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明日網走だって言うのに、ぜんぜん、仕事が片付かない。で、仕事してます。
2005.02.28
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フェアウエーを歩けるだけでうれしいゴルフです。しかも、断水無し!18ホールをスルーで一気に回り、見事玉砕。いいわけと知りつつ、書きますが、聞きしにまさる、妻沼ゴルフ場。僕は、スコットランドのセントアンドリューズで3度プレーしていますが、ずっと風が強いです。時には、手引きのカートが倒れるそうです。スコットランドの雰囲気を味わいたい向きは、冬の妻沼をお薦めします。支配人も、礼儀をわきまえたいい人ですし。え、スコア、ですって?やぼなことは、聞かないで、楽しいゴルフだったんです。頭上を沢山のグライダーが飛び交っていました。のこり1mのパットが入らず、返しが10mなんて、3回くらい有りました。滅多に味わえない体験です。かならず、また行きます。リベンジ冬の妻沼!!!!
2005.02.27
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ほとんどのゴルファーは、湿度が高い日は、飛距離が落ちる。と信じています。空気が重い、とか、言います。そんな言葉を聴くと、僕は、ラッキー!!と思います。今日は飛ばない!と思っている相手とのゲームは、僕が有利になるからです。心理的作用もさることながら、物理的にも理由があります。20℃の乾燥空気の粘性係数は、18.6μPa・sこの空気の密度は、1.205kg/m320℃の飽和空気の粘性係数は、18.4μPa・sこの空気の密度は、1.177kg/m3資料(空気線図の読み方・使い方 オーム社)粘性係数と、空気密度が、ともに湿り空気の方が低くなっています。当然空気抵抗が低いのは、湿り空気ということになります。空気の話だから、みんなに平等なんだけど、 飛ぶ!と思ってプレイしている人と、飛ばない、と思ってプレイしている人では、結果が違ってきます。ゴルフ漫画 風の大地 の中でも、湿度の影響で飛ばない話が出てきます。不確かな情報は、日本のゴルフレベルを下げます。著名な人ほど、自分が発信する情報に、責任をもつべきだと思います。黙ってれば、僕が有利だったのにな~~これも世のため人の為ナンチャッテ来週の土曜日は、エネルギー保存の法則が、ボールの飛距離に影響する話を書きます。まったく力をいれずに、飛距離が伸びる話です。お楽しみに明日はゴルフだ~!嬉!
2005.02.26
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今日は、ビッグサイトに行きます。ナノテクノロジー展が催されているからです。(おもてむきは)自称科学者は行かなければなりません(キッパリ)しかし同時に、ゴルフフェアやってますから、いくっきゃないでしょこれから、寝ます。(00:55)行ってきたら、報告します。もちろん、ナノテクノロジー展の方を・・・・おやすみなさい。残念飛び込みで入ってきた仕事の為にナノテクノロジー展へは、行けませんでした。さて、循環です。温暖化の話は、議定書発効で、タイムリーですが、こちらは、じっくり、ミミズです。もうすぐ春になると、新緑が芽を吹き、美しい季節がやってきます。きれいな樹木を毛虫たちに食い荒らされないように、殺虫剤の噴霧をします。殺虫剤のついた葉を、毛虫や、ミミズが食べます。このミミズたちを、ほんの10匹程度食べると、小鳥たちが、死ぬことになります。死ななかったとしても、不妊小鳥になり、その付近に小鳥の姿が消えることになります。小鳥たちが、減ると、毛虫が増えます。勿論、去年の殺虫剤に対して耐性を持った、強い毛虫たちです。さらに強い殺虫剤を撒くことになります。世の中は、シックハウスだとか、化学物質過敏症だとか、小児喘息、花粉症などなど、蔓延しているのにです。自殺的循環と言えるかもしれません。
2005.02.25
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ついさっき、愛知のメンバーは、女満別空港から飛び立っていった。君たちは、けっして知識では、負けていない。実験が足りないだけです。北国の、年寄りがガンガンやってるんだから若いんだから、まけてらんないっしょ僕の乗る羽田行きは、2時間後なので、じっくりブログに書き込みます。網走へ来る前に書いた、南極の深海の海水温が下がったというニュースのことです。海水温は、温暖化の影響で、上昇していることが、世界各地で観測されています。海水の大循環のエンジンとして、極地の海水の沈み込みを、以前書きました。南極や北極で海水が凍ると、塩分がはき出されて、周囲の塩分濃度が上昇します。塩分濃度が上昇すれば、海水の氷点は下がります。当然冷たくて塩分の濃い海水ができます。この海水は重いですから。深海へ沈んでいきます。これが。『海水の沈み込み』です。しかし、温暖化の影響で、極地の氷が溶け海水温が上昇して・・・と云うならわかるのだけど、なぜこの状況で、深海の水温が下がったのか。