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2019.07.14
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​​​​​​  ​​チャン・ジーウン「乱世備忘 僕らの雨傘運動」
 ここのところ、 「元町映画館はドキュメンタリー」 という感じが続いています。今日は 香港 2014年 「雨傘運動の記録」 を​​2階の小部屋で観ました。​​​  ​​​​​
​ ​​​ 2014年 に香港で起こった​​ 「雨傘運動」ってご存知でしょうか
「真の普通選挙」 を求める若者たちが街を占拠した 民主化運動 です。警官隊から浴びせられる催涙弾に対して雨傘で身を守ったことから 「雨傘運動」 と呼ばれたそうです
​​チャン・ジーウン監督 ​​デモの最前線でカメラを回し、その中で出会った学生らに焦点を当て、ごく普通の若者たちが 「香港の未来」 を探し求めた 79日間の姿 を記録した映画でした。​​

 何の脚色もありません。カメラと一緒に転んでしまうリアルなハプニング。出てくる若者たちの嘘のない会話。繰り返しアップで映る警官の顔。そこに 「真実」 が輝いていました。
 やがて敗北に終わる記録は、人によっては退屈な映像かもしれません。でも、見ていてよくわかるのです。繰り返しの毎日のようで、映像の印象が少しづつ変化します。そこでは、20代の若者たちが、生きている 「世界」 の変化の可能性に、自らの未来をかけていました。言葉でいうのは簡単ですが、命がけですよ。
​​ 遠くで動きがあることが伝わってきます。よどんだ空気が流れています。再び激しい動きがあります。胡椒スプレーがまかれ、催涙ガスが充満しています。走って逃げています。警官に拘束されています。少女が涙を流しています。一人、一人、写真を撮られています。しかし、写真を撮っている警官をカメラはずっと撮り続けているのです。このカメラの映像が表現するど根性の中に、カメラマン自身も「未来」を希求していることが伝わってきます。​​​​​​​
​​
 若者たちは、冗談を言い、議論し、地面で寝ています。彼らは、自分が生きていく社会を、体を張って、でも、力むことなく、悲壮にならず、自分で作ろうとしているようです。
 長い物には巻かれろとでも言っているかのような、たとえば、大学教授である 「大人」

 映画のあと 濱田麻矢さん (神戸大学・中国現代文学) のレクチャーがありました。何も知らなかった香港と中国の関係や、 2014年 に敗北しながら、今、再び起こっている自治と民主化を求める運動の解説を聞きました。この香港の人々の運動を理解し支持することが、 「民主主義」 を失いつつある、この国に生きているぼくにとって、とても大切なことだと思いました。ついでに、この国のメディアのダメさ加減を、またしても痛感したのでした。​ ​ 映画館でこんな絵葉書をもらいました。
 雨傘は、この運動では催涙弾の直撃を避ける闘いの道具なのですが、カラフルな雨傘が歩いている風景は、どこか、ファンタジックで夢があるところが印象に残りました。
監督 陳梓桓(チャン・ジーウン)​​​​​原題「乱世備忘​​ Yellowing 」​ ​​​​​
2016 年 香港  128 分  ​​2019・07・13・元町映画館no10
追記2019・12.31
2019年 に見た印象深いドキュメンタリーの一つがこれです。 2016年の作品 ですが、2019年の香港、あるいは中国は、予断を許さない事態に突入したまま年を越しつつありますね。香港で、巨大な国家権力が何をしているのか、目が離せない新しい年が始まります。
​​追記2020・07・03
「雨傘運動」 に始まった、 民主化運動 を担った活動家たちが、香港を離れたというニュースが流れてきました。世界は 「国家」 が牙をむき出しにし始めています。ただの徘徊オジさんにはなすすべがありません。 
 目の前のチンケな政治家たちも 「国家」 をまとっていれば大丈夫とたかをくくっているようです。

 まさか、こんな時代がきて、それを目の当たりにするとは、正直、想像していませんでした。まじ、どうしよう、というのが実感です。
追記2023・01・23

​​  「雨傘運動」 は、いつからか 「時代革命」 という呼び名に変わりました。開き直ったかに見える、圧倒的な強権発動で、民主化運動を鎮静化、あるいは弾圧した中央政府は、 コロナ をめぐっては、本土でも、言論統制、弾圧を日常化させた全体主義国家への道を邁進しているようです。
​​ こうした状況に対して、中国ヘイトの格好のネタとして取り扱う傾向がありますが、たとえばNHKの報道内容に嘴を突っ込むような手法で言論コントロールをやっているらしい、われわれの国の現状は、いってしまえば似たり寄ったりなのではないかということを忘れてヘイトを垂れ流すのはいかがなものでしょうね。
 弾圧下の香港で、表現の自由の希求から生まれた、香港映画の一つ 「少年たちの時代革命」 を観ましたが、 「連帯」 への直線的な若者たちの行動に胸を打たれました。 ​​​​


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最終更新日  2023.06.24 10:44:37
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