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勧…カン、すす(める) 薦…セン、すす(める) 奨…ショウ 五木寛之は1932年9月30日に誕生しました。放送作家・作詞家などを経て作家になり『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞を受賞しました。 多彩なジャンルの小説を書いていますが、『奇妙な味の物語』はその名の通りホラー系の短編集です。 『サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミー』は、車を愛し、車に愛された女性の話。 外車のセールスマンであるぼくが、水品夫人に初めての車として推選したのが、BMWの318iAでした。夫人は6年間大切にその車に乗ってきました。 そろそろリアのサスペンションのがたつきなど気になることも出てきて、新車に変えるようにぼくは勧めていました。ところが…。 参照元:五木寛之『奇妙な味の物語』集英社文庫
September 30, 2019
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大好きな「かもめの玉子」の秋バージョン、栗をゲットしました。栗がまるごと入っています。餡からはみ出しそうなくらいの栗がインパクト大。ほうじ茶といただきました。 好きなお菓子とお茶があれば幸せです。
September 30, 2019
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衝…ショウ 撃…ゲキ、う(つ) 横溝正史といえば金田一耕助ですが、戦前は怪奇・幻想小説を多く残しています。『面影双紙』は、友人R・Oが彼の身に起こったことを、大阪弁で語るという短篇です。大阪特有の堀割に面した土蔵の一室で 私(R・O)の家は古い薬問屋で、養子に来た父は、日露戦争後に医療機器も扱い始めました。家に人体模型を持ち込んだときは、母が猛反対したものです。「あの骸骨を見ると気味が悪うて気味が悪うて、いまにも気狂いになりそうやわ」この人体模型が重要な役割を果たします。 私が十か十一の時、母は私を連れて嵐福三郎という役者に会いに行き、私はしばしの時間、長唄のお師匠さんに預けられるにが常でした。 そのことを知った父は… 最後の最後に、父母の関係、自分の気持ちに納得できる解決がつきます。これで終わりかと思った後のパンチは、衝撃的でした。 引用および参照元:有栖川有栖・編『大阪ラビリンス』新潮文庫から 横溝正史『面影双紙』
September 29, 2019
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茎…ケイ、くき 塊…カイ、かたまり ジャガイモはナス科の植物で、原産地は南米アンデス地方です。ジャワ島のジャカルタから、オランダ船で日本に渡来したので、「ジャガタラ=(ジャカルタ)」の芋→ジャガタライモ→ジャガイモになりました。 食用になるのは根ではなく地下茎です。茎に栄養が蓄えられて塊になったもので「塊茎」と呼ばれます。 サツマイモは根に栄養が蓄えられた物で、「塊根」と呼ばれます。 本来のジャガイモは、花を咲かせた後、ミニトマトのような実をつけるそうですが、実ができると塊茎の栄養が消費されてしまうため、通常は、花が咲いても実がならない品種が、苗として販売されます。 世界の三大穀物は、麦・米・トウモロコシですが、ここにジャガイモを加えると「四大作物」になります。 世界的にも重要な栄養源なのです。 ジャガイモには穀物並みのデンプンが含まれ、ビタミン・ミネラル・食物繊維も豊富です。ビタミンCは100g当たりだと蜜柑と同じくらい含まれ、デンプンに守られているため、水に溶け出しにくく熱にも強いのが特徴です。 フランス語では「ポム・ド・テール」(=大地のりんご)といいます。「りんご」は栄養があり価値ある果実や野菜につけられる言葉です。 参照元:田中修『植物の秘密』中公新書
September 28, 2019
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カスタードケーキのフレンチトースト風が出ていました。温めてもおいしいそうですが、そのままジャスミンティーといただきました。ルピシアの茉莉花茶は、香りがきつすぎず、飲みやすいお茶です。
September 28, 2019
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官…カン 僚…リョウ 9月27日は今野敏の誕生日です。今野敏氏は様々なエンターテインメントを手がけていますが、警察小説も高い評価を受けています。 『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞、『果断―隠蔽捜査2』では山本周五郎賞と日本推理作家協会賞を受賞しました。 『隠蔽捜査』シリーズの主人公、竜崎は、東大法学部卒業、現役で国家公務員上級試験に合格したエリート中のエリートです。警察庁に勤務していましたが、息子の不祥事で警視庁大森署の署長に左遷させられました。階級は警視長。 足で稼ぐ刑事ドラマが多い中、珍しくキャリア警察官が主人公です。 高輪署管内で、消費者金融を狙った強盗事件が発生し、大森署も緊急配備に入りました。3人組のうち1人は未だ逃亡中。小料理屋で喧嘩があり、夜になっても開店しないという報告を受け、竜崎は何かが起こっていると考えます。 緊迫する犯人との応戦、予断を許さない事件の展開が一気に読ませます。 キャリア警察官として歩んできた竜崎は、有能であっても部下に心を開いたことがなかったのですが、貝沼副署長のような、ノンキャリアで的確な判断・指揮力を持つ優秀な人材もいることに気づき、考えを改めていきます。また、一介の刑事の疑問を耳にして、事件をもう一回洗い直すことにしたのです。 事件と並行して、竜崎の家庭内でも妻が救急車で運ばれ入院するという事件が起こっていました。本人は胃潰瘍と言っていますが、医師から竜崎に呼び出しがあり…。 息子にアニメの仕事をしたいと言われ、竜崎はビールの缶を持ったまま固まりました。「缶詰のほうれん草を食べると途端に無敵になるやつとか」「猫が鼠を追いかけるドタバタものか?」 しかし、息子から借りたDVDを見た竜崎は、冒頭シーンから、眼が離せなくなっていました。 最終戦争の後の時代の話でした。巨大な虫たちが住む瘴気を発する森。辺境の地で人々から慕われ、虫とも心を通わせる娘がいました。ある日、空から軍事大国の輸送機が落ちてきて…。 言うまでもなく、DVDは『風の谷のナウシカ』終わりには、とんでもなく感動している自分に気がつく竜崎でした。 「キャリア組だって頭の固い官僚ばかりじゃないんだ」と言う竜崎の言葉に、嘘はないですね。息子に素直に「すごいじゃないか、やりたいことをやれ」と言い、「所轄署は共同体であり、信頼し合う関係でなくてはいけません。所轄という組織を信用してください」という副署長の言葉に素直に耳を傾ける警視長です。 正しいと思ったことは絶対曲げませんが、所轄もアニメもどんどん吸収して、考えを拡げていく竜崎の可塑性に目を開かされました。 参照元:今野敏『果断―隠蔽捜査2』新潮文庫
September 27, 2019
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叫…キョウ、さけ(ぶ) 喚…カン ある田舎の百姓の末息子が、寺に預けられました。大変賢い子でしたが、困ったことに、お経の本にも、壁にも柱にでも、どこにでも猫の絵を描くのが癖でした。 「和尚にはなれぬが、立派な画工になるだろう」と老和尚に言われて、寺を出されてしまいました。和尚は「夜は広き所を避けよ、――狭きに留まれ」という忠告をくれました。 困ったこどもは、隣村の大きな寺へ行って修行しようと思い、でかけました。その大寺は化け物が住みついたため閉鎖された後でしたが、こどもは知らずに入っていきました。 埃と蜘蛛の巣だらけの広間に、白い屏風を見つけたこどもは、喜んで猫の絵を次々に描きます。 夜になったので広間で寝ようと思ったのですが、和尚の「広きを避けよ…」の忠告を思い出し、小部屋を見つけて横になりました。 夜更けに大変な音が聞こえました。闘ったり、大声で叫んだり、喚いたり…。こどもは恐ろしさに震えました。夜がすっかり明けてから広間に出てみると… 「芸は身を助く」の物語です。 参照元:和田博文・選『猫の文学館』ちくま文庫 より 小泉八雲『猫を画いた子供』
September 26, 2019
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ブルボンのマロンブランは、ちょっとおしゃれな栗のプチケーキです。甘いので、レモンティーと。冷凍庫で冷やしておいてもおいしいです。
September 26, 2019
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愉…ユ 芦辺拓の『天幕と銀幕の見える場所』は、ノスタルジックでしゃれた作品です。幕開きはこの一枚のチラシでした。 新聞社の給仕をしている私が、お使いの帰りに受け取ったチラシは「廿世紀洋行会」なるサーカスのチラシでした。社に帰ると、千一前一帯の興行物の記事を書くことになった青年記者に、取材につきあって欲しいと頼まれました。 翌日私も千日前に同行することになりました。「小林君、あれが『楽天地』だね。」記者は、呆れたように、そのくせ嬉しそうに遊び回りました。メリーゴーランド、ミュートスコープ、連鎖劇(スクリーンに映し出される活動写真と、舞台上の劇の俳優が同じで、つながったストーリーを相互に追う)と。 楽天地のドームの回廊を上ると、何もないはずの広場に、サーカスの天幕が現れました。それは… 最後のオチが愉快です。主人公の苗字からピンとくれば…。大阪のエンターテインメント感がたっぷり。 引用および参照元:有栖川有栖・編『大阪ラビリンス』新潮文庫から 芦辺拓『天幕と銀幕の見える場所』
September 25, 2019
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果物や芋・栗・かぼちゃのおいしい季節。安納芋のクリームを挟んだ薄焼きクッキーです。さくさくと軽く食べられてしまいます。お茶はアールグレイで。こちらは昨年のバージョンでした。
September 25, 2019
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唾…ダ、つば 棄…キ 9月24日は筒井康隆氏の誕生日です。 『七瀬再び』は『家族八景』でお手伝いをしていた七瀬の後日譚。生まれながらにテレパス(人の心を読むことができる)の七瀬は、人に能力を知られることを恐れて旅に出ました。 七瀬は、夜行列車の中で、生まれて初めて、同じ能力を持った子供、ノリオに出会いました。その後も、予知者・念動者・時航者に出会いますが、超能力者を抹消しようとする組織が七瀬たちに迫ることに…。 人はどうして自分と‘違う'ものを排除するのでしょうか。自分にない力を持つ者を恐れる気持ちは、誰でも持ちます。その後理解しようとするか、拒絶しようとするかで社会は変わってくるでしょう。故意に超能力者を人類全体に対立するものとして考えようとする悪意がある。と、七瀬に思わせた社会は悲しい。ですが、超能力者だけが対象ではありません。自分と違う‘突然変異体(ミュータント)'が唾棄する対象になり、迫害されるこの社会はこれでいいのかと、今、私たちは問われています。 引用および参照元:筒井康隆『七瀬再び』新潮文庫
September 24, 2019
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寂…ジャク、セキ、さび、さび(しい)、さび(れる)恵慶法師八重むぐらしげれる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけりむぐらが生い茂る邸の寂しさ、荒れ果てて今は訪れる人もないこの邸にも、秋は訪れたのでした。『拾遺集』の詞書に「河原院にて、荒れたる宿に秋来(きた)るといふ心を人びとよみ侍りけるに」とあります。 源融の死後、河原院は息子の昇によって宇多院に献上されました。このころから物の怪が出るという噂が広まりました。 『源氏物語』で、夕顔が頓死する「なにがしの院」は、荒廃した河原院がモデルだといわれます。 広大な邸は維持できず次第に荒れ、寺になりました。融の曾孫、安法法師が住み、荒廃した様子がかえって風情があると、歌詠みの友人たちが集まりました。 恵慶法師も安法法師の親友です。播磨の国分寺の僧でした。中古三十六歌仙の一人で、清原元輔(清少納言の父。歌詠みとして有名)らと交際がありました。 贅沢を極めた邸が「八重むぐらしげれる宿」になるとは、源融は思ってもみなかったことでしょう。 参照元:田辺聖子『田辺聖子の百人一首』
September 23, 2019
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静岡といえばうなぎパイ。お土産によくいただきます。ミニサイズのパイもありました。「夜のお菓子」のキャッチフレーズに笑ってしまいます。味は濃厚。紅茶にも合います。ルピシアのロゼロワイヤルと。
September 23, 2019
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乱…ラン、みだ(れる) 脱…ダツ、ぬ(く)ぬ(ける) 河原左大臣みちのくのしのぶもぢずりたれ故に乱れそめにしわれならなくに陸奥で作られる「しのぶもぢずり」の乱れ模様のように、思い乱れてしまった私の心は、誰のせいでしょう…あなたならでは乱れもしないのに。「しのぶもぢずり」がどんな染めであったか、はっきりわかりません。信夫の里は、今の福島県福島市。忍ぶ草の葉を布に擦り付けて染めたとも、模様を彫った石に布を当てて山藍で染めたとも言われます。 染めた柄は乱れ模様になるので、「しのぶもぢずり」は「乱れる」を引き出す序になります。 河原左大臣は、源融。嵯峨天皇の皇子ですが、皇室から離脱して臣籍に下りました。国主を歴任し、35歳で参議になり、左大臣まで昇りました。 莫大な富を蓄え河原院という豪邸を造ったことで有名です。その庭には、陸奥塩竈の浦の風景を再現し、塩がまを立てて塩を焼くさまを再現させたそうです。毎日尼崎の浦から海水二十石ずつ汲んでこさせたといいます。 その邸に因んで河原左大臣と呼ばれました。 参照元:田辺聖子『田辺聖子の百人一首』
September 22, 2019
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頓…トン 屯…トン 『橋の上』は、大阪を舞台に、随想的に書かれた小説です。橋の上の氷店の回想から始まり、初恋の相手おもよとの逢い引き、芸者になった彼女のこと、などが綴られます。 宇野浩二は、8歳の頃に花柳界に近い大阪市南区宗右衛門町の、通称十軒路地に移りました。しばしば道頓堀で芝居見物をしたようです。同じ一角に住んでいた、幼なじみの宮本八重子が、おもよのモデルです。 田山花袋の『田舎教師』の影響を受け、浩二も小学校の代用教員として赴任しました。退職後、早稲田大学英文科予科に進学し、『清二郎夢見る子』で作家デビューを果たしました。佐藤春夫・里見弴・久米正雄・芥川龍之介・大杉栄らと交流がありました。「文学の鬼」と称されました人です。 大阪は全市の10%が水域だそうです。昭和の大阪の風物詩は橋と共にあったわけです。 参照元:有栖川有栖・編『大阪ラビリンス』新潮文庫から 宇野浩二『橋の上』
September 21, 2019
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臓…ゾウ 腎…ジン 五臓は肺臓・心臓・脾臓・肝臓・腎臓のこと。六腑は、大腸・小腸・胃・胆嚢・膀胱・三焦を言います。三焦は、中国で考えられた組織液の運搬に関わる器官ですが、概念上の物で実際の臓器はありません。 「五臓六腑」で「体の中」「内臓全体」の意味になります。 暑いこの時期、外から戻って冷たいビールをぐっと一杯、これが「五臓六腑にしみわたる」というもの。
September 20, 2019
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虫が鳴いているいま 鳴いておかなければもう駄目だというふうに鳴いている八木重吉の詩『虫』から。東高根森林公園に足を踏み入れたら、虫の合唱で歓迎されました。出会いの広場のキバナコスモス。けやきの木の下のベンチでは、猫が休憩中。百日紅はまだ元気です。日差しは強いのですが、日陰に入ると爽やかです。ビジターセンターの蔦が色づいてきました。 詩の引用元:八木重吉『八木重吉詩集』白鳳社から『貧しき信徒』の一編 *写真は9月19日撮影
September 19, 2019
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一時期流行ったハーバリウム。ボールペンを作ってみました。楽天でボールペン本体と、ハーバリウム用オイル、封入用の花を買いました。手作り用のセットになって、売っている物もありますが、かなり割高です。 初めての上に、ウルトラ不器用ですから、安い、訳あり材料など使って、まずは作ってみました。ペン本体は150円~200円もの。 花とオイルを入れるのは簡単ですが、花の向きがあらぬ方を向いてしまい、ここが難しいところです。詰め込みすぎるとごちゃごちゃになります。 適度な隙間が必要なのと、花の色は2色程度にしておいた方が無難だということがわかりました。 山場は、中栓を閉めるとき。中身を詰める前に、栓がきつすぎるものは、ネイル用のヤスリで削りました。空気を抜いて栓を閉めたら、接着材で貼り付けます。 ペンの本体もゆるゆるなので、接着材で止めます。芯はペン先側から引っ張れば抜けます。胴体部分を接着しても、芯を替えるのには困りません。左、100円ショップで買った金箔をいれてみましたが、もう少し小さくすれば良かったかも。右、花の向きに苦労しました。裏側からも見るので、花の向きがいろいろな方向になるように入れました。左、スターフラワーは入れやすいのですが、気泡が花の間にたくさんたまるので時間をおいて抜く必要があります。右、紫陽花の花びらなどが入っていますが、時間を置くにつれ、透明になってきました。時間と共に、花が変わっていくのもハーバリウムの特徴です。ドライフラワーの中には色落ちする物もありました。本当はあらかじめ色落ち試験をすれがいいのですが。(^_^;)モノクロもいい感じです。上2作は、のび太君の作。 ハーバリウムは半年から1年で、花が変色してくると聞きました。作ったら早めに使って楽しんだ方が良さそうです。
September 19, 2019
