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チベット仏教センターで年に2回行われる3泊4日の週末リトリートに参加してきた。「Nyung Nye Fasting & Purification Retreat on Chenrezig, Buddha of Compassion ニュンネ―絶食と浄化 慈愛の仏陀、千手観音のリトリート」そうなの、絶食―「リトリート」というよりも「行」である。もともと私はリトリートとか行とか聞くと、妙に惹かれてしまうところがある。くわえて、もうかなり昔のことになるけれど、友達から「すっごく良かった!」と聞いて、一度やってみたかったのだった。けれどNO EATING、NO DRINKINGっていうのが当時の自分(今もか…)には、ちょっと敷居が高くて。42時間の絶食っていうのは良しとしても、30時間の絶飲なんて…自分に耐えられるのだろうか???とか。そのうち子どもたちが生まれ、今度は子どもをおいて3泊4日家を空けるの自体、難しくなってしまって。だけど、その子どもたちも今じゃ7歳と11歳。あんまり先延ばしにしていると、自分の体力の方が持たなくなりそうだし、今回は家族の了解も得られた(ちなみに数年前、家族に切り出したときには子どもたちから猛反対を受けている)しで、思い切ってやってみることにしたのだった。パォ~ン(意味不明)当日は、午後8時集合。期待と緊張と寝袋の詰まったバッグをひきずり、現地入りした。案内書にはメーキャップもアクセサリーも禁止となってたし、読みかけの本とか子どもの写真とか、世俗的なものも極力控えたので、大した荷物もなかった。なんといっても行、だもんね。アコモデーション、つーか、宿泊施設の方は、女性は月に1度子どもたちのダルマ・クラブが開かれる元倉庫を改造したような小ホールで雑魚寝って聞いてたし。そのさいマットレスと毛布2枚は支給されるってことだったけど、超寒がりの自分、娘のキャンプ用に買った寝袋持参で臨むことにした。けれど蓋を開けてみれば、私が案内されたのは、ふつーの空き部屋だった。なんでも賃貸用の部屋が一つ空いたのだそうで、私と女性二人がそこを使わせてもらえることになったのだった。そこは、がら~んとした大きめの一室にマットレスが3つ置いてあるだけというシンプルな空間だったけど、いちおーシャワーとトイレもついていた!ホールで雑魚寝に、体育館の更衣室もどきのシャワールームを覚悟していたので、思わぬゴージャス感に本来の目的(行)も忘れ、心が躍ってしまった。ラリホー!もう一つ、初めてのお泊り行にビビる気持ちをほぐしてくれた出来事があった。無造作に置かれた参加者のバッグの一つに、擦り切れたテディベアのぬいぐるみがちょこんと置かれていたのだった。マジっ!誰の、これ…??ウケ狙い?ですか?それとも、テディなしじゃ眠れない、とか?ニュンネ行にはあまりに場違いなテディベアの、その片目が取れかけ薄汚れて、ほとんどアンティーク化したとぼけた愛らしさを眺めているうち、次第に緊張がほぐれてゆくのを感じた。 こんなもん持ってくる人がいるんだ… 私よりヤバいかも…。みたいな。ちなみに、その夜カフェテリアで「テディだってニュンネして浄化したいの~」とくだんのテディを手にふざけて皆を笑わせているタニちゃんを発見した。そうだったのか、その動機は、皆の心を和ませたい!という菩提心だったのかもしれないナ、とふと思う。だとしたら、私にはばっちり効きました、ありがとう!結局、その夜はニュンネのオリエンテーションだった。今回ニュンネを指導してくださるお坊さんから説明を受けた。ニュンネの目的は慈悲心を養うことであり、慈悲の仏陀、千手観音を観想しておこなう。セッションの開始は、明朝5時から。マントラの詠唱や観想、瞑想、五体投地からなる2時間ほどのセッションを全部で8回。また行をするにあたっての伝統的禁止事項や注意事項もされた。明日午後12時から絶食、深夜12時からは飲むことも禁じられ、加えて無言の行も始まる、とか。