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佐藤多佳子の「しゃべれどもしゃべれども」を原作とする同名映画「しゃべれどもしゃべれども」前評判も高かったのですが、期待に違わずよいできでした。古典落語に命を賭けて、普段でも和服で通す、売れない二つ目三つ葉が、ひょんなことから、うまくコミュニケーションをとることのできない、美女と、大阪からの転校生と野球解説者に落語を教えていく中で、それぞれの抱える問題や、三つ葉が売れない理由などが明らかにされ、相手を思いながらも、それをうまく伝えられないで、傷つけてしまい、そのことによって自分も傷つきながら、それぞれが少しずつ成長し、問題を解決し、よい関係を築いていく課程が、寄席風景や、噺家の日常、下町風景などを典型に丁寧に描かれています。三つ葉の師匠役の伊東四朗さんが芝居が達者なのはもちろん、劇中で披露する「火焔太鼓」も絶品です。国文太一も芝居に落語にと達者なところを見せ、ジャニーズ系のアイドル出身とは思えない好演でした。寄席に行けば太一より下手な真打ちにお目にかかりかねないできでした。落語に興味のあるかたの入門としてもよいかと思います。
2007年05月28日
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小さん一門でも、独特の仕草とフラのある権太楼師匠のCDが新しくリリースされました。第一集は「疝気の虫」と「鰻の幇間」疝気の虫といえば、亡き志ん生師匠の十八番。ほかの噺家はやりにくいところですが、これも今は亡き志ん朝師匠から「権ちゃんなら、新しい疝気の虫ができるだろうから、やってみな。」とお墨付きをいただいて取り組んだのは有名な話。マクラに始まり、噺全体がテンポよく、師匠独特のくすぐりや入れごとも沢山で、志ん生師匠とは違った爆笑落語になっています。権太楼師匠といえば、その表情と独特の所作のおもしろさが魅力ですので、本当のおもしろさは高座を「実際に見る」ことが大切なのですが、このCDでは、見えない所作も、きっとこんなになってるんだろうなって、想像させる楽しさがあります。「鰻の幇間」もポピュラーな古典ですが、やはり師匠独特のくすぐりを入れることで、爆笑落語になっています。特に笑ったのは、鰻屋の二階で遊んでた子供が「よしおちゃん」であること。このよしおちゃんは最後まで笑いの種となってくれます。特に楽しかったのは、お旦に逃げられたとわかってから、幇間の態度が一変して、女中に文句を言いまくるところ。幇間の悔しさが実によく表れて、大笑いです。二席とも師匠が楽しんで語っているのがびしびしと伝わってくる楽しい音源でした。
2007年05月23日
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リアル書店はほとんど利用せず、ネットのみで本を購入するので、どうしても特定の作家の作品に偏りがちになるので、たまには読んだことのない人の作品を水転で買ってみるのですが、立ち読みせずに買うので、外れることもあれば、大当たりもありで、それがまた、楽しいのですが、本書も予備知識なしで、水転で購入しました。主人公は京都で骨董屋を営む、征次郎なる、青年で、元は金沢藩士の息子であったのが、父親が骨董に関わる詐欺事件に遭い、切腹。息子である主人公も士分を離れて、骨董屋に転じているという設定。そうした主人公が骨董に関わる様々な事件に巻き込まれて、それを解決するという短編連作の形をとりながら、最後は父の敵ともいうべき詐欺師との決着へと流れていきます。主人公のスタンスは「骨董を汚すものは許せない。」というもので、もちろん金に転ぶこともないし、先斗町の売れっ子芸者と恋仲であるのに、それにおぼれることもできず、元侍ということもあり、腕っ節も強いという、まさにハードボイルド小説です。文明開化の京都の裏表もよく描かれ、骨董に関するうんちくも適度にちりばめられ、楽しい一冊になっています。シリーズの二冊目なので、一冊目も購入したいと思います。
2007年05月20日
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春風亭昇太師匠の「春風亭昇太ひとり会 はじめての落語」出版社: 東京糸井重里事務所 発行年月: 2006年03月 価格 2,190円 (税込 2,299 円) 一年前の刊行で楽天では在庫なしですが、書店で販売しています。昇太師匠が糸井さんの「ほぼ日新聞」の企画で、素人相手の落語会を開催したときの高座を文字とCDの両方で記録したもの。演目は新作「人生が二度あれば」と古典で「壷算」 そして、別会場の録音ですが、昇太師匠の新作の中でもっとも人気が高いのに、最近はあまり語られない「愛犬ちゃっぴー」以上が、文字と音声の両方で記録されます。本文では、高座の記録と同時に、自演解説もあり、なるほどそういうこともありかと、納得のお話が読めます。音声では、ほとんどやけくそかと思える、師匠の熱唱もあり、とても楽しいCDです。本というよりは、鑑賞の詳しいガイドがついたCDといった方がいいかもしれません。落語を聞いてみたいという方には是非。御通家にも楽しめます。
2007年05月16日
