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春風亭小朝独演会に行ってきました。落語ブームを反映してか、会場は今日も満杯です。開演一番、いきなり小朝師匠の高座。しかも大ネタ「芝浜」です。三木助師匠の芝浜を彷彿とさせる高座で、やはり他の師匠とは違った語りが随所に見られ楽しめました。休憩を挟んで、緞帳が上がると、暗転の中、レターメンの「ラブ」が流れます。会場はいったい何が?という感じの中、明かりが入ると、釈台を前にした師匠が。創作の「ヴィンテージ1985」でした。青春を振り返る40代の男女の様々が面白おかしく、また、ほろりとさせつつ展開されます。そのまま、「晴れの日」に、嫁入り前夜の娘と、結婚に反対の父親とのやりとりが、滑稽味たっぷりに語られ、最後は人情話とも言える泣かせるサゲでした。中入り後、林家木久蔵の六番弟子、ひろ木が登場。へたくそな津軽三味線を二曲弾いて笑いを取るという珍芸。続いて、衣装を変えた小朝師匠が再登場、「片棒」に入ります。片棒自体はもう古い話なので、架空の葬式話が陳腐になりがちなのを、師匠は現代風にアレンジ、場内大爆笑。サゲが終われば緞帳が下りるはずなのですが、「私の独演会は終わりなんですが、このあとおまけで林家きくおが一席申し上げます。」とのこと。きくおが登場、いつも通り、父親をバカにするマクラを振った後、「牛ほめ」。話自体はそこそこ上手なんですが、やはり小朝師匠にはかないません。たぶん、ひろ木が前座でその後、小朝師匠が一席やって、その次くらいに、W襲名の話からきくおが入るはずだったのが、きくおの到着が遅れてこんなことになった見たいです。やはり、小朝師匠を聞きに来てるので、最後は小朝師匠でしっかり締めて帰りたかったです。マスコミでも木久蔵・きくおW襲名は話題になっていますが、実はあれを仕掛けたのは小朝師匠なんです。その縁で、W襲名を盛り上げるために、きくおを特別にこうした公演に連れてきて面倒を見ている訳なんですが、やはり番組編成上は?でした。
2007年01月22日
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米村圭吾の新刊「おんみつ密姫」。退屈姫君シリーズで、新しい「お姫様小説」を作り出した作者による、「退屈シリーズ」の前史となる物語設定。架空の温水藩のおてんば姫君の活躍を描く、フィクションだが、はちゃめちゃ小説ではなく、きちんとした時代考証を踏まえ、歴史上の事件を題材に、新しい解釈を踏まえて、独自の世界を展開。かって人気を博したという「あんみつ姫」が念頭にあるのは確かだろうが、今や、その作品を見たことの有る世代はそう多くはないはず。映画でも中村玉緒あたりが、お姫様となって活躍する楽しい分野があったという。本作は退屈シリーズで確立したお姫様小説の世界をより、ダイナミックに楽しく発展させている。歴史物が好きな人、しゃばけシリーズが好きな人にもお勧め。
2007年01月20日
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椎名誠の「銀天公社の偽月」。椎名誠がずっと書き継いでいる、戦争か公害によって破滅してしまった、未来社会での不思議な物語物。特殊な命名と、設定で、余人には思いつかない未来社会を描きながら、「今の社会が戦争や公害で滅んだらきっとこんな感じなんだろうな。」と思わせる物語世界は、手慣れた物といえるが、それでも、これを描けるのは椎名誠だけと思わせる作品に仕上がっている。椎名的未来社会が好きな人はもちろん、この手の小説を読んだ人には新しい発見のある一作です。もう一冊は新潮文庫の新刊「ぱいかじ南海作戦」ひょんなことから、失業し、一切の係累を無くした主人公が、沖縄の離島で、海浜ホームレスとなり、狩猟するホームレスとして、暮らし始めるという、日本中の離島を経巡った経験が十分に生かされた作品。椎名の作品だから、ホームレス生活ももちろん平穏ではなく、さまざまな事件が襲いかかったり、新たな仲間との奇妙な共同生活があったりと、飽きることなくページを繰ることが出来ます。もちろん、このがんじがらめの管理社会日本において、そんなユートピア生活がいつまでも許されるはずもないのですが、そこは、筆者ならではのどんでん返しもあり、最後まで楽しめます。なにがあっても、今の生活を投げ出すわけにもいかず、そんな勇気もない現代人に。
