの内部のほうへ......) 「......進んでいった」 (沈思の森で歌留多をする......) 「......そこには、塩の雨」 その、遅――。 その、痴・・・。 ――この焦躁や不安・・ あまりに静かな時に 自分の頭の中に聞こえる・・・ ――『観念の議論』・・ (無性に腹が減っていた......) 「......それぐらい疲れていた」 (そこは僕の森だった......) 「......それは確かに、僕の森だった」 不確かな酸素。それを吸収するために呼吸にも―― 色んな説明はつくけれど、心臓は忍び足・・ ねえ本当にこれで終わりでよいのかい―― 望遠鏡に、写真機に、顕微鏡のレンズ・・ でもそれだけじゃ本当にはわからない――。 ――だからとある時の僕はスピリチュアリティーを信用し、 でもすぐにその狂人的発想を恥じた・・。 ・・・結局僕等は、誠実さにおける傷を笑った。 (『腐っている』んだ、熱情も、表情も――人類における横顔も、 僕のはてしもしれない不信は、文明特有の病気だろう。 『神』のいない世界で、探偵的な職業が流行り出す。 『これが答え』だよと、それでも『真実』なんて何処にもなくて―― 相変わらず、『悪夢の箱の中』さ――) 、、、、、、、、、 ドストエフスキイも、 、、、、、 、、、、、、、、、、、、 ニイチェも、そんな瞬間を見たんだろう―― ・・・・・・人間って奴は、と、シェイクスピア気どりで書くんだが、 どうしようもなくてね――たとえば黄色い歯に、 ぽかんとした穴のあいた空洞の鼻、うつろな眼でいるような、 つまり表面上で誤魔化しきれない奥底ではまったく別人のような、 ありえない、根本相容れないものを抱いてる、とね・・ 生きてゆくことって何かわかるかい・・・? 時折、まったく別のことを思う。 死ぬって、どんなことかわかるかい? その、遅――。 その、痴・・・。 (トーキーの中にいるみたいさ......) 「......皮下に注射された文明の生命的秘薬」 (畏れるなかれ、患者よ......) 「......ああ畏れるなかれ、血の通う新しい細胞よ」
2014年01月13日
かもちゃんは、公園で、ケチャップを、 うにいい~っと出して、遊んでいます。 通りすがりの男子中学生が来ました。 「鳥・・・マヂで撃たれ・・・!」 日本の公園に、しかも、人畜無害の鳥に、 銃をブッパナス・・弾の方が勿体ないのに! 中学生は、ハンカチをおそるおそる渡しました。 「汚れてますよ。」 「ありがとナ。でも撃たれてるからな、 撃たれてるのに、ハンカチ受け取るわけには、 いかないからナ。」 でも受け取る・・! 「ああ、味噌汁くいたかった・・・遺言――」 「ああ、みそしる、くいたかった、ゆいごん。」 しどろもどろする、だんしちゅうがくせい、 くりかえす、だんし、ちゅうがくせい、ゆいごん・・ ――と、そこに通りすがりのwa!ひろさんが、 毛布をきてあらわれました。ここに出てくる、 キャラクターは基本的にやさしい人が多いのです。 「かもちゃんが言うから。」 「ありがとナ。でもあったかいダロ、 毛布おばけ! 毛布おばけに、かもちゃんも、 なりたくなってきたな!」 しかし、だんし、ちゅうがくせい、は、くりかえす。 かもちゃん、ゆいごん。 ああ、みそしるが、クイタカタ・・クイタカ・・。 ――と、そこへ、いずちゃんうさぎが、 久し振りに学生服を着て、公園で登校。 「おっす、不良だぞ。ジャイアンつよいぞ。」 なんだかすでに無茶なのり・・。 「ネズミこわい。」 ぶるぶるふるえる、カモえもん。 ――と、その頃・・・! 公園の隅でhiroyukiが、人知れず、 禁じられた遊びを引き続け、孤独なゲームプレイ、 オーイエー、ゲムプレ、をしてる。 (しかし、だんし、ちゅうがくせい、は、くりかえす。 かもちゃん、ゆいごん。 ああ、みそしるが、クイタカタ・・クイタカ・・。) 近所の、おばさん達は、 冬のギフトでもらったハムをかむちゃんに、 あげようとしていました。 (大体けちで、そんなことをしないおばさんなのです。 でも、かもちゃんに味噌汁やごはんをもらって、すっかり、 この鳥が好きになり、人生観に影響をうけられ、 随分顔つきが変わったおばさんが・・) と、その頃、市長は、かもちゃんのために、 サファリパーク建設の話をまとめていました。 (ふつうの小さな町に、サファリパークを作ろうなんて、 土台わけのわからない夢。採算どうする、経営どうする、 ・・でもそれを、集合商業施設共同体という名目で、 少しずつ実現へと向かっているのです――) しかし、言いだしっぺの鳥は、 ケチャップにまみれて、毛布お化けになり、 ひゃあひゃあ、あはは・・と、遊んでいます。 めちゃくちゃです、ふざけています。 でも、だからこそ、多くの人が、 この鳥を愛しているのかも知れない・・・。 近所の子供たちが、野球をしようと公園へ来ます。 大体それは軟式のテニスボールです。 かもちゃんと野球をする場合は軟式のテニスボールと、 おもちゃのプラスチック製のバットを持ってくること・・! そこへお婆さん達が通りかかります・・! 