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2液レジン(エポキシ樹脂)のアクセサリーに挑戦しました。2年前にも作りましたが、今回は封入をドライフラワーに絞ってみました。 使用したレジン液は「クリスタルレジン」75gです。2液レジンは、主材2に対して硬化剤1の割合で混ぜることで硬化します。割合を正確に量って混ぜないと失敗します。0.1g単位まで量れる秤があればいいのですが、わが家のクッキング秤は1gが最小単位。どきどきものでしたが、硬化成功、気温もまだ高いので24時間でほぼ完全に硬化しました。 モールドも今回買い換えました。使いやすいジュエリー型。2年前も同じ型を使いました。主材20g+硬化剤10gと、主材30g+硬化剤15gの2回に分けて作りました。上の2点は同じ型です。カッティングが入っています。カットがはっきり出るタイプ。写真だとつるんとしていますが、実際はかなりカットが入っています。気泡も入っていますが(^^;)この四角形のカットが気に入りました。そして半球型。これが思いのほかよかったです。つるぴか。金箔を入れて、菜の花風。小ぶりのスターフラワーを入れたもの。面白い型を見つけました。ヒートンやリボン留め、ボタンの足、ヘアゴムの留め具をレジンで作る型。小さいので、液を流し込むのが大変です。UVレジンで作りました。これは本体もUVレジンの試作品。裏からUVレジンでパーツを貼って、その上からもレジンを流して固めました。そうすると、パーツを貼った部分が目立たなくなります。裏面。裏から見てもパーツを貼った部分がわかりません。UVレジンは手早くできますが、やはり透明度は2液レジンにかないません。左がUVレジン、右がクリスタルレジン。これは左がクリスタルレジン。写真が下手ですが、実際も透明度が違います。左、5年前の製作。右が今回の作。同じ2液レジンですが、5年前の作品は黄化しています。ドライフラワーも褪色するので、作ったら早めに使って楽しんだ方が良さそうです。
September 18, 2019
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際…サイ、きわ 9月17日は曾野綾子の誕生日です。 曾野綾子氏の長編『時の止まった赤ん坊』は、息子の障がいのことで落ち込んだとき、何度も読み返した本です。 アフリカの修道院が経営する産院の様子が、訪れた男性の目を通して、淡々と描かれます。生きること、それ以上でも以下でもない日々。 途中で明かされる男性の家族のことが、衝撃でした。男性がなぜアフリカまで来たのか…。 最後の決意がストンと胸に落ちてきました。気負いもなく、自然で。 曾野綾子氏の作品には、途中で逆転ホームランのような大展開があり、はっとさせられることがあります。短篇『光散る水際で』も、ここに落ち着いたか、という結末でした。 私(母)とひとり息子の家庭から、25歳の息子が突然姿を消しました。3年前の大晦日でした。元気だと伝える電話はあるものの、息子はどこで何をしているのか、話しません。旅行会社に勤める知人が、偶然消息をつかみ、私は会いに出かけました。 旅先でたまたま一緒になった鴫さんという男性が、おおらかな助言をしてくれます。そして…水面が小さな光の破片になって躍っていました。 今までの自分より高い視点から、広い視野で見ることで、人は変わります。人の心は光に向かえるのだと、曾野氏の作品は教えてくれます。 引用および参照元:曾野綾子『二月三十日』新潮文庫
September 17, 2019
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沙…サ 汰…タ芝離宮公園の曼珠沙華 曼珠沙華は彼岸花の別名ですが、その名は仏典「法華経」により、「天上の花」という意味があるそうです。曼珠沙華ひそかに息をととのほる 橋本多佳子曼珠沙華あつけらかんと道の端 漱石つきぬけて天上の紺曼珠沙華 山口誓子緑の中に鮮やかな赤色が、天を指してすっと立っている姿に出会うと、はっとします。燃えるような朱色は生命力の強さを思わせます。 山口誓子の詠む曼珠沙華は、青と赤の色のコントラストもみごとで、生き生きとしています。誰もが肯ける曼珠沙華のイメージです。 橋本多佳子の曼珠沙華は繊細な感じ。息を整えるのは、これから何かありそうな、曼珠沙華を見ている人?それとも曼珠沙華そのもの? 花と、花に対峙する人の息が同調するような、背景にあることを想像させられる句です。 漱石の句はさらっとして、「をかし」の味わいがあります。曼珠沙華にあっけらかん、とした表情を認める人は、なかなかいないでしょう。 受け手の違いで、様々な貌の曼珠沙華が現れるのが愉快です。
September 16, 2019
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軽…ケイ、かる(い)かろ(んじる) 妙…ミョウ 喜撰法師わが庵(いお)は都のたつみしかぞ住む世をうぢ山と人はいふなり 紀貫之が、『古今和歌集 仮名序』で、六歌仙のひとりとして、喜撰法師をとりあげてから有名になりましたが、喜撰法師については詳しく伝わりません。 宇治山に住む僧であったことと、確実な詠歌がこの一首だけだということしかわかりません。 「うぢ」は宇治と憂しの掛詞。「しかぞすむ」は「然(しか)ぞ」と「鹿ぞ」の掛詞かどうか、説が分かれます。宇治→鹿という結びつきは、この歌以前は一般的ではありませんでした。掛詞とみる説の有力な証拠として、『源氏物語』椎本の歌に宇治と鹿が詠まれていること、平等院鳳凰堂の扉絵にも鹿の絵が描かれていることが、挙げられます。 喜撰法師の歌以降、宇治と鹿が詠まれるようになりました。 軽妙で、しゃれた自己紹介のような歌です。川柳にお宅はと聞かれたやうに喜撰よみと言われています。わが庵は刈穂の庵の八軒目(天智天皇から数えて八首目)茶と鹿で喜撰たびたび寝そびれる(宇治茶のカフェインと鹿の妻恋う鳴き声で、眠れない)というしゃれた川柳もあります。 引用および参照元:吉海直人『百人一首で読み解く平安時代』角川選書 吉海直人『百人一首への招待』ちくま新書 阿部達二『江戸川柳で読む百人一首』角川選書
September 15, 2019
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ようやく秋らしい気温に落ち着いた昨日、今日。東高根森林公園です。出会いの広場はキバナコスモスに彩られています。やさしげな色の百日紅タマアジサイヌスビトハギかな?湿性植物園を抜けて竹林へシュウカイドウが花盛り鬼灯名前がわからない花がいろいろ。 散策に気持ちがいい季節になりました。 *写真は9月5日と12日の撮影です。
