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赤ちゃん こんな目次で、お母さんのおなか中に新しい命として宿ってから、出産を経て、やがて学校に通い始めるまでの、その時その時の子どもの姿が詠まれている短歌が集められて、一首一首感想が記されているという短歌のアンソロジーです。
育てる
家族
子どもの世界
子どもとの日々
「 赤ちゃん」 なんだか引用の歌がふえすぎて大変なことになってしまいましたが、何はともあれ「いいな」とぼくが思った歌です。 太字 が 「章」 の名前と 見出し です。 見出し ごとに、だいたい引用の三倍ほどの歌が載っています。
授かる
わが体を内よりノックするひとよ白い光は梅の花だよ
駒田晶子
分娩の話をすれば箸宙に浮かせて夫は少し怯える
前田康子
生まれる
しんしんとひとすぢ続く蝉のこゑ産みたる後の薄明に聴こゆ
河野裕子
親になること
わたくしは子を生みて良き力得て空響かせて布団を叩く
早川志織
「育てる」
寝かせる
遊びたい寝るのは嫌と子は泣けりこんなにわれは眠りたいのに
吉川宏志
食べさせる
ご飯、パン、魚、挽肉、豆、南瓜,豆腐ときどき言葉もこぼす
駒田晶子
をさな子の指いそがしく働きてぶだうパンよりぶだうとり出す
西村美佐子
抱く
子がわれかわれが子なのかわからぬまで子を抱き湯に入り子を抱き眠る
河野裕子
家族
たったこれだけの家族であるよ子を二人あひだにおきて山道のぼる
河野裕子
「子どもの世界」
おもちゃ
プレゼントの洋服よりも包装の紐が好き好き裸で遊ぶ子
小林さやか
遊び
お母さんより猫になりたい子の増えて鳴き声ばかりの不思議なあまごと
山下れいこ
空想
猫を生んだことがあるかと問へる子に驚くわれは否と言へざり
西村美佐子
笑い
りす、すずめ、めだか、かい、いか、かかし、しか、かぼちゃでふいに子が笑いだす
中津昌子
幼ごころの不思議
枝豆は自分で剝くから美味いのに 子供が皿に剥きてくれたり
吉川宏志
危ないことしていないかと子を見れば危ないことしかしておらぬなり
俵万智
お菓子
高熱のこどもとろんと起き上がりアイスクリームが食べたいと言う
東直子
うそ
今日もまた嘘言ひし子よ肩抱きて忘れかけたる子守唄(ララバイ)うたふ
古谷智子
とっぷりと吾子のつきたる大嘘の世界に入りて我も遊ばん
永守恭子
けんか
食卓に諍いていし姉弟にさざなみの如く笑みが伝わる
花山多佳子
一人でいること
白い紙こまかにこまかに刻みゐるこどもはうしろに立つものを知らず
葛原妙子
「子どもとの日々」
ことば
ことなよりほかに与えるもののなきわれは子の指すものの名教え
鶴田伊津
それぞれの歩み
自閉ちゃんダウンちゃんというふ呼び方に馴染めず輪から外れる、独り
東野登美子
おふろ
湯上りの湯のにほひする子のはだか雪ふる夜の部屋を行き来す
小島ゆかり
病気
熱のある児と幾たびも合わせたるおでこ、ほっぺた、おでこ、なつかし
栗木京子
男の子・女の子
「おれ」という言葉覚えて来たる子の「オレ」とふ響きすこしはにかむ
棗隆
時間
昨日でも五分前でも過去のこと「昔はねえ」とたっちゃんの言う
加藤扶紗子
アイスクリーム舐めて眺めてまた舐める稚き子らに時間は長し
塚本諄
生と死
眠る子を台所から見に戻る死んでいるかも知れぬと思い
川本千栄
成長
洋服をひとり脱ぎゐる幼児がわが手助けを激しく拒む
高安國世
振り向かぬ子を見送れり振り向いたときに振る手を用意しながら
俵万智
子育てのとき
身をかがめもの言うことももはや無し子はすんすんと水辺の真菰
河野裕子
あとがき
地球はもうダメだと子ども言い放ち公文の算数解きにかかりぬ
松村由利子
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