「おお、ババア!」 「何やってるんだい、この鳥は。」 「ババアこそ、縁側でお茶ものまずに、 和菓子ちゃんと食ベロ! 餅咽喉につまるから、 かもちゃんと一緒に食ベロ!」 支離滅裂なかもちゃん。にま・・ああっ――。 (しかし、だんし、ちゅうがくせい、は、くりかえす。 かもちゃん、ゆいごん。 ああ、みそしるが、クイタカタ・・クイタカ・・。) ・・・かもちゃんは、冬の公園で、ぼんやりと、 ああ、夏みたいだな、とぼんやり思いました。 去年、ナニしてたかな、思い出せないナ、 ワカラナイナ・・でも、毎日タノシイな、 社会に貢献してるしな! ――hiroyukiは、立ち上がり、かもめハウスに、 隠していたキーボードで、ぢやんぢやか、演奏します。 それはもちろん、ビートルズなのです。 近頃はシカゴもええとか思うけどな。なんでもええけどな。 焼き鳥くったしな。なんや、かもちゃんに、 マヨネーズでごちゃまぜにした妙な喰いもん結構うまかったしな。 (かもめ丼:鮭フレーク、そぼろ、にんにく、レタス、 マヨネーズ、チーズ、桜海老、最後にあたたかいご飯。) ――しかし堺東の駅に、一か月ほどライブに行くけど、 ホンマに、演奏してる奴減ったわ。みんな、何処いったんかな。 商店街はよ閉まるしな。全然チップいれてくれへんしな。 けど、昨日は不思議やったな。色んな人が、 たくさん話しかけてきたな。いや、この前もか・・ なんか、不思議な感じやな――。
2014年01月12日
電話のボタンを押すと・・トゥルル・・アハ! ――あは・・あははは――ぷっ・・ 「もしもし。」 や、しまった――と思った・・! 「ごめんよ、いたずら電話じゃないんだ。」 (うん、あなたの電話番号だし、名前出るから。) 「ただ、電子音を聴いてたら・・これ、ビートルズの、 とある曲で、・・や、マニアックな言い方だな。 いや、まあ、それで・・、そういうのをいま、ちょっと、 実験してみたんだ――」 (うん、わかった。それで、要件は・・?) ああ、それでね――
2014年01月12日
僕は歌を歌ってる――Melody の靄に・・乗りな がら―― ねえもっと僕を感じさせてよ、・・・魂の、 隠しき れないほ ど の情 熱が――君に新しい力を与え・・る・・・ 虜に し て ――僕はただ甘い声で君を魅了する・・ こんな気持ち(それは・・ )久し振り で 海・・・海―― 心の中へ行きたくなった・・感じてしまった――ん・・だ・・ ただ無性に君に逢いたくなった―――わかる・・だろ? 傍へおいで・・抱きしめてあげ――る・・ I want to see you ...I miss you...YOU...LOVE!!! 、、、、、、、、、、、 感情の限界を超えてゆく―― 僕の美 しくてセ クシーな...声が・・ 震える・・ほど――に・・・I want to be hugged into that chest ・・ Ah それ以上言ったら・・どうにかなりそうな・・ 眩暈の中に――いて・・Ah ねえもっと僕を・・ ねえ・・こわい――けど・・・You are just forgetting yourself ・・ 才能が爆発する・・人生をたった一瞬で理解してしま――う・・ ねえもっと僕を感じさせて・・明日――も・・いつの日にも・・・ Their hands touched ・・本当の僕を知っておくれ・・・ (それは・・)an unaffected attitude ・・ 恋・・してる――君にも・・神にも・・ (そして・・ )僕自身 の夢にも ――いま で も・・
2014年01月12日
ミステリー小説を読んでいて、 ハッと冷静になって我に返る。 本当にそのタイミングで・・・? 、、、、、、、、、、、 一瞬間のナイフの軌道を、 、、、、、、、、、、、、、、、 腕で庇えばよかったんじゃないか―― 、、、、、、、、、、、、、、、、、、 それは防衛本能としてあるんじゃないか・・? 雲は流れる。 風はその時どこからともなく吹いている。 そしてそこに町がある。 、、、、、、、、、、、、、、、、 何日間も拉致されていたヒロインが、 、、、、、、、、、、、、、、、、 ストーリーのご都合主義に歪められ、 、、、、、 、、、、、、、、、、 ――いやしかし、それは言わない約束で・・ 厳密に言えば、 そこで死ぬべきだった、 いや、生きるべきだった―― 、、、、、、、、、、、、 複雑すぎる僕等のルールは、 、、、、、、、、、、、、、、、、 思い込みという人口に膾炙しながら、 、、、、、、、、、 作られたプログラム―― でもそれとはまったく関係なく、雲が、 雨雲になり、ゆっくりと、 世界を濡らしてゆく―― 、、、、、 それは水である。 、、、、、、、 、、、、 それは水であり、氷である、 、、、、、、 、、、、、、、、、、、 そしてそれは、形を変えているけれど海。 可能性という朝露に濡れた蜘蛛の巣は、 たんなる涙のような疑問なのか、 それとも得がたい真理の蛇口なのか・・・?