September 14, 2019
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半…ハン、なか(ば) 9月14日は「セプテンバー・バレンタイン」。ホワイトデーから半年後になり、女性から別れを切り出す日とか。 紫色の物を身につけ、白いネイルで、緑のインクで書いた手紙を直接手渡すのだそうです。できたら、こうなりたくないものです。 また、「メンズバレンタイン」の日という説もあります。男性から女性に下着を贈って愛を告白するそうですが、下着ならず、下心見え見えで、これも何だかなー。
September 14, 2019
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憾…カン 山村美紗氏が生み出した名探偵の中でも、一番の変わり種は葬儀屋探偵、石原明子でしょう。明子は薬学を専攻して、就職したものの、父の急死で葬儀屋を継ぐことになりました。 実務は、有能な番頭格の秋山を中心に回ります。修業中の明子は、ご遺体に不審な点を鋭く見つけ、真相を究明していきます。 「猫を抱いた死体」では、名門T学園に入学したばかりの由加が、ひき逃げに遭って亡くなります。家で飼っていて、2日前から行方不明になっていた、マーという猫を抱いていたことから、マーを見つけて道路に飛びだしたところを、轢かれたのでは、と思われました。 でも、明子は猫の足の裏に不審を抱き…。おなじみ狩矢警部に協力して、明子は真相を探ります。 猫の遺憾が、事件を解決に導いたというところ。 藤の花の頃。この季節ならではのクライムでした。 山村美紗氏の作品には、季節季節の花が登場します。花が題名に付く作品を、まとめた短編集もあります。華道の免許も持っているという、多才な美紗氏らしい作品群です。 参照元:山村美紗『猫を抱いた死体』新潮文庫
September 13, 2019
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州…シュウ 法月綸太郎はL特急あずさ(なつかしい!)で、信州への旅に出かけました。実は、図書館の館長研修に出向く沢田穂波に、脅されかけての同行でした。 帰りの車中、「古畑任三郎なんて、新幹線に乗っている間に殺人事件に遭遇して、正味四十五分で解決しちゃうんだから」ちょっとは見習って事件を解決してよと穂波にたきつけられる綸太郎。 でも、そんなに都合良く事件は…、起こりました。(ミステリーですから)前の座席の夫婦の様子がおかしいのです。妻が揺さぶっても揺さぶっても、夫は起きないのです。 著者の法月綸太郎氏はエラリー・クイーンを敬愛していることで有名です。探偵の法月綸太郎の父が、警視庁捜査1課の刑事という設定も、エラリー・クイーン張りです。エラリー・クイーンもののパズル的な面白さに、鉄道ミステリーの面白さも加わった短篇です。 参照元:法月綸太郎『法月綸太郎の新冒険』講談社文庫から 『シザース・クロッシング』(背信の交点)
September 12, 2019
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鉢…ハチ、ハツ 松尾由美の『花束に謎のリボン』は、緩やかな大人のミステリーです。花屋に勤める智花さんは、お店で出会ったちょっとした謎を、同棲中の嘉信さんに話すのが常でした。マイナーな作家の嘉信さんは、思いも掛けないネガティブな推理を聞かせます。 智花さんが語り手の章に、嘉信さんが語り手の章が交じります。本格派の推理小説と違って、嘉信さんの披露した推理は間違っていたり、正解が明かされなかったりします。 本格的なミステリーを期待すると肩すかしを食らう作品ですが、現実の人生には、きちんと答えが出ないことのほうが多いので、現実に忠実なミステリーなのかもしれません。 謎は、男の子が「アマリリス」の歌詞を知りたがったわけであったり、水中花を求める客の意図であったり、ごく小さなことです。どこにでもありそうなこと、でも、その人にとってはとても大切なことなのです。 最終話が『賢者の贈り物』嘉信さん視点の話です。ぼく(嘉信)の小説は暗く、ややこしいと言われます。シンプルで共感を呼ぶ小説ってどんなものかと、ネットの掲示板をのぞいてみると、何回も名前が挙がっているのが「O・ヘンリー」でした。 智花さんは帰ると例によって、死んだはずの人の名前で、クリスマスローズの鉢が贈られた謎を話します。ぼくは、また復讐だとかいやがらせだと、マイナーな推理を聞かせます。すると、智花さんは別れを切り出します。 ぼくは… 参照元:松尾由美『花束に謎のリボン』光文社文庫
September 11, 2019
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今日のおやつは、新百合ヶ丘リリエンベルグのガレットです。 ガレットは元はフランス・ブルゴーニュ地方でそばで作られていた物。日本では厚手のクッキーをいいます。 サクサクしておいしいガレットでした。お茶はルピシアのジュテーム・エレガン。フリーズドライの苺やブルーベリーがごろっと入ったジュースのようなハーブティー。酸味が甘いお菓子と合います。
September 11, 2019
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リリエンベルグの焼き菓子のマドレーヌは、コロンとした形で「こぶたのマドレーヌ」という名前がついていました。 食べ過ぎは、こぶたの元?どきっ。それでもぱくっといただきました。お茶はアールグレイです。
September 10, 2019
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剛…ゴウ この漢字を見ると、「ドラえもん」に出てくるジャイアン=剛田武(ごうだたけし)を思い浮かべてしまいます。剛田剛(ごうだたけし)と書くのかと思っていました。 「剛」は、強い・猛々しいのイメージです。四字熟語では、「意志が強い」「たくましい」と使われます。割合いい意味で使われるのですね。質実剛健=飾り気がなく真面目で、身体や心の持ち方がたくましい。剛毅木訥=意志が強く屈することなく、飾り気がなく無口。剛健質朴・質実朴素もほぼ同じ意味です。外柔内剛・内剛外柔…穏やかでやさしそうな外見に対して、実際は何事にも屈し ない強い心を持っている。柔能制剛=柔らかいものがかたいものに勝る→能力が劣る者が強い者に勝つ。
