文春新書『英語学習の極意』著者サイト

< 新しい記事

新着記事一覧(全1515件)

過去の記事 >

Oct 24, 2011

横田尚（よこた・なお）展＠ギャラリー椿（京橋三丁目）　みがきあげてピュアな少女たち

テーマ：美術館・展覧会・ギャラリー(8881)

カテゴリ：美術館・画廊メモ

この展覧会は、とっても楽しみだったんですねぇ。

「月光」

ピュアな少女。ピンクが、いのちそのものに。
うつくしいヌードですが、じっと見ているとやがて人間の裸体ではなくなり、もっと別の存在の無垢のすがたのような。

横田尚（よこた・なお）さんが描く女性は、顔のスタイルがきりりと確立していましてね、センシュアルな唇、はっきりとした意思をあらわしながら優美な眉。そして、目。

門倉直子さんみたいに、顔の絵で勝負できそうにもおもいますが。

「かわいい」路線でずっと来たひと、ではなかったことが、ネット検索してみてわかりました。
平成17年のギャラリー椿での個展出品作は、こちら。

顔のスタイルが横田尚さんの作品であることを雄弁に物語っていますが、マチエールもごつごつとして、冥界に指をつっこんでいますね。

平成19年の作品を見ると、冥界に太陽が燦々と降りそそいでいます。

そして、平成21年。はじけました。一気に若返りました。
平成17年の絵は「独立展の入選作品」的でしたが、その4年後のヴィヴィッドな絵は余計なものをすべて剥ぎ取って時代の先端にぽ～んと飛び降りたったみたい。

いちど冥界をくぐり抜けたあとのヴィヴィッドさだから、かろやかさにも凄みがある。

ことし平成23年の作品群も、この軽やかさをぶんぶんと振り回しています。
大ブレイクしてもおかしくないのですが、売れていたのはサムホール判の小品だけでした。あれ…。

いまの横田尚さんスタイルの絵は、20代の人たちが多く描いていて、そうするとややお安いわけですね。
その相場に慣れているものだから、すでに40代のベテランである横田さんの経歴を反映した値段表を見ると、「お、強気のお値段…」と思ってしまうのかもしれません。

横田さんは、昨年高崎市美術館で2人展が企画されたほどのベテラン。武蔵野美術大出身です。
（画廊で絵を見たとき、色づかいに武蔵美を感じました。ひょっとしたら多摩美かなぁ、と迷ったので口にしなかったのだけど。）

画廊におられた横田さんが目をきらきらさせながら、ぼくの言いたい放題の感想を聞いてくださるので、
「このかわいい女の子と一緒にいたいと思って作品を買うわけなので、金魚が余計に思えることもありますよ。
今年の大作＜月光＞も中央上部の出目金ちゃんは、描きすぎたかも。
せっかくかわいい女の子を見ていたいのに、あの金魚がいると気が散っちゃうんですね」
などと批評してしまったわけですが、いま改めて横田さんの過去の作品をウェブ上で眺めてみると、横田さんにとって金魚は冥界を凝縮した象徴的存在なのかもしれません。

「個展の作品が大作すぎて個人では買いにくいので、門倉直子さんみたいに買いやすいサイズの絵もちゃんとそろえていただけるとうれしい、かわいい女の子を3号くらいまでの大きさで描いたらどうでしょう」
などと、さらに言いたい放題のコメントしているうちに、横田さんも
「じゃあ、ご要望にお応えするようなものを3枚くらい描きますから選んでください」
と乗り気になってくださいましてね。

またまた注文画をおねがいしたような状態になってしまいました。
とてもたのしみです。

展覧会は、京橋三丁目3－10の「ギャラリー椿」にて10 月29日まで。
ぜひお運びください。

＝

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう