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4月20日は下村湖人の命日に当たります。
『次郎物語』はベストセラーになり、青少年のための国民的教育小説と言われました。自伝的小説であり、第7部まで執筆が予定されていたそうですが、著者の病のため未完のまま終わりました。(5部までは完結しています)
第1部は児童向けの本で読みました。再読しましたが、生きた等身大の次郎が描かれていて、今大人視点から見てもいい本だと思います。
自分の家に居場所がない、愛されないと感じている次郎が、少しずつ兄、弟、母と打ち解けていく過程が過不足なく書かれています。
粗暴でかわいげがなく、嘘つきだったりと欠点も多い次郎が、一進一退しながら変わっていこうとする姿勢を応援したくなります。
決して「教育的」「道徳的」過ぎる話ではありません。
一貫して公平に接して精神的な支柱になってくれる父を初め、母方の祖父母、乳母の一家、父の後妻の実家の人との交流も温かです。

第2部は、母の死後に始まり、ますます次郎を嫌う祖母との確執、継母との関係、学校生活が書かれます。
後書きに「自己開拓者としての少年次郎」がこの編の主題だとあります。1部では、次郎自身に与えられなかった家庭愛の問題がクローズアップされましたが、2部になると、次郎は自ら変わろうとします。愛されることを望むより、愛していこうと思います。

のび太・画 「春の鬼」
権田原先生の言葉
「世の中にはね-、沢山の幸福にめぐまれながら、たった一つの不幸のために、自分を非常に不幸な人間だと思っている人もあるし、…不幸だらけの人間でありながら、自分で何かの幸福を見つけ出して、勇ましく戦っていく人もある」
や、気が弱くても人一倍公平・正義を大切にする兄恭一の言葉は考えさせられます。
教えられることの2~3倍も次郎は自分の頭で考え、変わります。本当に頭がいい人というのは、こういう人なんでしょう。
児童・青年期に読んで、また親世代になる頃に再読してみると、視点も変わって面白い本だと思います。
参照元:底本『下村湖人全集第一巻』池田書店 青空文庫
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