で、仮説を立てました。温暖化の影響で、海面付近の海水温は上昇します。南極や北極は、冷気によって、海水を冷やし下降流を生み出してきたが、海水温の上昇は、極地の下降流の減少につながる。上下の流れが減少すれば、静止状態に近づいていく。深海流は、速度を落とし、極地深海の低温が保存されていく。熱が、海底から供給されない限り、深海の水温は下がっていく。極地の下降流が、海流のエンジンなら、極地の海底には、海底火山のような熱源はないと考えるのが妥当だ。そうでないと、熱流が沈み込みにブレーキをかけちゃいますから結果、海面付近の海水温の上昇は、深海の水温低下に結びつく。こんなんでましたけど・・・・いかがなもんでっしゃろところで、羽田は強風なんですか?時刻になっても、僕が乗る1184便がやってきません。風で飛べなかったらしいです。女満別は吹雪です。飛んできても降りられるんだろうか。
2005.02.24
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今日は、愛知県の勉強仲間を氷上のバナナボートに乗せます。非常に寒くてスリリングです。バナナの形をした、風船に5人ほどまたがらせて、スノーモビルで引っ張り凍った湖の上を走ります。僕は、一度乗って、懲りました。もーけっこーって感じです。jackblueを先頭に乗せますびびったすがたを写真に撮る予定です。
2005.02.23
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今、マイナス6℃です今日は、仕事上のアポは一つもありません。フリーです。しかも、お天気は、まっぱれです。時間がたっぷりあるので、摩周湖へ行ってきます。途中、川湯温泉で、ひとっ風呂浴びることにします。雪の中の露天風呂です。このノートは、ホテルにおいていきます。では、いってきます。いってきました。強風の摩周湖でした。氷点下12℃、風速15mキョーレツです。さっさと下山して川湯温泉にドボンでした。強い酸性泉で、コンクリートは、1ケ月で、砂状になってしまうそうです。顔を洗うと、目がしみるーーーが、いい気持ち、いい湯でした。これから、流氷砕氷船オーロラ号のサンセットクルーズです。寒いそーです・が、行ってきます。その後カニ食い放題です。多分へべれけで帰ってくるはずですから、今日は、ここまでです。遊んでばかりでごめんなさい。
2005.02.21
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天気が良くなかったので、揺れましたけどね無事到着しました。これから、打ち合わせ兼、宴会です。帰り次第また書きます。今日の網走は、暖かいらしいです。と、みんなが言ってます。最高気温+2℃なかなかぬくいです。なわけないだろーーー循環の話を書いてきましたが、環境保全には、省エネが効きます。今日、省エネアザラシを見ました。網走湖の水面は、海水面とほぼ等しいらしいです。満潮時には、網走川を、海水が網走湖に逆流し、干潮時には、湖水が海に流れ出します。その水の行き来によって、網走湖の氷が、オホーツク海と、網走湖の間を行ったり来たりしています。その氷の上に、アザラシの子供が、乗って、網走湖に、ワカサギを食べにやってきます。満腹になると、また氷に乗って、海に帰っていきます。おーーーいタクシーみたいな感じです。省エネは、正しい!!!!!!網走通信でした。
2005.02.20
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海水の大循環の話の中で、極地で、海水が凍ると、氷は、塩分を排出し、その付近の海水の塩分濃度が上がり、当然凍りにくくなり、冷たい海水が出来て、深海へ沈んでいく。これが海流のエンジンでという話を書きました。温暖化が進むと、極地の氷が解けて、エンジンがパワーダウンすると。ところがなんと、南極の深海の海水温が、最近0.5度下がったというニュースが流れました。南極の深海の海水温というのは、ひじょーーーーに安定で、変化しないというのが今までの観測です。それが下がったということは、温暖化が叫ばれて、極地の氷が解けて云々は、誰でも知っています。ニュースでは、温暖化で解けたから、深海の水温が下がった????????なんて、わけの解らん事を言ってましたが、しかし不思議だ。温暖化が進んだから深海が冷えるなんてことは、あるはずが無いでしょ。このナゾを、解き明かさなければなりません。楽しくなってきました!まず、仮説を立てなければなりません。何日か掛けて考えます。海水温が下がったという観測データが間違いでなければ、温暖化でなくて、寒冷化ひえーーースワ、氷河期の到来か!大気が温暖化しているのに、ありえないでしょう・・なんて思うでしょ。それが、温暖化と寒冷化は、条件的には、隣りあわせなんです。ありうるうるうるのです。明日から、寒風吹きすさぶ網走へ出張なので、流氷の上で、仮説を立てます。(頭冷やしながら)明日の日記は、網走で書きます。行ってきます。朝から雪です。今日は、基礎打ち込みなのに!朝から型枠組んで、さっき、打ち込み終わりました。氷点下でも、コンクリ打っちゃいます。雪の中で。こんなこと書くと、フライングシードは、土木系の職業かと思うかもしれませんが、ちがいます。今回の実験棟は、鉄筋、基礎、大工、内装、左官、板金、と全て、社員の研修として、社員がつくります。先日は、社長がランマーにしがみついてましたから。腰いて~さて、循環です。昨日は、高いところでうんこしようという話でした。その続きです。水の循環は、養分の循環を、部分的に助けています。雨が、川になり、海に流れ込むことで、ミミズたちが肥やした土の養分は、海に届けられます。近くに、豊かな山がある海は、アミや貝類、プランクトンが豊富ですから、魚たちが集まってくるわけです。魚たちが集まるから、海辺の人間は、そこにすみ始めたはずです。人が増える。うんこが簡単な処理で海に流れる。ここに、ショートサーキットが起こり、海が、弱る。養分は、山から、自然の中の必要な行程を経て、初めて養分として働く。飲み水の浄化技術に 緩速ろ過 というのがありますが、うんこも、緩速分解が必要なわけです。ミミズさんや糞ころがしさんなら、お金を取らずに、タダでやってくれるのにな~~~~とにかく、ショートサーキットはいけません。あらゆる循環において、ショートサーキットは、バランスを崩します。人間が循環を意識すると、往往にしてショートします。循環の中の存在は、その持ち場を全うすべき・・・あっ、これ昨日書いた。まっ、とにかく一方通行で行きましょう。で、山で、うんこバキュームカーで捨てに行っちゃ嫌よ。何とか畑で、使えないかな~~町で、 犬の糞を拾っていかない飼い主を、凄い目でにらむのは、やめましょう、放置は良くないけど、持ち帰るより、土に埋めて、糞ころがしにお願いする方が、間違いなく環境負荷は、減りますから。
2005.02.19
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いや~うまかったです。やっと手に入れた芋焼酎の味は、格別でした。イッパイの焼酎が、体も心も癒してくれました。焼酎のお湯割りは、6/4といわれてますが、ベストな配合を、ただいま実験中です。メスシリンダーで、厳密に確認しています。研究報告は後日改めて。さて、循環ですが、今日は、動物の循環です。動物の話ですけど、水から入ります。水は、たいてい上から下へ流れます。下から上へ流れるのは、蒸発と、毛管現象だけです。海水が蒸発して、雨となって山に降り、山の養分を、川へ、そして海へ運んでゆきます。このサイクルを数千年、数万年と繰り返していくと、山の養分は無くなり、砂漠になっていきます。日本の山が禿山にならないのは、水が流した分以上の養分を下から上に運んでいる連中がいるからです。動物と、CO2がその人です。海鳥は、海で魚を取り、見晴らしの良い、高台に巣をつくり、親鳥よりも大量の糞をする雛を、数多く育てます。土の無い岩場に植物が生えるのは、鳥たちのおかげです。山では、落ち葉をミミズたちが、食べ、地上に糞をします。中村方子先生は、ミミズは、1年に、地表を厚さ1センチ、排泄している。と、書いています。これも、下から上への動きです。多分、動物の遺伝子には、低いところで食べて、高いところで糞をする、仕事が、書き込まれているに違いありません。そこで僕たち人間も、山で、うんこをしなければならないのです。(聞き流してください)ま、とにかく、下から上へ物を持ち上げるのは、動物の役目です。これは、循環の予定の中に折込みずみのことですから、やらなきゃいけません。地球に住んでいる動物は、全て、人も含めて。 です。そして、とても大事なことは、循環させようとしてはいけないってこと。え?変?ミミズは、何も自分が食べられようと思って生きているわけじゃありません。身勝手に、食べたいものを食べて生きてるわけです。糞もしたいようにしてる。循環の中に生きてる意識なんてありません。それで十分、大切な仕事をこなしているわけです。神の目で見れば、循環ですが、下々の生活は、一方通行です。帰ってくるのは、情報だけなんです。ここが大事です。流れの中で、自分の役割を全うすることが、地球上生命の使命ってことになります。そうでないと生きていけません。循環の中から削除、または、その、部分的循環の削除になります。う~ん、おっ重い。
2005.02.18
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きれいな朝ですね~昨日の雪もすっかり解けて、湿度もたっぷりで、気持ちのよい一日になりそうです。何しろ、朝からいいことがありましたから。うきうきです。楽しみにしていた芋焼酎が届いたんです。これぞ芋焼酎、芋焼酎の中の芋焼酎とよぶべき一品です。どんなやつかって?秘密です。(キッパリ)ところで、このブログのミミズコーナーで循環などという大テーマにぶち当たってしまいまして、あまりの大きさにやめようと思ったんですが、誰かのブログのように、小出しに、日記につづっていけばよいかな~と、気を取り直して、書き始めることにしました。循環と一口に言っても、この地球上には、無数の循環が存在しています。今日は、その中のひとつ、海水の大循環に触れてみます。海流は、誰でもご存知ですね、日本近海では、黒潮、親潮、なんてあます。世界中の海が、流れてます。で、この流れのエンジンはどこにあるのかって事が気になります。