2014年01月10日
ち、ち、ち苦笑・・! は、は、は苦笑・・! しいいいいいんとした・・ ういいいん―― 瀬戸内寂ゃ苦笑! ばッ・・ばッ・・ば苦笑! 突然口について出てきたのは どうしようもなく三流でしょうもなくて けれどもウレテナイ芸人デス って感じのkotoba さだまさしすごい さだまさし芸人だからすごい まきもどる感じ まきがいもじつは はりがねみたいに もどせるような感じ もうこいつは駄目だ と誰かが言った そして 詩人生命の危機は やって来た あやうし俺 くんしあやうきにちかよらず といえずに くんくんあやふやなかおりだなそいつは くらくらするぜかもふらーじゅ・・! なにもいえていない そしてだれもわらっていない お天道様も晴れてるからな と子供みたいな言い方 すでにオワてるな End... とカッコつけていってるあたりが オワてるな そうだよオワてるぞ イーマイナーセブンを押せ! Oh!ワンダフルボーイ! なんだかよくわからない何かを 誤魔化してしまえ 獰猛な活火山地帯! Oh!ワンダフルボーイ! ぢぐぢょ、あ”あ”・・ ぢぐぢよ、・・ けつnyが、でている、 nyほほ、というわらいごえが、 でてる、ぢぐぢょ・・ 僕はその時 一匹のダンゴムシだった うんこって言いたくてたまらない うんこって言ったらニンゲンとして ホモサピエンスとして 最低でもヌンゲンとして オワてしまう でもオワたのだろうきっと ち、ち、ち苦笑・・! は、は、は苦笑・・! しいいいいいんとした・・ ういいいん―― うおおおおお! スカウター爆発 レベルアップしたような感じ オワたな そうだよすでにオワたのだよ ――その時 ぼんやりと神様は思った なでてここたべたい・・
2014年01月10日
くうきからくうきにながれるコウモリは 大体パチッとウィンクする セクシーすぎるコウモリはタイタニック気分! Oh! ダイナミィ!! ダイナモするコウモリは鷹のつめを思う 蟹の足はおいしいけど、あれが自分だったら―― だったら・・運転――だらだらのらくだかもしれない・・運転―― かもしか運転――らくだをのせて、かにのせて・・、 かもしか、どうしておれはねむいのか? と猿。 ちょっと夜ねむりづらそうなスコーピオンの尾をのぞむのだ と、コウモリ! まちがって妻をチクリと刺して殺して星座になってしまう 可哀想なスコーピオン アリバイはありませんというかわたしがやりました 動機はあったんだろわかっているんだぞお前に殺意はあったのだ コウモリはひとしきり抜けては生える髪の毛を思った ゆきだるまをつくるときにまるめすぎてかまくらにする なくようぐいす鎌倉幕府 あろはおえとなくようぐいす、いやなかないよ・・ ぴーぴか、ぴーぴか、ふぁんふぁんふぁん―― ずっちゃかずっちゃか、かまくらばくふ・・ なくようぐいすいろはにおれじゃいあん―― まざっているようなきがするがそれもよくわからないコウモリは考える かまくらのかまたりのことを なにかをしたはずのひとなのだかまくらのかまたり それでもぼくはコウモリなのでコウモリ コウモリは洞窟ナマケモノは森 だからそれは東から西へと流れていく風のように ドーナツを食べているのだった Oh! ダイナミィ!! ダイナマンの歌が聞きたいコウモリは 便器のなかをのぞきこんですっげえクロネコ ・・・くろねこやまとのたっきゅうびん♪ むかしなつかしいメロディー ・・・くろねこどこかへいっちゃった♪ へんなおぼえかた、くっくっ、へんなおぼえかた・・ コウモリは影! シャドウの中のシャドウ! イエイとPeaceする遺影! ・・コウモリは 布団が吹っ飛んだ練習をする ふっとンが ふっとんが 入れ歯が! ふっとんが ふっとんが オホホノホ! サシバ イレズミ カマイタチ・・・ コウモリのセンスわけわけんなくて新しい わけわかんないけどそろそろやばい夜の時間 ちくたくちくたく時限爆弾が刻一刻とせまる 爆弾魔ゆるさんとかんがえるコウモリは メロンが食べたいカマンベールチーズで 最低でもスイカが食べたい合わせ商品 液晶画面は不在・・だって魂ここにあらず―― 彫り師にオカマ掘られなくちゃいけないから だってそれはチャプチャプの水溜まりだから ニーハオワンタンメン! チャオ! ああコウモリの中のコウモリ 君は無事にコウモリのたましいへと帰りつけるだろうか ぼるへすってガイジンがホームラン打った ファーストベースをゆっくりと走り抜け トランポリンをとんで やっぱりトランポリンをとんで たくあんになって 空から餃子がおちてくる逆上がりしたい夜 でもやっぱりあれはたんぽぽにちがいないのだ なっしんぐ・びばるでぃー・ぺぺろぴぴろぱぱら―― ああ とコウモリ・・・ にゃおお とコウモリ・・ 君はまちがいなくランボーを勘違いしていて らんぽー。らんぽー。 ふくろうがよるに201回目の記念として鳴く かなしいくらい抽選くじびきサラダ炒めの刑でドイツ人になる ドイツ人は言ったわたしはマネキンです ごめんなさいうそですじつはカツラです いえ名前が桂なんですよここだけのはなし ふくろうが世間話しているコウモリは何処かへときえた コウモリどこかへと消えたけれど ふくろうはあいかわらずそこにいる ふくろうはまんとひひってかわいいよねといっている ふくろうはじつはおれまんとひひみたことないんだといってる