殺生、窃盗、姦通の禁とかは守るのも簡単そうだったけど、行的なものはそう簡単にはいかなそうだった。実はNO DRINKINGの他にもう一つ、自分にできるのかっ!?と案じていたのは、五体投地だった。英語ではFull-length body prostrationというのだが―両手を合わせ、頭上、額、喉、胸の前に下ろしては、全身を床に投げ出し、地面にはいつくばって再び起き上がる。少しだけやったことはあるのだが、肉体的には屈伸運動なので、実際かなり疲れた。ふだんエクササイズといえばキーボードを叩くとか、物を拾うくらいの自分。こんな派手な動きは5、6回もやろうものなら力尽きそうなのに、それが1回のセッションに40分ほど入ってくるのだから。あっという間に力尽き、筋肉痛に悩まされるであろうことは目に見えていた。それでもニュンネ歴ン十年のリゼさんの、「とにかくゆっくりやること」というアドバイスに従ってなんとかやり続けてみようと思っていた。疲れたら、止めて腰を下ろして、観想に入って…ところが、こちらも蓋を開けてみれば、思った以上にできる自分にビックリしてしまった。ゆ~くり、とにかくゆ~~~くりとやったおかげで、疲れて腰を下ろす人たちを横目に、やり遂げることができた!のだった。パォ~ン(意味不明)それよりも問題になったのは睡眠の方だった。とにかく眠れなかったのだ。初日は、緊張と慣れない場所で眠る居心地の悪さにくわえ寒くて眠れなかった。メルボルンは春、そう寒い季節ではないのだけれど、ベッドに横になって1時間も経たないうちに寒くて堪らなくなってしまった。何枚も重ね着して(日本から持参したあったか下着もW使用して(^^))、夜中に寝袋まで取り出して、ようやっと明け方うとうとできた。次の夜は、前夜ほど寒い夜ではなかったのと、あらかじめ寝袋にくるまって寝たので、寒さは問題にはならなかった。それより、深夜から始まる「絶飲」をまえに今度は緊張と不安から眠れなくなってしまったのだった。既にお昼12時から絶食の方は始まっていた。この日、最初で最後の食事となったゴージャスなベジタリアンランチを皆で最後の晩餐よろしく長テーブルを囲んだ後、42時間の絶食の行が始まった。けれどこのときにはまだ余裕があったのだ。 だってまだ飲めるもんね~絶飲の行に入るのはその半日後、深夜12時からである。とはいえ、30時間何も飲まない経験など皆無の自分。ニュンネ経験者たちの「経験者は語る」談に従い、午後は水分補給にひたすら努めた。セッションの合間は左手に水、右手に茶―とにかく飲みまくった。かつ、経験者談から実はこの日、寝るタイミングも重要であるらしい、と学んでいた。ニュンネ歴2回のシェンさんなど前回のニュンネでは早寝をしてしまったせいで大変だったのだそうだ。9時前に就寝、喉の渇きに目覚めたときには深夜2時で、水を飲みたくとも、既に絶飲の行が始まっていて、激しい喉の渇きに苛まれながら残りのニュンネ行を全うし―ああ、無情(合掌)…シェンさんの貴重な体験談を胸に、私は10時就寝を決意していた。それまでは友達と公園を散歩したり、皆とカフェテリアでおしゃべりしたりしながら、ひたすらお茶や水を飲みまくっていた。そうして9時を過ぎた辺りには、水分の取り過ぎでお腹はちゃぽちゃぽ、お茶の飲み過ぎで胃はムカムカ。「弦はキツすぎてもダメ、緩すぎてもダメ、 美しい音色は出ないから~」Middle-Way―中道、仏道哲学が思い出されたけれど、もう後の祭りである。予定通り10時には床に就いたものの、気持ち悪いのと緊張で初日同様また眠れなくなってしまったのだった。時間ばかりが容赦なく過ぎていった。絶飲開始の深夜12時は、もうそこまできていた。 もうすぐ30時間も1滴の水も飲めなくなってしまう、 ひぇ~~~~などと不安を募らせるうち次第、呼吸まで浅く、苦しくなってきた。もともと風邪をひいていて、鼻水と咳がひどかったのがニュンネを始めてから収まっていたのがまたぶり返してしまった。 