誰かが、漕いでるわけです。その一人は、太陽です。海水を温める仕事をしています。もう一人は、氷です。南極と北極の氷が、冷やす仕事をしています。そして、偶然か、やらせか、極地の周りに非常に深い海溝が存在しているわけです。この深さが大事なんです。北極の氷に冷やされた海水は、氷になってしまうと、塩分が吐き出されて、塩分濃度が上がり、密度が高くなって重くなりますから、深い海の底へ沈んでゆきます。全ての海はつながっていますから、沈む人がいれば、その圧力で浮かぶ人もいることになります。片や、南太平洋では、太陽が、温めてくれてますから、流れが出来あります。北極から北大西洋に沈んでいく海水は、深層流として大西洋を南下していきます。南極周辺でも同じ現象が起きています。南極から沈み込んだ深層流は北上していき、南米大陸とアフリカ大陸の間を南下してきた北極からの深層流と合流したのち、インド洋と南太平洋へと分かれていきます。南太平洋組みは、オーストラリアの南を周り、太平洋を北上し始め、赤道を越え、北太平洋で上昇し、北太平洋の表層を流れる海流と合流します。表層流となった流れは大きく右回りに迂回して北米に沿って南下、さらに回り続けてオーストラリアの北を通り、インド洋組みと、再度合流します。このままアフリカ大陸を回って、大西洋の表層を北上して北大西洋に戻るわけです。ここ数年で、少し困ったことが、おきています。温暖化です。氷河の氷が後退したり、北極圏の氷が減ったり、皆さんおなじみの話です。で、何が起こるかというと、大循環のエンジンが、少しアクセルを絞ってしまうわけです。寒さが足りないから、海水が凍らないと、塩分が濃くならない。海水が沈んでいかない。海流エンジンのパワーダウンです。真っ先に、海の生き物に影響が出てきます。海の、ミミズ的存在、アミ君たちの動きに変化が出てきます。当然、アミ君が大好物の魚たちも追いかけます。海水の大循環は、海の食物連鎖と直結しています。温暖化のヤリ玉に挙げられているのは、CO2だけどそれ以外にも沢山犯人がいます。世界中で、直接海水を温めている原子力発電所なんかがそのうちの一つです。ほとんどの原発が海辺にあり、2次冷却水に海水を使い、熱くなった海水を海に戻しています。原発は、簡単には止められないから、夜も回しっぱなしです。だから深夜電力は安いんですよね。海水を24時間、休まず温め続けているわけです。原発沖で釣りをすると、入れ食いらしいですよ。つづく
2005.02.17
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雪ですね事務所に入ってから、窓の外を見ると、雨が雪に変わっていました。早速ストーブに火を入れます。 僕の事務所のストーブは、薪とペレットを燃やすことが出来る優れものなんです。こんな日は、ストーブの傍に移動して、仕事をします。中国出張の折に買ってきたプーアル茶を透明の耐熱マグで、すすっています。え、どんな仕事しているのか?内緒なんですけど。少しだけ書くと、物を作る仕事です。僕だけにしか出来ないものを、作ろうとしています。そして、それがいつの日か、世のため人のためになればいいなあと思っているわけです。若いころの僕は、自分の為だけに生きていたんですが、段々、残りが少なくなってくると、ちょっとくらい世の中の役に立ってから死ねたらいいナと、思うようになったわけです。いえいえ、そんな歳をとってるわけじゃないんですよ。残りが少なくなってしまったら、何も出来ませんから。残り時間のあるうちにね。
2005.02.16
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遠くでサイレンが鳴っている。消防のレスキーがやっと来たらしい。さっきから、手を伸ばしていた少女を、サンルーフ車の男性が、濁流に身を乗り出し、手を握った。少女は、一瞬躊躇したが、意を決して濁流に飛び込む。サンルーフ車の中では、男性のベルトに全員が手をかけ、サポートしている。男性は、もう一方の腕を伸ばし少女の背中の洋服をつかむ。力ずくで引き寄せるが、流れが強い。手を離せば、少女は助からないだろう。無理矢理頭から引きずり込む。サンルーフ車の中も、すでに窓際まで、浸水している。少女は、頭からサンルーフ車の水没した部分に入っていったが、すぐにあえぎながら顔を出す。岸から、歓声が上がる。いつのまにか、 キャンプをしていた全員が川岸に集まっていた。100人ほどもいるだろうか。 濁流の中では、状況はあまり良くなっていない。のこっているもう一人に、少女が何か叫んでいる。多分彼女の母親なのだろう。おびえている様子が見えるが、彼女もゆっくりと身を乗り出し、必死でサンルーフ車に手を伸ばしている。この時レスキューが到着し、救命ボートの準備に取りかかっていた。水かさは、未だ増え続けているようだった。車を乗り移ろうとしていた女性は、やっと濁流を乗り越え、娘と再会している。間もなく、彼女たちが乗っていた車は、すっかり水没してしまい、見えなくなってしまった。レスキューは、ゴムボートにロープを縛り付け、上流からボートを流し、サンルーフ車までボートを近付ける作戦らしい。午後6時レスキューによる救出作戦が始まった。