2014年01月10日
僕は詩人というのが人格障害者の典型ではないか、と正直に告白します。僕は多分に、その傾向から外れていると信じつつ、それでも、おそらくに、僕も含めて、多くの詩人たちが、このような傾向を持っていることを告白します。彼等はまず人の悪口や批判が大好きです。そしてそこには、彼等の高すぎるプライドがあります。(僕は、まず、人の悪口や批判が好きではありません。けれど、時にはあまりにもやりすぎて、自己嫌悪に陥ることもあります。ですが、彼等は自己嫌悪というのをしません。すべて、忘れます。それでも、しているのだ、と言います。ですが、反省しません。繰返します。だから平気で同じことを繰り返します。しかし、失敗を繰返すことが悪い、と言っているのではありません。失敗にも、またその失敗を繰り返す意味も必ず、ちゃんとあるはずです。それが向き不向きなら、その失敗は重要です。ですが、向き不向きを超えて、そこで、自分を成長させる失敗なら、必ず人間的に成長する。魂を熱くすることができる、と僕は信じています。きちんとした行いなら、そこに必ずちゃんと残るはず。僕の四年間にものぼった散々やりたい放題な批判も、必ず、僕の富となる。でも、間違ったことは言ってない。相手を選んで言うよりはいい。そして何より、欠点があることを認めないことには、先に進めない問題もある。社会だって学校のはずです。リスクだって当然あるはずです。僕もそれを受けた。でも、それが必ずしも間違った種類のものであるかは、人生が終わった時に考えることのはずです。常に最善の選択をする。これは十八歳の時に誓ったことです。)彼等は、人の不幸や失敗をことあるごとに指摘します。それは彼等が、自分がそのようなことがあったことがない、と説明するためです。多くは彼等が社会的に挫折し、人間として不幸だという意識のためです。(僕は、人の不幸や失敗をできるだけ指摘しないように努めています。そこで勝ち負けが生まれるのではなく、人間の成長というものは、さまざまな要因によって変化していくものだと考えるためです。僕は社会的に挫折し、人間として不幸だという意識に一時期囚われ、そこから回復し、更生したというつもりでいます。ですが、人間のエゴというのは、客観的な判断力をもってしても掴み切れないもの。誰もがそうなりうることを理解し、自分に言い聞かせ、日々の仕事に、人生における詩という仕事に臨んでいます。)そして彼等は特定の人としか接しません。(しかし僕も、そのような傾向があります。ですが、彼等はそこに、損得の感情しかないのです。そして疑い深く、他人を信用せず、自分が間違っているという考えを持たないのです。)彼等は自分を棚に上げ、他人のことをあれこれ言うのが好きです。(僕はそういう人間がまず大嫌いです。だから人の何倍も努力し、たとえそれが報われないという状況でも、意味や目的を見つけ、より確かなものへと近づいたうえで、他人に対して意見を述べます。奥床しい。回りくどい。けれど、自分の気持ちを話すのが苦手で、なかなか、本当の気持ちが言えない。)彼等は、他人を争わせようとします。(僕は、誰にもそのようなことを求めていません。たとえば弟子を何度か庇った時も、僕もネットの中で何度か同じ目に遭い、それがいかにつまらぬことかを知っていたからです。少しぐらいは目を覚ませてやりたいという気持ちもあったかも知れません。僕の心の何処かにあった相手を支配したいという気持ちは、過去の体験に、心が歪んでいたからかも知れない。いまは違う。)彼等は、自慢や自惚れが強く、過去の栄光をいつまでも語ります。(僕は、自慢や自惚れをいだかない、とは言いません。まったくない、と言えるのなら、それは人間として、感情を持たないということです。それは、人間ではありません。ただ、僕の場合、すぐ醒めます。これは過去の様々な限界ギリギリまで詩を書いていた体験が、あるからでしょう。そんなことより、前に進まなくてはいけない。もっと自分を輝かせなくてはいけない。そう考えます。過去は通過点にすぎません。どれほど素晴らしい結果も、次の日、あるいは今というこの瞬間に必死になれない者に、人生は決して、微笑まないだろう、と僕は考えています。)彼等は、嫉みや僻みの塊です。(僕は、そうではありません。そうではないけれど、そうではないと言えるとすれば、それは、競争の原理、生長の契機を、放棄している、ということです。