2007年01月16日
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目黒パーシモンホール。三人会にいってきました。生まれて初めて都立大駅下車、柿の木坂を登り切ったところに、真新しいでかいホールがありました。(因みに、柿の木坂、さすがに高級住宅街を控えて、おしゃれな店が一杯)平日の昼間の公演とあって、会場の平均年齢は50歳を遙かに超えた感じですが、昨今の落語ブームを反映して、フルハウス。前座の初花(しょっぱな)が金明竹を無難にまとめた後、花禄登場。小さんの孫ということもすっかり認知されたのか、会場も暖かい雰囲気で迎えます。学校寄席で滑った話をマクラに、小咄を連発して、会場の雰囲気をはかった後、「初天神」に。マクラで時間がおしたのか、飴屋の下りは省略して、団子屋の場面で、きれいに納めて、小朝に変わります。小朝師匠、いつもどおり、しっかりマクラで観客をつかんで、「ぼやき酒屋」へ、いつもどおり、何をやっても上手な師匠ですが、こうした、酔っぱらいの独白をやらせると絶品です。爆笑の高座を努めてお仲入り。食いつきは、紋之助師匠の江戸曲ごま。会場がでかいので、曲ごまに関してはやりずらいのですが、いつもの絶妙トークで会場を引き込みます。会場の反応を見ていると、寄席体験者は少なく、曲ごまを初見の人も多い様子。大こまを使った風車の芸では、一回フロアを駆け回って大サービス。最後は、コマの綱渡り。コマのうえにトトロ人形を乗せて大サービス。しっかり会場を暖めました。トリは笑点でも大人気の昇太師匠。マクラで、初詣風景をしっかり語ります。マクラもたっぷりで、これだけで、一つの漫談になるくらい。その後、すっと入った話が「壺算」。もちろん師匠のやる壺算だから、いつものダイナミックな動きがあります。特に、兄貴が与太郎に、瓶をまけてもらう交渉をどうするのか、と問うたのに対し、与太郎が、「まけてくれよー」と絶叫しながら兄貴に抱きつき、首を舐める仕草が絶品。(これが、店での場面でも良く効いてくる)店での値切り交渉から、壺算独特の詐欺に入っていく様子も会話を上手につなぎ、リズム良く展開。なんとしても納得できない番頭がだんだんに混乱していく様子も上手に進めていきます。最後にきれいに落としたのですが、会場の係が鈍いのか、はたまた落語をしらないのか、緞帳が下がるのが遅かったのが残念。落語通にも初心者にも楽しめる落語会でした。まあ、落語協会でも最強のメンバーですからね。
2007年01月13日
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渋谷パルコ劇場、お正月恒例の志の輔落語に行ってきました。例年チケットがとれずにいたのが、今回はラッキーなことに一枚だけゲットできました。パルコ劇場の平均年齢が一番高くなる公演でしょうが、志の輔師匠ということもあり、かなり若い人の姿が見られます。もちろん席は完売なんですが、なぜか一番良い席が二つ空席。長唄連中のお囃子のあと、志の輔師匠が登場。マクラから、創作「七福神の新年会」へ。師匠の創作落語って、今は亡き安部公房さんが落語を書いたらこうなるんじゃないかという、気持ちの良い理屈っぽさがあって好きです。いったん、下がって着物を着替えて、「メルシー雛祭り」へ、現実にはあり得ない展開へとどんどん話が進んでいくし、最後の人間が神社の石段にひな人形の扮装で並ぶなんて言うのは、とてもあり得ない話なんですが、それを感じさせないのが師匠の力量。