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2024.04.11
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​和田誠「わたくし大画報」(ポプラ社)​
市民図書館 新刊 の棚で見つけました。
​​ はて、なんで? ​​
​​  ​​​​​著者の 和田誠 は数年前に亡くなった方のはずです。で、手に取って奥付を見て了解しました。 1982年 だそうですから、40年前に 講談社 から出版された本の ポプラ社 による 復刊 でした。​​​​​
​​​​​​​​​​ コミカルで、ほのぼのしたイラストの 「のみのピコ」 とか 「あな」 とかの 絵本 や、 本の装丁 挿絵 イラストレイター として、確か、1970年代半ばに人気者になった彼が、 「お楽しみはこれからだ」(文芸春秋・国書刊行会) をはじめとする映画とかのイラスト付きエッセイで大活躍しはじめたころのエッセイですね。 「麻雀放浪記」 「怪盗ルビィ」 映画監督 になるちょっと前ですね。​​​​​​​​​​
​​​​​ で、借り出してきて、読み始めてとまりません。時間的には、40年以上も古い話で、いきなり、 いずみたく とか 永六輔 とか 中尾ミエ とか出てきても、今の若い人には
​「???」​
なのかもしれませんが、こちとらは、まあ、その時代の人間なわけで、懐かしさもあり、 和田誠 の物言いの楽しさもありで、速読(笑)でしたが、巻頭エッセイがこんな感じです。​​​​​
「猫について」  一九七四年十二月
 わが家に猫が来た。
 妻はこの猫の種類をアビタシオンだと言う。高級マンションのような名前の猫だなあと思ったが、よく聞いてみたらアビシニアンというのであった。そう言えば結婚した時に、いずみたく氏から蘭を贈られたのでありますが、この蘭の名をシンポジウムだと言うのですね。蘭の品種について討論でもするみたい。これも人に聞いたらシンビジウムというのだそうである。
 さて、この猫だが、実は片親がアビシニアンで、どちらかが雑種なのだそうだ。ぼくはその方を好みます。名門は肌に合わない。ところでクレオパトラが飼っていた猫がアビシニアンだったそうで、アビシニアというのはエジプトの地名なのだという知識を妻はどこから仕入れて来た。妻はもうクレオパトラになった気でいるようだ。
七月十四日生まれだから誕生日を憶えやすい。しかし猫の誕生日を憶えていても役に立つかどうか。それはそうと名前であるが、妻は「桃代」と名付けたのであります。何故か妻は幼い頃から猫に対して「桃代」というイメージがあったのだそうで、もっと正確には「桃代のシン子さん」というのが適当なのだと言う。
「だって一重瞼の人はシン子さんていう感じだし、ネコは一重でしょ。どうしても洋子さんて感じじゃないもん」
と言うのだが、このへんを理解できる人は少ないのではないかと思うのですけれども。(P17~P19)
 ​​​​​​​​巻頭のエッセイの出だし半分の引用です。後半は 桃代さん との暮らしですが、妻と呼ばれているのは平野レミさんですね。

 上の左のページが 桃代さん です。
​​桃代はこんなふうに上むいて眠る​​
​  とキャプションがついています。まあ、イラストがサイコーですね(笑)。
 一九七四年の一二月から一九七六年九月までは 「家庭画報」 と題して、一九七九年一〇月から一九八一年九月までは 「渋谷画報」 と題して、隔月発売だったらしい 「別冊小説現代」(講談社) 、後に 「小説現代」(講談社) に隔月連載されていたエッセイの単行本化です。​​​​​​​​

​​​​ 最後の記事は 一九八一年九月号 に掲載された分で、そこに 「向田さん」 という記事が載っていますが、まだ五一歳だった 向田邦子さん が飛行機事故で亡くなったのは、この年の八月でしたね。 和田誠さん も、今では、もう、この世にはいらっしゃいません。​​​​
​​ 楽しく読みながら、色んな人が亡くなっていくのを、まだ、若かった自分自身がどう受け止めていたのか、やはり考えてしまう読書でした。 「同時代を生きる」 とかいういい方がありますが、 和田誠さん が、あれこれおもしろく書かれている、この時代を生きていたんですね。
 新刊ですから、図書館で借りられます。なつかしい方はぜひどうぞ。イロイロ、思い出せますよ(笑)。​

​​​​​​​​​​​​

​​ 追記
 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で 楽天ID をお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)​​​

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最終更新日  2024.05.25 22:44:44
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