僕も人間です。妬みや僻みもそれはあるでしょう。ですが、それがどういう種類のものかを、いつも考えています。それをいかに自分だけでなく、他人にも、集団にも、社会にも、世界にも、そうであればいいと、いつも考えています。何故なら、これは、スポイルだからです。足の引っ張り合いだからです。人に迷惑をかけ、他人に自分が負けた瞬間だからです。一切自分と闘おうともせず、ただ負けたという、悲しい動物的な瞬間だからです。僕は自分に勝ちたい。他人を見ていても、一切は自分の心の中から生まれているものです。幻にけして負けてはいけない。束の間の姿に、騙されてはいけない。僕はそう信じているのです。)彼等は、お調子者です。一つ褒められただけで、十と捉えます。また貶されても、同じです。人それぞれという発想もありません。(僕はしかし、子供時代は随分とお調子者でした。学校の副会長を、何だかよくわからずに立候補して当選したのを皮切りに、色々な馬鹿をやったものです。これはしかし、幼稚園に一年遅れで入ったこと、おたふく風邪で学校へ行けなかったこと、家庭のしつけが厳しかったことなどが、考えられます。僕は、いまでも結構お調子者ですが、これは、人それぞれ捉え方次第で、多くのところ、自制心でそうならないように努めます。人に馬鹿にされたからと言って、それですぐカッときたりはしません。それでも社会で何度も暴力事件、恫喝などを起こす僕ですが、時折には後悔して、目の前が暗くなります。我々はそのような時、人生というものに傷の一つや二つはあるもの、として理解します。)彼等は勝ち負けで一喜一憂します。また彼等は嫌なことがあると他人のせいや、世の中のせいにします。(僕は勝ち負けで一喜一憂しません。むしろ、一喜一憂するよりも前に、それがどのような要因で、過程であったかを考えることの方が多いです。また僕は嫌なことを、他人のせいや、世の中のせいにはしません。越えられる限りはすべては出来ること、すなわち修業である、というスピリチュアル的な発想をし、全力で立ち向かいます。責任があるとすれば、すべて自分です。仮にそうではなくとも、自分です、と受け入れ、そこからスタートするのが人間の魅力というもの、と僕は考えています。それよりもまずやることがあります)
2014年01月10日
まち並み。おもむき。NOSTALGIA・・・むかし、人生を、あきらめるほどの、挫折があって、家にもどりたい――、あの日にもどりたい・・、と、おもった男がいる。ロマンチストの、さいだいの弱点は、よわ気――。とおい眼。とおくなる何か。とうにわかっている。でも、浮かばれない。でも、戻りたい。愛されたい。なにかと、繋がりたい。ここで悲しみはうまれ、そこで、ほんとうの声――。、、、、、、きょうしゅう。、、、、、、、、、なつかしい旅の時間。、、、、、、 、、うしなわれた、意味。、、、、、、、、 、、、、そこへといたった、道のりの、、、、、、 、、ほんとうの、理由。――かれは、たましいが、しずかに語りはじめる、その時まで、なんねんも、気長に、待った。おおくの人には、想像さえつかないほど、ながい時間のいらだち、沸点に到達するまでのいらえ、その声を――、待った・・。やがて、旅は、終わった、そこで、受けいれた。かれは、家に、かえり、ながい疲れを、いやすのに、一年ほど、かかった。その、こわれ。その、成り立ち。その、過ぎこしかた。、、、かれは、、、、、、、ものがたりを、、、、、、はなすひと。、、、、、、、、ドラマティックな、、、、人生を、、、、、、、、、淡々とはなすひと。
2014年01月10日
足下にある花々は今一斉に生命を支え上げんとする健気な力。そして永遠に新しい息吹。そして僕はとある日の、花の挿絵が目に触れ、それは偽りだと理解した。花々は過ぎ去った日には還らない。水は冷めたくとも太陽が空にのぼらなくとも、花々は咲き誇っていた。小犬が明るい自分の影に戯れていたように、光のない空間を横って、暗闇へ虚無へと向かうとしても、花々は咲くことしかできないのだ。限りなく不幸であるとき、限りなく花々は幸福であるという、二重の方向の交錯の中に、花々は型を見出し、空気を相手に、戦うことを決めたのだ。また事実かたい殻の中で、眼の中で、おまえ達はそう決めたのだ。祝福された光の国が、そこに待ち受けているわけではない。 いくつも傷ましい名前をもった、小さな墓地。名もない野原。うすぐらい森のさらに陰気くさい沼のほとり。それでも僕は妙なるピアノの音に伴れて、朗らかな合唱の声を思う、水のせせらぎの如く、これほど、世界に愛されたお前の姿を思う。 * なやみ歓喜を産む苦患。 なやみ十人十色の幸不幸を産む苦悩。波の寄せては返すように、循環している、宗教的な、芸術的な、 なやみしかしそれでいて時代的な艱難。一生を通じての美醜を決定する、懸念や配慮などを超越する、公明で晴れやかな歓喜。自然の心にささやく悲哀。