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「片倉分隊の吉敷」の4作品が収録されていました。
「Dデイ」
「田丸と光子」
「ペリリュー島のマリヤ」
昭和19年10月、本編 「ペリリュー 楽園のゲルニカ」 では第2巻14話頃のお話です。 今、塹壕の隅に座り込んで、親友 田丸君 に会いたがっている 吉敷君 が、どんな任務についていたかについては、本編をお読みください。
西浜の戦いで、所属していた隊が壊滅した 田丸と吉敷 は、天山の壕で 島田 の指揮下に入りました。米軍の掃討部隊と戦うため、目下の課題は不足している水や食料、武器弾薬の調達。
田丸 が功績係の仕事をしている一方、 吉敷 は 島田 の命令で、 片倉分隊 と行動し、今回のおはなしのように、より危険度の高い任務についていました。
田丸
田丸と話そう
なるべく
ここと関係ねー
どうでもいいことを
作者は 「 より危険度の高い任務
」
と言っていますが、確かに危険な任務でした。しかし、戦場がどうやってただの人間から 「人間」
であることを奪っていくのか、凄惨で酷薄な体験を強いていくのか、その体験の中で、ただの人間たちは、どうやって生きのびていくのか。
「Dデイ」
の アメリカ兵
にも、 「ペリリュー島のマリア」
の マリア
にも、生きて帰ってきた 田丸さん
にも、そして、ここで、田丸君を恋しがっていて、でも、結局、戦場で死んでしまった 吉敷君
にも、共有されたはずの悲惨を、そっちからも、あっちからも書かずにいられないというのが、 武田一義
に、このスピンオフ作品を書かせている動機ではないかと思いました。
戦場にいる敵も味方も、戦地の島の老人も子供も、兵士の家族や恋人も、あらゆる人たちを巻き込んでいく
戦争という多面性の怪物
の姿を子どもような表情の登場人物たちで、どこまでも書き続けてほしいですね。新たに書き始めた 武田一義
に 拍手!
でした。
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