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穂村 後半の引用は、 高橋源一郎 の部分だけになりましたが、まあ、そういう事です。ぼく自身、学生時代に 宮沢賢治 を読み始めたわけですが、世間一般の評判のよさについていけないにも関わらず、やめられない作家というか、詩人なわけで、皆さん褒めてばかりいて、悪口については黙っていらっしゃるのですが、 高橋源一郎 と 穂村弘 の言っていることって、どこか、ホッとしませんか?
自分の体内に宇宙があるという感じなんで、それが本物であろうということが言語を通じて生々しく伝わってくると、なぜその人の中にだけそんな混沌として、しかも整合性があるのか、ともいえますね。あの言葉の持っていき方というのは、勝手にこんな言葉を使うなよといいたくなるようなんだけど、本人の中ではすごい整合性があるわけでしょう。
高橋
説得させられちゃうもんね。
穂村
それでみんなを狂わせてしまうというか、だってあんなふうに自給自足で何かエネルギーが出せたら、表現者としてはすごくいいですものね。ばかみたいな「雨ニモマケズ」とか書いても、なんだか格好いい、なんだか彼なら格好いいみたいな。
高橋
何書いても全部オーケーなんですね。日本文学内の唯一の自給自足作家(笑)。
もし、今宮沢賢治に相当する存在はと考えると吉増剛造ぐらいしか思いつかないけど、賢治のポピュラリティはないですものね。
(中略)
読めば読むほど「理解」へ近づいていくことができる。言葉を解読していくことでその作家の謎に迫れる。しかしそういうやり方ではどうしてもわからないという人が必ず出てくる。単に頭が変だからわからない人もいるんだけれど(笑)、宮沢賢治となると、どこから来て、どこから何を持ってきたのかよくわからない。つまり、エンジンもよくわからないんだけど、その燃料をどこから持ってきたのかもわからない。それは非常に不気味なんですね。
(中略)
宮沢賢治っていうのは日本文学史上のブラックホールみたいな作家、というか詩人で、この人のことをちゃんと言っておかないと日本語や日本文学についてきちんとわかったとは絶対いえないような気がするんです。
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