地獄に落ちるのだから。でもオアシスはあるのだから。砂漠へと蟻地獄へと引き摺りこまれるのだから。けれど心の平安はいつでも君自身が作り出すしかないのだから。到底企て及ばざる突破の瞬間へと努力を続けるのだ。 おど踊子達よ、舞踏るのだ。ああ、だれがこれらすべてのことを表現し得ようぞ?どうしてそれが何故という問いかけで説明できようぞ?新しく生まれる社会の歌。プロレタリアートは死んだかも知れない。だが、民衆の霊魂は死なない。労働者の魂は死なない。すべてが繰返すのなら、すべては同じ瞬間を、ただひたすらに越えるまで続くのだ。自身のなかみをほとばしらせ、日光にきらめき、風にしぶき、観たものの印象、新たに出会った人の印象、どこかに継続性がないか、そしてそれは発展をうながすための、とある法則性ではないか。青空は、白い雲を呼んでいないか。それは新しい風を生む光の中にひそんではいないか。そこに一切が均一な闇の秩序が整然とそこに横たわっていないか。自分の想いを告白せよ。白い花片が、突風に巻き上げられたように、一瞬の間に消えてゆく波打ち際の文字のように、ただ一度きりの人生のためにお前の魂を昂ぶらせよ。 *僕はトンネルを出たところで、事物の本質を明らかにして思想を発展せしめることが、いかに容易であるかとニーチェ的に思った。経験はもっとも基本的な形式であるが、言葉における単純性は、その複雑な試みにおいて、もっとも文学的な蘊奥を説明しきっていた。十何年は無駄ではなかった、と僕は、長い旅の終わりを予感した。そして思ったとおり、そこには、偉大な海が待ち受けていた。だが、強く生きることはすなわち生物の正しい進化を目指すことだ。聖者の踏んだ道ではない。レールの敷かれた道ではない。時代が作り出した欲求ではない。それは宇宙であるかも知れない。もしかしたら銀河系のとあるねじれに関係しているかも知れない。神という陳腐な言葉を嫌ったニーチェ的に、自分自身をすら自我の産物と見なそうか。よっぽど大嫌いなお手本通りに、横道のそれ方を学ぼうか。幻影に迷わされ、幻覚にまどわされ、空莫として、けれど喪失して、ただ断片化する日々の記憶を、純粋な思考としようか。生活を無意識としようか。それとも、無意識のエゴを肥大させて怪物となろうか。 *目的だけが落ちている頁をひらいて、時代の需用に応じて供給をもとめる。歌の中で、生の頼りなさをリリシズムに求め、コオロギや鈴虫となってゆく言葉たち。武器が製造せられ、軍備がなされるならば、そこで革命が生まれ、あるいは戦争に参加した人たちの声が、すべての代表格となる。ヒューズを飛ばせ、ミューズよ。地理地形を書くことを目的とした風俗習慣。頽廃的新聞。脱落的雑誌。厭うべき人生の唯だ一つの目的のように趣味を謳い、君は検索機能を駆使し、用例を調べる。釣りをする。また魚を釣りあげてくる。パチンコをする。スロットをする。麻雀をする。それはいい、だが、終止符を打てないような、高潮期に幕をおろすことのできないような、花爛漫になりきってしまう前に、という、ターニングポイントのないような、所々に散在する標石のような、国の文化に触れてこれを摂取するという意欲に乏しいような、君は目的と言う。それを君は、無目的と認められず、一切の価値がないと認められずにいるのだ。そもそも言葉に意味はない。だからこそ言葉はそこに生まれ続ける。だが俺はここにいる。俺は様々な言葉を吸収し、復習し、編成する。俺はお前にわかるような目的を求めたりしない。俺はお前如きにわかるための人生を作ったりしない。俺はここにいる時、俺は俺のことだけを考えるような、そんなつまらん目的で、昼や夜をあしらったりしない。言葉はそこで何かを求めたりしない。だから俺もそこでお前を求めたりはしない。
2014年01月10日
これはわれの、火のくちづけにふれて、さまよう生物の匂いだ。一個の他人なるが如くに頓着あらず、酔漢じみた木の香りに苔古りし花苑の奥へと走りいれば―― しろ あく浄らな色、飛び去りえざりける、純白にして、灰汁。うすにがき舌触りに世界を撫づるとき、蜘蛛の巣が、ポーズしていた。卑陋なる理想の中に縮少したる毒弊なり。それでも、想いならず・・、目的もない希望から促進し、生長し、空気のなかの蜜に馴染みながら、 うれい冬の日の愁に照りしかど好しや苦戦搏闘するとても、はかなくもまたかなしい音楽は、若き夏の夜を、魂の底にうかびあがらせ、 ぬか 夢深き君が額に透きてゆく侮蔑の翼を放たじ。わがまなこの涙、心を千たび焰にて灼くこの涙を、げに慕わしい嘘の歯刷子と言った君よ。 たびびと ち 道ゆく旅客のわれは小さき鳥をゆめみる、答えもなしに、あらわに、 どれにひとつが催眠剤。阿片。狂う薬にわれを忘れておれば、果して何物とかなす、――恋愛。魔術にして、実験が、忽ちにして萌ゆ、捉う、奪う――『時間<time>』に、遠く遠く、これきりの自らの重みをささえる愁嘆をやめて、げに、いまさらながらの助走をつける。