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「映画ウォッチ」
というサイトにネタバレあらすじが紹介されています。
元町映画館
が 2020・3月
の終わりから一週間限定でやっている ウォン・カーウェイ監督
プチ特集の二本目 「欲望の翼」
を目指して、不要・不急・外出自粛もなんのその、やって来たのは元町四丁目です。
商店街は思いのほか人通りがあって、うれしいような不安なような。まあ、幽霊街よりはこれの方がいいですね。
もっとも、座ってみると、映画館は少々寂しい限りでしたが、なにはともあれ始まりました。
やはり、暗いカウンター式の売店に男が現れて、コーラを買うシーンから始まりました。 「やはり」
と感じたのは一昨日見た 「恋する惑星」
の後味のせいです。
カウンター越しに男と女がいきなり意味ありげなことばを交わします。
「
一分間の友達」
とか、 「君がぼくと夢で逢う」
とか、面白いのですが、さほど現実的とは思えない、こういうセリフも 「恋する惑星」
の後味と重なります。
ここから二人の、いや男の義母を入れると三人、実母を数えると四人の女と、三人の男の話でした。ストーリーを引っ張る、まあ、主役の男 ヨディ(レスリー・チャン)
の「母恋」という設定がイマイチなのです。 ヨディ
が最初に出会った売店の女 スー(マギー・チャン)
とも、二人目の女 ミミ(カリーナ・ラウ)
ともうまくいかない、その上、義母と諍いし、フィリピンで実母を探すというお話を支えているのが「母恋」ということになるのですが、その引っ張り方は、ぼくにはあまり面白いとは思えませんでした。
「一度しか地上に降りない『鳥』」
という、おそらく詩の文句が エディ
によって繰り返し口にされるのですが、 「マザコン野郎」
のそういうセリには、一体どういう意味があるのか、後になって考えると、ちょっとついていけないものを感じてしまうわけです。
なぜ、後になってかというと、実は、この映画での ヨディ
の破滅への経緯は、最初のシーンで、売店のカウンターに突っ伏して寝た スー
という女性
の夢の中のシーンだと思い込んで見ていたからです。
その見方だからといって 「マザコン問題」
は解消されませんし、時折挿入される、ちょっとぼんやりした 「フィリピンの密林」
らしい俯瞰のシーンの意味がわからないのですが、それは、まあ、夢だからと納得しながら、死んだはずの ヨディ
が
最後のシーンで出て来て、よし!と思ったのです。
が、最後のシーンをぼんやり見ていると、そこに登場しているのは、これまで一度も出てこなかった 別の人物(トニーレオン)
だと気づいて、ワッチャー!で映画は終わりました。
さすがのぼくでも、こういう見損じは、なかなかないのですが、じゃあ、この映画は何だったんだといわれると、やっぱり夢の中の出来事じゃないかといいそうなのです。
今回は、眠くはならなかったのですが、映像のムードが、どこか現実離れしている 「夢遊」
の印象で、仕事もしない青年の「マザコン」の末路の破滅だといわれると、 「いや、やっぱり レスリー・チャン
という俳優が最後に演じて、雲散霧消してしまった『夢』そのものでしょ。」
といいたくなるのですが、ヤッパリ見損じ三振でしょうね。
でも、この監督の映画がどこかでかかれば、ヤッパリ見に行きますよ。一本ぐらい 「よし、わかった!」
がないとシャクですからね。
監督 ウォン・カーウァイ
製作 ローバー・タン
製作総指揮 アラン・タン
脚本 ウォン・カーウァイ
撮影 クリストファー・ドイル
美術 ウィリアム・チャン
編集 パトリック・タム
キャスト
レスリー・チャン (ヨディ)
マギー・チャン(スー)
カリーナ・ラウ (ミミ)
トニー・レオン (???)
アンディ・ラウ (タイド)
ジャッキー・チュン(サブ)
1990
年 95
分 香港 原題「阿飛正傳 Days of Being Wild
」
2020・04・02元町映画館no40
追記2022・09・23
最近、この映画を見ました。二度目です。シネ・リーブル神戸が ウォン・カーウァイ監督
の特集と一緒に、プラス1で上映していました。2年前に見たときの、この感想には 「母恋」
とかにこだわって書いていますが、今回は、なんか、そういうことは全く意識できませんでした。
感想はべつに書いておこうと思いますが、問題は、2年前に、こうして見ていることを全く忘れていたことですね。映画のせいなのか、自分のせいなのか、それが、問題ですね。
ここの2年前の感想を読んでいて面白いのは、今回の印象とほとんど重ならないことです。母親とのやり取りも、さほどの違和感はなかったですし、 「1分間」
という最初の決め台詞も、そんなに印象に残らなかった。映画全体が主人公の 「夢」
だとは、もちろん、全く思わなかったし、書いた当人なのですが、どうも、映画の後味が、全く違うようです。で、本人は、今回初めて見ていると思い込んでたんですから、それも不思議。どうなっているのでしょうね。
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