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花朝秋月夜(カチョウシュウゲツノヨ) Love Behind the Melody第4話「右教坊と左教坊」右教坊(ウキョウボウ)の副使・陸景年(ルージンニエン)は李颯颯(リーサーサー)の琵琶(ピパ)を聞いたあの日から、李茹娘(リールーニャン)を陥れようと手を回していた。琵琶泥棒からすでに茹娘の情報をつかんでいた景年は夫の懐事情も知っていたのだろう。颯颯が夫の悪事を訴えた時に手助けしたのは、茹娘に負債だらけの家を継がせて右教坊に入らざるを得なくしたのだ。「私を従わせるためだったのね?!」「…李姑娘は賢い、見込んだ通りだ、ただ一つだけ違うことがある 私は従わせようと思ったことはない、君の才能が惜しいだけだ」しかし借金を返せないのは紛れもない事実、颯颯は仕方なく雇用契約書に署名するしかない。その時、突然、左教坊(サキョウボウ)の副使・蘇宗辰(スーゾンチェン)が現れた。李茹娘の琵琶の腕前を噂で耳にした蘇宗辰は左教坊に来てくれるなら借金の肩代わりはもちろん、給金は右教坊の2倍出すという。「お茶を準備します、ゆっくり話し合いましょうか」蘇宗辰は貧しい右教坊が人助けかと嫌味を言った。そこで陸景年は確かに蘇宗辰を見習って楽師から賂をもらうべきかとやり返す。「李姑娘を助けるのではなく本当は陛下のためでは?」音楽好きの皇帝は琵琶を愛していた。蘇宗辰は李茹娘を利用して歓心を買い、内教坊(ナイキョウボウ)に引き抜いてもらおうと企んでいるのだろう。「お互い様であろう?高潔ぶるな」お茶を運んできた颯颯は回廊で牽制し合う2人の様子をうかがっていた。…知り合いだったのね、しかも仲が悪い、どちらも欲まみれじゃないの…そこで颯颯は条件の良い左教坊は捨て難いが、陸景年には助けてもらった恩があり、決めかねていると言った。「だから…両教坊で競ってみない?より優れている教坊へ行くわ」実は颯颯は茹娘の想い人が楽師だと目星をつけ、教坊にいる楽師たちの中から探し出そうと考えていた。陸景年は茹娘が何を競わせるのか考え込んでいた。すると親友の宇師傑(ユーシージエ)がやって来る。師傑は楽師の欣児(シンR)に一目惚れしたと明かし、いくら学友で親友でも手を出したら容赦しないと釘を刺した。「考えすぎだよ」「良かった!じゃあどうやって落としたらいい?!」「私の場合は向こうから寄ってくるので分からない」実は欣児は親が役人だが裕福ではなく、そのせいか銭と食べ物への執着が強かった。そこで両方を与えてやれば自分にも機会があると考え、知味(チミ)楼に現れた欣児に声をかける。「美食図鑑を書いているが、都には店が多く1人では食べ尽くせない、一緒に回ってくれないか?」「ダメよ、教坊があるの」「給金の3倍出す!」颯颯は両教坊を見学した。しかし優劣を決められず、追試をしたいという。「私と合奏してもらう、私に合わせられたら勝ちよ 他の楽師を呼んでもいい、ただし条件がひとつ、合奏するのは男子の楽師のみ」こうして右教坊と左教坊の腕比べが始まった。颯颯はその速さから極めて合奏が難しいとされる″掠驚鴻(リャクキョウコウ)″を選んだ。両教坊の楽師たちは代わる代わる合奏に挑戦するも、茹娘の見事な演奏についていける者はいない。そして満を持して両副使が登場した。2人は必死に茹娘に食らいついていたが、陸景年の琴の弦が切れてしまう。これで勝負はついた。「決めたわ」初めて陸景年をやり込めた蘇宗辰は大喜び、盛大に宴を開いて李茹娘を迎えることにした。一方、李茹娘で起死回生を狙っていた陸景年はすっかり意気消沈、練習にも身が入らなくなってしまう。そこで楽師の檀渓(タンシー)は自分の名前で李茹娘と陸景年を西の波止場へ呼び出し、話し合わせることにした。颯颯は陸景年が檀渓を使って自分を呼び出したと誤解した。「私を責めに来たの?皆の前であなたを拒み、評判を落としたから…」「まさか、君という人材を失ったことに比べたら何でもない」景年は先に帰ることにした。しかし急に横道から飛び出して来た男とぶつかってしまう。「怪我はないか?」景年は倒れた男に手を貸そうと屈み込んだが、その時、颯颯は景年の首にある傷を見つけた。…傷跡が?!普段は隠しているのね、意中の相手はやっぱり…左教坊では李茹娘を迎える宴が始まった。一方、陸景年は琵琶の首席を諦め、欣児の月琴を主体にすると決める。楽師たちに広がる動揺、欣児も首席などできないと辞退した。その時、李茹娘の声が聞こえる。「琵琶に取って代われる楽器はないわ」颯颯は李茹娘として右教坊へ参加すると決めた。しかし陸景年は茹娘の心変わりに何か裏があると疑う。「私が右教坊の何に惹かれたか分からない?昨日の敵も明日は夫婦かも…」颯颯は拒むなら去るまでだと帰ることにしたが、景年はどうしても茹娘の技量が必要だった。「右教坊は李姑娘を歓迎する」それにしても茹娘は何を企んでいるのか?陸景年は急に色気を出して迫って来た茹娘に身震いしていた。つづく( ゚ェ゚)檀渓って何者かしら?秘密があるみたいだけど…
2024.03.12
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第13話「愛する者を守る術」姫元溯(キゲンソ)が目を覚ますと、花琉璃(カリィウリ)が夕食を準備して待っていた。一睡もせず自分を探し回ってくれた皇太子を労う琉璃。元溯は琉璃の優しさに触れ、結局、何も聞き出せずに花府をあとにした。鳶尾(エンビ)は小八(ショウハチ)から琉璃と皇太子の感動の再会を聞いていた。「太子殿下が駆け寄って小姐を抱きしめたとか?キィャアー」琉璃は気恥ずかしくなり、恐らく自分に何かあれば父に報復されると焦ったのだろうと誤魔化した。「それより賀遠亭(ガエンテイ)に会ったの」「えーっ?!なぜ都の近くに金珀(キンハク)国の二皇子が?!」「以前、私に騙されたから恨みがあるはずよ、警戒しなくちゃ」鳶尾は皇太子に報告しないのか聞いたが、琉璃はまだ全面的に皇太子を信頼したわけではないという。雲寒(ユンハン)は結局、主の命令に従い、皇太子の間者を始末した。一方、姫元溯は密かに裴済懐(ハイセイカイ)と接触、花県主がさらわれ、その間に都に配した間者が排除されてしまったと教える。裴済懐は雲寒を疑ったが、元溯は信頼に足る者だと確信しているからこそ生涯、誠意を持って接すると言った。姫元溯は琉璃を探すためやむなく黒甲軍を動かし、朝廷に親衛隊の存在が露見した。文官たちはその兵力に驚いて皇帝に調査を上奏したが、昌隆(ショウリュウ)帝は咄嗟に自分が私兵を持たせたと嘘をついて皇太子をかばう。「この件を二度と蒸し返すな」皇帝は散会後に皇太子を呼んで叱った。しかし姫元溯は反省する素振りも見せない。「私のやり方にご不満ならご自身でどうぞ」元溯は母の二の舞にならぬよう愛する人を守りたいと願い、強大な力を得るまでは誰も娶れないという。「朕がいつまでも達者とは…いやもう良い、何を言っても無駄だろう」皇帝は皇太子の無念を誰よりも分かっていた。尚書府に杜琇瑩(トシュウエイ)がやって来た。杜(ト)太師の孫である杜琇瑩は滅多に外出しない深窓の令嬢、しかし従妹の田嘉敏(デンカビン)が花県主を救った話を耳にし、心配して会いに来たという。そこへ運悪く琉璃が助けてくれたお礼にやって来た。ちょうど遊びに来ていた姚文茵(ヨウブンイン)は杜琇瑩に花県主の悪口を吹き込むが、琉璃の正体を知ってしまった嘉敏はやけに琉璃に気を使っている。「県主、話があるの…(コソッ)何しに来たの?!秘密は守るわ」「お礼に来ないと礼儀知らずだと言われるでしょう?」杜琇瑩は県主が気取らず明るい娘だと知って安堵した。すると琉璃が感謝の印に皆を金玲苑(キンレイエン)に招待するという。一方、田尚書は娘が花県主と急に親しくなり、仲間たちから疑いの目を向けられていた。「見殺しにはできんだろう?!それに取り入って親しくなってこそ事情も探れる」姫元溯は雲寒に代わりの間者を配置するよう命じ、遺族への見舞金を渡した。雲寒は自分の落ち度だと罰を覚悟したが、元溯は雲寒を許す。「お前を疑いはせぬ、この先もだ…思い通りにならぬこともある だがお前に任せたからには望まぬ結果の責も負う覚悟だ」そこへ小八が駆けつけ、花県主が郡主たちを連れて店に来たと知らせた。「その…演奏を頼みたいと…」元溯は仕方なく雲寒に楽師として一芝居うって欲しいと頼んだ。雲寒は琴を披露したが、俗っぽい客に演奏の良し悪しなど分かるはずないと馬鹿にしていた。そこで適当にあしらい切り上げようとしたが、杜琇瑩だけには見抜かれてしまう。雲寒は自分が手を抜いたことに気づくはずないと疑いながら、2曲目で本気を出した。琉璃は菓子を頼んでくると言って部屋を出た。すると外の回廊で皇太子に見つかってしまう。「店に来ないと約束しなかったか?」「その~嘉敏郡主にお供しただけです、断れなくて…」姫元溯は琉璃を許したが、実はしばらく金玲苑を閉めることにしたと教えた。琉璃を来させない思惑もあったが、もうすぐ各国の使臣が来訪するため、縉(シン)国が享楽的な国だと思われては困るという。「なるほど~金玲苑は太子殿下のものですから、それもいいでしょう~(はっ!)」「…知っていたのか?」元溯は潔く認めた。琉璃の姿が見えなくなり、田嘉敏と姚文茵は探しに出かけた。すると大理寺の官吏が現れ、これから査察を行うという。その頃、杜琇瑩は3人の帰りを待ちながら雲寒の琴を聞いていたが、急に大理寺の査察が始まった。「どうしよう…(お祖父様が知ったら怒られる)」実は皇太子が金玲苑を閉める口実に大理寺を乗り込ませただけだったが、雲寒は玉京一の才女である杜琇瑩の名声を守るため、官吏の手が及ばない部屋に案内した。杜琇瑩は雲寒を誤解していたと謝罪した。「あなたが何度が引き間違えたので疑いましたが、2曲目からすると故意だったのですね」雲寒は杜琇瑩に見抜かれていたことに驚き、思いがけず知音に出会えたことを喜んだ。「もう1曲、聞いて頂けますか?」田嘉敏たちは琉璃と杜琇瑩が帰ったと誤解して店を出た。一方、金玲苑が皇太子の間諜機関だと見抜いた琉璃は自分にも情報を教えて欲しいと頼み、そろそろ戻ることにする。「送ろう」「大丈夫です、太子殿下、私たちの歳月はこれからですから」…歳月はこれからか…姫元溯は琉璃を見送りながら、思わぬ言葉に顔をほころばせた。琉璃は回廊で杜琇瑩と出くわした。杜琇瑩は役人が乗り込んできたので慌てて部屋を出たと説明したが、琉璃は後ろにいる雲寒に気づく。「なるほど~そいうこと」「ここに来たことを知られたくなくて助けてもらったのよ?」「はいはい、何も見てませんから~ふふふ」琉璃は杜琇瑩の馬車で送ってもらった。すると待ち構えてた鳶尾が嬉しそうに文を見せながら、将軍たちが帰ってくると報告する。一方、雲寒は静心(セイシン)居で待っていた皇太子に密書を渡した。「玉京における賀遠亭の足取りです、重要な件なので私が調べます」雲寒は黒装束に身を包み、県主と郡主をさらった刺客が殺された現場にやって来た。すると潜んでいた曲者が現れ、包囲されてしまう。そこへ賀遠亭がやって来た。「達者だったか?」10年前、″雲倉嶺(ウンソウレイ)の役″と呼ばれる戦があった。その戦で縉国は深手を負ったが、金珀国も再起不能となる。まさに痛み分けの戦だったと言えるだろう。しかし賀遠亭は調査を続けるうちにある人物にたどり着いた。「相当な野心家だ、一度の戦で両国の基盤を損なわせるとはな」「何が言いたい?」つづく( ๑≧ꇴ≦)嘉敏が急に面白くなって来たwそれにしても杜表姐、顔小っさ!
2024.03.12
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安乐传 The Legend Of Anle第13話洛銘西(ルォミンシー)は自分の腹心だった慕青(ムーチン)に帝承恩(ディチォンエン)を見張らせていた。しかし慕青は当時まだ16歳、確かに若い娘と2人だけで10年も暮らせば情が移るのも仕方がない。慕青は承恩への秘めた思いを見透かされ、激しく動揺した。すると洛銘西は帝承恩が並べていた碁石に誤りがあったと指摘する。「一手、間違えていたぞ?…まあ良い、才能がないなら人前で打たせるな よく覚えておけ、あの娘は私にとって最も重要な駒だとな」皇太子・韓燁(ハンイェ)は梓元(ヅユアン)との再会を前に自分でも驚くほど心が乱れていた。一方、任安楽(レンアンルー)は婚約の証である玉の如意@1話を愛おしそうに眺めながら、10年の時を経ていよいよ″帝梓元″を返す時が来たと覚悟する。「気に入るかしら?それともがっかりする?」翎湘楼(レイショウロウ)、安楽は洛銘西から帝承恩が日がな一日、写経に没頭していると聞いた。自分が写経するなど想像もできなかったが、10年も山の上にいればそうなるのもかもしれない。片や皇宮は帝承恩が下山してもこう着状態だった。「そろそろ韓仲遠(ハンチュウエン)が動き出しそうね」安楽が察した通り、皇帝は北秦(ホクシン)国の公主を皇太子妃選びに加えていた。皇帝がどんなに帝家の娘が嫌でも、古雲年(コウンネン)の娘を皇太子妃に選ぶわけにいかないのだろう。実は莫霜(モーシュァン)公主を推薦したのは左丞相・姜瑜(キョウユ)だった。かつて国境を接する靖(セイ)国と北秦は争いが絶えなかったが、帝一族の死罪を機に停戦、辺境にも平安が訪れる。しかし一昨年の北秦の干ばつがきっかけとなり、再び辺境で争いが勃発していた。そこで姜瑜は両国の関係を改善するため皇太子と公主の縁談を提案したのだ。「梓元…」「″梓元″?…今となってはもう聞き慣れない名ね、銘西哥哥」「靖南(セイナン)で過ごした日々を思い出させる名だ、梓元、長思花(チョウシカ)を覚えているか?」「幼い頃、庭で咲き乱れる花が満天の星のようだった… でも今は復讐のためいつ死ぬかも分からない、再び花を見られるかどうか… じゃあ帰るわね」洛銘西は安楽を見送ると、肌身離さず持っている玉を取り出した。…昔、私に聞いたな?忠誠を誓うのは帝家か君かと、私、銘西の心は変わらぬ…その夜、琳琅(リンロウ)は洛銘西に帝承恩が写した経を皇太后に贈ったと報告した。どうやら帝承恩が求めているのは自由だけではないらしい。実は帝承恩は皇帝と皇太后さえ懐柔すれば皇太子妃の座が手に入ると信じていた。慕青は他人の物を欲しがるべきではないと諌めたが、承恩は10年の幽閉も都で受ける嘲笑や軽蔑も自分の物ではないと反発する。するとついに皇太后の使いがやって来た。皇太后は帝承恩の字を褒め、刑部の大牢の扁額を書くよう命じたという。何も知らない承恩は喜んで慕青に報告したが、それは皇太后の嫌がらせだった。「新しい刑部の大牢とは靖安(セイアン)侯府のことだぞ?帝梓元の旧居だ」しかし承恩は皇太后を怒らせれば瑇(タイ)山に送り返されてしまうと怯え、慕青に助けを求めた。そんなある日、安寧(アンニン)公主は大街で北秦の一行を見かけた。侍衛・冷北(ランベイ)の話では北秦の公主が皇太子妃候補になり、使臣を送ったのだという。「停戦しているとは言え友好国とは程遠いのに?…でもなぜ詳しいの?」「辺境にいたのです、それくらい調べがつきますよ」「…そうなの?」一方、帝承恩は病と称して時間を稼ぐことにした。大臣たちはさすがに酷い仕打ちだと抗議、おかげで扁額の件はひとまず立ち消えになる。この一件を知った韓燁は刑部に洛銘西を訪ねた。洛銘西は写経を贈った梓元が自ら災いを招いたと指摘したが、帝家の宝剣を皇帝に献上して生き延びた自分には何も言えないという。しかし韓燁はこの一件でやはり梓元の心は変わっていないと確信した。恐らく改名はその場しのぎで、恨みを捨てる気はないのだろう。「つまり洛家の忠誠も偽りだと?」「…私たちは傍観者だ、梓元の苦しみなど分かるはずない」韓燁は返答に困ってはぐらかした。そこで洛銘西は未だ帝承恩に会おうとしない韓燁を揺さぶってみる。「死罪を免じたことで皇家の慈悲は示した、太子妃に迎える約束は反故にしても良いのでは?」「焚き付けているのか?…私は純愛を貫く、必ず皇太子妃にする」洛銘西は安楽への想いが韓燁を悩ませていると見抜いたが、韓燁は決して認めようとしなかった。「惚れた腫れたなど太子妃選びとは最も縁遠いものだ…ってか惚れていないぞ?!」「弁解しなくてもよい、それより忠告しておく 太子が表立って行動しなければ梓元は矢面に立たぬ、しかし影では攻撃されるかもしれぬ」洛銘西は韓燁を門まで見送った。「風が吹いて来た…雨になるから早く戻った方がいい」すると突然、安楽が現れ、雨が降るので乗せてくれと馬車に駆け込んだ。韓燁は相変わらずの安楽にため息を漏らしながら、仕方なく送っていくことにした。「北秦の公主が太子妃候補になって嬉しい?」しかし韓燁はまだ梓元にも会っていないと言い訳がましいことを口にしてしまう。「ふふ、太子殿下が身の潔白を示したいなら気持ちだけは受け取っておくわ」「困惑しているのだ…」その時、急に雨が降り出し、車の窓から吹き込んだ。韓燁は急いで簾を下ろしたが、安楽はなかなか金具から外せず手間取ってしまう。すると見かねた韓燁があっという間に簾を下ろしてくれた。「…ふふ、困惑していると言いながら安楽に近寄るなんて~ 困惑しているなら安楽が助けてあげる♪明日、翎湘楼で予行練習しましょう?」「荒唐(ファンタン)…」皇太后・孫瑜君(ソンユクン)は太祖の命日を迎え、静心(セイシン)堂にいた。「また1年が過ぎた…姿絵がなければあなたの顔を忘れているところよ」太祖がこの世を去って13年、あの日、ここで夫の帰りを待ち続けていた孫瑜君に届いたのが太祖の遺詔だった。「あなたはあの女のために帝家を寵愛し続けた…私を気にかけたこともない」そこで孫瑜君は帝承恩の本性を確かめるため、宮中に呼ぶよう命じた。その頃、身支度を整えた帝承恩は最後に腕輪を選ぼうと化粧箱を開けた。するとふたの裏にいつのまにか赤い傘の印がある文が挟まっている。…忍び込んだ者がいる…その時、侍女が駆けつけ、皇太后のお召しがあったと伝えた。「写経がお気に召したのね、皇家へ続く門が開かれた…」安寧は皇太后が帝承恩を呼んだと聞いて不安を募らせた。皇祖母のこと、帝承恩に難癖をつけるつもりだろう。一方、買い出しから戻った慕青は帝承恩が宮中へ出かけたと知り、血相を変えて飛び出した。しかし一足遅く、帝承恩は宮中に入ってしまう。安寧は帝承恩を心配して様子を見に行った。すると静心堂の前で帝承恩がひざまずき、皇太后を待っている。やがて皇太后が現れ、一心に拝んでいたので待たせているのを忘れていたと言った。健気に待っていた帝承恩は写経を献上、皇太后のご多幸と太祖の冥福を祈って書いたと伝える。「私を生かしていただき感謝しています、帝家が犯した罪は私が一生を懸けて償います」安寧は困惑した。…梓元、あなたとは思えない、なぜそんな風に変わってしまったの?…冷北は将軍の様子がおかしいことに気づき、何があったのか聞いた。すると安寧は帝承恩が皇太后に頭を下げている姿を見たという。「心配せずとも太后は後宮の主ゆえ…」「いいえ、お前は皇祖母のことを何も分かっていない 私はあの人に育てられたけれど、今となっては会う勇気もない…」帝承恩が足を引きずりながら帰って来た。慕青は独りで出て行った承恩を叱ったが、承恩は何があっても慕青が守ってくれると無邪気に笑う。すると承恩は慕青に手作りの飾り紐を贈った。「都で目にした侍衛は剣に飾りを下げていたわ、あなたも持つべきよ」承恩にとって慕青は唯一の家族であり、英雄だという。結局、慕青はそのまま部屋を出た。本当は錠をかけて承恩を軟禁しようと考えていたが、やはり情にほだされてしまう。安楽は翎湘楼に洛銘西を訪ね、明日は皇太子を呼んで探りを入れると伝えた。どうやら皇太后による帝承恩のいじめに古雲年も関わっている様子だが、権勢が揺らいでいるせいで古雲年の娘を皇太子妃に推す声は止んでいる。すると洛銘西は皇太子妃選びを前に大臣たちの動きを把握しておくよう安楽に情報を記した紙を渡した。「太子妃選びは嵐の前兆ね…」「大臣の動きに特筆すべきことはないが…帝承恩に危ない橋を渡らせるやも」帝承恩はしびれを切らし、自ら行動を起こそうと決めた。慕青はそんな承恩に戸惑いながらも、靖安侯府の庭に咲いていた海棠のかんざしを贈る。「太子殿下が好きな花だ」一方、韓燁は温朔(ウェンショウ)を連れて采微(サイビ)軒を訪ねることにした。皇太后の梓元への嫌がらせを見過ごせず、贈り物を届けて態度を表明するという。しかし店に到着してみると、店主はひと足先に帝家当主の書を買いたいという令嬢が現れたと伝えた。「姑娘、できれば譲ってもらえぬか?」「…これは大伯母の書なので私にとって宝物なのです」その令嬢とは帝梓元だった。「梓元、海棠が良く似合う、靖安侯府が目に浮かぶようだ」すると承恩は梓元ではなく承恩と呼ぶよう頼んだ。温朔は外で待つと伝えて店を出た。すると帝承恩は弟の燼言(ジンイェン)が生きていればちょうど同じ年頃だったと感慨深い。韓燁は弟を託されながら期待に添えなかったと謝罪したが、承恩はこれも弟の運命だろうと言って笑った。翎湘楼では安楽と安寧が待ちぼうけを食わされていた。すると琳琅が宴席に駆けつけ、皇太子が来れないと報告する。「采微軒で帝小姐と会われて屋敷へ送って行くそうです」安寧は動揺のあまり杯を落としたが、皇兄にお似合いなのは安楽だと安心させて先に帰った。韓燁と温朔は東宮へ戻った。すると温朔は皇太子からいつも聞いていた帝梓元とは全く印象が違ったという。実は韓燁も戸惑いを隠せなかった。「あの目は記憶にある梓元とそっくりだ…しかし気性は見知らぬ人のようだった」「安楽姐の方が魅力的に見えるのでは?」「荒唐…それより温朔、子供の頃を思い出したか?」実は温朔は5歳の時に風邪を引いて死にかけて以来、記憶を失っていた。「そのあとに殿下に引き取られたことくらいしか…」「忘れてもいい、過去は重要ではない」「重要でないのなら、なぜ帝小姐に執着するのです?」しかし韓燁は答えなかった。つづく(  ̄꒳ ̄)きな臭くなってまいりました~
2024.03.11
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花朝秋月夜(カチョウシュウゲツノヨ) Love Behind the Melody第3話「夫への復讐」鳳頸(ホウケイ)琵琶(ピパ)を無事に取り戻した李颯颯(リーサーサー)は李茹娘(リールーニャン)の願いを叶えるため、まず夫へ復讐することにした。どうやら茹娘の夫・陳世賢(チェンシーシエン)はかなりの女好き、正妻の茹娘を追い出し側妻を娶っておきながら、また妓楼に入り浸っている。…この手の男なら色仕掛けで迫ればすぐ落ちる、楽勝だわ…そこで颯颯は妖艶な舞姫になりすまし、陳世賢の前に姿を現した。↓これは正しい男装w李茹娘を尾行していた陸景年(ルージンニエン)も従者の生金(ションジン)と一緒に妓楼にいた。「大したもんですね~琵琶を弾いて郎君の心を奪ったかと思えば、今度はあでやかな舞踊…」「誰が心を奪われただと?」しかし生金は郎君が50両も渡しながら琵琶まで返したのは心を奪われたからに違いないという。すると陸景年は結末を見届けないまま帰ってしまう。陳世賢は艶やかな姿で戻って来た妻にすっかり魅了された。しかし噂で聞いた通り茹娘は潯陽(ジンヨウ)で記憶を失い、自分のことを覚えていないという。世賢はこれ幸いと茹娘を屋敷へ連れ帰り、婚姻書を見せて夫婦だと証明、嫉妬深い趙(チョウ)小娘をさっさと軟禁してしまう。李茹娘には陳府に残した侍女・清秋(チンチウ)がいた。「せっかく逃れたのになぜ戻ったのです?今は優しくてもまた暴力を…」聞けば陳世賢は茹娘だけを追い出し、その後、清秋を手篭めにしようとしていた。「抵抗したので殴られたのです」「なんて男なの?!」実は李茹娘と陳世賢は婚姻したものの床を共にしていなかった。その夜、世賢は茹娘との共寝を期待していたが、茹娘が急に泣き出してしまう。「日記を読んだの…あなたは酷い人だったのね…」すると焦った世賢は埋め合わせに茹娘のためなら何でもすると約束した。一方、陸景年は琵琶の首席奏者がいないまま準備を始めた。ひとまず自分が首席として一緒に練習することにしたが、月琴の欣児(シンR)にもまとめ役を頼む。すると欣児は給金3倍に釣られ、本来の実力を発揮した。その時、陳府を探っていた生金が慌てて戻って来る。「陸郎君!重要な報告が…人払いをした方が」「大袈裟な、何だ?いいから話せ」「夫婦の営みが一度もないそうです!」楽師たちは驚いて聞こえないふりをしたが、興味津々だった。李茹娘は趙小娘を諭して自立させ、夫を取り戻した。しかも夫から家財の権利書と改心の念書を手に入れ、全てを手中に収めたという。陸景年は生金の報告を聞きながら、次は夫の悪行を暴露するつもりだと分かった。「だがそう上手く行くかな…ふっ」颯颯は近隣住民を集め、夫の悪行を知らしめた。側妻のため妻を捨て財産を奪取、賭け事に人妻との密通、さらに人を雇って自分の琵琶を盗もうとしたという。すると騒ぎを聞きつけた陳世賢が現れ、妻の病がぶり返しただけだとごまかした。颯颯は証拠として夫が書いた念書を公表することにしたが、箱の中身が空だと分かる。実は趙小娘は陳世賢に冷たくされても離れられず、密かに夫のために正妻から念書を盗んでいた。同情を買った颯颯だったが状況は一変、住民たちは夫を辱めるような女は水に沈めるべきだと非難する。しかし思いがけず陸景年が現れ、陳世賢の念書を渡した。颯颯は陸景年のおかげで陳世賢を追い詰めた。激怒した陳世賢は茹娘と陸景年が密通しているとでっち上げ、離縁するという。しかし颯颯は離縁されて屋敷を追い出されるのは陳世賢の方だと言い放った。これには住民たちも困惑し、離縁できるのは夫だけだという。「…何がダメなの?!婚姻は2人が決めたこと、女にも婚姻解消を決める権利がある! 男女平等よ!」すると颯颯は自分が書いた休書を叩きつけ、すでに陳世賢の悪行を役所に伝えたと言った。「これで今から私たちは赤の他人よ!」陸景年は側妻が正妻に諭されたくらいであきらめるとは思えなかった。とは言え移り気な陳世賢を手放しでは信じられず、念書で弱みを握ると考えたという。そこでちょうど街に出た側妻に生金がわざとぶつかり、危うく転びそうになったところを陸景年が抱き止めた。都一の色男に助けられた側妻はすっかりのぼせ上がり、袋から念書を奪われたことに気づかなかったという。「盗んだの?!」話を聞いた颯颯は呆れたが、景年はあくまで奪い返したに過ぎないと釈明した。「君は他の女とは違うようだ」景年は茹娘が生きるために立ち上がり、女子のために声を上げ、正義を貫く姿に感銘を受けたという。しかし颯颯は自分を助けて褒めそやすのは何か企みがあるからだと怪しんだ。颯颯は茹娘の財産を取り戻し、夫を牢屋送りにした。側妻も復職して自活し、あとは茹娘の想い人を探せば現代に戻れる。そう思った矢先、屋敷に大勢の借金取りが押し寄せた。颯颯は陳世賢とは無関係だと訴えたが、借金取りは屋敷が担保に入っていると迫る。すると颯爽と陸景年が現れた。陸景年は自分に解決法があると切り出し、茹娘と屋敷に入った。そこで右教坊に入ってくれるなら給金を弾むという。「そうだ、住まいも準備しよう」「人の弱みにつけ込むつもり?!」颯颯は景年が初めから陳世賢に莫大な借金があることを知りながら助けたと分かった。しかし中庭では借金たちの怒号が響き渡っている。つづく( ゚ェ゚)あ、そう言えば陸景年は都一のハンサム設定です今回の上掛けも可愛い
2024.03.10
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安乐传 The Legend Of Anle第12話任安楽(レンアンルー)の身代わりになった帝梓元(ディヅユアン)は侍衛・慕青(ムーチン)の監視の元、瑇(タイ)山・永寧(エイネイ)寺で暮らしていた。そんなある日、朝廷から下山を認める大詔令(ダイショウレイ)が届く。梓元はようやく自由になれると無邪気に喜んだが、改名することがどれだけ屈辱的なことなのか分かっていなかった。それもそのはず、当時の名もない8歳の少女はただ満腹する日々を夢見ただけ、山の上に10年も閉じ込められる苦しみなど想像だにしなかっただろう。慕青は帝家がなければ今も物乞いだったと戒めたが、結局、一緒に都へ行くと約束した。帝梓元が山を降りた。報告を聞いた韓燁(ハンイェ)は思わず顔をほころばせたが、自分の知る梓元なら改名を受け入れるはずがないと戸惑う。すると安楽を慕う温朔(ウェンショウ)はもはや名が違えば別人も同然だと口を滑らせた。「荒唐(ファンタン)!10年も閉じ込められた苦しみがお前に分かるものか! …″梓元″という名には太祖による命名の価値以上に、梓元自身を表す重要な意味がある 父皇であろうと完全に奪うことはできぬ」一方、安寧(アンニン)公主も梓元に改名を強要した父皇を諌めていた。しかし逆に酒を飲んでは勝手に靖安(セイアン)侯府へ立ち入っていることを責められ、梓元の下山を機に靖安侯府が刑部の大牢になると知る。驚いた安寧は再考を嘆願したが、皇帝は憤慨して出て行ってしまう。その夜、安楽は洛銘西(ルォミンシー)と靖安侯府を訪ねた。「これからは帝承恩(ディチォンエン)がここの主なのね…」「ここには住めぬ、実は会試の不祥事を解決した褒美として刑部に下賜された、大牢に使えとな」「…構わないわ、私がここへ来たのは一族の恨みを忘れるなと自分に言い聞かせるためよ」すると誰かの足音が聞こえ、2人は慌てて庭石の後ろに隠れた。靖安侯府に安寧がやって来た。安寧は幼い頃に落ちた池を眺めながら、その時、梓元に助けられたことを懐かしむ。今や池の水も枯れ、梓元の名前も変わり、ついに屋敷まで大牢になってしまうのか…。「この靖安侯府の草木や瓦にさえ顔向けできない、供養する資格さえない なのに私は戦場へ逃げた、戦の恐怖で過去の悪夢を忘れたくて…」すると韓燁がやって来た。安楽は2人の様子をうかがいながら、どちらも10年前の靖安侯府の惨劇を忘れていないと知る。「梓元が改名するとは思えないわ…」安寧は瑇山で暮らすことが梓元の身を守り、新たな争いを避ける方法だと信じていた。しかし韓燁は自分が梓元を全身全霊で守って見せるという。韓燁の言葉に思わず心が揺れる安楽、その時、洛銘西がうっかり小枝を踏みつけ、音を立てた。安楽と洛銘西は韓燁と安寧に見つかった。そこで安楽は帝梓元が下山する前に洛銘西から恋敵の情報を聞き出そうとしていたと嘘をつく。「安楽寨(アンラクサイ)の特殊な刑具の詳細を交換条件にしたの」安寧は安楽らしいと思わず失笑し、聞きたいことがあるなら自分が教えると言った。安楽たちは翎湘楼(レイショウロウ)で琳琅(リンロウ)の琴を肴に酒を飲むことにした。梓元を思いながらも安楽と洛銘西の関係が気になる韓燁。すると安楽が″真実か酒″で遊ぼうと提案した。「琳琅が弾く琴の音が止まった時にこの花を持っていた人は質問に答える 答えたくない時は1杯飲むのよ」「ダメだ」酒に弱い韓燁は反対したが、安楽はならば答えれば良いと笑って花を投げた。琳琅は皇太子に花が飛んで行くとわざと琴を止めた。「私が聞くわ、なぜ帝梓元にこだわるの?」安楽の問いに答えたくない韓燁は杯を取ろうとしたが、安寧が代わりに答えると申し出た。「建国前に帝盛天(ディセイテン)は広大な土地を国に捧げたわ 先帝は両家の絆を深めるため、梓元を太子妃に決めたの」すると次も韓燁で音が止まってしまう。「殿下が帝梓元との婚姻にこだわるのは先帝の遺詔だから?それとも償い?」しかし今度は安寧が兄のために酒を飲んだ。琳琅は次に安寧で琴を止めた。そこで安楽はなぜ帝梓元の下山を望まないのか聞いてみる。楽しそうだった安寧の顔色は一変、しかし正直に思いを吐露した。「韓家は帝家から恩を受けたわ、でも韓家は恩を仇で返した…」かつて韓家と帝家は帝北(テイホク)城で″先に兵馬が着いた者が君主″と賭けをした。先に到着したのは帝家だったが、帝盛天は国土を韓家に譲ったという。「そんな帝家が謀反を起こすと思う?なのに陛下は帝家将士と九族を皆殺しにした…」「やめないか」韓燁は思わず妹の話を遮った。韓燁はいつも安楽から始まるのは不公平だと訴え、自分から花を投げた。しばらく様子を見ていた琳琅は安寧に花が飛んできた所で手を止めたが、安寧は花を受け取らず払い除け、運悪く洛銘西が受け取ってしまう。そこで韓燁はなぜいつも任安楽と翎湘楼にいるのか聞いた。すると安寧が意味ありげに笑い、理由を知っているという。「洛大人(ダーレン)は一見、情がなさそうに見えるけれど、実はある女子を思ってる その人は…琳琅よ!」「そうだったのか、では私から陛下に…」韓燁は縁談をまとめようとしたが、珍しく焦った洛銘西は無用だとはねつけた。帝承恩は夢にまで見た都にやって来た。しかし皇帝の指示で下等宮女の宿舎だった沅水閣(ゲンスイカク)に住むことになる。屋敷は簡素で装飾もなく、侍女たちは皇太后の恩寵で戻れた罪人の娘に冷たかった。すると洛銘西が10年ぶりに会いに来た。「慕青、梓元の侍衛だった人よ?見抜かれないかしら?!」「私の言った通りにすればいい」そこで帝承恩は梓元が得意な碁を打ちながら洛銘西を待った。洛銘西は質素な部屋を見て心配し、冬の衣と寝具を届けさせると言った。「人から親切にされるのは久しぶりよ…」「私たちは兄妹も同然だった、太祖の遺詔がなければ今も一緒に靖南にいたはずだ」洛銘西はそれとなく帝承恩に探りを入れたが、帝承恩はよどみなく答えた。「13年前、先帝が遺詔で私を太子妃とし、父は都へ私を送った でもあなたが心配して一緒に来てくれたわ」そこで洛銘西はわざと鎌をかけた。「あの頃は太子殿下を生涯の宿敵だと思った…だが帰元(キゲン)閣で腕比べをして親しくなった」「ふふ、銘西哥哥、違うわ、秋水(ショウスイ)閣でしょ?帰元閣は私の居所よ」帝承恩は洛銘西を門で見送り、屋敷に入った。近くの露店からその様子を見ていた安寧は人知れず涙を流したが、侍衛・冷北(ランベイ)だけは公主の憂いに気づいてくれる。すると冷北は露店のお面を使って公主を笑わせた。「会わなくていいのですか?」「梓元が無事ならそれでいいの」その夜、洛銘西は翎湘楼に慕青を呼んだ。慕青は生まれた時から洛家に忠誠を近い、16歳の時に瑇山に送られている。「お前の役目は?」「山で小姐の警護を…」「見張りだ」洛銘西は慕青の帝承恩への淡い恋心に気づいていた。幼少より自分に仕える慕青を信頼して任せたが、念のため、もし情に絆され不始末でもあれば帝承恩の命はないと釘を刺しておく。「本当に分かっているのか?…一手、間違えていたぞ?」洛銘西は帝承恩が打っていた碁の誤りを見逃さなかった。つづく( ̄▽ ̄;)承恩…声は可愛いのに顔が怖いwてっきり洛銘西が身代わりを準備したと思ってたけれど、違うのか~
2024.03.10
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第12話「発揮された実力」県主・花琉璃(カリィウリ)と郡主・田嘉敏(デンカビン)が行方不明になった。皇太子・姫元溯(キゲンソ)は琉璃を救うため寝る間も惜しんで奔走、一方、母妃に関わらないよう釘を刺された英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)も許嫁と同志を救うため捜索に参加する。しかしようやく見つけた隠れ家はすでにもぬけの殻だった。元溯は争った形跡がないことから2人が無事だと確認できたが、そこへ新たな情報が届く。「殿下、轍(ワダチ)が南へ続いています」そこで元溯は二手に別れて探そうと提案し、英王には南へ行くよう頼んだ。姫元溯は南州なら刺客と遭遇せず比較的安全なため兄を向かわせた。「黒甲軍の精鋭を率いて山嶺(サンレイ)州へ」しかし皇太子が留守の間に都にいる間者の半数が始末されてしまう。一方、琉璃たちを乗せた馬車は山道を走っていた。女の刺客はこの仕事を終えれば兄と共に自由になれると話したが、琉璃に隴西(ロウセイ)の出身だとばれてしまう。「ところどころ隴西の訛りがあるから…でも本当に簡単に解放してもらえるのかしら?」琉璃は安泰な暮らしができるよう自分の令牌を渡し、刺客の警戒を解いた。「なぜ私を助ける?」「私が花琉璃だと気づいていたのに黙っていてくれたでしょう?」「…もう行くわ」すると刺客は茶碗の破片を嘉敏に渡して車から出てしまう。(* ゚ェ゚)<…これ、なぜ私にくれたの?(^ꇴ^)<丈夫そうな方に渡したのよ琉璃たちの馬車は林の中で止まった。すると待ち構えていた別の男たちが琉璃と嘉敏を馬車から降ろし、ひとまず腹ごしらえを始める。琉璃はその間に嘉敏から破片を受け取り、縛られた腕の縄を切り始めた。しかし男たちが酔った勢いで琉璃たちをからかいにやって来る。気が強い嘉敏は思わず両親が許さないと挑発、男たちが面白がってちょっかいをかけた。一方、姫元溯は玉京を急いで離れるならこの道を使うはずだと確信していた。しかし斥候の調べで山嶺州の出入りの記録に花県主と田郡主らしき者がいなかったと分かる。小八(ショウハチ)は他を探すよう進言したが、その時、元溯は道端の木の枝に引っかかった手巾を見つけた。すると手巾に発発(ファーファー)の刺繍がある。…琉璃が残したのか?!やはりこの道で正しい…実は琉璃は刺客の目を盗み、車の窓から手巾を捨てていた。嘉敏は男たちにからかわれ、悲鳴をあげていた。しかし突如、琉璃が目の前に現れたかと思うと、男がばったり倒れてしまう。…私を怒らせたわね…縄を切った琉璃は護身用に隠し持っていた軟剣を履き物から引き出し、鮮やかに男の首を切り裂いた。琉璃は見事な武功で男たちを片づけた。物陰に隠れていた田嘉敏はこれまで琉璃をいじめて来たことを深く後悔し、報復を恐れて泣き出してしまう。しかしその頃、琉璃は怪しい人影を追っていた。琉璃は自分たちを見ていた仮面の男を見つけ、剣を突きつけた。「何者?…ん?賀遠亭(ガエンテイ)でしょ?!」正体を見破られた賀遠亭は仕方なく仮面を外した。「ひょっとしてあなたが私たちをさらわせた?」「今やそなたは鴻臚寺卿(コウロジケイ)、金珀(キンハク)国の仕業に見せかけ殺されるやもと案じたのだ だいたい我らが殺すならわざわざこんな所まで連れて来るものか そなたは私の女ゆえ灰と化しても分かる…では失礼」「万国朝拝会には来るでしょう?」「いいや」「あの5人の間抜けな刺客を始末してもいいのね?」すると賀遠亭は悔しそうな顔で帰って行った。琉璃は嘉敏の元へ戻ると、何事もなかったかのように病弱な花県主を装った。呆気にとられる嘉敏だったが、辺境でつちかった琉璃の生き残り術のおかげで一夜を乗り切り、翌朝にはちょうど通りかかった夫婦の荷車に同乗させてもらうことに成功する。親切な奥さんは2人に焼餅(シャオビン)や果実をくれた。嘉敏は夫婦が娘への土産を分けてくれたと知り、自分の高価な耳飾りを外して荷物に忍ばせておく。こうして琉璃と嘉敏は山嶺州の城門に到着、すると検問を見守る皇太子の姿を見つけた。(^ꇴ^)ノ″<太子殿下~!姫元溯は琉璃の無事な姿に安堵し、思わず駆け寄って抱きしめた。「殿下、またお会いできて良かった」「余も同じだ」嘉敏は琉璃と皇太子の熱い抱擁に驚き、また秘密が増えてしまったと困惑してしまう。…命を保てるかしら…一方、英王はまだ南州で必死に琉璃たちを探していた。琉璃は無事に屋敷へ到着、鳶尾(エンビ)と再会した。しかし琉璃が郡主に助けてもらったと嘘をついたため、嘉敏は捜査への協力を求められ大理寺へ連れて行かれてしまう。その頃、尚書府では田尚書(デンショウショ)と順安(ジュンアン)公主が娘の無事を喜んでいた。聞けば娘が猛獣から花県主を守り抜いたとのこと、2人は立派に育った娘に感激し、手を取り合って涙する。まさか娘が英雄になったおかげで遺体の確認まで押し付けられ、散々な目に遭っているとは知らずに…。姫元溯は琉璃を心配して花府を訪ねた。それにしても骸を見ることもできない郡主が獣に立ち向ったとは到底、思えない。小八の話では骸に残っていた噛み痕は死後についたもので、死因は刺殺だった。「県主にお尋ねを?」「県主は答えまい」「ではなぜここに?」すると目を覚ました琉璃がやって来た。琉璃は姫元溯が不眠不休で自分を探していたと知り、密かに安眠香を焚いた。すると元溯は琉璃に探りを入れながら、そのまま居眠りしてしまう。一方、屋敷に戻った賀遠亭も舞姫・絳紗(コウサ)が焚いた媚薬の匂いでむせていた。「私には効かぬぞ、誘惑の術は縉(シン)国の太子か皇帝に使え」絳紗はあっけなく追い出され、外に控えていた従者に不満を漏らした。「効果があるはずでは?」「二殿下は花琉璃という女にだまされて以来、女子に警戒している そなたはおとなしく待て、機嫌を損ねるな」田嘉敏が大理寺から解放される頃にはすっかり日も暮れていた。すると門前で英王が待っている。嘉敏はてっきり英王が自分を心配して迎えに来てくれたと思ったが、姫元灝はあっけらかんと琉璃がここにいると聞いて駆けつけたと言った。「か弱い花琉璃なら花府にいます…もう殿下とは会いません!」しかし鈍感な元灝にはなぜ嘉敏が急に怒り出したのか分からなかった。田嘉敏は尚書府の馬車にも乗らず、夜の町を独り歩いた。…私って何て馬鹿なの、初めから私のことなんて眼中にないのね…すると嘉敏は人気のない通りでしゃがみ込み、号泣してしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)やっと本編が始まったわ!w
2024.03.09