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NHKの番組で取り上げられた、二・二六事件の際の電話の盗聴記録レコードから、浮かびあがる、二・二六事件の隠された真実。NHKに保存されたままその存在を忘れられていた二・二六事件の関係者の電話盗聴を記録したレコード型の音声記録板が見つかったことから解き明かされる歴史の新たな真実。内容を詳しく書くことは本書を読む楽しみを半減させるので、できませんが、二・二六事件とはどんな事件で、どのような経過をたどったのかということが詳しく語られるとともに、その裏に隠されていた、真実も明らかになります。また、当時の録音技術に対する知的な興味も満足させてくれます。歴史に興味のある方は是非どうぞ。
2007年05月13日
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浜美雪の新刊「師匠噺」東西12人の人気落語家に取材した、噺家と師匠の関係。噺家といえば、自分の選んだ師匠の元に弟子入りし、師匠の元で厳しい落語修行をすると、漠然と思っていたし、「三度稽古」が普通で、他の師匠に教わりに行くのは特別なものと思っていたが、そんな常識を覆す話がいっぱいで、まさに目から鱗でした。もちろん語られるエピソードについては、ここに別のところで読み聞きしたことのあることも多いのですが、そうした断片的なエピソードを超えて、師匠と弟子は濃密な関係を結んでいることがわかりました。もちろん、数ある噺家の仲では師匠と必ずしもうまくいく人ばかりではないのでしょうが、ここに取り上げた12人については、本当に師弟がお互いのことを思って、幸せな関係を結んだのだなとうらやましくなりました。民主主義で育った私たちには決してあり得ない、噺家の世界が民主的でないが故に幸せなのはなぜなんだろうと考えてしまいました。落語好きな人はもちろん、教育に関心のある人、リーダーシップに興味のある人にもお勧めです。とてもよいリポートだと思います。
2007年05月11日
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絵入りの江戸入門書で人気の菊地ひとみの新刊「江戸おしゃれ図絵」衣装と結髪の三百年という副題が示すとおりに、江戸の初期から幕末までの、衣装と髪型の変遷を絵入りで手際よく、楽しく、そして美しくまとめた好著。時代劇や舞台の影響でなんとなく江戸時代はずーっと同じ格好をしていたような気がするが、よく考えれば三百年の間に風俗の流行変遷はないわけで、当然人々がきる衣装や髪型も大きく変化している。本書はその移り変わりを、時代背景の解説を文章で、具体的な衣装や髪型の移り変わりを美しい絵でわかりやすく、まとめてあり、現代の和服に通じる衣装ができあがるまでの、衣装変遷史を手際よくまとめてあります。読み物としても、丁寧な調査を手際よくまとめてあり、十分楽しめます。歴史、風俗、服飾に興味のある方は是非。
2007年05月10日
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秋山真志「寄席のひとたち」席亭、お囃子さん、かみ切り、講談、手品師、太神楽、等の寄席を巡るひとびとや、色物さん、を中心に師匠一人一人にスポットを当ててその魅力を明らかにするとともに、各仕事の歴史についても上手にまとめた出色のレポート。著者については、始めて著作にふれることもあり、正直読み出すまではそんなに期待していなかったのだが、一読、レポートをまとめる力量に感服しました。たぶん、本文に取り上げた何倍もの事実について取材し、その多くを捨てることでなりたったレポートだと思います。各師匠の魅力がきちんと伝わるのはもちろん、太神楽なら太神楽の歴史についてまとめた、そのまとめの部分が実によくできているのがよかった。落語についてはかなり知識もあるつもりだし、色物についても一通りのことは知っているつもりだったが、この本で初めて知ったことがたくさんあり、とても楽しい一冊だった。ただ、あえて苦言をていすれば、多少文章の乱れがあること。たとえば講談について「不当に評価されすぎている。」という表現があったが、「不当に低く」が正しいと思う。といった、文章表現で気になった点がいくつかあったが、それは瑕瑾に過ぎない。寄席、演芸の好きな方は是非どうぞ。
2007年05月03日
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五明楼玉の輔師匠の「噺家の手ぬぐい」落語協会所属の師匠たちの手ぬぐいを集めた写真集。購入前は、手ぬぐいばっか集めた本を買うなんて、俺も物好きだなと思いましたが、かって正解でした。一つは、師匠達の手ぬぐいがそれぞれに個性があって、見ているだけでもとても楽しいし、その柄に決めた理由についてもそれぞれの師匠らしいエピソードがあって、「なるほど」と思えることがたくさんありました。特に先代の馬生師匠が絵がお得意で、一門の手ぬぐいは全部デザインしているのは初めてしりました。その手ぬぐいを一同に掲載した「十代目金原亭馬生展」は秀逸です。そのほかにも小朝師匠のインタビューや、鈴本の鈴木席亭、小沢昭一さんとの鼎談、手ぬぐいのうんちくなど、読み物も充実していて、とても楽しい一冊です。落語の好きな人はもちろん、デザインファッションに興味のある方にも是非。
2007年05月03日
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