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第4話「望まぬ縁談」

林輝之(リンキシ)の奏状のせいで朝臣から非難を浴びることになった花琉璃(カリィウリ)。
昌隆(ショウリュウ)帝も県主の行いを知って眉をひそめたが、実はまだ話は終わっていなかった。
当初は食事を捨てられ県主に腹を立てた林輝之だったが、散乱した肉を突いていた鶏が死んでしまったという。
実は琉璃は罪人の食事にしては豪華過ぎると不審に思い、わざと捨てたのだった。
林輝之は命の恩人である県主に心から感謝し、傲慢な振る舞いも刺客の注意を引かぬためだったと気づく。
…花県主は正義感の強い聡明な方です…

田(デン)尚書の目論見は失敗に終わった。

文官の長である杜(ト)太師も賛同し、このままでは国庫が逼迫してしまうと諫言した。
琉璃は政については口を出せないと断ると、実は父から2つの贈り物があると上奏する。
「朝堂に入らない大きさのため、皆様には外までご足労いただけますか?」
高みの見物を決め込んでいた皇太子・姫元溯(キゲンソ)、果たして琉璃はこの難局をどう切り抜けるつもりだろうか。

琉璃は朝堂の前に青崖(セイガイ)鎮の模型を展示した。
「これは父が演習で使用した辺境の模型です、どなたか戦術のご教示を…」
姫元灝は名乗りを上げたものの手旗信号も知らず、琉璃にあっさり負けてしまう。
すると悔し紛れにどちらにしても花家が兵権を握っているため出る幕はないと嫌味を言い、太平の世に武官など役に立たないと口を滑らせた。
これに武官たちが猛反発、文官と大喧嘩になってしまう。
「やめよ!誰も動くな!」
元溯が一喝すると、朝臣たちは皇帝がお出ましになったと気づいて静かになった。





すると箱の中から戦で着用した血まみれの鎧が出てくる。
「皆さんは花家がいる辺境だけを見ている、血を流す兵士たちの姿は見えていません
 兵士たちは皆、親や子のため、縉(シン)国のために戦ったのです」
その時、元溯は興奮した琉璃が設定を忘れていることに気づき、駆け寄った。
「そなたの身体が心配でな…」


琉璃は戦の厳しさと苦労を語って文官たちを黙らせた。
すると皇帝は県主が18歳だと知り、縁談をまとめることにする。
焦った琉璃は病弱なため重荷になると遠慮したが、皇帝は最も優秀な相手を婿に選ぶと言って散会した。
「賢妃(ケンヒ)を呼んでまいれ」

賢妃は息子の縁談が姫元溯の差し金だと疑った。
もし文官が牽制する花家の娘を娶れば息子まで巻き込まれることは必至、そこで元灝はまだ子供だと難色を示す。
すると思いがけず皇太子が母親の気持ちを汲んで縁談は白紙に戻すよう進言した。
皇帝は再考すると決めて賢妃を下げたが、信頼できる臣下は花応庭(カオウテイ)だけしかおらず、深いため息を漏らす。
一方、琉璃も花家を守るため、まだ婚姻など考える余裕はなかった。
しかも相手が全く好みではない英王とあっては断固拒否しなくてはならない。
すると皇宮からの帰り道、鳶尾(エンビ)と露店めぐりをしているところへ英王が馬を駆けて来た。
…ちょうど良い機会だわ…
琉璃は英王の馬が通り過ぎると同時に卒倒したふりをした。

姫元溯は父皇になぜ花琉璃を皇兄に娶らせたいのか尋ねた。
「そちが娶るとでも?ふっ…元灝ならきっと花琉璃を守れる」
そこへ側仕えの三財(サンザイ)が慌てて駆けつけた。
実は花県主が英王の馬に驚いて気絶したという。
そこで元溯は辺境では名医もおらず、この機会に花県主を侍医に診せてはどうかと上奏した。

琉璃は鳶尾に英王の今日の対応を町へ広めるよう命じた。
早速、鳶尾は噂好きな女将や絵師に風聴、瞬く間に尾ひれが付いて英王の評判はがた落ちする。
「英王殿下は陛下が決めた婚姻が気に入らず、愛馬で県主にぶつかったらしい」
「県主はか弱いから8丈も吹っ飛ばされた」
すると皇太子が突然、侍医を連れて花府に乗り込んできた。
庭を修繕していた宋光(ソウコウ)は慌てて人夫を下げたが、元溯は刺客がはまった陣だと気づく。
…なかなか興味深い…

琉璃は慌てて寝所に潜り込み、帷を下ろした。
これで琉璃の仮病を暴けると思っていた元溯だったが、意外にも侍医は県主の脈が不安定で貧血気味だという。
実は琉璃は自分で経絡のつぼを押し、気血の流れを止めていた。
すると元溯は開いたままの兵法書に気づき、琉璃の問題は身体ではなく心だと指摘する。
「皇兄との婚姻が嫌で病を装っているのだろう?」
しかし琉璃は英王を褒め、勅命が下されれば従うしかないと言った。
「ただ…回復するまで時が必要なだけです」
「ならゆっくり休むが良い…では」
「お待ちください」
元溯は琉璃に引き止められ内心、嬉しかったが、琉璃が止めたのは侍医だった。
「うちの宋家職は以前、戦場で重傷を負いました、診ていただけますか?
 太子殿下はお引き止め致しません、これといったおもてなしもできませんので…」
琉璃に冷たくあしらわれた元溯は憤慨、皇宮で最も苦い薬を差し入れるよう命じた。
「飲み干すまで見届けよ!」



琉璃が恐ろしく苦い薬を一気に飲み干した頃、元溯は裴済懐(ハイセイカイ)と酒楼で合流していた。
済懐の報告では生け捕りになった刺客2人は縉国人だとごまかそうとしたが、鎌をかけるとあきらかに敵国人だと分かったという。
「太子殿下をどう思うか聞いてやりましたよ~
 そうしたら勤勉で美徳と才能があり、手本にしたいと…敵国人と丸分かりです
 自国の者なら太子殿下が…(はっ!)」
その時、講談が始まった。
英王が将来の伴侶に酷い仕打ちをしたという。
英王は侍衛の制止を振り切り、病弱な女子を気絶させた。
しかも腹立たしいことに責任を取りもせず、未来の妃に謝罪までさせたという。
英王は医者も呼ばず、平然と去って行ったとか。
すると元溯は済懐に命じ、講談師に銭を渡して続きを創作させるよう命じた。

賢妃は息子を中傷する噂が広まっていると知り、心を痛めた。
しかし当の息子は珍しく皇太子ではなく自分が話題になったと喜んでいる。
賢妃は花県主との縁談には裏があると警告したが、元灝は父皇が花県主には最も優秀な男が相応しいと言ったことから、相手は自分しかいないと自信を見せた。
「花県主は私の気を引きたいだけでしょう、母妃大人、考え過ぎですよ」

つづく


( ゚ェ゚)私はネチッこい男よりポジティブな方がいいけどw





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最終更新日  2024.02.28 15:23:41
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