はじめは、ロープにつけたゴムボートを、上流から流してみるが、見当はずれの方向へ流されてしまい、一向にらちがあかない。こんな状況を想定した訓練をしていないのであろう。何度か試すが、どうも、うまくいかない。隊員がボートに乗り込み、舵を取りながらサンルーフ車の処まで行こうとしても、流れが強すぎて安定しない。急がなければならない状況に、冷静な判断ができない。レスキューはあっさりあきらめてしまった。岸では、一人の男が半狂乱で何か叫んで知る。次の瞬間、男は、川に飛び込もうとした。が、その周りにいた数人が、彼を取り押さえる。彼は、先ほどサンルーフ車に移動した少女の父親らしい。水が増水している時刻に彼だけが車から離れていて、図らずも難を逃れてしまったのだ。やりきれない思いに、誰彼かまわずに、助けを求めたり、何かわめいたりしていたが、無力感と疲労でついにしゃがみ込んでしまった。人々は、彼を見るとは無しに見ていた。ぼくは、自分のキャンプへ戻ることにした、あたりは薄暗くなってきている。子供たちが、心配そうな顔で待っていた。ランタンに火をともす。子供たちに、食事をさせる。場合によっては、僕たちも避難する必要があるかもしれないと思っていたが、どうやらここは大丈夫らしい。キャンプ地に、高台を選んだのは正解だった。大変なキャンプになってしまったが、誰も帰ろうとしない。多分岸に残っている約100人が協力して救助することになるだろう。と、おぼろげに感じている。午後7時状況は変わらない。増水はしていない。ハイルーフ車のフロントガラスの3分の1は、水中で、中の人たちは、風呂につかっているような状態だ。すでに、2時間近く彼らは水の中にいる。川の水は冷たい。水が体温を奪っていく。一刻も早く救助しないと危険なのだ。手をこまねいているレスキューにどうするのか聞く。レスキューは、県警の機動隊に出動要請をしたので、到着を待っていると言った。よくわからない。救助のプロとも言うべきレスキューが、なぜ警察に仕事を依頼するのか。しかも、何もしないで待っている。いや、何も出来ないのかもしれない。刻々と時間が過ぎていくが、事態は改善しない。僕たちも、何も出来ない。無力感だけがつのる。泥のような時間が過ぎていった。結局、機動隊が到着したのは、午後10時だった。すでに、彼らは、5時間水の中にいる。午後10時なぜ機動隊なのかが理解できた。そこで繰り広げられたのは、映画『踊る大走査線』そのものだった。巨大な鉄の箱を載せた運搬車が川岸に着き、発電機が始動し、ウイーンという音とともに箱の屋根が開き、野球場の夜間照明のような投光機が、せり上がっていく。濁流の中のサンルーフ車が、照らし出される。中の人は、無事らしかったが、みんなぐったりしている。午後11時サンルーフ車は、川がカーブしている中州に留めていた。救助作戦は、サンルーフ車を回りこんだ向こう側の岸からこちら側まで、サンルーフ車を、はさむように2本のロープをかけ、そのロープをレールのように使ってボートを導き、救助する。というものだった。救助隊のスピーカーが言う。『皆さんのご協力をおねがいします。ロープをぴんと張らなければなりません。』ぼくたちは、そのためにここにいる。誰もがそう思っていた。50人くらいずつ分かれてロープを張り、まさにレールのように、僕たちが並び、その間をボートが、ゆっくり、確実にサンルーフ車に近づいていく。一人確保された。ボートを引き戻す。最初に救助されたのは、あの少女だった。救助隊員に抱かれて岸に上がり、すぐにタンカに載せられる。歓声が上がる。岸で待っていた父親が駆け寄る。午前0時だった。その後は、順調に一人づつ救助され、午前1時には、救助完了している。僕の子供たち、瑛と祥は車の中で眠っていた。長い1日だった。僕たちは、焚き火を炊き、残っていたロースとビーフと、ワインで祝杯を挙げた。翌朝、水位は、平常時に戻っていて、取り残された6台の車は、土砂の中に埋没していた。見えるのは屋根の部分だけで、あの、サンルーフ車だけが、フロントガラスまで見えている。車内には、土砂が流れ込み、中州の砂利の延長になっている。一人の死者もでていないということだった。昨日の3時過ぎに、かすかに聞こえていたサイレンが、増水の危険を知らせるものだったことを知ったのは、僕たちが、このキャンプ場を後にするときだった。めでたし、めでたし。
2005.02.15
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とっても珍しいことなんですが、今日は、朝からまる1日、事務所で仕事をしていました。集中力の無い僕としては、驚異的な仕事量です。20日から網走へ出張するので、今のうちに仕事をかたずけておかなきゃってことです。さて、ここ数日の日記のことですが、このページの話は、全て実話なんです。ドキュメンタリーってわけです。『36歳』は、どうも長くなりそうです。日記本文は、10000文字以内と決まっていて、現在6000文字くらいになっています。10000は、楽に越えてしまいそうなので、後日へ連載してゆくことにします。あまり省略したくない内容なので、じっくりつづっていきたいと思っています。とりあえず、つづく になっていた後の数行は、昨日の日記に書き足しました。今日ほとんど書けませんでしたが、あすは、クライマックスにに入ってゆきます。少女の運命やいかに・・・