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第11話「無謀なお嬢様」英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)と郡主・田嘉敏(デンカビン)は花琉璃(カリィウリ)に対抗して豪華な店を出したが、初日から大損した。しかも龍井(リュウセイ)坊の民なら食事を無料にすると宣伝したのに誰も来ない。すると日が暮れた頃になってやっと龍井坊の民たちが夕食にやって来た。聞けば龍井坊の民たちは皆、琉璃の店で働いているため、日中は来れなかったという。嘉敏は民が花家の店員だと分かるとあからさまに嫌悪したが、民たちは憤慨した。「花県主は我々を店主として働かせてくれ、給料だけでなく利益まで分配してくださいます なのに県主を悪く言うなんて…帰ります!」姫元灝は花県主が金も使わず民に安定をもたらしたと知り、勝負がついたと悟った。琉璃の店は大繁盛だった。鳶尾(エンビ)の話では金玲苑(キンレイエン)で楽師・雲寒(ユンハン)が香飲料を飲む姿を見せたからだという。「…これが太子殿下の言っていた贈り物ね」すると皇帝の使者として総管の趙三財(チョウサンザイ)が聖旨を届けにやって来た。英王は潔く負けを認め、皇帝は花琉璃を鴻臚寺卿(コウロジケイ)に任じたという。翌朝から早速、琉璃は官服に身を包み、朝堂の末席を汚すことになった。眠い目をこすりながら何とか初めての朝議を終えた琉璃。散会後は皇帝が朝臣たちの労をねぎらい、全員に食事が供された。そこへ皇太子・姫元溯(キゲンソ)が現れ、官服姿の琉璃を見つけて目を細める。「初めての朝議はどうであった?」「…こちらへ」琉璃は皇太子と一緒に外へ出た。すると元溯は自分を勝手に連れ出せば弾劾されると警告する。しかし琉璃はすでに会食中の言動を朱晋(シュシン)に注意され、減棒されていた。「礼儀には気をつけよ」(´・ω・`)お、おぅ姫元溯は琉璃と一緒に龍井坊の改築現場を視察した。すると皇太子の表舅だと名乗る地主が居座るせいで作業が遅れている一帯を見つける。元溯は地主を呼び出し激怒、母の威を借りのさばる表舅を蹴り飛ばし、直ちに連行して処罰するよう命じた。「万国朝拝会の開催を妨げるものは厳罰に処する!」琉璃は初めて姫元溯が皇太子としての威厳を示す姿を目の当たりにした。そこで街に戻ってから差し入れを渡し、これで気を鎮めるようなだめる。「余が怖くないのか?」「ちょっとだけ…でも全ては民のためですから、母君の親戚にさえ私情を挟みませんでした」元溯は琉璃の言葉に救われたが、皇太子の姿に気づいた民たちは蜘蛛の子を散らすように逃げてしまう。「…余は嫌われておるな」「(機嫌を取ろうっと)殿下、花府へお越しください、贈り物があります」琉璃は花花香飲(ファファコウイン)舗で限定発売する予定のかき氷・雪酥山(セツソサン)をご馳走した。幼い頃にも皇太子に雪酥山を送ったことがあったが当然、溶けてしまい、姫元溯は空の入れ物だけをもらって困惑したことがある。喜んだ元溯は早速、かき氷を食べたが、また急に身体の様子がおかしくなってきた。「もしやこれも牛の乳か!」すると元溯は逃げるように帰ってしまう。「殿下?!牛の乳が何か?…はっ!」琉璃はようやく皇太子が香飲料を飲んで様子がおかしくなった原因に気づいた。三皇子・姫元弘(キゲンコウ)は琉璃から雪酥山と文を受け取った。…三皇子殿下の絵を店ののぼり旗に使わせて頂きました、民から可愛くて趣があると褒められます、もし絵を使うのが嫌なら太子殿下にお伝えください、のぼりはすぐ撤去します…そこで元弘は東宮に皇兄を訪ね、新しい絵を渡した。「また絵を描いたのか?…これは花琉璃だな?」「(゚ェ゚(。_。(゚ェ゚(。_。*)コクコク…彼女が…彼女が好き」すると元弘は恥ずかしそうに帰ってしまう。琉璃の雪酥山は限定販売も相まって大人気。噂を聞いた順安(ジュンアン)公主は娘に買ってきて欲しいと頼んだが、田嘉敏は行きたくないと拒んだ。しかし小遣いを減らすと脅され、嘉敏はいやいや西郊へ出かけることにする。一方、雲寒は皇太子と花県主に協力したせいで主から罰を受けていた。青楽(セイガク)は本当の主が誰か思い出させるためだと言ったが、雲寒は花琉璃が鴻臚寺卿になることで誰が最も焦るのか考えれば分かることだという。報告を聞いた黒幕は配下に雲寒に従うよう命じ、密書を破り捨てた。琉璃は何者かに尾行されていると気づいた。これまで屋敷に閉じこもってばかりだったが、店に出るようになり刺客を誘き寄せてしまったのだろう。そこで鳶尾に買い物を頼み、わざと人気のない裏通りへ入った。…ここなら派手に動いても大丈夫そうね…しかし突然、田嘉敏に腕を捕まれ、空き家に押し込まれてしまう。「なぜ嫌がらせするの?!雪酥山を買いに行くと店が閉まってた!わざとでしょう?」「誤解よ、分かりました、特別に作らせます」すると窓から何者かが眠り薬を放ち、突然、嘉敏が倒れてしまう。琉璃は咄嗟に口を覆って無事だったが、敵の目的を知るため、眠ったふりをして倒れた。刺客は倒れた娘のうちどちらが花県主か分からなかった。結局、どちらも誘拐して郊外まで運び、廃屋に閉じ込める。琉璃は自分が花県主だとバレれば郡主が口封じに殺されると警戒、ひとまず刺客を混乱させようと嘉敏に提案した。一方、鳶尾は皇太子に県主と郡主が行方不明だと知らせた。驚いた姫元溯はすぐ捜索を始め、空き家に落ちていた郡主の腕輪を見つける。窓枠には珍しい眠り薬の粉が残っていた。さらに龍井坊から3里の場所に血痕があったと報告が来る。元溯は全力で捜索すると約束し、ひとまず鳶尾と小紅(ショウコウ)を屋敷に帰した。姫元溯は雲寒に総力を結集して花琉璃を探すよう命じた。しかし雲寒は花県主がこれまで何度も自身で難を逃れて来たことから、今回も何とかできるはずだという。「殿下、探りは入れられますが、兵は動かせません 都へ呼んだ県主を利用し、皇后の謀反の一味の残党を誘き出す計画でしょう? 今こそ好機なのにあきらめるのですか?!我々は長い時をかけて都中に間者を配してきました 計画を台無しにしてまで県主を助けると?!」「…花家の忠心を疑い、繰り返し探りを入れてきた、だが今はそれを後悔している」女の刺客は琉璃たちに夕食を出し、縄まで解いてくれた。「あとで移動する、私たちは身柄を引き渡すだけ、それまで傷つけないわ」琉璃は刺客が悪人ではないと気づき、素直に食事をすることにした。すると田嘉敏は琉璃と自分の食事に差があると気づく。「どうして料理が違うの?!」「痩せている方が多く食べるべきだからよ」刺客はさらに琉璃だけに果物をくれる。一方、雲寒は主と皇太子の板挟みに悩んでいたが、結局、一斉に伝書鳩を飛ばした。姫元溯はまだ琉璃を狙う刺客がいることに困惑していた。…見落としがあるのか?裏で操っているのは一体、誰なのだ?…そこで小八(ショウハチ)に金珀(キンハク)国の間者がまだ都に潜んでいるのか調べるよう命じた。「阿瓦(アガ)に探りを入れよ」…琉璃、必ず助けてやる…田嘉敏はこれから移動すると知り、自分が援護するので琉璃に逃げるよう勧めた。「できるの?!」「当然でしょう、ひ弱なあなたと違って5歳から兵法を学んで武術を稽古してきた さっきの肉のお返しもあるし…」琉璃は思わず失笑したが、嘉敏にも優しい一面があると知った。その時、刺客がやって来る。つづく( ๑≧ꇴ≦)やっと話が分かったwwwww
2024.03.08
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第10話「龍井坊の改造計画」花琉璃(カリィウリ)は英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)が流民たちに炊き出しを始めたと知り、様子を見に出かけた。英王を後援する文官・朱晋(シュシン)は花県主が手柄を横取りに来たと警戒したが、元灝は民の目があるためか弱い県主を邪険にできない。すると琉璃は炊き出しが当座の策に過ぎないと指摘、むしろ働く意欲を失わせてしまうという。花県主の意見に触発された姫元灝は作戦を変更、龍井(リュウセイ)坊の農民救済と銘打って″冬瓜を買うと英王の絵姿がついてくる″と宣伝した。皇帝は皇太子が英王と花県主の勝負に横槍を入れないよう、押送された金珀(キンハク)国の人質・阿瓦(アガ)の尋問を任せた。 大理時少卿・裴済懐(ハイセイカイ)の報告では5人の刺客たちが花県主を頼みに思っているという。しかも阿瓦は花県主に会わせろと毎日、訴えていた。「花県主が金珀国と通じている証拠では?」驚いた元溯は早速、阿瓦を審問することにした。「花琉璃に会ってどうするつもりだ?」「私を騙した花琉璃は我らが二皇子に騙された 二皇子はあの女を美人計にかけて縉(シン)国の捕捉を逃れたのだ 花琉璃は二皇子に惚れていた、だが惚れ込ませたのは二皇子の苦肉の策 怒った花琉璃は二皇子を捕らえるはずが、なぜか私を捕まえた」元溯は詳しい経緯を知るため、裴済懐を金珀国の刺客に仕立てて阿瓦の牢に入れた。姫元溯は雲寒(ユンハン)を訪ね、金珀国の第二皇子について聞いた。賀遠亭(ガエンテイ)は母親に後ろ盾がなく不遇だったが、自分の実力のみで兵力を手にしたという。武芸に秀で、統率力もあり、皇太子に次いで支持されていたが、阿瓦将軍が大敗を喫し、今は勢力が衰えていた。「その後は遊歴に出ているとか」琉璃は英王に炊き出しをやめさせることに成功、さらに農民の野菜を掛け金で全て買い取った。しかし資金が底をつき、皇太子に借金しようと思いついて安康(アンコウ)苑を訪ねる。すると皇太子が珍しく髪を下ろして俗っぽい装いで現れた。「見識の広い県主に聞きたい 余と侍従、金玲(キンレイ)苑の楽師、金珀国の二皇子なら誰が一番だ?容姿で選べ」(* ゚ェ゚).oO(二皇子?なぜ急に賀遠亭???琉璃は姫元溯が熱でもあるのではないかと心配し、おでこに手を当てようとした。急に琉璃に迫られた元溯は動揺して避けているうち後ろに倒れ、巻き添えになった琉璃は皇太子に覆い被さってしまう。気まずいわ…)Oo.(・д・` *)(* ´・д・).oO(なぜこんなことに…元溯は咄嗟に話題を変え、競争相手である英王と会うべきでないと助言し、金玲苑にも近づかないよう釘を刺した。「太子殿下と会うのは構わないと?」「もちろん、私は推薦者だからな」琉璃は皇太子に出資させるため、龍井坊改造図を見せて構想を明かした。万国朝拝会で使臣たちが龍井坊に到着すれば衣食住の需要が増加、そこで付近の廃屋を利用して店を出し、民に仕事を与えるという。姫元溯は見事な解決策に感心し協力を申し出たが、袂から出てきたのは銀子が入った小さな巾着ひとつだった。( ̄▽ ̄;)<太子殿下、私財を投げうってのご支援、ありがとうございます英王の絵姿は民に不評だった。結局、郡主・田嘉敏(デンカビン)が全て引き取り、野菜を買って民を助けた花県主が優勢となる。嘉敏は英王府に駆けつけ意気消沈する英王を励ましていたが、その時、従者が駆けつけた。「殿下、県主が西郊に店を開くとか…」すると嘉敏は琉璃に対抗すべく、自分が銀子を出して琉璃の店の前に英王の店を出すと決めた。「ここで諦めては全て水の泡です!殿下、やりましょう!」田嘉敏が琉璃の店の前の廃屋を改装、立派な店を造った。鳶尾(エンビ)は郡主の嫌がらせに困惑したが、琉璃にとってはまさに渡りに船だという。翌日、嘉敏は鳶尾がわざと落としたちらしを入手、琉璃の店が無料送迎で試食も無料だと知った。その後、鳶尾が街へ出てみると、英王の店・群英食肆(グンエイショクシ)がちらしを配っている。「何々?…無料送迎、試食無料ねえ、ふふ」実はその頃、琉璃は密かに店の出資者を募っていた。「銀子を収めたら、その分の配当がもらえるのよ」5日後、英王の店と琉璃の店・″花花香飲(ファファコウイン)舗″が開店した。田嘉敏が無料馬車を出してくれたおかげで琉璃は何もしなくても多くの客を呼び込むことに成功。しかし飲み物が無料でないと分かると客たちは群英食肆へ行くという。「でも飲み物が入っている瓢箪には細工があるの!」田嘉敏は客入りが思ったほどではなく落胆していた。すると琉璃の店で飲み物を買った客たちが何やら盛り上がっている様子を見かける。聞けば飲み物を入れた瓢箪には蝋が貼ってあり、剥がすと文字が出て来る仕掛けになっていた。そして4文字を集めて成語ができると人形と交換してもらえるという。すでに花花香飲舗では瓢箪と人形を交換しようと、長い列ができていた。その夜、屋敷に戻った琉璃は店の帳簿に四苦八苦していた。すると皇太子が現れ、琉璃に真珠がつまった化粧箱を贈る。「殿下?!…盗んだのですか?」「受け取れ」そこで琉璃は店の商品の味見を頼んだ。姫元溯は美味しそうに飲んでいたが、やがて顔が真っ赤になり、目が据わってしまう。「お酒は入れていないのに…」「余は酔っておらぬぞ…余は…このまま県主のそばにいたい…」「ダメです殿下、私が送ります」琉璃は皇太子を連れて外に出た。すると姫元溯は庭の石段に座り込んで居眠りしてしまう。琉璃は仕方なく一緒に腰を下ろし、皇太子が目を覚ますのを待つことにした。「殿下、月がきれいですよ?…本当は鴻臚寺卿なんてなりたくない 父は″人の身になれ″と言うけれど、私が守りたいのは花家です 国に尽くした花家にこんな仕打ちは酷すぎる… …まだ起きないのかしら、殿下?」寝たふりをしていた元溯はそこで目を開いたが、思いがけず自分の顔をのぞき込んでいた琉璃の顔が目の前にあった。姫元溯と琉璃は気恥ずかしくなって慌てて離れた。すると動揺した元溯は酔ったふりも忘れ、急にしらふに戻ってしまう。「帰るよ…そうだ、もう1つ贈り物がある、屋敷で朗報を待っていろ」「殿下、今夜のことは内緒にしますね、ふふ」つづく( ゚ェ゚)おじいちゃん… ←違うw
2024.03.07
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花朝秋月夜(カチョウシュウゲツノヨ) Love Behind the Melody第2話「舞い降りた奇才」元宵節まであと三月(ミツキ)。教坊使の宇巡安(ユージュンアン)は宮廷楽師の官設である左教坊・右教坊・内教坊の副使たちを集め、一月後に最初の選抜を行うと伝えた。今回は皇帝が諸外国の使節を宴に招待することになり、万に一つの失敗もないよう早めに準備することになったという。左教坊・蘇宗辰(スーゾンチェン)と内教坊・李鑫(リーシン)は問題ないと答えたが、陸景年(ルージンニエン)率いる右教坊には未だ琵琶(ピパ)の主席奏者がいないと知っていた。陸景年はかつて宮中の儀礼や音楽を司る太常寺(ダイジョウジ)の長官だった。しかし平民にも楽師の門戸を開くよう上奏し、特権を失うことを恐れた官吏らの猛反発で罷免されてしまう。皇帝が音楽を好むため、教坊は才能がなくても官吏の子女が成り上がることができる踏み台だったからだ。宮中にある内教坊の副使・李鑫はそんな景年を敵視していたが、景年は試験も受けず裏金で教坊に入った李鑫を蔑んでいた。宇巡安は息子の親友である陸景年とは旧知の仲だった。かつて高位にいた陸景年が体面を気にするのではと案じていたが、右教坊も参加すると聞いて嬉しいという。しかし景年は今ではただの楽師で貧しい教坊の副使だと謙遜し、元宵節の賞金目当てだと笑った。宇巡安の息子・宇師傑(ユーシージエ)は美食品鑑定士、その日も料理店の厨房で存分に腕を振るっていた。すると師傑の著書″都の美食図鑑″を買って食事券を当てた客がやって来る。しかし給仕が偽物の食事券だと気づき料理を出せないと断ったところ男が激怒、食事券の真偽を確認に来た師傑まで騒ぎに巻き込まれてしまう。その時、ちょうど居合わせた右教坊の楽師・欣児(シンR)が暴れる大男を殴り飛ばし、追い返してくれた。欣児の食べっぷりと腕っぷしの強さにすっかり惚れ込んだ師傑、そこへ侍女が慌てて駆けつける。陸景年が楽師たちに鳳頸(ホウケイ)琵琶を試し弾きさせることになり、成功すれば主席になれるというのだ。「まだ郎君を納得させた楽師はいませんよ!」実は料理店には偶然にも李颯颯(リーサーサー)がいた。「陸景年、やっぱりあなたでは私の琵琶をいかせないのね~ふふ」そこで颯颯は露店で一番、安い琵琶を手に入れた。翌日、陸景年は今日も楽師たちに鳳頸琵琶を試し弾きさせた。しかし誰も弾きこなすことができず、最後の1人・欣児に至っては残業したくないと帰ってしまう。景年は大きなため息をつきうなだれたが、その時、突然、外から琵琶の音が響き渡った。陸景年たちが外へ飛び出すと、妙音閣(ミョウインカク)の屋根の上であの娘が琵琶を奏でていた。その見事な音にいつの間にか人だかりができている。「縦弾きだわ、しかも撥(バチ)を使っていない」「痩せ細っているのにこんな才能が?!」誰もが初めて見る颯颯の奏法に目を奪われ、素晴らしい演奏だと絶賛した。「どうやら私は彼女を見誤ったようだ、鳳頸琵琶の本物の持ち主なのか?一体、何者なのだ?」景年も颯颯の才能に脱帽、最後まで聴き惚れた。「あら、陸郎君、おじゃまだったかしら?」颯颯が嫌味を言うと、琵琶から転手が取れて屋根から落ちてしまう。「驚いた、壊れた琵琶でこれほど演奏できるなんて…」陸景年は颯颯に琵琶を返し、その才能を認めて右教坊で働くよう頼んだ。しかし颯颯は用があるため留まることはできないという。「姑娘の用とは…夫を探すことか?」景年は捕らえた曲者を颯颯に合わせた。聞けば琵琶を奪えと命じたのは李茹娘(リールーニャン)の夫だという。「夫はどこ?!」「家は南の市(イチ)の西通り、首尾よく奪えたら褒美をくれると…」「なんて男なの?!ちょうど夫を探していたところよ…私が成敗してやる!」陸景年は颯颯を夫の家まで送ることにした。…泥棒を捕まえていたのに黙ってた、しかも夫探しまで手伝うなんて何か魂胆があるはずよ…しかし無事に茹娘の夫の屋敷に到着、颯颯は馬車を降りた。「ここでお別れね〜送ってくれてありがとう」飄々とした陸景年の心は颯颯にも読めなかったが、どちらにしても二度と会わずに済む。一方、景年は馬車に揺られながら、鳳頸琵琶も奏者もいずれ自分のものになると不敵な笑みを浮かべた。つづく( ゚ェ゚)最近の刺客ってみんなこんな感じなの?w
2024.03.06
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第9話「勝負の行方は分からない」皇太子・姫元溯(キゲンソ)があえて釈放した刺客が仲間と合流、おかげで大理時少卿(ショウケイ)・裴済懐(ハイセイカイ)は金珀(キンハク)国の刺客を一網打尽にした。しかし報告を聞いても皇太子は上の空、何が悪かったのか急に叱られ、立たされてしまう。実は元溯は皇太后が花琉璃(カリィウリ)に英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)との縁談を勧めたことが気に入らず、裴済懐に八つ当たりしていた。琉璃は花園を散策中、談笑中の賢(ケン)妃と淑(シュク)妃に出くわした。すると賢妃は美しい花県主に嫉妬し、皇帝の目に留まろうと花園に来たのかと嫌味を言う。琉璃は誤解だと訴えたが、その時、皇太后が現れた。「県主は寿康(ジュコウ)宮の客人ですよ?行きたいところへ行けるはずです」驚いた賢妃と淑妃はひざまついて謝罪、逃げるように下がってしまう。そこへ思いがけず姫元溯が現れた。姫元溯は皇太后の機嫌を取るため、自ら手を取って寝宮まで送ることにした。琉璃は2人が何を話しているのか分からなかったが、雪に残った皇太子の足跡を楽しそうに踏みながらついて行く。「まさか皇祖母が花県主を気に入るとは…」「意図せぬ振る舞いにより誠意が見えることもある 幼子は無邪気だからずっと一緒にいたいと思わせるのね 哀家にとって磨けば光る傷なき玉だわ」そこで元溯は花県主との間に誤解があり、この機に和解したいと頼んだ。皇太后は真意が別のところにあると見抜いたが、ようやく琉璃を解放してくれる。「県主…酒食を設けるゆえ招待に応じて欲しい」「ゴホゴホッ!私は身体が弱いゆえ…」「焼肉だぞ?」「…太后、太子殿下はどうやら大切なお話があるようです!」東宮には大きな柿の木があった。姫元溯が幼い頃に病の床に臥した時、皇后が退屈しのぎに多くの樹木を運ばせたという。他の木は植樹してすぐ枯れたが、なぜか柿の木だけは生き残っていた。「だがその後…余は皇宮に1人残された」琉璃は当時、皇太子から文をもらったことを思い出した。…琉璃妹妹(メイメイ)、母上が亡くなり、返事を書けぬほど悲しみに沈んでいた、余は愛する母上を永遠に失った…「殿下、柿(シ)は事(シ)に通ず、これからは万事、意の如くかと…」姫元溯は自ら肉を焼いて琉璃をもてなすことにした。しかし料理など未経験、肉の焼き方はおろか食材まで見分けがつかない。琉璃はあまりの手際の悪さに困惑し、結局、自ら肉を焼くことになった。(  ̄꒳ ̄)<殿下、肉は網の上に置いて焼くのです( ̄▽ ̄;)<そうやって焼くのか…すると琉璃は辺境での生活を思い出し、両親や兄が出征した時は留守を任されたと話した。「民に寄り添うことで、どんな時も花家が共にあると知らせるためです」一方、皇帝も母后と碁に興じていた。すると皇太后は数日後の祭天の儀に花琉璃も参加させて欲しいという。「しかし先日はか弱い女子を国事に参加させぬようにとご助言を頂きました」「記憶違いでは?…花琉璃と元灝が会う機会を増やしたいだけ」皇帝は花県主が母后のお眼鏡に叶い安堵したが、気がつくと碁石をほとんど奪われていた。姫元溯は琉璃との食事を楽しむと、見せたい物があると言って書斎へ移動した。すると琉璃が幼い頃に送りつけた文や贈り物が大切に飾ってある。「まさかこんなガラクタを今までお持ちだったとは…」「面白いからな」飾り棚には心臓の形をした″流心錘(リュウシンスイ)″という武器や、梅花宴で活躍した下剤・一瀉千里(イッシャセンリ)もある。元溯は全て琉璃の心のこもった手作りの品だと知って喜んだが、やがて文は途絶えたと寂しそうに言った。「辺境で戦が始まり、色々なことがありました、途絶えたことに他意はありません」「あの頃は恋しく思ったものだ」「私も…素直に胸の内を明かせる殿下が恋しかったです」皇太后は祭天の儀を利用し、花県主を鴻臚寺卿(コウロジケイ)の候補者として推挙した。ようやく屋敷へ戻ることを許された琉璃。皇太后は自分が若い頃に好きだった品や琉璃の好物の菓子まで作らせ持たせてくれる。しかし皇太后は別れが辛いのか、顔を見せなかった。「太后!琉璃がお別れを!お身体に気をつけて!」琉璃は回廊から大きな声で挨拶し、偏殿をあとにした。三皇子は後宮を出る琉璃に新しい絵を贈った。一方、姫元溯は琉璃とのわだかまりが解け、宮道で琉璃を見送ることにする。「父皇が下賜した金雀通りの屋敷が良ければ伝えるが…」「結構です、住み慣れた旧宅は落ち着きますし、安全ですから」すると元溯は琉璃が病弱を装う時の必需品である白粉を贈った。晴れて花府に戻った琉璃は本格的に選挙活動を始めることになった。しかし琉璃が療養している間に奔走していた英王は有利、すでに花県主を牽制する宣伝で先手を打っている。そんな中、朝廷で思わぬ問題が起こった。万国朝拝会の準備で広い土地が必要になり、戸(コ)部が強引に民を立ち退かせたという。皇帝が観察使(カンサツシ)に探らせたところ、田(デン)尚書と姚(ヨウ)侍郎の所業だと発覚、朝議で2人は皇帝の逆鱗に触れた。そこで皇帝は英王と花県主に解決を命じ、これで優劣を決めるという。琉璃は早速、問題となっている土地を見に行った。しかし民は立ち退き料をもらったはず、なぜ流民になっているのだろうか。宋光(ソウコウ)の話では皇宮の近くという好立地で不自由なく暮らしていたせいか、金があっても自分で行動する意欲がないという。金珀国の人質・阿瓦(アガ)将軍が都に到着、収監された。すると隣の牢にいる5人が同胞の刺客だと知る。「花琉璃という毒婦を知っているか?!」「花県主?良い人ですよ~」ネー(*´・ω・)(・ω・`*)ネー「牢屋も居心地が良いし、飯も美味いし、嘆く必要はありません」そうそう>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ<清潔だし「お前たち…一体、何があったのだ?!」英王は郡主・田嘉敏(デンカビン)という力強い後援者のおかげで流民たちに炊き出しを始めた。鳶尾(エンビ)は焦りを隠せなかったが、琉璃はどこか余裕がある。「…鳶尾、当代一の病弱な美女を支えてちょうだい」「お任せください」つづく( ๑≧ꇴ≦)将軍と刺客wwwもはやこのドラマの見どころは金珀国か?!
2024.03.06
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花朝秋月夜(カチョウシュウゲツノヨ) Love Behind the Melody第1話「琵琶がつなぐ縁」李颯颯(リーサーサー)は美貌と実力を兼ね備え、数々のコンテストで受賞している人気の琵琶(ピパ)奏者。ボーイフレンドにも事欠くことなく、親友・雯雯(ウェンウェン)が年下の実習生と付き合いたいと相談すれば、あっという間に戦略を練って見事に相手から誘うよう仕向けてくれる。しかしその夜の独奏会、颯颯は演奏中に不思議な声が聞こえ、幻覚に襲われてしまう…『私は都の女子で琵琶の弾き手、皆に美貌を妬まれ、夫には捨てられた 親兄弟もなく、親族に虐げられ、今は病に侵されているの 人生をやり直せるなら日々を慈しみ、あの方と添い遂げたい あなたは李颯颯であり李茹娘(リールーニャン)、願いを叶えてくれたら家へ帰れるわ』…颯颯が目を覚ますと、唐の琵琶奏者・李茹娘になっていた。実は自分の年代物の琵琶は茹娘の琵琶だったと知る。「私たち同じ琵琶を共有していたのね」颯颯は愛おしそうに琵琶の弦をなでると、突然、茹娘の記憶が頭に入って来た。『生まれた日から茹娘は他人のために生きて来た そして今日、無惨にも夫に裏切られた 人生をやり直せるなら夫とは別れ、昔、下馬陵(カバリョウ)で火事から救ってくれた若者を捜す あの方は私を助けて首にやけどを負った…』颯颯は茹娘が書き残した日記を見つけた。『元宵節には赤い衣に身を包み、あの方と息を合わせて合奏したい…』どうやら全てを終わらせるためには茹娘の願いを叶えるしかないらしい。すると突然、茹娘の琵琶を狙う曲者2人が現れた。颯颯は琵琶を抱えて逃げ出したが、これからどうしたものか。…都へ行くしかない、李茹娘の想い人を捜してあげよう…こうして都へやって来た颯颯。すると運良く右教坊(ウキョウボウ)で琵琶奏者を募集していると知る。…まずは職探しね…颯颯は早速、教坊に入った。実は娘たちの目当ては右教坊の副使・陸景年(ルージンニエン)。壇上に現れた景年は応募者10人1組で十八番を演奏させ、それを聞き分けて判断するという。「同じ曲でも善し悪しを聞き分けるのは難しい 楽器も曲も違うのに聞き分けるなんて無理じゃ…」颯颯は近くで見ようと演舞台の真上にある露台へ移動したが、誰かに押されて落下してしまう。悲鳴を聞いた景年は瞬時に反応し、落ちて来た颯颯を抱き止めた。互いに相手の第一印象は高得点。すると颯颯は景年が李茹娘の想い人の特徴と似ていることに気づく。…これで首に傷跡があれば、予想外に早く任務完了ね…颯颯はか弱い娘を演じて取っ掛かりを作ることにした。「あ…足をくじいたみたい」そこで女性の腕で一番、美しい手首を見せながら、控えめなセクシーさで魅了する。景年は怪我をしたのが嘘だと見抜いていたが、自分の周りにいる思いを秘める娘とは違い、珍しい策を講じる颯颯に興味を持った。景年は娘を家まで送ると言ったが、颯颯は遠いので必要ないと断った。そこで景年は身を寄せる場所がなければ空き部屋があると気遣う。すると急に猫が飛び出し、驚いた颯颯は咄嗟に景年の後ろに隠れた。…今だわ…颯颯は一瞬の隙に景年の首を確認したが、傷はない。…違った、駆け引きは終わりね、遊び人みたいだし人違いで良かった…「これで失礼しま~す」しかし裏門から出ようとすると、琵琶を狙う曲者が待ち構えていた。ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ<ここまで追って来たの?!颯颯は慌てて門を閉め、急に疲れたので泊まりたいと頼んだ。その夜、颯颯は助けてくれたお礼に自分の琵琶を景年に譲った。景年は断ったが、颯颯は受け取ってもらえなければ出て行くという。「そこまで言うなら受け取ろう」…引っかかったわ…実はその時、颯颯は教坊に忍び込んだ曲者2人に気づいていた。景年は琵琶を背負って夜の街に出た。すると早速、曲者が現れ、景年に襲いかかる。颯颯はその機に乗じ、琵琶が景年の手から離れたところで取り返した。こうして景年を利用し、曲者を追っ払って琵琶を取り戻した颯颯。しかし箱には琵琶ではなく、景年の手紙と銀子が入っていた。…ただで頂くわけにはいかない、銀五十両をあげよう…景年は曲者2人を捕らえ、右教坊に戻った。どうやら2人の目的はこの琵琶だったらしい。「繊細な造形に美しい色彩と均整の取れた胴、やはり″鳳頸(ホウケイ)琵琶″は最高だな」従者の生金(ションジン)はなぜ郎君が娘の企みに気づいたのか分からなかった。「これほど立派な楽器をみすぼらしい女子が持っているのは妙だ それに泊まるよう勧めると拒んだあと、不自然に気を変えた 教坊の近くにいたこの者たちは明らかに琵琶狙いだろう そしてあの娘は私に琵琶を渡そうと必死だった」「あとで奪い返す魂胆だと踏んで箱に銭を入れておいたのですね?」景年はどちらにしてもあの娘ではこの琵琶を守りきれないと分かった。「これで元宵節の宴での優勝にまた一歩近づいた」一方、裏を描かれた颯颯は怒り心頭だった。「見ていなさい」つづく(^ꇴ^)久しぶりにコスチュームドラマらしい作品が来ました!
2024.03.05
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第8話「予想外の加勢」姫元溯(キゲンソ)を英(エイ)王の対抗馬として推したものの、悪名高き皇太子が鴻臚寺卿(コウロジケイ)に選ばれるのは至難の業だと気づいた花琉璃(カリィウリ)。心配して朝堂の前で待っていたが、突然、謁見を命じられた。何事かと思えば皇太子が花県主を鴻臚寺卿候補に推したという。琉璃は病弱な自分に大任は担えないと辞退したが、皇帝は花家の名声のためにも気概を持てと鼓舞した。「勝ち負けに関わらず、最後まで諦めるでない」姫元溯は宸明(シンメイ)殿の前で琉璃が出てくるのを待った。すると皇太子に気づいた琉璃は膨れっ面、二度と信用しないと言い捨て帰ってしまう。…これが都に呼んだ目的だ、琉璃、悪く思うな…しかし意外にも花府に戻った琉璃はすぐ臨戦態勢に入った。確かに名誉挽回が難しい皇太子に運命を託すより、自分で戦った方がいい。一方、思いがけず鴻臚寺卿の座を許嫁の琉璃と争うことになった姫元灝(キゲンコウ)は祖母を頼った。英王の話では皇太子に強く推されて花県主が立候補することになったが、朝堂で泣きそうな顔をしていたという。「なぜ嫌がる女子を元溯は引っ張り出したのかしら?」そこで皇太后は花県主を呼び、身体が弱いのなら自分の寿康(ジュコウ)宮で暮らすよう命じた。琉璃と鳶尾(エンビ)はその日から寿康宮の偏殿で暮らすことになった。文官たちは皇太后が県主を軟禁したと知り、この機に乗じて英王を勝たせようと企む。一方、皇帝は母の真意を探っていた。実は皇太后は皇太子や英王では琉璃の本性を見極められないと心配し、自分が預かることにしたという。姫元溯は琉璃を助けるため、安康苑(アンコウエン)に雲寒(ユンハン)を呼んだ。この機会に発発(ファーファー)の可愛さを雲寒にも伝えたい裴済懐(ハイセイカイ)、しかし猫が苦手な雲寒は鈴付きの首輪を渡して追い払う。ともかく利発な県主のこと、雲寒は自ら方法を考えるはずだと皇太子を安心させた。琉璃は辺境での逸話を聞かせ、早速、宮女たちを取り込んだ。すると皇太子が現れ宮女たちを下げてしまう。「助けが必要か?」「太子殿下?!ここから出してくださいますか?」「無理だ、協力しすぎると皇祖母に疑われる、今日は祖母のために多彩な生地を持参した」元溯は自分にできることはやったが、琉璃があの頭の硬い祖母にどう対抗するのか見ものだった。琉璃は皇太子のおかげで″生地″が手がかりだと気づいた。確かに挨拶した時、寝殿に並べられた様々な生地が寸分の狂いもなく整然と並んでいたのを覚えている。そこで琉璃は仲良くなった宮女から情報を手に入れ、未の刻に寿康宮に衣を届けていると知った。琉璃は皇太后の衣装選びに顔を出しては、歯に衣を着せぬ意見を伝えた。「衣は着心地や使い勝手も大切ですが、多少の乱れは許されてもいいのでは?」「小娘に何が分かるの?!お下がり!」「はい…恐れながらこの生地を頂いても構いませんか?」「持っていきなさい」すると気分を害した皇太后は他の生地を宮女たちにも下賜した。鳶尾が新たな情報をつかんだ。皇太后は皇后の謀反で重傷を負い、それ以来、布の置き方までこだわるほど規律に厳しくなったという。「それと太后が下賜した生地で衣を仕立てた者を誰も見たことがないそうです」その夜、琉璃は両親が戦で負傷する夢を見て飛び起きた。「花家の名誉は必ず守る、私たちの運命を他人の手に委ねたりしない…」翌日、琉璃は皇太后からもらった生地で仕立てた衣をまとい、妃たちの花見に参加した。すると三皇子・姫元弘(キゲンコウ)があずま屋で絵を描いている。「もしやこれは…賢(ケン)妃と淑(シュク)妃ですね?!」寡黙な元弘は県主を一瞥しただけで、次の絵を描き始めた。「これは英王殿下!」「これは太子殿下ね!」元弘は琉璃に見る目があると分かりまんざらでもない様子、そこで琉璃は自分の絵も描いて欲しいと頼んだ。「すごく可愛い!お見事です」琉璃は三皇子の署名を入れてもらい、自分の似顔絵をもらった。侍女は皇太后に花見の様子を報告した。花県主の衣は妃たちに褒められ、どこで仕立てたのか盛んに聞かれていたという。県主は皇太后から下賜された生地で作ったと打ち明けたが、皇太后が英王のために県主を軟禁しているため誰も信じなかった。結局、賢妃は針子に新しい衣を作るよう命じ、琉璃と同じ藤色の生地を取り寄せたという。また淑妃もさまざまな花の刺繍を施した派手な衣を作ると決めたようだ。皇太后は琉璃がわざと見せびらかすため、花見に出かけたと分かった。すると噂の衣をまとった琉璃が現れる。「素敵な生地を頂いたお礼に贈り物をお届けに参りました」琉璃の贈り物は端切れを縫っただけのいびつな模様の衣だった。皇太后は激怒、すぐに下げろと叱る。すると琉璃は青寒州の民の晴れ着もここではボロに過ぎないと訴えた。「だからあえてボロ切れをかき集め、この衣を縫いました 太后が縉(シン)国の民にとって至上の太后だと伝えたかったのです 今は太平の世です、気楽にお過ごしください」皇太后はあらためて衣を手に取ると、琉璃の裁縫の腕はいまいちだと笑った。「立ちなさい、この衣はもらっておく」皇太后が裏庭に出ると、あずま屋で皇太子と花県主が三皇子を囲んで何やら談笑していた。すると侍女の端錦(タンキン)が思わず賑やかなのは久しぶりだという。皇太后も若い頃は何人かで集まったものだと懐かしんだが、時が過ぎると人心は量り難いと悟り、それも億劫になった。「花県主を見誤っていたと?」「いいえ、でも企みや謀略の全てが悪いとも言えない、大事なのは使い方よ」皇太后は皇帝が英王と花県主の仲を取り持とうとしていることを思い出した。「私は不似合いだと思ったわ、でも利発な者と正直者が一緒になれば助け合える」「では太子殿下とならいかがです?」「太子と花琉璃はどちらもずる賢い、あの2人が一緒になれば災いが絶えない」皇太后があずま屋にやって来た。すると皇太后が琉璃に英王をどう思うかと聞く。「夫婦となれば英王は妻を何より大切にするはずよ」( ̄◇ ̄;)はあ?つづく( ゚ェ゚)え…全然、意味が分からなかったwww ←ちゃんと見ろw
2024.03.05
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安乐传 The Legend Of Anle第11話任安楽(レンアンルー)を連れて太祖が眠る蒼(ソウ)山へやって来た韓燁(ハンイェ)。太祖の墓は眼下に靖国が広がり、墓石の″韓子安(ハンシアン)″の文字は帝家当主の筆だという。しかし皇帝にとって太祖の遺詔は皇家の恥となる愚行に過ぎなかった。実は太祖の遺詔により本来は帝(ディ)家と韓家の血族以外、皇太后さえ山に立ち入ることはできないという。「どうして私は山に入れるの?」「祖父に君を会わせたかった、予感がするのだ、君は私と隆盛の世を築くと… 知己としてそばにいてくれ」「知己になれというならなってもいい、でも太子妃の座を諦めたわけじゃないから」「夫婦にならずとも共に歩めばいい」「嫁荷まで捨てたのよ?どちらにしてもあなたが誰を選ぶか見届けさせてもらう」その時、突然、黒装束の刺客が現れた。簡宋(カンソウ)は江南の帰りに皇太子が蒼山に立ち寄ると想定していた。「しかし任大人がご一緒だとは、誤算でした」「あら、私も騙されたのよ?」簡宋は自分を誘き出すため、皇太子が自らおとりになったと分かった。忠義(チュウギ)侯の暗衛の首領にして稀代の剣の達人である簡宋。韓燁は7年も自分に仕えてくれた簡宋を信頼して禁衛軍を任せていた。「だが江南の視察のせいで忠義侯は焦り過ぎたな… あの夜、刺客は警告だけで誰も殺さなかった、お前の指示だったのだな」韓燁は内偵の存在に気づいていたが、結局、鍾礼文(ショウレイブン)の手紙が決定的な証拠となった。「忠義侯にもご恩があり、やむを得なかったのです」簡宋は皇太子に剣を投げ渡し、正々堂々と戦うことにした。2人は激しい攻防を繰り広げたが、やがて韓燁が簡宋の胸に剣を突き刺す。しかし韓燁はどうしても7年の盟友にとどめを刺すことはできなかった。すると簡宋は自ら剣に身体を突き刺し、崖に身を投げてしまう。安楽は韓燁が簡宋の命を救うため、侍衛を伴わずに来たと分かった。「殿下、いつか私が刃を向けたらどうするの?」「″疑わしきは用いず、用いるに疑わず″…君を信じ続けたい」琳琅(リンロウ)は刑部にいる主に密かに接触した。「新任の知府は江南へ無事に到着、治水工事も始まりました、鍾礼文はどうしますか?」「お前に任せていれば安心だ…鍾礼文には嫌がらせしてやろう」「…任大人のためですね?」「奴は安楽を陥れようとした、礼をしなくては」洛銘西(ルォミンシー)の心にいるのは安楽だけ、琳琅はそれでも主への忠誠が揺らぐことはなかった。古雲年(コウンネン)は任安楽に江南の拠点を潰され、簡宋まで死んだと知った。今や権勢も弱まり安楽への憎しみを募らせる古雲年、しかし情勢に逆らうこともできず、あえて任安楽への褒美を請うことにする。一方、安楽と韓燁は無事に城門へ到着した。「蒼山で太子殿下の見事な一手を見たわ、私を駒にしようと思いついたのはいつ?」「なぜ私の計略に気づいた?」「殿下が安楽に何でも話すからよ」「…君はずっと私の計略に関わっている、これは偶然か?」「偶然というより縁でしょうね」韓燁は安楽の本当の目的が皇太子妃ではないと認めさせたかったが、安楽は茶化して先に行ってしまう。「…任安楽、天高く舞う君の羽を私の手で折りたくないのだ」任安楽が屋敷に戻った。苑琴(エンキン)と苑書(エンショ)は嬉しそうに任安楽の名声が都中に知れ渡り、皇太子への求婚以上の騒ぎになっていると報告する。実は何者かが視察の手柄の9割方が安楽のお陰だと噂を流していた。安楽は洛銘西の仕業だと分かったが、皇太子も関わっていると気づく。しかしどこか気が晴れない様子だった。「小姐(シャオジェ)?太子殿下を本気で好きになったのですか?ふふ」「苑琴?…大(タイ)山でのことを覚えている?」「もちろんです、小姐に命を救われました」「あの辛い過去を決して忘れてはだめ…二度とそんな話をしないで」「分かりました」すると部屋に飾ってある鈴鐺が鳴った。「洛銘西だわ」安楽と洛銘西は帝家の霊廟で合流した。江南での成果で今や朝廷の半分が任大人の支持に回り、これを機に洛銘西は江南にも駒を送り込めたという。一方、安楽は江南で銀貨の持ち主が鍾(ショウ)という男だと突き止めていた。行方までは分からなかったが鍾礼文の屋敷で8万の将兵の名簿を発見、印が付いた生存者十数人の中に鍾海(ショウカイ)という名前があったという。洛銘西は自分が引き続き調べると決め、安楽が皇太子妃選びに出るまでもないと言った。しかし安楽は俗っぽい噂を広めてこそ黒幕が警戒を解いて馬脚をあらわすという。「真相に近づくためよ」「…情に流されて復讐を忘れぬか?」「確かに韓燁は度量も才覚も太子にふさわしい でも我ら8万の将士と九族の仇敵は韓家…彼は韓燁よ」その頃、韓燁は皇帝に謁見、任安楽の功労を上奏していた。実はすでに刑部尚書と古雲年が任安楽への褒美を請う奏状を出してきたという。そこで皇帝は忠義侯を牽制するためにも任安楽を妃にするよう命じ、皇太子の答えを遮った。「話は今夜の宴で直接、安楽へ伝えるがよい」その夜、皇太子と任安楽を労い宴が開かれた。しかし韓燁は縁談の件で安楽と目を合わせられない。すると洛銘西が現れ、安楽と働きたいと奏上したことを伝えた。安楽は応じられないと断ったが、韓燁は内心、穏やかでない。そこへ古雲年がやって来た。「任大人の手柄には私も貢献しているはずだが?」「そうだったわ~古斉善(コセイゼン)も鍾礼文も踏み台になってくれた 感謝の一献を捧げなくちゃ~グビッ! あ、それからお妃の座を譲ってくれたご息女にも~グビッ!プハーッ!」古雲年は安楽の挑発的な態度に呆然、憤慨して帰ってしまう。韓燁は安楽を屋敷まで送った。「着いたぞ?酔ったふりはよせ」そこで韓燁は帝梓元との約束を守らねばならないと伝え、今後は礼節を守るよう釘を刺した。o(`ω´ )o<うわぁぁぁぁん!知らない!安楽が怒ったふりをして馬車を降りると、韓燁は困惑したまま刑部に洛銘西を訪ねた。韓燁にとって10年前の話をできる唯一の相手が洛銘西だった。それにしても一匹狼の洛銘西がなぜ安楽とだけ親しくするのか分からない。「言ったはずだ?私に譲ってくれと…」「つまり刑部に欲しいと?」「私″も″独り身だからな」洛銘西はわざと韓燁を挑発した。「…いつの頃からお前の心が読めぬ」「帝梓元に固執しつつ、私が任安楽に近づくのを恐れるのか?」しかし韓燁は何も答えなかった。左丞相(サジョウショウ)・姜瑜(キョウユ)は忠義侯府を訪ねた。古雲年は帝梓元が下山すれば自分たちへの復讐を企むはずだと警戒したが、姜瑜はたかが子娘だという。「何より陛下が許しても太后が決して認めないでしょう」姜瑜は静観するようなだめて忠義侯府を後にした。「…忠義侯の娘を妃に推すのはやめさせよ、いいか?一挙にではなく徐々にだ」「はい」皇太后は帝梓元の下山に難色を示し、都へ戻るなら″帝承恩(ディチォンエン)″と改名するよう命じた。これに韓燁は憤怒、すぐ参内して抗議しようと決めたが、温朔(ウェンショウ)は事を荒立てれば梓元が苦しい立場に追い込まれると止める。「…独りにしてくれ」一方、安寧(アンニン)公主は靖安(セイアン)侯府で酒を飲んでいた。まさか瑇(タイ)山の永寧(エイネイ)寺に幽閉されている梓元が偽物だとは知る由もない。…あなたが名前を変えるはずない、瑇山で心安らかにね…安楽も翎湘楼(レイショウロウ)で洛銘西から改名の話を聞いた。「怒ることではないわ…実際、子供を生かしたのは恩寵だもの」「よせ、分かっている、君が不撓不屈(フトウフクツ)だと…」それより洛銘西は偽の梓元があっさり改名を受け入れれば怪しまれると心配した。「以前は私たちも名前で呼び合っていたわね、銘西哥哥… でもあなたが私を靖安に送って任安楽が生まれた 不幸な娘を身代わりにして10年も閉じ込めたのよ? 彼女は衣食住と引き換えに私の名を名乗ることになった これ以上、犠牲にはできない、自由にしてあげましょう」翌日、韓燁は改名を強要された梓元の慰めになるかと采微軒で贈り物を準備した。すると突然、安楽が現れ、大事な書物を横取りされてしまう。実はその書は靖安侯が残した蔵書で、靖安侯の筆跡が残っていた。そこで安楽はもし帝梓元が本当に下山したら返すと約束して帰ってしまう。安楽は車の中で本を開いた。懐かしい父の筆跡、安楽は必ず恨みを晴らすと決意を新たにする。つづく( ๑≧ꇴ≦)偽物クルーーーーーーーーーーッ!
