ユーカリの木陰で里の行
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4月―オーストラリアの小学校では2学期が始まるけど、うちの子たちが土曜日に通うジャパニーズスクールでは、日本同様新学年の始まりです。息子ムゥも晴れて「ピッカピカの1年生」(あ、レトロ過ぎ?)。お姉ちゃんと並んでランドセルを背負う、その後姿に、私としては思わず、感慨。 ああ、よくぞ無事にここまで辿り着いてくれたね、 ランドセル。そう、どんなものにもささやかなドラマがあるものですが、息子の背負った真新しいランドセルにも、思い返せば懐かしくも、しょーもないプチドラマが詰まっていたのでした。年末、日本に帰ったとき、両親が今年小学校1年生になるムゥにもランドセルを買ってあげたい、と言ってくれた。もちろんムゥは大喜び。毎週土曜日に、赤いランドセルを背負ってジャパニーズスクールに通うおねぇちゃんの隣で、「ムゥも小学生になったら、ランドセルで行けるんだよね。 ねっ、ねっ」と、自分もランドセルを背負える日を楽しみにしていたのだった。以来、息子は実家のショッピングセンターでランドセル売り場を通るたび、立ち止まっては、うっとりと眺めるようになった。女子は赤、男子は黒、と画一化していた私の時代とは違って、今はランドセルも様々な色がそろってますね~「何色がいいかなぁ。 ピンクもすてきだけど、水色もきれいだよねぇ」と、夢を広げる。おいおい、ピンクですか…年が明けて数日、朝の新聞読みとちらしチェックを習慣にする父が、「お、今日は、ちらしにランドセルの安売り券がついてるぞ。 これ切って持っていけば多少は安くなるな。 おっし、今日ランドセルを買いに行くぞ!」と宣言した。経済的なおじいちゃんに手を引かれ、ムゥは晴れてランドセル売り場へ。水色かピンクかで迷っていた彼ではあるが、安売り券のついたブランドのランドセルには、そういったマイルドな色合いの選択肢はなく、オーソドックスな黒、赤、紺の3色限定。ムゥの理想談を聞かされていた私としては、その反応を窺ってしまったが、おねぇちゃんの「いいなぁ、この青。 メェも赤いのじゃなくて青いランドセルがよかったなぁ」、の一言で、俄然、青派に。「これがいい! ぜったいこれ、これ!!」ビニルをつけたままのランドセルを背負い、おじいちゃん、おばあちゃんと並んで店頭で記念撮影までしてから、買ってもらったのだった。 パオ~ン、 ありがとう、おじいちゃん、おばあちゃん。である。思い返せば、娘のランドセルも両親が買ってくれたのだった。親心に感謝しつつ、次なる課題は、これをどうやってオーストラリアに持ち込むか、である。ランドセルはムゥに背負わせ、手荷物で持ち帰ろうとも思ったが、既に子どもたちはそれぞれが手荷物用の小型スーツケースで入国している。+ランドセルは辛いだろう。そのうえ私が今回パソコンを買ってしまったので(ノートではなくデスクトップね…)、これも手荷物で運ばネバナラナイのだった。う~む、、、最近、航空会社は手荷物にも厳しいからなぁ・・・うちの親がオーストラリアに遊びに来たときなんか、手荷物のウェイトまで量られたってボヤいていたしな(ちなみにそれはマレーシア航空でした。。。)結局、あまりの手荷物の多さに船便で送ることにした。毎回、日本に帰った時に向こうで買えないもの(ラムネとか)をまとめ買いして、船便で送るのだが、その小包にムゥのランドセルも詰め込むことにしたのだった。既に送るつもりで8割がたパッキングしてあった、郵便局で買ったミカン箱くらいの、でも新品の段ボール箱に新品ランドセルを押し込んだ。郵送費を抑えるべく、この箱一つを送る予定なので、ランドセルの隙間にラムネやら和菓子やらをめいっぱい詰め込む。ちなみにミカン箱を使わず、わざわざミカン箱サイズの箱を郵便局で購入して送るのは、オーストラリアの検疫が厳しいからである。使用済みのミカン箱なんかをリサイクルして郵送した日には、あっという間に検疫で引っかかってしまって届かないこと、請負よ。運、不運の多少こそあれ、日本から送ったインスタントラーメンのスープを没収され、乾麺だけが届いたとか、種をとられた後の梅干し(梅好みふうですか?)が届いた、とかの悲報は過去に私も友人たちから聞かされていた。でもって、税関用の書類書きも意外に面倒である。英文申告も億劫ながら、オーストラリアの検疫は厳しいので、申告漏れなんかがあってはいけないと気を遣ってしまうのだ。記入漏れとか見つかって、へんな疑いかけられたら面倒だし。