2005.02.14
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36歳8月、長瀞にキャンプにきている。弟家族4人を伴って、8人の合同キャンプだ。僕は、自分が、かなりのアウトドア派であると、自負している。真冬のスキーでさえ、雪中キャンプを基本としているほどである。雪中キャンプのことは、後日書くつもりでいる。ともあれ、今は、真夏で、ここは埼玉県の荒川沿いの名所、長瀞である。昨日の日記も、荒川での出来事であったが、光陰矢のごとし。すでに29年が過ぎてしまった。7歳の少年は、経験を重ね、いっぱしのアウトドア父ちゃんになっている。3歳の長女瑛と、1歳の長男祥に恵まれ、アウトドア父ちゃんとしては、カッコいいところを見せる義務があるのである。我がパーティーが、ベースキャンプとして選んだ場所は、荒川の岸辺から50mほど離れた高台で、涼しい日陰を作っている木の下であった。川遊びで疲れた子供たちも、ここならば気持ちよく昼寝ができるはずだ。父ちゃんチームがテントを設営している間に、子供たちは早速、川に向かって、落差4mほどの下り坂を走っていった。二人の若い母親は、バスタオルを携えて、『ほらほら、走ったら危ないわよ』と、子供たちを追う。ここは、オートキャンプ場として管理されていて、僕たちは、入場料として、幾ばくかのものを支払っている。水場やトイレも完備していて、にわかアウトドア家族でも、とまどわないようになっている。入場者もかなりいて、車の数で、50台は超えているだろう。管理された場所でのキャンプは、僕の本意ではないのだが、子供が幼いので、仕方なしといったところだ。テントを張り終わり、テーブルや椅子をセットし、子供の昼寝用に、車のシートを倒し、タオルケットを敷き詰めておく。最後に、スチール製の竈を出して、アルミの大鍋をのせ、水を張り、夕食の準備をした。まだ午後2時を回ったばかりである。準備だけで火はつけずにおく。すっぽんぽんで、水遊びをしている子供たちの相手をしなければならない。河原へ降りると、水辺にもかなりの車があった。濡れた玉砂利をものともせず、川の流れをわたり、中州に上陸した6台の車は、4輪駆動車なのであろう。キャンプ場の中での一等地を確保して、優越感さえ感じているように見える。車のそばで、水遊びやカヌーなどを楽しんでいる。妻と子供たちは、すぐに見つけることができた。予想どうり祥は、すっぽんぽんで、水たまりにしやがみこんでいる。瑛は、一丁前に水着をつけて、従姉妹たちと水のかけっこをしている。何という幸せなのだろう。この幸せを永遠に続けていきたいものだ。穏やかな天気で、日差しもそれほど強くない。いや、少し曇ってきたろうか。テントを張っていたときは、日差しが強くてまいったが、今は、すこし雲が出て、涼しくなってきた。子供を遊ばせるには、ちょうど良い加減である。午後3時しばしの川遊びで、案の定、子供たちは疲れてしまい、基地へもどる。くだんのタオルケットにくるまり、すぐに吐息をたてて寝てしまった。僕たちは、夕食の支度に取りかかる。今夜のディナーは、ローストビーフと芋鍋である。僕らも、弟夫妻も、キッチンドリンカーと化し、手際よく、酔っぱらっていく。キャンプ場で飲むビールは、なんて・・・・・工場の時報だろうか、遠くでサイレンが聞こえていた。午後4時料理がそろそろできあがろうというとき、キャンプ場の管理人が、やってきた。『秩父で集中豪雨があり、川が増水するかもしれないので、避難してください。』と、言う。それはないでしょう。料理ができあがったばかりなのだ。とはいえ、状況は、重大だ。弟と川を見に行く。なんと、すでに雑炊が始まっている。いや、増水だ。中州に止めていた4輪駆動車のタイヤが5センチほど水につかっている。その車の人たちは、のんびり遊んでいる。少し水が増えたことに、きずいているのか、いないのか。管理人は、まだここまで来ていない。テントを1カ所1カ所説明して回っているのだ。誰かが叫んでいる。『早く避難しろー!』誰も気がつかない。一番近い車に近づく。『水が上がってきたから避難した方がいいですよ』『えー』(間に合わないかもしれない・・・)すでにタイヤは、半分ほど水につかっている。(まずい!まにあわない!)水音が大きくなっている。水の勢いも強くなってきた。(このままでは、自分も岸に戻れなくなる)弟と僕は、岸に戻った。テントに戻りながら、川との落差をみて、僕らのテントは、多分大丈夫だろうと判断したが、妻たちに状況を説明し、急いで食事を済ませる。5時雨が降り始めた。幸い、子供たちはまだ寝ている。車に寝かせていたのは良かった。いざというときはすぐに脱出できる。竈の火は、つけたままにしておいた。川を見に行く。なんて事だろう、6台の4輪駆動車がすべて残っている。しかも、その内の2台には、中に人がいる。水位は、その車の半分を隠してしまっている。その時、流れに対して、横向きに止めていた車が、ゆっくりと、倒れた。人は乗っていないようだ。見ていた人々に、どよめきが流れる。どうすることもできない。車は次第に下流へ運ばれていく。雨が強くなる。僕らの岸から、50mほどだろうか。乗っている2台の内の1台は、サンルーフで、中には5人くらい人が見える。その中の2人が、サンルーフから身を乗り出し、助けを求めている。流れが、強くなる。1台が揺らぐ。人が乗っている車だ。悲鳴が響く。僕らは、見ているだけだ。サンルーフの車は、安定している。流れに、まっすぐ車体をの正面を向けているためか。濁流が、タイヤの下の砂利を流し去り、次第に川底へ潜っていく。そのせいで流されずにいる。また人のどよめき。揺らいでいる車の人が、サンルーフ車へ乗り移ろうとしている。少女が窓から乗り出す。サンルーフ車から手が伸びる。1.5mくらいだろうか、なかなか届かない。つづく