2024.03.04
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安乐传 The Legend Of Anle第10話酒を飲んで再び失態を犯した韓燁(ハンイェ)。翌朝、慌てて任安楽(レンアンルー)に謝りに行ったが、ちょうど顔を洗っていた安楽は見えないふりをして韓燁の手を握った。驚いた韓燁は慌てて退散、ばつが悪そうにあずま屋で待っていると、安楽がやって来る。「任安楽、私は酒に弱い、昨夜、非礼があったなら許して欲しい」「もっと大胆に迫ってくれたら太子妃になれたのに~」相変わらず茶化すのが上手い安楽、すると韓燁は天下の隆盛のため安楽の力が必要だと訴えた。「昔、太祖と帝盛天(ディセイテン)が力を合わせたように…」「太子殿下、太祖と帝盛天のような関係は2度とあり得ない」韓燁の思いがけない言葉に安楽は複雑な表情を浮かべたが、すぐ笑顔に戻った。一方、苑琴(エンキン)と苑書(エンショ)は引き続き靖安(セイアン)侯の銀貨の持ち主を捜していた。米店の店主の記憶を元に鍾(ショウ)という男の姿絵を手に入れたが、小さな町だというのになかなか見つからない。すると苑書が絵姿に似た男がふいに店から出て来るのを見た。慌てて追いかけようとしたが、突然、温朔(ウェンショウ)が現れ、視界を遮られた間に見失ってしまう。「あ、その似顔絵は…まさか意中の人なのか?」「苑書の哥哥なの」苑琴は咄嗟に苑書が江南で生き別れになった兄を探しているとごまかした。安楽は韓燁の部屋で横領の証拠となる鍾礼文(ショウレイブン)の裏帳簿とこつ然と消えた500人の工人の行方について話し合った。韓燁の調べたところ、実は沐天(モクテン)府が鉱山の工人500人をわずか3日で集めたという。その時、窓紗に聞き耳を立てる怪しい人影が映った。韓燁は身近に内偵がいたことに気づき、再び一芝居打つことにする。「安楽、私はこれから鍾礼文を訪ねる、君は…」( ・ノェ・)コショッ<殿下、芝居が上手くなったわね安楽に褒められた韓燁は不敵な笑みを浮かべながら偽の文をしたため、侍衛・簡宋(カンソウ)を呼んだ。「よいか、必ず2日以内に刑部の洛銘西(ルォミンシー)へ届けよ」しかしその手紙は鍾礼文に届く。…鍾礼文の裏帳簿を発見…驚いた鍾礼文は裏帳簿の確認に行こうとしたが、突然、皇太子が現れた。その夜、鉱山のある趙家荘(チョウカソウ)に山賊が乗り込んだ。しかし待機していた衛兵が山賊を包囲、苑書と苑琴が現れる。実は韓燁と安楽は鍾礼文が焦って工人たちを始末すると踏み、すでに兵士を忍ばせていた。驚いた山賊は降参し、覆面を外して沐天府の役人だと釈明する。「信じてくれ、趙家荘が襲われると知らせがあり、様子を見に来ただけなんだ!」一方、韓燁は堤防建設の不備を追及しながら時間を稼いでいた。そこへ苑書が駆けつける。「太子殿下、趙家荘で山賊を捕らえました、任大人(ダーレン)が処遇を殿下に尋ねるようにと」鍾礼文は保身のため配下を切り捨て、山賊を死罪にすべきと進言した。韓燁は山賊に罰を下すため、早速、趙家荘に出かけて行った。鍾礼文はその隙に裏帳簿の無事を確認に向かったが、隠し金庫から出したところで皇太子と任大人が兵を率いて乗り込んで来る。…しまった!罠だったか…しかし鍾礼文は万が一に備え、自分の妻妾(サイショウ)たちが帳簿を記したように装っていた。「妻妾たちの帳簿にご興味が?お疑いならどうぞご覧ください」そこで韓燁は人並外れた記憶力を持つ温朔に帳簿を確認させた。温朔は筆跡が被災民救済の文書にある鍾礼文と同じだと指摘、しかも帳簿にある12人の妻妾の名は12人の役人の署名の筆跡と合致しているという。「温朔は一度見たら忘れないって言ったでしょう?望江楼での茶番で墓穴を掘ったわね?」鍾礼文は安楽にまんまとはめられたと気づいたが手遅れ、この裏帳簿が堤防建設費を懐に入れた証拠となり、その場で取り押さえられた。安楽と韓燁は気分転換に河原に出かけた。すると水害の犠牲者を悼む灯籠が川上から次々と流れて来る。安楽はふいに義民の血書を思い出し、胸が張り裂けそうな思いだと吐露した。「太子殿下、いつになれば清らかな大河の水を得られるのかしら? 中には雪辱を果たせず、忘れられる人もいる」安楽は帝家の無念を思うとやるせない。しかし韓燁にも″いつ″とは答えられなかった。「だが安楽、君のような人がいる限り、必ず靖(セイ)国に晴明なる世が訪れるだろう 君は独りではない、どんな時も私が君と共にいる」韓燁の誠実なまなざしは帝梓元(ディヅユアン)の心をゆさぶったが、安楽はすぐいつもの調子に戻った。「それより共に寝てくれればいいのに…」安楽と韓燁は町へ戻った。韓燁は安楽が初めから温朔を利用するため、江南行きに同行できるよう策を講じたと気づく。「ふふ、殿下の指導の賜物ね~」すると韓燁は誰かをそばに置くのは安楽が唯一の例外だと言った。しかし安楽は偶然さえ必然に変えるとはさすがだと笑って行ってしまう。安楽は審理に同行しなかった。沐天府衙(ガ)で支度をしていた韓燁はうっかり安楽の名を呼びそうになり、温朔から安楽がいないと調子が狂うようだと揶揄されてしまう。一方、都では忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)が音沙汰のない鍾礼文を案じていた。夫人は弟に捜査が及べば自分たちも火の粉をかぶると不安を募らせたが、夫から弟が今度もしくじれば2度と生きて会うことはないと釘を刺されてしまう。苑書と苑琴は帝家軍の名簿を探すため、鍾礼文の書庫を調べることにした。しかし思いがけず温朔とかちあってしまう。実は温朔も鍾礼文が貴重な書物を隠し持っていると考え、探しに来たという。そこで苑琴は外で一緒に書物を見ようと誘い出し、その間に苑書は大きな花瓶の中に隠された巻物を発見した。安楽は望江楼で独り物思いにふけっていた。そこへ審理が終わった韓燁がやって来る。鍾礼文は食料や救済銀の着服により死罪、12人の役人は免官され、改めて審理を行うという。また地元の名士は財産を没収され、救済に充てることになった。「本当なら朝廷の救済銀は必要なかった…太子殿下が思った通りの結末ね」「安楽、″私″ではない、″私たち″だ」「はっ!そうだ、こんなに貢献したのだから位階を3つ上げて欲しいわ 美人から数えて~はっ!良媛(リョウエン)?!太子妃までもうひと息ね!」「本気なのか?」「ふふ、でもその前にまだ片付けるべき間者が残っているわね」3日後、韓燁と安楽は江南を発つことになった。すると民がひざまずいて皇太子の帰京を見送ってくれる。「民に愛される皇太子がいることは韓家と靖国にとって幸せね 帝家は停戦のため韓家と天下を二分した でも帝盛天がこの光景を見たら、決断を誇りに思うわ」「太祖と帝盛天のような2人がいなくても、我らには太平の世が訪れるだろう」韓燁は途中で一行と別れ、安楽と2人だけで蒼(ソウ)山へ向かった。…韓燁、まさか私が再びこの場所へ来ることになるなんて…蒼山は太祖・韓子安(ハンシアン)が眠っている山だった。つづく( ๑≧ꇴ≦)江南が片付いた!でも字幕で見てもイマイチ分からなかったわ〜
2024.03.03
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第7話「拷問のごとき初体験」花琉璃(カリィウリ)に誠意が伝わらず、深酒して酔い潰れてしまった皇太子・姫元溯(キゲンソ)。翌朝、二日酔いで目を覚ましたが、裴済懐(ハイセイカイ)から″誇りを捨ててこそ想いが実る″と助言されたことを思い出し、気を取り直して花府へ出かけた。しかし鳶尾(エンビ)が現れ、悪い噂が立たないよう県主とは会えないと追い返されてしまう。そんな中、金珀(キンハク)国との和議が近づき、皇帝が万国朝拝会を催すと決めた。英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)は和議や各国使臣の接遇を担当する鴻臚寺卿(コウロジケイ)に名乗りを上げたが、皇帝は民の意見を繁栄すべく選挙を行うという。しかし相手は皇子、皇帝の長子であり賢妃(ケンヒ)や重鎮・杜(ト)太師の後ろ盾もある英王とあって対抗馬は現れなかった。琉璃は朝議で軍を廃止すべきと上奏した英王が和議に関わることを懸念した。そこで皇太子を対抗馬に立てようと目論んだが、自分から距離を置きたいと突き放したばかり。琉璃は誠意を見せようと安康苑に皇太子を訪ね、梅花苑では心にもない事を言ったと釈明した。「花府へおいでください」姫元溯はまんざらでもない様子で招待を受けたが、琉璃の思わぬ復讐に腹を立てて帰ってしまう。「垢すり以上の快楽がある?なぜ怒って帰ったのかしら?」すると鳶尾が裁縫道具を持って来た。やはり誠意を示すには正攻法しかないという。数日後、姫元溯は裴済懐と投壺に興じながら、このところ身体が軽いと感じていた。「殿下、今日は身体のキレが違いますね!やはり県主と腹を割って話したおかげですか?」「バカを申すな!酷い目に遭ったのだ、死ぬかと思ったぞ? 花府の″香水行″という浴場でな、人夫がざらざらな石で余の背中を何度もこすったのだ」裴済懐は皇太子の誤解に気づき、花県主は垢すりで皇太子をもてなしたのだという。ようやく元溯は最近、気分爽快なのはその垢すりのお陰だと分かった。郡主・田嘉敏(デンカビン)は立候補した英王を応援するため、大金を注ぎ込んで選挙活動に協力した。一方、皇太子の懐柔に失敗した琉璃は慣れない針仕事で四苦八苦。すると侵入者を知らせる鈴の音が響き渡る。ちょうど中庭の仕掛けを強化したところだったが、罠にかかったのは皇太子だった。「仕掛けを止めて!…殿下、お知らせくださればいいのに」琉璃は皇太子の破れた衣を縫うことにした。元溯は実は垢すりが青寒州の習慣で、あの石もわざわざ青寒から持ってきたと知る。「殿下には合わなかったようですね…」青寒州は民が多いのに湖が1つだけ、金珀国もその地を狙っていた。戦に勝てば年に数回は湯浴みが叶い、負ければ水を節約しなければならない。琉璃は水が簡単に手に入る都と違って辺境では垢すりが最高の贅沢だと教えた。「いや、余もかつてない経験ができた、感謝している」「本当ですか?」「本当だ」元溯は琉璃にも可愛い一面があると気づき、内心、嬉しくなった。すると琉璃が手作りの香袋をくれる。「白熊か?白ねずみ?」「発発(ファーファー)です!」「猫とは…」琉璃は皇太子の機嫌が直ったところで話があると切り出したが、元溯は急に態度を軟化させた琉璃を怪しんで引き上げてしまう。金珀国の刺客がすっかり鳴りをひそめ、姫元溯は新たな作戦に出た。投獄した2人に恩赦を与えてわざと釈放し、さらなる刺客を誘き出すという。例え黒幕が姿を見せなくても、手がかりをつかんで辿って行けば刺客を一網打尽にできるはずだ。琉璃は再び皇太子の説得を試みることにしたが、姫元溯は安康苑にも東宮にもいなかった。すると大理寺に停まっている東宮の馬車を見つける。琉璃は鳶尾と一緒に皇太子が出てくるのを待っていたが、ちょうど解放された例の刺客たちを見かけた。「おなじみさんだわ~」琉璃は大して気にも止めなかったが、その時、ようやく皇太子が現れた。「殿下~!」琉璃の声に気づいた姫元溯は裴済懐に香袋を預けて逃したが、一足遅かった。小白(ショウハク)の正体を知った鳶尾に猛追され、大街で捕まってしまう。「悪かった、説明させてくれ」一方、琉璃は安康苑に同行し、皇太子も鴻臚寺卿に名乗りを上げて欲しいと頼んだ。英王は花家に偏見があるが、世継ぎである皇太子なら他国との関係を考慮して花家を公平に見て欲しいという。しかし姫元溯はそれだけの知謀があれば自分の助けなど必要ないはずだと言った。「余の前で芝居をする必要はない、正直になったらどうだ?」「つまり殿下は私を疑うばかりか、花家の忠義も疑うのですね?」琉璃は皇太子の意図を誤解し、憤慨して席を立ってしまう。「…また失敗した」元溯は落胆したが、なぜか琉璃が急に戻って来た。怒って寝殿を出た琉璃だったが、侍女が足音も立てずにお茶を運んできたことを不審に思った。そこでわざとぶつかって茶碗を落としてみると、侍女はすぐさま反応して茶碗を受け止める。琉璃はやはり武芸のたしなみがあると気づき、咄嗟に引き返した。「お茶ぐらいは頂いてから帰らないと…」琉璃の予想通り侍女は間者だった。琉璃に見抜かれた侍女は皇太子に襲いかかったが、侍衛が駆けつけ事なきを得る。実はその女は何年も潜伏して機会をうかがっていた。「釈放した刺客に罪を着せようとしたのか?…だがお前は余の策にはまった」姫元溯は助けてくれた琉璃に感謝し、鴻臚寺卿の件を承諾した。その夜、屋敷に戻った琉璃は鳶尾が裴済懐のために泣いていたと気づいた。「私を騙して、顔を見たら逃げるなんて…」確かに裴済懐を指名したのは自分だったが、鳶尾の怒りはまだ収まらない。一方、雲寒(ユンハン)は青楽(セイガク)から皇太子の近くに忍ばせていた間者が全て排除されたと聞いた。「…当分の間は動かないことにしよう」「実は…旦那様が職責を忘れるのではないかと心配しています」雲寒は思わぬ指摘に驚いたが、そこへ皇太子がやって来た。姫元溯は雲寒に花家に対する見解が変わったと明かした。琉璃への疑いが完全に晴れたわけではないが、芝居ではない素顔を見たという。初めて謁見した時、琉璃は兵士の鎧を見せながら熱弁したが、あの時の偏見に対する憤りと、忠君愛国の心は芝居では決して出せないものだった。「信じてみよう…お前を信じた時のように」翌日、姫元溯は朝議で鴻臚寺卿に相応しい者がいると上奏、自分ではなく花県主を推挙した。文官たちは皇太子が花家の軍力を取り込むつもりだと非難したが、皇帝は本人から直接、意見を聞きたいという。「父皇、ちょうど外に控えております」つづく( ゚ェ゚)リーフェイは悪役?!でもこれは私のリーフェイじゃない…え?w
2024.03.02
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第6話「皇太子の弱み」英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)が県主・花琉璃(カリィウリ)の見舞いにやって来た。琉璃と侍女・鳶尾(エンビ)はなかなか帰ろうとしない英王に手を焼いていたが、そこへ皇太子・姫元溯(キゲンソ)が現れる。「王兄、少しは反省したかと思えば、もう押しかけて邪魔をしているとは…」「母妃から罰は受けた、花県主よ、安心するが良い、今後は私が県主に寄り添い、守る」一方、金珀(キンハク)国の刺客は県主の暗殺にまたしても失敗、無力感に苛まれていた。県主は確かに使用人に扮した刺客が毒を盛った砂糖漬けの果実を食べたはずだが、なぜか死んでいない。( ー̀ωー́ )<諦めよう今は英気を養って時期を待つそれがいいっス、兄貴!>(・ω・`(・ω・`*)琉璃は昼餉に辺境の癖の強い料理を出し、ようやく皇太子と英王を追い返すことに成功した。「これじゃ本当に病気になりそう…」やけに自信満々で許嫁面してくる英王と刺客の捜査と称して付きまとう皇太子。どちらにも頭が痛い琉璃だったが、皇太子は梅花宴で下し薬と知りながら、なぜ自分をかばってくれたのだろうか。しかし姫元溯は狡猾そうで相変わらず考えが全く読めず、琉璃は油断できなかった。金玲苑(キンレイエン)は都で人気の酒楼だったが、その実、皇太子の情報機関の隠れ蓑だった。姫元溯は自分と花琉璃との関係図を眺めながら、刺客が金珀国の者だと分かれば琉璃と金珀国も無関係だと証明できるという。「何を企んでいるか分からぬが、悪辣な人物とは思えぬ」すると楽師である間諜・雲寒(ユンハン)が別の手段で県主を理解してはどうかと進言した。「殿下の懸念材料を取り除くため、引き続き県主の考えを探ります ただ…県主が潔白だとお思いなのに、私の報告の誤りを責めぬのですか?」「何を責める?余の耳には多くの知らせが入る、当然、全てが真実とは限らぬ」互いに腹を探り合う琉璃と元溯、しかしまだ本当の黒幕が誰なのか分かっていなかった。…金珀国の刺客は泳がせておけ、その方が私には都合が良い県主が本当に病弱なら今も無事でいられると思うか?太子も本当に横暴なら陛下が立太子するはずがない…そんなある日、姫元溯は琉璃の本性を暴くため格技の会へ連れ出した。病弱を装う琉璃は運動とは無縁だと困惑したが、元溯に壇上へ引っ張り上げられてしまう。「今日は護国大将軍と長安(チョウアン)侯の令嬢自ら審判をしてくれるそうだ!」その時、運良く英王が駆けつけ、県主が怪我をしたら危険だと反対してくれたが、琉璃は皇太子がそう簡単にあきらめないと知っていた。「分かりました」琉璃の合図で試合が始まった。すると力士たちは取っ組み合いながら、なぜか審判の琉璃を追いかけ回し始める。琉璃は逃げ惑うふりをしながら上手くかわしていたが、これが皇太子の罠だと気付いた。力士に追い詰められれば自分が武芸を使うしかないと思ったのだろう。その時、皇太子の声が聞こえた。「県主、気をつけろ!」そこで琉璃は壇上からうっかり落ちたふりをして皇太子に抱きついた。予想外の出来事に言葉を失う元溯。…これは一体、何事だ?!…しかし次の瞬間、琉璃が急に身をかがめて小さくなり、勢い余った力士が皇太子の上にのし掛かってしまう。「…殿下~?大丈夫ですか~?」「グフッ…さすが花県主、見事な腕前だ」皇帝は文官たちの上奏を聞いて激怒した。あろうことか皇太子が花県主を格技の会に連れ出し、力士に襲わせたという。姫元溯は考えがあって動いていると重臣たちに反論、生捕りにした刺客2名も金珀国の者だったと明かした。大臣たちは金珀国の死士なら口が固いはずだと驚いたが、何でも皇太子が一芝居打って口を割らせたという。実は大理寺少卿・裴済懐(ハイセイカイ)は激しい拷問で罪人をなぶり殺していると見せかけ、刺客を怯えさせていた。刺客たちがすっかり憔悴したところで皇太子の審問が始まり、未解決の事件をすべて金珀国の仕業にするよう指示する。刺客たちは横暴だと反発、うっかり″我が国″を侮辱するなと叫んでいた。そこで元溯は捕らえた刺客が機密を白状したと国中に触れ回るよう命じる。「金珀国が自国の民をどう扱うか見ものだな」姫元溯にとって文官たちは頑固なだけでむしろ花県主より扱いやすかった。花家を探るため思わぬ屈辱に耐えることになったが、考えてみればまだ耐えられるという。驚いた裴済懐は思わず何を企んでいるのか聞いた。「本音を見せる」「それはかなりの屈辱ですね」一方、郡主・田嘉敏(デンカビン)は花琉璃に理想の夫である英王を奪われ、悶々としていた。すると母から欲しいものは勝ち取れと発破をかけられてしまう。その頃、鳶尾は県主が力士に皇太子を押し倒させたと聞いて困惑した。しかし琉璃はこれで皇太子に煩わされずに済むと安堵し、しかも収穫があったという。「実は太子殿下の弱みを見つけちゃった」…ふふふ、ああ見えて女子には弱いのね…そこへまた皇太子が現れた。鳶尾はてっきり皇太子が復讐に来たと思ったが、元溯はただ県主を誘いに来ただけだという。姫元溯は宮中の梅花苑に琉璃を案内した。…私が死にそうになった場所へまた連れて来るなんて、嫌がらせ?…一方、母に煽られた嘉敏も英王を探して庭園を訪ねた。するとちょうど池を眺めている英王を見つける。嘉敏は梅花宴での誤解を解くため、英王の御尊顔を拝見して審美眼を養いたいと申し出た。気を良くした姫元灝は自分の顔を見る機会を与えると許したが、急に恥ずかしくなって帰ってしまう。姫元溯は琉璃に手巾を返した。それは琉璃が都に到着した時に落としたもので、喀血と見せかけた果物の砂糖煮のしみが残っている。「実はあの時から聞きたいことがいくつもある、手巾の血はなぜ果実の香りが? ずっと話したいと思っていた、余に対して隠し事をする必要はないだろう?」「(これで私を制したつもり?侮らないで…) 太子殿下、実は私は身体から果実の匂いがするのです」琉璃は皇太子の弱点を突き、試しに自分の身体を嗅いでみろと迫った。案の定、元溯は動揺ししどろもどろ、琉璃はその隙に帰ろうとしたが、琉璃を引き留めようとした元溯がうっかり琉璃の外套の裾を踏んでしまう。転びそうになって元溯の胸に飛び込んだ琉璃と琉璃が抱きついてきたと誤解する元溯。その時、池から戻った英王が通りかかった。皇太子と英王は奇しくも同じ外衣をまとっている。すると姫元灝は自分が花県主の許嫁だと主張し、未来の妃に近づかないよう警告した。琉璃は英王を利用して逃げ出そうと思いつき、皇太子に今後は距離を取るべきだと訴える。「どうか私のことはお構いなく、今後は英王殿下が守ってくださいます」花県主は英王の馬車で帰って行った。梅花苑にひとり取り残された姫元溯。…ここへ誘ったのは敵ではないと伝えるためだった、なぜ信じてくれぬ?…その夜、元溯は裴済懐と酒を飲みながら琉璃の冷たい対応を嘆いた。「まさかあの男を選ぶとは…打ち解け合えるよう誠意を尽くした結果がこれだ! 証拠となる手巾まで返したのに!」つづく( ๑≧ꇴ≦)リーフェイ出たわ!でも思ってたんと違う( ̄▽ ̄;)
2024.03.01
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第5話「雪中の舞姫」花琉璃(カリィウリ)は賢妃(ケンヒ)から梅花宴に招待された。賢妃と言えば英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)の母。恐らく世間に広まった英王の悪評が賢妃の耳にも入ったのだろう。琉璃は何か裏があると分かったが、この機会を利用し、縁談の取り消しとうるさい皇太子からの解放を目論んだ。一方、密かに英王を慕う郡主・田嘉敏(デンカビン)は、憎き花琉璃も梅花宴に招かれたと聞いて憤慨していた。「あの女に仕返ししなくちゃ!」嘉敏は早速、布の商いを独占する田一族の力を利用し、織物店に手を回した。衣装が準備できず途方に暮れる鳶尾(エンビ)、しかし琉璃はちょうど尚書府からもらってきた真っ赤な帷に目をつけた。梅花宴の当日、東宮を訪ねた裴済懐(ハイセイカイ)はお相伴に預かり酒を頂いた。「これは霑露香(テンロコウ)ですね、本日の梅花宴でも供されると聞きました」姫元溯(キゲンソ)は西域に関する報告書を確認していたが、確かに宴が始まる時間だと気づく。その頃、梅花宴では嘉敏が母・順安(ジュンアン)公主から教授された剣舞を披露していた。賢妃は喜び、かつて公主が衛(エイ)将軍の英姿に憧れて剣舞を覚えたと逸話を披露する。すると嘉敏はその衛将軍の娘がどんな舞を披露するのか見たいと言い出した。「賢妃のお望みとあらば…」琉璃は挑発と知りながら庭へ出た。嘉敏はてっきり琉璃が粗末な衣装ゆえ外套を脱がないと思っていた。しかし外套の下から現れたのは斬新な形の真っ赤な衣装。令嬢たちは琉璃の美しさに見とれ、小雪の中で舞う艶やかな踊りを絶賛した。…息子とは不釣り合いだと思い知らせるどころか、逆に面目を施させた…賢妃の企みは失敗、その様子を遠目から姫元溯が見ていた。琉璃は令嬢たちから一目置かれる存在となった。しかし怒りが収まらない嘉敏は琉璃に言いがかりをつけ、英王が来たとも知らず口を滑らせてしまう。「郡主が私に辛く当たるのは英王殿下をお慕いしているからですか?」「なっ何を言い出すの?!私が惹かれるのは雲寒(ユンハン)だけよ!」そこへ英王が現れ、驚いた嘉敏は逃げるように帰ってしまう。賢妃は息子と令嬢たちを集め、梅花宴を催した本当の理由を明かした。実は先日、息子が花県主を馬で驚かせてしまい、謝罪させたいという。「流言飛語を止めるため、花県主に息子を打ち据えてもらう」「そんなことをしたら私は生きて皇宮を出られません」令嬢たちも賢妃が無理強いしていると困惑、かえって花県主に同情が集まってしまう。すると引っ込みがつかなくなった賢妃は自ら息子を叩き、その場を収めるしかなかった。琉璃は手を替え品を替え仕掛けてくる賢妃に頭を悩ませた。…どう切り抜けようかしら…その時、性懲りも無く侍女に成りすました金珀(キンハク)国の刺客が現れる。…使える…そこで琉璃は偽侍女に声をかけ、酒が欲しいと頼んだ。刺客は思わぬ好機を喜んだが、焦ってうっかり薬瓶を落としてしまう。実はその薬瓶を拾ったのは琉璃だった。琉璃は隠し持っていた一瀉千里(イッシャセンリ)と刺客の毒を取り替え、知らん顔で返す。すると偽侍女は県主の目を盗んで酒に毒を入れて退散、その様子を使用人に成り済ました刺客が見ていた。姫元溯は琉璃がまた何か企んでいると気づいた。そこで宴に駆けつけ、琉璃の杯を奪おうとする。驚いた琉璃は咄嗟に自分で飲み干し、意識を失ったふりをした。侍医が薬瓶を調べたところ、猛毒で知られる三息散(サンソクサン)だと分かった。元溯は琉璃が息絶えたと誤解して悲しみに暮れたが、その時、琉璃が急に目を覚ます。…そろそろ一瀉千里が効いてくる…「無事なのか?!」元溯は安堵したが、琉璃は激しい腹痛に襲われ、厠へ急いだ。侍医は三息散を飲んだ花県主がなぜか腹下しの症状に見舞われたと診断した。しかし姫元溯は薬瓶の毒が満杯なため、琉璃の酒には三息散が盛られていないと気づく。…腹を下す毒と言えば一瀉千里だが…姫元溯は琉璃を馬車まで送った。脱水症状で憔悴しきった琉璃、すると元溯は外套を脱いで琉璃に着せてやる。「あのような宴で勝ち負けを争う必要はない」「花家の名誉に関わるなら戦わざるを得ません… でも私を追い詰めてきた太子殿下がなぜ私を助けてくれるのですか?」「いつ助けたと?…花家の面目を保ちつつ、縁談を進めさせず、毒殺も失敗させた 一石多鳥であったな」元溯は自分と同じように孤軍奮闘する琉璃の苦しみが痛いほど分かった。…花琉璃、そなたの本心が知りたい…一方、鳶尾と車に乗り込んだ琉璃はいきなり血を吐いていた。「小姐?!」「誰にも言わないで」皇帝は梅花宴に刺客が現れたと知り激怒した。釈明に終始する賢妃だったが、皇帝が縁談を保留にすると決め、うっかりあからさまに喜んでしまう。「やはりそなたが刺客を手配したと疑わざるを得んな」「陛下!本当に無実です!」皇帝はともかく刺客の件を皇太子に調査させると決めた。「天子の膝元でかような狼藉を働く者がいるとは…無念だ、心が痛む」琉璃は父からもらった解毒薬のおかげで命拾いした。軍営で幼い頃から琉璃を見守ってきた宋光(ソウコウ)は鳶尾を休ませ、その夜、寝ずの番をする。それにしても琉璃に毒を盛ったのは誰なのか。琉璃は優しい父と母を思い出しながら、眠りについた。翌朝、鳶尾は皇太子に毒の件を報告しないのか確認した。琉璃は自分が企みを見破ったと思わせた方が都合が良いと話し、皇太子についてもまだ悪意があるかどうか分からないという。「病を装う手間が省けたわ」一方、姫元溯は琉璃が毒に気づいて自ら下剤を飲んだと分かった。裴済懐の報告では当日、気絶させられた侍女が2人、他にも怪しい者が1人いたという。「行方知れずです、県主と結託しているのでは?」「余には結託する理由が思いつかぬが…県主の様子は?」「病床に伏せっています、何でも英王殿下が花府へ向かったとか…」すると元溯は血相を変えて飛び出した。「馬を引け!」つづく( ๑≧ꇴ≦)刺客wwwどこが完璧な変装なのかwwwww
2024.02.29
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第4話「望まぬ縁談」林輝之(リンキシ)の奏状のせいで朝臣から非難を浴びることになった花琉璃(カリィウリ)。昌隆(ショウリュウ)帝も県主の行いを知って眉をひそめたが、実はまだ話は終わっていなかった。当初は食事を捨てられ県主に腹を立てた林輝之だったが、散乱した肉を突いていた鶏が死んでしまったという。実は琉璃は罪人の食事にしては豪華過ぎると不審に思い、わざと捨てたのだった。林輝之は命の恩人である県主に心から感謝し、傲慢な振る舞いも刺客の注意を引かぬためだったと気づく。…花県主は正義感の強い聡明な方です…田(デン)尚書の目論見は失敗に終わった。しかし今度は英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)が花家は戦で資金を無駄遣いしたあげく、金珀(キンハク)国と和議を結ぶことになったと非難、ならば軍を廃して交渉を有利にすべきと上奏する。文官の長である杜(ト)太師も賛同し、このままでは国庫が逼迫してしまうと諫言した。琉璃は政については口を出せないと断ると、実は父から2つの贈り物があると上奏する。「朝堂に入らない大きさのため、皆様には外までご足労いただけますか?」高みの見物を決め込んでいた皇太子・姫元溯(キゲンソ)、果たして琉璃はこの難局をどう切り抜けるつもりだろうか。琉璃は朝堂の前に青崖(セイガイ)鎮の模型を展示した。「これは父が演習で使用した辺境の模型です、どなたか戦術のご教示を…」姫元灝は名乗りを上げたものの手旗信号も知らず、琉璃にあっさり負けてしまう。すると悔し紛れにどちらにしても花家が兵権を握っているため出る幕はないと嫌味を言い、太平の世に武官など役に立たないと口を滑らせた。これに武官たちが猛反発、文官と大喧嘩になってしまう。「やめよ!誰も動くな!」元溯が一喝すると、朝臣たちは皇帝がお出ましになったと気づいて静かになった。琉璃は皇帝にもう1つの贈り物を見せることにした。すると箱の中から戦で着用した血まみれの鎧が出てくる。「皆さんは花家がいる辺境だけを見ている、血を流す兵士たちの姿は見えていません 兵士たちは皆、親や子のため、縉(シン)国のために戦ったのです」その時、元溯は興奮した琉璃が設定を忘れていることに気づき、駆け寄った。「そなたの身体が心配でな…」「(しまった!)ゴホゴホ!急にめまいが…」琉璃は戦の厳しさと苦労を語って文官たちを黙らせた。すると皇帝は県主が18歳だと知り、縁談をまとめることにする。焦った琉璃は病弱なため重荷になると遠慮したが、皇帝は最も優秀な相手を婿に選ぶと言って散会した。「賢妃(ケンヒ)を呼んでまいれ」賢妃は息子の縁談が姫元溯の差し金だと疑った。もし文官が牽制する花家の娘を娶れば息子まで巻き込まれることは必至、そこで元灝はまだ子供だと難色を示す。すると思いがけず皇太子が母親の気持ちを汲んで縁談は白紙に戻すよう進言した。皇帝は再考すると決めて賢妃を下げたが、信頼できる臣下は花応庭(カオウテイ)だけしかおらず、深いため息を漏らす。一方、琉璃も花家を守るため、まだ婚姻など考える余裕はなかった。しかも相手が全く好みではない英王とあっては断固拒否しなくてはならない。すると皇宮からの帰り道、鳶尾(エンビ)と露店めぐりをしているところへ英王が馬を駆けて来た。…ちょうど良い機会だわ…琉璃は英王の馬が通り過ぎると同時に卒倒したふりをした。姫元溯は父皇になぜ花琉璃を皇兄に娶らせたいのか尋ねた。「そちが娶るとでも?ふっ…元灝ならきっと花琉璃を守れる」そこへ側仕えの三財(サンザイ)が慌てて駆けつけた。実は花県主が英王の馬に驚いて気絶したという。そこで元溯は辺境では名医もおらず、この機会に花県主を侍医に診せてはどうかと上奏した。琉璃は鳶尾に英王の今日の対応を町へ広めるよう命じた。早速、鳶尾は噂好きな女将や絵師に風聴、瞬く間に尾ひれが付いて英王の評判はがた落ちする。「英王殿下は陛下が決めた婚姻が気に入らず、愛馬で県主にぶつかったらしい」「県主はか弱いから8丈も吹っ飛ばされた」すると皇太子が突然、侍医を連れて花府に乗り込んできた。庭を修繕していた宋光(ソウコウ)は慌てて人夫を下げたが、元溯は刺客がはまった陣だと気づく。…なかなか興味深い…琉璃は慌てて寝所に潜り込み、帷を下ろした。これで琉璃の仮病を暴けると思っていた元溯だったが、意外にも侍医は県主の脈が不安定で貧血気味だという。実は琉璃は自分で経絡のつぼを押し、気血の流れを止めていた。すると元溯は開いたままの兵法書に気づき、琉璃の問題は身体ではなく心だと指摘する。「皇兄との婚姻が嫌で病を装っているのだろう?」しかし琉璃は英王を褒め、勅命が下されれば従うしかないと言った。「ただ…回復するまで時が必要なだけです」「ならゆっくり休むが良い…では」「お待ちください」元溯は琉璃に引き止められ内心、嬉しかったが、琉璃が止めたのは侍医だった。「うちの宋家職は以前、戦場で重傷を負いました、診ていただけますか? 太子殿下はお引き止め致しません、これといったおもてなしもできませんので…」琉璃に冷たくあしらわれた元溯は憤慨、皇宮で最も苦い薬を差し入れるよう命じた。「飲み干すまで見届けよ!」琉璃が恐ろしく苦い薬を一気に飲み干した頃、元溯は裴済懐(ハイセイカイ)と酒楼で合流していた。済懐の報告では生け捕りになった刺客2人は縉国人だとごまかそうとしたが、鎌をかけるとあきらかに敵国人だと分かったという。「太子殿下をどう思うか聞いてやりましたよ~ そうしたら勤勉で美徳と才能があり、手本にしたいと…敵国人と丸分かりです 自国の者なら太子殿下が…(はっ!)」その時、講談が始まった。英王が将来の伴侶に酷い仕打ちをしたという。英王は侍衛の制止を振り切り、病弱な女子を気絶させた。しかも腹立たしいことに責任を取りもせず、未来の妃に謝罪までさせたという。英王は医者も呼ばず、平然と去って行ったとか。すると元溯は済懐に命じ、講談師に銭を渡して続きを創作させるよう命じた。賢妃は息子を中傷する噂が広まっていると知り、心を痛めた。しかし当の息子は珍しく皇太子ではなく自分が話題になったと喜んでいる。賢妃は花県主との縁談には裏があると警告したが、元灝は父皇が花県主には最も優秀な男が相応しいと言ったことから、相手は自分しかいないと自信を見せた。「花県主は私の気を引きたいだけでしょう、母妃大人、考え過ぎですよ」つづく( ゚ェ゚)私はネチッこい男よりポジティブな方がいいけどw
2024.02.28
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第3話「病弱令嬢の庭の秘密」姫元溯(キゲンソ)は花琉璃(カリィゥリ)が屋敷を修復するため、人手が必要になると踏んだ。すると予想通り侍女の鳶尾(エンビ)が大街で日雇い人夫を募り、裴済懐(ハイセイカイ)が花府に潜入することに成功する。小白(ショウハク)と名を変えた裴済懐は鳶尾に取り入って県主を探ることにしたが、宋光(ソウコウ)はそんな小白の様子を見逃さなかった。姫元溯は裴済懐が自ら人夫として花府で働いていると知った。当初は配下を潜入させるつもりが、鳶尾に指名されたのは配下ではなく裴済懐だったという。自分が選ばれ満ざらでもない様子の裴済懐、県主にも怪しい点はなく、姿も心も美しい女性だと絶賛した。ただ県主の造園は奇妙で、まるで陣を敷くような配置だったという。元溯はやはり何か裏があると疑ったが、結局、裴済懐は早々に県主から解雇されることになった。琉璃は昼休みから戻った小白に解雇を言い渡した。確かに小白は一番の働き手だったが、1人が有能すぎると他の者のやる気を削いでしまうという。琉璃の言った通り、小白が辞めると作業がはかどり、日が暮れる頃には仕事が片付いた。鳶尾はお気に入りの小白が追い出され不満気だったが、宋光が小白は皇太子の間者だと明かす。「どうみても小白は普通の人夫ではない、鳶尾に取り入り、庭の造りが陣だと気づいていた」一方、突然、首になった裴済懐は安康苑(アンコウエン)に戻り、酒で憂さ晴らししていた。元溯は琉璃に正体を見抜かれたせいだと指摘したが、裴済懐は大理寺少卿として小娘に気づかれるはずがないと否定する。「くそっ!絶対に尻尾をつかんでやる!」「先は長い」元溯はふいに皇帝との話を思い出した。縉(シン)国はかつて皇后が起こした謀反から立ち直ったばかり、今でも皇后に従った者が潜んでいるという。元溯はいずれその残党が動き出すと警戒し、疑わしい者を探っているところだと報告していた。そんなある夜、花府に金珀(キンハク)国の刺客が侵入した。まさか庭に陣が敷かれているとも知らず、4人は次々に仕掛けを踏んで負傷してしまう。翌朝、元溯は花府に刺客が現れたと聞いて急いで駆けつけた。すると逃げ遅れた刺客が1人、すでに捕縛されている。元溯は裴済懐の言った通り、一見、月並みな庭に仕掛けが施され、敵を撃退したのだと分かった。…花琉璃、やはりただ者ではないな…琉璃は咄嗟に父が寄越してくれた宋光や鳶尾が助けてくれたとごまかしたが、皇太子に気づかれたと勘付いた。しかし元溯は追及せず、刺客と落ちていたじゃが芋を引き取って帰ることにする。「明日は陛下に拝謁する、準備を怠るなよ?」「失礼のないようにします、お気をつけて、太子殿下」安康苑に戻った元溯は裴済懐を呼んでじゃが芋を見せた。「見ろ、傷が付いている」「じゃが芋を暗器にしたと?斬新ですね」「あの屋敷は怪しい、人を増やせ」元溯は腹黒い花琉璃への疑いを深め、美しい顔の下に狡猾な本性が隠れていると警戒した。今日は花県主が謁見する日、文官たちは朝議で花家を槍玉に挙げるべく奏状を携えた。一方、琉璃は病弱に見せるため青白い化粧を施し、最も質素な装いを選んで出発する。すると道すがらふいに馬車が止まり、皇太子が乗り込んできた。「ついでだ、余が皇宮まで送ろう…」元溯は困惑する琉璃をよそに鳶尾を屋敷へ帰してしまう。その時、皇宮へ急ぐ英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)が馬を駆けて来た。ちょうど角を曲がろうとしていた馬車は咄嗟に停止したが、車が揺れた勢いで元溯は琉璃と顔と顔が触れそうなほど接近してしまう。琉璃の美しさにうっかり見惚れてしまう元溯、驚いた琉璃は思わず離れるよう頼んだ。「もちろんだ…すぐ離れる」琉璃は朝堂に呼ばれ、ついに皇帝に謁見した。文官たちは花家を弾劾しようと待ち構えていたが、その前に県主が皇太子の出迎えや重臣たちの贈り物に感謝を示し、出鼻をくじかれてしまう。しかし田(デン)尚書には次の一手があった。皇帝は県主と文官たちが円満な関係だと知り安堵した。すると田尚書が銀青光禄大夫(ギンセイコウロクタイフ)だった林輝之(リンキシ)からの奏状を預かっていると報告する。林輝之と言えば花家の重用を諫めて皇帝の不興を買い、職を解かれ、流罪になっていた。実は林輝之は護送の途中、駅站(エキタン)で花県主と出くわし、屈辱を味わったという。琉璃は罪人が父を弾劾したと知り憤慨、ちょうど罪人に届いた食事を取り上げ、捨てていた。『罪人が肉を食べるなんて贅沢よ、辺境の民はめったに食べられない、民の苦しみを知るのね』林輝之は花県主が傲慢で横暴なのは花家のしつけいのせいだと上奏した。これを機に重臣たちは県主を非難、さすがに皇帝も琉璃の振る舞いに眉をひそめてしまう。琉璃は慌ててその場にひざまずくと…。つづく( ゚ェ゚)いかんせんリーフェイが出てこないことには…え?w
2024.02.27
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第2話「在りし日の文」都の情勢を知ろうと人気の酒楼・金玲苑(キンレイエン)にやって来た花琉璃(カリィウリ)。こっそり楽堂を抜け出したところで運良く仮面の楽師に出くわし、話が聞きたいと頼んだ。「あなた名前は?」「…済懐(セイカイ)です」琉璃は銀子をちらつかせながら横柄な令嬢の正体を聞き出し、謎の皇太子・姫元溯(キゲンソ)についても探った。「太子殿下は残酷だそうね?朝廷では多くの敵を作っているのでしょう?」「良い質問です、太子殿下の敵は掃いて捨てるほどいます、敵の数なら花県主と互角でしょう 果たして花県主は太子殿下の敵でしょうか?味方でしょうか?」「…あなた、本当にただの楽師?」「あなたこそ、ただの客人ですか?」怪しまれた琉璃は咄嗟に話を切り上げた。帰り際にふと銀子が惜しくなって回収したが、楽師に小さな銀を1つ取られてしまう。実はその楽師の正体は皇太子だった。琉璃は楽堂に戻り、鳶尾(エンビ)を連れて慌てて退散した。田嘉敏(デンカビン)は給仕に今の娘が何者か聞いたが、初めて都を訪れた客としか分からないという。「上京したてなのにふてぶてしい…上京したて?花琉璃?!」嘉敏は生意気な娘の正体に気づき、玉京の顔利きが誰か思い知らせてやると息巻いた。翌日、花府の庭に密書が投げ込まれた。…都は危険、注意せよ…それは花家が使う秘密の伝達手段、琉璃は都に味方がいると知ったが、そこへ買い物に出かけた鳶尾が慌てて戻ってきた。何でも戸部を連れた嘉敏郡主に付きまとわれ、買い物を邪魔されて何も買えなかったという。その情報は皇太子にも届いていた。「郡主が県主の食糧を断った?…ふっ、あの娘が花琉璃だと匂わせたかいがあったな」姫元溯は小さな銀子をながめながら、琉璃を試す絶好の機会だとほくそ笑んだ。するとしばらくして花琉璃が挨拶回りと称して尚書府を訪ねたと知る。「災難だな…相手が」田尚書は花家と懇意にしていると誤解されないよう居留守を使った。しかし門前でずっと待っている県主を心配そうに見守っていた民たちが騒ぎ出してしまう。弱い者いじめするな!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ追い詰められた田尚書はやむを得ず県主を出迎えたが、嘉敏はやはり例の娘だと分かった。「少しばかり元気が戻ったのでご挨拶に…」「騙されないで、昨日、姿を見かけたわ」「郡主、一体どこで私を?」「金…あっ…人間違いね」嘉敏は自分も金玲苑にいたことがばれてしまうと気づき、慌てて否定した。田尚書は花家を牽制していたが、嘉敏の母である順安(ジュンアン)公主は違った。楽師から聞いた話では順安は琉璃の母で長安(チョウアン)侯である衛(エイ)将軍に憧れているという。順安は琉璃を歓待、恐妻家の田尚書は口を挟めなかった。琉璃は山のような贈り物を持って尚書府を後にした。嘉敏は琉璃が置いて行った土産がただの焼餅(シャオビン)だと気づき、お気に入り夜明珠まで譲った母を責める。しかし順安は衛将軍の心のこもった贈り物だと思い込み、なぜ感謝できないのかと娘を叱った。「まるで県主を凶悪な面相の門神に例えてたけれど、似てないじゃないの!小遣い半減よ!」尚書府での一件はすぐ広まった。花県主を門前払いすれば民の罵声を浴び、かと言って屋敷に招けば親しいと疑われてしまう。恐れをなした官吏たちは花府へ贈り物を届け始めたが、県主の希望の品と言えばがらくたばかりだった。琉璃は挨拶回りの帰り道、皇太子の私邸・安康苑(アンコウエン)に差し掛かった。焦った琉璃は迂回するよう頼んだが、鳶尾は手遅れだという。「太子殿下が門の前でお待ちです…」琉璃は仕方なく馬車を降りたが、実は姫元溯が眉目秀麗だと知った。「たった1日で回復するとは…驚くほど順応しているな? で、尚書府から略奪したものはいかほどだ?」「誤解です、贈り物を交換しただけです」「ならば余にも贈り物が?」琉璃は仕方なく鳶尾に適当に見繕うよう命じた。しかし戦利品を渡すのを惜しんだ鳶尾が焼餅を渡してしまう。慌てた琉璃は仕方なく銀子を出して誤魔そうとしたが、その時、皇太子が指で銀子を挟む仕草を見て驚いた。…あの楽師?!…姫元溯は琉璃を屋敷に案内した。すると琉璃がちょうど中庭にいた白い猫に気づく。「飼って5年になる、花花(フゥァフゥァ)だ…あ、花(hua)ではない発(fa)、″発発(ファーファー)″だ」「良い名前ですね、よろしくね、発発、私は花花よ」そこで元溯はかつて琉璃から猫も飼っていないと馬鹿にされたと切り出した。「確か母のお腹にいた頃から戦場にいたのだろう? 将来、玉京に行ったら文句を言うだけの文官を叩きのめすと書いて来た」元溯は証拠となる琉璃の手紙を読んで聞かせ、本当の姿を暴こうとした。しかも琉璃が送ってきた毒まで見せたいという。驚いた琉璃は咄嗟に目眩を起こしたふりをすると、鳶尾と一緒に逃げるように帰った。琉璃は幼い頃、見境なく文を送っていたことを後悔した。「太子にとって私は暗殺者なのね…まさか文を保管していたなんて 他にも色々な物を送りつけたかも」すると帰り道、琉璃は見覚えのある酔っ払いの男を見かけた。しかし宋光(ソウコウ)は琉璃に気づくと逃げるように帰ってしまう。宋光は花家軍の兵士だったが戦で足を負傷、戦えなくなって軍営を去っていた。姫元溯は腹心の大理寺少卿・裴済懐(ハイセイカイ)を呼んだ。実は花琉璃との仲を怪しまれないよう愛猫の名前を″花花″から″発発″に改名したという。さらに今後は裴済懐の籍を金玲苑に置くと伝えた。( ゚д゚)<はあ?宋光は琉璃が都へ到着して以来、密かに見守っていた。その夜、花府の近くで金珀(キンハク)国の刺客を発見した宋光は酔っ払いのふりをして衛兵を誘き出し、刺客を追い払う。翌朝、琉璃は宋光を屋敷へ呼んだ。「昨夜はありがとう、この暗号文で危険を知らせてくれたのもあなたでしょう?」琉璃は宋光の力が必要だと訴え、中庭に掲げた花家軍の軍旗を見せた。すると宋光は思わず拝礼してしまう。つづく( ̄▽ ̄;)リーフェイがいない…
2024.02.25
