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「年齢なんてものは生きていれば誰にでもやってくるものだ。」 といってしまえばそれまでのことなのですが、そうはいっても、ただでさえ宵っ張りで、夜中の2時とか3時とかに寝床に入ってみると、誰彼なしに、とはいいながら親とか親族とかは、何故か出てこないのですが、ここ二十年ほどの間に亡くなった知人の方々の顔が浮かんできて、ボンヤリ、夢のような記憶のようなものの相手をしていると、カーテンの外が白んできたりしていることに気付いたりするわけで、そのあたりで、ようやく寝付くようで、結局、朝寝して9時とか10時とかに起きだす 6月 でした。
問題は、老いと死ですね。 今日見たのは アンソニー・ホプキンス の新作 「ONE LIFE」 でした。監督は ジェームズ・ホーズ という人で、まあ、見る人が見れば
「すでに、シンドラーのリストがあるじゃないか!」 ということかもしれませんが、 イギリス版シンドラー 、 ニコラス・ウィントン という人の 老い を演じた 86歳 の アンソニー・ホプキンス に釘付けでした。
「あなたのような、普通の人が、なぜ、こんなことをしようと思いついたのか?」 と尋ねるシーンで、無鉄砲で、いかにも世間知らずな 青年 が答えた言葉が応えました。
「ぼくは、普通の人間だからです。」 で、思いつきのように飛び出して行った息子からの旅先 のチェコからの電話で、 子供たちのビザの発給 の手続きを依頼された 母親 が、彼女を門前払いする、移民局の役人に対して
「私は、先の大戦の時にドイツからイギリスへ逃れてきた人間です。子どもはイギリスで育てました。その子供が、今、チェコで困っている子供をイギリスに匿いたいと活動しています。これこそイギリスが誇るべきことではありませんか?この子供たちのイギリス入国のビザ発給に協力してください。」 という、見事な論陣を張り、説得に成功するのですが、
この母ありて、この子あり! の感動もさることながら、20世紀初頭のヨーロッパの「国境」の意味というのでしょうか、ナショナリズムとインターナショナルのせめぎ合いの、まあ、正か負かの判断はともかくも、その一面を如実に見せられた気がして
「これがヨーロッパか?!」 と改めて思い知る気がしました。
「普通に生きてきてよかったですね!」 拍手!、拍手! というべき過去からのプレゼントに囲まれるというハッピィー・エンディングでしたが、まあ、ただの普通ではないところが、ただのワン・ライフではないという物語なのでした。
人として「普通」であること の意味を、正面から突き付ける作品で、胸に残りました。何番煎じでもいいじゃないですか、やっぱり、何度でも考え続けないとね、まあ、そういう気持ちになりましたね(笑)。
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