2005.02.13
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7歳父と釣りにきている。父の友人、某も同行してる。顔立ちのはっきりした、濃いータイプのおじさんで、父とはよい釣り仲間なのだ。釣り場は、埼玉県の荒川で、川幅が広く、流れもゆったりとしている。其処に釣り人が糸をたれていて、対岸にも、振られた竿が光っている。穏やかな日差しの、眠気を誘う休日だ。僕は、まだ幼くて、釣竿を持たせてもらえず、すでに飽きてしまい、川原の石を拾って遊んでいる。苔のこびりついた丸い石を裏返すと、ヤゴがいる。ヤゴというのは、トンボの幼虫で、正式にどんな名前なのかは知らない。この虫を釣りのえさに使うこともあるが、父たちが狙っているのは鯉で、芋を練ったものに蚕のさなぎの粉を混ぜた餌を使っている。釣果は芳しくなく、僕以上に釣り人は退屈しているようだ。ふと、川の向こう岸で喚声が上がった。どうやら大物が掛かったらしいのだが、あまりに大きすぎて釣り上げることが出来ないらしい。釣り人と魚の戦いは、しばらく続いていたが、『ああ!』というため息のような声が、戦いの終わりを告げた。勝者は魚のようだ。なんと、彼は、(いや、彼女かもしれない)釣竿を折り、曳き舟が曳航するように、折った竿を曳き連れて、悠然と泳いでいる。その姿は見えないが、釣竿を折ったことからも、彼、(彼女かもしれないけど)の体格がかなりの物であることが想像できる。曳かれている竿が、川面を行き来してる。釣り人たちは、自分の釣りに集中できない。目の前で、巨大な鯉が(たぶん鯉が)うろうろしているのだ。誰の目もギラギラとし、『こっちへ来い』と祈っている。しかし、そんな人騒がせな状況も長くは続かなかった。彼の口から釣り針が外れたらしい。今まで悠然と、矢印型の波紋を立てて、引かれていた釣竿は、勇ましい波紋を失い、静かに川下へ流されてゆく。釣り人たちの、心臓のテンポを早くした舞台俳優は、どこかへ姿をくらました。興奮は、少しずつ冷めていった。竿を持っていない僕も、『ああ・・、いなくなっちゃった・・・』と、その別れを惜しんだ。が次の瞬間、事態が変わった。父の釣竿が大きくしなっている。大きい。いや、尋常ではない。はじめから大物を狙って、太い竿を用意していた父が、大きくしなった竿をもてあましている。父が叫ぶ。『さっきの奴だ!!』対岸の騒ぎの後のことだから、父と某のチームの行動は素早かった。父が後ずさりながら”舞い戻った舞台俳優”を岸に近づけ、某が川に入って行った。タモ網では、すくいきれないと判断したのだ。某に、両腕で抱き上げられた舞台俳優は、しばしばたばたと暴れていたが、すぐにおとなしくなった。対岸での騒ぎのときにきづついたのであろう、彼の口の端が切れている。しかし、なんという大きさだろう。90センチを超えているかもしれない。僕を含めた3人の男は、この興奮を共有していた。下半身がずぶ濡れになった某も、父も、僕も、笑っていた。後日、僕はこの大ニュースを、作文に書いた。僕の先生は、とても褒めてくれて、市の文集に、推薦してくれた。大ニュースは、特選で選ばれ、僕は表彰されることになった。その文集は、市にある全ての小学校に配られ、読まれることになる。ひとつの事柄を除いて、とても嬉しいことではあった。残念なのは、文集の中の舞台俳優が、なぜか体長20センチに痩せていた事だ。
2005.02.12
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2歳耳鼻科にきている。僕は中耳炎で、何度目かの治療を受けに来たのだ。医師は、痩せ型の男性で、白髪交じりだ。頭にドーナツ型の鏡を付けている。めがねをかけていた様な気がする。細長いピンセットで耳の中を掻き回されると、大音量で、ざわざわと雑音が発生する。医師は手際よく仕事を進め、そう時間をかけずに治療を済ませた。消毒用のオキシドールの泡が、シュワシュワシュワーと耳の中ではじけてから、ふいに静かになるのだ。古い木造の耳鼻科で、入り口のガラス戸から90センチほどがタタキで、30センチほどの高さの敷台があり、さらに10センチほどの高さの敷居がある。一段上がって、またガラス戸が取り付けてあるわけだ。その敷居から奥が待合室で、手際のよい医師は、人気があるらしく、治療を待つ人で、いつも混んでいた。僕は、段々になった敷台が怖くて、待合室から、タタキヘ降りることが出来ない。母が会計を済ませるのを、敷台の一歩手前で待っている。背中で、母が『帰ろ』と言っている。僕は動けない。