と、ランドセル追加で数が変わってしまったラムネの数も厳重に数え直し、書類に記入し直した。遊んでいる隙間は微塵もないほど、きちきちに詰め込んだ小包を近所の小さな支局から船便で送り出し、ホッと一息である。船便なので、届くまでに6週間ほどかかってしまうものの、あれだけ送って、送料7000円ちょっとは嬉しい。これで4月の入学式までには余裕でムゥの真新しいランドセルも、ラムネやお煎餅もゆ~らゆらとお船に揺られ、赤道超えて、オーストラリア大陸に届くだろう。だが、翌朝、目覚めるや不安が過った。書類に「a Japanese primary school bag」とか追加で書き込んだっけ?もしや…と昨日送った控えを引っ張り出して、絶句してしまった。なぜ、なに、どうして? 記入し忘れている。。。ラムネの数に気を取られて、肝心のランドセルを記入するのをすっかり忘れているではないかっ!?それって、申告漏れ?そしたら、没収とかされちゃうのかな?入国審査で申告漏れがあると、数百ドルの罰金とか言われるけれど、こういう場合も、もしかして、罰金??まさか、、、まさか、、、書類偽装罪??の疑いまで???などと思ったとたんに目の前には、何か違法のものを詰め込んだと疑われ、ズタズタに引き裂かれた紺色のランドセルの破片が浮かんできた。まさか、、、密輸の疑い…まで……??そういえば、東南アジアとかで持ち込んでもいない(と本人たちは主張している)薬物を持ち込んだとして掴まった外国人のニュースとかがレポートされている。でも、まさか…、そんな……、ひぇ~~~半ばパニックに襲われつつ、開局時刻を待ち兼ねて、昨日の支局へ問い合わせた。事情を話すも、件の小包は昨日のうちに市の本局に回されたとのこと。そこで本局に問い合わせたところ、既に東京都の方に回ってしまったとのこと。間髪をおかずそちらに問い合わせれば、まだ配送センターに待機していてくれていた!ことが判明した。ほっ。書類だけの問題なので、FAXかメールで処理できないかとお願いしたのだが数が多いので無理とのこと。いったん地元の支局に戻して、書類を記入し直してから再送してください、とのことで。支局への送り戻し代は数百円で済むということなので、その手配を頼んだ。その後、近所の支局に出向いたところ、そこで新たな説明がされた。確かにここへの配送代は数百円なのだが、送り主(私)の都合での引上げなので、返金はできない。再度送り直しということになるので、また改めて送料を払ってもらわなければならない!?とのことで。嘘でしょ、何それ、え、え、え、、、まだお船にも乗せてもらってもいないのに、払い戻しなし!?ですか…。改めて7千いくら!?そしたら、この小包、船便のぶんざいで送料1万5千円!?!?!?「もういいです。。。そのまま、送っちゃってください。。。」脱力感もあらわに項垂れる私に、局のお姉さんは慰めるように言ってくれた。「第三世界じゃないので、それで届かなくなるってことはないと思いますよ」けれど私の脳裏にはズタズタに切り刻まれたランドセルの破片が浮かんでいるのだ。最悪のシナリオ的には、あらぬ疑いをかけられて……どうする、それでも送るのかっ、ランドセルとラムネ…「今問い合わせたところ、 まだ配送センターに置かれたままだってことなので、 じゃあ、このまま送ってしまっていいですね」と、局員さん。もうこうなったら運を天に任せるしかない。「はい、お願いします」と頼む私の声は引き攣っていたのかもしれない。局を去りかける私を局員のおねえさんが呼び止めた。「あのぉ…、 ところで何が入っていたんですか?」「あ…、 えっと…その…ランドセルが…」「え、 ああ、ランドセルですか…」ひぇ~、ごめんなさい、ランドセル一つで大騒ぎしちゃって~~~でも私の頭の中には、切り刻まれたランドセルの破片が浮かんでいるのよ。もしものことを連想しちゃったのよ。もう何も聞かないで~~~そうしてあれから数か月―ムゥのランドセルは、ラムネや、しょーもない思い出を詰め込み無事、我が家の自宅に届いたのでした。その箱は、思いのほか美しく。実際、いつもなら、派手に開けられ詰め直され、税関のパンフレットなんかが押し込まれて届く小包が、今年は解包された形跡もなく、無傷で届いたのでした。う~む、ありがたいことに。合掌。というわけで、ムゥのランドセル、これから6年間、週一ペースではありますが、どうぞよろしくお願いします!
2013.04.13
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