竪琴みたいに弾きながら、ゆめへとゆく吐息を鏡なすさざ波へとかえながら、羊の番の小娘よ、書割のようによく出来た小娘よ、ほそ糸ほのかに、弦月遠きかなたのあなたに、うつらうつら時ばかりすぎゆく。木蔭へとゆけば夏の思い出が散ばるが、惑わさるなかれ。電のほとばしる如く、夢重く、寂寞として、わが肩によりかかる、金と銀のさかなの鰭。「ああ花開くうつくしき四月よ。」と、言うだろう。(眼路眇茫のささやきに大往来が浮かぶように――)土の香りもせぬ、大地の気配もせぬ四月に、摘みとった、果物の匂いをさせていたなら、いつまでも永く、何の苦もなく、ましろの月よ、いざ、さしのぼれ。(かの平和なる物のひびきのように、おぬしは鳴れ――)何処へときたる、見すぼらしい銅像のような、われの、鼻先をくすぐる、春の夕暮のあとの町。樹蔭も見えぬ、鈍の、蝸牛が這いまわるように愚かに、歩く、しづみの園――、しかるときは、わが胸に、『冬』というPlateを置きたまえ、そなたの手は雪のように冷たい・・と――そなたの声は冬のように淋しい・・と言わせたまえ――。眼に映るいたるところは、遅咲きの花・・、霜に強き花。ものすごく荒廃した心持にさせる強烈な陰影。閉ざされた傘のモノローグ的展開に、それでも草花の匂いがする。それでも受難の花に刺の冠、落穂拾いのごとく、手が見える、 はだし足が見える、跣足が。土が――弱声の細音も生の呻吟。かかる痛みに、その静けさ・・その静けさをよろこぶ・・・。されど、そは常に一瞬にして消え去る刹那に、「死」は来たり、あとに残るのは、眠りと、眩暈と、皆目見当もつかない、暗号的独り言と、うるさいおしゃべり。季節が流れる、菜の花のめぐみぶかい池となる、これは、いったい何度目の春。馬酔木に首吊り死体が見つかる。岩梨に、何に疲れたとも知れぬ、疲れがある。かよわいおおいぬのふぐりに、昔嗅いだ、かなしみが――、ならべたるふたつの櫂がくだくる、氷のひびきの如く、葬りの列。どうだろう、ああ、わたしは孤独・・。きけよ、――こもる無言の嘆き・・。霞たなびき若水流れては鳥啼く蒼空の涯の憩にむかいながら、沈むものとは、かなし、わたしはたとえば烏羽玉の松の、小かげに横たわりて、煩悩し、束の間の境地である悟りへと、思考をおしすすめ、憂き事しげき世の底知れぬ谷に、墜ち失せる――、されどもし、わが恋人よ、君、われとわれの心より、遠くのあなたなら、西洋風の木造のさっぱりとしたコテエジに、空と海と陸と光のFANTASYを見る――されど恋人よ、やわらかき声音の絶ゆる裏庭に、小さき菫の花は咲き、おもむろにまどろむこの愛の神は、永遠に胸に根付くだろう、夜よ、いざ参り来たれ――木の嵩を増す如く、年輪を太くして、それでも、願わくば、薔薇の花びらのつむじになりたまえ。
2014年01月09日
むかしこんなことをみたことがあります、 と、かいた、てがみ、に、は、 そうかな、とか、そうだね、が、 ふんだんに、ふくまれているものです。 うつくしいゆめ、とか、やさしさ、とか、 あふれんばかりのあい、という、すぱいす、 が、うなぎのぼりしながら、 きみ、どきどきしちまったな、 おれに、しんぞういぬかれちまったな、 いっとくが、おれは、さそりざだぜ、 うそ、じつは、てんびんざだけど、 きぶんは、せくしゃるはらすめんと、 さそりざだぜ、というのだよ、ぼくは。 なんというか、そうしそうあい。 きわめつけの、はっぴい、あんど、らぶこおる。 ほれちまったか、わるいおんな。 あいされすぎた、いけないおとこ。 せなかで、かたる、おとこざかりの、にじゅうはち。 うむ、そろそろ、ぼくも、 ああんなことをみてしまったのだよ、 そしておまえはもうおれのじゅっちゅうにはまり、 おれはいちどじゃわからないおとこだぜ、 どばどばの、しゅんしゅか、だぜ。 いみ、わからない? わかるおんな、になれ、 のうてんかちわられるまえに。 とか、つよきにいってみようか、おれ。 でも、そこらへんにいるような、ふけばとぶような、 ひょうろくだまじゃないぜ、ふうせんじゃない、 かんけいないけど、しりこだまじゃない。 でも、むかしこんなてがみをかいたことあります、 という、こくはく、には、げーて、っぽさ、が、 どことなくほのかに、いやどちらかといえば、 におやかに、じっさい、どちらでもいいんだろ、はい、 とりあえず、げーてっぽさが、あるのです、はい。 ああ、にじゅうはちにもなって、にまいめすぎるぼくは、 あそこがおおきすぎて、ああん、な、ぼくは、 はちきれんばかり。というか、つくりすぎてこわれすぎ。 でも、よのなか、だいたい、そんなものなのよ。 わかる? ああ、わかるだろうか、 よはねす、って、だれ。よはねす、あいらぶゆう、 と、いってみろ。かなりあ、だ、な。きゃ、な、りあ。 もっともうつくしいこえで、あい、らぶ、ゆう、 と、いってみろ。せかいじゅうの、ばか。 