『はやく』と言う母の声と同時に、背中をポンと母の手が押した。待合室と敷台との、10センチの段差が、僕に浮力をあたえた。自分が、まるで海中で泳ぐ亀のように、スローモーションで90センチ前方のガラスに向って飛んでいる。中座人は、これほど長い時間、空中を飛んでゆくことができるのだ。永遠のような時間が過ぎた後、僕の額が薄いガラスにたどり着き、割り、飛び散る。僕の体はそのまま落ちていく。右腕が、ガラス戸の桟に当たり、反動で左膝からタタキに着地した。仰向けにタタキに倒れ、天井が見えたが、みるみる世界が赤く染まっていく。母の悲鳴と、他の患者のどよめきが遠くで聞こえる。多分、僕は泣いている。が、この部分の記憶がない。数秒か、数分か、記憶がない。誰かが僕を抱き、走っている。一人ではない。3人か、4人。同時に走っている。おそらく僕は、運がいいのだ。額で破ったガラスが、落下する僕の、のど元をねらっていたのだ。桟に当たり、落下する体の軌道が変わらなければ、違う未来があったはずだ。しかも、今、僕を抱いて走っているその人は、耳鼻科の隣にある、外科の看護婦なのである。運が良くなければ、外科が隣接している耳鼻科で、怪我などするはずがないのである。中耳炎の治療の後、間もなく外科治療である。医師がしゃべっている。聞くに堪えない言葉が発せられている。『破片は入っていないようだ。頭だから、麻酔はせず、このまま縫合する。動かないように、全員でこの子を抑えてください。』5人が僕を押さえている。頭に一人、腕に一人ずつ二人、足に一人ずつ二人。僕は、この状況から逃れるべく、全力であらがう。が、動くことができない。ゴムの手袋をはめた手が近づく。釣り針のような針が、僕の額に近づき、ゆっくりと、しかし確実に、皮膚に浸入してくる。頭蓋骨がすぐ近くにあるが、医師は、上手に皮膚だけを糸で引き寄せ、縫い合わせていく。泣きながら暴れようとする僕を、大人の力が、押さえつけ、針は容赦なく、僕の精神を陵辱していく。痛みが、逃避の技を、教え込んでいく。処置が終わり、帰る頃には、呆然とした僕の中に、自分の身は自分で守らなければならないという、意志が、生まれていた。多分この時、母の心の中には、『この子を保険に入れなければ』と云う強い意志が、生まれたのだ。(やはり、自分の身は、自分で守らなければならない。)帰り道、母が漕ぐ自転車の後ろで、ぼくは、記憶に残る言葉を聞く。その声は、僕の耳をふさぐように巻かれたガーゼの包帯越しに、風切り音とともに入ってきた。『とおちゃんに怒られちゃうかなあ』まだ、若い母であった。みんな、完全じゃないんだから、許してあげよう。
2005.02.11
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12歳 校庭に砂埃が舞っている。授業には、まったく集中できていない。窓ガラスの外の景色も、角膜を通過してくるが、像を認識していないかのように、僕の脳は、妄想に取り付かれていた。空想の世界に遊ぶことが日課になったのは、いつからだったのだろう。なんとなく覚えているは、小学校を卒業して中学生になり、新しい友達も出来て、学校になじんできたころだったような気がする。13歳になる前で、まだまだ子供だったが、少し背伸びをして、わざわざ難しい本を読んだりしていた。三木清の哲学ノートなどを、理解できるはずも無いが、何度も何度も読み返した記憶がある。理解は出来ないが、記憶することは出来るから、丸暗記したページを大人に話して聞かせ、困惑する顔を見るのが好きだった。嫌なガキだ!と思われていたに違いない。子供じみた本もまた好きで、漫画やSFは、手放せなかった。なかでも、EEスミスの”宇宙船スカイラーク”は面白かった。多分それが、初めて読むスペースオペラだったと思う。空想科学小説なのだけれど、当時スペースオペラという表現が始めて登場した小説といってよいと思う。何しろ昔のことなので、内容はほとんど覚えていない。シートンという主人公が、未知の金属を発明し、その金属で宇宙船を作り大活躍をするという話だった。あまりの面白さに、そのシリーズを一気に読みきってしまったと記憶している。哲学と漫画とSFが妄想少年を作り上げていった。そのままゆけば、アブナイオタクになっていたと思うが、やがて僕の生き方に大きな影響を与える1冊に出会う。ヴァン・ボークトーの『宇宙船ビーグル号の冒険』! なんだまたSFか、と思われるかもしれないが、宇宙船ビーグル号は僕にとっては衝撃だった。そこには哲学があり、生き方があった。主人公のグローブナーは、総合科学という新しい概念の科学者で、多角的な観点から難事件を解決していく。科学者といえば、通常は、何らかの専門家で、運良く良いテーマにめぐり合えば、一生を費やして、研究を続ける。総合科学は、ひとつの事象を、自然科学や化学や哲学等等、要因と要因の連携を解き明かしながら検証していく学問で伝伝・・・何にでも手を出す僕の浮気性は、このときに芽生えていたのであった。プレスリービートルズクラプトンショーン・コネリーの007サンヨー食品が即席めん「サッポロ一番」を発売 「銭形平次」放送開始
2005.02.10
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