September 10, 2019
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わが家は東急東横線沿線にあり、わたしはPASMO党。マンションを建てたのも東急系の会社なら、一斉加入しているケーブルテレビ(TVに加えてインターネット回線、電話も)も東急系のイッツコムです。ついでに電気もガスも東急になっているし、当然東急カードの持ち主。 …その結果「東急ロイヤルカード」というのをもらえました。109シネマズで映画を見るとポップコーンをもらえるのと、東急ハンズ5パーセント割引カードが付きます。 それから、いろいろイベントがあって、東急ポイントを使うと現金払いの半額でOKという企画があります。先日、落語独演会の抽選に当たったので、のび太君と行ってきました。場所は都立大学駅から歩七分のパーシモンホール、縁者は古今亭菊之丞さんでした。 初めに菊之丞さんが登場すると、三味線の師匠さんを招いて、舞台でいろんな落語家さんの出囃子を実演奏してくれました。 前座は一番弟子という、かわいい女性の豆菊さん。菊之丞さんの落語は「親子酒」と「お菊の皿」。枕からスムーズにいつのまにか本題に入っていて、引き込まれました。立ち振る舞いも話し方も上品な方でした。 笑いは健康にいいですね。のび太君と楽しんできました。
September 9, 2019
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小田急線の新百合ヶ丘スイーツのランキングで検索すると、トップにくるお店が『リリエンベルグ』ドイツ語で「百合の丘」の意味だそうです。 妹に焼き菓子をもらいました。お菓子は作り置きせず、常に新鮮なものを提供するなど心遣いが行き届いていて、お値段はリーズナブルなお店です。アーモンドパウダーたっぷりのフィナンシェ。お茶は水出しダージリン、ルピシアの「ロヒーニ・スプリングブロッサム」です。フィナンシェは、アーモンドがとてもたっぷりという印象でした。苦みのない、やさしい香りのダージリンが合います。
September 9, 2019
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紋…モン 「万葉集」に菊の歌はありません。菊は、奈良時代以降に渡来したからです。平安前期の「古今和歌集」になると、さくら・もみじ・うめ・おみなえし・はぎ・まつに次いで読まれます。日本の花としてすっかり定着した感があります。 天皇・皇室の紋は菊です(十六弁八重表菊紋)。鎌倉時代の後鳥羽天皇が菊好きで、刀や衣服に紋章としてあしらったことが、知られています。その影響を受けて「春は櫻・秋は菊」が日本の代表花のようになりました。 品種改良により豪華な大輪の菊や変わり咲きの菊が栽培されるようになったのは、江戸時代のことです。 9月9日は重陽の節句です。9・9と陽の最大数(陽は奇数)が重なる日です。旧暦では菊の季節になります。 「おほいたる綿などもいたくぬれ、うつしの香ももてはやされて」(「枕草子」第十段)と出てきますが、前夜から菊の花に綿をかけておいて、菊の香りがしみた綿でからだをぬぐうということをしていました。菊を飾ったり、菊の花びらを浮かべた酒を飲む習慣もありました。 菊は、邪気を払い長寿をもたらす花とされました。では、菊酒でも一献…。 参照元:田中修『植物の秘密』中公新書
September 9, 2019
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乾…カン、かわ(く)、かわ(かす) 燥…ソウ 渇…カツ、かわ(く) 森村隆志は、事務士の金を横領して、恋人の久美子と特急博多行きの「さちかぜ」に乗りました。久美子も隆志も肉親の愛情に恵まれない、乾燥した境遇にありました。その乾きが、ふたりを結びつけたといえます。 しかし、車中で見かけた中年夫婦の姿に、隆志の心は揺れます。いかにも渋い安定感をその身装(みなり)や態度にもっていた。生活の基盤がしっかりしていて、その上に愛情を築いている、そんな夫婦の姿に、隆志はひかれます。 そして…。 ミステリーと社会小説の要素を併せ持つ、重厚な松本清張の作品です。今年は、清張生誕110年にあたる年です。 作品発表当時と時代は変わりましたが、登場人物の心の襞が丁寧に描かれ、今読んでも心に落ちてくるものがあります。 引用および参照元:松本清張『危険な斜面』文春文庫 より『拐帯行』
September 8, 2019
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援…エン グリーフケア…「グリーフ」は「深い悲しみ」の意味。身近な人と死別して、悲嘆に暮れる人が、その悲しみから立ち直れるように、側にいて支援することを言います。励ますのではなく、寄り添うことで援助します。 新津きよみの『グリーフケア』は、ドキッと怖い話。 十二年間連れ添ったペットを亡くしたことを機に、圭子はカルチャーセンターの「グリーフケアを学ぶ」講座に出席することにしました。 出てみて場違いだったかしら、とちょっと後悔します。周りは、伴侶、子どもを亡くして悲しむ人ばかりだったので。 ささやかな幸せを実感する圭子ですが…。 参照元:アミの会(仮)・編『怪を編む ショートショート・アンソロジー』光文社文庫から 新津きよみ『グリーフケア』
September 7, 2019
