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2020.06.30
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​​門井慶喜「銀河鉄道の父」(講談社)
​​
​​​​​​​​​ 何故だかわかりませんが、 2018年 芥川賞、直木賞 は二作品とも 宮澤賢治がらみ で不思議な感じがしました。 芥川賞 若竹千佐子さん の​ 「おらおらでひとりいぐも」(河出書房新社) でした。 宮沢賢治 の詩の 「ことば」 が、そのまま題名として使われている趣で、まっすぐに、いま生きている女性の姿を描いていました。 ​​​​​​​​​
​​​ で、今回案内するのは、 直木賞 を受賞した 門井慶喜さん 「銀河鉄道の父」(講談社)​ です。​​​​​

​​​​​この作品は、おおざっぱに言えば、 宮沢賢治の父 宮澤政次郎 を視点人物にした 伝記小説 ということになるでしょうか。​​​​
​宮沢賢治​ の生まれた時から死ぬまでに加えて、 ​賢治​ が亡くなって、彼の作品が詩人の 草野心平 高村光太郎 の手によって世の中に認められるところまでが物語られています。​​​
​​​​ 何が起こるかわからない エンターテインメント小説 というよりも 実直な父の語り で描いたところにこの作品の良さがあると思いました。​​
​​  ちょっとした 賢治ファン ならだれでも知っている出来事、起こることはまちがいなくおこりますし、わざとらしい脚色も施されていません。事実の経過は読んでいて勉強になります。そうであったに違いないと思わせるように丁寧に描かれています。​​
 ただ、 父、政次郎 も、 母、イチ も、それから 賢治本人 をはじめ、 弟、清六 妹、トシたち の姿も、当然、その人々をめぐる出来事も、作家 門井慶喜 の手によって描かれているわけですから創作です。

 その創作性とでもいう、作家独特の解釈がどこに姿を現すのか、ぼくは期待しながら読み進めていました。​
​ 実は、 賢治 が、当時、最も過激な 日蓮宗 の宗教団体、 田中智学 「国柱会」 の信者であったことはよく知られています。一方、 父、政次郎 清沢満之(きよさわまんし) 暁烏敏(あけがらすはや) の時代の 浄土真宗 の篤実な信者でしたから、ふたりの間には単なる、父子の葛藤を超えた 「何か」 があったはずです。​​​​
 そのあたりに期待しながら読みましたが、山場は 若竹さん の小説では 「題名」 に使われていた 「永訣の朝」 が描いている 妹、トシ の言葉にありました。​
うまれでくるたて
こんどはこたにわりやのごとばかりで
​くるしまなあよにうまれてくる​
​​​​  トシ のこの有名な言葉を 賢治の創作 だと 政次郎 は言うのです。​​​
 詩人・宮沢賢治はそうまでしてしてもこの文句を書き付けたかった。トシのセリフとして。人類理想の遺言として。(覚悟だな)みとめざるを得なかった。子どものころから石を愛し、長じては「人造宝石を、売りたい。」という野望を抱いた二十九歳の青年は、ここでとうとう、ことばの人造宝石をつくりあげた。賢治は詩人として、いや人間として、遺憾なき自立を果たしたのだ。父親がどう思おうが。妹をどこまで犠牲にしようが。あとはもう、(売れるか)問題はそれだけだった。
​(引用の( )書きが政次郎の心中語)​
​​​​ ​​​​​​​​  政次郎 の中にある 「本当のことば」 賢治 が作った 「人造のことば」 というわけです。 賢治 の作った 「人造のことば」 「詩のことば」 として離陸した瞬間に 父と子の葛藤 は終わりを告げます。作家はそこが書きたかったに違いありません。​​​​​​​​
​​​​​  ​宮沢賢治​ に関心のある方ならさらりと読めるでしょう。加えて、たとえば 「永訣の朝」 を授業で取り上げていらっしゃる、高校とかの若い先生方にとって、格好の参考図書といっていいと思います。 2018/06/03 ​​​​​
追記2019/05/04​
​​​
​​​ 本文中の 清沢満之 という宗教家は、ぼくが学生時代のことだったと思いますが、 司馬遼太郎 の雑誌での紹介と 法然院の住職(?) で、当時、 神戸大学 の哲学の先生だった 橋本峰雄 「日本の名著」 の紹介によって、その名を知った人です。​​​​​​
​​​
 病床の 正岡子規 にこんな言葉を送った人だそうです。​ ​​​​
「号泣せよ、煩悶せよ、困頓せよ、而して死に至らんのみ。」
​​​​​​​​​​​​  ぼくには、その態度と言葉が印象深く、名前を覚えました。著書に触れたことはありません。​
​​​ 
暁烏敏 という人については小説家 石和鷹 「地獄は一定すみかぞかし 小説暁烏敏」(新潮文庫) という作品で知りました。​​​
​​​
石和鷹 という作家は 集英社 「すばる」 という文芸雑誌の編集長だったひとです。晩年の 石川淳 「狂 風記」 以降の長編傑作群を連載したのがこの雑誌ですが、編集者として寄り添ったのはこの人だったそうです。​​​
 のちに小説を書きましたが、確か 65歳 くらいで亡くなったと思います。で、遺作になったのがこの作品です。作家の死の原因となった癌との闘病の中で書かれた作品で、強烈な読後感は間違いなく傑作ですが、広く知られている作品とは言えないですね。​​​​​​​​​​​
​​​
​​ 追記2020・06・28
​​​​​ 若竹さん の​ 「おらおらでひとりえぐも」 ​の感想はここをクリックしてください。

追記2023・05・27
 案内した作品が映画化されたので見ました。 役所広司さん 政次郎 を演じて、まあ、ほぼ、 一人芝居 の趣でしたが、楽しく見ました。​で、ついでに古い記事を修繕しました。​​​​

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最終更新日  2023.05.29 00:40:51
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