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どんな水平線を見せてくれるのかな? 何となくですが、そんな期待を持って 元町映画館 にやって来ました。
福島県のとある港町。
震災で妻を失った井口真吾(ピエール瀧)は、故人で散骨業を営みながら一人娘と暮らす日々。
チラシ
にそうあります。ボクは見る前に チラシ
とか読みませんから、 主人公
と、 娘が一人
という、その家族の事情は知らずに見ていましたが、見ていればわかります。
主人公
が、なぜ、 福島の海辺の町
で 散骨
を仕事にしているのかという問いが、見ているボクの中に湧きあがってきましたが、最後のシーンで、納得がいきました。
彼は、きっと、生きていることがつらいのです。
明日、海に撒きに行く骨を砕く 井口真吾
の後ろ姿には説得力がありました。 ピエール瀧
という人は、いい役者だなと、素直に思いました。
拍手!
チラシの裏
にあるこのシーンです。
しかし、まあ、なんというか、このシーンを思い浮かべながら思うのですが、主人公の存在の背景として、いかにも現代的な、ひょっとしたら陳腐でさえある社会事象を次から次へと、なぜ描いたのでしょうかね。
論旨そのものが インチキなジャーナリスト
の、カメラを振り回す、まあ、あり得ない取材ぶりや、風評被害を叫ぶ 漁協の青年の姿
には、
この後ろ姿に拮抗する内面性が決定的に欠けているのではないでしょうか。
一人娘
の描きかた、演じさせ方もしかりですね。
「海を汚す」
というセリフが出てくるのですが、今、陸地でなくなる人の遺骨を海に撒くという行為の、
描かれている
主人公の生きづらさを考えれば浮かんでくる
深さ!
まあ、 散骨 という弔いかたの 歴史性や社会性 と一般化まではせずとも、 福島の海 でそれをするということについてどのあたりまでを射程に入れた作品なのか、最初に、 監督 のことを 「若い」 といいましたが、老人の目には、そのあたりの
浅さ
が気に掛かるのですね。せっかく 「水平線」
なんていう、時間的にも、空間的にも、 遠く、広いイメージ
の、とてもいい題名なのに、ちょっともったいない気がしました(笑)。期待した 水平線のシーン
には出逢えなくて、ザンネンでしたよ(笑)。
最後になりましたが、 SCC
の 第19回の例会
でした。いや、ホント、よかったねえと素直にいえる作品に、ほんとに当たりませんね。
監督 小林且弥
脚本 齋藤孝
撮影 渡邉寿岳
録音 加唐学 小山海太
音楽 海田庄吾
キャスト
ピエール瀧(井口真吾 散骨業者)
栗林藍希(奈生 娘)
足立智充
内田慈
押田岳
円井わん
高橋良輔
清水優
遊屋慎太郎
大方斐紗子
大堀こういち
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