ばかじゃなきゃつとまらない、あいの、しゅ、しゅ、すがた。 しゅっぽっぽーな、ぼくは、ろーりんぐさんだー、してみる。 ぼくのことばは、うつくしいのだ。 そしてたくさんのひとを、とりこにするのだ。 あいがよくぼうだとしりながら、よくぼうは、 ひとをだめにするとしりながら、じんせいは、しかし、 たすけあいだよ、とみとめながら、それでいて、 ぼくは、おんがくに、あいされてしまったのだ。 かみさまに、ながいあいだ、みつめられているのだ。 おおくのひとは、ざんねんながら、そうじゃない。 でも、どっちみち、ひとは、かんちがいするのだよ。 ぼくも、まちがっていて、きみも、まちがってる。 それでいいのだよ。ぼくも、ただしい。きみも、ただしい。 どこにもいけなくなっても、もちろん、だれのせいでもない。 ただ、じんせいのじかんは、まっては、くれない。 えらんでも、えらびそこなっても、ほしはめぐる。 ぼくは、このくにで、もっともすぐれたしじんになり、 ぼくは、このせかいで、もっとも、そんけいされる、 しじんになる。そして、ぼくは、しぬのだ。 ざんねんながら、それで、ぼくはしんでしまうのだ。 ぼくはひとりだけ、たからものをたくさんあつめて、 まもののいる、しまを、ぬけだして、 こんなちいさなくには、ひつようないだろうと、いうのだ。 こんなせまいせかいは、ひとをだめにするだけ、というのだ。 はああい、と、たくさんのひとが、うなずくのだ。 すごすぎるのだ、ぼく。 なんというか、かっちょよすぎるのだ、ぼく。 でも、けんそんをしないことで、 もっと、たかみをめざしてしまうのだ、ぼく。 めいんしなりお、こうりゃくちゅう。 たったひとりで、せかいや、うちゅうと、たたかいながら、 ほんとうのこたえを、さがしもとめる、ぼく。 むしも、どうぶつも、くさきも、かぜも、 ひかりも、たいようも、つきも、やみも、かなしみも、 いかりも、よろこびも、ぼくのためにある。 そして、ほんとうのぼくは、たくさんのじぶんになる。 そして、あたらしいせかいは、そういうもので、 いっぱいになる。それでいいのだ、じゆうよ。 かぎられたへいわのせかいに、といかけがのこり、 ぼくはたくさんのことを、わすれる。
2014年01月09日
フラッシュバック/これは火の粉/ いまだに忘れることの出来ないなつかしい友/ shooting star...... アイボリーマイカルタ(lvory Micarta) (紙を積層にし、エポキシ系樹脂に侵漬し、加圧成形した) バスタブの栓/テトロドトキシン/ヒ素/ 生きて行くだけにはさしつかえはないもののうちに/ P.S. ゴミステーション・ロックペイント行きがある/ 男も黙り/女も黙る/ 魑魅魍魎/バーチャルサラウンドギジュツ/ ......Lonely night ――メラン コリイ―― 石灰硫黄合剤:せっかいいおうごうざい/ アクセス・ゲット・クロスオーヴァー・タイム/ 音漏れ/メンデルスゾーン= ヘンゼル:アイルランドの歌によるファンタジー/ 「君は波子というのだろうか?」 (そして君は僕のことを波男というのだろうか?)/ 激しい嘲笑/二発目の弾/ 子犬/ひかりのへび/蚯蚓/ shooting star...... (オープンエンドのストレートドローだった・・・ああ、すごかったよ・・) 「FA-200?」 経験的に方便的にある措定と仮定の上に立って 数える/夏の夕立ち/心理学的な音楽の絵/ 華麗な幻想曲/透明な小さい氷球/ ......Lonely night ロープ/電気コード/それはショベル系建設機械/ アドバルウゥン・ポプコオォン/ 『すぐに老人の仲間には入れるかな?』 (紙に刷った雑誌をスキャニングするみたいに?) 摩擦のない振り子/論じられた諸問題には豊富な内容的知識/ でも血も流れない/だから痛みも必要ない/ バイバイ/通俗的主題/スライス/カット/バック/ 人殺しも血も墓から掘りだした美術品も人骨も/ shooting star...... (N52B30A・直列6気筒DOHC。2,996cc。2ドア AT 右 ハンドル) 「630i」と呼ばれているのだ、その車は。 これらの反復現象を生命的構造に射影して解釈する/ 旋律的楽曲/性格的小品/神前の踊り/ 地球爆発のシナリオ/これは火の粉/ 「光の道を進め!」 ワラ) 身分証明書という名の自傷行為それでも君は、 靴の中に画びょうを入れることをやめられない/ そして気がつけば憂鬱な寺院がそびえている/ 髪の毛が余り縮れておらず、鼻の頭が ぐしゃっと潰れていない山が消えていない/ ......Lonely night ――メラン コリイ―― ・・・・・・大名行列の一団・・・・・・
2014年01月09日
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