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安乐传 The Legend Of Anle第9話旧友・帝梓元(ディヅユアン)の帰京にどこか不安そうな安寧(アンニン)公主。洛銘西(ルォミンシー)はそんな公主を怪しみ、ちょうど翎湘楼(レイショウロウ)に来たと知って探りを入れた。「10年後の梓元に会いたくないか?」「…戻ったら機を見て会うつもりよ」洛銘西は安寧のわずかな動揺も見逃さなかった。恐らく当時、安寧は靖安(セイアン)侯に悲劇が起こることを知っていたに違いない。しかし任安楽(レンアンルー)のこと、姉妹同然の安寧を決して巻き込まないと分かっていた。「…安楽が留守の間に調べてやろう」江南(コウナン)では任府の苑琴(エンキン)と苑書(エンショ)が銀貨の出どころを探していた。苑琴は生き延びた兵士が銀貨を武器と交換したと予想したが空振り、しかし米店でついに持ち主を突き止める。ただし分かったのは鍾(ショウ)姓というだけで、身分や行方は不明だった。翌日、宴席に招かれた韓燁(ハンイェ)と安楽は江南で最も有名な望江楼(ボウコウロウ)に到着した。すると馬車を降りた韓燁が自ら安楽と手をつなぐ。「人目があるためしっかり芝居せねばな…この技は君から学んだ」「安楽の殿下への想いは芝居じゃないわ」「本当かな?」「ふふ…」その時、安楽はふいに洛銘西との会話を思い出した。…なぜ韓燁の前では己を″安楽″と呼ぶ?…自分に言い聞かせるためよ、これは偽りの身分、安楽の言動は全て嘘だと沐天(モクテン)府の知府・鍾礼文(ショウレイブン)は地元の名士たちを引き連れ、皇太子と任大人(ダーレン)を歓迎した。安楽は酒に弱い韓燁に変わって名士たちと酒を酌み交わし、それとなく名前を聞き出しておく。一方、酒楼の外では苑琴と苑書が馬を準備して待機していた。鍾礼文は仲睦まじい皇太子と任大人のため、贈り物を渡したいと申し出た。韓燁は官吏の安楽が受け取れば罪になると断ったが、鍾礼文は賂ではなくあくまで祝いの品だという。その頃、都でもすでに忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)が任安楽を弾劾する奏書を準備していた。安楽は重罪だと知りながら地元の名士たちから贈り物を受け取った。そこで誰から何をもらったか分かるよう記帳するよう頼む。「ご祝儀と同じでなのでしょう? ならちゃんと書いてもらわないとあとでお礼も言えなくなっちゃう」半ば強引に筆を持たされた古茗鴻(コメイコウ)は仕方なく偽名を使ったが、すかさず温朔(ウェンショウ)からなぜ金(キン)姓に変わったのかと指摘された。「皆さん、温朔は一度見聞きしたら忘れないの、ごまかしてもだめよ」こんなこともあろうかと安楽は記憶力の優れた温朔を同席させていた。安楽はまんまと賄賂の証拠を手に入れ、早速、窓から名簿を落として苑書たちに託した。名士たちは罰を恐れて震え上がったが、その時、皇太子がいると知った被災民たちが望江楼へ押し寄せて来る。実は鍾礼文は買収に失敗した場合に備え、被災民を煽って暴動を起こさせる計画だった。琳琅(リンロウ)は洛銘西に江南での騒ぎを報告した。もし暴動が起きれば責を負うのは鍾礼文ではなく皇太子になってしまう。しかし洛銘西は不敵な笑みを浮かべた。確かに鍾礼文は策士だが韓燁の戦力を見誤ったらしい。任安楽が率いる水軍は3万、鍾礼文の扇動した民は数千人で烏合の衆に過ぎないという。「勝機はないな…」被災民の前に皇太子と任安楽が現れた。韓燁は皇太子として今日中に食糧を配ると約束し、安楽が人質として皇太子が戻るまでここに残るという。すると老人が民の味方である任安楽が言うなら信じてみようと声を上げた。実は東騫(トウケン)の海賊を退治し、高官の息子を懲らしめた任安楽の名前は江南にも広まっているという。「私も靖南の海賊よ、みんなの気持ちは分かる、他人事とは思えないわ!」韓燁は早速、名士たちの家を回って米を集めることにしたが、鍾礼文がすでに手を回していた。名士たちは何かと理由をつけて皇太子に米を渡さなかった。最後に訪ねた屋敷では倉にあると言いながら、時間稼ぎのために延々と歩き回される。一方、待ちくたびれた被災民は米が欲しいと騒ぎ始めた。その時、荷車が到着、被災民たちは喜んだが、安楽は先に名簿を作って人数に応じて配るという。すると2人の男が本当の米かどうか怪しいと反発した。安楽は咄嗟に近くにいた衛兵の剣を抜いて袋に突き刺し、白米が入っていると証明する。実は出発前、韓燁は時間稼ぎのために偽の食糧を用意していた。…黒い縄で縛った袋だけが米だ、あとは君に任せたぞ…被災民たちは安楽の指示に従って静かに並んだ。しかし安楽もそろそろ限界が近いと気づき、焦りを隠せない。その時、煽り役の男が立ち上がり、ふらふらと荷車に近づいて袋に棒を突き刺した。「やはり偽物か…」すると安楽が密かに男の胸に短剣を突きつける。「そっちこそ偽物の身分でしょう?騒ぐなら刺し殺す」安楽は男を連行させ、公平に分けるためにも割り込みすれば罰すると説明した。韓燁は名士たちに翻弄されながらも約束通り日没前に米を届けることに成功した。力を合わせて難局を乗り切った韓燁と安楽、2人は何とも言えない充実感を共有する。一方、計画が失敗した鍾礼文はやけ酒をあおっていた。「憎き太子め!任安楽もいまいましい! もし忠義侯の予想通り奴らが次の一手で江南の水害に関わる気なら逃げ場はない」しかし嫌な予感は当たってしまう。その夜、韓燁は安楽を呼んでお茶で祝杯を上げた。「助かったよ、君が苑書に命じて米店の倉から米と帳簿を持ち出させた で、汚職の証拠を握るためにどこから手をつける?」「もちろん堤防の件よ」実は江南で100万両も投じた堤防が1年足らずで決壊していた。するとちょうど部屋の前で一緒になった苑琴と温朔が報告にやって来る。「小姐、昨年、堤防を築く名目で500人の工人を雇っていました」「…殿下、ですが雇われた工人は見つかりません」韓燁と安楽は相手もすでに調査していたと知り、失笑した。結局、工人も鍾礼文の裏帳簿も行方は分からず、安楽はいきなり行き詰まった。しかし韓燁は帳簿なら隠せても、工人500人を隠すのは難しいと笑う。「つまり殿下は工人から探せと?結局、また公務の話題なんだから〜 でもいいわ、昨日、約束してくれたから」「いつ?!」「昨日、私を″美人″に封じてくれたわ」「美人と褒めただけだ」「まあいいからいいから、一杯だけ付き合って」韓燁は安楽の尽力に感謝して仕方なく酒を飲んだが、再び泥酔してしまう。安楽は韓燁を酔わせて10年前の話を聞き出そうとした。「帝(ディ)家が罪に問われたあと、陛下は証拠を見せた?」「私は…私は見た…10年前…帝家と…それから…庭に海棠が咲いていて…綺麗だったな」「そうね、陛下は何か言っていた?」「陛下は言った…君を皇太子妃にすると言った…何が太子妃だ、ふっ 私の目には小さな女の子にしか見えなかった…」酔った韓燁は梓元を思い出し、とりとめのない話をして酔い潰れてしまう。「酔っ払うと当てにならないわ…」安楽は落胆したが、その時、ふいに韓燁が目を開けた。「任安楽、韓燁は程梓元を娶る…韓燁は太子妃の座を他の誰にも与えられない たとえ他の者に心が動いてもだ…」翌朝、韓燁が目を覚ますと温朔が酔い覚ましを持って待っていた。「殿下?昨夜、安楽姐と何かあったのですか?ふふ」韓燁はふいに安楽を梓元と間違えて抱きついたことを思い出し、慌てて安楽の部屋を訪ねた。すると安楽がちょうど顔を洗っている。「苑琴なの?…太子殿下に酔い覚ましを届けてくれた?」韓燁は自然と顔がほころんだが、その時、安楽が手拭いを取ろうと懸命に手を伸ばすのが見える。仕方なく韓燁は手拭いを取って渡そうとしたが、安楽がいきなり手をつかんだ。「おう…スラリと長くて骨ばってる…苑書?」驚いた韓燁が逃げるように部屋を飛び出すと、安楽は目を開けて笑った。つづく( ̄▽ ̄;)まだ江南が続くのね___
2024.02.24
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第1話「初めての都」昌隆(ショウリュウ)30年の冬、縉(シン)国は金珀(キンハク)国との大戦で護国大将軍・花応庭(カオウテイ)と夫人・長安(チョウアン)侯が敵将・阿瓦(アガ)を生け捕り、勝利した。本来は国を挙げて喜ぶべきところ、文官たちは花家の増長を恐れ、皇位を脅かすことになるとこぞって奏上する。頭を抱えた昌隆帝はこの騒ぎを収めるため、ある聖旨を出した。花家の娘・花琉璃(カリィウリ)を県主に封じ、繁栄する都の暮らしを体験させるという。県主の出迎えを任された皇太子・姫元溯(キゲンソ)だったが、その実、花琉璃が花家を牽制するための人質だと分かっていた。「ようやく会える…果たして彼女は敵か味方か?」玉京(ギョクケイ)に県主を乗せた馬車が到着した。琉璃は矢面に立たされることなど百も承知、そこで出迎えた大臣や民衆の前で深窓の令嬢のごとく、か弱い県主を演じる。実はその時、歓迎の賑わいに紛れて金珀の刺客が花家の娘を狙っていた。大臣たちは花琉璃の様子に困惑した。将軍の娘は毘沙門天の息子・哪吒(ナタ)太子のようにさぞや勇ましい姿だろうと思っていたが、まさか風に当たっただけで卒倒してしまうとは…。その時、突然、刺客が現れ、馬車に襲いかかった。しかしちょうど皇太子が遅れて到着、驚いた刺客は撤収する。すると独り出遅れた刺客・小五(ショウゴ)が何も知らず皇太子の前に飛び出し、あっさり生け捕りになった。姫元溯は侍女・鳶尾(エンビ)が止めるのも無視して県主の馬車に乗り込んだ。確かに花琉璃は気を失っていたが、呼吸が乱れていないところを見ると仮病だろう。その時、琉璃が急に咳き込んで血を吐いてしまう。鳶尾は皇帝から賜った屋敷で早く休ませて欲しいと訴え、その場を切り抜けることにした。すると元溯は県主が下賜された屋敷の辺りは騒がしいと、勝手に療養先を西郊の屋敷に変えてしまう。琉璃は幼い頃、皇太子と文のやり取りをしたことがあった。当時、習いたての字を書くのが楽しくて、家族だけでなく親しい皇族や高官に文を送っている。東宮に戻った元溯は大事にしまっておいた琉璃の文を眺めていた。「文の印象とはまるで違った…どちらが本当の姿なのか」軍営で育った琉璃は幼い頃から弓や馬を操り、手作りの毒を自慢していた。…猫も飼えない殿下は哀れですね…しかし琉璃は元溯が今、真っ白な猫を飼っていることなど知る由もない。皇太子が決めた県主の屋敷は寂れた廃屋だった。鳶尾はあまりに酷い扱いだと嘆いたが、琉璃は軍営の幕舎に比べれば恵まれているという。すると寝殿の前に落ちていた扁額に″花府″とあった。実はここは花家が辺境に移る前の旧宅で、扁額の字を見ると祖父が書いたと分かる。祖父が戦死してから屋敷は放置され、必死に辺境を守っても警戒されるとは難儀なことだ。「太子まで出しゃばってきた、これからも苦労しそうね」「小姐、太子殿下は腹黒そうです」琉璃は寝たふりをしていたので皇太子の顔が良く見えず、何を考えているのか想像もできない。ただ寂れた場所に住めるのはかえって好都合だった。文官たちは花家の動きを見張っているはず、街中では人目があって窮屈だろう。「でも太子を探る必要があるわね… そうだ、さっき金玲苑(キンレイエン)の前を通ったわね?道を覚えてる?」辺境にいる琉璃の耳にも都で人気の楽師・雲寒(ユンハン)の噂は届いていた。何でも雲寒目当てに都の令嬢たちがお忍びで金玲苑に通っているらしい。琉璃は朝廷の情報を集めるため、早速、出かけることにした。そこで荷物から″玉京女子図鑑″を引っ張り出し、都で流行りの髪型と衣に着替えたが…。琉璃と鳶尾は裏庭の外壁の穴からこっそり屋敷を出た。父が若かりし頃に見つけた穴で、母に会いに行く時に使っていたと聞いたことがある。こうして琉璃と鳶尾は門衛の目を盗み、金玲苑に向かった。金玲苑の楽師たちは面で顔を隠し、客人たちの様子を探っていた。実は楽師たちは皇太子の間者、金玲苑は皇太子の諜報機関の隠れ蓑で、ここには各所から情報が集められ、無数に並ぶ小さな箱に振り分けられている。その中には花琉璃の箱もあった。皇太子の腹心で大理寺少卿(ショウケイ)・裴済懐(ハイセイカイ)は県主が落とした手巾を拾って皇太子に届けた。手巾には琉璃が喀血した際、付着した血痕がある。すると裴済懐はその匂いで西域に伝わる果物の砂糖煮だと分かった。「殿下も見抜いていたのですね」「報告の通り花家に謀反の意思があるのなら花琉璃の怪しげな態度にも合点が行く、調べよ」今日は雲寒が新曲を披露するとあって金玲苑は満員だった。琉璃はそれとなく客人たちの話に耳を傾けていたが、隣の席にいた郡主・田嘉敏(デンカビン)と姚文茵(ヨウブンイン)が花家を中傷している。「そう言えば太子殿下が花家の娘を西郊の寂れた屋敷に放り込んだらしいわ」「陛下の意を受けて好き勝手してるとか、早々に復命していれば陛下も警戒しないのにね 花家も運に見放されたわね~」「何ですって?!」すると鳶尾が激怒、相手が誰かも知らず喧嘩を売ってしまう。田嘉敏は鳶尾の時代遅れの装いを見て失笑、田舎娘かと馬鹿にした。憤慨した琉璃はやんわり公の場で花家の話をするのは朝廷への侮辱になると牽制したが、店主が慌てて駆けつける。「郡主、もうすぐ雲寒の出番です…そちらのお二人は静かな席へ移動しては?」「分かりました」騒ぎを起こしたくない琉璃は大人しく引き下がったが、その情報はすぐ皇太子の耳に入った。舞台に雲寒が登場した。店内の娘たちは雲寒の美しさに目が釘付け、琉璃はその隙に広間を抜け出してしまう。…美形の楽師を捕まえられないかしら、どこかの小部屋で役人の話を詳しく聞きたいわ…すると回廊でばったり仮面をつけた楽師と出くわした。「迷ったのですか?それとも人探しを?」琉璃はどこか聞き覚えのある声だと思ったが、ともかくその楽師と話をすることにした。( ๑≧ꇴ≦)私たちのリーフェイ来たわ!つづく( ゚ェ゚)ゲンソって…これだけでもう視聴意欲が落ちるわw
2024.02.23
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安乐传 The Legend Of Anle第8話皇太子が病で朝議を欠席した。忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)は韓燁(ハンイェ)が江南(コウナン)へ出かけたと勘づいたが、すでに迎え撃つ準備は整っている。「お手並み拝見だ」一方、留守を命じられた温朔(ウェンショウ)は密かに皇太子一行を追いかけていた。しかし途中で後をつけていることがばれ、皇太子に帰れと怒られてしまう。「いいじゃない、連れて行ってあげたら?」温朔は任安楽(レンアンルー)の口利きで何とかお供を許され、洛銘西(ルォミンシー)から預かった地図を渡した。皇太子一行は江南へ到着、早速、安楽と韓燁は身分を隠して散策に出かけた。街は平穏で被災民の姿はなかったが、天災で収穫が少ないにも関わらず、店では大口の客相手に米が高額で売られている。「埃っぽい古米だった、恐らく官倉の米だろう、飢饉の備えゆえに埃をかぶる」韓燁はひとまず客桟へ戻って策を練ることにしたが、安楽が止めた。「繁栄の裏にある別の一面も見るべきじゃない?」安楽と韓燁は衣を泥だらけにして顔を汚し、物乞いを装った。すると衛兵が現れ、沐天(モクテン)府の知府・鍾礼文(ショウレイブン)の命令で賎民は城内に入れないという。「2人を連れて行くぞ」安楽は横暴な衛兵に憤慨したが、韓燁は騒ぎにならないようなだめた。賎民たちは郊外の河原に集められ、水のような粥を配給されていた。「あれは辺境の戦に夫や息子を送り出した人たちよ…干ばつの時には自らの手で水路を掘った」「私のせいだ…」韓燁は皇太子として民を守れない無力さに打ちのめされたが、安楽は皇太子ではなく悪徳役人のせいだとかばった。「戻ろう…気づかれぬうちに」韓燁は沐天府を調べるより先に民を助けようと決めた。その頃、翎湘楼(レイショウロウ)では琳琅(リンロウ)が持病に苦しむ洛銘西のため、薬湯を差し入れていた。「公主の侍衛・冷北(ランベイ)ですが怪しい点はありませんでした 辺境に住んでいましたが戦で家族が離散、5年前に公主に拾われ侍衛に…」安寧(アンニン)と冷北が出会ったのは青南(セイナン)山だった。当時、冷北は数十人の北秦(ホクシン)兵を前に窮地に陥ったが、安寧に救われる。冷北は恩人の公主に仕えたいと嘆願、その時、不意をついて飛んできた敵兵の矢から身を挺して安寧を守った。それ以来、安寧は冷北をそばに置き、重用している。冷北は公主のためなら命を投げ出す覚悟と誓ってくれたが、安寧にとって人助けは8万の帝家軍を救えなかった贖罪だった。琳琅は主のため、都では手に入らない長思花(チョウシカ)の種を見つけた。洛銘西は喜び、日向に植えて欲しいと頼む。「沐天府に着いた頃だな、大芝居の幕開けか…」その夜、安楽は韓燁の部屋を訪ねた。「そろそろお客さんが来る頃よ」すると早速、外から剣戟の音が聞こえてくる。中庭では待機していた簡宋(カンソウ)と苑書(エンショ)が刺客に応戦していた。しかし刺客は殺意がなく、劣勢になると全員が自害してしまう。韓燁は刺客の目的が暗殺ではなく警告だと気づいた。恐らくお忍びで江南へ入った皇太子が暗躍しないよう表に引きずり出したいのだろう。「立場を逆転させよう、こちらから姿を現してやる」「いいわね」そこで韓燁は温朔に皇太子の儀仗を整えるよう命じた。「沐天府中の役人に太子のおなりを知らしめるのだ」翌朝、鍾礼文は官吏たちを引き連れ、客桟に皇太子を訪ねた。鍾礼文は色褪せた官服に擦り切れた履き物という出で立ちで、度重なる災害のため食糧を配給し尽くし、備蓄がないと報告する。「だったらなぜ被災民の血書が届いたの?」安楽の素朴な疑問にも鍾礼文は動揺する様子もなく、恐らく被災直後のもので、血書が都へ到着する頃には救済が済んでいたと説明した。「ほお~だったらもう救済銀は必要ないわね」「それは…治水による対策を見直さねばなりませんので」すると鍾礼文は明日、皇太子と大理寺卿のために宴を開くと伝え、帰って行った。安楽は明日の宴をどうするのか韓燁に聞いた。その時、韓燁は客室の様子をうかがう怪しい影に気づき、敵の目をごまかすため安楽と仲睦まじい姿を見せる。安楽は韓燁の目配せで事情を飲み込み、この機に乗じて韓燁に迫った。「お疲れでしょう~衣を解いてくつろいでください」仕方なく安楽に合わせる韓燁だったが、気がつくと間者の姿が消えている。すると韓燁は安楽を突き放し、程度をわきまえろと叱った。「やり過ぎだ!」一方、鍾礼文は皇太子の出方に合わせて2つの策を準備していた。まずは賂で懐柔し、皇太子の手柄をお膳立てして貸しを作る。しかし誠意を見せても受け入れないのなら、被災民を煽って暴動を起こさせるまでだ。韓燁は鍾礼文が宴席で何か仕掛けてくると疑った。しかし安楽は韓燁の余裕の表情から、すでに対抗策があると気づく。「さすがは知己、分かっているな」「…知己?忠実なしもべってところかしら?」「ぁ…その〜」「じゃあ知己の願いを聞いてもらえる?…私を一度でいいから″美人″と呼んで?」「…美人」「やった~!″美人″に封じられたわ!」その頃、都では洛銘西が琳琅の鍼治療を受けていた。主のため都の名医から鍼を学んだ琳琅、3日に1回の治療を続ければ元気になれるという。洛銘西は生まれつきの体質を変えるのは難しいと分かっていたが、琳琅は長思花も直に芽を出すと励ました。すると翌朝、長思花が本当に発芽している。「靖南(セイナン)の長思花は寒さを嫌う、芽が出たのは初めてだ、琳琅、さすがだな…」翎湘楼に安寧公主がやって来た。安寧はまだ明るいうちから酒や舞を楽しんでいたが、そこに洛銘西が琳琅を連れてやって来る。すると洛銘西は舞姫たちを下げ、代わりに琳琅に琴を弾かせた。「これは…梅花落(バイカラク)だわ」「覚えていたか」「もちろん、梓元(ヅユアン)と一緒に習った曲よ でも武術が好きな梓元は身が入らず、太子哥哥にせっつかれてやっと覚えたの」「何でも瑇(タイ)山では1年を通して花が咲かず、鳥の声も夏の盛りだけだとか… そんな生気のない場所で梓元は10年間も孤独に耐えて来たのだな」洛銘西は安寧に揺さぶりをかけた。「まもなく都へ戻る、10年後の梓元に会いたくないか?」つづく( ゚ェ゚)鉄板の米ネタ、さすがにもうお腹いっぱいw
2024.02.22
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覆流年 Lost Track of Time第30話穆澤(ムーヅー)は陸安然(ルーアンラン)の心を手に入れられず、せめて身体だけでも我が物にしようと寝台に押し倒した。しかし安然の空虚な目を見ると、なぜか無性に後ろめたさに苛まれる。「輿入れの日もそんな心のない目をしていたな」「失うものが何もないから…あなたに嫁ぐ時、子が産めなくなる薬を飲んだの」穆澤はなぜ安然がそこまで自分を嫌うのか分からず、激情に駆られて首を絞めた。「私が口にした脅し文句も睦言も全て本心だったのに…そなたは嘘ばかりだ!」すると安然は卒倒してしまう。一方、穆川(ムーチュアン)は二兄を刺激しないよう営造坊(エイゾウボウ)に戻って軍に指示を出していた。そこへ衫越(サンエツ)が駆けつけ、うさぎの燭台を届ける。「小姐が万が一の時にこれだけは守るようにと…」安然は大晦日に皇宮へ向かう前、衫越に穆川への伝言を託していた。「″決して自分を曲げないで、私は死んでも信念を貫く、同じ過ちを繰り返さないように″と…」すると衫越は安然を探しに行くと言って帰って行った。安然はまだ意識が戻らなかった。穆澤は自分の運命を受け入れる覚悟を決めたが、まだ1つだけ自分で選べる事があると気づく。…この生涯にいかに幕を下ろすかだ…安然、ゆっくり眠れ、そなたが目覚める頃には、全て終わっている穆澤は安然を独り残して外へ出た。南星(ナンセイ)はそろそろ移動した方が良いと進言したが、穆澤は逆賊の名を背負って隠れて生きるより、潔く散りたいという。そこでこれまで戦場で生死を共にしてきた兄弟たちを解放することにした。「我が命は今日で尽きる、そなたたちには家族がいるだろう、ここで去るが良い」しかし南星は最後まで慶(ケイ)王のそばにいたいと嘆願、慶王軍も一斉にひざまずき、忠誠を誓った。( ๑≧ꇴ≦)ノ<将士們! ←言いたかっただけw安然の決意を知った穆川は矢も盾もたまらず、自ら軍を率いて二兄の捜索へ向かった。やがて山中で灯りがついた小屋を発見、穆川は寝台に取り残された安然を見つける。「安然?!安然!大丈夫か?」「穆川…どうしてここに?」「町へ向かう蹄の音が聞こえた」「まずいわ…穆澤は皇宮を攻める気よ…」驚いた穆川は慌てて引き返したが、すでに慶王軍は全滅、穆澤は胸に矢を受けていた。将軍は謀反を起こした慶王に止めを刺すべく弓を引いた。その時、穆川が駆けつけ、二兄をかばう。すると皇帝の馬車が現れた。「穆澤…言い残したいことはあるか?」「あなたは万民の上に立つ皇帝、一度も父親だったことはない! 私に与えられるのは評価だけ、愛情などなかった! この命は父皇より賜ったもの、ここに謹んでお返しする!」皇帝は穆澤の言葉に胸が痛み、穆川に任せることにした。「行かせてやれ」穆澤は穆川に支えられながら、母が投げ捨てられた井戸までたどり着いた。「娘(ニャン)…許してください、娘を救えなかった… 九弟、頼みがある…私が死んだら娘の墓の隣に埋葬してくれ」すると穆澤は九弟に短剣を渡し、一思いに殺すよう促した。穆川は二兄を刺すことなどできなかったが、その時、穆澤は最後の力を振り絞って起き上がり、自ら胸を突き刺してしまう。「二哥ァァァァァァァァァァァァァァ!うわあぁぁぁぁぁ!」子供のように泣きじゃくる穆川、その時、ばったり倒れた穆澤の目にちょうど結末を見届けにきた安然の姿が映っていた。朝臣たちは謀反人である穆澤をさらし首にすべきと上奏した。すると皇帝はならば大晦日の騒ぎの時、即座に慶王にひれ伏した者たちも同罪かと牽制する。驚いた朝臣たちはそれ以上、追及できず、皇帝は罪を犯しても自分の息子であると恩情を与えた。皇帝は斉王を皇太子に決めた。冬青(ドンチン)はこれで安然も陸家も安泰だと言ったが、安然は素直に喜べない。「それは穆川が望んだことかしら?」すると安然は慶王府に別れを告げるため、独りで出かけて行った。安然はゆっくり王府を眺めながら書斎へ入った。その時、ふいに穆澤の声が聞こえる。…陸安然、激しくも有意義な人生だった、お別れだ…安然は窓際に立つ穆澤の姿を見たような気がしたが、すぐに消えてしまう。一方、穆川は約束通り二兄を墨(ボク)氏の墓の隣に埋葬した。しかし墓石には何も彫られていない。「二哥、どうか安らかに…また会いに来るよ」穆澤は安然に離縁状と文を残していた。…あの夜、昏睡中だったそなたがうわ言である物語を聞かせてくれたその残酷な悪夢が私を憎む理由なら、夢の中の私になってそなたに謝りたいだがそれほどまでに深く愛された私を羨ましく思う…すると安然は文を燃やしてしまう。「この世は荘周(ソウシュウ)が見る胡蝶(コチョウ)の夢か、胡蝶が見る荘周の夢か…」瀚京(カンケイ)は雨になった。皇太子に封じられた穆川はお忍びで街に出かけ、安然と茶屋で落ち合う。「蘇城へ帰るわ」「決めたんだな」「瀚京は私にとって悪夢の都…ここにいたら悲劇を思い出してしまう 人生をやり直すには離れるしかない」「分かるよ、その傷を癒すには時間が必要だ」「あなたも苦しんだ、でも勇敢だったわ」「安然…君の幸せを祈っている、どんな日もどんな時も笑っていて欲しい」「過去に縛られず、未来を恐れず、今を大事に生きるわ」「会いに来てくれ、待っている」安然は穆川と別れの杯を交わすと、未練を断ち切るように先に席を立った。「行くわ」「元気で」『この世は荘周が見る胡蝶の夢か、胡蝶が見る荘周の夢か』…穆澤、昨日の夜、夢を見たわそこは陽光に照らされ、まばゆく輝く世界あなたが微笑み、私も笑っていた…終わり※胡蝶の夢:″荘子斉物論″より、蝶となって百年も遊んだという夢を見た荘周、目覚めてみると自分が夢で蝶となったのか,今の自分が蝶の見ている夢なのか分からなくなったという故事、この世の生のはかない例え( ๑≧ꇴ≦)こ面白かった!主要キャストも上手かった!最後が安易なまとめに走らない所も、胡蝶の夢でまとめてくるあたりもパラレルワールド全開でイイ!
2024.02.21
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覆流年 Lost Track of Time第29話穆澤(ムーヅー)は護衛・南星(ナンセイ)から報告を聞いていた。陸安然(ルーアンラン)は街に出て衣を買ったが、すぐ戻ったという。「片時も目を離さなかったか?」「採寸のため奥の部屋に入った時以外は…」しかし翊(ヨク)王には怪しい動きがあった。燃灯(ネントウ)大典の準備を任された翊王は灯籠の箱に紛れさせてリン粉を運び込んでいるという。穆澤は翊王が穆川(ムーチュアン)の暗殺を企んでいると気づき、その周到な計画を逆手に取って利用しようと思いついた。一方、皇帝は寵愛する穆川と久しぶりに水入らずで夕食を囲んだ。「緬(メン)国の蜜瓜(ミツウリ)だ、味わってみよ」「感謝します、父皇」しかし蜜瓜を一口食べた穆川は怪訝そうな表情を浮かべた。「どうかしたか?口に合わぬのか?」穆川は慌てて美味しいと答えたが…。大晦日、安然が東屋にいると穆澤がやって来た。穆澤は安然に王府の帳簿を渡し、これからは蕭驚雀(ショウキョウジャク)に代わり管理するよう命じる。「私は皇宮で年越しするため家族と過ごせぬ」「…はい」すると穆澤は安然の寝殿をうさぎの灯籠で飾り付けた。「安然、どこにも行かないでくれ、平穏で幸せな日々が遠からず訪れる…私を待っていてくれ」安然は穆澤の様子がどこかおかしいと怪しみながら、早速、帳簿を確認した。すると半月前に緬国から蜜瓜を10石(セキ)も買っていると知る。穆澤は倹約家のはず、春節とは言え散財するとは思えなかった。「金銀ならともかく、なぜ蜜瓜なんか…」「そう言えば翊王も燃灯大典のために蜜瓜を取り寄せたとか」衫越(サンエツ)から思わぬ情報を得た安然は不審を抱き、さらに帳簿を調べた。「…花火100石?」安然は衫越と一緒に倉庫にある花火を調べた。すると花火の火薬が全て抜き取られている。驚いた安然は蕭驚雀に慶王妃の腰牌(ヨウハイ)を貸して欲しいと頼んだ。「どうかしたの?」「穆澤が謀反を…」その頃、大殿では無事に燃灯大典の儀式が終わり、祝宴が始まった。秦野闊(シンヤカツ)は翊王にそろそろ斉王の身体に毒が回る頃だと耳打ちする。そうとは知らず、大役を終えた穆川は大臣たちと歓談していた。穆澤と穆霖(ムーリン)の思惑が交差する大典、その時、ついに灯籠が爆発して火の気が上がった。臣下たちが逃げ惑う中、穆澤は殿内の騒ぎに紛れて祭壇に仕掛けた火薬に火を入れる。巻き込まれないよう安全な玉座へ逃げたはずの穆霖だったが、思いがけず巻き添えになった。穆川は火に包まれた玉座を見て呆然となった。すると穆澤が穆川の灯した灯籠に翊王が毒薬とリンを仕込んでいたと明かす。「私が毒を除いておいた」「全て知っていたのに、なぜ止めなかった?!」「翊王の計画が実行されなければ父皇と翊王を葬れぬ」「ならなぜ私を助けた?」「誓ったからだ、何があってもお前を守ると…」そこへ慶王軍が雪崩れ込み、臣下たちを包囲した。穆澤は父皇が事故で亡くなり、新たな君主を立てることが当面の急務だと訴えた。臣下たちは慶王に従うほかなかったが、突然、羽林軍が現れ、逆に慶王軍が包囲されてしまう。「さすがは朕の息子だな、慶王殿下」その声は死んだと思っていた皇帝だった。「あの日、大殿で殺しておくべきだった」穆澤は皇帝にすっかり騙された。激情に駆られた穆澤はこれまでの鬱憤を晴らすように自分を蔑む父皇を非難したが、その時、安然が駆け込んでくる。「穆川!…穆川!」しかし安然は穆澤に捕らわれてしまう。皇帝は2人もろとも誅殺せよと命じた。驚いた穆川はその場にひざまずいて命乞いし、皇帝はやむなく穆澤を見逃してくれる。実は皇帝は蜜瓜を食べた穆川の様子をいぶかしみ、密かに検査を命じていた。調査の結果、蜜瓜には火薬の匂いがついていたと判明、しかも翊王が購入した蜜瓜を慶王が全て交換したという。その火薬はすでに祭壇の下にあると分かった。穆澤は蕭驚雀を迎えに王府へ戻った。しかし驚雀は逆賊として生きるつもりはないと同行を拒否する。「穆澤、よくも私の人生を台無しに…私のせいで蕭家は全てを失った 最期にあなたの失態を見られて満足よ、後悔はない」すると驚雀は自ら首を斬り、自害してしまう。安然は倒れた驚雀の姿がかつて雪の舞う宮道に倒れ込んだ自分の姿に見えた。愛する人に嫁ぎ、仲睦まじく暮らせるはずだった安然と驚雀…。奇しくも2人は異なる時代で子を失う悲劇に見舞われた。穆澤は別邸に身を隠した。「陸安然、やはり裏切ったな」「…あの帳簿は私に気づかせるためだったのね」穆澤は絹織物店の店主を脅し、あの日、安然と穆川が密会していたと知った。聡明な安然のこと、帳簿を見れば自分の企みに気づく。そこで安然が穆川の危機に駆けつけるかどうか賭けたのだ。「今となっては後悔している、いっそのこと死ぬまで偽りの幸せに浸っている方が良かった …なぜ九弟を愛しながら私に嫁いだ?逃げる機会もあっただろう?」「大事なものを奪われたからよ…」「その目だ…蘇城で初めて会った時からそんな目をしていたな?何を見ている?!」「あなたの醜い野望が潰える瞬間よ、あなたは至尊の位にふさわしくない」すると激情に駆られた穆澤は安然の首に剣を突きつけた。「ならば穆川ならふさわしいとでも?!」「穆川は決して私に毒酒を飲ませたりしない」「仕方がなかった、正々堂々と生きたかったが、何をしても父に疎まれた」「あなたが選んだ道でしょう?!…あなたは哀れな人よ」「黙れ!確かに心は手に入らぬが、その身体は私のものだ!」穆川は慶王府を捜査し、宮中へ戻った。実は書斎の裏に隠し部屋を発見、ある物を見つけたという。そこで穆川は穆澤の荷物を運び込んだ。皇帝は穆澤が掟を破って亡き生母を密かに祭っていたと知り憤慨したが、最後の箱の中身を見て驚愕する。「二哥の手習いです、評語は父皇の字ですね」他にも戦場から凱旋した際に父皇から賜った賞状もあった。皇帝は穆澤が自分からもらった些細な品まで全て大切に保管していると知る。「…穆澤を呼び戻せ、釈明の機会を与えてやらねばならぬ」皇帝はようやく穆澤を誤解していたと気づき、涙を流した。つづく( ๑≧ꇴ≦)皇帝のせいだったのかーいw
2024.02.20
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覆流年 Lost Track of Time第28話穆川(ムーチュアン)は陸安然(ルーアンラン)を逃がすため、堰堤(エンテイ)の完成式典に乗じて王府から連れ出すことに成功した。穆澤(ムーヅー)は南星(ナンセイ)に追跡させていたが、現地に到着したのは替え玉の冬青(ドンチン)だったと判明する。慌てて捜索するも手遅れ、安然の姿は見つからなかった。穆澤は安然の寝殿の前で座り込み、肩を落とした。…もう戻らぬだろう…しかしその時、安然がひょっこり帰ってくる。「安然!戻ったのか!良かった、良かった…」思わず安然を抱きしめる穆澤、実は安然は穆川の計画を断っていた。『あなたが死んだと思い込んだ時、あなたを失う苦しみに耐えられないと分かったの あなたを残して独りで逃げることなんてできない、私を信じて、すぐに終わる』蕭驚雀(ショウキョウジャク)は亡き兄の敵を討つこともできず、虚しい夜を過ごしていた。すると嬷嬷(モーモー)・容沛(ヨウハイ)から思わぬ話を聞く。実は安然が朝廷に水運を差し出したのは、皇帝に斉(セイ)王との仲を知られたからだった。「皇上は警告する意味で水運を召し上げたのです 兄弟で陸安然を取り合って慶(ケイ)王府が混乱し、その巻き添えで蕭将軍が殺されたと訴えては?」翌朝、驚雀は穆澤の目を盗んで王府を抜け出し、皇帝がいる書房へ乗り込んだ。門衛は直ちに慶王妃を拘束して引きずり出そうとしたが、驚雀は諦めきれず大声で嘆願する。「皇上!話があります!兄は殺されたのです!皇上!」そこへ騒ぎに気づいた皇帝が現れた。蕭驚雀は陸安然が王府に嫁いでからも斉王から寵愛を受けていたと讒言した。それを知った兄・蕭映(ショウエイ)は慶王を守ろうとしたが陸安然の罠にかかり、誤解した慶王に殺されてしまったという。皇帝は激怒、蕭家の恨みを自分が晴らすと約束した。何も知らず翊(ヨク)王に目を光らせている穆澤、すると突然、父皇の使いが現れる。「殿下、側夫人と共に早急に参内せよとのご命令です」一方、穆川のもとにも参内するよう知らせが届いた。聞けば蕭映の死について蕭驚雀が皇帝に直訴したという。穆川は安然の関与が暴かれれば命の危険があると気づき、慌てて父からもらった折り本を探し始めた。穆澤は父皇に追及されても何も知らないと誤魔化した。そこで皇帝は自分を謀った陸安然を即刻、斬首に処すよう命じる。驚いた穆澤はひざまずき、蕭映を殺したと認めるしかなかった。「陸安然は何も知りません、どうか解放してください」安然は御前に戻されたが、皇帝がこれで許すはずもない。その頃、穆川はようやく箱に入れたまま忘れていた折り本を発見、勅命に自ら名を記した。皇帝は2つの卓を準備した。今後、慶王として平穏に暮らしたいのなら料理が並んだ席へ、しかし皇太子の地位を望むのであれば壇上の卓へ来て酒を飲めという。穆澤は迷わず金の酒器から酒を注いで飲もうとしたが、皇帝が止めた。「待て、それは毒酒だ、それでも飲むのか?思い上がりも甚だしい!」「…分かりました」穆澤は仕方なく壇上を降りてもう一つの席に向かったが、皇帝は席に着く前に毒酒を陸安然に渡せと迫る。「従わなければ慶王の座も失う、2人のうちどちらかが飲むのだ 陸安然、どちらを選ぶと思う?」「…殿下の選択なら受け入れます、どんな結果でも悔いはありません」どのみち穆澤は玉座に就けない。安然はこれが最良の結末だとむしろ安堵していた。穆澤は安然に杯を差し出した。しかし生母へ毒酒を渡したあの時の辛い記憶が蘇る。穆澤は思わず安然の手を止めたが、その時、突然、穆川が現れた。すると穆川は安然から杯を取り上げて投げ捨ててしまう。「父皇にお見せしたいものがあります」「川児よ、その決意は今後にも影響するのだぞ?覚悟の上か?」「まだ分かりません、現実から逃げて臆病者になるべきか、権力を手に己が望まぬ者になるべきか 他の道を探しましたが、どこにあるのか見つからなかった ただ私にもかつての父皇のように全力を尽くして守りたい者がいます 以前は志を持つ者と共に奮闘すれば前途は開けると信じていた しかしながら志があるなら他人に頼るべきではない」穆川は苦しむ民のため、愛する人のためにも権力を手に入れる道を選ぶと決めた。「大殿は刑場ではありません、罪名さえ決まらぬ者を殺してはなりません」「いいだろう」皇帝は穆川に預けた勅命を引き取り、懐化(カイカ)将軍に封じて京畿(ケイキ)駐屯軍3万を率いることを命じた。穆澤は喉から手が出るほど欲しかった権力を無欲な九弟にあっさり奪われた。呆然としたまま慶王府に到着した穆澤、しかし安然は激動の1日を過ごしても相変わらず冷静さを失わない。「陸安然、私に嫁いだことを後悔しているか?」「陸家が平穏ならそれ以上は望みません、慶王の栄華は約束された、それで十分です」しかし穆澤は飼い殺しでしかないと怒り狂い、この屈辱を必ず晴らしてみせると誓った。「そなたも帰って休め」穆澤は剣を片手に王妃の寝殿に乗り込んだ。驚いた容沛は自分が入知恵したと訴え、慶王にすがりついて王妃の命乞いをする。しかし覚悟ができていた蕭驚雀は死など恐れないと開き直った。「よくぞ言った、ならどこまで意地を張れるか見てみよう」すると穆澤は嬷嬷を刺し殺してしまう。「あなたは冷酷な人よ…帝位についても蕭家を滅ぼしたわ!」「ふっ、私を良く理解しているな」「あなたを慕っていたなんて、私の見る目がなかった…愚かだったわ 幼い頃の優しさも全て計算ずくだったのね! …王府であなたを愛していたのは私だけだった、お前は2度と誰にも愛されない! それこそお前が受ける天罰よ!」激高した穆澤はついに驚雀に剣を振り上げたが、そこに安然が駆けつけた。「なりません!王妃は身ごもっています!」安然は蕭驚雀が穆澤の子供を産んだことを思い出し、医者を呼んでいた。すると思った通り驚雀が懐妊していると分かる。「陸安然、どうして私を助けたの?」「一途に想う相手となら仲睦まじく暮らせたはず、そんな時、家族を失った 似た境遇の知人がいて、つい口を出しただけ」「…嫁いできたのは穆澤と戦うためでしょう?」しかし安然は何も答えなかった。「そうなのね、なら頑張って、失望させないで」…運命の歯車は穆川と穆澤を敵対する方向に進ませ、皇宮内の情勢は急激に変化したしかしこの新たな展開は誰も幸せにはしなかった…そんなある日、安然は穆川から絹織物店に呼び出された。店主は寸法を測ると言って安然を奥の部屋へ案内、すると穆川が現れる。「君と会うのを避けてきたが、今後は私も遠慮しない、私が片をつける、早く終わらせたい」穆川は愛する人を守るため玉座を目指すと決意、争いもやむを得ないという。「そんな冷酷な顔、初めて見たわ…」「仕方がないんだ」年末が近づき、朝議では大晦日の燃灯大典が議題に上がった。皇帝は例年と同じ様に行うと伝えたが、その時、穆川が今年の祈願役に名乗りをあげる。先を越された翊(ヨク)王は欲深さが見苦しいと牽制したが、穆澤は九弟なら祈願役に相応しいと後押しした。祈願役と言えば例年、翊王が担当していた。穆霖(ムーリン)は穆川に横取りされただけでなく、式典の準備を押し付けられ納得できない。すると秦野闊(シンヤカツ)が真の敵は穆川だと指摘、この機を利用して排除しようとそそのかした。つづくφ(。_。*)カキカキ…誰も幸せにしなかった…?ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ
2024.02.20
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安乐传 The Legend Of Anle第7話翎湘楼(レイショウロウ)に響き渡る琵琶の音。韓燁(ハンイェ)と温朔(ウェンショウ)が店に駆けつけると、ちょうど安寧(アンニン)公主が琳琅(リンロウ)の鎮魂曲に合わせ、剣舞を披露していた。「戦場に散った兵士たちのおかげで今日の都の平和と繁栄がある…」戦のない世を心から願う韓燁、しかし温朔と言えば春の狩りで一目惚れした苑琴(エンキン)が気になって仕方がなかった。「確かに見事な音色だ、でも私は君の琴が聴きたいな」安寧はてっきり任安楽(レンアンルー)がこの曲を弾かせたと思った。「安楽、この歌を知っているの?」「知らない、でも英雄たちの魂の悲しい叫びが聞こえてくる」「この曲の名は安魂(アンコン)、辺境で命を落とした烈士を偲ぶ曲よ」すると安寧は比類なき腕前だと琳琅を讃えた。琳琅は辺境を知らないが、安寧公主と任大人に相応しいと選んだという。安魂の悲しい旋律は安寧の心をかき乱し、帝梓元(ディヅユアン)を思い出させた。「″正を以て国を治め、奇を以て兵を用い、事なきを以て天下を治む… 聖人はやむを得ずして兵を用いる″…私にそう教えた人が外的と内応し謀反を企むと?!」すると安寧はふと安楽の目が梓元とよく似ていると気づいた。安楽は内心、動揺したが、安寧は剣舞のせいか急に酔いが回ってふらついてしまう。そこで琳琅は自分の部屋で休むよう勧めた。安楽は安寧の侍衛・冷北(ランベイ)に酔い覚ましを頼み、安寧を休ませることにした。すると安寧は安楽に梓元の姿が重なり、ふいに配下が江南(コウナン)で手に入れた蓮柄の飾り物を渡す。「裏の刻印を見た配下は怖くなって私に渡したの」梓元の父である靖安(セイアン)侯・帝永寧(ディエイネイ)は太祖より銀貨の発行権を賜った。帝家が滅ぶとその銀貨の使用を禁じられたが、誰かがその銀貨に手を加えて作ったのだろう。その飾りには″靖安″の文字が残っていた。「8万の兵は青南(セイナン)山で全滅したというけれど、これは生存者がいる証しよ 真相を知る者が生き残っている、初めて願ったわ、逃亡した兵士がどこかで生きていることを… 無事でいて欲しい」安寧は胸の内を明かし、酔い潰れてしまう。安楽が安寧に布団を掛けていると韓燁がやって来た。韓燁は安魂がかつて梓元が奏でた曲だと教え、安楽もあの曲の意味を理解できるはずだという。「分かってくれ、安楽、梓元は国の過去を背負っている、特別な存在なのだ」すると安楽は韓燁に安寧を任せて先に帰ってしまう。洛銘西(ルォミンシー)の思惑通り、安魂が大きな成果をもたらした。安楽は安寧から″靖安″と刻印された銀貨をもらったという。「帝家の者が生きているかも…それも江南で」洛銘西はすでに西北を琳琅に調べさせたが生存者はいなかった。しかし江南は忠義(チュウギ)侯の支配下にあり、まだ調べていなかったという。「鍾礼文(ショウレイブン)…生き残り…帝家軍の名簿…江南は興味深い場所のようね」銀貨の謎を解くため江南を調べたい安楽。折しも鍾礼文は義兄の古雲年(コウンネン)に助けを求めていた。江南から血書を携えた義民がまもなく都へ到着するという。古雲年は義弟の尻拭いのため刺客を放ったが、黒装束の女が颯爽と現れ、刺客を始末した。こうして義民は深手を負いながらも大理寺に到着、しかし嘆願の太鼓に手を伸ばしたところで意識を失ってしまう。翌朝、黄浦(コウホ)は大理寺の前で倒れている男を見つけた。男は江南の被災民で、知府・鍾礼文を告発したいという。そこへちょうど大理寺卿に昇格した安楽が現れた。黄浦は血書を託し、男の訴えでは鍾礼文が堤防の建設費を懐に入れて対策を怠り、甚大な被害を受けたという。しかし鍾礼文は忠義侯の義弟、大理寺では揉み消されてしまう可能性が高かった。「…今日は天気もいいし散歩に行ってくるわ」安楽はその足で皇太子府を訪ね、血書を韓燁に渡した。義民を救ったのは琳琅を差し向けた洛銘西だった。計画通り江南の件は表沙汰となり、これで会試不正の一件で勢いの衰えた古雲年をさらに追い詰めることができる。韓燁は清廉な男ゆえ、江南がどんなに危険な場所でも自ら視察へ行くと嘆願するはずだ。安楽と洛銘西の思惑通り韓燁は皇帝に江南の視察を上奏した。そこで韓燁は刑部に洛銘西を訪ね、一緒に江南へ行って欲しいと頼む。「断ります、私より適した者が他にいるのでは?」韓燁は早速、任府へ出かけた。しかし安楽にもあっさり断られてしまう。焦った韓燁はこの重要な任務には安楽寨(サイ)で海戦を経験し、水害に詳しい安楽がどうしても必要だと力説した。すると苑書(エンショ)が安楽寨では懇願する時、必ず宴席を設けて酒を飲むと教える。「…分かった」韓燁は酒に弱かったが、その夜、安楽たちを皇太子府に招待した。一方、嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)も皇太子に同行させるなら適任者は任安楽だと考えていた。あの忠義侯を敵に回した任安楽なら皇太子のために全てを投げ打ってくれるだろう。「それから江南に残っている韓家の者に伝えよ…太子に手を貸すようにとな」その夜、皇太子府はさながら婚礼の祝宴のようだった。吉利(キツリ)の話では苑書から届いた指示書通りに準備したという。( ತ _ತ)<荒唐(ファンタン)…そこへ安楽たちがやって来た。韓燁は安楽に誠意を見せるため飲めない酒をあおり、1本空けただけで泥酔してしまう。酔った韓燁はふらふらと中庭へ出て行った。安楽は呆れて様子を見に行ったが、驚いたことに韓燁が木に登っている。「危ないわ!早く降りて!」「嫌だ!絶対に降りぬ!」すると韓燁は安楽の姿が幼い梓元に見えた。当時、梓元もこうして木に登り、広い天下を見るべきだと諌めてくれたことがある。『もっと自由に生きるべきよ』韓燁は木から飛び降りると、安楽を梓元と勘違いした。「あの時、私も木に登れば良かった…君の言葉通りに…」「殿下?よく見て、私は任安楽よ?」韓燁は目をこすって安楽の顔を見つめると、自分の見間違いだと分かった。「だがどちらも自分の心に正直な女子だ…今宵、宴を設けずともきっと君は江南へ行く」「ならどうして宴を?」「君に喜んで付いてきて欲しかった…君は大切な人だと伝えたかった…そばにいて欲しい」 安楽は韓燁の思わぬ告白に心がざわめいた。翌朝、韓燁は温朔から自分が木に登ったと聞いて驚愕した。実は温朔も侍衛の簡宋(カンソウ)も皇太子の世話を忘れてすっかり酔ってしまったという。「荒唐…また任安楽に弱みを握られた」韓燁は昨夜の記憶が全くなかった。ともかく任府を訪ねて江南行きの日程を決めるつもりが、安楽は承諾した覚えがないという。「酔った殿下が木登り、降ろすのが大変だったわ~ 殿下は私を離さないと言って抱きしめ、さらに梓元の名を呼び続けて…で、どうしたっけ?」「もう良い!」すると怒った韓燁は帰ってしまう。「小姐、楽しそうですね?」「そうかしら?」苑琴と苑書は安楽がこんな風に笑うのを見たのは久しぶりだと言った。韓燁は安楽の説得に失敗、皇帝を訪ねた。しかし皇帝は安楽が江南への同行を奏請したと教える。「任安楽め…ふっ」こうして安楽は計画通り皇太子のお供として江南へ向かうことになった。つづく( ๑≧ꇴ≦)戦う琳琅かっこいい!