きれいにサゲが決まって師匠が下がった後に、後ろ幕が上がって、劇団員たちによる、人間雛壇の再現。全員が所作よろしく決まった所で、ボードを取り出すと、それぞれに文字が書いてあり、「お中入り、5分間の休憩」という告知になる趣向。最後に師匠がボードを持って登場。師匠のボードには「1」が書かれてあり、師匠が並んで15分の休憩を告げるという、細かな演出。この辺がパルコ落語の楽しい所。休憩後はおきまりの古典だが、さて、何を演じるのかと期待が高まる中、軽いマクラで「ひょっとして中村仲蔵?」と思っていると、やはりそうでした。談志仕込みの、きちんと「なぜ、そうなるのか、なぜ、そういったのか、なぜ、そう考えたのか。」がきちんと考え込まれていることを感じさせる、聞いていて納得の出来る話の展開。客席もどんどん引き込まれていきます。時間はたっぷりあるせいか、普段は省略される「鎌髭」のエピソードを入れながら話は展開。芝居話で、忠臣蔵五段目の内容と、斧定九郎について知らないと解りにくい話であるので、その説明の「入れごと」もうまく決まります。落語は好きでずっと聞いているけれど、落語で感動するっていうのはなかなか無いんですが、今回の高座はその希有な例でした。サゲの後、いったん幕を下ろし、再び上がった舞台には、長唄連中と師匠が並び、師匠の挨拶のあと、長唄のお囃子が有った後、三本締め。大満足で幸せな気持ちで帰途に付きました。パルコ劇場も狭いし、トイレやロビーもセコだけど、不況の続く中、とりあえず、一デパートが劇場を持ち続け、こうした、優れた公演を続けることに拍手です。
2007年01月08日
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ソニーの名プロデューサーにして、志ん朝師匠の音源を数多く残す仕事をした、演芸のプロ京須偕充の「落語で江戸のうらおもて」落語の様々なことばを通して、「江戸ことば」「江戸文化」「江戸っ子の心意気」などを語るエッセイ。特に最後の江戸ことばの雰囲気を伝えていた志ん朝師匠の口演に残る江戸ことばを通じて、巷間使われる「てやんでぇ、べらぼうめぇ」の乱暴なだけが江戸ことばでもないし、江戸っ子の心意気では無いことを語る。本人も古い東京人としての気概を持って生きたいと考えているので、若い世代が読むと反発を感じる内容も有るかもしれないが、生粋の東京生まれ、東京育ちはこう考えながら、こう感じながら生きてきたのだし、そういう人種はもう生まれないのだろうということもよく分かる。江戸っ子、東京文化、落語に関心のある人にお勧め。続いて今や押しも押されぬ大作家になった浅田次郎「中原の虹」。「蒼穹の昴」に続く近代中国を舞台とする歴史小説だが、今回は「張作霖」が主人公。浅田次郎は「泣かせの浅田」ともいわれるように、「鉄道員」に代表される、感動小説でメジャーになったが、浅田が一番好きなのはたぶん「きんぴか」「プリズンホテル」「天切り松」につながる、極道小説、任侠小説なんだと思うし、たぶん作家としての本質は、そこにあるんだと思う。今回の本作でも、中国近代史で名前はしっているが、何をしたかを答えられる人は少ない、張作霖を主人公として、満州馬賊たちが、任侠の心に準じることを己の矜恃として、命や利益よりも「男」として生き抜く姿を、実に楽しそうにかっこよく描いていく。そうした任侠道が描かれる一方で、男たちは愛には純情で、おそらく女性にもたまらないであろう純愛模様も描かれサービス満点。もちろんフィクションだから、歴史上の事実どうりではないが、日露戦争前後の歴史の流れもうまくまとめられ、浅田節全開。現在二巻まで刊行。一巻ずつ次をたのしみに待つもよし。四巻そろった所で一気に読むのも結構です。
2007年01月03日
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