JONの呟き日記

目糞、鼻糞を笑う！

「歳月人を待たず」という一見、白状そうな諺があるのだが、その所為かどうかは知らないが、この齢になるとどうも懐古趣味に陥ってしまうことが多いようだ。　戦後の混乱がまだ尾を引いていた昭和20年代前半に産声を上げた「団塊の世代」と呼ばれている人類も、今では既に還暦を迎えてしまった。　社会の荒波に揉まれ「企業戦士」として辣腕を奮い、大活躍してきたと自負されている輩も相当数おられるであろうとご推察申し上げる。　さてそこで、今日はタイムマシーンに乗って昭和４０年代の日本にワープしてみることにしよう。　とあるキャンパスに降り立った。そこには我々団塊世代の若かりし頃の学生生活が展開されているではないか。　校内のあちらこちらから学生たちの和やかな談笑が聞こえてきた。　当然のように、皆夫々に「夢あり・希望あり・趣味あり」で、将来に向かって燃えていたのである。　今日はその若かりし頃の「趣味の話」にスポットを当てて懐古してみることにしよう。　当時の世相を色濃く反映するものとしての代表格はやはりなんと言ってもトロキスト集団と化した赤軍派に代表される「学園紛争」とビートルズやベンチャースを元祖とした「エレキサウンズ」であった。　海外でも日本でも「グループサウンズ」が全盛を極め、「ゴーゴー」や「モンキーダンス」なる踊りが国内の至る所で跳梁跋扈していた時代でもあった。　エレキギターを始め、フォークギターやクラシックギターなどの楽器が大ブームを呼び、多くの若者に持て囃されていたのである。　その当時は多くの学生がギターを所有しており、「ポピュラー・歌謡曲・フォーク」など、得意なジャンルの曲のコピーも思い思いに完成させて楽しんでいたのである。　ご多分に漏れず小生も「ギター」なる楽器に憧れていて、アルバイトをして貯めたお金で逸早く楽器を購入し、難解な旋律の曲を苦労の末にようやく習得し、独学でレパートリーを徐々に増やしていったものである。　学内には趣味や性格が合致した数人の学友がいて交流を重ねていたのであるが、ある時「ギター演奏」のことが話題に上った。　奏法や技巧へと話が盛り上がり、とうとう「それぞれの腕前の披露」へと話が発展していったのである。　学友の一人が「課題曲」を提示し、その曲を「誰が最も早くマスターし、上手に弾けるかやってみようではないか」ということに話がまとまったのである。　何日かして再び一同が会し、いよいよ課題曲である「禁じられた遊び」の腕前を披露することと相なった。　曲を奏でる「手は強張り、顔は引きつり」で演奏中は皆必死の形相で、内心穏やかならざるものがあったのであるが、それでもスター気取りで何とか弾き終わり、互いが心の中で、「俺の腕に敵う者は居るまい」と有頂天になっていたのである。　小生は一歩距離を置いて、高い見地から眺めていたのだが、蓋を開けてみて「ビックリ！」、どれも皆「団栗の背比べ」であったのだ。　演奏テクニックに「キラリと光る」個性などは誰一人持ち合わせていなかったのである。　結論は…？と言えば、やはり所詮は素人、「同じ穴の狢」、「目糞、鼻糞を笑う」の類であった。