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「帰りたい」
ほんとうに まいにちおもう かえりたい
「心の声」
窓に 鉄格子がなく
扉の内側にも ノブがある
生活がしたい
刑務所の監房の扉の内側にはドアノブがありません。自分で扉を開けるということが一切ないからです。 「早く出たい」 は、受刑者に共通する切実な思いです。でも、出所間近になると、外でうまくやっていけるのかどうか、たいがいの子が、不安に思わずにいられません。 と 編者 。
「人間」
人間という
生き物が
一番悲しい
生き物です
「刑務所はいいところだ」 育児放棄され、電気も止められた真っ暗に家に一人取り残され、コンビニの廃棄弁当を盗んで食いつないでいた 少年 。ほとんどの 少年 が早く外に出たいと言い共感されないが、本人は
刑務所は いいところだ
屋根のあるところで 眠れる
三度三度 ごはんが食べられる
お風呂にまで 入れてもらえる
刑務所は なんて いいところなんだろう
「みんなにいろいろ言ってもらえてうれしい。」 という。本当に誰からもかまってもらえない人生だったのだろう。
「いろんな感じ方や意見があるんだなあって思って、勉強になりました」
彼らはみな、加害者になる前に、被害者であったような子たちなんです。 と。
極度の貧困のなか、親に育児放棄や虐待されてきた子。
発達障害を抱えているために、学校でひどいいじめを受けてきた子。
きびしすぎる親から、拷問のようなしつけをされてきた子。
親の過度の期待を一身に受けて、がんばりすぎて心が壊れてしまった子。
心に深い傷を持たない子は、一人もいません。
その傷を癒せなかった子たちが、事件を起こして、ここに来ているんです。
ほんとうは、みんなやさしい、傷つきやすい心を持った子たちなんです。
「時流」そんな暮らしをしている子どもたちが、今の日本にいるのだと知り、胸が痛みました。日本にはストリートチルドレンはいない、のではなく、見えにくいだけなのかもしれません。
サンタさんはいない より
おとうさんはいない を早く覚えた
いつ帰っても だれもいない家には
知らぬままであるべきことが 散らかっていた
ありがとう より
ごめんなさい を多く使った
求められているものを 持っていなかった
母だから こんなぼくでも 許してもらえる
愛してもらえる とは限らない
自分の命を背負うには まだ若すぎた
孤独を嫌う者で 群れをなし
寝床を探して 恥さらし
腹を空かして 見境をなくした
わたしは あの日から大人になった
いまは 家族と呼べる人がいる
わたしは どんなときでも わたしでしかない
いまのわたしを 必要としてくれる人がいる
だから わたしは どこでも幸せだ
いま 過ちを犯しても 待ってくれている人がいるから
あの日から 遠くなればなるほど
おかえりなさい が聞きたくて
*編者注
「母は芸妓でした。なにをしても、怒られるばっかりで、ぼくはいつもいつも謝っていました。家族って思えなかった。でも、いまは家族と呼べる人がいます」
結婚して、家族を持ったのかな、と思ったら、違いました。母子家庭の子がビルの屋上や空き地に集まり、コンビニで盗んできたお弁当を分け合って暮らしていたそうです。「そのときの仲間が、ぼくの本当の家族です」と彼は胸を張りました。「別に、母子庭だから集まったわけじゃないんです。ほんとうに偶然、そういう子が友だちだっただけなんです」彼はあえてそう強調しますが、偶然であるはずがありません。
「犬」 「犬に告げる 生ある限り 生きろ そして わたしと 共にあれ」 と書くその力を持ち続けていてと願っています。
物心ついたころから 犬を飼っていた
その子犬はまっ黒で 病的に痩せていた
わたしには どうすることもできないのに
犬は わたしに向かって唸りつづける
まるで わたしが憎い とでもいうように
だから わたしは犬を隠すことにした
やがて犬は 狂暴かつ狡猾に育ち
わたしに唸り散らすのは やめてくれたが
ろくなことをしなかった
何度も 町に捨てにいったが
犬は何度でも 帰ってきてしまう
わたしは 頭を抱えこんで 唸った
犬は 能力以上のモノを欲するようになる
そのために どんな汚い世界にでも踏み込んだ
でも 犬がほんとうに求めているモノは
手に入らないことを わたしは知っている
犬は その生き方を選んだのにも関わらず
必死になにかに 繋がろうとした
いま わたしは犬に告げる
生ある限り 生きろ
そして わたしと共にあれ
愛することができるか そうでないのか
確かに その違いで 世界は異なるだろう
追記
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