2024.02.19
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安乐传 The Legend Of Anle第6話翎湘楼(レイショウロウ)に皇太子を呼び出した任安楽(レンアンルー)。韓燁(ハンイェ)は申し訳なさそうに古斉善(コセイゼン)が減刑されたと伝えたが、安楽は普段通りを装った。「また機会はあるわ、じゃあ今日は殿下のおごりね?」すると安楽は講談師を呼び、女海賊が皇太子に求婚する物語を聞かせて欲しいという。しかし講談師は皇太子の手前、台本が手に入らなかったとごまかし、安寧(アンニン)公主が西北の国境を守る話にすると言った。(^ꇴ^)b<それだ( ತ _ತ)<アンルーよりアンニンがいいのね(ボソッ…今上陛下を父に持つ公主とくれば、男顔負けの勇猛ぶりで向かうところ敵なしその人こそ安寧公主なり幼い頃より武術を愛し、12歳にして秋の狩りで優勝を果たす…靖(セイ)国の西北は北秦(ホクシン)国に隣接し、長年、休戦中とは言え国境には盗賊が出没していた。しかしこの6年、民の平和が保たれているのは安寧公主による獅子奮迅の働きのおかげだという。安楽は堅苦しい武勇伝などつまらないとぼやいていたが、その時、突如、帰京した安寧本人が宴席に乗り込んで来た。「あなたが任安楽ね?」「あなたが伝説の安寧公主?実物の方が粗暴みたい」「死にたいの?」安寧は剣を抜き、安楽に襲いかかった。驚いた韓燁は止めようとしたが、安寧の侍衛・冷北(ランベイ)に邪魔されてしまう。安楽は置物の宝剣を抜いて応戦し、安寧を広間の大階段に誘い出した。2人は満席の店内もお構いなし、激しい腕比べを始める。しかし勝負は互角、やがて安楽と安寧は同時に相手の首に剣を突きつけた。「ふふ、やるわね」「満足したわ」すると意気投合した安楽と安寧は酒を酌み交わし、客たちを証人として義姉妹の契りを結んだ。安寧が酒楼で大暴れした話は皇帝の耳にも入った。嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)はこのままでは駙馬(フバ)も迎えられないと頭を抱えたが、安寧は平凡な女の人生など望まないという。さらに重臣たちまでこぞって皇太子妃を早急に選ぶべきと上奏、その大半が忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)の娘を推挙した。どちらにしても皇太子妃を空位にしておくのは国の根幹に関わる。しかし誰を選ぶかは皇太子本人という結論になり、話は堂々巡りだった。一方、安楽は洛銘西(ルォミンシー)と次の作戦を練っていた。安楽の狙いは古雲年の義弟で共に帝(ディ)家を陥れた鍾礼文(ショウレイブン)。今や出世して沐天(モクテン)府の知府となり、工部と結託して好き勝手しているという。何でもその手に帝家軍8万の名簿を隠し持っているとか。しかし洛銘西の考えは違った。安楽の暗殺にしくじった古雲年がこのまま引き下がるとは思えず、万が一にも正体が知られては危ない。そこで偽物の帝梓元(ディヅユアン)を下山させることができれば格好の隠れ蓑になると言った。実は古雲年が大臣らと手を組み、娘を皇太子府に送り込もうと企んでいるという。「帝梓元を呼べば混乱に乗じて利を得られるぞ?」皇帝は皇太后・孫瑜君(ソンユクン)からも皇太子の婚姻を急ぐよう催促された。皇太后はすでに王侯貴族から名家まで妙齢の娘たちの釣書を集めさせたという。そこで皇帝は皇太子にこの中から皇太子妃を選ぶよう命じたが、韓燁は先帝の遺詔に従い帝梓元を娶ると譲らなかった。皇帝を激怒させた韓燁は寝殿の前で嘆願を始めた。すると翌朝、安楽が現れる。「太子殿下、私が助け舟を出してあげる」安楽は皇帝に謁見、忠義侯の娘が嫁ぐという噂を聞いて慌てて駆けつけたと言った。「私は嫁荷を失い、太子妃の座を奪われ、忠義侯も怒らせて踏んだり蹴ったりです」「朕が選ぶならそちを皇太子妃に望む、だが残念ながら選ぶのは太子だ」皇帝は聞き分けのない韓燁に手を焼いている様子、そこで安楽は婚姻ではなくお妃選びを開き、帝梓元も参加させてはどうかと進言した。皇太子は帝梓元しか眼中になく婚姻に後ろ向き、まずは太子殿下が最初の一歩を踏み出す必要があるという。「帝梓元さえ盤上に置けば太子殿下は必ず参戦します」皇帝は皇太子に聖旨を渡した。…容姿端麗なる妙齢の娘で純潔であれば誰でも太子妃候補とする、天からの重責を担う身である帝梓元もまた候補の列に加える…洛銘西は皇帝がついに梓元の下山を認めたと知った。琳琅(リンロウ)の話では身代わりは10年間、大人しくしていたが、外の世界に憧れている様子だという。「従順に振る舞うなら自由を与えよう」「…大人(ダーレン)、奇妙なことがあります」琳琅は安寧公主が任安楽に賭けたと報告した。安寧は帝梓元の旧友で、帝家が滅びてすぐ病に倒れたという。そして側仕えの太監が死ぬや否や西北に移り、それ以来、都に戻らなかった。すると洛銘西は機を見て安寧公主を試してみるという。安寧は梓元が下山すると知り、封鎖され靖安(セイアン)侯府を訪ねた。そこで韓燁と洛銘西に遭遇する。安寧は幼い頃を思い出し、なぜ北西に留まったのか話した。幼い頃、宮中育ちの安寧は臆病だったが、ある日、梓元が靖国地図を見せてくれたことがあったという。『靖国の公主ならいつか天を飛び回り、山河を見渡せますよ』話を聞いた洛銘西はやはり謂れがあったと納得した。任安楽と皇太子の賭けは翎湘楼で大盛況となった。今や民心をつかんだ任安楽に賭ける者が急増、この調子なら皇太子妃にも手が届く。安楽はその様子を洛銘西と上階から眺めていたが、至って冷静だった。「でも任安楽として誓った言葉は全て無効よ」「君を候補に押し上げたのは誰だと思う?…安寧だ」安楽は安寧が自分に賭けたと知っていささか戸惑った。すると洛銘西は安寧を招いて曲でも聴かせてはどうかと提案する。「酒の席で心を通わせれば、口が滑るやも…」安寧は梓元が下山すると聞いてからどこか落ち着かなかった。そんな時、安楽に誘われて夜の街を散策することにする。「元気ないのね…誰かに話せば憂さが晴れるわよ?」「…10年前、親しい友がいたの、とある理由で彼女は陛下に家族を殺された 彼女は生き延びることができたけれど、私たちは離ればなれになった あの日から負い目を持ち続け、代わりに戦い続けている 私の自己満足よ、借りがあるのに返せないかもしれない 巻き込みたくない、でも止められない…」「安寧、あなたの気持ちはきっと伝わっているはずよ?」安楽は心からそう伝えたかったが、安寧に分かるはずもない。「元気を出して、さあ、翎湘楼で遊ぼう!」今夜も任安楽と皇太子の賭けは賑やかだった。「安寧、私に賭けてくれたのね、感謝の印に花魁の姑娘にもてなしてもらうわ」「はお、本当に美女なら貸し切ろうっと」一方、韓燁は安楽と安寧がまた翎湘楼に出かけたと聞いた。温朔(ウェンショウ)は義姉妹の2人が酒を酌み交わすなど普通だと言ったが、吉利(キツリ)の話では公主が店を貸し切ったという。( ・`ω・´)<荒唐(ファンタン)!琳琅は身支度を整えて洛銘西の部屋に入った。すると洛銘西は安寧が簡素を好むため、自ら琳琅の鮮やかな緑の薄衣を脱がす。琳琅は洛銘西の手が肩に触れ、まるで全身に電流が走ったようにビクッとした。「琳琅、万人に好かれる努力をしないとな」「…任大人が太子妃になるのをお望みでないのですか?」「任安楽の目的は別にある」安楽と安寧はすっかり酔っ払っていた。すると安楽は冷北が千鳥足の安寧を抱き止める様子を見て、2人の仲を勘繰る。安寧は見当違いだとはぐらかしたが、そこへようやく花魁の琳琅が現れた。琳琅は噂に違わぬ妖艶な花魁だった。すると琳琅は洛銘西に指示された通り、琵琶で鎮魂曲を披露する。その時、ちょうど韓燁と温朔が店に到着した。「これは…幼き頃、梓元も弾いていた」一方、安寧も梓元が弾いてくれた鎮魂曲を思い出していた。「良い曲ね…」安寧は酒をあおると、突然、冷北の佩剣を抜く。つづく( ๑≧ꇴ≦)皇太后キタァァァァァァァァァァ!長歌行組にとっては残念なキャスティングw
2024.02.18
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覆流年 Lost Track of Time第27話生きる屍のようだった陸安然(ルーアンラン)が初めて穆澤(ムーヅー)の前で感情をむき出しにした。穆澤は安然の心にまだ自分がいると喜び、慶王府の女主人が安然だと知らしめるべく、蕭映(ショウエイ)に焼香させることにする。しかし蕭驚雀(ショウキョウジャク)は兄の敵だと激高、かんざしを握りしめて安然に襲いかかった。嬷嬷(モーモー)の容沛(ヨウハイ)は咄嗟に王妃にしがみついて止めたが、穆澤は興奮する驚雀を張り倒してしまう。「2度と安然に手出しするな、おとなしくしていれば命は奪わぬ、さもなくば死あるのみだ!」( ̄▽ ̄;)何度目かの″次はない!″穆澤は安然を連れて外に出た。「どうした?なぜ嬉しそうな顔をしない?」「明日は我が身だと感じました」穆澤は安然に同じことはしないと言ったが、安然はそれが嘘だと知っていた。その夜、蕭驚雀はお忍びで蕭軍の軍営に出かけ、兄の忠臣である梁(リョウ)統領を頼った。「将軍の代わりに大小姐をお守りします!」「…ある者を殺してちょうだい」翌日、驚雀は安然を訪ねた。思わぬ客人に警戒する安然、しかし驚雀は安然に手を出せば自分が慶王に殺されてしまうという。「だからあなたに私と同じ苦しみを味わってもらう 斉(セイ)王は武芸の達人で相手が10人でも倒せるとか…でも30人ではどうかしら?!」安然は驚愕し、思わず驚雀の首をつかんだ。「穆川に何をしたの?!」「斉王を弔う鐘が鳴り響くのを待つのね、ぐずぐずしていたら死に目に遭えないわよ?ふふふふ」その頃、清河幇(セイカホウ)に向かっていた穆川(ムーチュアン)は山道で刺客に囲まれていた。安然は急いで清河幇に駆けつけた。冬青(ドンチン)の話では兄が深手を負った斉王を運び込んだという。「小姐、必ず助かります」「そうよね…」しかし部屋に入ってみると、沈長青(シンチョウセイ)が穆川の亡骸を前に号泣していた。( ๑≧ꇴ≦)ウワァァァァァァーッ!傷だらけの穆川はまだ温かく、眠っているように見えた。すると沈長青は安然と穆川を2人だけにするため、妹たちを連れて外に出る。「小姐は陸家と殿下のために耐えてきたのに…殿下が亡くなったらどうなってしまうの?」冬青は思わずしゃがみ込み、涙に暮れた。( ;∀;)どうなってしまうん?安然は穆川を失い、絶望の淵に突き落とされた。「全部、私のせいよ、手練手管(テレンテクダ)を弄したけれど、結局、何もかも失った… 影絵で聞かせた物語を覚えている?あの娘は私なの 気が触れたと思うでしょう?自分ですらそう感じるくらいだもの あの悪夢の中で陸家は滅ぼされ、あなたも死んだ 私が穆澤に嫁いだのは、近くであの男を見張り、あなたと陸家を守るためだった あなたを守った気でいたけれど、あなたの真心を踏みにじっただけ 蘇城で伝えるべきだった、″穆川、あなたが好き″と…」地獄のようなこの世の中で穆川だけが安然に喜びを感じさせてくれた。その穆川が消えた今、安然を今生に引き止めておくものは何もない。安然はかんざしを引き抜き、一思いに首を刺そうとした。しかしその時、思いがけず穆澤が息を吹き返す。「安然…すまない、答えが知りたかったんだ」ズコッ!⊂⌒~⊃。Д。)⊃ 生きてたんかーい!安然は沈長青に穆澤の世話を頼んで帰って行った。何があったのか分からず呆然と見送る冬青、すると沈長青が事情を説明してくれる。実は穆澤がなかなか現れないため探しに出かけたところ、竹林で深手を負いながらも30人の刺客を始末した穆川を発見した。戦いから見て刺客は兵士、恐らく蕭映の配下だという。『間に合って良かった、川弟、陸姑娘への誤解を解きたくて呼んだんだ』沈長青は安然に頼まれて農民を助けたが、疑念を抱いた慶王が自分を人質にして安然を誘き出したという。あの一刺しは沈長青を救うためだった。『誤解だったんだ』『…沈大哥、私は死んだことにしてくれないか、真相が知りたい』すっかり騙された冬青は激怒、思わず斉王を責めたが、兄から騙したのはお互い様だと言われてしまう。屋敷に戻った安然は久しぶりに銀の腕輪を取り出した。「全て知られてしまったわ…」一方、安然が泣いている姿を見た穆澤はてっきり蕭驚雀がまた何かしたと疑った。そこでちょうど回廊にいた嬷嬷に聞いたが、容沛は分からないという。「殿下、とにかく中へ…」「やめておく」蕭驚雀は自分の顔も見ずに帰って行った慶王に深く失望し、泣き崩れた。嬷嬷の話では計画も失敗、蕭家の兵士は1人も戻らず、斉王は無事だという。穆川は不思議と安然の夢の話を信じることができた。居所へ戻り、久しぶりに安然からもらった手紙を取り出した穆川。…心の欲するままに自由に生きて…「陸安然、他人のことばかり案じて、己の幸せは考えないのか?」すると穆澤は安然のお伽話の最後を思い出した。…その娘は″大事な人″と一緒に人里離れた山奥で静かに暮らしたの…「そなたも私と暮らしたいのだな、ならば私も諦めぬ」そんなある日、衫越(サンエツ)が大きな瓜を抱えて慌てて駆けつけた。穆川は安然たちの策を逆手にとり、野菜の中に安然宛ての書簡を忍ばせていたという。中には安然が以前、穆川に書いた文が入っていた。「私の真意を理解したと伝えたいのね…」しかし文の裏に短い伝言がある。…すまなかった、君を信じる…穆川は安然を救い出すと決意、沈長青と冬青に協力を頼んだ。しかし冬青は安然のこと、恐らく拒むという。「本当に安然をこのまま慶王府に置いておくと?万一、本心がばれたら命が危ない」「…確かに私もいつも小姐を案じていました、王府では薄氷を踏むような思いでしたから」そこで穆川は父皇に謁見、堰堤(エンテイ)の完成時に陸安然を立ち合わせたいと嘆願した。放水時は最も危険が多く、経験豊富な安然の力が必要になるという。皇帝は下心がないかと心配したが、穆川は邪な気持ちがあるなら直接、本人に頼んでいたと否定した。慶王府に穆川がやって来た。「慶王殿下…」「もう二哥と呼んでくれないのだな」穆澤は蕭映の配下の動きに気づかず、穆川を危険にさらしてしまったと釈明したが、穆川は責めるつもりはないという。「私は邪魔者、排除されても当然だろう…それより聖旨を伝えたい、側夫人を呼んでください」「…何だと?」皇帝は安然に堰堤の完成式典の際、斉王を補佐するよう勅命を下した。驚いた安然は衫越を代理に行かせると言ったが、穆川は皇帝に背くのかと一蹴する。「完成の日は刻限通りに来るように」すると穆川は帰って行った。穆澤は穆川が安然を奪うつもりだと動揺し、思わず安然を強く抱きしめる。「そなたが私のもとを去るはずない!そうだな?」「当然です、追い出されても残ります」「良かった…絶対にそなたを渡さぬ」穆澤は安然を見送り、南星(ナンセイ)に見張りを任せた。しかし衫越が御している馬車はおとり、すっかり同じ装いをした冬青が乗っている。その頃、すでに安然は船で穆川と合流していた。穆川は放水の際、安然が流されたことにして連れ去るつもりだという。「陸安然、私に任せてくれ… 影絵で話した結末が君の夢だろう?私が叶えてみせる」困惑する安然だが…。つづく(  ̄꒳ ̄)やだもう~びっくりしたわw
2024.02.17
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覆流年 Lost Track of Time第26話斉(セイ)王・穆川(ムーチュアン)は農民襲撃事件で翊(ヨク)王と蕭映(ショウエイ)将軍を弾劾した。蕭驚雀(ショウキョウジャク)は兄を心配していたが、蕭映は数ヶ月の減棒程度の罰だろうと笑う。実は斉王が軍営に乗り込んできた時、蕭映は陸昀(ルーイン)に手を下させ、姉が刺されたと知って逆上したと釈明するつもりだった。「この機に葬れなかったことが悔やまれる」しかし妹から陸安然(ルーアンラン)と侍女の冬青(ドンチン)が決別したと知り、まだ斉王と陸安然を葬る手がありそうだと喜んだ。蕭映は清河幇(セイカホウ)の冬青を訪ねた。冬青にとって今や陸安然は兄を刺した敵、そこで蕭映は陸安然の排除に力を貸してくれるなら清河幇には手を出さないと約束する。「完璧な陸安然にも1つだけ致命的な弱点がある…斉王殿下だ」「人の恋心を利用しようとは何と卑しい策かしら」「冬青姑娘、私は一言も恋仲とは言っていない…ふっ」冬青はうっかり口を滑らせたが、ともかく卑劣な策に手を貸しては清河幇の名が廃ると断った。慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)は蕭映が軍営を抜け出して清河幇へ向かったと知った。清河幇と言えば現在、病床の兄に変わって冬青が差配しているという。「蕭映は油断ならぬ男だ、くれぐれも警戒を怠るな」一方、安然も衫越(サンエツ)から魚が餌に食いついたと聞いた。「腹を立てた様子で出てきたと…」「腹を立てれば立てるほど好都合よ、冬青には無茶せず、慎重に進めるよう伝えて」衫越は将軍である蕭映を相手にするのは危険だと困惑したが、安然は毅然としていた。「弱腰で勝てる相手ではない、穆澤は蕭映に不信感を抱いている 敵と見なせば必ず排除しようとする… 蕭映が握る兵力をみすみす他人の手に渡すわけにいかないもの、大丈夫、私に任せて」蕭映は斉王と安然が恋仲だと確信した。そこで清河幇が強奪していると罪名をでっちあげ、屋敷を包囲してしまう。冬青は蕭映の仕業だと気づき、単独で軍営に乗り込んだ。すると蕭映は安然と斉王の密通の証拠を渡せば兵を退くという。蕭驚雀は兄に言われた通り陸府に配達に来る野菜売りを待ち伏せした。そこで男に金を渡して荷車の中を調べてみると、兄の情報通り密書が出てくる。…酉の刻に西郊の私邸にて会いたし…驚雀は文を元の場所に戻して安然を泳がせ、慶王を訪ねた。穆川は沈長青(シンチョウセイ)の見舞いに出かけた。「冬青、外の兵は?」「実は…蕭映が…酉の刻に西郊の私邸で待っていると…」「分かった、沈大哥を頼んだよ」蕭驚雀は安然と斉王の密通現場を見せるため、穆澤を連れて私邸にやって来た。すると悲鳴が聞こえ、胸にかんざしを刺した安然が外へ飛び出してくる。「安然?!」「迷香を焚かれ、意識を保つために胸を刺したのです 衫越が守ってくれて何とか逃げ出すことができました」すでに曲者はいなかったが、部屋の中には争った形跡あり、衫越が額に怪我をして倒れている。その時、慌てた様子で穆川が駆けつけた。「何があった?!」「ふふ、やっぱりね」驚雀は2人が自分たちが来ると気づいて慌てて芝居を打ったのだと呆れた。穆澤はしばし判断に迷いながら、九弟になぜここへ来たのか聞いた。穆川は蕭映に呼ばれたと答えたが、そこへ蕭映が冬青を連れてやって来る。すると冬青は斉王に伝言した覚えなどないと否定、兄の敵である陸安然の本性を暴きに来たと言い放った。「慶王殿下、陸安然は長らく斉王殿下と恋仲でした 陸家が没落し、慶王府に身を寄せても、斉王殿下との縁は切れず、連絡を取り合っていたのです」驚いた穆川は冬青が蕭映に脅されて偽証していると訴えた。安然も蕭将軍が穆澤を利用して自分たちを葬る魂胆だと非難、そもそも冬青が報復するつもりなら慶王府を出る時、密通を暴くことができたはずだという。確かに蕭映は清河幇を包囲していた。そこで穆澤は冬青に本当の事を明かすなら一切不問にするという。観念した冬青はその場にひざまずき、実は蕭映から清河幇を潰すと脅され、仕方なく従ったと白状した。「全て偽りでした、密書の話も全て嘘です、将軍にそう言えと強要されて…」安然は一気にたたみかけた。「殿下、蕭映のような不忠の輩が殿下の大業に命を捧げるでしょうか?」蕭映はまたしても安然に謀られたと気づき激高、安然を殺そうと迫った。咄嗟の判断を迫られる穆澤。その時、穆澤が蕭驚雀からかんざしを引き抜き、蕭映の首を突き刺してしまう。「哥ァァァァァァァァァァ!」安然の計画は成功、復讐を果たした。しかし穆川も安然の策略だと見抜き、その夜、清河幇に冬青を訪ねる。「嘘をつき続ければ清河幇を救うと同時に沈大哥の恨みも晴らせたはずだ こうなってはどちらも叶わぬが?」「あの場ではそこまで考えが及ばず…」「そうではない、お前は知っていた、ああすれば清河幇も自分も守れるとな 芝居を打ち、陸安然を追い詰めてから潔白だと明かせば、二哥の怒りは行き場を失う 折しも二哥と蕭映との間には深い溝ができつつあった、怒りの矛先は蕭映に向いた…」「殿下、何も申し上げることはありません」すると冬青は慌てて引き上げてしまう。「陸安然…何もかも計算づくなのだな、私もただの駒だとは…」蕭驚雀は後ろ盾である最愛の兄を失った。衝撃のあまり寝殿で茫然自失となる驚雀。すると穆澤が現れ、明日の重陽節は共に丘に登って菊を愛でようという。「そうだ、明日は蕭将軍も同行させよう」翌日、穆川は蕭映将軍が丘で転倒し、急死したと聞いた。どうやら安然と二兄、大切な二人は手の届かぬところへ行ってしまったらしい。…私は大事なものを守り続けられるだろうか…皇帝は蕭映が残した軍隊を私欲のない穆川に託すと決めた。しかし穆川は固辞、闘争とは無縁でいたいという。皇帝はいつか必ず守るべきものと自由を天秤にかけ、選ばねばならない日が来ると言い聞かせた。「ひとまず受け取り、数日後に答えを出せばよい」一方、清河幇ではついに沈長青が目を覚ました。冬青は喜び、安然が兄の看病ができるよう一芝居打って追い出してくれたと教える。「ただ…斉王殿下が…誤解して小姐の肩を刺してしまったの」「穆川が陸安然を?!…まずい」沈長青は穆川を心配し、すぐにでも説明に行きたいと言い出した。「でも小姐と秘密にするとの約束が…」「お前は約束を守れ、穆川のために俺がやる」すると冬青は兄を制止し、斉王に来てもらうことにした。穆澤は怪我をした安然の様子を見に行った。相変わらず他人行儀な安然、最近はめっきり自分に楯突くことはなくなったが、穆澤は従順なふりをしているだけだと分かっていた。「そこまで冷静なのは希望すら失ったからか?」「皇家は誰にとっても心の休まらぬ場所、いわば苦行です」「苦行させるために娶ったのではない!」穆澤の嘆きを聞いた安然はふと最後に見た朝堂での穆澤の姿を思い出し、怒りが爆発した。「では何のためです?″非道な冷血感″と罵倒させるためですか?! 運命を呪って涙し、すれ違う心を嘆いてみせろと?! あなたは大事なものを奪い、私を王府に閉じ込め、それでもなお私を傷つけ続けた! 純真な少女のままでいられるはずなどない!あなたへの情も信頼もその手で奪ったくせに! 永遠に元には戻れないのよ!」安然は当時の穆澤への鬱憤を吐き出したが、穆澤はようやく安然が感情をあらわにしたことに幸せを感じていた。「分かった、その怒りはまだ心に私がいる証拠だ その言葉を聞いて久しぶりに気が晴れた」すると穆澤は身なりを整えて慶応府に来るよう伝えた。つづく( ๑≧ꇴ≦)らんら〜ん! ←違うwここで前世の愛憎を持ってくるとは上手いわ
2024.02.16
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覆流年 Lost Track of Time第25話陸安然(ルーアンラン)は冬青(ドンチン)から沈長青(シンチョウセイ)が無事だと聞いてほっと胸を撫で下ろした。冬青は安然が苦渋の決断だったことを理解していたが、斉(セイ)王のまさかの仕打ちに憤る。「責めないであげて」一方、穆川(ムーチュアン)は冬青の辛辣な言葉を思い出していた。…相手を見誤ったのは殿下ではなく、小姐(シャオジエ)なのかも…「分からなくなった、君は私を他人扱いする、私のことを忘れたかのようだ」その夜、安然はひさしぶりに銀の腕輪を取り出した。「私に失望すれば昔を思って悲しまずに済む、あなたが私を買い被っていただけ、それでいいの だけどやっぱりあなたのことが気になる、誤解されると悲しい」…全てを捨てて慶王に嫁いだ日から陸安然は心の中であらゆる危機の可能性を覚悟していたが、斉王の一刺しは予想外だった静寂な夜の闇の中、その痛みが彼女の心を深く貫いていた…翌朝、安然は窓から衫越(サンエツ)が秋菊に水やりする様子を眺めていた。すると冬青が今日も包帯を取り替えた方が良いと声をかける。「穆川は衝動的に刺しただけで傷は浅いから平気よ この件であの兄弟の間に深い溝ができてしまった でも穆澤(ムーヅー)の本性に気づいたのなら、穆川にとって良い機会だった」しかし穆川も蕭映(ショウエイ)もここで引き下がるとは思えない。安然は穆澤と蕭映が一枚岩ではないと見抜き、再び周到な計画を練ろうと決めた。「一石二鳥が狙えるかも…」↓( ̄▽ ̄;)もうやめとけってw安然は冬青が兄を刺した自分と決別しなければ疑われると考えた。そこで穆澤が屋敷へ来た時を見計らい、わざと冬青を追い出すところを見せる。穆澤は主に口答えした冬青を罰すると言ったが、安然は妹を解放してあの一刺しを帳消しにしたいと訴えた。穆澤は冬青を見逃してくれた。そこで安然は自分のことより斉王を気遣った方がいいと進言する。「蕭軍の軍営に行かれては?斉王殿下が襲撃犯の捕縛に向かったとか…」穆川は農民たちと軍営に押しかけていた。蕭映はそれとなく黒幕が慶王だとにおわせて脅したが、穆川は誰であろうと人命を奪う者は罰を受けねばならないと退かない。すると蕭映は穆川たちを包囲、農民たちを暴徒とみなして矢を放った。穆川は無垢の民に襲いかかった蕭映に激怒、まず自分を殺せと叫んだ。「ただし皇子を殺せばお前たちは一族もろとも極刑は免れぬ!」すると驚いた兵士たちは将軍の命令を無視して弓を下ろしてしまう。そこで蕭映は側夫人の弟・陸昀(ルーイン)を引っ張り出して押さえつけ、無理やり弦を引かせた。「殿下!危ない!」陸昀が思わず叫ぶと、その時、穆澤が現れ、咄嗟に矢を止めた。穆澤は九弟の手前、蕭映を叱責し、穆川を追い返そうとした。しかし穆川は二兄の手を振り払い、大業をなすために民の命を軽視する二兄を厳しく非難する。「理想のために犠牲にして良い命などない」すると穆川は衣の裾を切り落として二兄に投げ渡し、兄弟の縁を切った。「二哥、私への優しさは永遠に忘れない、だが私は己に正直に生きる …蕭将軍!犯人を渡さなければここで生死をかけて戦う!」蕭映はついに剣を抜いた。一触即発となった穆川と蕭映、穆澤はこの場を収めるため仕方なく襲撃犯を引き渡すよう命じる。蕭映は渋々配下を差し出したが、穆川はこの機に乗じて陸昀も解放させた。↓むーちゃんの足あげ、スローにする必要あった?w穆澤は蕭映が陸昀を利用して九弟を殺そうとしたのを知っていた。「私を無視した行動を取るなら、こちらにも考えがある」「殿下、私はただ斉王が大業を阻むゆえやむを得ず…」「九弟に危害を加えてみろ、私がお前を地獄へ送ってやる」一方、穆川はかつての陸家の倉庫で陸昀を衫越(サンエツ)に引き渡した。…陸安然、これで貸し借りなしだ…その夜、安然は弟と再会を果たした。実は陸昀は父からの手紙で二姉の残忍な手口を知り、自分が間違っていたと涙ながらに謝罪する。「姐、蘇城へ帰ろう、ここは危険だ」「昀児、私は帰れない、爹(ディエ)を守るためなの でも安心して、私が残るのはやるべき事があるからよ、先に帰りなさい」「分かった、姐を信じる」こうして陸昀はすぐ蘇城へ発った。「穆川…ありがとう」安然が安堵していると、ふいに穆澤が現れ、安然を抱きしめた。「動くな、しばらくこのままで…」その夜、穆川は幼い頃に穆澤が作ってくれた思い出の木彫りの玩具を取り出した。当時、母を失った衝撃から声が出なくなった穆川、しかし穆澤が不器用ながら玩具を作って遊んでくれた。中でも木彫りの鳥は二兄としては傑作で、片方の翼が折れてしまっても捨てられなかった。「…もし彼が正道を行くなら、そこにどんな魑魅魍魎がいようと共に突き進む覚悟だった だが今となっては彼と魔物にどんな違いがあるというのか」@管理人訳w一方、穆澤は安然の前で久しぶりに木彫りの鳥を作っていた。「九弟の声が戻ってからは彫っていなかった」思えば穆川の声が戻ったのはあの時だ。まだ幼い穆川は兄弟たちに木彫りの鳥を奪われ、穆澤が取り返そうとして袋叩きになったことがある。『二哥を殴るな!』穆澤は取りつかれたように木を削った。すると勢い余って手のひらを差してしまう。しかし手当するどころか、まるで自分を罰するかのようにさらに手の平を切った。安然は唖然としたが、心配する素振りも見せない。「その目は何だ?孤独なのは自業自得だと?私を手段を選ばない人間だと思っているのだろう」「いいえと言えば嘘になります…馬鹿げた世の中です 心が澄んだ君子は正義に殉じるしかない、二殿下こそが歴史を作るお方です」「実に奇妙な世の中だな」すると穆澤は穆川が切り裂いた衣の裾で傷口を覆った。穆澤は安然にいかに九弟が特別な存在かを明かした。かつて自分に最後の餅(ビン)を譲って餓死寸前となったという穆川。あの時、穆澤は九弟にだけは何も求めず、誰にも傷つけさせないと誓ったという。「だが分かっていた、九弟が心の清らかな君子になるほど、私は卑怯者の小人になっていくと…」しかし穆澤はもはや引き返せないと覚悟していた。その頃、穆川は最後にもう一度、鳥の翼を糊でつけていた。しかし折れた翼はあっけなく落下する。「やはり元には戻らない…」つづく(´・ω・)やだ~何これオカルト?w
2024.02.15
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覆流年 Lost Track of Time第24話陸安然(ルーアンラン)と斉(セイ)王・穆川(ムーチュアン)が恋仲だったとつきとめた蕭驚雀(ショウキョウジャク)。そんなある日、穆川がちょうど穆澤(ムーヅー)の留守に訪ねてきた。驚雀はこれを好機とばかりに慶(ケイ)王が呼んでいると偽って安然を呼び出し、穆川が待つ書斎に入ったところで閉じ込めてしまう。安然は蕭驚雀が自分たちに密通の罪を着せるつもりだと分かった。「確かめたいことがあって来た、まさかこんな羽目になるとは…」安然は穆川が農民の襲撃事件を探っていたと気づき、当時、穆澤(ムーヅー)の隠し場所が奥の棚だと思い出した。「殿下、あらぬ誤解を受けないよう背を向けて頂けませんか」穆澤が王府に戻った。すると蕭驚雀が駆けつけ、安然が無断で書斎に入ったと報告、しかもそこには斉王がいたという。「勝手に書斎へ入るのは厳禁、どうすべきかわからず錠をかけておきました」「錠をかけた?」焦った驚雀は安然の弁が立つため、やむを得なかったと言い訳した。安然は奥の棚から農民の名簿を見つけた。赤い線で消されているのが始末した農民らしい。そうとは知らず穆川は背を向けたまま、これが安然の望む生活なのかと聞いた。「私は戸惑った、理解できなかったよ…傷つき、怒りも覚えた でも分かった、君の思いがどうであれ、あの幸せな時間は大切な思い出だと… 君が好きだった、だがもう未練はない、陸安然、どうか幸せになってくれ、心から願っている」「…穆川、ごめんなさい」安然は名簿を眺めながらつぶやいた。穆澤が書斎に到着、蕭驚雀は安然と斉王の姿を見て勝利を確信した。しかし穆澤は取り乱す様子もなく、冷静に対応する。「九弟、お前が来た時、側夫人は書斎にいたか?」「いいや、誰もいなかった」「陸安然?書斎へ勝手に入ることは禁じたはずだが?」「劉(リュウ)執事に殿下が呼んでいると言われ、なぜか監禁されました」すると穆澤はあっさり九弟を帰し、安然にも下がるよう命じてしまう。納得できない驚雀は安然の屋敷の庭にある葡萄を植えたのは斉王だと暴露した。「例え私が企んだことだとしても、2人はかつて想い合う仲だったのです もし情が残っていたら?」「…″私が企んだこと″だと?」穆澤は驚雀をひざまずかせ、最後の警告を与えた。「陸安然に手を出すな、九弟を利用することも許さぬ 今度、慶王府でこんなことが起きたら、王妃の座を失うことになるぞ?」すると穆澤は劉執事を死ぬまで打ち据えるよう命じ、協力した使用人たちには血が流れるまで自ら頬を叩かせた。穆澤は安然を訪ね、2度と王妃が屋敷に近づくことはないと安心させた。しかし急に季節外れの葡萄はもの寂しいと言って葡萄棚に菊の花を飾りつけてしまう。「世話が必要な贈り物は困ります」「忠告する、私が与えたものは受け取ってもらう」穆澤は蕭驚雀の策略に気づいて安然の肩を持ったが、安然と穆川の潔白を信じていたわけではなかった。「丹精を込めて葡萄を育てられるなら、秋菊の世話などたやすいはずだ 時々、確かめに来よう、しっかり世話をしろ」安然は書斎で見た名簿を急いで書き記し、清河幇(セイカホウ)幇主・沈長青(シンチョウセイ)に届けさせた。すると翌朝、沈長青から農民を守ったと知らせが来る。安然は安堵したが、冬青(ドンチン)が聞いた話によると現場に斉王がいたという。「やっぱり穆川も名簿を探しに来たのね…沈大哥に守ってもらいましょう」一方、蕭映(ショウエイ)は慶王に襲撃を予見していた者に邪魔されたと報告していた。「江湖の者のようです、もしや清河幇では?」穆澤は真っ先に安然の顔が浮かんだ。安然と幇主は親しく、その上、書斎で名簿を見る機会もあったからだ。「沈長青を捕まえ、陸安然を呼び出せ、どう動くか見ものだ」安然に沈長青から密書と玉佩が届いた。…計画に変更が出た、申の刻に郊外の別邸で待つ…しかし冬青はなぜ兄が母の形見の玉佩まで同封したのか分からない。安然は自分を誘き出すための罠だと気づき、沈長青が人質になったと分かった。「穆澤が私を疑い始めたんだわ」そこで安然は蕭驚雀を巻き添えにしようと思いついた。安然は蕭驚雀に密書を突きつけ、次は旧友を利用して自分を陥れるつもりかと迫った。身に覚えのない驚雀は言いがかりだとあしらったが、兄の仕業だと疑われ激高、ならば一緒に別邸へ行くと息巻く。安然の思惑通り、そこで安然は冬青に目配せして斉王に知らせに行かせた。蕭驚雀が安然を連れて別邸へ到着すると、兄が人質に取った沈長青と待っていた。「哥?!安然を誘き出すなら先に教えてよ」「なぜお前が?!早く王府へ帰れ」その時、安然は外から穆澤が見ていると気づいた。「なるほど、大将軍が妹のために側室を陥れようとしたのね? もし独りで来たら罠にかかるところだった」しかし蕭映は沈長青が白状したと鎌をかけた。「あなたが農民の名簿を渡して慶王の邪魔をしたとか…」安然は沈長青とはすでに縁を切ったとしらばくれ、粗暴なだけで役立たずだと蔑んだ。そこで蕭映は沈長青の口から布を外してやる。すると沈長青も慶王の計画など知らないと否定し、縄張りで民が襲われれば救うのは当然だと言った。「だが陸安然、まさか玉の輿に乗り、情まで失うとは…」安然と沈長青はわざと言い争いを始めたが、そこへ穆澤が現れた。安然はまだ自分を疑っているのかと落胆してみせた。すると穆澤は事が重要なだけに言葉だけでは信用できないという。「分かりました、私がこの者を殺して疑いを晴らします」安然は穆川が到着するまで時間を引き延ばしていた。しかしいよいよ追い詰められ、ついに沈長青の左胸を刺してしまう。その時、ちょうど穆川が現れた。「陸安然?!」穆川は目の前の光景に激しく動揺、激情に駆られ安然の肩を刺してしまう。穆澤は急いで安然を連れて屋敷に戻った。「私が疑ったせいだ…蕭兄妹の暴走を抑えきれなかった」←(・Д・)え?すると穆澤はこれを機に過去の出来事にとらわれず、安然を信じると誓った。「殿下、疲れたので休みます」穆澤が慶王府へ戻ると、冬青が慌てて駆けつけた。「小姐、一体、何が?!」「いいから早く沈幇主のところへ、とにかくすぐに行って!」清河幇では沈長青の手当てが終わっていた。医者の話では運良く急所が外れていたため助かったが、三月は静養が必要だという。穆川は安堵して弟子たちに医者の見送りを頼むと、ちょうど冬青が飛び込んできた。「哥!しっかり!一体、何があったの?!」「…聞いていないのか?言えるわけがないよな」穆川は兄を刺したのが安然だと教えた。「彼女を分かった気でいたよ、根は善良だと思っていた…しかし」「小姐は善良です、きっと何か事情があったのです」「冬青?!君の兄を殺そうとしたのにまだ忠誠を?」「殿下、小姐は哥を救うため出かけました、そして私に殿下を呼びに行かせたんです」冬青は兄の名をかたって文が届いたと話し、安然も兄も命の危険にさらされていたと訴えた。「だが安然は心臓を狙って刺したんだぞ?…私にはできなかった」「殿下が小姐の肩を刺したと?…殿下、相手を見誤ったのは殿下ではなく、小姐なのかも」すると冬青は帰ってしまう。つづく( ;∀;)これまた悲しい展開
2024.02.14
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覆流年 Lost Track of Time第23話蕭驚雀(ショウキョウジャク)は罠とも知らず豪華な腕輪を身につけ、慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)の逆鱗に触れた。「そなたがこうも欲深く、図々しい女だったとは… 陸安然(ルーアンラン)は私の側室、彼女を傷つけることは私に対する侮辱でもある 加えて何も知らずに賄賂を受け取ってしまう浅はかさ、何もかも王妃に相応しくない 一晩、ひざまずいて反省せよ」すると穆澤は安然にも2度とそんな情けない姿を見せるなと叱責して帰った。その夜、安然は霊奚(レイケイ)の霊位に報告した。「霊奚、蕭驚雀には一晩中、詫びさせる 私のことを怒っていないなら、冥土の入り口で待っていて、いいわね?」翌朝、蕭驚雀は足を引きずりながら寝殿に戻った。安然への怒りが収まらない驚雀、しかし嬷嬷(モーモー)が慶王の心を取り戻すためには耐えるしかないと説得し、おかげで安然には穏やかな時間が戻る。一方、傷心の斉(セイ)王・穆川(ムーチュアン)は相変わらず眠ることができず、食事も喉を通らなかった。そんな中、護衛の逐風(チクフウ)から城北が不穏な状況らしいと聞く。何でも翊(ヨク)王が強引に農地を召し上げ、殺された者までいるというのだ。蕭映(ショウエイ)は妹が側室と一悶着あったと聞いて様子を見に来た。そこで正室として家宴を開き、女主人の度量を示してはどうかと提案する。驚雀は早速、準備を始めたが、家宴と聞いた穆澤はいささか困惑した。「九弟は来るのか?」「はい、嬷嬷が招待状を届けに行ったら、その場でお返事くださいました」実は当初、穆川は宴の誘いを固辞したが、この機会に翊王の件を二兄に報告することにした。家宴の夜、穆川は菓子を差し入れ、翊王が農地を没収していると伝えた。自分が水路の準備を進めたことも原因の一端だという。「父皇に上奏するよ」「それは時期尚早だな」穆川は理由を聞こうとしたが、そこへちょうど安然が到着、話は終わってしまう。家族が揃い、宴が始まった。蕭驚雀は安然と仲直りの杯を交わし、禁酒を解いた慶王にも勧めたが、断られてしまう。「…あれが人生最後の1杯だ」穆川は二兄が安然のために禁忌の酒を飲んだと知り、内心、激しく動揺した。すると驚雀は慶王と安然の強い絆に嫉妬し、馴れ初めを知りたいという。「私も興味がある」穆川の言葉に安然も穆澤も戸惑ったが、安然が思い切って立ち上がった。「私が蘇城へいらした殿下に一目惚れを…でも殿下の目的が陸家だと誤解し、傷ついたのです 心から愛してくれる方でなければ苦労を共にできませんから、それで妹を嫁がせました でも妹の事件を経て殿下の真心を知ったのです、殿下は陸家ではなく私を求めていたと… 今や何もかも失った私がここにいられるのも全て殿下のお陰です」「…側夫人とは古い友だが、その胸に秘めた想いに気づかなかったよ、実に鈍感だな」穆川は安然にすっかり騙されたと笑ったが、深く傷ついていた。蕭驚雀は独り身の斉王に縁談を用意したいと申し出た。すると穆川は想い人がいると明かす。その時、動揺した安然はうっかり杯を倒し、咄嗟に冬青(ドンチン)が自分の失態だと誤魔化して謝罪した。「でも残念ながら生涯、結ばれることはありません 私の独りよがりだったのです、仕事が一段落したらお願いします」家宴はお開きになり、家族は回廊に出てしばし月を見ていた。穆川はそろそろ帰ると伝えたが、その時、容沛(ヨウハイ)が駆けつけ、王妃に何やら耳打ちする。すると激高した蕭驚雀がいきなり安然を平手打ち、驚いた穆川が咄嗟に安然の前に立ちはだかり守った。蕭驚雀はあの腕輪の送り主が不明だと知り、安然の仕業だと訴えた。「私を陥れて葬るつもりね?!」「王妃、もし私が腕輪を準備できたとしても、それを王妃の腕にはめることはできません」これにはぐうの音も出ない驚雀、確かに受け取った贈り物は腕輪だけではない。結局、慶王からまた騒ぎを起こしたと叱責され、寝殿で自省するよう命じられてしまう。穆川は慶王府を出た。…陸安然、嫉妬まみれの慶王府に捕らわれ、本当に平気なのか?…穆澤は安然を寝殿に送り届け、自ら腫れた顔を手当してやった。「腕輪はそなたの策略か?…いや責めているのではない 正直に言おう、そなたが策を弄し、驚雀をやり込めるさまは痛快だった」「この王府で生き残るには時として反撃も必要かと…殿下、疲れたのでもう休みます」「では私もここで休む」ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ@全視聴者安然は背を向けたまま横になった。するとふいに穆澤が腕を伸ばして抱きしめる。(O_O)フリーズ・・・「そう怯えるな、そなたが承諾せぬ限り手は出さぬ」穆澤は安然が宴の席で話した馴れ初めが心に深く残っていた。「私もそなたを追い詰めたが、そなたも私から多くを奪った 引き分けということで矛を収めないか?」( ゚д゚)え?穆澤は安然が自分を夫と認めず、慶王府を我が家とみなしていないことは重々、承知していた。「先は長い…ゆっくり待とう、いつまでも待つ」穆川は翊王の動きを探っていた。昼間に農民の骸を見たが、殴打して殺したのは翊王の配下だろう。しかし1人だけ首の骨を折られて死んでいた。「残忍な手口は軍を思わせる」そこで軍の関与を疑い、調査することにした。そんなある日、蕭驚雀は偶然、侍女たちから側夫人の庭にある葡萄の話を聞いた。何でも側夫人が庭で蘇城の葡萄を育てており、手入れが難しいため斉王が世話していたという。すると驚雀は葡萄棚を命がけで守った霊奚の姿を思い出し、斉王の想い人が安然だと気づいた。安然は冬青から翊王が農民を殺して農地を奪っていると聞いた。そう言えば安然もかつて穆澤と蔡望津(サイボウシン)が書斎で話しているのを聞いた覚えがある。あの時も翊王に殺された農民の骸が多数、発見され、怒った農民たちが翊王府に押しかけていた。『罪もない農民を殺すなんて翊王は残忍ね』当時は安然も翊王を非難したが、今になって思えばそんな単純な話ではなかったのだろう。一方、穆川は城北の農地に蕭映の兵がいることを突き止めた。蕭映と言えば二兄の腹心、そこで翌朝、二兄から直接、話を聞こうと慶王府を訪ねる。しかし穆澤はまだ朝議から戻っておらず、劉(リュウ)執事の案内で書斎で待つことになった。つづく( ๑≧ꇴ≦)穆澤wwwそっちかw