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口…コウ、ク、くち 承…ショウ、うけたまわ(る)遠野・千葉家 9月6日は西村京太郎氏の誕生日です。氏の健康とご活躍を願いつつ、『遠野伝説殺人事件』を読みました。 製薬会社の研究室長だった佐伯は、開発した心臓の特効薬の副作用で、5人の死者が出たことをきっかけに、会社を辞めました。 ところが、早春の早池峰山で、ハヤチネウスユキソウという、天然記念物の高山植物を勝手に採取して逮捕されてしまいます。佐伯の思いはどこに? そして、1ヶ月後に、佐伯は刺殺されてしまいました。 十津川警部は、遠野での出来事が事件に関係があると考え、遠野に向かいます。 十津川警部が「曲り家」で口承されてきた昔話を聞く場面があります。どこかで「曲り家」を見たことを思い出しました。生田の民家園に移築された、曲り家を見たのでした。(紫波郡紫波町舟久保から移築された、現存最古の曲り家の一つ・工藤家) 遠野地方では、昔家の中で馬を飼っていました。人が住む部分と馬屋がL字型に曲がって付いた形で建てられているのが「曲り家」です。 昔話には、どこかに隠された意味があるのではないかという発想には肯けます。川の底の泥の栄養分が高い場所は、川の生命力が高いと言える。そんな場所だからこそ「河童伝説」が生まれたのでは、と佐伯は考えていました。川には川童(かっぱ)多く住めり。猿ヶ石川ことに多し。(柳田國男『遠野物語』) 佐伯は、西洋医学の薬がもたらした負の部分を打破するものを遠野で求めていたのです。 西村京太郎氏の著書は約600冊、著書発行部数の累計は2億冊以上になります。12出版社と協定を結んで、年間12冊の新刊を出すため、年6回2社分ずつ取材旅行に出かけるそうです。1日20ページのペースで書くと。こつこつと努力する、誠実な人柄には、ただただ感服します。 引用元:柳田國男全集から『遠野物語』 参照元:西村京太郎『遠野物語殺人事件』文藝春秋社
September 6, 2019
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京都御苑 西村京太郎と山村美紗は、先に亡くなった人の未完の作品を、残った人が完成させるという約束を交わしていました。 『在原業平殺人事件』は、連載途中で山村美紗氏が逝去されたため、途中から西村京太郎氏が書き継いだ作品です。 授…ジュ、さず(ける) 受…ジュ、う(ける) 早川明子は、京都・大原野の十輪寺で京南大学文学部助教授の細川和也と知り合いました。十輪寺は、在原業平ゆかりの寺。明子は和也と業平の話をするうち、『伊勢物語』に興味を持ちます。 招待された学者たちの新年会で、雨木助手が毒ワインを飲んで死亡してしまいました。これが始まりで、大杉教授の周囲で、次々に人が亡くなります。 教授・助教授の座を狙った殺人か、教授の娘を廻る恋愛のもつれか…。明子は、京都府警の狩矢警部に協力して事件を解くことに。 山村美紗氏が『伊勢物語』と業平について深く調べていたことに驚きます。業平を知る入門書として十分なくらいの内容があります。 大杉教授は、后になったあとの高子は身分をわきまえ、業平に対して恋文を送ったり、日記に気持ちを残すようなことはしていないはずだ、という説をとっていました。 ところが、高子が書いた日記のような古文書と『伊勢物語絵巻』の一部がみつかりました。 現存する『伊勢物語絵巻』は、鎌倉時代の作で唯一残る物ですが、全百二十五段中、詞書三段と絵七段しか発見されていませんでした。 発見された古文書と絵巻が本物であれば、平安文学史の定説をひっくり返す大発見です。 業平についての興味深い話題と、ミステリーの解明が並行して進み、最終的には西村京太郎氏によって、犯人が明かされました。氏が描く狩矢警部は、最後にさりげないやさしさで包んでくれます。 参照元:山村美紗・西村京太郎『在原業平殺人事件』C★NOVELS 中央公論社
September 5, 2019
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斉…セイ 斎…サイ 剤…ザイ 済…サイ、す(む)す(ます)伊勢の海 『伊勢物語』は全百二十五段(定家本による)から成る歌を中心にした、ごく短い物語です。『伊勢物語』の題名は『源氏物語』絵合の巻に見られます。 第六十九段の伊勢の斎宮との密会物語から題名がとられたという説が有力です。 各段は「昔、男ありけり」で始まり、初冠(元服)から晩年まで、一人の男性を追う形になっています。「昔男」は在原業平を暗示して書かれていますが、業平没後の史実に取材した話もあるので、業平自身の日記ではありません。また、業平の歌を使って作った物話であって、史実ではありません。六十九段は、むかし、男ありけり。その男、伊勢の国に狩の使に行きけるに、…と始まります。勅命によって、朝廷の用とする野禽を狩る使いの責任者として来た男は、斎宮のいらっしゃるところで篤いもてなしを受けました。 斎宮は、未婚の内親王から選ばれます。身を清めて神に仕える身なので、男性には近づきません。ですが、男の方は逢いたくてたまりません。 あるおぼろ月の掛かる晩、女童を先導に斎宮は男の寝所にやってきます。語り尽くせないうちに斎宮は去り、悶々とする男の元へ斎宮から歌が贈られます。君や来しわれや行きけむおもほえず夢かうつつか寝てかさめてか(あなたがいらしたのでしょうか、わたしが出向いたのでしょうか。よくわからないのです。あなたにお逢いしたと思ったのは、夢でしたか、現実でしたか、寝ていたのかしら、起きていたのかしら…)男の返事かきくらす心の闇にまどひにき夢うつつとは今宵定めよ(お別れした悲しさに心は晴れず闇に迷うばかりです。夢であったのか、現実のことなのか、今夜いらして判断なさってください)しかし、これ以降逢う機会も無く終わりました。 古今和歌集に採られた業平の歌はかきくらす心の闇に惑ひにき夢現とは世人(よひと)さだめよです。「業平朝臣の伊勢国にまかりたる時、斎宮なりける人に、いとみそかに逢ひて…」の詞書があります。 「斎宮なりける人」は、「斎宮であった人」ともとれますが、「斎宮にいた人」(侍女)ともとれます。斎宮本人と密会したというなら、大変な禁忌を犯したことになります。当時の斎宮は、業平がお仕えした惟喬親王の同母妹、恬子内親王でした。業平は晩年蔵人頭まで出世していますから、密通事件があったとは考えられません。 『伊勢物語』は、斎宮の女官とやりとりした歌を、物語として作り上げたと考えられます。在原業平の出自の高貴さと美貌、和歌の才能は、物語の主人公たるにふさわしいものであったのでしょう。 引用および参照元:中野方子『コレクション日本歌人 在原業平』笠間書院 石田穣二・訳注『伊勢物語』角川ソフィア文庫
September 4, 2019