もう息が、よく吸えない… 呼吸が苦しい… これって、噂に聞く、過呼吸症候群とか?不安にくわえて、昼間お茶を飲みながらお喋りしているときに聞いたシロさんの弟さんのオカルト体験談が、聞いたときはそれほどでもなかったのに今やとてつもない恐ろしさで蘇ってきた。これは…、ニュンネ中にオカルト話で盛り上がってしまったカルマだろーか?もっと愛と喜び、感動の思い出話とかができなかったものか…。などと後悔するも、こちらも後の祭り―。もはや呼吸はますます浅く、早くなっていた。 う、、、息が、、、、できない、、、、 これは、かなり、マズイかも…もう恐いし、眠れないし、過呼吸症候群の発作なんかを起こしてしまう前に荷物をまとめて帰ろう、と思ったとき、窓の外に人の気配がした。枕もとの時計を見れば12時近かった。 こんな時間に散歩かい、と思ったとき、シェンさんの声がはっきりと聞こえてきた。「僕はニュンネのときは寝ないんだよね~」、と。 そうか、寝なくてもいいのか―ふっと思った。 そうだ、別に眠らなくたっていいんだ。そう思ったら、気持ちがとたんにす~っと楽になったのだった。相変わらず眠れなかったけど、でもって絶飲の行開始の12時は過ぎてしまったけれど、もうあの恐ろしいプレッシャーは消えていた。一気にUPしようとしたのですが長過ぎてできなかったので、この先は18日の日記(日付が後先になってしまいますが…)をご覧ください。
2013.10.21
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「ニュンネ明けのチャイ・後編」デス。長くて一気にUPできなかったので、日付が後先になってしまい(とほほほ…)失礼します。。。どうぞ21日の日記の方から先にお読みくださいませ。翌朝、5時のセッションは初めボロボロだったけど、やっているうちに頭がす~っと冴えてきた。初めの数回は筋肉痛でへろへろだった五体投地も、光をイメージしてやるち体がす~っと楽になっていった。半分無意識化した頭に、前日に聞いた、ニュンネ歴8回、かつ15日間ぶっ通しニュンネ体験まであるというベトナム女性の話が思い出されていた。彼女は短期目標達成を掲げ、とにかく楽観的にやると言っていたのだ。「水だって、月曜の朝まで我慢しなくちゃならないとか考えると、気力が挫かれて、圧倒されてきちゃうでしょう。だから私は余計なことは考えない。とにかく目先のことだけを考える。明日は、1セッション終えるごとに、ああ、また1セッションやり遂げた、Yeah!と、自分を讃えながらやってくつもりなの。そうして1セッション、また1セッションと地道にこなしてゆくうち、気づいたときには全うしてるものだから」、と。そうだ、喜びながらの努力Joyous Effortは、6Perfections徳行の一つでもある。この方法でいこう!と心に決めた。そうしてセッションの合間は、部屋に戻ってひたすら横になって過ごした(といっても眠れたわけではないのだけれど…)。どうせ昨夜深夜12時から絶飲とともに無言の行も始まっていたから、昨日みたいにみんなとおしゃべりすることもできないし、飲めないし、食べられないしで、大してすることもなかったし。3日目は、思った以上に辛かったり大変だったりすることもなく、淡々と過ぎていったのだった。思い返せば、睡眠も3晩目が一番楽だった。といっても、最後のセッションは深夜3時開始だったので、2時半には起きてゴンパ入りしたため、大して眠る時間もなかったのだけれど。そうして、最後のセッションを終え、窓の向こう、空が白み始めたころ、夜明けのチャイが回ってきたのだった。噂に聞いていた、ニュンネ明けのチャイ―尼僧さんがスパイスを煮出して本格的につくってくれるというそのチャイの美味しさは友達から聞いていた。初めてニュンネをやり遂げたとき友人は、スパイシーにとろ~りと甘いチャイの温かさを噛みしめ、思ったのだそうだ。「なんて美味しいんだろう。 チャイがこんなに美味しいなら、もう大して要らないや。 人生にほんとうに必要なものって、案外少ないんだなぁ」、とか。