2024.02.13
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安乐传 The Legend Of Anle第5話会試不正事件が解決するまで都を出ることになった古斉善(コセイゼン)。しかし翎湘楼(レイショウロウ)の琳琅(リンロウ)から招待状が届き、罠とも知らずのこのことやって来た。すると任安楽(レンアンルー)が現れ、皇太子がいるので逃げろという。後ろ暗い古斉善は慌てて帰ろうとしたが手遅れ、韓燁(ハンイェ)と温朔(ウェンショウ)に挟み撃ちにされ、最後は恨みを持つ子弟たちから袋叩きにされて捕まってしまう。( ꒦ິ⌑꒦ີ)ノ<任大人!助けてくれ!(^ꇴ^)<人が多すぎて安楽には無理~一方、宮中では久しく鳴ったことがない鐘の音が響き渡った。実は大理寺の黄浦(コウホ)たちが不正事件の調べ直しを求めて青龍鐘(セイリュウショウ)を打っているという。青龍閣は皇帝に直接、上奏できる唯一の場所だったが、掟により30回の杖刑を受けなくてはならなかった。そのため鐘を打つ者は長らく現れず、皇帝も上奏を無視することはできない。黄浦が鐘を打ち鳴らしたことで事件は表沙汰となり忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)は憤怒、ようやく任安楽に一杯食わされたと気づいた。こうして多くの子弟たちが見守る中、大理寺で韓燁、任安楽、洛銘西(ルォミンシー)による再審理が始まった。連行された古斉善は相変わらず父の権勢を笠に着て強気だった。安楽も古斉善の味方を装い、古斉善をさらに増長させる。「公侯世家(コウコウセイカ)の子弟は無条件で官職に就ける、そもそも会試を受ける必要さえないのに~」「その通り!」すると黄浦が死んだはずの呉越(ゴエツ)を召喚すると言い出した。その頃、古雲年が夫人に尻を叩かれ、参内した。しかし皇帝の怒りが収まっておらず、皇帝付き侍従・趙福(チョウフク)に追い返されてしまう。古雲年は仕方なく御宸殿(ゴシンデン)の前でひざまずき、嘆願を始めた。牢獄で殺されたはずの呉越が参上した。恩義を感じて最後まで古斉善をかばっていたが、まさか命を狙われるとは思わなかったという。「私は無実です、問題を漏らしたのは古斉善です!」温朔(ウェンショウ)はその様子を任府の苑書(エンショ)・苑琴(エンキン)と一緒に見守っていた。「まさか死者が生き返るとはね~安楽姐(ジェ)の打つ芝居は見ものだ」「当然よ♪」ネー(*´・ω)(ω・`*)ネー一方、古雲年はようやく皇帝から謁見を認められた。嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)は何事も分別をわきまえるよう釘を刺し、息子については皇太子の采配が出てから改めて自分が罰を下すという。古斉善は呉越が証言しても決して罪を認めなかった。そこで韓燁は本当に不正をしていないと言うなら回答をそらんじてみろという。「良かったわ~少侯爺、これで助かりますね」安楽は古斉善を助けるふりをしながらじわじわと追い詰める。仕方なく古斉善は過度の緊張から、会試で何と答えたか覚えていないとごまかした。「あるあるあるある~誰にもあることよ~それにこたびは難解だった~ ″民の道″だっけ?そんなの私だって説明できないわ~」安楽の援護に思わず古斉善は首を縦に振り、いくら考えても答えが思いつかなかったと言った。これに韓燁は激怒、今回の会試で″民の道″など問われていないという。「問題まで忘れたのか?!」古斉善はようやく安楽に騙されたと気づき、開き直った。「たかが会試の不正で私を罪に問えるのか?!そうだ、私が問題を漏らした!」すると安楽はならば李崇恩(リスウオン)の遺書と食い違うと指摘、古斉善は何も言えなくなってしまう。洛銘西は会試での不正が死罪に値すると判断した。すると韓燁は主文を後回しにし、官職を堵して事件の真相を求めた黄浦たちや、希望を胸に勉学に励む書生たちのためにも公正な裁きを下さねばならないと説明する。「古斉善は会試の問題漏洩、試験官殺し、呉越の暗殺未遂… その上、不遜な態度で法廷を侮辱した罪により、会試の及第を取り消して今秋に死罪に処す」一方、温朔は安楽の打った3手のうち、まだ最初の1手だけが分からなかった。すると苑琴が種を明かしてくれる。「書きつけが見つかったのは都合が良すぎると思わない?」実はあの時、琳琅は踊りながらこっそり子弟たちの懐に書き付けを忍ばせ、わざと欄干を壊していた。「そうか!(はっ)となると安楽姐は殿下にとって危険な人物では?」安楽は事件の解決で功を上げ、罷免された裴沾(ハイテン)に変わって正三品(ホン)に昇進した。しかしまだ皇太子妃になれないと大袈裟に悲しむ。韓燁は安楽には別の目的があると見抜いたが、安然は咄嗟に洛銘西に話を振ってごまかした。「洛大人、共に芝居を打った私と殿下は親密になれたかしら?」「任大人、私も芝居に一役買った、私も君と親密になることができるのか?」「もし先に洛大人に出会っていたら私の夫は刑部尚書だったかも?」安楽に迫られた洛銘西はうっかり動揺したが、韓燁が慌てて2人の間に割って入った。「任大人、洛大人は冗談には不慣れなのだ…許せ」「あら、私のために太子が謝罪?」すると洛銘西は気まずそうに帰ってしまう。「洛銘西が梓元(ヅユアン)が都入りした時の侍衛だ、旧友の話ができる唯一の相手なのだ」その夜、韓燁は刑部に洛銘西を訪ねた。安楽が初対面のはずの洛銘西を親しげに見ていたことを訝しみながら、任安楽を調べて欲しいと頼む。「思慮深い任安楽ならこれほど苦労せずとも太子妃の座に就けるはずだ」「分かりました、調べましょう」翌日、韓燁に父皇の勅命が届いた。父皇は皇太子の采配が公正としながらも、古雲年の嘆願に折れて流刑に減刑したという。実は古雲年は軍を掌握し、江南で力を持っていた。その上、古雲年が牛耳る大理寺で息子を死罪にしたとあっては反発されるのは必至だろう。「だが任安楽が現れたおかげで恨みの矛先が変わった…そちにとってありがたい存在だ」韓燁は父皇の教えを肝に銘じると言ったが、内心、納得がいかなかった。一方、安楽は翎湘楼で洛銘西の居所にいた。洛銘西は労せずして事がうまく運んだと言ったが、安楽は不満が残る。まさか皇帝のひと声で悪が情に救われるとは…。「韓仲遠という男は疑い深く、奸臣であろうと己になびく者を重んじる そうだ、君の旧友である安寧(アンニン)公主が近々、都入りする」安寧は帝家と韓家の確執とは無関係と言っても韓家の人間、いずれ安楽の計画を知ることになるはずだ。実は事件の解決が順調すぎて韓燁が安楽に疑念を抱き、洛銘西に安楽を調べるよう頼んだという。「3万の水軍の意味を文字通り受け止めるなら、大した太子とは言えないわね」「だが忠義侯を完全に敵に回したのは厄介だ」その夜、古雲年は任府に刺客を放った。安楽は苑書さえいれば怖い者なしだったが、その時、別の刺客が飛び込んでくる。覆面の刺客たちは慌てて退散、苑書は顔も隠さず現れた男と一対一で手合わせになった。すると温朔が駆けつけ、真っ先に苑琴の無事を確認してしまう。「(はっ)…安楽姐、ご無事ですか?」「標的は私なのに誰も案じてくれないのね」「いや、殿下が安楽姐を心配して護衛を…あ!」苑琴は慌てて苑書に味方だと教えたが、苑書は好敵手との戦いが楽しくてやめようとしなかった。しかし男は隙を見て切り上げ、帰ってしまう。翌日、韓燁と洛銘西は碁に興じていた。韓燁は今回の父皇のやり方に失望したとこぼし、任安楽の調査が進んでいるか尋ねる。すると洛銘西はよほど強い志がなければ3万の水軍で寨(サイ)の安寧を保つことはできないと言った。「つまり才能を生かすためのよりどころが必要だと?」「お分かりなら協力しては?」そこへ安楽の側近2人が訪ねて来た。苑琴は皇太子の侍衛が刺客の来襲から救ってくれたと感謝した。しかし苑書は侍衛ではなく自分が救ったとぼやいてしまう。韓燁は苑書がいれば安心だと顔を立て、簡宋(カンソウ)を戻すと決めた。「殿下、小姐が翎湘楼でお待ちです」すると韓燁は囲碁を切り上げ、出かけてしまう。韓燁が翎湘楼へ到着すると、安楽は過去の冤罪を洗い出しているところだった。「これも太子妃になるためよ?」「それが…古斉善が減刑された」「気にしないで~謝る必要はないわ、じゃあ今日は殿下のおごりね?」つづく( ๑≧ꇴ≦)だーりーすー! ←言いたいだけw
2024.02.13
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安乐传 The Legend Of Anle第4話大理寺卿(ダイリジケイ)・裴沾(ハイテン)を懐柔し、あっさり令牌を手に入れた任安楽(レンアンルー)。韓燁(ハンイェ)はこれも黄浦(コウホ)が裴沾に煩わされないためだと分かったが、当の黄浦は安楽への協力を拒んでいた。事件解明の猶予はわずか3日、仕方なく韓燁は安楽を連れて黄浦の屋敷を訪ねることにする。すると黄浦は四品の官吏とは思えないほど質素な暮らしをしていた。黄浦は科挙5回目で運良く及第、齢40にしてようやく少卿に任じられた。出世に時間を要したのは黄浦が寒門の出だからだという。貧乏人が命懸けで欲しがる官職は金持ちが気ままに売り買いする肩書きに過ぎず、手にすれば私腹を肥やして人を虐げる者ばかりだった。「できるなら官職を捨て、学生諸氏を代表して世の不公平を糾弾したいところだ!」「はあ?@うさぎ風 黄大人が嫌なら私が調べるわ~書き付けは1枚だけ、″死人に口なし″だしね!」黄浦は安楽の言葉に憤慨、家から追い出してしまう。↓おじさん近い近い@アンルー安楽は忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)に見張られていると知っていた。そのためお気楽官吏を装って黄浦を怒らせたが、内心ではこの国にもまだ公正無私な役人がいたと安堵する。しかし安楽は予定通り取り調べで子弟たちに身代わりを2人ほど立てるよう提案、さらに黄浦の怒りを買った。韓燁は黄浦から報告を受け、安楽を中庭へ引っ張って来た。「とぼけたふりだと思っていたが本気だったのか?! 大理寺とは?…物事に軽重あり、これを″理″という 堯(ギョウ)帝が人を裁く″理官″を作り、景(ケイ)帝が″大理″と名付けたのだ!」大理寺が置かれたのは冤罪や誤審を防ぐためであり、安楽の行いは天の理に背くものだという。しかし安楽は揚げ足を取った。「権力者が関わる事件はこうして処理すると聞いたわ、貧乏人に罪を着せればいいのでしょう?」安楽は遠回しに不正が横行していると指摘、話をそらした。「忠義侯を怒らせて殿下に嫁げなかったらどうすればいいの?板挟みよ〜 愛する太子殿下のために都へ来たのよ?私にはもう動かせる配下もなければ頼れる人もいない」「…今後、襟を正すなら私が後ろ盾になろう」韓燁の思わぬ言葉に目を丸くする安楽。一方、皇帝は刑部尚書・洛銘西(ルォミンシー)にも会試不正事件を手伝うよう命じていた。↓後ろ盾?何それ?美味しいの?洛銘西は復讐のためと言いながら、安楽が韓燁に心を動かされそうで心配だった。しかし安楽は全て計画を円滑に進めるためだという。「洛銘西、私に韓家の後ろ盾など無用、韓燁でさえも… 韓燁がいなくても私一人で盤上を支配できる」(๑•̀ㅂ•́)و✧<海賊王になるっ!牢獄の子弟たちは最も身分が低い呉越(ゴエツ)と周福(シュウフク)を身代わりに決めた。黄浦はまだ調査を続けるよう訴えたが、安楽はさっさと調書を書いて他の子弟たちを釈放してしまう。「黄大人、慌てなくていいわ、好機は巡って来た」安楽はようやくこれが芝居だと明かし、協力を持ちかける。そうとは知らず、安楽から調書を受け取った裴沾は大喜び、忠義侯にとりなすと約束した。その夜、古雲年は李(リ)府に配下を潜入させた。すると任府に主任試験官だった李崇恩(リスウオン)が自害したと報告が届く。遺書には呉越と周福が親戚とあり、貧しく不遇な状況に同情して問題を漏らしたと書いてあった。古雲年はこれで片がついたと思っただろう。しかし周福と呉越の取り調べが始まると、周福が黄浦に説得され、あっさり真実を暴露した。「解答を漏らしたのは主任試験官で、古斉善(コセイゼン)が自慢げに答えを教えていました」あとは呉越が周福と同じ証言をすれば解決するはずだった。そこで安楽は周福が白状したと教えたが、呉越は無実を訴えたものの、首謀者の名を決して明かそうとしない。実は周福は洛銘西があらかじめ送り込んだ密偵だった。これでどちらにとっても鍵となるのは古斉善に何年も付き従って来た呉越の証言となってしまう。その夜、韓燁は中庭で碁を打っていた。やがて白と黒はまるで今の状況を表しているようにこう着状態となる。「独りの証言だけでは罪には問えぬ、呉越が吐かねば身動きが取れぬな」その時、思いがけず安楽と洛銘西が現れた。「吐かないなら自ら話させる方法を考えればいい…」「安楽姐、どんな手を使うの?」温朔(ウェンショウ)は興味津々、すると安楽は証人と証拠が揃えば罰することができると教え、碁盤に自分の赤い石を置いた。「あ!黒も白も息を吹き返した!」「私の碁盤に無用な石は存在しない」韓燁は夜更けになっても中庭で月を眺めていた。「ここ数日、梓元(ヅユアン)のことばかり考える」温朔も梓元が2歳で皇太子妃と定められ、皇太子にとって特別な人だと知っていた。7歳の時、都へ入った梓元、当時は洛銘西を付き添わせ、韓燁など歯牙にも掛けない様子だったという。面白くない韓燁は得意な囲碁で梓元を負かそうと思いついたが、驚いたことに梓元の腕前の方が上だった。『梓元、私を追い詰めたのは君が初めてだ…』すると温朔は相手が安楽だったら勝てるだろうかと笑った。「どちらも策士ですがやり方は違うはず …ただどちらも類まれなる才女で、偶然にも殿下と巡り会った」翎湘楼(レイショウロウ)に戻った洛銘西は安楽と韓燁の交わす視線に心が乱れていた。すると琳琅(リンロウ)が現れ、密書を渡す。「…魚が釣れそうだ」その夜、大理寺の地下牢に刺客が潜入、呉越が殺された。古雲年は息子が呉越を殺したと知り激怒した。事件が結審する前に2人も死人を出し、これでは嫌でも周りから疑惑の目を向けられてしまう。「数日、おとなしくしていろ!都を出るのだ!」一方、韓燁は大理寺で待ちぼうけを食わされた。すると安楽を迎えに行った侍従・吉利(キツリ)が慌てて戻ってくる。「殿下、任大人は翎湘楼で花魁の宴に出席しているとか…」安楽は翎湘楼で洛銘西と一緒に古斉善が来るのを今か今かと待っていた。「琳琅が文で呼び出した、奴は好色ゆえ必ず来るだろう」「そろそろ報いを受ける頃合いだわ…あ、ちょうど私の客が来た」韓燁の姿を見つけた安楽は急に欄干に座ったかと思うと、そのまま後ろに倒れて落ちた。「レンアンルー!」階下にいた韓燁は颯爽と駆けつけ、見事に安楽を抱き止めてくれる。しかしその様子を上から見ていた洛銘西は内心、穏やかでいられなかった。安楽は酔ったふりをしてふざけて見せた。しかし韓燁は安楽が酔ってなどいないと分かっている。「朝早くからここで誰を待っている?」「それはあなたよ~うふふ~」「任安楽、誰よりも君に期待している、ゆえに誰よりも君を信じている」韓燁のまっすぐな目を見た安楽はそれ以上、あしらうことができなかった。「安心して、お望みの結果が得られるから」その頃、大理寺では事件が起こっていた。裴沾が早々に上奏文を皇帝に出すと言い出し、黄浦が阻止ようとする。しかし拘束されて手も足も出ず、結局、目の前で裴沾は印を押してしまう。失望した黄浦は辞職を決意、その場で官服を脱いで帰った。すると我慢の限界だった下級の官吏たちも黄浦に倣って出て行ってしまう。翎湘楼で琳琅の舞が始まった。傲慢な古斉善がいないお陰でようやく舞を見ることが叶った子弟たち、まさか林聡(リンソウ)の死をきっかけに会試の不正が暴かれるとは意外だったと噂する。すると安楽は子弟たちに混ざり、自分が必ず3日で満足の行く結果を出すと豪語した。「この事件は太子殿下ですら手を焼いてる、でも私、安楽にかかれば3手で解決よ! 1手目で悪党を誘き出す、2手目は成り行きに任せる…で3手目は?悪党を叩く!」その時、すでに酔っ払った古斉善がやって来た。つづく
2024.02.11
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覆流年 Lost Track of Time第22話陸安然(ルーアンラン)は慶(ケイ)王府の裏門から穆澤(ムーヅー)の寝所に直接、入った。止めどなく流れる涙、しかし穆澤が来たと分かると身を引き締める。今夜は初夜とあってか、穆澤はいつになく優しかった。「うさぎの灯籠は気に入ったか?」「殿下からの贈り物ですから…」すると穆澤は腰から玉佩を外し、安然に渡す。「私の心と同じく、大切にして欲しい…信じられぬかもしれないが私の本心だ そなたと幸せになりたい気持ちに偽りはない」穆澤は酒を準備したが、安然は禁忌のはずだと訝しんだ。「…酒を飲まぬ理由を教えよう、私は8歳の時、この手で母に毒酒を渡した」安然はかつて皇后に封じられた時、穆澤の生母の廟に案内されたことを思い出した。当時、穆澤は良(リョウ)妃が生母を毒殺して骸を井戸に捨てたと話している。「良妃は侍女をまるで虫けらのように扱っていた 何も知らぬ私は身分差ゆえだと思っていた、真相をあとで知ったよ 良妃は私が毒酒を母親に手渡して殺せるか否かを試したのだ」結局、生母は息子の手を汚せないと杯を穆澤から奪い取り、自ら毒酒をあおったという。「私が殺したようなものだ…だから酒の杯を見る度、目の前で息絶えた生母を思い出してしまう 父皇はすべて知っていたよ、どんなに努力しても私を疎んじるわけだ 所詮、父皇にとって私は一夜の過ちによる汚点だからな 私も自分のやり方が嫌いだ、しかし選択肢がない」穆澤はそっと涙をぬぐい、安然と夫婦の杯を交わした。穆澤は禁忌を破ることで安然への誠意と真心を示し、優しく抱きしめた。「陸家は私が守ると約束する」しかし安然は黙ったまま、どこか冷めた目をしている。「なぜそんな目をしている?」「どんな目をしろと?私はもう殿下のもの、至らぬ点は改めます…」すると安然は自ら外衣を脱ぎ始めた。「気が進まぬことはするな、私は慶王、無理強いなどはせぬ」「これが側室の務めですので、無理強いが嫌なら私の方から…」「陸安然?!私を好色な男だと?」安然は穆澤が制止するのも無視して衣の紐を解こうとしたが、激高した穆澤が止めた。「欲しいのは生きる屍ではない、そんな態度で私を馬鹿にするつもりか?!」穆澤は安然がわざと自分を怒らせていると気づき、寝所を出て行ってしまう。安然は無我夢中で屋敷へ続く通路を走った。そこへ冬青(ドンチン)が駆けつける。「小姐、大丈夫ですか?」「自尊心の高い男は屍には興味がない…読みが当たったわ」一方、傷心の穆川(ムーチュアン)は部屋に閉じこもったまま、気がつくと夜も更けていた。すると村人が稲が腐っていると叫ぶ声がする。「青枯れ病だ…田を焼くしかない」穆川は稲まで安然の急な心変わりのように半年で豹変したと肩を落とした。「決断は早い方が良い、害が広がる前に…」安然への想いを込めた″安心稲″、しかし穆川は全てを消し去るように焼き払ってしまう。蕭驚雀(ショウキョウジャク)は今夜が安然の輿入れだと知り、悲しみに暮れていた。しかし思いがけず穆澤が寝殿に現れる。驚雀は側室ならしきたり通り正室に茶を献じて挨拶すべきだと文句を言ったが、穆澤はあっさり認めてくれた。「いいだろう、明日、来させる、好きにやるが良い」安然は何とか初夜を逃げ切ったが、永遠に同衾を逃れることはできないと分かっていた。そこで今のうち毒を飲み、子が産めぬ体になろうと決める。冬青は薬湯を準備したものの、どうしても渡せなかった。「ここで逃げ道を考えていたら何もできない」すると安然は半ば強引に薬を取り上げ、一思いに飲んでしまう。「冬青、まだ泣いてはダメ…もうすぐ霊奚(レイケイ)の初七日よ?蕭驚雀と片をつけなくては」翌朝、安然は挨拶のため蕭驚雀の寝殿を訪ねた。すると嬷嬷(モーモー)が沸騰した湯で煮立てた茶碗に茶を入れて準備する。安然は熱さをこらえて驚雀へ茶を献上したが、驚雀はわざと話を長引かせて受け取らなかった。やがて安然は熱さに耐えかね、茶碗を落として割ってしまう。「王妃に何てことを!ひざまずきなさい!」嬷嬷は安然が当然、拒むと知りながら命じたが、驚いたことに安然は破片の上にひざまずき謝罪した。予想外の展開に驚雀は呆然、安然の衣が血に染まる様子を見て怖くなってしまう。「…目障りよ、出て行って!」冬青は血だらけの安然を支えて回廊を歩いた。次々にすれ違う侍女たち、当然ながら正室が嫉妬に駆られて側室をいじめたと思い込む。しかし安然はこれも穆澤の警告だと分かっていた。「つまり小姐が慶王殿下を興ざめさせたので、あんな仕打ちを?」恐らく穆澤はこの王府で誰に頼るべきか知らしめたかったのだろう。「あの人は毎日、剣の稽古の後、ここを通るの」するとその時、穆澤が回廊へ上がってきた。穆澤は安然の怪我に気づいて欄干に座らせた。傷は明らかに破片で切ったように見えたが、安然は転んだと言い張る。「そんな見え透いた嘘をつくとは…私の真心を拒否しているのか? なぜ普通の女子のように泣きつかぬ?」「殿下からの警告です…殿下に仕返しを?」「お見通しか」すると安然は痛みを我慢してその場にひざまずいた。「この慶王府で生きて行くには殿下を頼るしかありません 私に才覚があれば霊奚も王妃に殺されずに済んだはず 怖いのです、眠ったら最後、目覚めないのではないかと…」「心配はいらぬ、そなたを傷つける者は私が許さぬ」穆澤はこの時、霊奚の死の原因が蕭驚雀だと知った。一方、蕭驚雀は安然の件が慶王の耳に入るのを恐れていた。しかし嬷嬷は慶王の意向に従っただけだとなだめ、それより正室祝いの品を見てはどうかという。実は贈り物の中には安然が紛れ込ませた腕輪があった。穆澤は自ら安然の傷の手当てをして帰した。これも安然が従順な側室を演じたおかげだろう。「嫉妬深い蕭驚雀が知れば大騒ぎするはず、そうだ、王妃への贈り物を届けてくれた?」「ご心配なく」忘れもしないあれは王妃となって5年後の誕生日。安然は驚雀がはめていた膠東(コウトウ)の翡翠の腕輪に気づき、叱責したことがあった。『工部侍郎の岳父は翡翠商を営む、ずい分と気前がいいわね… 朝廷は綱紀粛正の最中よ?汚職の根源である工部から貢物をもらえば殿下の立場は? 禁足して反省しなさい!』そこで安然は冬青に葡萄棚の下を掃除するよう頼んだ。「王妃が来たらひざまずかせるから… それから穆澤を呼ぶことも忘れないで、この芝居には穆澤が必要よ」安然の思惑通り蕭驚雀は翡翠の腕輪を気に入り、早速、はめた。すると劉(リュウ)執事が汁物の差し入れがてら、側室が今朝の叱責を慶王に告げ口し、薬まで塗らせていたと吹き込む。激怒した驚雀は安然を懲らしめるため陸府へ、一方、衫越(サンエツ)は慶王に助けを求めに向かった。蕭驚雀は葡萄棚で水やりをしていた安然をひざまずかせた。すると嬷嬷が身体に傷がつかないよう作った柔らかい鞭で安然を打ち始める。「やめよ!」そこへ知らせを聞いた慶王が現れた。穆澤は安然の足から再び血が流れているのを見て憤怒、鞭を奪うと見せしめに嬷嬷を激しく打ちつける。「王妃、殿下を奪ったと私をお恨みなのですね?だから霊奚を突き飛ばして殺したのですか?」驚雀はてっきり気を失っただけだと思っていたが、実は霊奚は頭を石に強打していた。「だって…軽く押しただけよ?!」布石は打った。「どちらにしても霊奚は戻ってこない、私はここで失礼します あ、殿下、王妃にお尋ねください、その腕輪の出所を… それはめったに入手できない翡翠です、その色なら陸家の私邸が10軒は買えるでしょう まさか霊奚の命や王府の名声より腕輪が大事なんて…」穆澤は大きくため息をつくと、驚雀を霊奚が亡くなった葡萄棚へ連れて行った。「跪下(クィシア)!」つづく( ๑≧ꇴ≦)アンラン恐っ!まさかアンランがラスボスじゃないよね?!w
2024.02.11
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覆流年 Lost Track of Time第21話清河幇(セイカホウ)で倒れた穆川(ムーチュアン)。思いがけず陸安然(ルーアンラン)が訪ねてくれたが、穆川に突きつけた言葉はあまりに辛辣だった。「私たちはただの知己、私はあなたの二哥を愛し、大瀚(ダイカン)の慶(ケイ)王殿下に嫁ぐの」「違う!君の心には私がいる、誰に脅されたんだ?!お願いだ、私を頼ってくれ」「…生き埋めにされた時、暗闇と絶望の中で脳裏に浮かんだのは慶王殿下の顔だった あの騒ぎがなければ一生、気づかなかったかもね…」「ごぅら(够了)!…ならば私は?君にとって私は何だ?」しかし安然は居たたまれなくなり、黙って出て行ってしまう。その時、穆川は戸をつかんだ安然の腕から覗く銀の腕輪を見逃さなかった。穆川は安然の馬車を追った。安然は御者に振り切るよう命じたが、冬青(ドンチン)は病み上がりの斉王に早駆けは身体に障ると諌める。仕方なく安然は馬車を止めて降りた。すると穆川が駆けつけ、安然の腕をつかむ。「私を想わぬのならなぜこの腕輪を?!」「…細工が気に入ったからです、でも誤解を招くようなら止むを得ません」安然は腕輪を投げ捨て、これで縁も切れたと冷たく言い放った。霊奚(レイケイ)は留守番中、安然のために小豆湯を作っていた。すると清河幇から戻って来た冬青が現れる。「小姐にもお辛い事情がある…私たちが腹を立てたら誰にも苦しみを吐き出せなくなってしまう」「別に気にしてなんかいないからね、だって小姐は私が一生、お仕えする人だもの」ただ霊奚は想い人を拒絶して慶王に嫁ぐと決めた安然のことが心配だった。「もっと賢く頼れる侍女になれれば…小姐の力になれるのに」「あなたはそのままで十分よ」穆川は熱も下がって居所に戻ったが、まだ酒に溺れていた。そこへ九弟が高熱で倒れたと聞いて穆澤(ムーヅー)がやって来る。穆川は到底、二兄と話す気分ではなかったが、ふいに何とも言いようのない虚しさに襲われ、二兄への怒りを爆発させた。「以前はこう思っていた、安然の嫁ぐ相手が誰であれ輿が門をくぐるまでは諦めない… 誰であろうと全てを捨てて取り戻してみせると… それがまさか安然の嫁ぐ先が慶王府だったとは!」穆川は力の限り酒瓶を地面に叩きつけて割った。「これまで安然との出会いは天の配剤だと思っていた、でも結局、すれ違った」一方、安然は穆川からもらったうさぎの燭台をながめていた。「これからは長い夜が続く、心細い闇の中でこの光を頼りに進むだけ」その時、葡萄棚の水やりに出た霊奚の悲鳴が聞こえた。穆川が植えた葡萄が枯れていた。冬青は落ち葉から漆の匂いがすると気づき、恐らく午後に部屋を塗り直した者が汚水を捨てたのだという。すると突然、安然が血相を変えて飛び出していった。冬青は葡萄棚を霊奚に任せ、安然を追いかけたが…。蕭驚雀(ショウキョウジャク)は安然が輿入れしても居所を変えず、慶王府への通路を作らせたと聞いて激怒した。「えこひきいよ!…この屋敷の女主人は誰なのか思い知らせてやる!」驚雀は通路から陸府へ乗り込んだが安然は留守、そこで腹いせに嬷嬷(モーモー)に命じ、美しく飾られた中庭をめちゃくちゃにした。驚いた霊奚は嬷嬷を止めようとしたが、その隙に驚雀が葡萄棚を荒らしてしまう。一方、安然は山道から投げ捨てた銀の腕輪を血眼になって探していた。冬青は日が昇ってから自分が探すと訴えたが、安然はどうしても今夜中に見つけるという。「私に明日なんてないの、葡萄は枯れ、あの人を失った…腕輪だけは失いたくない!」しかしその頃、霊奚は安然の大切な葡萄棚を守るため側夫人ともみ合いになり、突き飛ばされて気を失っていた。安然はついに腕輪を見つけ出し、冬青と急いで屋敷へ戻った。すると中庭が誰かに荒らされ、霊奚が葡萄棚で倒れている。「霊奚?どうしたの?」安然は霊奚を抱き起こそうとしたが、その時、霊奚の頭に大量の血糊がついていると分かった。「霊奚…そんな…」慶事を祝う真っ赤な帷はまるでこの屋敷を血に染めているように見えた。…そして私に告げる、また人失うことになったと…安然は憎い帷を引きずり下ろし、放心状態のまま葡萄棚の下で朝を迎えた。。・゜・(ノД`)・゜・。霊奚は衫越(サンエツ)が丁重に埋葬してくれた。冬青に促されてようやく寝殿に戻った安然、すると机に霊奚が作ってくれた小豆湯がある。安然はすでに腐り始めている小豆湯を無我夢中で食べ始めたが、その時、穆澤が現れ、器を払いのけた。「蘇城(ソジョウ)では毒にやられ、今回は侍女が死んだ、一体、何を企んでいる?」「…霊奚の死が私の企みだと?!一緒に育ったのよ?!悲しんで何が悪いの?! 謀略しか頭にないあなたには分からないのよ!」しかし穆澤は何があろうと予定通り嫁いでもらうと言い放ち、帰ってしまう。慶王府に戻った穆澤は密室に入り、母の霊位に陸安然を娶ると報告した。「安然も九弟も傷つけてしまった、私にはもう分かりません どうすれば普通の幸せが得られるのか…」←( ゚д゚)え?すると穆澤は安然の髪を供えて書斎へ戻った。一方、傷心の穆川の耳にも霊奚の訃報が届く。そこで日が暮れてからこっそり弔いに出かけたが、ちょうど安然と冬青が葡萄棚で冥銭(メイセン)を燃やしていた。「霊奚は正しい、私は変わった、いつもは何でも話せたのに、でも今は… 霊奚の純粋さが怖くて全て隠した 欣然(シンラン)を嫁がせた時、万全の策を練ったはずが、霊奚の件をすっかり忘れていた」穆川は全て安然の企みだったと知り呆然、引き返してしまう。冬青は斉王に気づき、釈明して来ると言った。しかし安然が止める。「これでいい、この方がお互いのためよ」安然はそのまま冥銭を焚き続けながら、あの時の祈祷師の言葉を思い出していた。…万物は運命に身を委ねる…流れる大河を途中でせき止めれば新たな流れが生まれる…だが流れを止めることはできない、誰にもその頃、穆川は慶王府にいた。穆川は自分が花嫁を迎えに行くと申し出たが、穆澤は必要ないという。しかし穆川は行かせて欲しいと懇願した。翌朝、花嫁を迎えに来たのは穆川だった。安然は一瞬、動揺したが、穆川は紅蓋頭をかぶった安然の表情を読み取ることはできない。「恐れ入ります、斉王殿下」一行は急な雨に降られ、穆川はやむなくやぐらの下でしばし雨宿りすることにした。その時、花嫁の輿に気づいた民たちが慶王府に嫁ぐ陸家の長女を揶揄する。꒳ ̄)<妹が不貞を働き離縁されたが、その隙に姉が皇家に取り入ったんだ꒳ ̄)<妹の夫だろう?とっくにデキてたんじゃないのか?安然はただ目を閉じて黙っていた。すると穆川は安然がこんな辱めに耐えられるとは思わなかったという。「今日は未練を断つために来た、正直に答えてくれ 君が瀚京(カンケイ)に来たのも計算ずく、妹の密通をでっち上げたのは陸家を守るためか?」「シィー」「私のことも計画の1つだった?」「…是」「私が渡した雪蝉子(セツセンシ)と鉤吻(コウフン)は妹を嫁がせるためか?そしてあの毒は自ら飲んだ?」「…是」安然は目的のため家族を傷つけ、穆川の真心まで利用したと認めた。「冬青、雨が止んだわ、行きましょう」花嫁の輿が慶王府に到着した。穆川は思わず馬を飛び降り、安然の背中に問いかける。「後悔しないか?」「…しないわ」すると安然は慶王府の敷居をまたいでしまう。…残酷な宿命は慶王府の高い屏によって天地を2つに隔てた穆川は塀の内側に立ち入ることができない陸安然が華やかな檻の中に囚われた瞬間、塀の外の広い世界はまるで色を失ったようだった…つづくヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノすごい展開がこれでもかと続く…
2024.02.09
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覆流年 Lost Track of Time第20話最後に愛しい人とかけがえのない時間を過ごした陸安然(ルーアンラン)。「穆川(ムーチュアン)…あなたからの贈り物、ずっと大切にするわ」すると穆川は安然の額にそっと口づけした。「また明日」穆川は幸せを噛みしめながら安然と別れたが、まさか安然が涙ながらに自分の背中を見送っているとは知る由もなかった。穆川の贈り物は手作りのうさぎの型の燭台だった。安然はしばらく炎を眺めていたが、ふと穆川の最後の言葉を思い出す。「また明日…(でも明日になれば、あなたは私を嫌いになる)」一方、慶王(ケイオウ)府では穆澤(ムーズー)が側室・蕭驚雀(ショウキョウジャク)の舞を見ていた。安然を手に入れることができず上の空の穆澤、その時、護衛の南星(ナンセイ)が陸安然の来訪を伝えに来る。「大事な話があると書斎でお待ちです」すると穆澤はさっさと出て行ってしまう。「殿下?!」穆澤は陸家が皇家お抱えの商家となった今、何の話かと訝しんだ。「今さらどんな返事をするつもりだ?」「…あなたに嫁ぎます、側室としてお迎えください、その代わり陸家を自由にして欲しい」安然はどう戦おうと皇家に勝てないと負けを認め、怯える日々に疲れたという。すると安然は誠意を示すため、自分の髪を一掴み切って差し出した。「これを夫婦の証しに、私の決意を裏切らないでください」…もはや私に残されたものはこの身ひとつだけ…安然の背中を見送る穆澤の手には安然の黒髪があった。穆澤は早速、陸家に人を送って慶事の準備に取り掛かった。何も知らず安然に会いに来た穆川は呆然、感情的になって花嫁の部屋に押し入ろうとする。「安然!なぜ二哥に嫁ぐんだ?!訳を聞かせてくれ!」慶王の使いは必死に斉(セイ)王を制止していたが、穆川は簡単に諦めそうもない。そこで安然は冬青(ドンチン)に伝言を頼んだ。冬青は安然の言葉を伝えた。「″水面に散った花は心の求めるままに流れゆく″と、小姐(シャオジエ)のためを思うならご理解を 殿下が寝殿に立ち入れば小姐のお立場に傷がつきます」「冬青、お前なら安然の本心が分かるはず、一夜のうちに何があったんだ?!」「小姐は常に信念に従って行動します、嫁ぐと決めたのはご本人の意思です 殿下はあくまで小姐の知己なのです」「嘘だ!私の想いに気づかぬはずがない!」しかし冬青は執着すれば苦しみが増すだけだと突き放した。「全てご納得の上、決められたのです…どうぞお引き取りを」「納得?何が納得だ…私は納得できぬ、決して!」霊奚(レイケイ)は安然の斉王への仕打ちに困惑、安然を問い詰めた。「小姐はすっかり変わってしまった…成人の儀からまるで別人のようです! 私を子供扱いするけれど、私だって小姐の気持ちくらい…」「甘やかし過ぎたようね!口答えはおやめ!」「そんな言い方…小姐なら絶対しない!」すると霊奚は泣きながら寝殿を飛び出してしまう。やがて瀚京(カンケイ)は雨になった。傘も差さず町をさまよう穆川。安然はなぜ一夜で豹変したのか、まさか二兄を本当に愛しているのだろうか。その頃、穆澤は陸家を訪ねていた。婚礼準備が進む様子に満足げな穆澤、すると安然が慶王府に移りたくないという。「女の妬みは怖い、諍いを避けて平穏に暮らしたいのです」「ふっ、平穏だと?慶王府は尼寺ではないぞ?」←誰が上手いこと言えとw穆澤は安然が何か企んでいると疑いながら、それがどんな策略なのか期待してしまう自分がいる。しかし安然は至って殊勝に振る舞った。「この屋敷は慶王府と隣接しています、庭に通路を作りますのでこのまま住み続けても?」「ふむ…はお、よかろう、ただ一度は輿入れしてもらうぞ それから九弟の関係は清算しておけ」「私と斉王殿下は清い関係です」「逃げるだけではダメだ、思いを断ち切らせねばな…いいな? それから決して涙は見せるな、そなたを娶る気が失せる、虐げる楽しみもな」傷心の穆澤は清河幇(セイカホウ)にいた。沈長青(シンチョウセイ)はびしょ濡れのまま泥酔している穆川を見つけたが、こんな哀れな姿を見るのは初めてだった。「私には大事な人がいた…待っていてと言われたから私は待った、ずっと待ったよ 信じて待ち続けてやっとその時が訪れた、でも手を伸ばした瞬間、泡のように消えてしまった ふっ、あはははは…うっ…分からないんだ…私の何が悪かったのか… 許して欲しいけれど、何が悪かったのか分からない…他の男に嫁ぐなんて…」すると穆澤は高熱を出して倒れてしまう。蕭驚雀は慶王が陸安然を娶ると知り、激しい嫉妬に駆られた。何とか思い止まらせようと説得したが、かえって叱責され、引っ叩かれてしまう。「出て行け!」穆澤は驚雀の兄・蕭映(ショウエイ)の反発を予想し、軍営を訪ねた。予想通り蕭映は辺境の平定に忙しく、翊(ヨク)王まで手が回らないと遠回しに牽制する。「戦場で共に血を浴びた戦友として率直に申せ」すると蕭映は蕭家に対する仕打ちに失望したと嘆き、妹に正室の座を与えて欲しいと嘆願した。「辺境の兵力でどうだ?」「すぐ呼び戻しましょう」「では明日から蕭驚雀が慶王府の女主人だ」穆澤は安然の部屋にうさぎの燭台があることを見逃さなかった。そこですぐ侍女たちに新しい飾りを届けさせる。「陸小姐がうさぎがお好きだからと殿下が特別にご用意しました 普通の提灯よりも可愛らしくて素敵ですね」しかし赤いうさぎの提灯はかえって安然を鬱々とさせてしまう。「あの男の思い通りにはさせない、奪われたものをひとつづつ取り返す」←え?振り出し?その時、突然、沈長青が現れた。配下に何度、安然を呼びに行かせても門前払い、我慢の限界に来た沈長青は首に縄を付けても連れて行くという。「穆川はボロボロだ、うわ言のようにあんたの名前を呼び続けてる、一緒に来い!」「分かった、一緒に行くわ、話をつける」沈長青は穆川を本当の弟のように可愛がっていた。そんな穆川が心底好きになった相手なら何とかしてやりたい。つづく( ๑≧ꇴ≦)ここに来てスムージーのツンデレ発動それにしても皆、上手いね~地味だけどw
2024.02.08