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尉…イ能登の海 生前、折口信夫先生(歌人・詩人としての名は釈迢空)は、一基の歌碑建立も許しませんでした。ただ、硫黄島で戦死した養子、春洋と自分のための墓碑を残しています。墓標は、春洋の故郷、能登一宮の砂丘に建ちます。もつとも苦しき たゝかひに 最くるしみ 死にたるむかしの陸軍中尉折 口 春 洋 ならびにその父 信夫 の墓 春洋は、折口信夫先生がこの世で最も愛した人生の伴侶(事実上の配偶者)でした。学問も、折口先生との生活も、まだ未完成であった春洋を失った苦悩が、その後の折口先生の学問の方向を決定しました。 後に残された者や、次の世代を継ぐ者が、どのようにして戦死者たちの鎮魂に尽くすかという問題を最大の課題に置いたのです。 折口先生は「本当の遊びをあそばなければ駄目だ」「そういう世の中はもう来ないにしても、文学にだけはそういう気分がなけれがいけない」と説きました。 民族古来のあそび=舞踏には、魂を揺さぶる鎮魂の意がありました。心萎えているときこそ、あそびの力が必要と考えたのです。 折口信夫先生は、1953年9月3日に胃がんのため永眠、春洋の故郷で彼と共に眠っています。 参照元:岡野弘彦『折口信夫の記』中央公論社
September 3, 2019
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姉…シ、あね 妹…マイ、いもうと芦屋 谷崎潤一郎『細雪』は、昭和11年から16年の、大阪の旧家に生まれた四姉妹の日常生活を綴ります。上流家庭の、お上品なお嬢様…ではない等身大の素顔が見られるのが、面白い小説です。 旧家といっても商売を辞め、昔の勢いがなくなった「蒔田」家は長女の鶴子が婿を取って「本家」になっています。二女の幸子も婿を取りましたが、三女の雪子は三十過ぎてもまだ縁談がまとまりません。四女の「こいさん」妙子は自由奔放に行動します。 雪子が見合いをしては破談になる繰り返しを中心に、話が進みます。この、縁談にかける姉妹の姿勢が変わっていく課程がまた現実的で面白いのです。 初めは降るほどにあった縁談も、雪子の年齢が上がると共に、少なくなってきます。鶴子は、再婚でも、子持ちでもいいじゃないかと言いだし、反対する者もありません。それでも断る側だったのが、断られるようになります。 雪子は、陰気で病弱に見えるらしいのです。それはそうでしょう。しゃべらないし、明るい表情を見せるわけでもないんですから。 一対一になったとき「はあ」しか言わない雪子に、馬鹿にされているような気がすると、断ってきた見合い相手の気持ちがよくわかります。 結婚する気があるなら、自分でももっと努力しろよ、と言いたくなります。 見合いに同行する幸子がまた曲者なのです。仲介する人に「お姉さんは十も十五も老けて見えるように」地味にしてください、と言われても、わたしは派手な着物しか似合わない、とばかりに、自分が目立ってしまいます。 幸子は、姉妹の中で雪子が一番の美人、と持ち上げますが、客観的に見ると、寂しげな醤油顔の雪子より、華やかな西洋風の顔立ちの幸子の方が、目立つに決まっています。質問には、雪子の代わりに自分が答えてしまうし。また、その受け答えがうまいのです。一生懸命さが逆効果に。 「お姉さんは陽気で近代的だけれど、妹さんは内気で陰気に見える」と言われて、本心では優越感を押さえがたい、とほくそえむ幸子です。 でも、姉妹4人が、お互い違う価値観を持ちながら、かばい合う気持ちがわかるからこそ、気持ちよく読めます。世間の束縛を跳ね返すように生きるのが妙子。駆け落ち騒ぎを起こし、その相手を貢君にして、二股かけ、最後はでき婚と怒濤の人生を送ります。今なら、恋人にブランド物を貢がせるとか、でき婚など珍しいことではありませんが、戦前の話ですから、周囲は大騒ぎです。 でも、周囲に任せるような姿勢を見せながら、プライドが高くてこじらせる雪子よりは、ストレートで好感が持てます。 最後は奇蹟のように、雪子と華族の庶子との縁談がまとまりますが、雪子が婚姻のため東京へ向かう汽車の中で「下痢が止まらない」で話は終わります。 この終わり方は衝撃的でした。かの有名な谷崎潤一郎の代表作の結末がこれですか、とびっくりでした。 谷崎潤一郎は、発表することの出来なかった戦争中に『細雪』を書き続けました。時代と共に滅び行く文化が、ここにはあります。その文化を享受して、四姉妹は生き生きと生活しています。気取ることも遠慮することもなく。 彼女たちのリアルな日常があるから、時代が下っても「面白い」のでしょう。 参照元:谷崎潤一郎『細雪』上・中・下巻 新潮文庫
September 2, 2019
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展…テン 覧…ラン9月になると美術のシイズンが始る。 ニシ・アズマは、洋画家H氏・N氏が主宰する会に、友人のミナミ・タキコが出品し、入選したので、展覧会を見に行くことになりました。ひと通り、会場の絵を見たニシ・アズマは、会場奥の関係者休憩室で、一息ついていました。 衝立越しに何気なく会場を回る人々の足元を見ていたのですが、奇妙な事に気がつきます。 そして、悲鳴が上がり、事件が起きます。 ブラウン神父物を彷彿させる作品。ブラウン神父が、壁越しに奇妙な足音を聞いて、盗難事件を未然に防ぐという短篇がありました。飄々とした様子ながら鋭い観察眼を持ち、謎を解明するとこらは、ニシ・アズマも神父に似ています。 ニシ・アズマは、A女学院の英語の先生。学校の中にちゃっかりお昼寝ルームを持っていたりします。絵を描く趣味もあるのですが、腕前は…。 お昼寝ルームには、画面いっぱいに地図らしき物が背景になって、里芋と大根と玉ねぎ??の絵が描きかけてありました。 ニシ・アズマは、里芋でなくパイプ、大根ならず短剣、玉ねぎでなくルーペのつもりで描いた絵でした。 同僚のヨシオカ先生に、「S・H(シャーロック・ホームズ)の追憶」という題だと、説明するのですが、「八百屋のある街」がいいと言われてしまいました。 ニシ・アズマも、そのほうがいいかしら、と考えます。 天然がかった、愛すべき名探偵です。 著者の小沼丹氏は、本業はあくまでも大学講師で、著作は副業という姿勢を持った作家でした。従って、寡作でマイナーな作家ですが、読んでみると作品には、何とも言えない味わいがあります。 引用および参照元:小沼丹『黒いハンカチ』創元推理文庫
September 1, 2019
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