“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2026.05.16
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過去の連載より あなたの「未来予想図」

 今、私は大分県日田郡大山町にいる。なぜ、ここにいるのかというと、日本経営合理化協会さんと経営者のバスツアーを始めたからだ。
 私はバスガイド。でもただのバスガイドではない。あなたの「未来予想図」を探すためにバスガイドだ。

 なぜ、大山町にいるのか?
 それは参事の矢羽田正豪さんの話を聞けばわかる。

『40年前、大山町は日本で一番貧乏な村でした。谷間にある村で、一戸あたりの耕地面積が極めて小さく農業をするのにはいい環境ではありませんでした。
当時、高度成長期で、農村では村を捨てて仕事を求めてサラリーマンになり都会に出て行く。そんな時代でした。
 1.給料が安定して入る
 2.休みが確実にある

などのことを考えればあたりまえのことでした。
このままでは、この村は無くなってしまう。では、「どうしたら人口が減らないようにできるか?村にとっては深刻な問題でした」、当時の志高きリーダーは考えました。
そして、目標を設定したのです。
それが、
 1.サラリーが安定してとれるようにしよう
 2.ボーナスがとれるようにしよう
 3.週三日休めるようにしよう
でした。

 まず、「サラリーが入る」ですが、この意味するところは、日銭が入るということです。日銭が入るようにするにはどうしたらいいか?そこで、考えられたのが、できるだけ毎日出荷するという概念です。そのために直売所が十数か所作りました。
 農家の手取額知っていますか?
 市場流通だと末端価格に20%から30%しか農家の取り分はありません。これではやっていけませんよね。

価格は農家が自ら付け、シールをはります。赤のシールが100円で、黄色のシールが200円、緑のシールが300円です。自由競争にしているのです。そうすれば、残った商品を見て考えるからです。販売戦略は農家自らが考えることが大切なんです。
また、農地が確保できない大山町では、よりサラリーを効率よく取るために、40年前より、有機農、極力農薬を使わないということで付加価値をつけ販売できる農業を推進してきました。
次に、ボーナスですが、余分な作物を栽培することに実現しています。
ブドウや梨の栽培などです。
 そして、ベースアップを実現するために、農協が農家をコンサルティングし、収益性の高いものに切り替えてもらっています。

ちなみに、全国の専業農家の平均年収は220万円くらいしかありません」

 40年前に、大山農協がかかえたキャッチフレーズ、まさにあなたの店にあてはまるのではないだろうか?
 今、飲食店に人が集まらないのは、かつて、農村を捨てて、サラリーマンになった人たちの心境と同じなのではないだろうか?
 「売上が悪いから給料は上がらない」
「利益がでないからボーナスもない」
「人手が足りないから休みは取れない」
 でも、それは、何も解決する方針も立てず、外食市場動向の外部要因のせいにしているあなたの責任ではないだろうか?
 あなたの店に人が集まらないのは、あなたの店に、自分の人生にプラスになるものが感じ取れないというひとことにつきるのではないだろうか?
 大山町は、ずっと人口が減少をしていない、数少ない農村なのだ。
ここに、経営の原点を見たような気がする。

 「さて、みなさん、木の花ガルデンのレストランへどうぞ」

 私たちはこの農協の経営する有機農野菜のバイキングに移動した。
 ひとり1200円。思う存分、取れたての野菜が食べられる。年商は一億八千万円もあるそうだ。
 山奥にも関わらず、平日でも11時過ぎには行列ができる店だ。

 なぜ、このレストランを始めたのか?
「そのきっかけは、ピークで収穫した胡瓜でした。直売場での話です。工業化された野菜を見慣れたせいか、お客様はスプーンで種がほじくれるような胡瓜はできそこないや売れ残りと感じるようになったのです。そして、そのような野菜の食材の調理法も知らないのです。それを伝える必要があると確信したのです。」
そう、参事はおっしゃった。

 右肩上がりの市場拡大の時期に、私たちは大切なものを失った気がする。私たちは、いつしか、売れれば良い、売ることが善という思い込みで、農業を工業化してきた。
 確かに、安定して通年流通するようになる恩恵も受けた。安く手に入れる恩恵も受けた。
しかし、それによって、農業は廃れた。
そして、地方が廃れた。

 何年先を考えるか?それであなたの未来は決まる。
 よく「ビジネスは30年」という言葉を使う。金儲けは儲かった時点でその目的は果たされる。だから、金儲けは短期的な視点でしかない。

 あなたは、食を通して何をしたいのか?もう一度考えていただきたい。そして、「レストランはもっともっと生産者に近づくべきである!」。
これこそ、個人の店、小さな店、地方の店ができる祖国への恩返しではないだろうか?
この、すばらしい、自然の恵みある地日本、そこに、もう一度、目をやり、失われつつある個を取り戻そうじゃないか?すべてはあなたの「未来予想図」で「思った通りにかなえられてく」んだから。
2005年1月号日経レストラン ​より



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Last updated  2026.05.23 07:57:52
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