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覆流年 Lost Track of Time第19話穆川(ムーチュアン)は愛する陸安然(ルーアンラン)のため、父皇に事情を話して陸軽舟(リクケイシュウ)を救おうとした。そもそもこれは身内の争い、しかし陸欣然(ルーシンラン)が自害したこともあり証拠がない。一方、冬青(ドンチン)は欣然の骸が蘇城(ソジョウ)で母親の隣に埋葬されたと安然に報告していた。安然はそれより父が心配だったが、冬青は斉(セイ)王が何とかしてくれると励ます。「そのためには大きな代償が必要かも…水運は陛下の宿願だった、陸家から奪う好機だわ」安然の予想通り皇帝は陸軽舟を釈放する代わりに陸家の船や港の権利を朝廷に差し出すよう条件を出した。穆川は父皇のやり方に反発し、二兄に協力を求めた。しかし穆澤(ムーヅー)の反応は冷ややか、陸家が水運を握りながら無傷でいられたのも皇帝の慈悲に過ぎないという。「目の前の肉を手放すとでも?」兄の言葉に激高した穆川は思わず机を叩いて立ち上がった。「まるで強盗だ!卑怯にも程がある!」「それが帝王の手段だ!」「帝王の手段?…もう二哥とは食卓を囲めない」すると穆川は食事の途中で帰ってしまう。実は穆澤は欣然が偽造した密書を持っていた。安然が泣きついてくるなら陸軽舟の潔白を証明しても良いが、果たして頭を下げる相手は自分なのか、皇帝なのか。陸欣然の騒ぎが祟って陸家の業績は急激に落ち込んだ。ここまでの赤字は初めてのこと、今は蓄えを切り崩して船員たちに給金を出している。しかし皮肉なことに陸家を見限った船員たちが大量に辞めたことで、赤字は減っていた。安然は新規の注文を止めるよう通達し、来月一日に瀚京(カンケイ)で会合を開くことにする。「あと少しだった…陸家の船は国中を結べたのに…」家業を手放す覚悟を決めた安然は穆川と落ち合い、皇帝に謁見したいと頼んだ。安然は36港を束ねる双魚令(ソウギョレイ)と譲渡証を献上した。その代わり複雑な水路で混乱が起きないよう水運の管理を任せて欲しいという。皇帝は安然が平凡そうな娘に見えて聡明だと気づき、管理を認めて少し話をすることにした。「川児から母親の話を聞いたか?」穆川の生母は南霄(ナンショウ)の公主だった。皇帝は南霄を制圧した際、公主に一目惚れ、側室として娶ったという。しかし皇帝が寵愛しても想い人がいた公主は心を閉ざしたまま、我が子さえも遠ざけた。そして想い人が戦死したと知った公主は首を吊り、あとを追ったという。皇帝は当時のことを思い出し、思わず目が潤んだ。「川児は母親に似ている」奇しくも穆川は生母と同じ言葉を口にした。『陸安然が好きです、彼女が苦しむ顔を見ていられません』穆川は安然を娶りたいと言ったが、皇帝は母と同じ道を歩ませたくないという。そこで皇帝は父親に平穏な老後を遅らせたいなら今後一切、穆川と会ってはならないと命じた。安然が宮殿を出ると外は激しい雪になっていた。…陸安然、お前が愛を手にすることは贅沢な望みなのよ…あの苦しかった10年、どうしてまた同じ苦しみを味わうことに?…結局、私は籠の鳥のまま死ぬ定めなのね…もう疲れてしまったすると10年後の哀れな自分が現れ、結末を覆す以外に逃げ道はないと助言する。穆澤が再び皇帝に即位すれば、永遠に囚われの身となるのは必至だ。『でもどの道、穆澤から逃げられない、何度、やり直しても陸家は救えず、深みにはまるだけ… 陸安然、あきらめなさい』「嫌、イヤよ!何としてでも陸家を救う!」この時、安然は気づいた。時を遡ったのはやり直すためでも天の慈悲でもないこれは運命からの警告だと…。避けようとするだけでは何も変わらない。そして安然は決意した。この過酷な定めに立ち向かおうと…。 ←イヤイヤイヤ…前も言ってなかった?w陸軽舟は釈放された。安然は陸家を守れなかったと謝ったが、父は全力を尽くしてくれた娘を労う。「蘇城で待っていて、もう一度だけ戦いたいの…必ずまた会えるわ」←また戦うのか~いw一方、穆澤は安然が自分との婚姻を拒むため、家業を手放したと知った。「実に恐ろしい女だ、だが見ていろ、そう簡単には思い通りにならぬ」そこで常時、刺客に陸軽舟を見張らせるよう命じた。冬青は兄と相談し、陸軽舟を雲隠れさせる計画を立てた。しかし慶王の配下が尾行しているため逃げ切れず、失敗に終わってしまう。一方、穆川は愛する人を守ることができず、自分の不甲斐なさを嘆いていた。これでは安然に合わせる顔がない。すると霊奚(レイケイ)が独りで訪ねて来た。屋敷へ戻った霊奚は斉王が明日の誘いを喜んでいたと安然に報告した。しかし霊奚には安然が斉王を想いながら、なぜ心を隠すのか分からない。すると安然は穆川を月に例えた。「彼は月のような人、私の苦しい旅路の唯一の慰めなの でも月には手が届かないでしょう?夜空を明るく照らしてくれるだけで十分よ」穆川に会うのは明日が最後になる。安然はせめて穆川の運命だけは変えたいと願った。翌日、安然は初めて令嬢らしい華やかな装いで街に出た。穆川は美しい安然に見惚れながら、手作りの贈り物を渡す。「あ、後で見てくれ、でどこへ?」「少し歩きたいの」安然と穆川はしばし日常を忘れて大街を散策、やがて日が暮れる頃、川辺で暖を取りながら酒を楽しんだ。「以前ならお酒や町歩きは退屈だった、でも今は悪くないと思う」すると穆川はこっそり露店で買った操り人形を取り出し、一目惚れの物語を聞かせると言って告白しようと計画した。しかし安然が自分の知っている一目惚れの物語を先に聞いて欲しいという。「蘇城の王(ワン)という商家に娘が1人いたの、18歳の時、護衛に一目惚れ、結婚を誓った だけど娘の初恋は悲劇に終わる…」安然は架空の物語として自分の体験した壮絶な人生を明かした。「…その後、娘は天から機会を与えられ、想い人と再会するの でも娘は一目惚れした自分が愚かなだけだったと気づいただけ、それからどうなったと思う?」結末はまだ安然にも分からない。すると穆川は振り出しに戻れるのなら宿命などにこだわらず、毎日を楽しく生きればいいと言った。率直な感想を聞いた安然は娘が大事な人と一緒に人里離れた山奥で静かに暮らしたと締めたが、そんな夢はもう叶わない。「もし来世があったら何をしたい?」「皇子に生まれず、世界を旅したい…君は?」「私は…誰かの妻となり、共白髪になるまで仲睦まじく、平凡に暮らしたい」安然は穆川のために花火を買っていた。美しく燃え上がる花火を見ながら、安然はかつて大晦日に穆川が花火を届けてくれたことを懐かしむ。「穆川、改良された稲が実り、黄金色に輝けば、この花火のように美しいわ」「その時、君はどこに?」「一緒に豊作を見届けたい」つづく( ;∀;)むーちゃんを月に例えるなんて素敵
2024.02.07
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安乐传 The Legend Of Anle第3話任安楽(レンアンルー)は翎湘楼(レイショウロウ)で偶然を装い洛銘西(ルオミンシー)と合流。大理寺(ダイリジ)で確かに裴沾(ハイテン)が事件を捏造し、忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)が群臣を脅した証拠があったと報告した。「それからもう一つ、街で乱暴を働く古斉善(コセイゼン)を咎めようとしたら韓燁(ハンイエ)に止められた」「当然のことだ、有徳の君子たる韓燁は腹黒い古雲年に手を焼き、業を煮やしているからな」「私はその君子らしさを利用させてもらう」洛銘西が目をつけたのは会試だった。主任試験官の李崇恩(リスウオン)は古雲年の側近、今回の会試で必ずや卑怯な細工を施すはずだという。そこで洛銘西は安楽に忠義侯一味の名簿を渡した。恐らくこの者たちは帝(ディ)家を滅ぼした陰謀にも関わっているだろう。安楽は巻物を解こうとしたが、その時、回廊から温朔(ウェンショウ)の声が聞こえて来た。「殿下!任大人(ダーレン)と会って確かめてみましょうよ!」韓燁は安楽がなぜ洛銘西と一緒なのか怪しんでいた。そんな皇太子の気持ちを察してか、温朔は2人の部屋を訪ねようという。すると部屋にはやけに打ち解けた2人の姿があった。洛銘西は尋問の手法が粗雑なため、刀の使い手である任安楽に手解きを受けていたと嘘をつき、刑部に引き抜きたいという。安楽を冷たくあしらいながらも、他の男になびくのは面白くない韓燁。実は安楽は狩りのあとから尾行されていると気づいていた。今夜の目的は韓燁に洛銘西との出会いを目撃させることだった。これで今後、安楽と洛銘西が会いやすくなり、堂々と手を組んで敵を葬り去ることができる。任府に戻った安楽は早速、洛銘西からもらった″京城美男子名録″をろうそくであぶった。すると本当の名簿が浮き上がってくる。「手始めに頭目から片付けてやるわ@古雲年」一方、洛銘西は官服を着替え、翎湘楼の最上階で花火を眺めていた。そこへ翎湘楼一の売れっ子・琳琅(リンロウ)がやって来る。「準備が整いました」「はお、会試は3日後に終わる、お前が舞う花魁(カカイ)の夜は絶好の機会となろう」会試が終了した2月15日、安楽は韓燁に頼み込んで琳琅の舞を見に来た。「そうだ殿下、会試が終わったので羽を伸ばしても?」温朔は花魁の夜を楽しみにしていたが、皇太子から常にたゆまず気を引き締めろと釘を刺されてしまう。「殿下~温朔をいじめるのはやめて、その美しい顔を見せてください」すると韓燁は大理寺に戻るなら10秒だけ見ても良いと許した。「それでもいいわ」「では10秒数えたら大理寺に帰れ」安楽は遠慮なくまじまじと顔を眺め始めたが、ふいに韓燁が振り向いて驚かせた。2人は鼻と鼻がぶつかり、いつもは強気な安楽が驚いて顔を背けてしまう。「興が覚めたからやめる」その時、古斉善が釈放された林聡(リンソウ)を連れてやって来た。古斉善は護衛を使って先客の席を奪い、取り巻きたちと傍若無人に振る舞っていた。それにしても会試の結果が出ていないにも関わらず、古斉善は妙に自信を持っている。「奴一人ではなく、牢から出た林聡も自信満々です」その声は洛銘西だった。ついに琳琅の舞台が始まった。目も眩むような艶やかさと見事な身のこなし、すると最後に琳琅が花球を取り出して見せる。「皆様、この花球を得た客人だけに琳琅が一曲、歌って差し上げましょう」すると古斉善はもちろん、誰もが花球を手に入れようと躍起になった。しかし天女のごとく飛び回る琳琅に翻弄され、なかなか奪い取ることができない。琳琅はやがて上階の露台まで飛び上がった。客たちは階段を駆け上って花球の取り合いとなったが、その時、露台の欄干が外れて林聡が落下してしまう。館内は騒然、そこで安楽が颯爽と踊り場に飛び降り、令牌を出した。「大理寺が命ず、全員ここに残れ!」林聡は頭を強く打って死んでいた。古斉善は単なる事故だとあしらい、大理寺少卿ごときが自分に傲慢な態度を取れば父が黙っていないと脅す。「官職を失ってもいいのか?」「いつもなら大目に見るのよ?(ニコッ)でもあいにく今日は太子殿下がお越しだから~」その時、見かねた韓燁が現れた。驚いた古斉善たちは拝礼、それ以上、横柄な態度ができなくなってしまう。安然は必ず下手人を見つけ出すと自信を見せ、記憶をたどりながら露台にいた子弟たちを順番に追及した。身に覚えのない子弟たちは動揺しなかったが、やがてある子弟が慌てて逃げ出そうとする。「見つけた!」すると犯人は花球が欲しかっただけでわざとではなかったと白状した。「まさかあんなことになるなんて…」安楽は見事に事件を解決、皇太子に褒美をねだった。しかし韓燁は桜桃をひとつ渡し、さっさと後始末をするよう指示する。古斉善たちはそこで引き上げることにしたが、犯人がすがりついて止めた。「助けてください!」「放せ!」その時、安楽の怒号が響き渡る。「静かにして!誰が帰っていいと言った?!」すると安然は亡骸の懐から小さな書き付けを見つけた。古雲年は息子が大理寺に連行されたと聞いて激高した。何でも花魁の夜で林聡が事故死、人殺しの嫌疑がかかっているという。「亡くなった林聡が…会試の解答を持っていたのです」一方、韓燁は早速、皇帝に謁見し、会試で不正があったと告発した。林聡は工部郎中の子で徒党の1人、設問は他の仲間にも知れ渡っていた可能性が高い。しかし皇帝は僅か1枚の書き付けだけでは断罪できないと難色を示した。「調査に3日の猶予を与えよう」安楽は夜更けに忠義侯に呼び出された。ついに仇敵の屋敷へ足を踏み入れた安楽、どうやら古雲年も自分の正体に気づく様子はない。安楽は皇太子の前で手柄を急ぐあまり子息を大理寺に送ってしまったと釈明し、何しろ一日中、皇太子に見張られていると嘆いた。すると古雲年は安楽を懐柔するため、安楽を皇太子妃に推すと約束する。安楽は喜び、子息が仮に関わっていたとしても対処すると安心させた。韓燁と温朔は林聡がなぜ不正の証拠を慎重に扱わなかったのか怪しんでいた。すると安楽が訪ねて来る。男女の別を重んじる韓燁は安楽を寝殿には入れず、回廊で話すことにした。「一夜を共にした仲なのに何を今さら~でも瑇(タイ)山にいる帝梓元(ヅユアン)に知られたどうする?」「安楽、軽々しく梓元の名を口にするな」安楽は韓燁が不機嫌の理由は皇帝だと気づいた。「3日以内に証拠を見つけなければ調べられぬ」「任安楽の出番ね♪太子殿下の難を除くため全力を注ぐわ! もし私が事件を解決したら皇太子妃にしてくれる? それが叶わないなら妃嬪の位をもらおうかな〜」そこで安楽は隙を見て韓燁と強引に指切りしてしまう。「明日は必ず大理寺に来てね!」安楽のせいですっかり調子が狂う韓燁、それにしても安楽は本当に3日で解決することができるのだろうか。大理寺の唯一の良心・黄浦(コウホ)は今回の事件を念入りに調べていた。裴沾(ハイテン)にとって黄浦は目の上のこぶ、捕まったのは忠義侯の子息や高官の子弟たちで、もし怒らせれば出世の道が絶たれてしまう。とは言え、事件が皇帝の知るところなった今、下手なごまかしも利かなかった。「正攻法でごまかせないなら、奥の手を使っては?」安然は自分が子息たちの尋問を行うと申し出た。皇帝、皇太子、忠義侯を全て納得させるためには、出自の卑しい者に罪を押し付ければ良い。「実は忠義侯が持ちかけてきたの、本件をうまく治めたら太子妃に推すと… 太子妃になればこっちのものよ!」すると喜んだ裴沾は安楽に大理寺卿の令牌を渡し、さっさと帰ってしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)キタワー!琳琅!
2024.02.06
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安乐传 The Legend Of Anle第2話春の狩りに颯爽と現れ、皇太子妃候補に名乗りを上げた任安楽(レンアンルー)。安楽の名は一夜にして都中に知れ渡り、脚色された女海賊の求婚物語は民だけでなく、宮中の太監や宮女たちの間でも人気となった。しかし韓燁(ハンイェ)はこれが安楽の仕業だと気づく。「都に入って民心を利用するとは賢い…だが野放しにはせぬ」一方、安楽は侍女・苑琴(エンキン)が準備しておいた任府に落ち着いた。この屋敷は皇太子府と目の鼻の先、西側には三省六部(サンショウリクブ)と九寺五監(キュウジゴカン)が置かれ、抜け道まであるという。その頃、刑部尚書・洛銘西(ルォミンシー)は伝書鳩で帝梓元(ディヅユアン)が帰京したと知った。洛銘西が秘密の通路から帝家の霊廟に向かうと、美しく成長した梓元が待っていた。「梓元と呼ぶか?あるいは安楽と?」「韓家との関わりは金輪際、断ち切る、私のことは安楽と…」実は梓元に安楽という偽名を付けたのは洛銘西だった。洛銘西は帝家の宝剣を嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)に献上、そのお陰で若くして刑部尚書の地位を得た。こうしてかつての護衛が朝廷に仕えてくれていたおかげで、安楽は在野で力を蓄えることができたという。「瑇(タイ)山にいる帝梓元と皇太子に溺れる女海賊・任安楽… 求婚が話題になる程、本懐を遂げやすくなる」「安楽、韓燁は君に10年欠かさず三月おきに贈り物を届けているぞ?」「ふっ、恨みの炎を消すにはささやか過ぎない? 今の私は復讐を誓った任安楽、太子殿下のお慈悲にすがる帝梓元じゃない」「決めたのか?」「帝家が滅ぼされた夜を忘れた日はない」…韓仲遠、予想できたかしら?帝家の遺児が10年の時を経て会いに来ると…皇太子と任安楽の噂は皇帝の耳にも届いていた。果たして女海賊が皇太子妃になれるのか、世間ではそれが最大の関心事だという。かつて太祖は韓家が帝家と共に天下を治めることを望んだ。「しかし朕の即位後、6年足らずで謀反を起こされるとは…」韓仲遠は皇太子が遺詔を盾に帝家の娘を守り抜いたことを苦々しく思っていたが、女海賊の求婚が突破口となるやもしれない。「趙福(チョウフク)、明日、任安楽に拝謁を許す」洛銘西の協力のもと、安楽の復讐計画が動き出した。標的は帝家九族と8万の帝家軍を殺した仇敵の忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)。しかし皇帝からは功を讃えられ、朝廷での専横を容認されていた。洛銘西の話では古雲年は正道を歩む皇太子や右丞相(ユウジョウショウ)・魏諫(ギカン)と犬猿の仲、そこで韓燁の力を利用するという。「古雲年は大理寺(ダイリジ)を支配下に置き、群臣の弱みを握っている よって手始めに君は大理寺少卿(ショウケイ)となれ」「できれば事件を足がかりに古雲年一派に入りたいわ」「うってつけの事件がある…下手人は林聡(リンソウ)だ」林聡は古雲年の息子・古斉善(コセイゼン)の取り巻きの1人で、国子監(コクシカン)の学生を殺した罪で投獄されていた。古雲年は息子に懇願され、林聡を刑部から出すよう手を回した。その夜、洛銘西は皇太子に林聡が忠義侯の息がかかる大理寺に移されたと報告し、恐らくそのまま逃すつもりだという。「殿下、思うに忠義侯のような讒臣(ザンシン)を相手取るには、より狡猾な者が必要かと…」「任安楽のことか?」韓燁は確かに安楽なら自分のために大理寺をかき回してくれると期待した。「おめでとうございます、殿下 3万の水軍を手に入れた上、太子妃の座を空位にした そして大理寺に打ち込める釘を見つけ出しましたね」翌朝、安楽は参内した。宮殿まで案内した皇帝の侍従・趙福(チョウフク)は自由奔放な安楽に手を焼き、あらかじめ皇帝に気分を害さぬよう警告しておく。「何しろ森泉のようですから…」確かに安楽は皇帝の予想を遥かに超える面白い娘だった。安楽は平伏するどころか趙福を差し置いて皇帝に付き添い、嫁として茶を献じるという。そこへ韓燁が慌てて駆けつけた。韓燁は無作法な安楽を戒め、婚姻については応じられないとはっきり断ったが、父皇は勝手に美人に封じるという。しかし今度は安楽が皇太子妃になりたいと拒んだ。「あ~このままじゃ埒が明かない、嫁がずとも水軍は献上します、その代わり機会を下さい」安楽は皇太子と同じ場所で過ごせば愛が芽生えるかもしれないと訴え、できれば高給で屋敷から近く、気軽な高官が良いと頼んだ。そこで三法司(サンホウシ)を束ねる韓燁は安楽を大理寺少卿に任じ、官吏の何たるかを学ばせるという。「何だか良い響きね…決まり!」こうしてそれぞれの思惑通り、安楽は大理寺少卿となった。大理寺卿・裴沾(ハイテン)は安楽を暖かく迎えた。大理寺で功を立て皇太子妃になりたいという安楽、すると同じ大理寺少卿の黄浦(コウホ)が工部郎中の子・林聡が学生を殴り殺した事件があると教える。驚いた裴沾は酔っ払いが人を突き飛ばしただけの事件だと遮り、安楽に署名するよう頼んだ。「これで無事に解決だ、任大人(ダーレン)、忠義侯があなたの才を認めておられるぞ」しかし安楽の計画を知る由もない黄浦は悪党の手先が増えたと大きなため息をついた。皇太子が大理寺の様子を見に来た。安楽は独りになった隙に書類を盗み見ていたが、韓燁が来ると途端に皇太子にぞっこんの女盗賊に戻る。すると韓燁は大きな荷物を運び込ませた。「殿下、これって何かの冗談?」「大理寺は国の司法をつかさどる、君も少卿なら刑法を熟読せねばな 7日で読み終え、ひと月で覚えろ」「ああ~安楽、あまり字を知らないから教えてもらわなくては~ 2人きりになるために思いついたのね?」「荒唐(ファンタン)!」結局、韓燁は安楽に刑法について教える羽目になった。安楽は相変わらず韓燁をもて遊ぶように馴れ馴れしくするが、韓燁は安楽があなどれないと分かっている。「やめないか…いいか、次は牢の中で実践だ」「何よ?触られたから仕返し?」安楽は韓燁を馬車まで見送った。しかし安楽が踏み台で手を貸そうとすると、韓燁は不機嫌そうに歩き始めてしまう。仕方なく安楽は韓燁と一緒に大街を散策することにした。都は3年に1度の会試(カイシ)で書生たちであふれていたが、その時、暴走する馬が現れ、危うく書生が踏みつけられそうになってしまう。韓燁は咄嗟に礫(ツブテ)を投げて馬の方向を変えて助けたが、馬に乗っていたのはあの古斉善だった。書生たちは傍若無人に振る舞う古斉善を糾弾した。しかし古斉善にとって庶民の書生など虫けら同然、たとえ殺しても罪にはならないという。安楽は見過ごすことができなかったが、韓燁は咄嗟に安楽を止めた。「慣れぬ都で敵を作るな」すると古斉善は今回の会試で自分は必ず合格すると豪語し、書生たちに田舎へ帰れと暴言を吐いて行ってしまう。その夜、安楽は護衛の苑書(エンショ)に見張りを頼み、苑琴を連れて翎湘楼(レイショウロウ)に入った。狩りの日から安楽を尾行させていた韓燁は侍従・吉利(キツリ)から報告を受け、早速、弟分の温朔(ウェンショウ)と様子を見に行く。翎湘楼と言えば客が豪遊することで有名な酒楼で、音楽や茶を楽しむにも大金が必要だった。店で一番の売れっ子・琳琅(リンロウ)の名は有名だったが、めったにその顔を拝める者はいない。すると安楽が上階で自分が皇太子妃になれるか、なれないかの賭けに参加していた。韓燁はすぐやめさせろと命じたが、その時、思いがけず洛銘西が現れる。実は洛銘西は店の常連だった。韓燁も洛銘西が酒を楽しむふりをしながら、その実、罪人を力ずくで捕らえていると知っている。これなら自分が出る幕でもないと安堵したが、洛銘西は皇太子の婚姻なら慶事ゆえ参加すると言い出した。「あなたが洛大人?初めまして、任安楽です」「では私は太子妃になれない方に賭けるとしよう」「私は太子妃になる!」これをきっかけに遠巻きだった客たちも賭けに殺到した。困惑する韓燁だったが、その隙に洛銘西と安楽は一緒にどこかへ移動してしまう。つづく(  ̄꒳ ̄)韓燁の口癖″荒唐″は試験に出ます ←嘘ですw
2024.02.06
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覆流年 Lost Track of Time第18話弟・陸昀(ルーイン)を盾に慶(ケイ)王から妾として輿入れするよう迫られた陸安然(ルーアンラン)。そこで安然は思い切った賭けに出た。「死んでも殿下の側室にはなりません 軍営に残るかどうかは昀児が決めること、そもそも弟と私は腹違いです 我が身と引き換えにする価値はない 姉として弟の身を案じてはいましたが、やはり思い直しました 人には運命がある、武人になりたいのならなればいい、手柄を立てるのは大切です」すると安然は言いたいことだけ伝えて帰ってしまう。穆澤(ムーヅー)は予想外の安然の態度に驚きを隠せなかった。…陸安然め、常に予想外の答えを返してくる…沈蘭渓(シンランケイ)の四十九日。安然はすっかりやつれた父を心配し、陸欣然(ルーシンラン)と一緒に母の魂を蘇城(ソジョウ)へ連れて帰るよう頼んだ。陸軽舟(ルーケイシュウ)はこれを機に安然も戻って人生をやり直せと言ったが、安然は陸昀を説得してから連れて帰るという。こうして陸軽舟はひと足先に都を発つことになった。しかし荷物を運んで馬車に乗る時になって突然、蕭映(ショウエイ)が兵士を率いて乗り込んで来る。何でも陸軽舟が北臨(ホクリン)と通じていると密告があり、ただちに荷物を調べるというのだ。すると驚いたことに陸家が北臨に武器を密売している証拠が発見された。「私は潔白だ!」後ろ暗いところがない陸軽舟は胸を張って屋敷を出て行ったが、安然は誰が父を罠にはめたのか知っていた。安然は憤慨して陸欣然の部屋に乗り込んだ。すると書卓に書き置きだけが残されている。…次は可愛い弟の番…火鉢は消えていたが暖かかった。「まだ近くにいるはず、私は軍営に行ってみる、霊奚(レイケイ)は屋敷で待機して 冬青(ドンチン)は幇主たちを呼んできて」しかし安然は山道を駆けている最中、馬が罠に引っかかり、落馬してしまう。霊奚は帰りの遅い安然を心配していた。そこで衫越(サンエツ)に迎えを頼んだが、安然は軍営にいなかったという。清河幇(セイカホウ)へ出かけた冬青はまだ戻らず、仕方なく霊奚は斉(セイ)王に知らせることにした。気を失っていた安然はようやく目を覚ました。すると陸欣然が慶王府の侍衛を連れて自分を見下ろしている。安然はいつの間にか赤い衣をまとい、手足を縛られ、棺に寝かされていた。「陸欣然!この日のために気が触れた振りをしていたの?!」「こうでもしないと恥はすすげないし、娘(ニャン)の仇も打てなかったわ!」「(はっ)私の娘を殺したのはお前なの?」「その通り」慶王妃だった欣然は穆澤が塩や鉄を密売していると知っていた。あの日、偶然、衫越が埠頭で乱闘騒ぎだと報告するのを耳にし、すぐにこれが好機だと分かったという。「でも爹まで…」「あの人が愛しているのはお前だけ、私はただの庶子よ お前は使用人にも愛され、昀児すらお前を慕ってる!こうなったのも全部、お前が悪いのよ! 慶王妃になっても穆澤の目にはお前しか映らない、どうして?…どうしてなの?! どうして誰も私を見てくれないの!…ふふふ、あはははは~! お前をここに埋めてやる、なぜ赤い衣を着せたか分かる?2度と転生させないためよ! …蓋をして!」陸欣然は復讐を果たし、慶王に報告した。「良くやってくれた、そなたがこれほどの策士だったとは… 文を見た時には信じられなかった」穆澤も安然の弱みを握るためとは言え、欣然が本当に自分の父を陥れるとは恐れ入った。こうして欣然は自分も安然に勝るとも劣らない知謀があると証明し、安然の名で再び嫁ぎたいという。「安然はもう現れません…私が″旅立ち″を見送りましたから」穆澤は欣然を抱き寄せ、明日から欣然が慶王府の女主人だと喜ばせてから安然の居場所を聞いた。「埋めました」するとそれまで優しかった穆澤の顔色が一変、いきなり欣然の首をつかんで埋めた場所を教えるよう迫る。欣然は例え殺されても教えないと拒否したが、顔に剣を突きつけられ観念した。「…案内します」陸欣然は穆澤を連れて城楼に登った。どんなに尽くしても報われず、哀れむどころか己の手を汚して恥をさらしたと蔑まれるとは…。「安然の居場所を吐けば命は助けよう」「ふふ、私は己の欲望と向き合ってる、でもあなたは? あなたは安然を愛しながらも虐げ、疑っている!認めたら? 安然の前ではあなたはまるで卑屈な犬よ!」「最後にもう一度聞く、陸安然はどこだ?!」「想い人の居場所など教えるものですか、これが私の復讐よ」すると欣然は城楼から身を投げてしまう。穆澤は咄嗟に欣然の腕をつかむことに成功したが、欣然はこの期に及んでも穆澤が案じるのは安然だけだと気づいて絶望した。「行き先が天国だろうと地獄だろうと、私が陸安然を生まれ変わらせない!」欣然はかんざしを抜いて穆澤の手を刺し、落下した。穆川と清河幇は依然として安然の居所を突き止めることができなかった。その頃、死を覚悟した安然は穆川との幸せな時間を思い出し、後悔に苛まれる。…運命がやり直す機会をくれたのに…なぜ私は全てを捨ててあなたと共に生きなかったのかしら穆川は占い師を頼った。占いでは安然が地中の奥深くにいると示し、やがて占い師がある場所を特定する。「瀚京(カンケイ)中の邪気が集まっています、ここに間違いない」その時、付近を探していた穆澤が掘り起こされたばかりの柔らかい土に気づいた。「ここだ!」穆澤は手が血だらけになっても掘り続けた。やがて棺が見つかり、安然は危機一髪のところで救出される。穆川は安然を抱きしめ涙したが、その様子を穆澤が見ていた。穆川は安然を無事に屋敷へ送り届けた。命に別状がないと分かって安堵したが、一体、なぜこんなことになったのか。すると冬青は場所を移してから説明した。何も知らなかった穆川は自分が片をつけると安心させ、安然の世話を頼んで参内すると決める。「安然には私がついていると伝えてくれ」穆澤は穆川がいない隙を狙って安然を訪ねた。冬青は安然が話せる状態ではないと断ったが、穆澤は強引に入ってしまう。「私の行く手を阻むな」穆澤は眠っている安然の顔に手を伸ばした。しかし陸欣然に安然への想いを見抜かれたことを思い出してふと手を止める。その時、安然が目を覚ました。驚いた安然は重い身体を起こして逃げるように離れたが、穆澤にはなぜ安然が自分に対していつも身構えるのか分からない。「そなたを侮っていた、まさか九弟を誘惑し、夢中にしていたとはな」すると穆澤は陸軽舟が娘にはめられたと知れば病がぶり返すだろうと脅した。安然は嫌悪感をあらわにしたが、穆澤は平然と目的のためなら手段を選ばないと言い放つ。「陸安然、そなたの父は国を裏切り敵と通じた ただの濡れ衣か、それとも本当の売国奴か…それを決めるのはそなただ 今なら側室として迎えてやる、ただし拒むなら慶王府の犬にする」「どうして私を娶りたいの?」「そなたが憎いからだ!そなたは私を罠にはめ、腹心を奪った 私はそなたが最も嫌悪する手段で報復し、痛めつけてやる!今までのことを後悔するがいい! 3日だけ猶予を与えてやる、慶王府から逃げられると思うなよ?!」つづくヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ何この展開?!衝撃走る!でも最終的な判断が占いって…え?www
2024.02.06
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覆流年 Lost Track of Time第17話母の突然の死に打ちのめされる陸安然(ルーアンラン)。その頃、慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)は蔡望津(サイボウシン)との面会を終え、監房を出た。「殿下、それからあの日、私を呼びに来たのは王妃の侍女・翠翠(スイスイ)でした 報告をためらったことが仇となってしまった、今となってはもう手遅れです」すると蔡望津は命をもって潔白を示すと決め、落ちていた短剣を拾って自分の胸を刺してしまう。「殿下…私と王妃の間に不貞はありませんでした 陸安然の策略の駒にされたことが唯一の心残りです」それが蔡望津の最期の言葉となった。「蔡望津よ、あの世で待て、いつか会いに行く」翠翠はすでに失踪していた。護衛・南星(ナンセイ)の報告では陸家の港を最後に足取りが途絶えたという。穆澤はやはり安然が陸家を守るため、数々の謀略を巡らせ自分を陥れたと気づく。「そうはさせぬぞ」一方、陸昀(ルーイン)は安然が陸家を守るため、徐清策(ジョセイサク)だけでなく母親まで犠牲にしたと責めていた。すると激怒した冬青(ドンチン)に引っ叩かれてしまう。「少爺!それ以上、言ったら私が許しません!」その時、離れから錯乱した陸欣然(ルーシンラン)の悲鳴が聞こえて来る。二姐は軟禁され、全て安然のせいだと泣き叫んでいた。「あれはどういう意味?!」「…どうせ信じてくれないでしょう?」安然はもはや言い訳する気力もなく、母の弔いに戻ってしまう。陸昀は安然に深く失望し、慶王の右腕である蕭映(ショウエイ)の軍営に身を寄せた。知らせを聞いた安然はかつて陸昀が戦死したことを思い出し、急いで連れ戻しに向かう。しかし軍営は警固が厳しく門前払い、そこで安然は穆川(ムーチュアン)を頼ることにした。穆川は水路の整備に取り掛かっていた。しかし荘園を持つ権力者たちはなかなか立ち退きに応じず、手を焼いている。そこで安然は力で圧倒するしかないと助言し、太平の世で暇を持て余している軍の兵士に任せてはどうかと提案した。「そうか、最近、蕭映の軍は新兵を迎えた、交渉役にはぴったりだ」「斉(セイ)王殿下、それでお願いです、弟を軍営から連れ戻してくださいませんか?」「よせよ、水臭い」穆川はむしろ安然が自分を頼ってくれたことが嬉しかった。公務に駆り出された陸昀は姉の差し金だと気づき、斉王に猛抗議した。しかし穆川は安然がこれまでいかに民を助け、守って来たかを説き、大将軍にも引けを取らない功績だと教える。「都で生きる者は誰でも心に苦悩を抱えている 陸欣然のせいで安然も陸家も辛酸をなめた、計り知れない苦しみだ …家業を継がないのはお前の勝手だ だが母親は急逝、父親は病になり、姐姐は心を病んだ 陸家で唯一の男であるお前が責任を果たさなくてもいいのか?」南星は翊(ヨク)王の私邸から見つかった五石散を慶王府に持ち帰った。五石散は幻覚作用のある薬で、都の貴人の間で密かに流行っているという。「翊王は薬の密売で儲けています」すると今度は蕭映が慌てて駆けつけた。斉王が公務のため新兵を借りに来たが、どうやら目的は陸昀だという。皇帝の聖旨も下っており拒否できず、斉王が陸昀を現地へ帯同し、令牌を託して全権を委ねていた。「翊王の私邸を立ち退き対象の一覧に加えろ」穆澤は九弟が安然に利用されたと気づき、陸昀を取り戻す策を思いついた。夫人を失った陸軽舟(ルーケイシュウ)はすっかり気落ちして一回り小さくなった。錯乱した陸欣然はますます手がつけられなくなり、夫人の位牌を持ち出して騒ぎを起こす。それでも安然は数少ない陸家の家族だと見逃した。安然は信仰深かった母の位牌を莫懸寺(バクケンジ)に納めた。「ここに木があったはずだけど…」かつて安然は出征した陸昀の無事を祈るため、莫懸寺を訪ねていた。その時、確かにこの場所で大木に下がっている願掛けを見た覚えがある。…大事な人が愛に恵まれ意のままに生きられますように…札には記名がなかったが、大師によれば願掛けした人の植えた小さな苗木がこうして立派に育ったという。するとぼんやりしていた安然の前に苗木を抱えた穆川がやって来た。「木を植えれば願いが仏の耳に届くと聞いたんだ」その苗木にはあの時の札がついている。安然は穆川の深い愛情に気づき、胸がいっぱいになった。「名前を書いたら?大事な人に届くように…」「はお」安然と穆川がお参りを済ませて仏堂を出ようとした時、突然、穆澤が現れた。「もう帰るのか?…だが邪気を払おうとしても無駄だ、陸家の福運はとうに尽きている」穆川は辛辣な物言いの二兄を諌めたが、安然は臆することなく生き延びてみせると言い返す。しかし穆澤は帰り際、安然に忠告した。「よくよく仏を拝んでおくことだ、これからも陸家が安泰で、可愛い弟にも加護があるように…」安然は慶王が何か勘付いたのではないかと心配した。そんなある夜、悪夢にうなされた安然は眠れなくなり、寝床を出て水を飲むことにする。すると冬青が駆けつけ、急ぎの伝言で慶王の使者が訪ねて来たと伝えた。なんでも陸昀が翊王の私邸の取り壊しで翊王配下と衝突して負傷、蕭将軍の軍営に戻って手当てしているという。安然は弟が人質に取られたと気づき、夜更けにもかかわらず慶王府を訪ねた。しかし家職から明朝に出直して欲しいと追い返されてしまう。安然は一睡もせず門の前で待ち続けた。やがて正門が開き、参内する穆澤が現れる。「あれは忠告ではなく警告だったのですね?」「怪我の程度は軽い、ただこの先、どんな目に遭うかは誰も分からぬ そなたの魂胆はお見通しだ、私は人の敷いた道は歩かぬ、私と一緒に誤った道を正すのだ」「再び陸家の娘を娶ることを陛下が許すかしら?」「妾なら知らせる必要はない」すると穆澤は日が暮れる前に返事をするよう命じた。穆川は朝議のあとに二兄を引き止めた。しかし穆澤は穆霖(ボクリン)の私邸を陸昀が取り壊したのは狙い通りだという。「穆霖は気が荒く執念深い、軍営を離れればかえって陸昀の命が危うくなるぞ?」そこへ翊王が通りかかった。「陸昀を一生、閉じ込めておくんだな、一歩でも外に出たら必ずこの手で葬ってやる」穆川は陸昀を助け出す術がなく、せめてしっかり面倒を見て欲しいと頼むしかなかった。屋敷に戻った安然は陸昀を救う方法を考えあぐねた。その時、霊奚(レイケイ)が不意に実の姉弟でも陸欣然と陸昀は安然と大違いだとこぼす。「(はっ!)私と昀児は生母が違う、男子が武人を目指すのはよくある話よね …賭けてみる」安然は慶王府を訪ねた。「まだ日は高いがもう決めたのか?」「早々に決断しました…私は死んでも殿下の側室にはなりません」つづく( ๑≧ꇴ≦)/<ヤーッ!!! ←そこっ?w
2024.02.04
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覆流年 Lost Track of Time第16話陸安然(ルーアンラン)は慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)に別れを告げ、屋敷に戻った。すると娘の帰りを待っていた陸軽舟(ルーケイシュウ)にいきなり引っ叩かれてしまう。「お前の企みか?こんな手段で陸家を守るなら命をかけても止めるべきだった!」いくら欣然(シンラン)の醜聞が自業自得とは言え、姉として妹を諭すどころか、それを利用して名誉を傷つけるとは…。しかし安然は決して過ちを認めなかった。「王府に嫁いでこんな騒ぎを起こし、放置すれば災いは陸家に及ぶ、それだけはさせない 爹(ディエ)、弁解はしません、こうなると分かっていたわ、だから後悔はしていない」陸軽舟は口答えした娘に激怒、反省するまでひざまずけと命じて行ってしまう。その夜は激しい雨になった。穆川(ムーチュアン)は葡萄棚を心配して様子を見に来たが、びしょ濡れのままひざまずく安然を見つける。驚いて駆け寄る穆川、すると安然は安心したのか意識を失った。沈蘭渓(シンランケイ)は娘がうなされながら斉(セイ)王の名を呼ぶのを聞いて2人の関係に気づいた。そこで気を利かせて斉王に介抱を頼んで出て行く。夫は口には出さないが、窓を開けて安然の部屋を心配そうに眺めていた。「…大夫の話では悩みを抱えた上、長期の疲労で身体に邪気が入ったとか 私には分かります、あの子のしたことは全て陸家のためよ」陸軽舟は安然が独りで全てを抱え込んでいたと知り、むやみに叱ったことを後悔した。夜も更けた頃、安然は目を覚ました。穆川はまだ熱があると気づいて眠るよう勧めたが、安然はこんな平穏な時を寝て過ごしてはもったいないと笑う。「用が済んだら蘇城(ソジョウ)へ戻るわ、2度と都へは戻らない」「水利が整ったら会いに行くよ、明日の開耕式には来いよ?」その頃、穆澤は侍衛の南星(ナンセイ)から新たな塩と鉄が到着すると聞いていた。「今や港は混乱し、よからぬ輩も紛れ込んでいる、決して見つかるなよ?」翌朝、安然の寝所に父と母がやって来た。父は薬湯を置いてすぐ店に出かけて行ったが、安然は母が取りなしてくれたのだと気づく。すると沈蘭渓は珍しく娘が着飾っていることに気づいた。「なぜ今日はおめかしを?」「逢引きよ、ふふ」沈蘭渓は娘の戯言に呆れたが、安然は至って真面目だった。「今まで時間を無駄にしてきた、今さら恥じらっていたら大損しちゃうわ」そこで沈蘭渓は自分のかんざしを外して安然の髪に挿した。そのかんざしは陸家に嫁いだ時、夫からもらったものだという。「斉王殿下は温かくて誠実な方ね…きっと最良の伴侶になるわ」沈蘭渓は明朝に夫と蘇城へ戻るため、今夜は斉王を招いて食事をしたいと言った。「分かったわ、娘(ニャン)、ご馳走にしてね、必ず殿下と戻るから!」安然は笑顔の母に見送られ、開耕式に出かけて行った。開耕式には多くの農民が集まった。穆川は安然に新種の稲の名前を″安心稲(アンシントウ)″に決めたと教えたが、実は安然はその由来を知っている。「衣食足ること安心の始めなり…って意味でしょう?」かつて穆川は慶王府に新種の稲を届け、名前の由来を明かしていた。しかしそれは表向きの説明だという。すると穆川は安然の手を取った。「″安″の文字は安然から取った、君は自分を瀚京(カンケイ)という牢獄に閉じ込めてしまっただろう? だから君が国中を歩く代わりにこの稲を各地に植えようと思ったんだ ″安心″は個人的な願いだ」安然は当時も籠の鳥になった自分のために穆川が心を痛めてくれていたと知った。「何も気づかなかったなんて…ありがとう 私は近々、蘇城へ戻り、あなたと離ればなれになってしまう、それに今の陸家は…」「身分などすぐ消える煙と同じだ、私は気にしない…私が戻る場所は君だ」一方、埠頭では思わぬ揉め事が起きていた。衫越(サンエツ)が荷揚げしていたところ、2組の客が荷の取り合いになり、乱闘騒ぎになってしまう。困った衫越は屋敷に駆けつけが、安然は留守だった。沈蘭渓は夫が仕事中のため自ら仲裁に出かけたが、混乱の中で何者かに頭を殴られ倒れてしまう。実はその騒ぎを利用し、南星が港から密かに塩や鉄を運び出していた。その頃、安然は開耕を祝い、農民たちの輪に入って穆川と一緒に踊っていた。「前に″待って″と言ったでしょう?今日やっと言える…」しかし大事な言葉を伝える前に思わぬ訃報が届く。「小姐!大変だ!」…まさか、運命を変えたはずなのに…安然は母の棺を前に取り乱した。心配した穆川は安然を慰めようとしたが、激しく拒絶されてしまう。「穆川、帰って…帰ってよ!」穆澤は投獄された蔡望津(サイボウシン)に会おうとしなかった。しかしその夜、蔡望津からある思い出の品を受け取り、ついに地下牢へ向かう。すると穆澤はいきなり短剣を牢へ投げ入れた。「あの時の短剣をまだ持っていたとはな…」…あれは蔡望津が賊に襲われ、瀕死の使用人から食料を取り上げようとしている時だったちょうど軍営に戻る途中だった穆澤が通りかかり、見咎められてしまう『食い扶持は自分で稼げ、その気骨もないなら死ぬがいい』すると穆澤は自分の短剣を投げ渡して帰ったそんなある日、蔡望津が首級を持参して穆澤の軍営に現れた『殿下のお陰で己の尊厳を取り戻し、立ち直りました!』実は蔡望津は科挙の論文で先帝の実名を書いて罰せられ、一族全員が流刑になったしかし途中で山賊に襲われ、自分だけ生き残ったという『殿下の叱咤で仇打ちの決意を…このご恩は忘れません』蔡望津は穆澤のために命懸けで働くと約束、忠誠を誓った…「あの時の短剣と小指を添えれば許してもらえる思ったか?」「殿下…許しを請うつもりはありません、ただどうしてもご忠告したくて… 陸安然に用心してください」慶王が陸安然と盟約を結んでから計画は失敗続き。確かに安然の関与を示す証拠はないが、蔡望津はそれがかえって怪しいという。思えば安然を救ったという闇医者は行方知れず、投獄した柴広(シバコウ)は何者かが逃がしていた。学長に差し向けた刺客は全滅したが、遺体の傷は明らかに清河幇(セイカホウ)の手によるもの、しかも水雷が使われた形跡もあったという。しかし穆澤は安然が自分の計画を阻止して何の得があるのか分からなかった。すると蔡望津はある可能性に気づいたという。「陸家を朝廷の闘争から遠ざけるためかと…」安然は母の棺の側から片時も離れなかった。「娘…こんなに力を尽くしても救えなかった、何をしても無駄なの?」そこへ穆川がやって来た。「さっきはごめんなさい」「怒っていない、誰にも謝る必要はないよ」穆川にできることは傷ついた安然にただ寄り添うことだけだった。「私の人生は苦しみばかり…私が悪いのなら天はなぜ私ではなく家族を罰するの?」「大丈夫、今に幸せになるよ」「こんなに努力しても悲しい結果になるなんて、どれだけ頑張ればいいのか…」「君は幸せになる、必ずね」つづく(꒪ꇴ꒪〣)うわっ!シナリオを変えても宿命は変えられないのね…助けて司命!