私はそこまでの境地には至らなかったけれど、チャイは、美味しかった。ただただ、ひたすら、純粋に、美味しかった。その後みんなで朝食をとった。噂に聞いていた「ゴージャスなブレックファスト」は、ポリッジ、何種類ものシリアル、ナッツやライ麦や様々なパン、と炭水化物を主役にした、「ちょっと絶食して900gほどリバウンドしました」みたいなメニューだったけど、美味しかった。誰かが差し入れてくれたココナッツジュースや手作りジャムもとてつもなく美味しくて、みんなの爽やかな笑顔がたまらなく嬉しい、朝食だった。実際、実に爽快な朝だった。ニュンネ中ほとんど寝てなかったので、月曜の朝はさぞボロボロにゾンビ化しているだろうと覚悟していたのに、元気100倍!不思議なほどエネルギーが心と身体にみなぎっていたのだった。他も不思議なことがあった。たとえば2日目の夕方、公園で出くわしたカモの家族とか。セッションの後、近くの公園を散歩していたら、ひな鳥をぞろぞろと連れたカモの一家に出くわした。ふつーひな鳥を連れた親ガモは人間を警戒して、近寄ると逃げてしまうものなのだけど、このカモ一家は、立ち話をしていた私たちの方へなぁんとカモの方から寄って来た!のだった。この公園は我が家からも近いので、今までも子ガモを連れた鴨ファミリーを見たことはあるけれど、親ガモの方から寄ってくるなんてことは、一度もなかった。けれど、暫くして気がついた。他の人たちが通りかかると、カモたちはささーっと湖の木立の後ろに隠れてしまうのだ。それから暫くして他に人がいなくなると、また現れては、私たちの方に寄って来る。そうして傍で草をついばみ始めるのだった。試しに立ち位置を変えてみたのだけど、どこに立っても寄って来た。つい昨日孵ったばかりのような、よちよち歩きの、ふわふわした愛くるしいひな鳥は、10羽。私のほんの足もとで、子ガモたちが草をついばんでいた!野生の子ガモをあんなに間近に見たのも初めての体験だった。「Nyung Nye energy―ニュンネパワーよ」、とクリちゃんが言っていた。そうかもしれない、ニュンネには、確かに、独特のエネルギーがあった。他にも不思議なことがいくつかあったのだった。そういえば、これを書いていて気がついたのだけど、2日目の晩に窓の外から聞こえてきたシェンさんの会話も今思えば妙だったナ。彼は前回、早寝をしてしまって失敗したと言っていたのに、ニュンネのときはいつも寝ないことにしているって発言は、矛盾してない?でもあれは確かにシェンさんの声とアクセントだったんだけど…。それに、絶飲と無言の行が始まる数分前におしゃべりしながら散歩なんてするものなんだろーか???まあ、いずれにしても、あの言葉で私の気は楽になったのだから誰の発言でも、ありがたいことにかわりはないのだけどね。そうしてニュンネ明けの朝―家に帰れば、私が疲れ果てて帰ってくるだろうとふんでいた夫は私の元気さに驚いていた。実際、私自身一番、驚いた。疲れて活動不能になっているだろうと半日予定を白紙にしていたのに、いつも以上に頭は冴え、一日中、力がみなぎっていたのだから。この行で、ニュンネ本来の目的、慈悲心がどれほど培えたかは私の場合はなはだ心許ないのではあるけれど…確実に心は晴れ晴れとしていたのだった。そんな私を前に夫は、来年は自分もやりたいと言い出した。おー、そう出たか。もちろん、私もやりたい、やり続けたいと思っている。そうすると、ニュンネは年に2回しかないから、来年からは交代で年に一度ずつってことになるのかな?次のニュンネが今から楽しみである。さてさて、10月といえば、ハロウィーンですね。写真がないのも淋しいので(雛鳥の写真でも取りたかったのですが、なにぶんカメラもスマホもなかったもので…)、子どもたちがつくってくれたハロウィーンクッキーをUPします。お化けクッキーとパンプキンヘッド―甘党の私には味もなかなかでしたよ。
2013.10.18
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