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ケネス・ブラナー「シェイクスピアの庭」シネ・リーブル神戸
4月8日から シネ・リーブル神戸
が休館するという情報を4月6日にネット上で知りました。これは一大事です。今週のライン・アップに、なんとしても、この映画は見たいと二重丸をつけていた作品があります。それが ケネス・ブラナー監督
の 「シェイクスピアの庭」
です。
新コロちゃん蔓延の世相には申し訳ないのですが、不要不急を絵にかいたような歴史物語です。しかし、 ジュディ・デンチ、イアン・マッケラン
という配役の名前を見てかけつけました。
面白いことに不要不急のお仲間が結構いらっしゃいました。さすがシェークスピアというべきなんでしょうか。
火炎が建物を焼きつくし、男が馬に乗って田舎道を旅しています。誰でも知っているシェークスピアの肖像画が映し出され、 「All Is True」
という題名が現れました。
見たのが一ケ月前なので、はっきりしない記憶を頼りに書いていますが、「すべて本当のこと」というタイトルに、ちょっと驚きました。グローブ座が焼けた1613年以後に限らず、シェークスピアは謎が多い人だと思っていました。
ぼくが愛読している ハロルド作石
が描く 「7人のシェークスピア」
というマンガも、そのあたりをうまく利用していると思います。
映画は頂点を極めたシェークスピアの最後の3年間を描いた家庭劇ともいうべきストーリーでした。ぶっちゃけて、いってしまうなら、49歳で引退を宣言したシェークスピアが、幼くして死んでしまった息子を悼んで、田舎の広大な自宅に「庭」を作るという、全体の段取りが「わからない」のですから、そっから先の家族のやり取りは、やはり分かったとは言えないでしょうね。
にもかかわらず、この映画は面白かったのです。
二十年間、ほったらかしにされた文盲の妻の、突然、帰宅した、有名過ぎるほど有名で、才能と自信にあふれていたはずの夫に対する態度とその変化のプロセス。
詩において、恋の告白と見まがうほどの言葉を費やした詩人シェークスピアに対して、主人と奴隷の間の「愛」の不可能を思い知らせて去るサウサンプトン伯爵との一夜。
大雑把に言ってしまえば、この二つのプロットが演じられるシーンにぼくは酔い痴れたということです。
まず、失意のシェークスピアを演じているのが、監督でもある ケネス・ブラナー
です。彼は、実年令が60歳だそうです。シェークスピアはこのとき49歳だったはずですが、余裕で演じているといっていい様子でした。
一方、妻のアン・シェークスピアを演じる ジュディ・デンチ
は007のM16の長官Mを演じ続けて評判をとった人です。ぼくも最後の作品 「スカイ・フォール」
でその姿を見た記憶がありますが、85歳です。帰宅した夫との寝室をめぐる葛藤を演じるには、いやーちょっと・・・と思いきや、長年仕えてきた、老女中というイメージを完全に払拭するのは無理だったかもしれませんが、ついに同室を許した夜に、この二人は・・・??と思わせるに十分な演技でした。すごいものです。
もうひとりは、言わずと知れた イアン・マッケラン
80歳です。彼はシェークスピアの愛人と噂されるサウサンプトン伯爵役です。 マッケラン
自身もゲイを公表している人なのですが、シェークスピアとの同性の愛を、どう演じるのか興味津々でしたが、さすがですね。
眼差し、手つき、そしてセリフの自在なあやつり方。舞台で鍛えぬいた俳優の「これが演技だ」とでもいうべき存在感は、英語のワカラナイ半可通をさえうならせるに十分でした。
メイン・ストリーには、あまり言うことはないのです。 菊池寛
の 「父帰る」
みたいでした。おにーちゃんとかはいないのですが。
監督 ケネス・ブラナー
製作 ケネス・ブラナー テッド・ガリアーノ テイマー・トーマス
製作総指揮 ローラ・バーウィック ベッカ・コバチック ジュディ・ホフランド
マシュー・ジェンキンス
脚本 ベン・エルトン
撮影 ザック・ニコルソン
美術 ジェームズ・メリフィールド
衣装 マイケル・オコナー
編集 ウナ・ニ・ドンガイル
音楽 パトリック・ドイル
キャスト
ケネス・ブラナー (ウィリアム・シェイクスピア)
ジュディ・デンチ Judi Dench
(アン・シェイクスピア)
イアン・マッケラン(サウサンプトン伯爵)
キャスリン・ワイルダー (ジュディス)
リディア・ウィルソン(スザンナ)
2018
101
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」
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