2024.02.03
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覆流年 Lost Track of Time第15話穆川(ムーチュアン)は太平倉(タイヘイソウ)に陸安然(ルーアンラン)を案内、封印の紙に一言書いて欲しいと頼んだ。…天下太平倉廩(ソウリン)実ちる…そして2人は一緒に国璽を押し、この倉を開けずに済むよう願う。久しぶりに権謀術数から解放され、子供のようにはしゃぐ安然。そこで穆川に瀚京(カンケイ)を離れるつもりはないのか聞いた。穆川は近郊の水利が整うまでは離れられないと言ったが、確かに二兄にとっては都にいない方がいいのかもしれない。すると思いがけず安然が瀚京を離れるつもりだと知った。「じぇんだ?!あの時、君はもう少し待ってと言ったね…つまりその時が来たと?」安然の笑顔を見た穆川はその意味を悟り、今度は安然が少し待つ番だと笑った。「いいわ、今度は私が待つ」一方、蕭驚雀(ショウキョウジャク)の登場で追い詰められた陸欣然(ルーシンラン)は下策に出た。穆澤(ムーヅー)に媚薬入りの生姜湯を届け、強引に寵愛を得ようとしたのだ。普段なら警戒心の強い穆澤だったが、欣然の哀れな姿が非業の死を遂げた母と重なり、うっかり生姜湯を飲んでしまう。すると急に頭に血が上り、身体の様子がおかしくなった。「殿下の子供が欲しいのです、お願いです!」欣然は慶(ケイ)王にしがみつき懇願したが、穆澤はもうろうとしながらも護衛を呼んで難を逃れた。穆澤が正気に戻った頃、穆川がやって来た。慶王妃の騒ぎを耳にした穆川は、婚姻を道具にすれば相手が二兄を寄る辺だと見なすのは仕方がないと諌める。「二哥、私はあなたの幸せを望んでいる…せめて家では警戒を解き、心を許せる相手が必要だ」しかし穆澤にとって婚姻は権力と地位を守る手段、安心感を与えてくれるのは情ではなく権力だと信じていた。「もしそんな相手と出会えたら私も俗世の喜びを味わってみるとしよう、で、本題は何だ?」「あ、そうだ、今日は太平倉で最初の封印式を執り行ったんだ」穆川は嬉しそうに記念の品を見せたが、穆澤は安然が書いた封印だと知って内心、穏やかでない。一方、安然の屋敷にも翠翠(スイスイ)から慶王府で騒ぎがあったと知らせが届いた。…もうすぐ全てが終わるのね…安然の計画もいよいよ終盤に来ていた。軟禁された陸欣然をよそに慶王府は側夫人の輿入れを盛大に祝った。そして安然の提案通り、婚礼のあとは高貴な婦女たちを招いて宴が開かれる。蕭驚雀は大胆にも正室だけに許される鳳凰のかんざしを挿し、この機に自分こそ本当の女主人だと知らしめた。一方、令宮の欣然は今日が側夫人のお披露目の宴だと知り激高した。「私は嫁いで久しいのに慶王妃を知る貴族はいない…誰も私の顔を知らないわ!」すると翠翠が計画通り欣然を煽った。「王妃、側夫人などたかが武将の妹、一目見ればどちらが真の女主人か分かるはずです」「そうよ、その通りだわ!」陸欣然は見張りに金をつかませ、側夫人お披露目の宴に乱入した。欣然と驚雀は客人の前で嫌味の応酬、やがて欣然が驚若の鳳凰のかんざしを引っこ抜いてしまう。宴席は騒然となったが、そこへ騒ぎを聞いた穆澤が駆けつけた。「やめよ!…欣然、そなたの行いがどんな結果を招くか分かっているのか?」「殿下は私を殺せない、だって陸家との繋がりが断たれてしまうもの」穆澤は仕方なく慶王妃が病で乱心していると謝罪し、侍女に欣然を寝殿に連れ帰るよう命じた。安然は宴をあとにする翠翠に目配せした。そこで翠翠は予定通り蔡望津(サイボウシン)の部屋を訪ね、助けを求める。「王妃が変です!すぐ来てください!」陸欣然は蔡望津だけには本音を打ち明けられた。「知って欲しかったの、一度でいいから私がいるということを…私こそが王妃なのよ? なぜ誰も私の姿が見えないの?」「…少なくとも私には見えています」欣然は選んだ相手を間違えてしまったと後悔し、思わず蔡望津に抱きついて泣いてしまう。するといきなり蕭驚若が婦人たちを引き連れ乗り込んで来た。「あらあらあら…皆さん、ご覧になった?」一方、安然は回廊で全てが終わるのを待っていた。その時、王妃の寝殿から欣然の断末魔のような叫び声が聞こえてくる。…晴らすべき恨みは全て晴らした…慶王府の醜聞はあっという間に広まり、慶王は皇帝の逆鱗に触れた。「これがお前が戦功と引き換えに娶った賢妻か?! いいか、間男と淫婦はまとめて打ち殺せ!」しかし穆澤は処罰すればかえって噂を認めることになると訴える。「密通が真実ではないものの、王妃は自ら生家に戻ると申しております」「勝手にせよ!」陸欣然は見事に慶王府の面目を潰してくれた。このまま陸家が瀚京(カンケイ)に留まれば噂を長引かせるだけ、穆澤は安然に1日も早く都を離れるよう命じる。「陸家を見逃してくれるなら私の力で償います、今後は殿下に忠誠を… 都での商いを辞め、港も手放します」「分かれば良い、下がれ」安然はついに穆澤との縁を断つことに成功、帰ることにした。しかしふいに穆澤が呼び止める。「陸安然…私が最も残念に思っていることは何だと?」「殿下、ご教示ください」穆澤は何か言おうとしたが、結局、そのまま安然を帰した。安然は陸欣然を引き取って屋敷に戻った。錯乱した欣然は怯えて食事を取ろうとしなかったが、安然の説得でようやくまともな料理にありつける。「いずれにせよあなたのお陰で陸家は泥沼を抜けられた でも私たちのしこりは今世では消えないわね」…醜聞は疫病のように瀚京に広まった陸家は貴族たちから唾棄され、その名声は地に落ちたが、陸安然はようやく皇室との関わりを断てたついに幕を下ろした花朝節の夜に立てた計画しかし陸家を守れたと安堵した頃、運命は安然のあずかり知らぬ所で危険な罠を仕掛けていた…つづく( ๑≧ꇴ≦)えーっ!アンラン、嬉しそうに帰って行ったのに…どうなるの?!いよいよ後半戦!お楽しみに〜(←誰?w
2024.02.02
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覆流年 Lost Track of Time第14話陸安然(ルーアンラン)は厚かましくも自分を牽制しようとした陸欣然(ルーシンラン)にどちらが本当の主か分からせた。欣然はなぜ安然が王妃の寝殿に詳しいのか分からず、恐ろしくなってしまう。「私を怒らせない方がいい、それで徐清策(ジョセイサク)の遺体をどうするつもり?」すると欣然は科挙の件で追及されるのが嫌で、安然を黙らせるために遺体を盾にしたと白状した。「そうならそうと言ってくれればいいのに…」そこで帰り際、安然は庭の槐(エンジュ)の木を切れば時折、聞こえる不気味な泣き声が消えると教えてやった。安然は今回の不始末を追及される覚悟で慶(ケイ)王に目通りした。しかし穆澤(ムーヅー)は上機嫌、聞けば朝議で厳(ゲン)尚書の遺書を証拠に翊(ヨク)王を糾弾し、反腐敗派の高官たちから支持を得ることに成功したという。蔡望津(サイボウシン)の話では慶王が最後に徐清策の名誉回復を訴えたことが決定打となっていた。「″なぜ厳尚書を守れなかったのか″と嘆いてみせたのだ、皆、感動していたぞ?」その時、安然は全く同じ局面があったことを思い出した。かつて徐清策が翊王に殺された時も穆澤の口から同じ言葉を聞いている。『なぜ徐兄を守れなかったのか…』当時も穆澤は朝議で徐清策の名誉回復を訴え、高官たちの支持を得ていた。今になって思えばあの時も穆澤が反腐敗派の旗手として名を上げた徐清策を殺し、その罪を翊王に着せたのだろう。「あなただったのね…」まさかこんな恐ろしい人間と10年も枕を共にしてきたとは…。安然は急に気分が悪くなり、思わずその場にへたり込んでしまう。すると安然の露骨な嫌悪感に憤慨し、穆澤がそばまでやって来た。「どうした?そんなに腹立たしいのか?朝廷とは冷たく残酷な世界だ 今日のところは大目に見るが、そのような態度は2度とを許さぬ」一方、穆川(ムーチュワン)は科挙の徐清策の名誉回復に奔走していた。しかし証拠となる科挙の答案が全て燃えかすとなり、なす術ない。すると貢院の傅与南(フヨナン)が思いがけず答案を持って現れた。実は万が一のため、今期の答案だけは場所を移して保管していたという。穆川は改めて答案を採点し合格者を発表、徐清策は第一位の状元となった。穆澤は朝議の後、穆川を連れて廃墟と化した寝殿を訪ねた。穆澤と穆川の母は身分が低く、早世している。残された幼い兄弟は何の後ろ盾もなく冷遇され、この部屋で肩を寄せ合い生きて来た。実は当時、穆川は空腹の兄に最後の焼餅(シャオビン)を譲り、飢え死にしかけたことがある。「あの時、誓ったのだ、絶対にお前を守ると…」「そのために誰かを傷つけても?」穆澤は徐清策が正義のため命を捨てると思わなかったと嘘を付き、自分を疎む父皇や翊王と戦う必要があると訴えた。「約束する、もう誰も死なせない、私を許してくれるか?」「悲しいけれど他に道はないんだね、これは皇族の悲哀か、世の定めなのか」すると穆澤は九弟だけは権力争いに巻き込まれて欲しくないと願った。「おまえは稲香居士(トウコウコジ)のままでいろ、決して失望させない」安然が徐清策の遺品をまとめていると、冬青(ドンチン)が駆けつけた。「陸欣然が独りで外出したそうです、ただ蔡望津も両親の墓参りに行ったとか…」安然は当時を思い出してぴんと来た。あれは安然が出産して間もない頃、欣然から赤子の健康を願うお守りをもらっている。欣然はお守りをもらいに行った時に賊に襲われ、危ないところを墓参りに来ていた蔡望津が助けていた。確かその時、欣然は背中に刀傷を負い、蔡望津が薬草で手当てしている。「やはり今度も2人は寺へ行ったのね…行きましょう」陸欣然は人里離れた草屋に入っていた。なぜ過去を変えても同じことが起こるのか。安然は困惑しながらも、ともかく欣然が帰るのを待ってから寺を訪ねた。そこには怪しい祈祷師が独り、何でも占いで安然が来ると分かっていたという。「心配せずとも先ほどの娘の求めは拒んだ あの娘の目の奥に血が見えたのだ、それも近しい家族の血が… 血に染まるのは我が寺の呪物、とてつもなく邪悪で陰惨な呪いがかかっている」祈祷師はその呪物を安然に見せた。それは忘れもしない欣然が息子にくれたお守り、まさかこれが息子の健康を願うためではなく呪うためだったとは…。するとやはり欣然はその日、背中を負傷、翠翠(スイスイ)の話ではすでに手当てされていたという。穆川が葡萄棚の手入れに来た。この時期に葡萄を帷で覆って温室にするとあとが楽だという。安然は火の番をすることにしたが、穆川は浮かない顔をしていた。「実は二哥と話したんだ…やはり放ってはおけない …安然、君は退路を残しているのか? 君が秘密を抱えているのは分かっている、鍵を握るのは二哥、陸昀(ルーイン)、陸欣然だ 二哥は朝廷争いの渦中、そばにいれば君も陸家も飲み込まれるぞ? 私を信じてくれ、何が起きようと君と共に戦う 言えないなら無理に言わなくていい、自分を追い詰めるな」しかし安然は頑なままだった。穆川は困惑したが、ふいに安然が振り返る。「腕輪の刻印を見たわ、逃げ道はある、もう少し待っていて欲しい」「待つよ」そんな中、陸昀がいつの間にか書き置きを残し、屋敷を出て行ったと分かった。…大姐、これからは思いのままに生きていきます…二姐を憎まないで、学長の暗殺計画を教えてくれたのは彼女なんだ穆川は欣然が計画を知ることができたのは二兄が指示したからだと分かった。「欣然はこの機に乗じて私を殺そうとしたのね…」安然は欣然への憎しみを募らせ、必ず片をつけると誓った。安然は慶王府を訪ねた。屋敷は慶事の準備で大忙し、聞けば慶王が蕭映(ショウエイ)将軍の妹・蕭驚雀(ショウキョウジャク)を側室に迎えるという。…驚雀を娶るのは数年後のはず、なぜ今なの?…穆澤は安然を蕭将軍を紹介するために呼んでいた。すると蕭映は妹が輿入れするにあたり、安然が王妃だった時と全く同じ条件を出す。「正室と同等の待遇にて妹をお迎えいただきたい」そこで安然も当時と同じ言葉で将軍を諌めた。「苦労して地位を築かれた殿下が妻を軽んじる愚か者だと嘲笑されても構わないと?」実は安然には妙案があった。「婚礼のあと、高貴な婦女たちを招いて宴を開いては? 殿下の蕭家への敬重と蕭小姐への愛慕を皆に示せます」安然はほくそ笑んだ。家柄で勝る蕭驚雀の登場は陸欣然のとどめとなるだろう。一方、欣然は慶王が側室を娶ると聞いて激しく動揺していた。「闘わなくては…策を考えるのよ」穆川の念願だった食糧庫・太平倉ができた。そこで安然を驚かせるため、目隠しして案内する。実は太平倉は科挙の件で父皇からもらった褒美だった。「瀚京(カンケイ)だけでなく、各地に建設命令を出してくれた 陸家の港がある町、すべてに朝廷の倉庫が作られる」つづく(  ̄꒳ ̄)ムーヅーとアンランは怒ってる時の方が上手いね
2024.02.01
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覆流年 Lost Track of Time第13話京兆尹(ケイチョウイン)府で出火。太学へ向かっていた陸安然(ルーアンラン)も騒ぎを聞きつけ、急遽、現場へ向かった。するとちょうど徐清策(ジョセイサク)を助けに来た弟・陸昀(ルーイン)の姿を見つける。「昀児!」安然は思わず弟に向かって飛び出したが、駆けつけた穆川(ムーチュアン)が止めた。「危ない!」しかし徐清策は陸昀だけ逃がし、独り燃え盛る建物に残ってしまう。「この徐清策、血をもって科挙の不正が排除されることを願う 私の死後は科挙が公正に行われんことを…そしてすべての受験生に公平な道を!」徐清策は落ちていた役人の剣を拾うと、自ら首を斬りつけた。安然は徐清策の自害に激しい衝撃を受け、卒倒した。医者の話では命に別状はないものの、長年の心労に刺激が加わって頭に血が上ったという。「ごめんなさい、徐先生…私のせいよ…ごめんなさい…」「安然、何を悩んでいるんだ?」穆川はうなされる安然を心配そうに見ていたが、今度は貢院(コウイン)でも火災だと知らせが来た。貢院に火をつけるよう命じたのは慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)だった。蔡望津(サイボウシン)が徐清策の説得に失敗、急ぎ答案を灰にして証拠を隠滅するしかない。しかし科挙の不正は瀚京(カンケイ)中が知るところとなり、太学の学長には手を出せなかった。穆川は答案のすり替えと貢院の火災に二兄が関与していると気づき、慶王府に穆澤を訪ねた。「澹(タン)州では軍の腐敗のためだと釈明していたが、今回は何のため?」「自分のためだ」「二哥…あなたのことが分からなくなった」すると二兄に失望した穆川は帰ってしまう。蔡望津は斉(セイ)王を警戒したが、穆澤は決して九弟に手を出さないよう釘を刺した。その夜、安然は血まみれの徐清策に責められる悪夢を見て目を覚ました。霊奚(レイケイ)と冬青(ドンチン)は安然の意識が戻ったと安堵したが、安然は悔恨の念で憔悴しきっている。「穆澤が徐先生に目をつけた時、止めるべきだった…」「あの時は霊奚が慶王の手中にあって仕方がなかったのです」冬青の話を聞いた霊奚は自分が原因だと知り、安然を苦しめてしまったと泣きながら叩頭した。その時、ちょうど見舞いに来た穆川は思わぬ安然の言葉を聞いてしまう。「…他人の人生を奪った私に陸家を守る資格などある?」穆川は安然も今回の不正に関わっていると疑い、冬青と霊奚を下げてから確かめた。「誰かに脅されたのか?騙されたとか?…霊奚を人質にされたのか?!」しかし安然は言い訳せず、わざと悪ぶって見せる。「いいえ、私が徐清策を慶王に推薦したの たとえ弟の友だちでも己の手柄のために利用させてもらう」「陸安然!人の命を何だと思っている!…一体、本当の君はどれなんだ?!」穆川は安然の心が読めず、憤怒して帰ってしまう。翌朝、安然は徐清策の無念を晴らすため、太学の学長を訪ねた。しかし学長は厳(ゲン)尚書を恐れて告発できず、せいぜい徐清策の答案の写しを渡すことしかできないという。安然は思わずひざまずき、このままでは徐清策が浮かばれないと訴えた。「こんな屈辱的な死に方をして、あの世で安らげるでしょうか?」その頃、姉に裏切られた陸昀は斉王を頼っていた。「殿下!証拠ならあります!」実は徐清策の答案の写しを太学の学長が持っているという。斉王に見張りをつけていた蔡望津は穆川が学長の屋敷へ向かったと報告を受けた。学長はともかく斉王が真相を知れば正義を貫き、慶王の前途が断たれることは必至だろう。「帝王の道に犠牲は付きもの、学長を消し、斉王も始末せよ」その話を慶王妃・陸欣然(ルーシンラン)が立ち聞きしていた。「天がくれた好機ね…」そこで欣然はわざと陸昀に慶王が学長を殺すよう命じたと知らせた。「安然に言っても信じてくれないと思って…」一方、安然に説得された学長は参内するため屋敷を出ようとしていた。すると潜んでいた刺客が現れる。ちょうど穆川が駆けつけ難を逃れたが多勢に無勢、しかし危ないところで安然が清河幇(セイカホウ)を連れて戻ってきた。沈長青(シンチョウセイ)は配下と共に刺客を退けたが、黒幕を吐かせる前に自害してしまう。安然は証拠を持っている学長の身の安全を守るため、沈長青に護衛を頼んでいた。穆川はようやく学長が安然から徐清策の名誉回復を頼まれ、皇帝に上奏するつもりだったと知る。すると穆川は学長の陳情に同行すると約束、屋敷を沈長青に任せて帰ることにした。安然は別れ際、足を負傷した穆川に薬を差し出したが、昨夜の恫喝で気まずい穆澤は素直になれず無視してしまう。仕方なく先に帰ることにした安然、その時、慌てて穆川が引き留めた。「おい!一度、無視したくらいで諦めるなよ!」安然は穆川のすねにある大きな切り傷を手当てした。するとふいに穆川が包帯を巻いている安然の手を握り締め、安然の苦しみを理解したいという。「何でもいい、話してくれないか?」安然は激しく動揺し、薬瓶をうっかり落とした。「二哥と盟約を結び、 不正の片棒まで、でも今度は徐清策のために二哥を敵に回すようなことを… 盟約のために瀚京(カンケイ)に来たんだろう?安然、何がしたいんだ? 」しかし何も言えない安然は拾い集めた破片をただ強く握りしめるしかなかった。「(はっ!)分かった分かった、もういい、無理強いした私が悪かった でも忘れないでくれ、今後は私が力になる」穆川は慌てて安然の手を開き、傷ついた手のひらを手当てした。翌日、穆川は学長と一緒に皇帝に謁見した。不正の証拠を見た皇帝は激怒、穆川に調査を任せる。一方、穆澤は蔡望津が弟を傷つけたと知り、怒り心頭だった。蔡望津は斉王が偶然、居合わせたため巻き込まれたと釈明したが、穆澤は学長の暗殺に乗じて九弟を殺すのが目的だったと見抜く。すると蔡望津は斉王の存在が慶王の首を絞めることになると警告し、ひざまずいて嘆願した。「斉王は殿下の右腕ではなく災いの種、帝王への道は一歩間違えれば、奈落の底です 殿下ができぬなら、私にお任せを…どうか私を踏み台に!」穆澤は腹心に手をかけることができなかったが、腹いせに蔡望津の玉の冠を切り付け、壊した。「今度、九弟を負傷させたら、その時こそ貴様の首を斬る!」穆澤は剣を収めたが、科挙の不正はすでに皇帝の知るところとなった。しかし穆澤にはすでに対処法があるという。「厳尚書を始末し、翊(ヨク)王に罪を着せるのだ」安然は厳尚書が自害したと聞いた。しかも遺書には科挙の不正が翊王の指示とあったという。霊奚は都の恐ろしさを知って帰郷したいと訴えたが、実は安然も近々、帰るつもりだった。「でもその前に徐先生の遺体を引き取らなくちゃ、蘇城に埋葬してあげましょう」すると慌てて翠翠(スイスイ)がやって来た。実は徐清策の遺体は陸欣然がすでに引き取り、安然を呼んでいるという。安然は遺体を引き取るため欣然を訪ねた。しかし欣然は高位を笠に安然を牽制しようとする。「自分の身分を分かっているの?」「王妃の座は私が譲ったのよ?…その気になれば明日にでも取り返せる この屋敷のことも全て把握しているわ」夜になると時折、泣き声のような音が聞こえること、閨房の鏡台の近くの窓がきしんだ音を立てること、窓辺の長椅子が珍しい玉のため固いこと、屏風に描かれた鹿が全部で6頭いること、安然は全て言い当て、欣然を怯えさせた。「ここは私の屋敷、私を怒らせない方がいい、それで徐先生の遺体をどうするつもり?」つづく( ゚ェ゚)ん?貢院の火事は事故なのか?
2024.01.30
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安乐传 The Legend Of Anle第1話…嘉昌(カショウ)6年、冬謀反の疑いをかけられた靖安(セイアン)侯・帝永寧(ディエイネイ)は青南(セイナン)山の麓にて8万の大軍を葬り、裁きを恐れて自刎(ジフン)したこれに激怒した嘉昌帝・韓仲遠(ハンチュウエン)は帝家の九族皆殺しを命じ、その夜、靖安侯府は血の海と化す帝永寧の娘・梓元(ヅユアン)は逃げ惑いながら、一族が無惨に殺されるのを目の当たりにしていたすると回廊でついに忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)に剣を突きつけられてしまうその時、皇太子・韓燁(ハンイェ)が駆けつけた『やめよ!』太祖は遺詔で″帝家の娘を皇太子妃とする″と残していた韓燁はこれを盾に皇帝の勅命を手に入れ、かろうじて梓元の命だけは救うことに成功するしかし梓元は瑇(タイ)山の永寧(エイネイ)寺に幽閉となり、山中で生涯を終えるよう命じられた『梓元、それでも太子妃の座は君のものだ』『…これでもまだ太子妃になれると思うの?』韓燁は屋敷を埋め尽くす亡骸を前に返す言葉もないすると梓元は雪の舞う中、真紅の傘を差して屋敷をあとにした…時は流れ、韓燁は立派な青年になった。今でも変わらない梓元への想い。韓燁は折に触れ瑇山へ贈り物を届けさせていたが、梓元は妃の位を固辞したまま、この10年、礼状の一つも返してくれない。それでも韓燁はまた采薇(サイビ)軒で梓元への贈り物を選んでいた。すると隣の店で大捕物が繰り広げられる。相変わらず罪人に容赦ないのは刑部尚書・洛銘西(ルォミンシー)だった。洛銘西はかつて梓元の侍衛だった。「いくら物を贈っても人の心には及びませぬ」「お前だけは私の純情を承知だろう?」実は韓燁は東騫(トウケン)から来襲した海賊の討伐に名乗りを上げていた。戦功を立てれば皇帝に梓元の下山を願い出ることができるという。「洛銘西…」「洛大人(ダーレン)と」「はお、洛大人、私の戻りが遅かったらこの贈り物を…」「殿下、贈り物の手配なら応じかねます、では」韓燁とは旧知の仲でありながら、洛銘西はどこか他人行儀だった。ここは靖南(セイナン)。豊かな自然に囲まれた安楽寨(アンラクサイ)に鮮やかな真紅の衣をまとった女侠がいた。すると伝書鳩が知らせを運んでくる。(ˇ⊖ˇ)<東風起こる…ピヨ (←違うけどw)「東風が吹けば客人が訪れる…」海賊退治のため、お忍びで靖南に入った韓燁。思いがけず急な雨に降られたが、その時、腕輪の鈴を鳴らしながら石段を降りてくる美しい江湖の娘を見かけた。彼女の赤い傘を見た韓燁は最後に見た梓元の姿が重なり、必ず海賊を追い払って迎えに行くと心に誓う。すると調査のため向かった埠頭で、偶然にも雨宿りしている赤い傘の娘と出くわした。娘は唐突に韓燁の帷帽(イボウ)の中に顔を突っ込み、驚いた韓燁は後ろに下がってしまう。その時、追っ手の声がした。娘は海賊の一味に追われていると話し、半ば強引に韓燁を連れて逃げ出した。やがて雨も上がって快晴となった頃、2人は桟橋に到着する。「姑娘(グーニャン)!もう大丈夫だ、追って来ない」「甘く見ないで、高貴な方は初めての経験でしょうね」その時、また追っ手の声が聞こえた。娘は思わず韓燁を突き飛ばし、抱き合ったまま舟に倒れ込んでやり過ごす。追っ手は寨主に頼まれた役目を演じ、走り去って行った。すると娘は縄を解いて舟を出してしまう。こうして訳が分からぬまま、やけに馴れ馴れしい娘と一緒に海原をさまようことになった韓燁。「急用があり靖南に来た、早く戻らねば…その…姑娘、どうか私に指示を」「凪(ナ)いでる…果たして私の条件に応じるかしら」すると娘はいきなり外衣を脱ぐよう迫った。「帆の代わりにするの、嫌なら私が脱ぐわ」「うわっ!姑娘!慎みを持て!」しかしこれも娘の時間稼ぎ、その時、前方から東騫国の海賊戦隊が現れた。「奴らは凶暴で悪辣だ、姑娘、一刻も早くここを離れよう」「公子、立ち泳ぎはできる?」娘は韓燁を道連れにして海に落ちた。娘と韓燁は転覆した舟の中に隠れた。動揺を隠せない韓燁、すると間近に迫った海賊船がひっくり返った舟を調べ始める。「姑娘、私が敵を引き付ける、逃げろ」「逃げるなら一緒よ、公子、もし生き延びられたらあなたに嫁ぐわ」韓燁はこの状況でも戯言とは恐れ入ったが、その時、海賊が前方から現れた安楽寨の船隊に気づいて舟を諦めた。「公子、約束を忘れないで、生き延びたらあなたに嫁ぐ」すると娘は舟から飛び出し、安楽寨が降ろした縄に捕まって軽々と舞い上がった。娘は華麗な身のこなしで安楽寨の船に飛び乗った。「私は安楽寨寨主・任安楽(レンアンルー)、靖(セイ)国の領土を侵す輩を必ず…必ず…何だっけ? あ、必ず誅(チュウ)せん!」安楽が敵将を一矢で仕留めると、安楽寨の配下が一斉に敵船に乗り込み攻撃した。一方、韓燁もようやく船に上がり海賊討伐に参戦、しかし安楽をかばって肩を負傷してしまう。「アンルーの男を傷つけるとは…」激怒した安楽は剣を投げ、韓燁を傷つけた海賊を一撃で仕留めた。安楽寨は海賊を殲滅、船を全て捕獲した。安楽は嫌がる韓燁の胸を強引にはだけて手当していたが、今頃になってようやく東南水軍がやって来る。すると皇太子に気づいた吉利(キツリ)が大きく手を振りながら叫んだ。「太子殿下ぁぁぁぁぁ~!」韓燁は図らずも素性が知られ、身分を明かすしかない。「私は太子・韓燁だ」「じゃあ命の恩人である私は太子妃になれる?」驚いた韓燁は安楽に感謝しながらも、太子妃は許嫁だと教えた。「他に望みは?」「私が欲しいのはあなただけよ」安楽は韓燁の腰かざりを引き抜き、これが結納品だと迫った。「太子殿下の命を救い、一夜を共にした、殿下の結納品は玉の如意、私の嫁荷は3万の水軍 これで決まりね」「安楽、私がいつ婚姻に応じた?!」「事実はどうあれ証人がいるわ」その時、甲板にいた配下たちが寨主の縁談を祝って声を上げた。東南水軍はようやく追いついたが、安楽は既成事実を作るため、そのまま韓燁を乗せて帰ってしまう。(^ꇴ^)ノ″<明日、安楽寨まで迎えにきて〜!韓燁は無事に帰京、父皇に事情を説明して安楽からの文を渡した。確かに一夜を過ごしたが、あくまで治療のためだったという。安楽は玉の如意と共に、安楽寨3万の水軍の帰順と引き換えに皇太子妃の位が欲しいと嘆願書を託していた。皇帝は失笑したが、どちらにしても皇太子として身を固める時期だという。しかし韓燁は祖父の遺詔に従い、梓元を娶ると譲らない。そこでこの機に乗じて梓元を赦免して欲しいと嘆願したが、皇帝は認めてくれなかった。洛銘西は韓燁に呼ばれて寝殿を訪ねた。すると皇太子はまた梓元の絵を描いている。しかし成長した梓元の顔はまだ描き込めずにいた。「梓元の話はお前にしかできない、10年が経ち、梓元の顔を忘れそうな己が怖い」「背が伸びて記憶とは違う容姿でも…目は変わりません」洛銘西が梓元の目だけ描き込むと、韓燁は確かにこの目だと納得した。春の狩りには皇太子と引き合わせるべく名家の令嬢が招待された。令嬢たちは皇太子に想い人がいると知っていたが、それでも女海賊に負けるのは癪に触る。そんな中、韓燁の侍従で弟分の温朔(ウェンショウ)が女海賊の登場を楽しみに待っていた。実は任安楽の美醜が今日の最大の賭けになっているという。その時、どこからともなく美しい琴の音が響き渡った。温朔は琴を奏でる安楽の侍女・苑琴(エンキン)に一瞬で心を奪われたが、どこの才女なのか分からない。すると真紅の衣をまとった安楽が颯爽と馬を駆けて現れた。安楽は同時に2本の矢を放って鷹を仕留めると、皇太子に献上する。「太子殿下、また会ったわね」温朔は豪快で美しい娘の登場に目を丸くした。「姑娘…君は…」「私はレンアンルー、未来の太子妃よ」つづく( ๑≧ꇴ≦)ランランルー始まった!管理人の適当なルビは無視して、好きな呼び名でどうぞw
2024.01.28
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覆流年 Lost Track of Time第12話清廉潔白な徐清策(ジョセイサク)の行く末を案じる陸安然(ルーアンラン)。すると居所に突然、慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)が現れ、安然が慌てて閉めた窓に手を挟んでしまう。「何かご用ですか?」「私を敵のような目で見るのはなぜだ?私を恐れているのか?」安然は困惑し、今さらながら慶王の手を案じた。「心配には及ばぬ」「借りは作りたくありません…特に殿下には」安然は穆澤の手に薬酒を塗って手当した。「この薬酒は強い、匂いを嗅ぐのも御法度では?」「何のことだ?」「酒を断っておいでなので…(ハッ)」安然はうっかり口を滑らせ、慶王が酒を飲むところを見たことがないと誤魔化した。しかし穆澤は疑念を深め、蘇城(ソジョウ)を訪れる前に面識があったかと確認する。安然は言葉に詰まったが、その時、陸昀(ルーイン)がやって来た。「姐(ジェ)!徐先生が書物を借りたいと…あ、慶王殿下」「徐先生とは誰だ?」穆澤は徐清策が蘇城の才子で、優秀ながら名もない庶民の子だと知った。そこで帰り際、安然に答案のすり替えに最適だと告げる。実は当時、徐清策は科挙に合格後、穆澤に仕えて翊(ヨク)王に殺されていた。安然は合格しなければ徐清策を助けられると考え、また3年後の再受験があると楽観する。「異存はありません」「明日は私の誕辰だが、良い前祝いとなった」すると穆澤がふいに安然へ手を伸ばした。驚いた安然は無意識に避けてしまい、気まずくなってうつむいてしまう。穆澤は改めて安然の乱れた髪を直してやると、合格発表後に侍女を迎えに来るよう伝えて帰って行った。翌日、穆澤は寝殿の密室に作った母の廟を訪ねた。「娘(ニャン)…今日は私の誕辰、私が最も憎む日です、誰もあなたの名を知らない いつの日か私があなたを宗廟へ入れると約束します、そして永遠に祀らせる…」そうとは知らず、慶王妃・陸欣然(ルーシンラン)は穆澤の歓心を買おうと手作りした長寿麺を届けた。しかし穆澤は激怒、長寿麺をひっくり返してしまう。「安然が何を企んでいようと役に立つ、だがそなたは庶子だ 役立たずを養ってやっているのだぞ?…皇家の婚姻は遊びではない 王妃の座を横取りしておいて我が物顔でのさばるのなら容赦しない」安然の計画は成功、翠翠(スイスイ)からの知らせで欣然が慶王を怒らせたと分かった。ただそのせいで協力してくれた翠翠が辛い目に合っているという。安然は責任を感じたが、冬青(ドンチン)は翠翠もいつか抜け出せると励ました。陸欣然は安然を牽制するため、弟を抱き込もうと考えた。しかし安然を慕う陸昀は二姐が自分たちの仲を引き裂いて陸家の財産を狙っていると気づく。「いい加減にしてくれ、二姐は慶王妃になった、願いは叶っただろう?これ以上、何も望むな」欣然は弟にも相手にされず、安然への憎しみを募らせた。「必ずあの女の本性を暴いてやるから」科挙の試験が終わった。手応えがあった徐清策は意気揚揚と合格発表を見に行ったが、驚いたことに落選してしまう。こうして計画通り厳子韫(ゲンシウン)が第一位で合格、安然は慶王府へ霊奚(レイケイ)を迎えに行った。穆澤は約束を守って霊奚を呼んでくれたが、衛兵たちはまだ霊奚を解放してくれない。「かつての盟約は婚姻であったが、こたびは口約束ゆえ信用しきれぬ そこでこの盟約書に署名してもらおう、信義に背いた者は責めを負うとな」しかも穆澤は衛兵の剣で霊奚の指を切りつけ、その血で署名するよう迫った。安然は仕方なく鮮血で名を記したものの憤懣やるかたない。その時、蔡望津(サイボウシン)が安然を見送るため、手を差し出した。「陸小姐、こちらへ…」そこで安然はかんざしを抜き、去り際に蔡望津の手を傷つけ、鬱憤を晴らした。蔡望津は回廊で傷ついた指を見ていた。そこへちょうど陸欣然が通りかかり、蔡望津が怪我をしていると気づく。心配した欣然は薬を届けたが、慶王と安然が改めて盟約を結んだと聞いて落胆した。しかし思いがけず厳尚書を取り込むために安然が答案すり替えに一役買っていたと知る。「その才子は王妃と同郷ですよ?」一方、霊奚は屋敷へ戻り、冬青と再会を喜んだ。安然は一安心したが、不正に手を貸してしまった自責の念に駆られてしまう。その時、陸昀と徐清策が帰って来た。安然は3年後の科挙まで陸家が徐清策を援助すると申し出たが、徐清策は蘇城へ戻るという。陸欣然は弟と安然を離間させるため、陸昀に科挙の不正を暴露した。「優しい姐に聞いてみたら?徐清策と厳尚書の息子の答案をすり替えたかどうか 信じられないなら太学の学友に頼めばいい みんな名家の子息でしょう?状元の答案くらい手に入るはずよ」陸昀は厳子韫の答案を手に入れ、安然の部屋を訪ねた。「答案がすり替わっている、徐先生が本当は状元だった」「知っているのね…いずれ説明する、でも徐先生には言わないで」安然は相手が厳尚書の息子のため、騒ぎになれば徐清策もただでは済まないと警告した。しかし陸昀は姉の裏切りに深く失望し、徐清策に答案すり替えの真実を明かしてしまう。激情に駆られた徐清策は思わず屋敷を飛び出した。慌てて後を追う陸昀、すると冬青が安然に陸欣然と陸昀が会っていたと報告する。安然は衫越(サンエツ)に陸昀を頼み、急いで慶王府を訪ねた。徐清策は貢院に駆けつけたが、門は堅く閉じていた。そこで嘆願の太鼓を叩き、足を止めた人々に自分の答案がすり替えられたと訴える。大役を終えた穆川(ムーチュアン)はちょうど慶王府にいたが、貢院での騒ぎを聞いて急いで向かった。安然は呑気に茶を飲んでいた欣然を引っ立て、慶王の前に突き出した。実は欣然がすり替えの件を漏らし、計画が台なしになったという。穆澤はちょうど厳尚書からなぜ露見したのか問われたばかり、これで疑問が解けた。しかし焦った欣然がこれも全て安然の企みだったと訴える。「弟は徐清策の答案を太学の学長に見せていました 最初から安然は殿下の策を潰す気だったのです! 策を弄して婚姻を逃れ、こたびも殿下の邪魔を…信じてはいけません!」「よく言うわ、我々の計画を知って昀児を学長のもとへ行かせ、すり替えに気づかせたくせに 騒ぎを大きくして策を潰し、私と昀児の離間をも企てたのね? ともかく今はあなたに構っている暇はない! 殿下、とにかく徐清策を黙らせなくては…殿下の元で用いては?賢才ゆえ役立つはずです」「今回は原因を追求せぬが、事が落ち着いたら沙汰を下す、陸安然、学長はそなたに任せる」「はい」欣然は沙汰を待つのが安然ではなく自分だと知り、愕然となった。その頃、穆川は貢院に駆けつけ、調査をするよう迫っていた。しかし傅与南(フヨナン)は取り調べなら京兆尹(ケイチョウイン)府が行っていると言い訳する。「さらに調べるべきであろう? 科挙が権力と金に汚されたら、国を思う熱き血の行き場は?!賢才をどう集める?!」「もし調べれば貴人の関与が表に出ることになり、斉(セイ)王も困ることになるのでは?」「どういう意味だ?」「殿下、どうか行動は慎重に…」その時、穆川は慶王府で厳尚書を見かけたことを思い出した。一方、蔡望津は投獄された徐清策を説得していた。「私も同じ書生でした、お気持ちは分かります…でも成り代わったのは吏部尚書の息子 真実を暴き、功名を取り戻せても、仕官の道は険しい うちの殿下に仕えては?いずれ官職も与えられましょう」しかし徐清策は投獄されてもなお、それでは科挙の公正を取り戻せないという。蔡望津は徐清策が何年も合格できなかったのは出自のせいだと指摘、名もない才子が頭角を現すなど愚かな夢だと言い聞かせた。安然は慶王に答案すり替えを漏らしたのが陸昀だと知られるのを恐れ、その前に欣然に罪を着せて手を打った。「でもまさか昀児が徐清策を学長に会わせていたなんて…」科挙の試験の後、陸昀は徐清策と一緒に太学の学長を訪ね、答案を見てもらっていた。もし学長のもとに答案の写しがあるなら一刻も早く処分する必要がある。急いで冬青と一緒に太学へ向かった安然、しかし急に馬車が停止した。「小姐、京兆尹府で火事です!」つづく( ๑≧ꇴ≦)アンランw色々と激し過ぎるwww
2024.01.27
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覆流年 Lost Track of Time第11話皇帝は慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)の出自を知っていた。かつて酔った勢いで良(リョウ)妃の侍女に手を出してしまった皇帝、しかし当時は子が少なく、皇子の誕生を喜んだものだ。「それが…なぜあの子は暗く沈んだ目をするようになったのか」一方、皇位を狙う穆澤はこれまでのような正攻法では無理だと思い知った。しかし皇帝が今回の科挙で翊(ヨク)の選んだ試験官や出題者を交代させたことから、蔡望津(サイボウシン)は勢力を広げる好機だと進言する。そこで跡目争いに一貫して不干渉を貫いている老臣・厳(ゲン)尚書を懐柔しようと企んだ。実は厳尚書の息子は妓楼に入り浸りで科挙も連敗、合格を手助けしてやれば強力な後ろ盾になるだろう。その頃、陸安然(ルーアンラン)も陸昀(ルーイン)と冬青(ドンチン)を伴い瀚京(カンケイ)に入った。安然は弟を戦へ行かせまいと都の太学に入学させるつもりだが、陸昀はまだ大将軍になる夢を諦めていない。すると安然は途中で馬車を降り、弟と冬青を先に行かせて慶王府を訪ねた。昨日のことのように思い出される10年間の記憶。何も知らずに幸せに暮らしていた日々から一転、息子も陸家も全て失うことになろうとは…。その時、回廊で霊奚(レイケイ)を折檻している慶王妃・陸欣然(ルーシンラン)を見つけた。欣然は笑いながら霊奚の顔を水甕につけていた。激情に駆られた安然はいきなり欣然を突き飛ばし、霊奚を救う。「(はっ!)お前…生きていたの?!」安然は呆然とする欣然を捕まえ、水責めにした。「私のおかげで王妃になれたでしょう?あなたの娘(ニャン)は立派な最期を遂げられたわ」母の死を知らなかった欣然は激高したが、過去を思い出した安然は正気ではいられなかった。「今こそ陸家と毓児(ユーR)の恨みを晴らしてやる!」安然はついに欣然の顔を沈めたが、その時、斉(セイ)王・穆川(ムーチュアン)が駆けつけ止めた。安然は穆澤に騒ぎを起こしたことを謝罪し、霊奚を返して欲しいと頼んだ。しかし澹(タン)州の功績だけでは不十分、穆澤は誠意を見せて欲しいと条件を出す。それは厳尚書の放蕩息子を科挙に合格させろという無茶な要求だった。穆川は霊奚を安然に返すよう二兄に掛け合った。しかし穆澤は誠意がなければ信頼できないという。確かに安然の身辺で起こった事を思えば疑念を抱くのは当然だった。そこで穆川は1日だけでも霊奚と過ごさせてやりたいと頼む。穆澤は弟が安然を好きだと気づいたが、穆川はあくまで知己だと否定した。「分かった、お前の望み通りにしよう」思えば九弟の頼み事は珍しい。穆澤はそんな穆川の願いを叶えてやりたいと思ったが、その実、安然が霊奚と共に過ごす事で愛着が募り、必ずや取り戻すべく尽力すると踏んでいた。穆川のおかげで無事だった欣然。実は慶王が安然に毒を盛った事をすでに知っていると聞き、慌てて弁明に駆けつけた。しかし穆澤は真相など興味はなく、問題なのは陸家と陸安然が自分の役に立つかどうかだという。「慶王妃の座を守りたければ無用な面倒を起こすな、分かったか?」「でも…」「出て行け!」欣然は仕方なく引き下がったが、このままでは死んだ母が浮かばれない。すると偶然、回廊で蔡望津と出くわした。欣然は慶王の信頼を失ったと泣きついたが、蔡望津の話では慶王が安然の狼藉を叱責、罰も与えたという。「殿下に寄り添い、支え続ければお気持ちは伝わりますよ」欣然は王府で唯一、自分と向き合ってくれる蔡望津に好感を持った。安然は瀚京に屋敷を構えた。…息子を合格させてもらった恩があったのね…安然は今になってようやく厳尚書が急に穆澤になびいた理由を知ったが、到底、不正の手助けなどできない。「別の方法で霊奚を救うわ」そもそも穆澤との盟約は慶王府に出入りするための口実、安然が瀚京に来た本当の目的は陸欣然だった。穆川は霊奚を連れて安然の屋敷を訪ねた。喜ぶ安然だったが、霊奚の手首に残った傷に気づいて涙を流す。「ごめんなさい…全て私のせいね…」しかし霊奚は安然さえ無事なら幸せだと訴え、実は婚礼の日に自害するつもりだったが、穆川が止めてくれたと明かした。夜食を終えた穆川は安然たちが水入らずで過ごせるよう中庭にいた。すると安然が酒を持ってやって来る。「何をしていたの?」「葡萄棚を作っていた、普通のとは違う、わざと木の隣に立てるんだ 木に合わせて棚の高さを上げればツルも上に伸びて行く 花の季節、実りの季節、季節ごとに景色が変わる、面白いだろう?」安然は穆川の説明を聞きながら呆然となった。当時、穆澤も安然を喜ばせるため慶王府に葡萄棚を作ったが、穆川と全く同じ説明をしている。つまりあの葡萄棚は穆川の受け売りだったのだ。…何もかもあなただった…穆川は泥酔した安然から酒を取り上げた。すると酒を取り返そうとした安然はうっかりつまづいて穆川の胸の中に倒れてしまう。「どうして黙っていたの?」「葡萄棚のことか?」「違う、違う…人を見る目があると思っていたのに、何も見えてなかった…」穆川は思わず安然の肩に手を回したが、その時、陸昀の声が聞こえて慌てて離れた。「殿下!葡萄が届きました!」陸昀は蘇城から届いた葡萄の苗を持っていた。安然は必ず迎えにいくと約束し、霊奚と穆川を見送った。陸昀は姐と斉王がお似合いだとからかい、慶王に嫁がなかったのも天の思し召しだという。その話を壁の向こうで穆川と霊奚が聞いていた。「子供が知ったような口を…」「本当は好きなくせに、もったいつけちゃって」霊奚は嬉しそうに微笑む斉王を見て思わず失笑する。すると穆川は辛い時には甘い物が効くと霊奚に飴を持たせた。冬青も思い合う安然と斉王の幸せを願った。しかし安然が瀚京へ来たのは陸家を皇家の争いから遠ざけるため、穆川と結ばれては本末転倒だという。「では次の計画が?」「霊奚の話では欣然は慶王府で冷遇され、侍女の翠翠(スイスイ)に八つ当たりしているらしいわ」穆澤の誕辰を前に慶王府には次々と贈り物が届いた。すると翠翠が欣然に王妃として贈り物の1つも贈らねば無作法だと助言する。安然は欣然が誕辰という好機に必ず食いつくと読んだ。「穆澤は誕辰を憎んでいるのにね」冬青は安然の計画の意図を知り、さぞや不興を買うだろうと気づく。その時、陸昀が友人を連れて来た。陸昀は科挙を受けるため上京した友人・徐清策(ジョセイサク)を屋敷に泊めることにした。しかし徐清策は安然が一緒に暮らしているとは知らなかったと遠慮する。そこで安然は気を使わせないよう、宿代の代わりに弟の勉強を見て欲しいと頼んだ。一方、穆澤と蔡望津は厳尚書の息子の替え玉を探していた。しかし瀚京で学のある者と言えば大半が名家の子息、答案をすり替えて不正に気づかれれば大ごとになる。さらに穆川の出題は″瀚京が抱える課題″と難問だった。狭き門になるのは必至、そこで蔡望津は地方の書生にまで手を広げるよう進言する。穆澤は果たして安然が命令通り動いてくれるのか気になっていた。安然はかつて科挙で状元となった徐清策と面識があった。今回は自分が弟を都に連れて来たせいで出会いが早まったのだろう。当時、徐清策は権力争いに巻き込まれ、非業の死を遂げていた。その夜、安然は部屋の窓から机に向かう徐清策を眺めていたが、突然、穆澤が現れる。「何をしている?」驚いた安然は慌ててつっかえ棒を落とした。「危ない!」窓が勢いよく落ちると、穆澤は咄嗟に手を伸ばして挟んでしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)ちょwアンランwwwやり過ぎ笑ったわ
2024.01.26
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